説明

電動式ステアリング装置

【課題】球面継手を構成するボールのスリットの溝底に生じる応力集中を低減することが可能な電動式ステアリング装置を提供する。
【解決手段】スリット741の溝底には、溝幅Wよりも直径寸法の大きなR面742が形成されている。調整ねじ78を雌ねじ77にねじ込むと、スリット741の溝幅Wが拡大して、ブッシュ76の外周76Bとスリーブ75の内周75Aとの間の隙間bを無くすことができ、また、ボール74の外周74Bとブッシュ76の凹球面76Aとの間の隙間も無くすことができる。スリット741の溝幅Wが拡大すると、スリット741の溝底に大きな応力が作用する。しかし、溝底にはR面742が形成されているため、スリット741の溝底には応力集中が生じることはなく、ボール74の耐久性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動式ステアリング装置、特に、ステアリングホイールのチルト位置、または、テレスコピック位置を、電動モータにより調整することができる電動式ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールのチルト位置やテレスコピック位置を調整する必要があり、このチルト位置、または、テレスコピック位置の調整を、電動モータを使用して楽に行うようにした電動式ステアリング装置を採用することが多くなっている。このような電動式ステアリング装置として、特許文献1に開示された電動式ステアリング装置がある。
【0003】
特許文献1の電動式ステアリング装置は、円滑で高剛性のチルト運動、または、テレスコピック運動を行わせるために、球面状の突起を有するボールと、内周にボールが嵌合する凹球面を有する円筒状のブッシュと、このブッシュが挿入される円筒状のスリーブとからなる球面継手を、電動モータからコラムへの動力伝達経路内に有している。この球面継手は、ボールとブッシュとの間の隙間、及び、ブッシュとスリーブとの間の隙間を詰めてガタを無くすために、ボールに形成されたスリットに調整ねじをねじ込んで、ボールのスリットの溝幅を拡縮してボールの外形寸法を拡縮している。
【0004】
しかし、特許文献1の電動式ステアリング装置は、ボールのスリットの溝幅を拡縮すると、スリットの溝底に大きな応力が作用して応力集中が生じるため、ボールの耐久性が低下する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−36043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、球面継手を構成するボールのスリットの溝底に生じる応力集中を低減することが可能な電動式ステアリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、車体後方側にステアリングホイールが装着されるステアリングシャフト、上記ステアリングシャフトを回転可能に軸支するとともに、チルト中心軸を支点とするチルト位置調整、または、ステアリングシャフトの中心軸線に沿ったテレスコピック位置調整が可能なコラム、電動モータ、上記電動モータの回転を、上記コラムのチルト運動、または、テレスコピック運動として伝達する動力伝達機構を備えた電動式ステアリング装置において、上記動力伝達機構は、上記電動モータによって回転駆動されるスクリュウと、上記スクリュウに螺合するナットと、上記ナットに設けられた球面状の突起をなすボールと、内周に上記ボールが嵌合する凹球面を有する円筒状のブッシュであって、軸方向全長に亘って、このブッシュの径を拡大縮小するためのスリットが形成されたブッシュと、上記ブッシュが挿入される円筒状のスリーブと、上記ボールに形成され、溝底にR面が形成されたスリットと、上記ボールのスリットの溝幅を拡縮して上記ボールの外形寸法を拡縮するための調整ねじとを有しており、上記ボールの外周と上記ブッシュの内周の凹球面との間隙、及び、上記ブッシュの外周と上記スリーブの内周との間隙が、上記調整ねじのねじ込み深さの調整によって調整することができることを特徴とする電動式ステアリング装置である。
【0008】
第2番目の発明は、第1番目の発明の電動式ステアリング装置において、上記ボールには、ボールの軸心を通り、軸心に平行で互いに直交する2個のスリットが形成されていることを特徴とする電動式ステアリング装置である。
【0009】
第3番目の発明は、第1番目から第2番目までのいずれかの発明の電動式ステアリング装置において、上記R面の直径寸法が上記スリットの溝幅よりも大きく形成されていることを特徴とする電動式ステアリング装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電動式ステアリング装置は、電動モータの回転を、コラムのチルト運動、または、テレスコピック運動として伝達する動力伝達機構を備えた電動式ステアリング装置において、電動モータによって回転駆動されるスクリュウと、スクリュウに螺合するナットと、ナットに設けられた球面状の突起をなすボールと、内周にボールが嵌合する凹球面を有する円筒状のブッシュであって、軸方向全長に亘って、このブッシュの径を拡大縮小するためのスリットが形成されたブッシュと、ブッシュが挿入される円筒状のスリーブと、ボールに形成され、溝底にR面が形成されたスリットと、ボールのスリットの溝幅を拡縮してボールの外形寸法を拡縮するための調整ねじとを有している。従って、スリットの溝幅が拡大すると、スリットの溝底に大きな応力が作用するが、溝底にはR面が形成されているため、スリットの溝底には応力集中が生じることはなく、ボールの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電動式ステアリング装置を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の電動チルト式ステアリング装置を示す一部断面を含む要部概略構成図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】実施例1のチルト動作を示す説明図である。
