説明

電動型車椅子管理システム

【課題】電池の残量を精度良く監視し、ユーザに知らせるとともに、電池の交換時期や、電池切れに対する救助などの一元管理や電動型車椅子や電動カート、電動フォークリフトなどの衝突防止をする。
【解決手段】充放電を繰り返し使用可能な様々な二次電池が電源として採用されている。ユーザ側200の構成は、それらの充放電の状況をリアルタイムでユーザに知らせることができ、移動先で電池が放電しきった状態においてもGPS16でサービス提供者100が追跡しているので、現地に急行し充電済みの電池との交換や補充電をすることができる。また、GPS16の位置情報監視により電動型車椅子や電動カート、電動フォークリフトの衝突を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源を備えた電動型車椅子管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動型車椅子が広く用いられているが、これらの車椅子の動力源はその大部分が電池であり、その電池は充放電の回数により序々に蓄電能力が低下してしまい、最終的には放電ができなくなる。そこで、この蓄電能力を知るために、電動型車椅子のユーザに電源の状態を教えるためのモニタリング装置が取り付けられている。具体的には電圧計、LEDの点灯数による蓄電量の表示などである。しかしながら、これら従来のモニタリング装置は端子電圧を知らせるが残存容量を把握するには精度が悪く、まだ残存容量があると表示されているのに、実際は走行などによる負荷がかかると早期に自走不能になったりしていた。
またゴルフ場で使用される電動型ゴルフカートや、工場や倉庫で荷捌きをする電動型フォークリフトなども同様の電池をエネルギー源として動き、広く様々な分野で用いられている。これらは全て電池の蓄電量により動作が左右される欠点を有している。そのため、電池の電圧の低下を精密に表示する工夫として、低電圧になってきた場合に端子電圧表示の精度と表示方法を変える工夫も知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2000−334345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池の充電時及び放電時の電流、電圧、温度を常時モニタリングすることで電池の残存容量を精度良く監視し、ユーザに知らせるとともに、電池の交換時期や、電池切れに対する救助などを一元管理し、電動型車椅子の電池の管理制御を(他、電動車両も含む)する。また、一元管理により得られる位置情報をもとに屋外において電動型車椅子と他の移動車両との相互の衝突を未然に防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本願の請求項1においては、電池を電源として駆動するモータにより走行する電動型車椅子を監視し、電池切れに対するサポートを行うためのサポートシステムにおいて、前記電池の容量の変動を監視するためのデータロガーと、前記電動型車椅子の位置を監視するためのGPSと、前記データロガーと前記GPSのデータを通信手段で送信される前記電池の容量と位置に関する情報を収集するためのデータサーバと、前記データサーバからの情報に応じて前記電動型車椅子のサポートの指示を前記電池の容量情報と位置指定を共にサービスセンタから発するサポート指示手段と、を備え、前記サービスセンタは前記電動型車椅子を管理サポートする関係各所へ情報を発信し、動かなくなる前に救援サポートを行うことを特徴とする電動型車椅子管理システム。
【0006】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1において前記GPSのデータを用いて、前記電動型車椅子が屋外において他の移動車両との相互の衝突を防止するための衝突防止手段を備えている。
【0007】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2において、前記データロガーには前記サービスセンタと通話が可能な通話手段を備えている。
【0008】
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記電動型車椅子を使用するユーザにモバイル端末を介して前記サービスセンタから前記電池残量の情報や、残りの走行可能距離、ユーザの現在位置を知らせる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池の残量を精度良く監視し、ユーザに知らせるとともに、電池の交換時期や、電池切れに対する救助などの一元管理や屋外において電動型車椅子と移動車両との相互の衝突を未然に防止もできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の電動型車椅子のシステム構成図を示す。
【図2】蓄電池の充放電特性を説明するための説明図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
【実施例1】
【0012】
図1に示すのは、本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。
この図1において、インターネット1、携帯端末(モバイル端末)2、モバイル局3、通信器4,13、通信サーバ5,14、データサーバ6、電池容量監視サーバ7、現在位置監視サーバ8、警報器10、CPU9,指令サーバ11、サービスセンタ12、データロガー15、GPS16、電池17による構成が示されている。
この図1ではサービス提供者100とユーザ側200との間で無線通信を行い、インターネット1を介したネットワーク(インターネット)1通信が行われている。
また、ユーザ側は電池式の電動車椅子や電動カート、電動フォークリフトを想定しており携帯端末を所有している。一方サービス提供者も携帯端末2との送受信のためにモバイル局3に接続されている。さらに専用回線としてデータなどを送受信するために通信器4と通信器13が相互通信可能に備わる。そして、インターネット1に接続可能な場合は、その環境を利用するための通信サーバ5、14が備わる。
このような構成において、サービス提供者100はユーザ側200を監視している。監視の具体的内容は、ユーザ側200が備える電池17の容量とGPS16による現在位置情報の2つである。ユーザ側200は一般的な電動型車椅子や電動カート、電動フォークリフトを想定している。
電動型車椅子や電動カート、電動フォークリフトは、その動力源に鉛蓄電池やニッケル水素電池やリチウムイオン電池を含む様々な充放電を繰り返し使用が可能な二次電池が電源として採用されている。ユーザ側(電動型車椅子、電動カート、電動フォークリフト)200の構成は、それらの充放電の時期をユーザに知らせることができ、移動先で電池が放電しきった状態においてもGPS16でサービス提供者100が追跡しているので、救援の作業者を現場に急行するよう指令を発し、充電済みの電池との交換や補充電することができる。
