説明

電圧監視回路および該電圧監視回路を内蔵した半導体装置

【課題】半導体装置に集積した場合に、電圧監視回路のスペースを極めて小さくすることができ、コスト上昇を抑えることが可能な電圧監視技術の提供。
【解決手段】個別電源回路11〜14毎に、該個別電源回路11〜14の出力電圧Vo1〜Vo4を監視し、異常を検出した場合に異常信号を出力する個別電圧監視回路21〜24を備える。各個別電圧監視回路21〜24は、前段の個別電圧監視回路の出力信号(OUTi)が異常信号の場合は、自身も異常信号を出力する(OUTi+1)とともに、前段の個別電圧監視回路の出力信号が正常信号の場合は、自身の監視結果を出力する構成を有し、複数の個別電源回路11〜14のいずれかに出力電圧(OUT1〜4)に出力電圧異常が発生した場合に、異常信号を出力Doutとして出力する。個別電圧監視回路21〜24を半導体装置の小さい領域にまとめてレイアウトすると省スペース化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の個別電源回路を備えたシステム電源の電圧監視回路技術に係り、特に電源回路と電圧監視回路を1チップの半導体装置に内蔵した場合にチップ面積を小さくすることができる電圧監視回路技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話にデジタルカメラや音楽再生などの機能が追加されるなど電子機器の多機能が進み、しかも機能毎に要求される電源電圧が異なるため、一つの機器内に出力電圧の異なる複数の電源回路を設けることが要望されるようになった。
【0003】
また、同じ電圧を使用していても、省電力化のため、その機能を使用していない場合は給電を停止すると共に、電源回路の動作も停止するようになってきたため、電源回路の数は益々増加する傾向にある。
【0004】
電源回路には、通常それぞれ電源電圧の異常を監視するための電圧監視回路が備わっている。そのため、電源回路の数が増えると電圧監視回路の数も増え、各電圧監視回路の出力処理も大規模になってくる。
【0005】
しかも、携帯機器においてはこれら複数の電源回路と電圧監視回路を1チップの半導体装置に収め小型化を図る必要がある。
【0006】
その結果、電圧監視回路が半導体装置内に占める面積も多くなり、半導体装置のコストアップの要因にもなっていた。
【0007】
従来の電源の監視技術として、特許文献1(特開平08−5693号公報「電源監視装置」)、特許文献2(特開2007−336776号公報「電源制御装置及び電気機器」)に開示されたものがある。
【0008】
特許文献1では、複数の電源の電圧情報をそれぞれ、PLD(Programmable Logic Device:プログラマブルロジックデバイス)で構成したロジック回路に入力し、複数の電源の内、一つでも電圧異常の電源が発生した場合は、PLDから一つだけ出力されている出力に接続されているLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を消灯させ、オペレータに異常を知らせる技術が開示されている。なお、特許文献1には、PLDの代わりにナンド回路を用いた例も開示されている(図7参照)。特許文献2にも、同様の技術が開示されている。
【0009】
両者の主な違いは、特許文献1では単に表示を行なっているのに対し、特許文献2では、異常検出信号により機器内の各コントローラーユニットの制御を行っている点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
複数の電源回路と、その電圧監視回路を半導体装置に集積する場合は、半導体チップの面積を小さくすることがコストを下げる上で重要である。しかしながら、上述した従来技術では、全ての電圧監視回路の出力をPLDもしくはナンド回路の入力に集めるため、PLDもしくはナンド回路のようなロジック回路が必要になるという問題がある。
【0011】
また、各電圧監視回路の出力をPLDもしくはナンド回路の入力まで配線しなければならない。この配線も本数が増えると半導体チップ上での面積が多くなり無視できなくなるという問題もある。
【0012】
さらに、電圧監視回路を動作させるために、監視対象の電源回路とは別の電源回路を必要とするので、このための配線も必要になる。しかも、この電源回路が故障した場合は電圧監視ができなくなってしまうという問題もある。
