説明

電動弁

【課題】閉弁状態において弁体とオリフィスの間にブリードポートが形成される電動弁において、小型化、低コスト化を図る。
【解決手段】弁室111、弁室に連通するオリフィス12及びオリフィスに対向して設けられ弁室に連通する挿通孔181を有する弁本体110と、挿通孔を貫通するとともにオリフィスに入り込む弁体17を有する弁軸116と、弁本体に取り付けられ弁軸を駆動する駆動機構13を収容するキャン30と、キャンの内部と弁室とを連通させる均圧通路185とを備え、弁軸の外周に形成された係止部172が弁本体に形成されたストッパ部70に当接した状態で弁軸の先端とオリフィスとの間に微少流量の冷媒を流通させるブリードポート72が形成されるようにした電動弁であって、係止部とストッパ部とを弁軸の周方向の一部において当接させ、弁軸の外周面と挿通孔の内周面との間に均圧通路を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関し、例えば除湿を行う空調機等において冷媒の流量制御を行なうために用いられる電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空調機において冷媒の流量制御のために、モ−タによりオリフィスの開度を制御する電動弁が使用されている。
【0003】
電動弁を用いた空調機では、特に除湿運転を深夜に行う場合、電動弁のオンオフを繰り返す作動音が出るのは、ユーザには好まれないので、閉弁状態でオリフィスを全閉にすることなく、微小流量の冷媒がオリフィスを流通する状態で運転することが望まれる。
【0004】
特許文献1には、閉弁状態で弁体とオリフィスの間の隙間によってブリードポートが形成され、弁体がオリフィスに接触しないため、ブリードポートが摩耗しにくい耐久性の高い電動弁が示されている。以下特許文献1に記載の発明について説明する。
【0005】
図5は特許文献1の電動弁の全体を示す縦断面図であり、図6は図5に示す電動弁の要部を拡大して示す断面図である。
【0006】
図5において、全体を符号1で示す電動弁は、弁本体10を有し、その内部には弁室11と弁室11に連通するオリフィス12とが形成されている。また、弁本体10には、配管20,22が接続されている。配管20は、弁本体10の弁室11の一側方に接続され、冷媒としての二酸化炭素(ガス)等を弁室11に導入するための冷媒導入管であり、弁室11の下方に接続されている配管22は、冷媒導出管である。弁本体10の上部には、弁を開閉駆動する駆動機構13が付設されている。
【0007】
駆動機構13においては、円筒形状の圧力容器であるキャン30が、その下端部31において、弁本体10の上部に固着されているステンレス製の鍔状の受け部材23に形成された段差郡23aに突き合わせ溶接により密封接合されることで、弁本体10の上部に取り付けられている。キャン30は、ステンレス等の非磁性の金属板を素材として、深絞り加工等により半球状の天底32を有する有底円筒状に形成されており、内部は気密状態に保たれている。キャン30の外側には、ステッピングモータ40のステータユニット41が装備されており、キャン30の内側には、所定の間隙αをあけて、ステッピングモータ40のロータユニット42が回転自在に配設されている。
【0008】
ロータユニット42は、磁性材料が樹脂に混入されて成形されたプラスチックマグネットから成るロータ43と、ロータ43に対してリング部材44を介して連結された下方開口の筒状形状を有するねじ送り部材45とを備えている。ロータ30の材料の例として、Nd−Fe−B系等の希土類プラスチックマグネットが挙げられる。ねじ送り部材45は、後述する弁軸16を保持する弁軸ホルダとしての機能も有する。リング部材44は、本実施形態ではロータ43の成形時にインサートされた黄銅製の金属リングで構成されている。リング部材44にねじ送り部材45の上部突部がかしめ部46によって固定され、これにより、ロータ43、リング部材44及びねじ送り部材45が一体的に連結されている。
【0009】
駆動機構13によって、黄銅製の弁軸16が弁本体10内を昇降する。弁軸16の下端にはニードル状の弁体17が形成されている。オリフィス12の弁室11側に開く開口は弁口15となっている。弁体17がオリフィス12に対して接近又は後退して弁口15を開閉することによって、オリフィス12を通過する流体(冷媒)の通過流量が制御される。
【0010】
駆動機構13は、更に、弁軸16が摺動自在に嵌挿された筒状のガイドブッシュ47を有しており、その外周に上記したねじ送り部材45が嵌まり合い、且つねじ係合している。ガイドブッシュ47の下端部47aは大径に形成されており、弁本体10に設けられた嵌合穴24に圧入(又は螺合)固定される。ガイドブッシュ47の中央部付近には雄ねじ部48が形成されている。ねじ送り部材45には、ガイドブッシュ47の雄ねじ部(固定ねじ部)48に螺合する雌ねじ部(移動ねじ部)49が形成されている。ねじ送り部材45とガイドブッシュ47によってロータ43の回転を弁軸16の軸方向の移動に変換する変換手段が構成されている。