【図5】調整ねじをねじ込む前の状態を示す球面継手の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施例1のボールとボールナットの一体成形品の正面図である。
【図7】(a)は図6のボールとボールナットの一体成形品を45度回転した状態を示す正面図、(b)は(a)の右側面図である。
【図8】図5のP方向から見たブッシュ単体を示す側面図である。
【図9】調整ねじをねじ込んだ後の状態を示す球面継手の拡大断面図である。
【図10】(a)は本発明の実施例2のボールとボールナットの一体成形品を示す正面図、(b)は(a)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例2を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の電動式ステアリング装置1を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。電動式ステアリング装置1は、ステアリングシャフト2を回動自在に軸支している。ステアリングシャフト2には、その右端(車体後方側)にステアリングホイール3が装着され、ステアリングシャフト2の左端(車体前方側)には、ユニバーサルジョイント101を介して中間シャフト102が連結されている。
【0014】
中間シャフト102には、その左端にユニバーサルジョイント103が連結され、ユニバーサルジョイント103には、ラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ104が連結されている。
【0015】
運転者がステアリングホイール3を回転操作すると、ステアリングシャフト2、ユニバーサルジョイント101、中間シャフト102、ユニバーサルジョイント103を介して、その回転力がステアリングギヤ104に伝達され、ラックアンドピニオン機構を介して、タイロッド105を移動し、車輪の操舵角を変えることができる。
【0016】
図2は本発明の実施例1の電動チルト式ステアリング装置を示す一部断面を含む要部概略構成図である。図3は図2のA−A断面図である。図4は実施例1のチルト動作を示す説明図である。図5は調整ねじをねじ込む前の状態を示す球面継手の拡大断面図である。図6は本発明の実施例1のボールとボールナットの一体成形品の正面図である。図7(a)は図6のボールとボールナットの一体成形品を45度回転した状態を示す正面図、図7(b)は図7(a)の右側面図である。図8は図5のP方向から見たブッシュ単体を示す側面図である。図9は調整ねじをねじ込んだ後の状態を示す球面継手の拡大断面図である。
【0017】
図2の左側(車体前方側)には、T字状の下部車体取付けブラケット51の上部に形成された取付け部511が、車体53に固定されており、取付け部511からピボット部512が下方に延びている。コラム4の左端は、ピボット部512に軸支されたピボットピン513を支点として、下部車体取付けブラケット51に揺動可能に支持されている。
【0018】
図2の右側(車体後方側)には、L字状の上部車体取付けブラケット52の上部に形成された取付け部521が、車体53に固定されており、取付け部521からコラム支持部522が下方に延びている。コラム支持部522には、図3に示すように、上下に長い長孔523が形成されており、円筒形のコラム4の右端が、この長孔523を貫通して図2の右側に延び、チルト位置調整時に、コラム4の右端が長孔523内を上下方向に自由に移動可能である。コラム4には、ステアリングシャフト2が回動自在に軸支され、ステアリングシャフト2には、その右端(車体後方側)にステアリングホイール3が装着されている。
【0019】
コラム4の左側面にはコの字状のブラケット41が一体的に形成され、このブラケット41に電動モータ61が固定されている。また、ブラケット41の上軸支部41Aと下軸支部41Bには、図示しないころがり軸受を介して、ボールスクリュウ71の上下両端が各々軸支されている。
【0020】
電動モータ61の出力軸611には、ウォームギヤ62が一体的に形成され、ボールスクリュウ71に固定されたウォームホイール72がウォームギヤ62に噛み合っている。ウォームホイール72とウォームギヤ62で減速機構が構成され、電動モータ61の回転がボールスクリュウ71に減速して伝達される。
【0021】
ボールスクリュウ71には、ボールスクリュウ71の回転を直線運動に変換するボールナット73が螺合している。ボールスクリュウ71とボールナット73で構成される送り機構は、ボールスクリュウ71の外周の螺旋溝と、ボールナット73の内周の螺旋溝との間に複数のボールを介在して、ボールスクリュウ71の回転をボールナット73の直線運動に変換する送り機構である。