【0013】
さらに、上記従来技術では電圧監視回路にコンパレータを用いているが、コンパレータは素子数が多く回路面積を多く必要とする。このため、ますます半導体チップの面積が増加してしまうという問題もある。
【0014】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであって、半導体装置に集積した場合に、電圧監視回路のスペースを極めて小さくすることができ、コスト上昇を抑えることが可能な電圧監視回路、および該電圧監視回路を内蔵した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の如き構成を採用した。
a)本発明に係る電圧監視装置は、複数の個別電源回路を内蔵したシステム電源の電圧を監視する電圧監視回路であって、前記個別電源回路毎に、前記個別電源回路の出力電圧を監視し、出力電圧の異常を検出した場合に異常信号を出力する個別電圧監視回路を備え、該複数の個別電圧監視回路は直列に接続され、各個別電圧監視回路は、前段の個別電圧監視回路の出力を入力する入力端子を有し、該入力端子に入力された前段の個別電圧監視回路の出力信号が異常信号の場合は、自身も異常信号を出力するとともに、前記入力端子に入力された前段の個別電圧監視回路の出力信号が正常信号の場合は、自身の監視結果を出力する構成を有し、
前記システム電源に含まれる前記複数の個別電源回路のいずれかに出力電圧に出力電圧異常が発生した場合に、前記異常信号を出力するようにしたことを特徴としている。
【0016】
b)また、上記において、前記出力電圧異常は、前記個別電源回路の出力電圧が所定の電圧以下、もしくは0V付近まで低下している状態とすること、前記個別電圧監視回路は、監視対象の前記個別電源回路からの出力電圧で動作するようにしたこと、前記異常信号は、ローレベルの信号であることも特徴としている。
【0017】
c)さらに、本発明は、前記個別電圧監視回路は、前記個別電源回路の出力電圧の電圧レベルを検出する場合は、前記出力電圧を分圧して分圧電圧を出力する分圧手段と、参照電圧と、前記分圧電圧と前記参照電圧を比較するコンパレータと、前記入力端子に前記異常信号が入力された場合に異常信号を出力する手段を備えたこと、前記異常信号を出力する手段は、前記入力端子にカソードが接続され、前記分圧電圧点にアノードが接続されたダイオードであること、あるいは、前記入力端子に入力された異常信号によって、前記コンパレータの出力トランジスタをオフする手段であることを特徴としている。
【0018】
d)また、本発明は、前記個別電圧監視回路は、前記個別電源回路の出力電圧が0V付近か否かを検出する場合は、インバータ回路を2段直列に接続した回路を用い、初段のインバータ回路の入力端子を前記個別電圧監視回路の入力端子とし、該インバータ回路の電源に監視対象の前記個別電源回路の出力電圧を供給するようにしたこと、前記個別電圧監視回路の出力にプルダウン抵抗を備えたことも特徴としている。
【0019】
e)さらに、前記個別電圧監視回路の出力端子のハイレベルの下限値が、次段に接続した前記個別電圧監視回路の入力端子のローレベルの上限値より低い組み合わせとなる接続を行なわないようにしたこと、前記個別電圧監視回路の出力端子の電圧を前記プルダウン抵抗で分圧し、該分圧した電圧を次段の前記個別電圧監視回路の入力端子に接続するようにしたことも特徴としている。
【0020】
f)また、前記電圧監視回路の初段に設けた前記個別電圧監視回路には、前記入力端子を設けないか、設けた場合には前記正常信号を入力するようにしたことも特徴としている。
【0021】
g)本発明に係る半導体装置は、前記複数の個別電源回路と電圧監視回路を搭載した半導体装置であり、前記電圧監視回路を構成する複数の個別電圧監視回路を小さい領域にまとめてレイアウトしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の個別電圧監視回路からなる電圧監視回路において、該複数の個別電圧監視回路の何れかが電圧異常を検出した場合は、異常信号を次段の個別電圧監視回路に次々と伝播させた後、電圧監視回路から出力するようにしたので、従来技術で用いていたような、全ての個別電圧監視回路の出力を集めて、オア演算を行なうPLDやナンド回路等のロジック回路が不要となり、このロジック回路と配線によるスペースを大幅に削減することができるようになった。
