説明

電動工具のバッテリ装置

【課題】生垣バリカン等の園芸工具において、バッテリ装着部に軽いアダプタを取り付け、重いバッテリパックを使用者の腰ベルトに吊り下げた本体ユニットに収容することにより、園芸工具の軽量化を図るバッテリ装置において、従来作業を中断等する際には、本体ユニットごと取り外して作業現場を離れていたため、取り扱いが面倒であった。本発明では、本体ユニットを吊り下げ状態のまま工具本体を作業現場に置いておけるようにしてその取り扱い性をよくすることを目的とする。
【解決手段】工具本体部に装着するアダプタユニット22と使用者が身体に装備する本体ユニット21をアダプタコード23のコネクタ接続部C1で分離できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動工具の電源に用いるバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電動式のねじ締め工具や孔明け工具であって、作業者が手に持って用いる手持ち式の電動工具には、電源に充電式のバッテリを用いるものが提供されている。多くの場合、このバッテリ式電動工具では、バッテリパックを工具本体部に装着して用いる。バッテリパックは、工具本体部から取り外して別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。
電動工具用のバッテリパックは、バッテリケース内に複数本のセルを収容したもので、比較的大きな重量を占めるため、工具本体に装着した状態で作業者が手に持って長時間使用すると手首が疲れて作業性が低下する場合がある。この問題を解消するための技術が下記の特許文献に開示されている。この特許文献には、バッテリ装置を用いることによりバッテリパックを工具本体部から分離してその軽量化を図ることによりその使い勝手を高める技術が開示されている。
このバッテリ装置は、工具本体部に装着するアダプタユニットと、バッテリパックを収容して作業者の腰ベルト等に引き掛けておくことができる本体ユニットを備えるもので、アダプタユニットはアダプタコードを経て本体ユニットに電気的に接続されている。係る従来技術によれば、重量物であるバッテリパックを収容した本体ユニットは作業者が腰ベルト等に引き掛けておき、工具本体部側に装着するアダプタユニットについてはセルを内装しないため大幅に軽量化することができ、これにより工具本体部の使い勝手を高め、またその取り回しを容易にすることができ、ひいては作業効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−3983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のバッテリ装置によれば、作業者が休憩等のため一旦作業を中断して電動工具を作業場に置いておく場合には、アダプタユニットを工具本体部から取り外して本体ユニットとともに持ち歩くか、本体ユニットを腰ベルト等から外してアダプタユニットとともに作業場に置いておく等する必要があり、アダプタユニットと本体ユニットがアダプタコードで接続されているため、かえってその取り扱いが面倒になる場合があった。
本発明は、バッテリパックを収容した本体ユニットを作業者の身体等に装着したまま、電動工具から分離できるようにしてその取り扱い性を一層高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の発明によって解決される。
第1の発明は、バッテリパックを収容した本体ユニットと、この本体ユニットを電動工具に電源として接続するためのアダプタコードを備えたバッテリ装置であって、本体ユニットは、アダプタコードを介して電動工具にコネクタ接続されており、このコネクタ接続部を切り離して本体ユニットを電動工具から分離可能な構成としたバッテリ装置である。
第1の発明によれば、アダプタコードのコネクタ接続部を切り離すことにより本体ユニットを電動工具から分離することができるので、当該バッテリ装置の使い勝手及び取り扱い性を高めることができる。
第1の発明では、アダプタコードのコネクタ接続部を介して本体ユニットを、アダプタユニットを介して間接的に電動工具に接続する構成の他、アダプタユニットを仲介せず電動工具の工具本体部に直接コネクタ接続する構成を含む。
第2の発明は、第1の発明において、電動工具のバッテリ取り付け部に装着可能なアダプタユニットを備え、このアダプタユニットと本体ユニットがアダプタコードを介してコネクタ接続されて、本体ユニットがアダプタユニットを介して間接的に電動工具にコネクタ接続されたバッテリ装置である。
