説明

電動車両用充電装置

【課題】 ICカードを使用せず充電装置の利用者識別を行うことができる充電装置を提供する
【解決手段】 充電装置1にカメラ2を備え、停車した車両2の番号(カーナンバー)を読み取る。読み取った車両番号を画像処理により解析し、予め記憶した登録利用者の車両番号であるか否かを判定する。登録利用者であった場合のみ充電装置1の利用を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の充電装置に係り、特に予め登録された利用者の電動車両にのみ充電を許可する機能を備えた充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードを利用した商品販売装置が普及している。これは、利用者が非接触ICカードをリーダライタが発する電磁波の有効範囲内に近接させることによって、リーダライタにより非接触ICカードに記憶された個人識別情報等を読み取り、商品の販売を許可等するものである。
【0003】
最近は、コンビニエンスストアの精算時や飲料または煙草等の自動販売機等でよく見かけるが、これ以外にも、電気自動車等の電動車両の充電装置でも利用されている(特許文献1参照)。以下、特許文献1記載の発明について概略を説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−262305号公報
【0005】
上記特許文献1記載の発明は、複数の車両を予め登録された複数の利用者が共同利用するシステムを構築したものである。利用者は固有のICカードをキーとして、車両使用開始予定時刻を車両共用システムのリードライト手段で読み取らせる。車両共用システムの充電装置は、読み取った利用者の車両使用開始時刻から車両のバッテリの充電に要する時間を差し引いた充電開始時刻を算出する。
【0006】
そして、算出した充電開始時刻から車両の充電を開始して、電動車両の利用開始時刻までに充電を完了する。この結果、同一地域内に同一車両を利用する者が集中している場合であっても、車両の充電開始時刻の集中を確実に防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記発明によれば、複数の利用者が複数の電動車両を利用する場合であっても、車両の充電が重複して車両の使用時に充電が完了していないといった問題の発生を確実に防止できる等、非常に有効であるが、一方、上記発明の如くICカードを使用した利用者の識別は、例えば、利用者がICカードを紛失するなど何らかの理由によりICカード破損した場合などには、利用者の識別が不可能となり、結果、充電装置の利用が不可能になる問題の発生が懸念される。
【0008】
また、ICカードには一定の寿命があり、その耐用期間の終了後は別途維持費用が発生する。この維持費用は通常、充電装置の製品価格に加算されるため充電装置のコスト上昇につながる等、好ましくない。
【0009】
そこで、本発明は、電動車両の充電装置を利用する者の個人識カードのようにICカードにより行うのではなく、電動車両の車両番号(カーナンバー)をカメラで撮像することにより、画像処理技術を利用して車両番号を解析して利用者を識別し、充電装置の使用を予め登録された利用者に限定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、電動車両に電力を供給する充電装置において、利用者の車両番号を予め登録しておく記憶手段と、車両が充電装置の充電可能位置に停車した場合、車両の車両番号を撮像する車両番号撮像手段と、撮像した車両番号を画像処理により解析する車両番号解析手段と、解析した車両番号が予め登録された利用者の車両番号と一致しているか否かを判定する利用者判定手段と、利用者判定手段により登録利用者と判定した場合のみ、車両への充電を許可する充電許否手段を備えて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、充電装置の利用者識別にICカードを使用することがないので、利用者がICカードを紛失するなど何らかの理由により破損した場合等であっても、電動車両への充電が不可能となる問題の発生を解消することができる。
【0012】
また、ICカードの耐用期間経過時の維持費用が不要になるので、充電装置の製品コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る充電装置を示す正面図である。
【図2】本発明に係る充電装置の利用状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る充電装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る充電装置の利用者識別方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図4を用いて説明する。図1は本発明に係る充電装置1を示す正面図である。図1に示す充電装置1は、例えば、アパートやマンション等の集合住宅に設置され、集合住宅の居住者が利用する。
【0015】
充電装置1の前面には、充電装置1の前方の定位置(充電可能位置)に車両4が駐車した場合(図2参照)、車両番号(カーナンバーであり、以下車番という)を撮像するカメラ2(車両番号撮像手段)が取り付けられている。
【0016】
図3は前記充電装置1の構成を示すブロック図である。充電装置1はカメラ2が撮像した車両の車番を読み取り、画像処理によって解析することにより車番を識別する車番解析手段4と、車番解析手段4で解析した車番と予め記憶手段5に記憶された車番とを比較し、読み取った車番が記憶(利用登録)されているか否かを判別する利用者判定手段6と、利用者判定手段6による判定結果に応じて、電動車両3への充電許否を決定する充電許否手段7を少なくとも備えて構成されている。
【0017】
前記記憶手段5に車番を記憶させる場合は、例えば、居住者が集合住宅に入居契約する際に、集合住宅等の管理者が充電装置1の利用の有無を確認しておき、管理者が記憶手段5に利用者の電動車両の車番を一括して登録・管理しておけばよい。
