説明

電子カメラ、撮像制御プログラム及び撮像制御方法

【課題】画素加算を行うべきか否かを適正に判断しつつ撮影を行うことを可能とする。
【解決手段】ズーム値と明るさとの交点座標が、二次元テーブルの連写領域であるか否かを判断する(ステップS604)。単写領域に属する場合には、手ブレが発生する確率が低いことから、ステップS607及びステップS608の処理を実行する。また、交点座標が、連写領域に属する場合には、手ブレ補正を行うことを示す手ブレ補正フラグをONにする。したがって、手ブレが発生する確率が低い撮影条件下においては、無用なマルチプレーン加算合成撮影が行われることはない。よって、必然性なくマルチプレーン加算合成撮影が行われることがなく、無用な加算処理が実行されて、画像メモリ媒体125に記録された撮影画像に必然性なくノイズが発生する不都合を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して静止画で記録する電子カメラ、撮像制御プログラム及び撮像制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラに採用されている手ブレ補正方式は、光学式手振れ補正と電子式手振れ補正とに大別される。光学式手振れ補正は、アクチュエータを用いて光学系の一部を駆動する方式である。一方、電子式手振れ補正としては、連続する複数の画像を撮影し各画像の対応する画素同士を加算する方式が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−230965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記撮影した連続する複数の画像の画素を加算する方式の場合、撮影条件によっては複数の画像を加算した際にノイズが発生してしまうデメリットが生ずる。したがって、ブレ補正を行う必要がある条件下で撮影を行った場合には、撮影した連続する複数の画像の画素加算による有効なブレ補正手段となる反面、ブレ補正を行う必要がない条件下で撮影を行った場合においても同様の画素加算が行われると、前記デメリットによる無用な画質低下を招いてしまう。
【0005】
しかるに、前述の従来技術では、ブレ補正を行う必要があるか否かを判断することなく処理を実行することから、前記デメリットによる無用な画質低下が不可避的に生じてしまう。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、画素加算を行うべきか否かを適正に判断しつつ撮影を行うことのできる電子カメラ、撮像制御プログラム及び撮像制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、この撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段と、前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、この撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出手段と、前記パラメータ検出手段により検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光学系のズーム状態あるいは被写体像に関連する複数のパラメータの組合せに応じて、設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行することから、必要な場合において加算処理が実行される一方、必然性なく加算処理が実行されることはない。したがって、無用に加算処理が実行されて画像に必然性なくノイズが発生する不都合を回避しつつ、加算処理を適正に行って有効なブレ補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態における二次元テーブルの概要を示す説明図である。
【図3】本実施における処理手順を示すフローチャートである。
【図4】手ブレ補正ON/OFF判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態に係るデジタルカメラ1の回路構成を示すブロック図である。このデジタルカメラ1は、制御回路102を有している。制御回路102には、CPU103とこのCPU103にデータバス104を介して各々接続されたインターフェース105、入力回路107、メモリカード・IF108、入出力ポート112、113が設けられている。入力回路107には、シャッタボタンやズームキーを含む各種操作キー、電源スイッチ等が設けられた操作入力部122が接続され、メモリカード・IF108には脱着自在に設けられた画像メモリ媒体125が接続されている。なお、シャッタボタンは、半押しと全押しとが可能なハーフシャッタ機能を備えている。
【0012】