【0011】
ねじ送り部材45の天底50の中央部に弁軸16の上部小径部18が挿通せしめられている。上部小径部18の上端部は、ねじ送り部材45の天底上面に乗せられた規制部材としてのナット19に圧入固定されている。
【0012】
弁軸16は、ねじ送り部材45の天底50と弁軸16の中間段差部51との間に縮装されたばね部材としての緩衝用のコイルばね52によって常時下方、即ち、閉弁方向に付勢されている。弁軸16のねじ送り部材45に対する閉弁方向の移動はナット19がねじ送り部材45に当接することによって規制される。ねじ送り部材45の天底50上には、コイルばねからなる復帰ばね54が設けられている。復帰ばね54は、ガイドブッシュ47の固定ねじ部48とねじ送り部材45の移動ねじ部49との螺合が外れたときに、キャン30の内面に当接して固定ねじ部48と移動ねじ部49との螺合を復帰させるように働く。
【0013】
キャン30に外装されたステータユニット41は、磁性材からなるヨーク61と、ヨーク61にボビン62を介して巻回される上下のステ一タコイル63,63と、樹脂モールドカバー66とから成っている。
【0014】
ガイドブッシュ47には、ストッパ機構の一方を構成する下ストッパ体(固定ストッパ)67が固着され、ねじ送り部材45にはストッパ機構の他方を構成する上ストッパ体(移動ストッパ)68が固着されている。
【0015】
図6において、弁軸16は、図示されている弁体17の閉弁位置で弁本体10に形成されているストッパ部70に係止する係止部71を軸方向中間部に有している。弁体17は、閉弁位置で、オリフィス12との間に僅かな隙間72を形成してブリードポートを構成しており、弁体17は弁口15の周縁部に接触しない。弁体17は、図示の全閉位置でも、僅かに流体が隙間72を通じて流れるのを許容する。したがって、除湿時に必要な冷媒流量を確保できるとともに、冷凍サイクルの圧縮機の起動時などのように、流路に大きな圧力変動が生じるのを遅延・緩和させることができ、所謂イニシャライズ音を軽減することができる。また、弁軸16がストッパ部70に当接する停止位置は、それよりも更に弁軸16が降下しない限界位置(弁軸の上下リフトの基点)であるので、弁軸16をその位置から更に降下させるためのステッピングモータ40の駆動力を必要としないので、ステッピングモータ40に不要な負荷が課されることがない。
【0016】
ストッパ部70は、弁本体10において、オリフィス12の開口に向かい合う弁室11の壁部73を貫通して形成され且つ弁軸16が挿通される挿通孔74の端縁部に形成されている。また、弁軸16の係止部71は、弁軸16の周面に段差として形成されている。ストッパ70と係止部71とをこのような構造とすることにより、切削や鍛造等の簡単な機械加工で形成することができ、電動弁の製造コスト低減に寄与している。弁軸16の係止部71から弁体17に至る部分は、先細のテーパ軸部78となっており、挿通孔74やオリフィス12と干渉することがない。
【0017】
オリフィス12はスロート部75で弁室11に開口する先窄まりのテーパ孔として形成されている。また、弁体17は、断面同一の軸状部分76と軸状部分76の先端側に繋がるとともに先端に向かって縮径した先細部分77とを有する。弁体17の閉弁位置で、軸状部分76における先細部分77寄りの部位をスロート部75に位置させることで、駆動機構13が弁軸16を全閉位置から弁開方向に駆動すると、弁体17の先細部分77が直ちにオリフィス12のスロート部75から離れるので、弁開度の応答性を高めることができる。オリフィス12のスロート部75の開口周囲には、環状の形状を呈する座ぐり部79が形成されている。スロート部75の開口周囲に座ぐり部79を形成することによって、スロート部75の形成時のバリを取り除くことができ、弁体17とスロート部75の干渉を防止し、弁体17のスムーズな開閉移動に寄与することができる。
【0018】
このような構成とされた電動弁1にあっては、駆動機構13において、ステッピングモータ40が駆動され、ステッピングモータ40の回転を弁軸16の軸方向の移動に変換することで、弁軸16が弁本体10内を軸方に移動する。弁軸16の先端部に備わる弁体17がオリフィス12に対して接近又は後退してオリフィス12の弁口15の開口量を変更することで、オリフィス12を通る冷媒流量を制御することができる。即ち、ステ一タコイル63,63に一方向の通電を行って励磁すると、弁本体10に固定されたガイドブッシュ47に対し、ロータ43及びねじ送り部材45が一方向に回転せしめられ、ガイドブッシュ47の固定ねじ部48とねじ送り部材45の移動ねじ部49とのねじ送りにより、例えばねじ送り部材45が下方に移動する。ねじ送り部材45の下方移動は、コイルばね52を介して弁軸16を下降させるので、弁体17がオリフィス12内に侵入して、弁口15は略閉じられる。弁体17とオリフィス12との間には隙間72が存在してブリードポートとなっており、所謂、閉弁状態であっても僅かに流体が隙間72を通じて流れることができる。
