説明

電動車両用充電ケーブル装置、電動車両及び電動車両用充電システム

【課題】 バッテリからの供給電力により駆動するモータを備える電動車両において、充電中でも車両の盗難を防止して確実に充電すること。また、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合でも、別途、車両本体に施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ること。
【解決手段】 充電ケーブル410は、バッテリ302を備える電動補助自転車300に設けられ、一端部がバッテリ302に電気的に接続された状態で固定されるとともに、他端部が電動補助自転車300の外部に設けられる充電器ユニット230に電気的に接続された状態で固定可能である。この充電ケーブル410は、バッテリ302と充電器ユニット230とを電気的に接続する信号線412及び電源線414を含む充電ケーブル本体と、充電ケーブル本体に沿って設けられ、充電ケーブル本体を補強する補強部材416とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリからの電力により駆動するモータを有する電動車両に用いられる電動車両用充電ケーブル装置、電動車両、及び電動車両用充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、AC電源から専用のバッテリを充電して人間の踏力の負荷を軽減する電動補助自転車や、自走式電動二輪車等の電動車両の貸出システムとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この特許文献1に開示の電動車両の貸出システムは、互いに接続されている貸出制御装置と、充電制御装置と、バッテリ供給装置と、バッテリ内蔵型の電動車両を充電するためのコンセントとを有する。
【0004】
この従来の貸出システムにおいては、ユーザが電動車両を借りる際には、原則、上記バッテリ供給装置から充電済みのバッテリを取り外し、借り受ける電動車両まで持ち運ぶ。一方、ユーザが借りた電動車両を返却する際、原則、電動車両からバッテリを取り外してバッテリ供給装置まで持ち運び、次のユーザのためにバッテリをバッテリ供給装置に設置して充電する。
【0005】
ところで、従来の貸出システムにおいて、充電したバッテリを電動車両に搭載することにより電動車両の貸出を行う場合、ユーザは、電動車両の貸借の際に、原則、バッテリを持ち運ぶ必要があり、作業が面倒であるという問題が生じる。このため、電動車両を、車両本体にバッテリを取り外し不能に備えた構成にすることが望ましい。
【0006】
この点について、特許文献1には、バッテリ内蔵型とした電動車両が記載されている。この電動車両を返却した際には、バッテリを充電するために、バッテリとコンセントとを接続する必要があると考えられるが、特許文献1では、この点についての配慮は一切なされていない。
【0007】
このようにユーザの作業負担を減らすため、利用時においてバッテリを取り外し不能に備えた電動車両を充電するシステムとしては、例えば、特許文献2に記載のものが知られている。
【0008】
特許文献2では、駐輪場などに設置される充電制御装置及び充電端末装置を介して電動補助自転車が備えるバッテリを充電する。詳細には、充電端末装置は、電動補助自転車に接続される充電用コードと、電動補助自転車の盗難を防止する盗難防止錠を有し、盗難防止錠が自転車を施錠することにより充電を開始する。
【特許文献1】特開平10−307952号公報
【特許文献2】特許第3469908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2は、盗難防止錠により駐輪場において駐車状態である電動補助自転車の盗難を防止できるが、バッテリ充電中に、悪戯等の外力によって充電用コードが車両側から引き抜かれる等、充電経路が遮断されることにより充電不能となる場合については想定していない。
【0010】
また、特許文献2に開示の技術では、電動補助自転車自体の盗難防止については、充電端末装置により充電最中の場合についてしか記載されていない。このため、電動補助自転車を充電端末装置が無い場所に駐車させる場合、特許文献1のように、一般的な自転車などに用いられるサークル錠などの施錠装置を車両本体に別途取り付ける必要が生じ、その分、部品点数が多くなってしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、バッテリからの供給電力により駆動するモータを備える電動車両において、充電中でも車両の盗難を防止して確実に充電できる電動車両用充電ケーブル装置、電動車両、及び電動車両用充電システムを提供することを目的とする。
【0012】
また、前記電動車両において、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合でも、別途、車両本体に施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる電動車両用充電ケーブル装置、電動車両、及び電動車両用充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の電動車両用充電ケーブル装置は、バッテリを備える電動車両に設けられ、一端部が前記バッテリに電気的に接続された状態で固定されるとともに、他端部が前記電動車両の外部に設けられる充電器に電気的に接続された状態で固定可能な充電ケーブルを備え、前記充電ケーブルは、前記バッテリと前記充電器とを電気的に接続する充電ケーブル本体と、前記充電ケーブル本体に沿って設けられ、前記充電ケーブル本体を補強する補強部材とを有する構成を採る。
【0014】
この構成によれば、電動車両のバッテリと電動車両の外部に設けられる充電器とを電気的に接続する充電ケーブル本体と、充電ケーブル本体に沿って設けられ、充電ケーブル本体を補強する補強部材とを有する。このため、本装置を電動車両に設けて、他端部を充電器に電気的に接続した状態で固定することにより、バッテリを備える充電車両と充電器とを、補強部材により補強された充電ケーブルを介して強固に接続することができる。
【0015】
つまり、充電ケーブル自体が断線しにくく、充電ケーブルが第三者の悪戯などの外力により引っ張られた場合でも、充電ケーブルは、断線したり、バッテリ及び充電器から外れにくい。よって、充電器に電気的に接続された状態で固定された充電ケーブルを介して行うバッテリの充電中においても、電動車両自体の盗難を防止して確実に充電できる。また、充電ケーブルの他端部を電動車両の車輪などを通した後で、充電器に接続して固定させることができ、第三者による電動車両自体の移動をさせにくくすることができる。
【0016】
また、前記電動車両において、充電ケーブルの他端部を固定可能な構成とすれば、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合、充電ケーブル自体を電動車両の車輪などの回転部分に通した後、他端部を電動車両本体に固定することによって、別途、車両本体に施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる。
【0017】
本発明の電動車両は、上記構成の電動車両用充電ケーブル装置と、前記電動車両用充電ケーブル装置の前記充電ケーブルの一端部に接続されたバッテリとを有する構成を採る。