前記入出力ポート112には、焦点レンズ駆動部132、ズームレンズ駆動部133、絞り駆動部135及びシャッタ駆動部136が接続されているとともに、ストロボ137がストロボ駆動回路138を介して接続され、測光/測距センサ139が検出回路140を介して接続されている。前記入出力ポート113には、当該デジタルカメラ1の上下方向のブレを検出する角速度センサ(Y/Pitch)141と、左右方向のブレを検出する角速度センサ(X/Yaw)143とが各々検出回路142、144を介して接続されている。
【0013】
また、制御回路102には、電池145が電源制御部146を介して接続され、電源制御部146は制御回路102により制御されて各部に電池145からの電力を供給する。さらに、前記データバス104には、プログラムメモリ123及びデータメモリ124が接続されている。プログラムメモリ123は、後述するフローチャートに示す制御回路102が動作するためのプログラムを格納しており、データメモリ124は各種データが予め格納されているとともに画像データ以外の他のデータを格納する。
【0014】
一方、ズームレンズを含む撮影光学系156の後方光軸上には、撮像素子157が配置されているとともに、撮影光学系156中には前記絞り駆動部135により駆動される絞り158、及び前記シャッタ駆動部136により駆動されるシャッタ159が介挿されている。また、前記焦点レンズ駆動部132は、撮影光学系156中の焦点レンズを駆動し、ズームレンズ駆動部133は、前記操作入力部122に設けられているズームキーの操作に応じて制御されズームレンズを駆動するように構成されている。
【0015】
前記撮像素子157は、並列読み出しなどの高速読み出しが可能なものであり、イメージセンサ部160、水平走査部161、垂直走査部162、P/S変換部163を有している。この撮像素子157には、DSP部164が接続されている。DSP部164には、撮像素子157のP/S変換部163から取り込んだ画像信号を処理するためのS/P変換部165、バッファメモリ(A)166、マルチプレーン加算部167、カラー補間部168、階調変換部169、ガンマ補正部170、マトリクス171、解像度変換部172を備えているとともに、前記垂直走査部162の周期を制御するためのコントローラ173、画像特徴抽出処理画像認識処理部174、測光処理/AF検出/自動WBほか処理部175を備えている。
【0016】
前記解像度変換部172、画像特徴抽出処理/画像認識処理部174、測光処理/AF検出/自動WBほか処理部175は、画像データバス176を介してバッファメモリ(B)177、画像CODEC(符号器/復号器)178及び表示駆動回路180に接続され、画像データバス176は前記制御回路102のインターフェース105に接続されている。バッファメモリ(B)177は、画像CODEC178が符号化及び復号化処理する際の画像データを一時的に格納し、表示駆動回路180は、表示部181を駆動する。
【0017】
図2は、前記データメモリ124に予め記憶されている二次元テーブル2の概要を示す説明図である。この二次元テーブル2の横軸には、前記測光/測距センサ139により検出される明るさであり撮影光学系156によって撮像素子157上に結像される被写体像の明るさが設定され、縦軸にはズーム値(zoom)が設定されている。なお、横軸に付記したように、シャッタ速度は明るさが暗いほど長く、明るいほど短く設定される。
【0018】
そして、これら明るさとズーム値とが設定された二次元座標面内に、臨界線3が設定されており、この臨界線3により座標面が連写領域4と単写領域5とに区分されている。連写領域4は、明るさとズーム値の組合せの座標値が当該領域4に属する場合に手ブレ補正フラグをONにすると判定する領域であり、単写領域5は、明るさとズーム値の組合せの座標値が当該領域5に属する場合に手ブレ補正フラグをOFFにすると判定する領域である。
【0019】
つまり、図示のように明るさが「x1」でありかつズーム値が「y1」である点Paと、明るさが「x2」でありかつズーム値が同一の「y1」である点Pbとを想定した場合において、(x1,y1)である点Paは連写領域4に属するが、同一のズーム値(y1)であっても明るさがより明るい(x2,y1)である点Pbは、単写領域5に属する。また、図示のように明るさが「x3」でありかつズーム値が「y3」である点Pcと、明るさが同一の「x3」でありかつズーム値が異なる「y4」である点Pdとを想定した場合、(x3,y3)である点Pcは連写領域4に属するが、同一の明るさ(x3)であってもズーム値がより小さい(x3,y4)である点Pdは、単写領域5に属する。
【0020】
しかして、この二次元テーブル2は、ズーム値が大きくなるに従って及び明るさが暗くなるに従って(手ブレが発生する確率が高くなるに従って)連写領域4に属し、ズーム値が小さくなるに従って及び明るさが明るくなるに従って(手ブレが発生する確率が低くなるに従って)単写領域5に属すると判定される特性を有している。
【0021】