【0019】
ストッパ70が係止部71に係止して弁口15が閉じられた時点では、上ストッパ体67は未だ下ストッパ体68に当接しておらず、弁体17が弁口15を閉じたままロータ43及びねじ送り部材45は更に回転下降する。このときは、弁軸16に対してねじ送り部材45が下降するため、繚衝用のコイルばね52が圧縮せしめられることによりねじ送り部材45の下降力は吸収される。その後、ロータ43が更に回転してねじ送り部材45が下降すると、上ストッパ体67が下ストッパ体68に衝接し、ステ一タコイル63,63に対する通電が続行されてもねじ送り部材45の下降は強制的に停止される。これにより、ステッピングモータの回転基点が与えられる。また、ストッパ体67,68はコイルばね52で緩衝されつつ当接するので摩耗しにくく耐久性が高い。
【0020】
一方、ステ一タコイル63,63に他方向の通電を行って励磁すると、弁本体10に固定されたガイドブッシュ47に対し、ロータ43及びねじ送り部材45が前記と逆方向に回転される。ガイドブッシュ47の固定ねじ部48とねじ送り部材45の移動ねじ部49とのねじ送りにより、ねじ送り部材45が上方に移動する。弁軸16の下端の弁体17がオリフィス12から離れて弁口15が開かれ、冷媒が弁口15を通過する。この場合、ロータ30の回転量により弁口15の実効開口面積、即ち冷媒の通過流量を調整することができる。ロータ30の回転量はパルス数により制御されるため、冷媒通過流量を高精度に調整することができる。
【特許文献1】特開2007−205565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記従来の電動弁は、弁動作の安定を図るため、弁本体10に、キャン30内と弁室11の間を連通する均圧孔90が挿通孔74とは別に設けられている。そして、弁動作の更なる安定化のためには、2つの均圧孔を設ける必要がある場合もある。
【0022】
このため、挿通孔74まわりに均圧孔90を形成するためのスペースを確保しなければならず、均圧孔90と連通する弁室11も大きくする必要があり、電動弁1全体の小型化を阻むものとなる。さらに、均圧孔90と挿通孔74は同軸上にないため、弁本体10を旋盤で加工する際には、挿通孔74を形成した後、弁本体10をチャックしなおして均圧孔90を加工するため、その分、加工工数がかかりコスト高となっている。
【0023】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、閉弁状態において弁体とオリフィスの間にブリードポートが形成される電動弁にあって、小型化、低コスト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するため、本発明は、弁室、該弁室に連通するオリフィス及び該オリフィスに対向して設けられ前記弁室に連通する挿通孔を有する弁本体と、前記挿通孔を貫通するとともに前記オリフィスに入り込む弁体を有する弁軸と、前記弁本体に取り付けられ前記弁軸を駆動する駆動機構を収容するキャンと、該キャンの内部と前記弁室とを連通させる均圧孔とを備え、前記弁軸の外周に形成された係止部が前記弁本体に形成されたストッパ部に当接した状態で前記弁体と前記オリフィスとの間に微少流量の冷媒を流通させるブリードポートが形成されるようにした電動弁であって、前記係止部と前記ストッパ部とを前記弁軸の周方向の一部において当接させ、前記弁軸の外周面と前記挿通孔の内周面との間に前記均圧通路となる隙間を形成したことを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明の電動弁は、前記ストッパ部が前記弁室内に形成されるとともに、前記挿通孔が前記オリフィスと同軸の断面円形の孔であることを特徴とする。
さらに、本発明の電動弁は、前記挿通孔が周方向の一部において径方向外側へ張り出した拡張部を有しており、該拡張部により前記均圧通路となる隙間を形成することを特徴とする。
さらに、本発明の電動弁は、前記弁軸における前記挿通孔に挿入される部分を断面非円形とし、該部分により前記均圧通路となる隙間を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、閉弁状態において弁体とオリフィスの間にブリードポートが形成される電動弁にあって、小型化、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0028】