【0018】
この構成によれば、上記電動車両用充電ケーブル装置を備えるため、充電ケーブルの他端部を充電器に電気的に接続した状態で固定することにより、電動車両自体を、充電器に、補強部材により補強された補強部材を有する充電ケーブルを介して強固に接続することができる。
【0019】
つまり、充電ケーブル自体が断線しにくく、充電ケーブルが第三者の悪戯などの外力により引っ張られた場合でも、充電ケーブルは断線したり、充電器から外れたりにしくい。
【0020】
よって、充電器に電気的に接続された状態で固定された充電ケーブルを介して行うバッテリの充電中においても、電動車両自体の盗難を防止して確実に充電できる。また、充電ケーブルの他端部を電動車両の車輪などを通した後で、充電器に接続して固定させることができ、第三者による電動車両自体の移動をさせにくくすることができる。
【0021】
また、前記電動車両において、電動車両用充電ケーブル装置を、電動車両の車両本体に固定されるとともに、充電ケーブルの一端部側が固定された車載部と、車載部に設けられ、充電ケーブルの他端部を固定自在な車載部側固定部とを有する構成にしてもよい。この構成によれば、例えば、街中で一時駐車する場合など、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合でも、充電ケーブル自体を電動車両の車輪などの回転部分に通した後、電力ケーブルの他端部を車載部側固定部により固定できる。これにより、電動車両自体に別途、施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる。
【0022】
本発明の電動車両用充電システムは、上記構成の電動車両と、前記電動車両の前記充電ケーブルの他端部が接続される充電器を有する充電装置とを備え、前記充電装置は、接続される前記充電ケーブルの他端部を電気的に接続した状態で固定可能な充電器側固定部を備える構成を採る。
【0023】
この構成によれば、充電装置が、充電器に接続される充電ケーブルの他端部を電気的に接続した状態で固定可能な充電器側固定部を備えるため、接続される充電ケーブルを充電器と電気的に接続させた状態で確実に固定できる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリを備えた電動車両に用いて、充電中でも車両の盗難を防止できるとともに確実に充電させることができる。また、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合でも、別途、車両本体に施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電動車両用充電ケーブル装置を備える電動車両の充電システムの全体構成を示す図である。
【0027】
図1に示す電動車両用充電システム(以下、「充電システム」という)100は、充電管理装置200と、充電管理装置200により充電されるバッテリ302を備える電動車両300とを有する。この充電システム100は、ここでは、契約したユーザに電動車両300を貸し出すシステムである。なお、電動車両とは、バッテリと、バッテリからの供給電力により駆動するモータとを備え、モータの回転により走行する車両である。この電動車両は、モータを用いて電動走行する車両であればどのような車両でもよく、例えば、電動二輪車、電動三輪車さらに電動四輪車等であってもよい。また、電動補助自転車に限らず、モータの出力を補助的に利用して走行するものであってもよい。
【0028】
この実施の形態では、充電システム100を構成する電動車両300を、モータの回転駆動によってユーザがペダルにかける負荷を軽減する電動補助自転車としている。以下では、電動補助自転車300として説明する。また、本実施の形態では、前、後、左、右とは、電動補助自転車300のシートに着座した状態で見た場合の前,後、左,右を意味する。
【0029】
まず、電動補助自転車300について説明する。図1に示す電動補助自転車300は、バッテリ302及びバッテリ302からの供給電力により駆動するモータ303とを有し、さらに、充電ケーブル410を有する電動車両用充電ケーブル装置(以下、「充電ケーブル装置」という。)400を備える。
【0030】
バッテリ302は、シートチューブ311とリアフェンダ313との間において、シートチューブ311に沿って配置された収納部306内に収納されている。また、モータ303は収納部306の下部で、且つ、チェーンホイール314の近傍に配置されている。
【0031】
この電動補助自転車300では、シートステイ315がシートチューブ311の上端部から後方に下りながら伸び、その後端部315bでリアエンド317に接続されている。
【0032】
この電動補助自転車300のハンドルポスト316には、後方に下りながら伸びるダウンチューブ301の接合部分の上側部分に、前輪304を施錠可能な充電ケーブル装置400が設けられている。
【0033】
充電ケーブル装置400は、充電管理装置200に接続される充電ケーブル410と、充電ケーブル410を導出するとともに、ハンドルポスト316に固定された車載部420と、充電ケーブル410の充電プラグ430が挿入されるソケット部440(図2参照。)とを有する。
【0034】
図2は、本発明の一実施の形態に係る充電ケーブル装置の一例である充電ケーブル装置400の構成を示す図である。図2では、充電ケーブル装置400の施錠状態を示すとともに、充電ケーブル装置400自体の内部構造を説明するため、車載部420の表面カバーを外している。
【0035】
図1及び図2に示す充電ケーブル410は、充電管理装置200と、電動補助自転車300のバッテリ302とを電気的に接続して、バッテリ302を充電するとともに、充電時以外の時には、ワイヤーロックとして電動補助自転車300を施錠する。詳細には、充電ケーブル410は、充電器ユニット230の充電器231(図5参照。)とバッテリ302とを電気的に接続する。
【0036】
図3は、充電ケーブルの断面図である。
【0037】
図3に示すように、充電ケーブル410は、信号線412と、電源線414と、これら信号線412及び電源線414に沿って配置される補強部材416と、被覆材418とを有する。なお、この実施の形態では、信号線412、電源線414及び被覆材418により充電ケーブル本体を構成している。
【0038】
補強部材416は、充電ケーブル410自体に剛性を持たせ、断線しにくくするためのものであり、充電ケーブル本体を補強している。この実施の形態では、補強部材416として、例えば、金属材料であるスティールワイヤを用い、信号線412及び電源線414とともに、被覆材418によって一体的に被覆されている。
【0039】
この補強部材416としては、充電ケーブル本体(信号線412、電源線414、被覆材418)よりも引っ張り強度が大きいものが選択される。好ましくは、補強部材416を形成する材料そのものの引っ張り強度が、充電ケーブル410の導電部材である信号線412及び電源線414を形成する材料(例えば、銅)の引っ張り強度よりも大きいものが選択される。
【0040】
なお、信号線412及び電源線414は、例えば、銅等により形成してもよく、被覆材418は、例えば、塩化ビニル(Vinyl Chloride)等により形成してもよい。