【0023】
また、個別電圧監視回路の電源を、監視する対象の個別電源回路の出力電圧から供給するようにしたため、電圧監視回路に入力する配線は、各個別電源回路の出力電圧だけでよくなった。その結果、配線に依るスペースを従来技術より大幅に減少することができるようになった。
【0024】
さらに、従来必要であった電圧監視回路を動作させるための電源回路も不用となり、よりチップ面積の減少が図れるようになった。
【0025】
さらに、電圧監視回路を動作させるための電源回路が不用となったことで、この電源回路の故障により電圧監視が行なえなくなるという信頼性低下の問題もなくなった。
【0026】
さらに、異常信号をローレベルとし、個別電圧監視回路の出力にプルダウン抵抗を設けたので、個別電圧監視回路の各電源入力端子の電圧が0Vまで低下する間も確実に異常信号を出力することができるようになった。
【0027】
さらに、個別電圧検出回路は、検出すべき電圧条件によって、コンパレータを使用した本格的なものから、インバータ回路を応用した簡易なものを、必要に応じて組み合わせて用いることができるため、電圧監視回路自体の構成も簡素化することができるようになり、さらにチップ面積の減少が図れるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例を示すシステム電源回路の全体ブロック図である。
【図2】本発明に係る個別電圧監視回路の第1の実施例を示す図である。
【図3】本発明に係る個別電圧監視回路の第2の実施例を示す図である。
【図4】本発明に係る個別電圧監視回路の第3の実施例を示す図である。
【図5】本発明の個別電圧監視回路の接続例を示す回路図である。
【図6】本発明のシステム電源を内蔵した半導体チップのレイアウトの模式図である。
【図7】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(1)<全体構成>
図1は、本発明の実施例を示すシステム電源回路10の全体ブロック図である。同図に示すように、システム電源回路10は、個別電源回路11から14と、電圧監視回路20で構成されている。さらに電圧監視回路20は、個別電圧監視回路21から24で構成されている。
【0030】
個別電源回路11から14は、それぞれ出力電圧Vo1からVo4を出力している。また、電圧監視回路20を構成する個別電圧監視回路21から24は、それぞれ、電源入力端子Vin1〜Vin4、出力端子OUT1〜OUT4、入力端子IN1〜IN4を備えている。
【0031】
電源入力端子Vin1〜Vin4には、それぞれ個別電源回路11〜14の出力電圧Vo1〜Vo4が入力されている。
【0032】
個別電圧監視回路21の出力端子OUT1は、個別電圧監視回路22の入力端子IN2に接続され、個別電圧監視回路22の出力端子OUT2は、個別電圧監視回路23の入力端子IN3に接続され、個別電圧監視回路23の出力端子OUT3は、個別電圧監視回路24の入力端子IN4に接続されている。個別電圧監視回路24の出力端子OUT4は、電圧監視回路20の出力端子Doutになっている。
【0033】
なお、個別電圧監視回路21の入力端子IN1は、図1のようになくても構わない。もし設ける場合は、個別電圧監視回路の正常信号レベルの電圧を入力しておけばよい。
【0034】
(全体動作の説明)
個別電圧検出回路21〜24の動作は、電源入力端子Vin(N)(N:1〜4)に入力された出力電圧Vo(N)が正常の場合は、出力端子OUT(N)を正常信号であるハイレベルにする。逆に、出力電圧Vo(N)が所定の電圧未満の場合には出力電圧異常と判定し、出力端子OUT(N)を異常信号であるローレベルにする。
【0035】
また、入力端子IN(N)(N:1〜4)に入力された信号が正常信号(ハイレベル)の場合は、電源入力端子Vin(N)に入力された出力電圧Vo(N)の監視結果を出力端子OUT(N)に出力する。
【0036】
入力端子IN(N)に入力された信号が異常信号(ローレベル)の場合は、監視結果にかかわらず出力端子OUT(N)を異常信号のローレベルにする。
【0037】