第2の発明によれば、電動工具のバッテリ取り付け部に取り付けたアダプタユニットを介して本体ユニットから電動工具に対して電源供給される。アダプタユニットをバッテリ取り付け部から取り外すことにより、当該バッテリ装置を電動工具から分離することができる。しかも、本体ユニットとバッテリユニットとの間がアダプタコードを介してコネクタ接続されていることから、このコネクタ接続部を切り離すことによっても本体ユニットを電動工具から分離することができる。コネクタ接続部を切り離すことによって本体ユニットを電動工具から分離できるので、作業中における電動工具の軽量化により作業の効率化を図るとともに、作業中断時等における当該バッテリ装置の取り扱い性をよくすることができる。
第3の発明は、第1の発明において、アダプタコードを介して本体ユニットが前記電動工具に直接コネクタ接続されたバッテリ装置である。
第3の発明によれば、本体ユニット側のアダプタコードの先端に例えばオス側コネクタを取り付け、電動工具の工具本体部にメス側コネクタを取り付けておくことにより、第2の発明におけるアダプタユニットを介することなく本体ユニットを直接電動工具側にコネクタ接続することができる。係る構成によっても、コネクタ接続部を切り離すことにより本体ユニットを電動工具から簡単に分離することができ、作業中における電動工具側の軽量化を図りつつ、作業中断時等における当該バッテリ装置の取り扱い性をよくすることができる。
第4の発明は、第1〜第3の何れか一つの発明において、アダプタコードの中途位置にコネクタ接続部を有するバッテリ装置である。第4の発明によれば、アダプタコードの中途位置でコネクタ接続を分離することによりアダプタユニットと本体ユニットを相互に分離することができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、コネクタ接続部に抜け止め構造を備えたバッテリ装置である。第5の発明によれば、コネクタ接続部の不用意な取り外れが防止されて、工具本体部の予期せぬ動作中断状態を未然に防止することができる。
第6の発明は、第1〜第5の何れか一つの発明において、コネクタ接続部に防水構造を備えたバッテリ装置である。第6の発明によれば、コネクタ接続部について屋外作業に適用することができる。
第7の発明は、第1〜第6の何れか1つの発明において、コネクタ接続部を介して本体ユニットを充電器に接続可能なバッテリ装置である。第7の発明によれば、本体ユニットごと充電器に接続して収容したバッテリパックの充電を行うことができ、この点で当該バッテリ装置の使い勝手を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバッテリ装置の使用例を示す斜視図である。本図では、バッテリ装置を園芸工具に用いて生け垣の剪定作業をする様子が示されている。
【図2】本発明の第1実施形態に係るバッテリ装置を園芸工具に装着した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るバッテリ装置の全体斜視図である。本図は、本体ユニットにアダプタユニットを接続した状態を示している。
【図4】本発明の第1実施形態に係るバッテリ装置の全体斜視図である。本図は、本体ユニットからアダプタコードを切り離した状態を示している。
【図5】第1実施形態に係る本体ユニットの斜視図である。本図は、蓋部を開けた状態を示している。
【図6】コネクタ受け部とコネクタ結合部の斜視図である。本図は、切り離した状態を示している。
【図7】第2実施形態のバッテリ装置の斜視図である。
【図8】第3実施形態のバッテリ装置の斜視図である。
【図9】第4実施形態を示す斜視図である。本図は、第2若しくは第3実施形態に係る本体ユニットを充電器にコネクタ接続して充電する状態を示している。
【図10】第5実施形態のバッテリ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。図2は、電動工具の一例として生垣バリカンと称される園芸工具10に、以下説明する本実施形態のバッテリ装置20を装着した状態を示している。本実施形態は、このバッテリ装置20に特徴を有しており、これが装着される電動工具(園芸工具10)そのものについては従来と同様で足り、本実施形態において特に変更を要しないので簡単に説明する。この園芸工具10は、使用者が把持するメイングリップ部13を有する工具本体部11と、工具本体部11の前部から前方へ突き出す状態に装備されたブレード部15を備えている。工具本体部11の後部であってメイングリップ部13の下面側にバッテリ装着部17が設けられている。このバッテリ装着部17に電源として一つのバッテリパックを直接装着することによっても工具本体部11に電源供給される。本実施形態では、園芸工具10は36V電源を仕様とするもので、バッテリ装着部17にバッテリパックを直接装着する場合には36Vのバッテリパックが装着される。