【0041】
補強部材416は、可撓性を有し、充電ケーブル410自体の剛性を高め、ワイヤーロックしての機能を有する構成であれば、どのように用いられてもよい。この実施の形態では、被覆材418により信号線412及び電源線414とともに被覆される構成としたが、これに限らず、信号線412及び電源線414を被覆する被覆材を補強部材としてもよい。この場合、信号線412及び電源線414が補強部材で被覆されることによって、充電ケーブル410が構成されるため、充電ケーブル410自体の剛性を高めることができるとともに、信号線412及び電源線414が一層断線しにくくなる。
【0042】
このように構成される充電ケーブル410の本体部分の先端部410aには、充電管理装置200のアダプタ235(図1参照。)及びソケット部440に挿入自在な充電プラグ430が設けられている。
【0043】
図4は充電プラグを示す斜視図である。この図に示すように、充電プラグ430には、充電ケーブル410の信号線412(図3参照。)及び電源線414(図3参照。)が、それぞれ先端面で露出する電気接触部432aに電気的に接続している。また、充電プラグ430には、補強部材416が一体的に結合されている。
【0044】
さらに、充電プラグ430の電気接触部432aは、アダプタ235に挿入されるプラグ先端部432の先端面に設けられている。このプラグ先端部432の側面には、アダプタ235(図1参照。)の固定部材234(図5参照。)に係合する切欠部434が形成されている。
【0045】
つまり、切欠部434は、充電プラグ430において、電気接触部432aの近傍に形成され、充電プラグ430とアダプタ235(図1参照。)とが接続された場合、両者の電気的接触部分の近傍に位置することとなり、両者の接続を強固に行える。
【0046】
また、切欠部434は充電プラグ430に形成されている。このため、充電ケーブル410の本体部分を両者の固定のための構造とする必要がなく、充電ケーブル410と充電管理装置200とを固定する構造を容易に形成できる。充電ケーブル410は、バッテリ302に車載部420を介して接続されている。
【0047】
車載部420(図2参照)は、電動補助自転車300のフレームに固定されるものである。車載部420は、矩形平板箱状に形成され、ここでは、前輪304を施錠するため、ハンドルポスト316に固定されている。つまり、後輪308を施錠する構成とする場合、フレームにおいて、後輪308近傍の位置に固定する構成としてもよい。例えば、リアフェンダ313や、シートステイ315等に固定しても良い。
【0048】
この車載部420は、ソケット部440を備えるともに、ソケット部440に挿入される充電プラグ430の施錠及び解錠を行うキーシリンダ460とを有する。
【0049】
このような箱状の車載部420の内側には、一側面から充電ケーブル410の基端部410bが挿入されている(図2参照。)。この基端部410bは、車載部420内において、半田メッキを用いた接続端子422を介して、バッテリ電源ケーブル(以下、「電源ケーブル」という)450に電気的に接続された状態で互いに接合されているとともに、車載部420に固定されている。
【0050】
詳細には、接続端子422自体がビス等の止着部材422aにより車載部420に固定ることによって、充電ケーブル410及び電源ケーブル450が車載部420に固定された状態となっている。なお、電源ケーブル450は、車載部420の下面から外部に導出され、バッテリ302に接続されている。
【0051】
車載部420は、その一側面(ここでは、下面)と隣り合う側面に開口部を有し、この開口部に連通するソケット部440を内部に備える。
【0052】
このソケット部440は、充電プラグ430の先端部432の形状に対応してなる。ここでは、ソケット部440は、先端部432が内嵌する形状に形成されている。このソケット部440には、車載部420の側面に形成された開口部を介して、充電プラグ430のプラグ先端部432が挿抜される。
【0053】
このソケット部440において、挿入されるプラグ先端部432の切欠部434が形成された側面と対向する内面部分には、ソケット部440内に向かって出没自在な固定ピン462が配置されている。
【0054】
この固定ピン462は、キーシリンダ460が備えるものであり、一端部に鍵穴464が設けられたシリンダ本体部466の他端部から出没自在に形成されている。ここでは、シリンダ本体部466は、その他端部をソケット部440に向けて、ソケット部440に隣接させるとともに、一端部を車載部420の上面から外部に臨むように配置されている。
【0055】
この固定ピン462は、キーシリンダ460の鍵穴464に鍵468を挿入して回動することによって、ソケット部440内に挿入されるプラグ先端部432の切欠部434に向かって、挿入方向と直交する方向に突出し、切欠部434に係合する。このように固定ピン462が切欠部434に係合することによって、充電プラグ430はソケット部440に固定される。
【0056】
また、鍵穴464に挿入された鍵468を逆方向に回動することにより、固定ピン462は、ソケット部440内から後退して、切欠部434との係合状態が解除される。つまり、充電プラグ430の固定状態が解除され、充電プラグ430をソケット部440から引き抜くことが可能な状態になる。
【0057】
この実施の形態では、固定ピン462の先端部は、ソケット部440内において、開口部側の縁部が、ソケット部440の奥側の縁部よりもソケット部440内への突出度合いが小さくなるように構成されている。つまり、固定ピン462の先端面は、固定ピン462が出没するソケット部440の内側面に対して、ソケット部440の開口部側から奥側に向かって離間するように傾斜している。これにより、ソケット部440内に、固定ピン462が突出した状態であっても、充電プラグ430の先端部432を挿入する際に、その挿入動作を妨げることなく、挿入させることができる。
【0058】
キーシリンダ460は、鍵穴464に挿入される鍵468の周方向への回動操作によって、固定ピン462を出没させる。ここでは、キーシリンダ460は、固定ピン462をシリンダ軸方向に進退自在に構成されている。このキーシリンダ460においては、鍵穴464に挿入された鍵468は、固定ピン462が突出状態のとき、つまり、鍵468を一方向に回動させて、施錠位置に位置するとき、鍵穴464から引き抜くことができる。また、キーシリンダ460においては、鍵468は、他方向に回動操作して、解錠位置に位置する場合、鍵穴464から引き抜けないものとなっている。
【0059】
図5は、図1に示す電動車両の充電システムの機能を説明するための図である。なお、図1では、充電器ユニットは230−1及び230−2を示しているが、これら充電器ユニット230−1、230−2は同様の機能を有するものである。このため、図5では、これら充電器ユニット230−1、230−2を、充電器ユニット230として図示している。
【0060】
図5に示すように、電動補助自転車300は、充電ケーブル装置400を介して充電器ユニット230に接続されるバッテリ302を管理するバッテリ管理装置330、モータ制御装置340を更に備える。
【0061】