個別電圧監視回路21〜24の入力端子IN(N)と出力端子OUT(N+1)は、前記したようにシリーズ(直列)に接続されているので、個別電源回路11〜14が全て正常な電圧を出力している場合は、個別電圧監視回路21〜24の出力端子OUT1からOUT4は全てハイレベルなり、電圧監視回路20の出力端子Doutもハイレベルとなる。
【0038】
しかし、個別電源回路11〜14の出力電圧Vo(N)が一つでも低下して個別電圧監視回路の出力端子OUT(N)がローレベルになると、その信号が次段の個別電圧監視回路の入力端子IN(N+1)に入力されるので、次段の個別電圧監視回路の出力端子OUT(N+1)もローレベルとなる。
【0039】
このように、ローレベルの信号が次々に個別電圧監視回路を伝播して電圧監視回路20の出力端子Doutをローレベルにする。
【0040】
上述したように、本発明によれば、個別電圧監視回路21〜24の何れかが電圧異常が検出した場合は、異常信号を次段の個別電圧監視回路に次々と伝播させて、電圧監視回路20から出力するようにしたので、従来のように、PLDやナンド回路のロジック回路が不要で、しかも配線によるスペースを大幅に削減することができるようになった。
【0041】
また、個別電圧監視回路21〜24の電源は、監視する対象の電源回路11〜14の出力電圧Vo(N)から供給するため、電圧監視回路20に入力する配線は、各個別電源回路11〜14の出力電圧Vo1〜Vo4だけでよい。この結果、配線に依るスペースを従来技術より大幅に減少することができるようになった。
【0042】
さらに、従来必要であった電圧監視回路を動作させるための電源回路も不用となり、よりチップ面積の減少が図れるようになった。
【0043】
さらに、電圧監視回路を動作させるための電源回路が不用となったことで、この電源回路の故障により、電圧監視ができなくなるという機器の信頼性低下の問題もなくなった。
【0044】
(2)<個別電圧監視回路の第1の実施例>
図2は、本発明の個別電圧監視回路21〜24の第1の実施例を示す図である。
【0045】
(構成)
本実施例に係る個別電圧監視回路21〜24の各々は、同図に示すように、コンパレータ30、参照電圧Vr、ダイオードD1、分圧抵抗R1とR2、およびプルダウン抵抗R3で構成されている。また、電源入力端子Vin、入力端子IN、出力端子OUTを備えている。電源入力端子Vinには個別電源回路からの出力電圧Voが入力されている。
【0046】
コンパレータ30の非反転入力には、電源入力端子Vinに入力されている出力電圧Voを分圧抵抗R1とR2で分圧した電圧Vsが入力されている。さらにダイオードD1を介して入力端子INに接続されている。ダイオードD1のアノードが非反転入力に、カソードが入力端子INに接続されている。
【0047】
コンパレータ30の反転入力には、参照電圧Vrが接続されている。また、コンパレータ30の出力は個別電圧監視回路の出力端子OUTに接続されると共に、接地端子GND間にはプルダウン抵抗R3が接続されている。
【0048】
(動作)
以下、図2に示した個別電圧監視回路の動作を説明する。
入力端子INにハイレベルの信号が接続されている場合は、ダイオードD1はオフとなり、コンパレータ30の動作に関与しない。
【0049】
入力端子INにハイレベルの信号が接続され、電源入力端子Vinに入力されている出力電圧Voが正常の場合は、分圧電圧Vsが参照電圧Vr以上となっており、コンパレータ30の出力はハイレベルになり、個別電圧監視回路は正常信号を出力する。
【0050】
電源入力端子Vinの電圧が低下して、分圧電圧Vsが参照電圧Vr未満になると、コンパレータ30の出力は反転してローレベルとなり、個別電圧監視回路は異常信号を出力する。
【0051】
電源入力端子Vinの電圧が0V近くまで低下し、コンパレータ30が動作できなくなった場合は、プルダウン抵抗R3によりコンパレータ30の出力はローレベルにプルダウンされるので、やはり個別電圧監視回路は異常信号を出力する。
【0052】
さらに、電源入力端子Vinの電圧が0Vまで低下する間も出力端子OUTのレベルはローレベルを維持するので、ハイレベルに戻ったり、ハイインピーダンスになったりするような不安定状態になることもない。
【0053】