工具本体部11の前部には、ループ形のサブグリップ部12が設けられている。このサブグリップ部12に沿って同じくループ形のスイッチレバー14が設けられている。サブグリップ部12の前方には、当該サブグリップ部12を把持した使用者の手を保護するための保護ガード板16が取り付けられている。使用者が一方の手でメイングリップ部13を把持し、他方の手でサブグリップ部12を把持して、メイングリップ部13側のスイッチレバー(図では見えていない)とサブグリップ部12側のスイッチレバー14を同時に引き操作するとことにより工具本体部11が起動してブレード部15のブレードが往復動する。
上記したように、工具本体部11のバッテリ装着部17には、36V仕様のバッテリパックを直接取り付けることができる他、これに代えて図示するようにバッテリ装置20のアダプタユニット22を取り付けることができる。
【0008】
図3に示すように本実施形態のバッテリ装置20は、本体ユニット21とアダプタユニット22とこれらを電気的に接続するアダプタコード23を備えている。図5に示すように本体ユニット21は、バッテリ収納ケース24の内部に二つのバッテリパック25,25を収容した構成を備えている。バッテリ収納ケース24は、二つのバッテリパック25,25を収容する上方開放のケース本体24aとこのケース本体24aに対してヒンジ部を介して開閉可能に結合された蓋部24bを備えている。ケース本体24a内に二つのバッテリパック25,25を適切な向きで挿入すると、この二つのバッテリパック25,25がそれぞれ当該ケース本体24a内に内装された電源回路基板(図示省略)に電気的に直列接続される。蓋部24bを閉じると、二つのバッテリパック25,25が収納状態に固定される。蓋部24bの閉じ状態は、スライドロック27によってロックされる。
二つのバッテリパック25,25は、それぞれバッテリケース内に複数本のバッテリセルを内装した例えば18V仕様のリチウムイオンバッテリで、従来公知のものが用いられている。従って、このバッテリパック25は、例示した園芸工具10とは別の18V仕様の電動工具に単独で装着することにより電源として用いることができる。また、このバッテリパック25は、別途充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。
ケース本体24aの背面24c(図5において手前側の側面)は、使用者の腰回りになじむよう緩やかに湾曲している。ケース本体24aの背面24cの上部には一つのフック26が設けられている。このフック26を使用者の例えば腰ベルトに引き掛けておくことにより、当該本体ユニット21を腰にぶら下げた状態で携帯することができる。
ケース本体24aの左右側部には、腰ベルト通し孔24d,24dが設けられている。図1に示すように使用者Pは、両腰ベルト通し孔24d,24dに腰ベルトを通しておくことにより、当該本体ユニット21を腰回りに固定しておくこともできる。
また、ケース本体24aの左右側部には、肩ベルト引き掛け部24e,24eが設けられている。使用者は、両肩ベルト引き掛け部24e,24eに肩ベルトの両端部を結合しておくことにより、当該本体ユニット21を肩に掛けて携帯することもできる。
【0009】
ケース本体24aの底部にアダプタコード23が接続されている。このアダプタコード23は、ケース本体24aの底部にコネクタ接続部C1を介して接続されている。ケース本体24aの底部にオス側コネクタ28が設けられ、このオス側コネクタ28に対してアダプタコード23の一端側にメス側コネクタ29が設けられている。オス側コネクタ28にメス側コネクタ29が接続されてコネクタ接続部C1が接続され、オス側コネクタ28からメス側コネクタ29を分離すればコネクタ接続部C1が切り離される。このため、図4に示すようにアダプタコード23はコネクタ接続部C1を介してケース本体24aから取り外すことができる。
図6に示すようにオス側コネクタ28には、円筒形のねじ軸部28aが設けられている。このねじ軸部28aの内周側に接続端子28b〜28bが配置されている。各接続端子28bは、ケース本体24a内に内装した電源回路基板に電気的に接続されている。