バッテリ管理装置330は、バッテリ302からの信号に基づく情報や電動補助自転車300から受け取る車両識別情報等を、充電器ユニット230の充電器コントローラ装置(以下、「コントローラ装置」という。)237に対して、一定期間ごとに送信する。ここで、バッテリ302からの信号に基づく情報とは、例えば、記憶しているバッテリの識別情報、バッテリの故障情報、充電器制御情報及び充電回数・使用情報、現在の残存電力量情報等である。
【0062】
なお、バッテリ管理装置330は、充電器コントローラ装置237からの送信命令信号に応じてバッテリの識別情報、現在の残存電力量情報及び電動補助自転車300から受け取る車両識別情報を送信する構成としてもよい。
【0063】
また、バッテリ管理装置330は、管理ユニット210のシステム制御装置215から入力されるユーザのユーザIDを記憶する。
【0064】
モータ制御装置340は、バッテリ管理装置330により管理される電力を用いるとともに、バッテリ管理装置330からの信号に基づいて、モータ303を駆動制御する。なお、これらバッテリ管理装置330及びモータ制御装置340は、この実施の形態では、収納部306内に配置されている。
【0065】
次に、図1及び図5に基づいて、充電ケーブル410を介して電動補助自転車300が備えるバッテリ302を充電する充電管理装置200について説明する。なお、充電管理装置200は、充電ケーブル410を介して電動補助自転車300のバッテリ302を充電するものであれば、どのように構成されてもよい。
【0066】
図1に示す充電管理装置200は、管理ユニット210と、電動補助付自転車用の充電器ユニット230−1〜230−2とを図示しない接続アダプタを介して複数直列に一体的に連結することにより形成されている。
【0067】
これら充電器ユニット230−1〜230−2は、充電器231と、充電ケーブル装置400の充電ケーブルの充電プラグ430に嵌合するアダプタ235とを有する。なお、これら管理ユニット210及び充電器ユニット230は図示しないスタンドに固定されることによって、ユーザが取り扱い易い高さに保持されている。
【0068】
図1及び図5に示すように、管理ユニット210は、カード読取装置211、表示装置213、報知装置214、駐輪システム制御装置(以下、「システム制御装置」という)215を有する。
【0069】
カード読取装置211は、図5に示すように、ユーザを識別するためのユーザIDなどが記憶されたICカードからそのユーザIDを読み取り、システム制御装置215へ与える。
【0070】
図1及び図5に示す表示装置213は、タッチパネル機能を有した液晶表示パネルなどにより構成されており、システム制御装置215から入力される表示情報に基づいて、システム利用者(ユーザ)に対して各種の情報を表示して知らせる。
【0071】
また、表示装置213では、ユーザに択一的に選択させる複数の情報を表示した際に、タッチパネルなどの選択部を介して、ユーザにいずれかを選択させ、その情報をシステム制御装置215に出力する。
【0072】
図5に示す報知装置214は、システム制御装置215からの情報をユーザに報知するものである。報知装置214は、例えば、システム制御装置215からの入力信号に基づいて発音する発音装置、あるいは、所定の色を発光する発光装置等により構成される。
【0073】
図5に示すシステム制御装置215は、信号線及びユニット同士を接続する図示しない信号コネクタを介して、連結される充電器ユニット230の充電器231、解除ボタン233、固定部材234に接続される。
【0074】
このシステム制御装置215は、図示しない交流直流電源を有する。この交流直流電源は、図示していないケーブルから受け取る交流電力を直流電力に変換し、管理ユニット210の各装置211、213、214に出力し、これら装置211、213、214を駆動する。
【0075】
また、システム制御装置215は、信号線を介して、制御信号などを隣接するユニットへ与えるとともに、バッテリ302からの情報及び各充電器ユニット230からの情報を受け取る。バッテリ302からの情報(詳細には、バッテリ管理装置330からの情報)としては、バッテリ302の充電状態を示す充電状態信号、バッテリ302の充電が終了し、貸出待機待ちを示すスタンバイ信号などが挙げられる。また、充電器ユニット230からの情報としては、解除ボタン233が押圧された際に充電器ユニット230が出力する解除信号等が挙げられる。
【0076】
また、システム制御装置215は、バッテリ302からの情報及び各充電器ユニット230からの情報に基づいて、予め記憶しているユーザIDと、ICカードから読み取ったユーザIDを照合することにより、ユーザの適正を判断する。
【0077】
さらに、システム制御装置215は、充電状態信号を送ってきた充電器ユニット230を識別し、その充電状態信号がバッテリ302の満充電を示している時には、その充電器ユニット230のコントローラ装置237に対して、充電を終了する命令信号を送信する。そして、システム制御装置215は、ユーザの適正を判断した後、充電状態信号を基に、充電が終了しているバッテリが接続されている充電器ユニットを識別し、その充電器ユニット230をユーザに知らせるための制御を行う。具体的には、システム制御装置215は、充電が終了している充電器ユニット230の充電器ユニット識別情報に対応する充電器ユニット番号を表示情報として表示装置213に与える。
【0078】
また、システム制御装置215は、充電が終了している充電器ユニット230の充電器ユニット識別情報に対応する充電器ユニット番号を、報知装置214に与える。
【0079】
さらに、システム制御装置215は、充電器ユニット230の固定部材234の動作を制御することによって、アダプタ235に挿入される充電プラグ430の施錠・解錠を行う。詳細には、システム制御装置215は、充電状態信号に基づいて充電器ユニット230の固定部材234の動作を制御し、ユーザの適正を行った後、利用可能な充電器ユニット230の解除ボタン233を利用可能にする。そして、ユーザが所定の充電器ユニット230の解除ボタン233を押圧した場合、解除ボタン233が押圧された充電器ユニット以外の充電器ユニット230の解除ボタンを利用不能に制御する。
【0080】
なお、システム制御装置215は、利用可能な電動補助自転車300が接続される充電器ユニット230の解除ボタン233を押圧可とする構成ではなく、固定部材234による充電プラグ430を解錠してもよい。この場合、ユーザが、利用する電動補助自転車300の充電プラグ430をアダプタ235から引き抜くことによって、アダプタ235に接続される充電器231が、充電プラグ430が引き抜かれたことを検知し、システム制御装置215に出力する。
【0081】
このシステム制御装置215は、充電プラグ430の引き抜き情報が入力されると、充電プラグ430が引き抜かれた充電器ユニット230以外の充電器ユニット230の固定部材234を作動させる。そして、システム制御装置215は、それぞれに嵌合している(ここでは、挿入されている)充電プラグ430を施錠するものとする。
【0082】
また、システム制御装置215は、貸出された電動補助自転車300の返却時に、その車両の充電プラグ430がアダプタ235に差し込まれることによって、充電器231に充電開始の指示を送る。
【0083】
また、システム制御装置215は、貸出された電動補助自転車300の返却時に、その車両を利用したユーザのICカードをカード読取装置211が読み取ることによって、利用ユーザが電動補助自転車を返却したことを確認する。