なお、入力端子INにローレベルが印加されると、ダイオードD1の順方向電圧となり、分圧電圧Vsは参照電圧Vr以下になるため、コンパレータ30の出力もローレベルとなり、個別電圧監視回路は異常信号を出力する。
【0054】
このように、異常信号のレベルをローレベルとし、出力端子OUTと接地端子GND間にプルダウン抵抗R3を設けたため、確実に異常信号を出力することができるようになった。
【0055】
(3)<個別電圧監視回路の第2の実施例>
図3は、本発明の個別電圧監視回路21〜24の第2の実施例を示す図である。図2の回路では、参照電圧VrがダイオードD1の順方向電圧以下になっている場合は、入力端子INにローレベルの信号が印加されてもコンパレータ30はローレベルを出力することができない。図3に示す個別電圧監視回路の第2の実施例は、このような条件の場合にも対応可能にしたものである。
【0056】
(構成)
本実施例に係る個別電圧監視回路は、図3に示すように、参照電圧Vr、NMOSトランジスタM1とM2、PMOSトランジスタM3〜M6、バイアス電流源I1、分圧抵抗R1とR2、およびプルダウン抵抗R3で構成されている。
【0057】
また、電源入力端子Vin、入力端子IN、出力端子OUTを備えている。電源入力端子Vinには個別電源回路の出力電圧Voが入力されている。
【0058】
NMOSトランジスタM1とM2、およびPMOSトランジスタM3〜M5は、コンパレータ回路を構成している。またNMOSトランジスタM1とM2、およびPMOSトランジスタM3とM4は、コンパレータ回路の初段の差動増幅回路を構成している。バイアス電流源I1は、差動増幅回路にバイアス電流を供給している。
【0059】
NMOSトランジスタM1とM2が差動増幅回路の差動入力トランジスタである。PMOSトランジスタM3とM4はカレントミラー回路を構成しており、NMOSトランジスタM1とM2の定電流負荷となっている。
【0060】
差動増幅回路の出力はNMOSトランジスタM1のドレインから出力され、PMOSトランジスタM5のゲートに接続されている。
【0061】
PMOSトランジスタM5とプルダウン抵抗R3が2段目の増幅回路である。プルダウン抵抗R3はPMOSトランジスタM5の負荷であり、PMOSトランジスタM5のドレインと接地端子GND間に接続されている。
【0062】
PMOSトランジスタM5のドレインとプルダウン抵抗R3の接続ノードがコンパレータ回路の出力であり、個別電圧監視回路の出力端子OUTに接続されている。
【0063】
PMOSトランジスタM6のソースはPMOSトランジスタM5のソースに接続され、PMOSトランジスタM6のドレインはPMOSトランジスタM5のゲートに接続されている。またPMOSトランジスタM6のゲートは入力端子INに接続されている。
【0064】
NMOSトランジスタM1とM2のソースは共通接続され、バイアス電流源I1を介して接地端子GNDに接続されている。NMOSトランジスタM1のゲートはコンパレータ回路の非反転入力になっている。また、NMOSトランジスタM2のゲートはコンパレータ回路の反転入力になっている。
【0065】
NMOSトランジスタのM1のゲートには、電源入力端子Vinの電圧を分圧抵抗R1とR2で分圧した電圧Vsが入力されている。NMOSトランジスタM2のゲートには参照電圧Vrが接続されている。
【0066】
(動作)
次に、図3に示した個別電圧監視回路の動作を説明する。
入力端子INに正常信号であるハイレベルの信号が接続されている場合は、PMOSトランジスタM6はオフしており、コンパレータ回路の動作に関与しなくなる。
【0067】
入力端子INに正常信号であるハイレベルの信号が接続され、電源入力端子Vinの電圧が正常の場合は、分圧電圧Vsが参照電圧Vr以上となっており、コンパレータ回路の出力はハイレベルになり、個別電圧監視回路は正常信号を出力する。
【0068】
電源入力端子Vinの電圧が低下して、分圧電圧Vsが参照電圧Vr未満になると、コンパレータ回路の出力は反転してローレベルとなり、個別電圧監視回路は異常信号を出力する。
【0069】
さらに、電源入力端子Vinの電圧が0V近くまで低下し、コンパレータ回路が動作できなくなった場合は、プルダウン抵抗R3によりコンパレータの出力はローレベルにプルダウンされる。
【0070】