これに対してアダプタコード23側のメス側コネクタ29には、内周側にねじ孔29bが形成された操作リング29aが設けられている。この操作リング29aはアダプタコード23に対して回転操作自在に保持されている。この操作リング29aの内周側に端子差し込み孔29c〜29cが設けられている。各端子差し込み孔29cに接続端子28bを差し込んだ状態で、操作リング29aをねじ締め付け側に回転操作してその内周側のねじ孔29bをねじ軸部28aに締め付ければ、メス側コネクタ29がオス側コネクタ28にねじ結合されてコネクタ接続部C1が接続され、これによりアダプタコード23が本体ユニット21に接続される。メス側コネクタ29とオス側コネクタ28がねじ結合されることから、当該コネクタ接続部C1の不用意な抜けが防止される。このことから、オス側コネクタ28のねじ軸部28aに対するメス側コネクタ29のねじ孔29bのねじ結合構造が当該コネクタ接続部C1の抜け止め構造として機能する。
操作リング29aをねじ緩み方向に回転操作してねじ軸部28aから外せば、コネクタ接続部C1が切り離されてアダプタコード23を本体ユニット21から取り外すことができる。
アダプタコード23の他端側にアダプタユニット22が接続されている。アダプタユニット22は、工具本体部11のバッテリ装着部17に対して図中矢印で示すスライド取り付け方向にスライドさせて取り付け可能なスライド取り付け部22aを備えている。アダプタユニット22は、工具本体部11のバッテリ装着部17に対して取り付けると電気的に接続される。但し、このアダプタユニット22にバッテリセルは内装されていない。このため、このアダプタユニット22は、セルを内装したバッテリパック25よりも大幅に軽量化されている。
アダプタユニット22が工具本体部11の電源回路に電気的に接続されることにより、本体ユニット21がアダプタコード23を経て工具本体部11に対して電気的に接続される。本体ユニット21がアダプタコード23を経て工具本体部11に接続されることにより、当該工具本体部11に二つのバッテリパック25,25から電源供給がなされる。
【0010】
以上のように構成したバッテリ装置20によれば、本体ユニット21のオス側コネクタ28にアダプタコード23のメス側コネクタ29を結合しておくことにより、本体ユニット21のバッテリパック25,25から工具本体部11に対して電源供給されて、当該園芸工具10を使用することができる。
本体ユニット21は、工具本体部11から分離されて使用者Pの腰ベルト等に引き掛けて携帯することができる。このため、工具本体部11のバッテリ装着部17には、バッテリパック25よりも大幅に軽いアダプタユニット22を取り付けて当該園芸工具10を軽量化した状態で用いることができ、これにより当該園芸工具10の使い勝手及び取り扱い性が良くなって作業効率を高めることができる。
しかも、本実施形態のバッテリ装置20によれば、操作リング29aを緩み方向に回転操作してメス側コネクタ29をオス側コネクタ28から外せば、本体ユニット21をアダプタユニット22ひいては工具本体部11から分離することができる。このため、使用者が剪定作業を一旦中断して休憩等する場合に、アダプタコード23を本体ユニット21から切り離せば、本体ユニット21を腰ベルトに吊り下げた状態のまま、園芸工具10を置いて作業現場を離れることができる。
作業を再開する場合には、本体ユニット21のオス側コネクタ28にアダプタコード23のメス側コネクタ29を係合すれば、園芸工具10を即座に使用可能な状態となる。
このように、バッテリパック25,25を収容した本体ユニット21をアダプタユニット22を取り付けた工具本体部11から分離することができるので、使用者Pが例えば腰に吊り下げた本体ユニット21をそのままで園芸工具10から遠ざかることができ、この点で当該バッテリ装置20の使い勝手及び取り扱い性を高めることができる。
また、アダプタコード23のコネクタ接続部C1について抜け止めがなされているので、工具本体部11に対する電源供給状態が確実に維持され、これにより不用意な作業中断等のトラブルを未然に防止することができる。
さらに、オス側コネクタ28の接続端子28b〜28bがねじ軸部28aの内周側に配置され、またメス側コネクタ29の端子接続孔29c〜29cがねじ孔29bの内周側に配置されており、当該コネクタ接続部C1の接続状態においてこれらの周囲がねじ結合部で囲われて外部に露出されない構成となっていることから、当該コネクタ接続部C1に防水機能を持たせることができ、これにより雨天での屋外作業時等においてもバッテリ装置20を用いることができることからその使い勝手及び取り扱い性を高めることができる。
【0011】