【0084】
さらに、システム制御装置215は、電動補助自転車300に搭載されているバッテリ管理回路(バッテリマネジメントコントローラ、以下、「バッテリ管理装置」という)330から受け取ったバッテリ識別情報と、貸出の際に記憶しておいたバッテリ識別情報とを照合する。これにより、システム制御装置215は、所定の電動補助自転車300が適正に返却されたことを確認する。
【0085】
また、システム制御装置215は、充電器ユニット230を介して入力される、電動補助自転車300の接続情報と、ユーザのICカードよる返却認識情報のうちいずれかが場合、その旨の通知を報知装置214を介して行う。
【0086】
具体的には、システム制御装置215は、充電器231または充電ユニット230の備えるタイマを用い、充電プラグ430がアダプタ235に差し込まれた後、所定時間経過してもICカードによるユーザの返却認識情報が検出されない場合を判断できる。
【0087】
つまり、ユーザが、充電プラグ430をアダプタ235に差し込んだ後、ユーザIDの照会を忘れて帰宅してしまう場合、貸出終了処理が行われず、課金され続けることになるため、ユーザに対し警告を発し、ユーザIDの照会を促すことができる。
【0088】
次に、充電器ユニット230について説明する。
【0089】
図5に示す充電器ユニット230は、充電器231と、充電器231に電気的に接続されているとともに、充電プラグ430が挿入されるアダプタ235を有する。さらに、充電器ユニット230は、アダプタ235に挿入される充電プラグ430を固定自在な固定部材234と、固定部材234による充電プラグ430の固定状態を解除する解除ボタン233とを有する。
【0090】
充電器231は、図示しない交流直流電源を有する。この交流直流電源は、図示していないケーブルから受け取る交流電力を直流電力に変換し、充電器ユニット230の各装置例えば、固定部材234に出力して駆動する。
【0091】
この充電器231は、アダプタ235に充電プラグ430が挿入されることによって、充電ケーブル410を介して、電動補助自転車300に搭載されたバッテリ302に接続され、このバッテリ302に電力を供給する。
【0092】
このため、ユーザは、アダプタ235に充電プラグ430を接続する簡単な作業で電動補助自転車300の充電を行うことができるので、ユーザの作業負担が軽減される。
【0093】
この充電器231は、充電ケーブル410を介して収納部306内のバッテリ302の充電を行う。加えて、充電器231は、充電器231の識別情報、充電の有無又は充電の進行状況などを示す充電状態信号を、一定時間ごとにコントローラ装置237を介してシステム制御装置215へ送信する。また、充電器231は、アダプタ235に充電ケーブル410の充電プラグ430を挿した段階で、コントローラ装置237がCPU間で通信を行い、バッテリ302の状態を検知し、必要に応じて充電を開始する。
【0094】
図6は、アダプタを説明するための斜視図である。図6に示すように、アダプタ235は、充電プラグ430に対応した形状を有する。つまり、アダプタ235は、独特な形状を有し、所定の充電プラグ430以外の充電プラグ430は、挿入不可能となっている。ここでは、アダプタ235は、開口部を充電プラグ430のプラグ先端部432の外郭に対応する台形状としている。
【0095】
これにより、例えば、充電システム100を共同利用の貸出システムとした場合、共同利用システム以外で利用される電動車両のバッテリは充電できない。つまり、このアダプタ235における充電プラグ430の収容部分は、充電ケーブル装置400のソケット部440の収容部分と略同形状となっている。
【0096】
また、アダプタ235内には、充電プラグ430が挿入された際に、充電プラグ430の切欠部434が形成された面と対向する内面235aに、切欠部434に対向する位置に固定部材234が内面235aから離間する方向に出没自在に設けられている。
【0097】
ここでは、固定部材234は、電磁ソレノイドであり、内面235aから突出して、挿入される充電プラグ430の切欠部434(図4参照。)に係合するプランジャ234aを有する。
【0098】
図5に示すコントローラ装置237は、収納部306内のバッテリ管理装置330から受け取るバッテリ識別情報、故障情報、充電器制御情報及び充電回数・利用情報に所定の処理を施し、充電器231及び管理ユニット210に与える。
【0099】
つまり、コントローラ装置237は、電動補助自転車300のバッテリ管理装置330から送信された送信信号を受信し、この送信信号を復調してバッテリの識別情報、残存電力量及び車両識別情報を検出して記憶している。
【0100】
また、コントローラ装置237は、管理ユニット210からの表示信号、充電器制御情報及び時間信号を受け取り、所定の処理を施して出力する。
【0101】
詳細には、コントローラ装置237は、充電器231から受け取る充電状態信号に所定の処理を施して、管理ユニット210に与える。また、コントローラ装置237は、システム制御装置215から充電を終了する命令信号を受け取ると、充電器231のバッテリ302に対する充電を終了させる制御を行う。
【0102】
また、コントローラ装置237は、アダプタ235に充電プラグ430が挿入された情報を充電器231から得ることができ、得た情報を管理ユニット210に出力する。固定部材234を駆動させてアダプタ235に充電プラグ430を固定する。また、解除ボタン233から入力される解除情報に基づいて、固定部材234の動作を制御する。
【0103】
次に、電動車両の充電管理装置200のユーザが電動車両を借り受け及び返却する際の充電管理装置200の動作について説明する。
【0104】
まず、ユーザは、ユーザを識別するためのユーザIDなどが記憶されたICカードをカード読取装置211に近づける。そうすると、カード読取装置211は、ICカードからそのユーザIDを読み取り、システム制御装置215へ与える。システム制御装置215は、受け取ったユーザIDと予め記憶しているユーザIDとを照合して、適正なユーザであるかの確認を行う。
【0105】
適正なユーザであることが確認できた時には、システム制御装置215は、車両が繋がれている充電器(ここでは、充電器231−1)から受け取る充電状態信号を基に、充電が終了しているバッテリ302が接続されている充電器ユニット(ここでは、充電器ユニット230−1)を識別する。
【0106】
また、充電途中であるが、充電量に対応した距離が走行可能なバッテリ302が接続されている充電器ユニットを識別する。このように充電完了状態のバッテリを有する電動補助自転車や、バッテリへの充電が途中であっても所定量走行可能な電動補助自転車を以下では、「利用可能車両」という。
【0107】
そして、システム制御装置215は、利用可能車両が接続された充電器ユニットが備える表示ランプを点灯させるための信号を、その充電器ユニットに対し、信号コードを介して送信する。この信号を受け取った充電器ユニット230−1のコントローラ装置237は、その充電器ユニット230−1が備える表示ランプを光らせる制御を行う。
【0108】
また、システム制御装置215は、利用可能車両が接続されている充電器ユニット230の解除ボタン233の動作を可能にする。
【0109】