図1は、第1の実施形態の電動弁の要部を拡大して示す断面図である。以下の各実施形態においては、図5、6で説明した従来の電動弁と同一の箇所には同一の符号を付し、図5、6で説明した従来の電動弁と異なる箇所について説明する。
【0029】
弁軸116は、ガイドブッシュ47に嵌挿する嵌挿軸部95と、嵌挿軸部95より先端側に形成され、弁本体110の挿通孔181に挿入される挿入軸部171と有している。さらに挿入軸部171の先端側には係止部172を有し、係止部172の先端側には縮径軸部173を有している。そして、縮径軸部173の先端側には、テーパ部174を介して、従来例と同じニードル状の弁体17を形成している。
【0030】
弁本体110は、弁室111を有し、弁室111の上側(キャン30側)には壁部190が形成されている。壁部190には、挿通孔181を有している。この挿通孔181の大きさは、均圧孔185となる空間を形成するように挿入軸部171より大きい径となっている。さらに、弁室111の奥は奥壁部183となっており、その上部にストッパ182を有している。また、弁室の下部には、従来例と同じく座ぐり部79を有している。座ぐり部79の径は挿通孔181の径より小さくなっている。
【0031】
次に、弁本体110の加工方法について説明する。挿通孔181、奥壁部183、座ぐり部79は、同軸上に位置するため、旋盤により縦方向(嵌合穴24側)からチャックのつけかえなしで切削加工により形成することができる。ストッパ182は、奥壁部183と挿通孔181の間の段部で形成されている。また、弁室111は横方向からの切削加工により形成でき、その奥は縦方向の加工で形成されているため、そこに達するまで加工すればよいことになる。これら、横方向、縦方向の加工の順番はいずれからでもよい。
【0032】
次に、作用について説明する。弁軸116が、オリフィス12側(閉弁方向)に降りて来ると、弁軸116の係止部172が、弁本体110のストッパ部182に当接して弁軸116が停止する。ことのき、弁体17は、閉弁位置で、オリフィス12との間に僅かな隙間72を形成してブリードポートを構成しており、弁体17は弁口15の周縁部に接触しない。このため、微少流量の冷媒が流通するようになる。一方、弁軸116の挿入軸部171と、これと同軸状の弁本体110の挿通孔181との間には、空間が形成されているため、ストッパ182の反対側の空間は均圧通路185となり、キャン30側(嵌合穴24側)と弁室111の間を連通し、これらの間に圧力差が生させることなく弁動作の安定を図ることができる。このように、弁軸116の外周面と挿通孔181の内周面との間に均圧通路185を形成することで、従来のように挿通孔とは別に均圧孔を形成する場合と比べ、電動弁の小型化を図ることができるとともに、弁本体110をチャックしなおす必要がなくなるため工数及びコストが低減する。
【0033】
図2は、第2の実施形態の電動弁の要部を拡大して示す断面図である。
【0034】
弁軸16は、図5、6で説明した従来例と同様である。
【0035】
弁本体210は、弁室11を有し、弁室11の上側(キャン30側)の壁部290には挿通孔280が形成されている。挿通孔280は、周方向の一部において、径方向外側へ張り出した拡張部281を有しており、この拡張部281の部分が均圧通路となる。拡張部281を有していない側の上部はストッパ部282となり、弁軸16の係止部71と係止する。拡張部281は、例えば、フライスを横方向に移動させて加工することが可能である。なお、拡張部281は切欠きのようなものであってもよい。
【0036】
次に、作用について説明する。弁軸16が、オリフィス12側(閉弁方向)に降りて来ると、弁軸16の係止部71が、弁本体210のストッパ部282に当接して止まる。ことのき、弁体17は、閉弁位置で、オリフィス12との間に僅かな隙間72を形成してブリードポートを構成しており、弁体17は弁口15の周縁部に接触しない。このため、微少流量の冷媒が流通するようになる。一方、挿通孔280に形成された拡張部281により均圧通路が形成されるため、キャン30の内部と弁室11とが連通し、これらの間に圧力差が生させることなく弁動作の安定を図ることができる。このように、弁軸16の外周面と挿通孔181の内周面との間に均圧通路185を形成することで、従来のように挿通孔とは別に均圧孔を形成する場合と比べ、電動弁の小型化を図ることができる
【0037】
図3は、第3の実施形態の要部を拡大して示す断面図である。図4は、図3における弁軸のA−A断面図である。
【0038】