以上説明した実施形態には種々変更を加えて実施することができる。例えば、コネクタ接続部C1の抜け止め構造として、オス側コネクタ28のねじ軸部28aに対するメス側コネクタ29のねじ孔29bのねじ結合構造を例示したが、爪部の弾性係合により抜け止めする構造、あるいは締め付けバンドにより抜け止めする構造に置き換えてもよい。
また、コネクタ接続部C1のオス側コネクタ28とメス側コネクタ29は入れ替えてもよい。本体ユニット21側にメス側コネクタ29を設け、アダプタユニット22側であってアダプタコード23の先端にオス側コネクタ28を設けた構成であってもよい。
次に、アダプタコード23のコネクタ接続部C1を本体ユニット21の底部に設定した構成を例示したが、本体ユニット21をアダプタユニット22から分離可能とするためのコネクタ接続部C1については、例えばアダプタユニット21の底部に設定してもよく、アダプタコート23の中途位置に設定してもよい。前者の第2実施形態に係るコネクタ接続部C2を備えたバッテリ装置32が図7に示され、後者の第3実施形態に係るコネクタ接続部C3を備えたバッテリ装置36が図8に示されている。第2、第3実施形態において、コネクタ接続部C2,C3以外の構成については前記第1実施形態と同様であるので、同位の符号を用いてその説明を省略する。
図7に示すように第2実施形態のバッテリ装置32の場合、アダプタコード23の一端側は本体ユニット33の底部に取り外し不能に接続されている。アダプタコード23の他端側が、コネクタ接続部C2を介してアダプタユニット34に切り離し可能に接続される。
アダプタユニット34のスライド取り付け方向手前側の後面にメス側コネクタ30が直接取り付けられている。このメス側コネクタ30は、第1実施形態におけるメス側コネクタ29に相当するもので、回転操作自在な操作リング30aを備えている。操作リング30aの内周側にはねじ孔30bが形成されている。また、操作リング30aの内周側に端子接続孔30c〜30cが配置されている。
このメス側コネクタ30に対応してアダプタコード23の他端側にオス側コネクタ31が設けられている。このオス側コネクタ31は第1実施形態におけるオス側コネクタ28に相当するもので、円筒形のねじ軸部31aとその内周側に接続端子(図7では見えていない)備えている。各接続端子をメス側コネクタ30の端子接続孔30cに挿入した状態で、操作リング30aをねじ締め付け方向に回転操作すれば、メス側コネクタ30にオス側コネクタ31がねじ結合され、これによりアダプタコード23を経て本体ユニット33がアダプタユニット34に電気的に接続される。
メス側コネクタ30の操作リング30aをねじ緩め方向に回転操作すれば、コネクタ接続部C2のねじ結合を解除してアダプタコード23をアダプタユニット34から切り離すことができる。このため、使用者Pはわざわざ本体ユニット21を腰ベルト等から外さなくても、吊り下げたままで園芸工具10及びアダプタユニット34を作業現場に残しておくことができるので、第1実施形態と同様当該バッテリ装置32の使い勝手及び取り扱い性を高めることができる。
図8に示すように第3実施形態のバッテリ装置36では、アダプタコード23のコネクタ接続部C3が当該アダプタコード23の中途位置(長手方向ほぼ中央)に設定されている。第3実施形態の場合、本体ユニット33の底部にアダプタコード23のほぼ半分の長さの分割コード23aが切り離し不能に接続されている。この分割コード23aの先端にオス側コネクタ31が取り付けられている。このため、第3実施形態では、前記第2実施形態の本体ユニット33をそのまま用いることができる。アダプタユニット22のスライド取り付け方向手前側の後面に、アダプタコード23のほぼ半分の長さの分割コード23bが切り離し不能に接続されている。この分割コード23bの先端に第1実施形態と同じく回転操作自在な操作リング29aを備えたメス側コネクタ29が取り付けられている。このため、第3実施形態では、前記第1実施形態のアダプタユニット22をそのまま用いることができる。
第1実施形態のアダプタユニット22と第2実施形態の本体ユニット33をコネクタ接続部C3を介して接続することにより、第3実施形態のバッテリ装置36とすることができる。この第3実施形態のバッテリ装置36によっても、コネクタ接続部C3を切り離すことにより、本体ユニット33をアダプタユニット22ひいては工具本体部11から分離することができるので、当該バッテリ装置36の使い勝手及び取り扱い性を高めることができる。
【0012】