次に、ユーザは、上記表示ランプが光っている貸出可能な車両のうち貸出を希望する車両が接続されている充電器ユニット230の解除ボタン233を押して、固定部材234による充電プラグ430の固定状態を解除、つまり、解錠する。このとき、貸し出した車両の識別情報、借りる車両に搭載されたバッテリ識別情報、ユーザの情報及び貸し出された時間などが、管理ユニット210が備える図示していない記憶装置に記憶される。
【0110】
次に、以上の動作を経て、ユーザは、充電器ユニット230のアダプタ235から利用する電動補助付自転車300の充電ケーブル装置400が備える充電プラグ430を抜いて電動補助付自転車300を利用することができる。
【0111】
ここで、上記の動作において適正なユーザであることが確認できなかった場合、又は、ユーザIDのチェック自体を受けていない場合には、システム制御装置215は、利用可能な電動補助自転車300の情報を表示装置213に表示しない。
【0112】
なお、利用可能な電動補助自転車300の情報とは、詳細には、利用可能な電動補助自転車が接続されている充電器ユニットの番号等である。さらには、解除ボタン233を押しても固定部材234による固定状態が解除されない。つまり、ユーザは、アダプタ235から充電プラグ430を抜くことができない。強引に引き抜くと、管理ユニット210は、異常を感知し警報を鳴らす。これにより、貸出電動車両の盗難などの不正な行為を防止することができる。
【0113】
電動補助自転車300を利用する場合、走行中においては、充電ケーブル410は電動補助自転車300の籠に入れたり、充電プラグ430をソケット部440に直接挿入して保持させる。
【0114】
図7は、使用中に一時的に駐輪させる場合の電動補助自転車を示す図である。
【0115】
また、図7に示すように、ユーザが利用中の電動補助自転車300を街中等で一時的に駐輪する場合、充電ケーブル410を車輪に通した後、ソケット部440に挿入し、鍵468を回動させることによって、充電プラグ430をソケット部440に固定する。
【0116】
つまり、車載部420と、補強部材416を備えた充電ケーブル410とでサークル状とした充電ケーブル装置400によって、電動補助自転車300自体を走行不能にする。そして、鍵468を鍵穴464から抜くことによって、電動補助自転車300の盗難防止を図ることができる。
【0117】
次に、ユーザが電動補助自転車300を返却する際には、まず、ユーザは、電動補助付自転車300を充電器ユニット230の前に駐車する。図8は、充電管理装置200近傍に電動補助自転車を駐車した状態を示す図である。そして、アダプタ235に充電プラグ430を繋ぐ(図8参照。)。
【0118】
すると、収納部306内のバッテリ302を管理するバッテリ管理装置330のCPUが、バッテリ302に関する情報、ユーザ情報及び返却された時間情報等を充電器ユニット230のコントローラ装置237に対し、充電ケーブル410及び充電器231を介して送信する。ここでバッテリ302に関する情報とは、例えば、バッテリ識別情報、バッテリの故障情報、充電器制御情報及び充電回数・利用情報等である。
【0119】
コントローラ装置237は、受け取った信号に所定の処理を施して、管理ユニット210のシステム制御装置215へ送信する。
【0120】
システム制御装置215は、収納部306内のバッテリ302から受け取ったバッテリ識別情報及びユーザの情報と、貸出の際に記憶しておいたバッテリ識別情報及び利用ユーザのユーザIDと、を照合する。
【0121】
照合の結果、合致する時には、管理ユニット210は、車両が所定のユーザにより返却されたことを確認する。これにより、電動補助自転車300の返却動作が終了する。なお、充電管理装置200は、得られたICカード番号、貸出車両番号、利用時間等を対応付けて料金を計算し、ICカードを所有するユーザへ請求を行うことができる。
【0122】
システム制御装置215では、記憶された利用したユーザIDと、返却された電動補助自転車300のユーザIDとを照合する。システム制御装置215において、記憶された利用したユーザIDと、返却された電動補助自転車300のユーザIDとが同一であることが確認された場合、管理ユニット210からの指令により固定部材234は、充電プラグ430をアダプタ235に固定する。
【0123】
このように、充電プラグ430及びアダプタ235を介して、充電器231と収納部306内のバッテリ302とは電気的に接続される。
【0124】
なお、車載部420から導出される充電ケーブル410を電動補助自転車300の車輪を通した後で、詳細には、車輪のスポーク間を通した後で、充電プラグ430をアダプタ235に素入して接続してもよい。これにより、充電中における電動補助自転車300自体の盗難を防止することができる。
【0125】
また、充電器231は、充電ケーブル410を介してバッテリ302の充電を開始し、充電中であることを示す充電状態信号を、一定時間ごとにコントローラ装置237を介してシステム制御装置215へ送信する。
【0126】
なお、電動補助自転車300の返却の際に、システム制御装置215が記憶した利用ユーザのIDと、返却された車両のユーザIDとが異なる場合、報知装置214により、その旨をユーザに報知したり、充電器231による給電を停止させたりする。また、ユーザが所定の充電器ユニット230のアダプタ235に充電プラグ430を繋ぐ作業を行わない時には、以降の電動補助自転車300の返却動作を管理ユニット210は受け付けない。
【0127】
この充電管理装置200によれば、電動補助自転車300のバッテリ302を取り外して持ち運ぶことが不要となる。これにより、電動補助自転車300を借り受ける時には充電器ユニット230が備えるアダプタ235から充電プラグ430を取り外すという簡単な作業を行えばよい。また、電動補助自転車300を返却する時には充電プラグ430をアダプタ235に差し込むという簡単な作業を行えばよいので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0128】
また、充電管理装置200を備える駐輪場において、電動補助自転車300を駐車する際に、充電プラグ430をアダプタ235に挿入することによって、固定部材234が充電プラグ430をアダプタ235に電気的に接続させた状態で固定する。つまり、電動補助自転車300は、補強部材416により充電ケーブル自体が補強された充電ケーブル410を介して充電管理装置200に繋がれる。
【0129】
よって、電動補助自転車300を、確実にバッテリ302に充電可能な状態で駐車させることができるとともに、電動補助自転車300自体の盗難防止を図ることができる。
【0130】
さらに充電中においても、充電ケーブル410が、悪戯等の外的負荷によりアダプタ235から抜けることを防止できる。
【0131】
また、充電ケーブル装置400を備える電動補助自転車300によれば、駐輪場とは異なる街中や道中に一時的に駐車する場合でも盗難防止を図ることができる。つまり、図7に示すように、電動補助自転車300において、充電ケーブル410の先端部に設けられた充電プラグ430を車輪のスポーク間に通した後、ソケット部440に挿入する。これにより、充電プラグ430は固定ピン462によりソケット部440に固定され、車輪が回転しないようにロックされる。このとき、鍵468は、鍵穴464から抜ける。