【0022】
ボールを介在しているため、ボールスクリュウ71とボールナット73との間にバックラッシュが無いため、コラム4にガタ感が無く、ステアリングホイール3の操舵感が良好になる。また、送り抵抗が小さくて、送り抵抗の変動も小さいため、円滑なチルト位置調整が可能となる。
【0023】
ボールナット73には図2の右側に、球面状の突起を有するボール74が一体的に形成されている。図2から見て、コラム支持部522の左端面522Aには円筒状のスリーブ75が一体的に形成され、ボール74がスリーブ75に摺動可能に嵌入することで、球面継手を構成している。
【0024】
図5、図8、図9に示すように、ボール74の外周74Bとスリーブ75の内周75Aとの間には、円筒状のブッシュ76が介挿されている。ブッシュ76の内周には、ボール74の球面状の外周74Bと密に接合する凹球面76Aが形成されている。ブッシュ76には、ブッシュ76の軸方向全長にわたってスリット761(図8参照)が形成され、ブッシュ76が径方向に容易に拡大縮小するようにしている。ボール74がブッシュ76の凹球面76Aに沿って円滑に回転するようにするため、ブッシュ76は摩擦係数の小さい合成樹脂や、含油軸受材で形成したり、低摩擦材でコーティングしたりすることが好ましい。
【0025】
図5から図7に示すように、ボール74には、溝幅がWのスリット741が形成されている。スリット741は、ボール74の軸心(図5から図6の左右方向)を通り、軸心に平行に形成されている。スリット741の溝底(図5から図6の左端)には、溝幅Wよりも直径寸法の大きなR面742が形成されている。また、ボール74の軸心には、図5から図6の左右方向に雌ねじ77が形成され、雌ねじ77の右端には、テーパー形状のざぐり穴771が形成されている。
【0026】
雌ねじ77にねじ込まれる調整ねじ78は、ねじ頭部の締付け面781がテーパー形状のさらねじである。ざぐり穴771のテーパー角度Qよりも、調整ねじ78の締付け面781のテーパー角度Rを大きくしている。調整ねじ78を雌ねじ77にねじ込むと、締付け面781がざぐり穴771を径方向外側に押し広げることで、スリット741を図5から図6の上下方向に押し広げる。
【0027】
従って、調整ねじ78のねじ込み深さを適宜調整することにより、上記スリット741の溝幅Wを拡縮して、上記ボール74の外形寸法を拡縮することができる。図5に示すように、調整ねじ78を雌ねじ77にねじ込む前の状態では、ブッシュ76の外周76Bと、スリーブ75の内周75Aとの間には隙間bが形成されている。
【0028】
図9に示すように、調整ねじ78を雌ねじ77にねじ込むと、スリット741の溝幅Wが拡大して、ブッシュ76の外周76Bとスリーブ75の内周75Aとの間の隙間bを無くすことができ、また、ボール74の外周74Bとブッシュ76の凹球面76Aとの間の隙間も無くすことができる。スリット741の溝幅Wが拡大すると、スリット741の溝底に大きな応力が作用する。しかし、溝底にはR面742が形成されているため、スリット741の溝底には応力集中が生じることはなく、ボール74の耐久性が向上する。
【0029】
また、ボール74、ブッシュ76、スリーブ75の各々の嵌合寸法に製造誤差があっても、調整ねじ78のねじ込み深さを適宜調整することで、部品間の寸法誤差を吸収して、部品間の隙間を完全に無くすことができるので、ステアリングホイール3の操舵感が向上し、部品各々の製造も容易となるため、製造コストを低減することが可能となる。
【0030】
また、スリット741の拡縮方向が、図2、図5の上下方向であって、ステアリングホイール3のチルト位置調整時に、ボール74に加わる荷重方向と同一にしているため、チルト位置調整時に荷重が負荷された時の部品間の隙間の変動を考慮して、調整ねじ78による隙間調整を行うことが可能となる。
【0031】
また、ざぐり穴771の深さL1、締付け面781の高さL2を適宜選択することで、調整ねじ78とボール74との間の結合剛性、すなわち、スリット74の剛性を適宜調整することができる。
【0032】
ステアリングホイール3のチルト位置を調整する必要が生じた場合、図示しないスイッチを操作すると、電動モータ61が正逆いずれかの方向に回転駆動される。すると、電動モータ61の回転が、ウォームギヤ62からウォームホイール72に減速して伝達され、ウォームホイール72と一体のボールスクリュウ71が回転することにより、例えば、ボールナット73がボールスクリュウ71に沿って図2の軸方向に下降する。
【0033】
すると、ボールナット73と一体のボール74もコラム4に対して下降し、ボール74がブッシュ76に嵌合しているため、図4に示すように、コラム4が上方にチルト移動する。また、ボール74が上昇した場合には、コラム4は下方にチルト移動する。コラム4がチルト移動すると、ボール74はブッシュ76の凹球面76A内で、自由に回転及び摺動するため、コラム4のチルト移動を阻害したり、ボール74とブッシュ76との間に、不要な応力や摩擦を生じさせることがない。
【実施例2】
【0034】
図10(a)は本発明の実施例2のボールとボールナットの一体成形品を示す正面図、図10(b)は図10(a)の右側面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。実施例2は実施例1の変形例であって、スリットを2個形成した例である。
【0035】