弁本体310は、図5、6で説明した弁本体10とは、均圧孔90を有していない点が異なるが、それ以外は同じ形状である。
【0039】
弁軸316は、図5、6で説明した弁軸16とは、弁軸16の係止部71を含む一部分を軸線と平行にカットすることにより形成されたカット部372を有している点異なる。カット部372は、弁軸316の係止部371が、弁本体310のストッパ部70に当接した状態で、挿通孔74内に均圧通路385を形成するようにテーパ部373から嵌挿軸部95にかけて設けられている。カット部372の加工は、図4に示されるように円柱状の弁軸316における挿通孔74に挿入される部分の周方向の一部をカットして断面D型の形状にする。
【0040】
次に、作用について説明する。弁軸316が、オリフィス12側(閉弁方向)に降りて来ると、弁軸316の係止部371が弁本体310のストッパ部70に当接して停止する。ことのき、弁体17は、閉弁位置で、オリフィス12との間に僅かな隙間72を形成してブリードポートを構成しており、弁体17は弁口15の周縁部に接触しない。このため、微少流量の冷媒が流通するようになる。一方、カット部372により挿通孔74との間に空間が形成されるため、これが均圧通路385となり、キャン30の内部と弁室11とを連通し、これらの間に圧力差が生させることなく弁動作の安定を図ることができる。このように、弁軸316の外周面と挿通孔181の内周面との間に均圧通路385を形成することで、従来のように挿通孔とは別に均圧孔を形成する場合と比べ、電動弁の小型化を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態の電動弁の要部を拡大して示す断面図である。
【図2】第2の実施形態の電動弁の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】第3の実施形態の電動弁の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】図3における弁軸のA−A断面図である。
【図5】特許文献1の電動弁の全体を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す電動弁の要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 電動弁
10 弁本体
11 弁室
12 オリフィス
30 キャン
47 ガイドブッシュ
70 ストッパ部
71 係止部
72 隙間
73 壁部
74 挿通孔
75 スロート部
76 軸状部分
77 先細部分
78 テーパ軸部
79 座ぐり部
90 均圧孔
95 嵌挿軸部
171 挿入軸部
181 挿通孔
182 ストッパ部
281 拡張部
372 カット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室、該弁室に連通するオリフィス及び該オリフィスに対向して設けられ前記弁室に連通する挿通孔を有する弁本体と、前記挿通孔を貫通するとともに前記オリフィスに入り込む弁体を有する弁軸と、前記弁本体に取り付けられ前記弁軸を駆動する駆動機構を収容するキャンと、該キャンの内部と前記弁室とを連通させる均圧通路とを備え、前記弁軸の外周に形成された係止部が前記弁本体に形成されたストッパ部に当接した状態で前記弁体と前記オリフィスとの間に微少流量の冷媒を流通させるブリードポートが形成されるようにした電動弁であって、
前記係止部と前記ストッパ部とを前記弁軸の周方向の一部において当接させ、前記弁軸の外周面と前記挿通孔の内周面との間に前記均圧通路となる隙間を形成したことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ストッパ部は前記弁室内に形成されるとともに、前記挿通孔は前記オリフィスと同軸の断面円形の孔であることを特徴とする請求項1記載の電動弁。
【請求項3】
前記挿通孔は周方向の一部において径方向外側へ張り出した拡張部を有しており、該拡張部により前記均圧通路となる隙間を形成することを特徴とする請求項1記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁軸における前記挿通孔に挿入される部分を断面非円形とし、該部分により前記均圧通路となる隙間を形成することを特徴とする請求項1記載の電動弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−25184(P2010−25184A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185530(P2008−185530)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】