【0132】
つまり、電動補助自転車300においては、充電ケーブル410は、充電ケーブル410としての機能に加えて、車載部420、ソケット部440、キーシリンダ460とともに施錠装置を形成している。したがって、利用中の電動補助自転車300を一時的に駐輪する場合でも、別途、電動補助自転車300を拘束する施錠装置を用いることなく、電動補助自転車300はロックされ、電動補助自転車300自体の盗難が防止される。
【0133】
このように充電システム100では、充電プラグ430を充電器ユニット230のアダプタ235に電気的に接続した状態で固定部材234により固定する。これにより、バッテリ302を備える電動補助自転車300と充電器ユニット230とを、補強部材416により補強された充電ケーブルを介して強固に接続することができる。
【0134】
つまり、充電ケーブル410自体が断線しにくく、充電ケーブル410が第三者の悪戯などの外力により引っ張られた場合でも、充電ケーブル410は、補強部材416を有するため、断線したり、バッテリ302及び充電器ユニット230から外れにくい。よって、充電器ユニット230に接続された充電ケーブル410を介して行うバッテリ302の充電中においても、電動補助自転車300自体の盗難を防止して確実に充電できる。
【0135】
また、電動補助自転車300に、本充電ケーブル装置400とは別系統の独立した車体装着用施錠装置を設けた場合、車両返却時にユーザが誤って車輪を施錠して、そのまま鍵を持ち帰ってしまう恐れが生じる。このように、鍵がユーザにより持ち帰られた場合、その車両は、それ以降、他のユーザが利用できなくなってしまうため、都合が悪い。これに対して本充電ケーブル装置400では、充電ケーブル410を充電器ユニット230に接続できれば、電動補助自転車300が充電ケーブル410を介して充電器ユニット230拘束でき、盗難防止を図ることができる。
【0136】
また、充電プラグ430を前輪304に通した後で、アダプタ235に接続して固定すれば、第三者は電動補助自転車300を移動させにくくなる。
【0137】
さらに、この充電システム100によれば、充電管理装置200では、システム制御装置215が、充電ケーブル410を介して接続されるバッテリ302の充電状態を検出し、検出した充電状態に基づいて、固定部材234の動作を制御する。このため、充電ケーブル410を介して接続される電動補助自転車300のバッテリ302の充電量に応じて、ユーザに貸し出すことができる。
【0138】
本発明の第1の態様に係る電動車両用充電ケーブル装置は、バッテリを備える電動車両に設けられ、一端部が前記バッテリに電気的に接続された状態で固定されるとともに、他端部が前記電動車両の外部に設けられる充電器に電気的に接続された状態で固定可能な充電ケーブルを備え、前記充電ケーブルは、前記バッテリと前記充電器とを電気的に接続する充電ケーブル本体と、前記充電ケーブル本体に沿って一体的に設けられ、前記充電ケーブル本体を補強する補強部材とを有する構成を採る。
【0139】
この構成によれば、電動車両のバッテリと電動車両の外部に設けられる充電器とを電気的に接続する充電ケーブル本体と、充電ケーブル本体に沿って一体的に設けられ、充電ケーブル本体を補強する補強部材とを有するため、電動車両に設けて、他端部を充電器に電気的に接続した状態で固定することにより、バッテリを備える充電車両と充電器とを、補強部材により補強された充電ケーブルを介して強固に接続することができる。
【0140】
つまり、充電ケーブル自体が断線しにくく、充電ケーブルが第三者の悪戯などの外力により引っ張られた場合でも、充電ケーブルは、断線したり、バッテリ及び充電器から外れにくい。よって、充電器に電気的に接続された状態で固定された充電ケーブルを介して行うバッテリの充電中においても、電動車両自体の盗難を防止して確実に充電できる。また、充電ケーブルの他端部を電動車両の車輪などを通した後で、充電器に接続して固定させることができ、第三者による電動車両自体の移動をさせにくくすることができる。
【0141】
また、前記電動車両において、充電ケーブルの他端部を固定可能な構成とすれば、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合、充電ケーブル自体を電動車両の車輪などの回転部分に通した後、他端部を電動車両本体に固定することによって、別途、車両本体に施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる。
【0142】
本発明の第2の態様に係る電動車両用充電ケーブル装置は、上記構成において、前記電動車両の車両本体に固定されるとともに、前記充電ケーブルの一端部側が固定された車載部と、前記車載部に設けられ、前記充電ケーブルの他端部を固定自在な車載部側固定部とを有する構成を採る。
【0143】
この構成によれば、電動車両本体に固定される車載部に、充電ケーブルの他端部を固定自在な車載部側固定部が設けられている。このため、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合、充電ケーブルの他端部を電動車両の車輪に通した後で、車載部側固定部に固定できる。つまり、街中で一時駐車する場合など、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合でも、別途、車両本体に施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる。
【0144】
本発明の第3の態様に係る電動車両用充電ケーブル装置は、上記構成において、前記車載部は、前記充電ケーブルの他端部が挿脱自在な挿脱部を有し、前記車載部側固定部は、前記挿脱部に挿入される前記充電ケーブルの他端部に形成された切欠部に係合し、前記他端部を前記挿脱部に固定する係合片を有する構成を採る。
【0145】
この構成によれば、車載部側固定部は、車載部に設けられた挿脱部に挿入される充電ケーブルの他端部に形成された切欠部に係合し、充電ケーブルの他端部を挿脱部に固定する係合片を有するため、挿脱部に充電ケーブルの他端部を挿入して、係合片により、充電ケーブルの他端部を挿脱部に固定できる。
【0146】
本発明の第4の態様に係る電動車両は、上記構成の電動車両用充電ケーブル装置と、前記電動車両用充電ケーブル装置の前記充電ケーブルの一端部に接続されたバッテリとを有する構成を採る。
【0147】
この構成によれば、上記電動車両用充電ケーブル装置を備えるため、充電ケーブルの他端部を充電器に電気的に接続した状態で固定することにより、電動車両自体を、充電器に、補強部材により補強された補強部材を有する充電ケーブルを介して強固に接続することができる。
【0148】
つまり、充電ケーブル自体が断線しにくく、充電ケーブルが第三者の悪戯などの外力により引っ張られた場合でも、充電ケーブルは断線したり、充電器から外れたりにしくい。よって、充電器に電気的に接続された状態で固定された充電ケーブルを介して行うバッテリの充電中においても、電動車両自体の盗難を防止して確実に充電できる。また、充電ケーブルの他端部を電動車両の車輪などを通した後で、充電器に接続して固定させることができ、第三者による電動車両自体の移動をさせにくくすることができる。
【0149】