図10に示すように、ボール74には、溝幅がWのスリット741と743が形成されている。スリット741と743は、ボール74の軸心(図10(a)の左右方向)を通り、軸心に平行に形成されている。また、スリット741と743は、互いに直交して形成され、ボール74を4分割している。スリット741と743の溝底(図10(a)の左端)には、溝幅Wよりも直径寸法の大きなR面742、744が形成されている。また、ボール74の軸心には、図10(a)の左右方向に雌ねじ77が形成され、雌ねじ77の右端には、テーパー形状のざぐり穴771が形成されている。
【0036】
図示しないが、実施例1と同一形状の調整ねじ78を雌ねじ77にねじ込むと、スリット741、743の溝幅Wが拡大して、ブッシュの外周76Bとスリーブ75の内周75Aとの間の隙間、及び、ボール74の外周74Bとブッシュ76の凹球面76Aとの間の隙間を無くすことができる。スリット741、743の溝幅Wが拡大すると、スリット741、743の溝底に大きな応力が作用する。しかし、溝底にはR面742、744が形成されているため、スリット741、743の溝底には応力集中が生じることはなく、ボール74の耐久性が向上する。
【0037】
本発明の実施例2では、2個のスリット741、743によってボール74が4分割されているため、調整ねじ78を調整してボール74の外形寸法を拡縮した時に、ボール74の外形寸法が球面に近似した形状を保持して拡縮する。そのため、ブッシュ76の凹球面76Aとボール74の外周74Bとの接触面積が大きくなり、接触面圧が低減するため好ましい。
【0038】
本発明の実施例では、ステアリングホイールのチルト位置を調整する電動チルト式ステアリング装置に適用した例について説明したが、ステアリングホイールのテレスコピック位置を調整する電動テレスコピック式ステアリング装置、及び、ステアリングホイールのチルト位置とテレスコピック位置の両方を調整する電動チルト・テレスコピック式ステアリング装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 電動式ステアリング装置
101 ユニバーサルジョイント
102 中間シャフト
103 ユニバーサルジョイント
104 ステアリングギヤ
105 タイロッド
2 ステアリングシャフト
3 ステアリングホイール
4 コラム
41 ブラケット
41A 上軸支部
41B 下軸支部
51 下部車体取付けブラケット
511 取付け部
512 ピボット部
513 ピボットピン
52 上部車体取付けブラケット
521 取付け部
522 コラム支持部
522A 左端面
523 長孔
53 車体
61 電動モータ
611 出力軸
62 ウォームギヤ
71 ボールスクリュウ
72 ウォームホイール
73 ボールナット
74 ボール
74B 外周
741 スリット
742 R面
743 スリット
744 R面
75 スリーブ
75A 内周
76 ブッシュ
76A 凹球面
76B 外周
761 スリット
77 雌ねじ
771 ざぐり穴
78 調整ねじ
781 締付け面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後方側にステアリングホイールが装着されるステアリングシャフト、
上記ステアリングシャフトを回転可能に軸支するとともに、チルト中心軸を支点とするチルト位置調整、または、ステアリングシャフトの中心軸線に沿ったテレスコピック位置調整が可能なコラム、
電動モータ、
上記電動モータの回転を、上記コラムのチルト運動、または、テレスコピック運動として伝達する動力伝達機構を備えた電動式ステアリング装置において、
上記動力伝達機構は、
上記電動モータによって回転駆動されるスクリュウと、
上記スクリュウに螺合するナットと、
上記ナットに設けられた球面状の突起をなすボールと、
内周に上記ボールが嵌合する凹球面を有する円筒状のブッシュであって、軸方向全長に亘って、このブッシュの径を拡大縮小するためのスリットが形成されたブッシュと、
上記ブッシュが挿入される円筒状のスリーブと、
上記ボールに形成され、溝底にR面が形成されたスリットと、
上記ボールのスリットの溝幅を拡縮して上記ボールの外形寸法を拡縮するための調整ねじとを有しており、
上記ボールの外周と上記ブッシュの内周の凹球面との間隙、及び、上記ブッシュの外周と上記スリーブの内周との間隙が、上記調整ねじのねじ込み深さの調整によって調整することができること
を特徴とする電動式ステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電動式ステアリング装置において、
上記ボールには、ボールの軸心を通り、軸心に平行で互いに直交する2個のスリットが形成されていること
を特徴とする電動式ステアリング装置。
【請求項3】
請求項1から請求項2までのいずれかに記載された電動式ステアリング装置において、
上記R面の直径寸法が上記スリットの溝幅よりも大きく形成されていること
を特徴とする電動式ステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−218695(P2012−218695A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89698(P2011−89698)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】