なお、入力端子INに異常信号であるローレベルが印加されると、PMOSトランジスタM6がオンするので、PMOSトランジスタM5のゲート電圧を引き上げる。すると、PMOSトランジスタM5オフし、コンパレータ回路の出力をローレベルにし、個別電圧監視回路は異常信号を出力する。
【0071】
本実施例では、電源入力端子Vinに入力される個別電源回路からの出力電圧Voの正常時の電圧が極めて低く、参照電圧Vrの電圧がダイオードD1の順方向電圧以下になっていても、入力端子INをローレベルにすることで容易に出力端子OUTをローレベルに固定することができる。
【0072】
(4)<個別電圧監視回路の第3の実施例>
図4は、本発明の個別電圧監視回路21〜24の第3の実施例である。
【0073】
(構成)
本実施例に係る個別電圧監視回路は、同図に示すように、PMOSトランジスタM11とM13、NMOSトランジスタM12、プルダウン抵抗R3で構成されている。
【0074】
また、電源入力端子Vin、入力端子IN、出力端子OUTを備えている。
電源入力端子Vinには個別電源回路の出力電圧Voが入力されている。
【0075】
PMOSトランジスタM11のソースは電源入力端子Vinに接続され、PMOSトランジスタM11のドレインはNMOSトランジスタM12のドレインに接続されている。NMOSトランジスタM12のソースは接地端子GNDに接続されている。
【0076】
PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12のゲートは共通接続されて入力端子INに接続されている。
【0077】
PMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12はCMOSインバータ回路を構成している。CMOSインバータ回路の出力であるPMOSトランジスタM11とNMOSトランジスタM12の共通ドレインは、PMOSトランジスタM13のゲートに接続されている。
【0078】
PMOSトランジスタM13のソースは電源入力端子Vinに接続されている。また、PMOSトランジスタM13のドレインと接地端子GND間にはプルダウン抵抗R13が接続されている。
【0079】
PMOSトランジスタM13のドレインとプルダウン抵抗R13の接続ノードが出力端子OUTに接続されている。すなわち、PMOSトランジスタM13とプルダウン抵抗R13もインバータ回路を構成している。
【0080】
(動作)
次に、本実施例の個別電圧監視回路の動作を説明する。
入力端子INに正常信号であるハイレベルが入力されている場合は、CMOSインバータ回路の出力はローレベルとなるので、PMOSトランジスタM13のゲートはローレベルとなる。
【0081】
すると、PMOSトランジスタM13はオンとなるので、PMOSトランジスタM13のドレイン、すなわち出力端子OUTは正常信号であるハイレベルとなる。
【0082】
電源入力端子Vinの電圧が低下し、CMOSインバータ回路の出力電圧がPMOSトランジスタM13の閾値電圧以下になると、PMOSトランジスタM13はオフするので、出力端子OUTはプルダウン抵抗R13により異常信号であるローレベルに固定される。
【0083】
また、入力端子INに異常信号であるローレベルが印加されると、CMOSインバータ回路の出力はハイレベルとなるので、PMOSトランジスタM13はオフとなり、出力端子OUTは異常信号であるローレベルを出力する。
【0084】
このように、インバータ回路を2段シリーズに接続した回路では、電源入力端子Vinに入力される個別電源回路の出力電圧Voの正確な電圧レベルは判定できないが、出力電圧VoがPMOSトランジスタM13閾値電圧以下の0V付近まで低下したことを検知することができる。
【0085】
例えば、個別電源回路11〜14の内、負荷回路がデジタル回路で、電源電圧が出力されているか否かだけを判定すれば良いような場合には、このような簡単な個別電圧監視回路が使用可能である。
【0086】
(5)<個別電圧監視回路の接続例>
図5は、本発明の個別電圧監視回路の接続例を示す回路図である。本実施例では、図1の個別電圧監視回路21と22の接続例を示している。図5の回路図の左側が個別電圧監視回路21で、右側が個別電圧監視回路22である。
【0087】