また、前記電動車両において、電動車両用充電ケーブル装置を、電動車両の車両本体に固定されるとともに、充電ケーブルの一端部側が固定された車載部と、車載部に設けられ、充電ケーブルの他端部を固定自在な車載部側固定部とを有する構成にしてもよい。
【0150】
この構成によれば、例えば、街中で一時駐車する場合など、バッテリを充電する充電器に接続されていない場合でも、充電ケーブル自体を電動車両の車輪などの回転部分に通した後、電力ケーブルの他端部を車載部側固定部により固定できる。これにより、電動車両自体に別途、施錠装置を設けることなく、車両自体の盗難防止を図ることができる。
【0151】
本発明の第5の態様に係る電動車両用充電システムは、上記構成の電動車両と、前記電動車両の前記充電ケーブルの他端部が接続される充電器を有する充電装置とを備え、前記充電装置は、接続される前記充電ケーブルの他端部を電気的に接続した状態で固定可能な充電器側固定部を備える構成を採る。
【0152】
この構成によれば、充電装置が、充電器に接続される充電ケーブルの他端部を電気的に接続した状態で固定可能な充電器側固定部を備えるため、接続される充電ケーブルを充電器と電気的に接続させた状態で確実に固定できる。
【0153】
本発明の第6の態様に係る電動車両用充電システムは、上記構成において、前記充電装置は、前記充電ケーブルの他端部を接続するアダプタを備え、前記充電器側固定部は、前記アダプタに接続される前記充電ケーブルの他端部を固定する構成を採る。
【0154】
この構成によれば、充電ケーブルの他端部は、アダプタに接続された状態で、充電器側固定部により固定されるため、補強部材により補強された充電ケーブルを介して電動車両と充電装置とは電気的に接続された状態で強固に連結させることができる。
【0155】
本発明の第7の態様に係る電動車両用充電システムは、上記構成において、前記充電装置は、前記充電ケーブルを介して接続される前記バッテリの充電状態を検出し、検出した前記充電状態に基づいて、前記充電器側固定部の前記他端部に対する固定動作を制御する制御部を備える構成を採る。
【0156】
この構成によれば、充電装置では、制御部が、充電ケーブルを介して接続されるバッテリの充電状態を検出し、検出した充電状態に基づいて、充電器側固定部の充電ケーブルの他端部に対する固定動作を制御するため、充電ケーブルを介して接続される電動車両のバッテリの充電量に応じて、ユーザに貸し出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明に係る電動車両用充電ケーブル装置、電動車両及び電動車両用充電システムは、バッテリからの供給電力により駆動するモータを備える電動補助自転車等の電動車両において、バッテリを充電する充電端末装置に接続されていない場合でも、車両自体の盗難防止を図ることができるものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電動車両用充電ケーブル装置を備える電動車両の充電システムの全体構成を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係る電動車両用充電ケーブル装置の構成を示す図
【図3】充電ケーブルの断面図
【図4】充電プラグを示す斜視図
【図5】図1に示す電動車両用充電システムの機能を説明するための図
【図6】アダプタを説明するための斜視図
【図7】使用中に一時的に駐輪させる場合の電動補助自転車を示す図
【図8】充電管理装置近傍に電動補助自転車を駐車した状態を示す図
【符号の説明】
【0159】
100 充電システム(電動車両用充電システム)
200 充電管理装置(充電装置)
210 管理ユニット
215 システム制御装置(制御部)
230 充電器ユニット
231 充電器
233 解除ボタン
234 固定部材(充電器側固定部)
235 アダプタ
237 コントローラ装置
300 電動補助自転車(電動車両)
302 バッテリ
303 モータ
304 前輪
308 後輪
316 ハンドルポスト(車両本体)
330 バッテリ管理装置
400 充電ケーブル装置(電動車両用充電ケーブル装置)
410 充電ケーブル
412 信号線(充電ケーブル本体)
414 電源線(充電ケーブル本体)
416 補強部材
418 被覆材(充電ケーブル本体)
420 車載部
430 充電プラグ
432 プラグ先端部(他端部)
434 切欠部
440 ソケット部(挿脱部)
460 キーシリンダ(車載部側固定部)
462 固定ピン(係合片)
464 鍵穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを備える電動車両に設けられ、一端部が前記バッテリに電気的に接続された状態で固定されるとともに、他端部が前記電動車両の外部に設けられる充電器に電気的に接続された状態で固定可能な充電ケーブルを備え、
前記充電ケーブルは、前記バッテリと前記充電器とを電気的に接続する充電ケーブル本体と、
前記充電ケーブル本体に沿って設けられ、前記充電ケーブル本体を補強する補強部材と、
を有することを特徴とする電動車両用充電ケーブル装置。
【請求項2】
前記電動車両の車両本体に固定されるとともに、前記充電ケーブルの一端部側が固定された車載部と、
前記車載部に設けられ、前記充電ケーブルの他端部を固定自在な車載部側固定部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の電動車両用充電ケーブル装置。
【請求項3】
前記車載部は、前記充電ケーブルの他端部が挿脱自在な挿脱部を有し、
前記車載部側固定部は、前記挿脱部に挿入される前記充電ケーブルの他端部に形成された切欠部に係合し、前記他端部を前記挿脱部に固定する係合片を有することを特徴とする請求項1記載の電動車両用充電ケーブル装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電動車両用充電ケーブル装置と、
前記電動車両用充電ケーブル装置の前記充電ケーブルの一端部に接続されたバッテリと、
を有することを特徴とする電動車両。
【請求項5】
請求項4記載の電動車両と、
前記電動車両の前記充電ケーブルの他端部が接続される充電器を有する充電装置とを備え、
前記充電装置は、接続される前記充電ケーブルの他端部を電気的に接続した状態で固定可能な充電器側固定部を備えることを特徴とする電動車両用充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、前記充電ケーブルの他端部を接続するアダプタを備え、
前記充電器側固定部は、前記アダプタに接続される前記充電ケーブルの他端部を固定することを特徴とする請求項5記載の電動車両用充電システム。
【請求項7】
前記充電装置は、前記充電ケーブルを介して接続される前記バッテリの充電状態を検出し、検出した前記充電状態に基づいて、前記充電器側固定部の前記他端部に対する固定動作を制御する制御部を備えることを特徴とする請求項5記載の電動車両用充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−35911(P2006−35911A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214859(P2004−214859)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】