次に、本体ユニット33はアダプタコード23を介して充電器35に接続することにより、内装したバッテリパック25,25を充電することができる。この第4実施形態が図9に示されている。図示するように本体ユニット33の底部にはアダプタコード23(分割コード23a)が切り離し不能に接続されている。このアダプタコード23(分割コード23a)の先端にオス側コネクタ31が取り付けられている。従って、図9に示す本体ユニット33には、図7に示す第2実施形態の本体ユニット33若しくは図8に示す第3実施形態の本体ユニット33を適用することができる。
充電器35は、その上面にバッテリパック25を直接接続するためのバッテリパック受け部35aが設けられた公知の充電器に、第2実施形態のアダプタユニット34に用いたメス側コネクタ30を追加した構成を備えている。バッテリパック受け部35aは、工具本体部11のバッテリ装着部17と同じくスライド取り付け構造を備えている。この充電器35の側部に一つのメス側コネクタ30が直接取り付けられている。
本体ユニット33側のオス側コネクタ31のねじ軸部31aを、充電器35のメス側コネクタ30の操作リング30aの内周側に挿入すると、オス側コネクタ31の接続端子がメス側コネクタ30の端子接続孔に挿入され、この状態で操作リング30aをねじ軸部31aに対してねじ締め方向に回転操作すれば、両コネクタ31,30がねじ結合されて、本体ユニット33が充電器35に電気的に接続される。こうして本体ユニット33を接続した状態で充電器35を起動させることにより、本体ユニット33に内装した二つのバッテリパック25,25の充電を行うことができる。
このように、第4実施形態によれば、第2若しくは第3実施形態で示した本体ユニット33を充電器35にコネクタ接続部C4を介して接続することにより、本体ユニット33に内装したバッテリパック25,25の充電を行うことができることから、バッテリパック25を本体ケース24aから取り出して充電器35のバッテリパック受け部35aに取り付けて一つずつ充電する手間をかけることなく二つのバッテリパック25,25の充電を同時かつ迅速に行うことができる。
上記第4実施形態では、本体ユニット33側にオス側コネクタ31を取り付け、充電器35側にメス側コネクタ30を取り付けた構成を例示したが、前記と同様オス側コネクタとメス側コネクタは入れ替えてもよい。
また、一方のコネクタを本体ユニットの底部に直接取り付け、他方のコネクタをアダプタコードを介して充電器に取り付ける構成としてもよく、オス側とメス側双方のコネクタをそれぞれアダプタコードを介して本体ユニット及び充電器に取り付ける構成としてもよい。
【0013】
さらに、第1〜第4実施形態において、本体ユニット21の側部若しくはその他の部位に直接若しくはアダプタコードを介してオス側若しくはメス側のコネクタを取り付ける構成としてもよい。また、腰ベルト吊り下げ、あるいは肩掛けに限らず背負う形式の本体ユニットであってもよい。
さらに、本体ユニットに内装するバッテリパックの個数については、1つであっても3つ以上であってもよい。例示した実施形態では、本体ユニット21に18Vバッテリを二つ直列接続状態で収容して、36V仕様の電動工具に電源供給するバッテリ装置20を例示したが、本発明に係るコネクタ接続構造(コネクタ接続部C1〜C3)は、本体ユニットに18Vバッテリを一つ若しくは二つ以上並列接続状態で収容して、18V仕様の電動工具に電源供給するバッテリ装置についても同様に適用することができる。係る構成によっても、工具本体部側の軽量化を図ることができる他、二つ以上のバッテリパックを並列接続することにより電源供給時間を長くすることができる。
また、電動工具として園芸工具10を例示したが、各種孔明け作業用の電気ドリル、ねじ締め機、切断機等その他の電動工具のバッテリ装置として広く適用することができる。
さらに、アダプタユニット22を介して本体ユニット21を電動工具1に対して間接的にコネクタ接続する構成を例示したが、本発明に係るバッテリ装置は、アダプタユニットを省略してアダプタコードを介して本体ユニットを工具本体部に直接コネクタ接続する構成によっても同様の作用効果を得ることができる。図10にこの第5実施形態に係るバッテリ装置37が示されている。この第4実施形態のバッテリ装置37は、第2〜第4実施形態に例示した本体ユニット33をコネクタ接続部C5を介して工具本体部11に直接コネクタ接続する構成を備えている。
本体ユニット33の底部にはアダプタコード23が引き出されており、その先端にオス側コネクタ31が取り付けられている。一方、工具本体部11のメイングリップ部13の後面には、第2、第4実施形態と同じメス側コネクタ30が取り付けられている。