ユーザ側200について、一般的には電池の残存容量を示す電圧計などが備わる電動型車椅子や電動カート、電動フォークリフトが多い。しかしながらこれらの電圧計は概ねの残量を示すものが多勢で正確な電池17の残量を知ることは難しい。更に電池17の特性として、充放電の回数が多くなるほど充電容量が減少するため、満充電を行っても新品時に較べ少ない充電容量しか得られず、短時間で稼働に必要な限界容量まで放電してしまう。これでは安心して使用することができず、たとえば、移動先で電動型車椅子のバッテリー切れを起こした場合においては介護者などに助けてもらうほか移動ができない。
そこで、データロガー15を電池17につなぎ、正確な容量の変化(残電力)を監視する。こうして測定されている容量のデータは常時あるいは間欠的に通信サーバ14もしくは通信器13によってサービス提供者100へ送信される。この送信はCPU21に予めプログラムされたソフトウェアにより実行される。このソフトウェアによりGPS16の情報と、データロガー15の情報をひとつの情報にまとめて、データとして作成し送信する。
サービス提供者100はユーザ側200からのデータを受信する。受信したデータはデータサーバ6により一時記憶される。CPU9にてGPS情報と電池容量に分けられたデータのうち、電池容量のデータは電池容量監視サーバ7に記憶され、GPS情報は現在地監視サーバ8に記憶される。これらの記憶はCPU9に予めインストールしたプログラムによって監視されている。
CPU9は図2に示すように電池容量監視サーバ7からの情報を得て電池17の監視をしており、この図2に示すのは監視の一例を示しており、新品時に近い劣化のない満充電時を100%として、充放電のサイクル数と容量比率を示したものである。この電池17の場合、充放電が進むにつれて容量比率が低下していくことがわかる。このため使用を継続し充放電サイクルと繰り返すと電池17は満充電しても減少している蓄電量を放電することになり、予想より早くモータが駆動できなくなってしまう。これを防ぐため電池17の容量比率が、例えば70%のところで電池容量監視サーバ7からCPU9へ電池17の残存容量に限界が近いことを知らせる。CPU9はこれを受けて警報器10へ信号を送る。
警報器10はこの信号を受けると、データサーバ6と指令サーバ11へ信号を送る。指令サーバ11はサービスセンタ12へ警報を送る。また警報以外にユーザ側200の電池17の状態やGPS16により取得したユーザ側200の情報もサービスセンタ12へ送る。サービスセンタ12はユーザ側200を管理サポートする予め接続可能な状態にある関係各所へ情報を発信し、ユーザ側200の電池17の残存容量が限界に近づき、モータ18が動かなくなる前に救援をおこなう。
また、警報器10からの信号はデータサーバ6に入り通信サーバ5もしくはモバイル局3あるいは通信器4に警報を送り、その警報はユーザ側200へ届く。ユーザ側200では通信サーバ14にて警報を受信し、CPU21へ伝えて警報器19を動作させる。警報器19はユーザが認識できる警報音やランプの点滅などである。携帯端末2に送られた警報は音声でユーザへ電池17の電池容量が残り少ないこと、あとどれだけの距離を走れるか、サービスセンタ12から救助指示が発信されたことを知らせる。通信機4、13も同様である。
【実施例2】
【0013】
ユーザ側200の位置は屋外においてはGPS16にて位置情報が把握できるので、位置情報が把握されている他の移動車両と接近しすぎる前に警告を発してモータ18を止めるなどの制御、あるいは警報器19からユーザ側200が認識できる警報音やランプの点滅などで知らせることができる。これをもって衝突回避が実現できる。また、道案内をすることができる。さらにユーザ側200からサービスセンタ12へ連絡を取り、必要な情報や要求を音声で伝えることもできる。
【符号の説明】
【0014】
1・・・インターネット
2・・・携帯端末
3・・・モバイル局
4、13・・・通信器
5、14・・・通信サーバ
6・・・データサーバ
7・・・電池容量監視サーバ
8・・・現在位置監視サーバ
9、21・・・CPU
10、19・・・警報器
11・・・指令サーバ
12・・・サービスセンタ
15・・・データロガー
16・・・GPSシステム
17・・・電池
18・・・モータ
100・・・サービス提供者
200・・・ユーザ側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として駆動するモータにより走行する電動型車椅子を監視し、電池切れに対するサポートを行うためのサポートシステムにおいて、
前記電池の容量の変動を監視するためのデータロガーと、
前記電動型車椅子の位置を監視するためのGPSと、
前記データロガーと前記GPSのデータを通信手段で送信される前記電池の容量と位置に関する情報を収集するためのデータサーバと、
前記データサーバからの情報に応じて前記電動型車椅子のサポートの指示を前記電池の容量情報と位置指定を共にサービスセンタから発するサポート指示手段と、を備え、
前記サービスセンタは前記電動型車椅子を管理サポートする関係各所へ情報を発信し、動かなくなる前に救援サポートを行うことを特徴とする電動型車椅子管理システム。
【請求項2】
前記GPSのデータを用いて、前記電動型車椅子が位置情報が把握されている他の移動車両と衝突するのを防止するための衝突防止手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電動型車椅子管理システム。
【請求項3】
前記データロガーには前記サービスセンタと通話が可能な通話手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動型車椅子管理システム。
【請求項4】
前記電動型車椅子を使用するユーザにモバイル端末を介して前記サービスセンタから前記電池残量の情報や、残りの走行可能距離、ユーザの現在位置を知らせることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電動型車椅子管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−109771(P2011−109771A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260953(P2009−260953)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(709006714)
【Fターム(参考)】