図5では、両回路とも図4に示した個別電圧監視回路を用いているが、個別電圧監視回路21の方はプルダウン抵抗R13を抵抗R13aとR13bで分割して、出力端子を分割ノードから取り出している。なお、個別電圧監視回路21と22の回路およびその組み合わせは、図3〜図4のどの回路を用いても構わない。
【0088】
この実施例では、個別電源回路11の出力電圧Vo1が個別電源回路12の出力電圧Vo2より高い場合である。個別電源回路11の出力電圧Vo1が正常の場合、個別電圧監視回路21のPMOSトランジスタM13のドレイン電圧は出力電圧Vo1とほぼ等しくなる。
【0089】
この電圧をそのまま、次段の個別電圧検出回路22の入力端子IN2に印加すると、半導体装置内に形成されているPN接合を介して個別電圧検出回路22の電源入力端子Vin2にリーク電流が流れてしまう可能性がある。
【0090】
そのため、個別電圧検出回路21のプルダウン抵抗R13を分割して、分割ノードから次段の個別電圧検出回路22に適した電圧まで降圧したハイレベルの出力信号を出すようにしたので、上記のリーク電流を防止することができる。
【0091】
逆に、個別電源回路11の出力電圧Vo1が個別電源回路12の出力電圧Vo2より低い場合は、上記のように、プルダウン抵抗R13を分割するような対策は不要である。
【0092】
ただし、個別電源回路11の出力電圧Vo1が個別電源回路12の出力電圧Vo2より大幅に低くて、個別電圧監視回路21のハイレベルの出力信号を、個別電圧監視回路22の入力がハイレベルと認識できないような場合は、図5の実施例のように、出力電圧Voの高い方の個別電圧監視回路を前段に配置し、出力電圧Voの低い方の個別電圧監視回路を後段に接続するようにする。
【0093】
なお、図5の実施例では個別電圧監視回路21は電圧監視回路20の初段であり、入力端子IN1に接続すべき個別電圧監視回路はないので、入力端子IN1には正常信号のレベルであるハイレベルを入力する。
【0094】
ただし、図3、および図4で示した個別電圧監視回路を初段に用いた場合は、
入力端子IN1そのものが不要なので、図3ではダイオードD1を省略することができるし、図4の回路ではPMOSトランジスタM6を削除することができる。
【0095】
(6)<半導体チップのレイアウト例>
図6は、本発明に係るシステム電源10(図1参照)を内蔵した半導体チップのレイアウトの模式図である。
【0096】
同図に示すように、半導体チップ内には、個別電源回路11(LD01)〜14(LD04)が配置されている。個別電源回路11〜14はリニアレギュレータであっても、DC−DCコンバータであっても構わない。電圧監視回路(DET)20は半導体チップの一箇所にまとめてレイアウトされている。
【0097】
このように一箇所にまとめることで、個別電圧監視回路21〜24間の配線スペースを最小にすることができる。
【0098】
なお、本実施例では、個別電源回路と個別電圧監視回路がそれぞれ4つの場合を示したが、上記説明で分かるように、個別電源回路と個別電圧監視回路は4つに限ることはなく、2つ以上で有ればいくつあっても構わない。
【0099】
また、各個別電圧監視回路の構成は、図2〜図4に示した個別電圧監視回路をどのように組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0100】
10 システム電源、
11〜14 個別電源回路、
20 電圧監視回路、
21〜24 個別電圧監視回路、
30 コンパレータ、
D1 ダイオード、
Vr 参照電圧、
R1、R2 分圧抵抗、
R3、R13a、R13b、R23 プルダウン抵抗、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開平08−5693号公報
【特許文献2】特開2007−336776号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個別電源回路を内蔵したシステム電源の電圧を監視する電圧監視回路において、
前記個別電源回路毎に、前記個別電源回路の出力電圧を監視し、出力電圧の異常を検出した場合に異常信号を出力する個別電圧監視回路を備え、