【0018】
電動車両3のバッテリーに充電する場合は、集合住宅の利用者が駐車場等に設置された充電装置1の前方に図2に示す如く車両を停車させる。充電装置1は車両が定位置に停車したことを検知し(図4のステップS1)、図1に示すカメラ2で車両の車番を撮像する(図4のステップS2)。
【0019】
図3に示す車番解析手段4は、読み取った車番を画像処理により解析し(図4のステップS3)、図3に示す利用者判定手段6に解析した車番情報を送信する。これを受信した利用者判定手段6は記憶手段5に記憶されている登録利用者の車両番号を参照して、受信した車番情報が記憶手段5に予め登録されているか否かを判定する(図4のステップS4)。
【0020】
この結果、読み取った車番が予め登録された利用者の車両番号であった場合は、図4のステップS5に移行し、充電装置1による電動車両3への充電を許可する。
【0021】
一方、ステップS4において、読み取った車番が予め登録された利用者の車両番号でなかった場合は、ステップS6に移行し、充電装置1による電動車両3への充電を禁止する。
【0022】
図4のステップS5で充電装置1の使用が許可された場合は、利用者は充電装置1に備えた図示しない充電コネクタを電動車両3の図示しない充電口に挿し込み、充電開始スイッチ(図示せず)を操作することによって、電動車両の即時充電を開始する。なお、充電装置1による充電動作は、電動車両3のバッテリーがフル充電したことを充電装置1が自動的に検知することにより停止する。
【0023】
一方、図4のステップS6で、充電装置1の使用が禁止された場合は、充電装置1の図示しないディスプレイに充電装置1の使用が禁止された旨のメッセージを表示する等して、利用者に通知すればよい。
【0024】
次に、充電装置1を予約動作させる場合について説明する。利用者が、例えば、電動車両3を翌朝使用したい場合、電動車両3への充電は当然、翌朝までに完了していればよい。このような利用形態に本充電装置1の予約動作は対応できる。
【0025】
図4のステップS5で充電装置1の使用が許可された場合、前述した即時充電が可能であるが、同時に、利用者による充電完了時刻の入力を可能とする。そして、利用者が充電完了時刻を入力した場合、充電装置1は即時充電モードではなく予約充電モードに移行する。
【0026】
予約充電モードでは、従来例に記載した特許文献1の発明と同様、利用者が入力した充電完了時刻から充電開始時刻を逆算により自動的に求め、充電開始時刻の到達と同時に電動車両3への充電を開始する。これにより、電動車両3は充電完了時刻にはフル充電が実現でき、利用者は充電装置1による充電時に電動車両3から離れていても自動的に電動車両3の充電を完了することができる。
【0027】
なお、安全性確保の観点から前記充電完了時刻の入力は、充電装置1の充電コネクタ(図示せず)を電動車両3の充電口(図示せず)に挿し込んだ状態でなければ受け付けないようにしてもよい。
【0028】
以上のような予約充電モードは、電動車両のバッテリ充電が従来のガソリン自動車やディーゼル自動車の給油時間を比べて、急速充電をしたとしても長時間となることに対応したものである。
【0029】
本発明では、ICカードによることなく、利用者の車両番号をカメラで撮像・解析することで、充電装置1の前方に停車した車両が予め登録された利用者の車両であることを確認した場合は、即時充電だけでなく予約充電も可能とし、利用者からの電動車両3のバッテリー充電の完了時刻の予約を受け付けることにより、利用者は充電時間中に車両の傍にいなくても、希望する充電完了時刻の到達とともに電動車両3の充電を完了することができる。
【0030】
以上説明したように、本発明の充電装置によれば、充電装置1に電動車両3の車両番号(カーナンバー)を撮像するカメラ2を設置し、電動車両3が定位置に停車したことを検知して、車両番号(カーナンバー)を自動的に読み取ることにより、電動車両3が予め登録された利用者の車両であることを識別することができ、利用者は即時充電または予約充電を選択して自らの電動車両3に充電することが可能となる。
【0031】
つまり、充電装置1の利用者の識別を従来のICカードを利用して行う必要が一切ないので、利用者はICカードを携帯する必要はなく、ICカードの紛失や破損等によって充電装置1の利用ができなくなるといった問題の発生を確実に解消することができる。
【0032】
また、ICカードの維持管理費が不要となるので、充電装置の製品コストに維持管理費を上乗せする必要はなく、製品コストを抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
電動車両の車両番号をカメラにより読み取ることで、電動車両が予め登録された利用者のものであるか否かを判定することのできる利用者自動識別機能を付属した充電装置に関する。
【符号の説明】
【0034】
1 充電装置
2 カメラ(車番撮像手段)
3 電動車両
4 車番解析手段
5 記憶手段
6 利用者判定手段
7 充電許否手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に電力を供給する充電装置において、利用者の車両番号を予め登録しておく記憶手段と、車両が充電装置の充電可能位置に停車した場合、車両番号を撮像する車両番号撮像手段と、撮像した車両番号を画像処理により解析する車両番号解析手段と、解析した車両番号が予め登録された利用者の車両番号と一致しているか否かを判定する利用者判定手段と、利用者判定手段により登録利用者と判定した場合のみ、車両への充電を許可する充電許否手段を備えて構成したことを特徴とする電動車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−139580(P2011−139580A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297570(P2009−297570)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】