このように第1〜第3実施形態のようなアダプタユニット22,34を省略する一方、工具本体部11にメス側コネクタ30を設けることにより、本体ユニット33をアダプタコード23を介して工具本体部11に直接コネクタ接続することができ、このコネクタ接続部C5を切り離すことにより本体ユニット33を腰ベルト等に吊り下げた状態のまま工具本体部11から分離することができる。このことから、電動工具(工具本体部11)の軽量化を図って作業の効率化を図りつつ、この作業を一旦中断する場合等には本体ユニット33を工具本体部11から簡単に分離して、当該バッテリ装置37の取り扱い性をよくすることができる。
以上説明した第1〜第5実施形態において、工具本体部若しくはアダプタユニットと、本体ユニットとの間において、アダプタコードの一端側でコネクタ接続する構成を例示したが、アダプタコードの両端部で工具本体部若しくはアダプタユニットと本体ユニットの双方に対してコネクタ接続する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0014】
C1…コネクタ接続部(第1実施形態)
P…使用者
10…園芸工具(生垣バリカン)
11…工具本体部
12…サブグリップ部
13…メイングリップ部
14…スイッチレバー
15…ブレード部
16…保護ガード板
17…バッテリ装着部
20…バッテリ装置
21…本体ユニット
22…アダプタユニット
23…アダプタコード
24…バッテリ収納ケース
24a…ケース本体、24b…蓋部、24c…背面、24d…腰ベルト通し孔
24e…肩ベルト引き掛け部
25…バッテリパック
26…フック
27…スライドロック
28…オス側コネクタ、28a…ねじ軸部、28b…接続端子
29…メス側コネクタ、29a…操作リング、29b…ねじ孔、29c…端子差し込み孔
C2…コネクタ接続部(第2実施形態)
30…メス側コネクタ(第2、第4実施形態)
31…オス側コネクタ(第2、第4実施形態)
32…バッテリ装置(第2実施形態)
33…本体ユニット(第2〜第5実施形態)
34…アダプタユニット(第2実施形態)
C3…コネクタ接続部(第3実施形態)
35…充電器、35a…バッテリパック受け部
36…バッテリ装置(第3実施形態)
C4…コネクタ接続部(第4実施形態)
37…バッテリ装置(第5実施形態)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックを収容した本体ユニットと、該本体ユニットを電動工具に電源として接続するためのアダプタコードを備えたバッテリ装置であって、
前記本体ユニットは、前記アダプタコードを介して前記電動工具にコネクタ接続されており、該コネクタ接続部を切り離して前記電動工具から分離可能な構成としたバッテリ装置。
【請求項2】
請求項1記載のバッテリ装置であって、前記電動工具のバッテリ取り付け部に装着可能なアダプタユニットを備え、該アダプタユニットと前記本体ユニットが前記アダプタコードを介してコネクタ接続されて、前記本体ユニットが前記アダプタユニットを介して間接的に前記電動工具にコネクタ接続されたバッテリ装置。
【請求項3】
請求項1記載のバッテリ装置であって、前記アダプタコードを介して前記本体ユニットが前記電動工具に直接コネクタ接続されたバッテリ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載したバッテリ装置であって、前記アダプタコードの中途位置にコネクタ接続部を有するバッテリ装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載したバッテリ装置であって、前記コネクタ接続部に抜け止め構造を備えたバッテリ装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載したバッテリ装置であって、前記コネクタ接続部に防水構造を備えたバッテリ装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載したバッテリ装置であって、前記コネクタ接続部を介して前記本体ユニットを充電器に接続可能なバッテリ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−54007(P2012−54007A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193650(P2010−193650)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】