該複数の個別電圧監視回路は直列に接続され、各個別電圧監視回路は、前段の個別電圧監視回路の出力を入力する入力端子を有し、該入力端子に入力された前段の個別電圧監視回路の出力信号が異常信号の場合は、自身も異常信号を出力するとともに、前記入力端子に入力された前段の個別電圧監視回路の出力信号が正常信号の場合は、自身の監視結果を出力する構成を有し、
前記システム電源に含まれる前記複数の個別電源回路のいずれかに出力電圧に出力電圧異常が発生した場合に、前記異常信号を出力するようにしたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧監視回路において、
前記出力電圧異常は、前記個別電源回路の出力電圧が所定の電圧以下、もしくは0V付近まで低下している状態とすることを特徴とする電圧監視回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電圧監視回路において、
前記個別電圧監視回路は、監視対象の前記個別電源回路からの出力電圧で動作するようにしたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記異常信号は、ローレベルの信号であることを特徴とする電圧監視回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記個別電圧監視回路は、
前記個別電源回路の出力電圧の電圧レベルを検出する場合は、前記出力電圧を分圧して分圧電圧を出力する分圧手段と、参照電圧と、前記分圧電圧と前記参照電圧を比較するコンパレータと、前記入力端子に前記異常信号が入力された場合に異常信号を出力する手段を備えたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電圧監視回路において、
前記異常信号を出力する手段は、
前記入力端子にカソードが接続され、前記分圧電圧点にアノードが接続されたダイオードであることを特徴とする電圧監視回路。
【請求項7】
請求項5に記載の電圧監視回路において、
前記異常信号を出力する手段は、
前記入力端子に入力された異常信号によって、前記コンパレータの出力トランジスタをオフする手段であることを特徴とする電圧監視回路。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記個別電圧監視回路は、前記個別電源回路の出力電圧が0V付近か否かを検出する場合は、インバータ回路を2段直列に接続した回路を用い、初段のインバータ回路の入力端子を前記個別電圧監視回路の入力端子とし、該インバータ回路の電源に監視対象の前記個別電源回路の出力電圧を供給するようにしたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記個別電圧監視回路の出力にプルダウン抵抗を備えたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記個別電圧監視回路の出力端子のハイレベルの下限値が、次段に接続した前記個別電圧監視回路の入力端子のローレベルの上限値より低い組み合わせとなる接続を行なわないようにしたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記個別電圧監視回路の出力端子の電圧を前記プルダウン抵抗で分圧し、
該分圧した電圧を次段の前記個別電圧監視回路の入力端子に接続するようにしたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電圧監視回路において、
前記電圧監視回路の初段に設けた前記個別電圧監視回路には、前記入力端子を設けないか、設けた場合には前記正常信号を入力するようにしたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の複数の個別電源回路と電圧監視回路を搭載した半導体装置であって、
前記電圧監視回路を構成する複数の個別電圧監視回路を小さい領域にまとめてレイアウトしたことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−218215(P2010−218215A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64271(P2009−64271)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】