図3は、本実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。操作入力部122が有する電源スイッチが投入されると、CPU103を有する制御回路102は、プログラムメモリ123に格納されているプログラムに基づき、このフローチャートに示すように動作し、処理を実行する。先ず、イニシャライズ処理を実行して、バッファメモリ166、177等をクリアする(ステップS1)。次に、AE処理を実行して、測光/測距センサ139により検出される明るさを取得し(ステップS2)、被写体像のスルー画像を表示部181に表示させる(ステップS3)。
【0022】
また、ズーム処理を実行してズームレンズ駆動部133を制御し、操作入力部122に設けられているズームキーの操作に応じてズームレンズを駆動する(ステップS4)。さらに、その他の処理を実行して、前記ステップS2で取得した明るさに基づき撮影時にストロボ137を動作させるか否かの判断処理、検出回路142、144を介して入力される角速度センサ(Y/Pitch)141と、角速度センサ(X/Yaw)143からのセンサ値の取得処理等を行う(ステップS5)。引き続き、手ブレ補正ON/OFF判定処理を実行する(ステップS6)。
【0023】
図4は、この手ブレ補正ON/OFF判定処理(ステップS6)の詳細を示すフローチャートである。すなわち、前記ステップS5のその他の処理で撮影時にストロボ137をONさせることが決定されているか否かを判断する(ステップS601)。ストロボ137をONさせて撮影を行う際は、明るさが確保されシャッタ速度も速いことから、手ブレが発生する確率が低い。したがって、撮影時にストロボ137をONさせることが決定されている場合(ステップS601:YES)には、手ブレ補正を行うことを示す手ブレ補正フラグをOFFにする(ステップS607)。また、後述するように表示部181に表示されているマルチプレーン加算合成撮影が行われる旨の予告表示を消去する(ステップS608)。
【0024】
しかし、ステップS601での判断の結果、撮影時にストロボ137をOFFさせることが決定されている場合(ステップS601:NO)には、シャッタ速度は遅く手ブレが発生する確率が高い。よって、さらにこのデジタルカメラ1での撮影が三脚を使用して行われているか否かを判断する(ステップS602)。この判断は、前記ステップS5のその他の処理で取得される角速度センサ(Y/Pitch)141と、角速度センサ(X/Yaw)143からのセンサ値が所定値未満であれば三脚使用と判断し、所定値以上であれば三脚不使用であって、ユーザがこのデジタルカメラ1を手で持って撮影を行っていると判断する。そして、三脚使用と判断した場合には、手ブレが発生する確率が低いことから、前述したステップS607及びステップS608の処理を実行する。
【0025】
また、ステップS602での判断の結果が三脚不使用であった場合には、手ブレが発生する確率が高いので、さらに前記ステップS4でのズーム処理によりズームレンズが図2におけるズーム値(zoom)=0(wide端)以外の位置に駆動されたか否かを判断する(ステップS603)。ズーム値(zoom)=0(wide端)であってズームなし(ステップS603:NO)の場合には、手ブレが発生する確率が低いことから、前述したステップS607及びステップS608の処理を実行する。
【0026】
また、ステップS603での判断の結果がズーム値(zoom)≠0(wide端)であってズームあり(ステップS603:YES)の場合には、手ブレが発生する確率が高いことから、さらにズーム値と明るさとの交点座標が、連写領域4であるか否かを判断する(ステップS604)。すなわち、前記ステップS2で取得した明るさと、前記ステップS4で取得したズーム値とを用いつつ図2に示した二次元テーブル2を参照する。そして、この二次元テーブル2において、ズーム値と明るさとの交点座標が連写領域4であるか否かを判断する。
【0027】
この判断の結果、図2に例示したように、交点座標がPb(x2,y1)であったりPd(x3,y4)である場合のように、単写領域5に属する場合(ステップS604;NO)には、手ブレが発生する確率が低いことから、前述したステップS607及びステップS608の処理を実行する。
【0028】
また、交点座標がPa(x1,y1)であったりPc(x3,y3)である場合のように、連写領域4に属する場合(ステップS604;YES)には、手ブレが発生することが確定的であることから、手ブレ補正を行うことを示す手ブレ補正フラグをONにする(ステップS605)。
【0029】
このように、本実施の形態においては、手振れ補正を行うか否かの判断を予め記憶してある二次元テーブル2を用いて行うことから、迅速、簡単かつ的確に判断処理を行うことができる。
【0030】
引き続き、表示部181にマルチプレーン加算合成撮影が行われる旨の予告表示を行う(ステップS606)。したがって、ユーザは表示部181にてマルチプレーン加算合成撮影が行われる旨の予告表示の有無を視認することにより、シャッタボタンを全押しする撮影時に、マルチプレーン加算合成撮影が行われるのか、通常の撮影が行われるのかを常に予め認識しながら撮影を行うことができる。
【0031】
一方、図3のフローチャートにおいて、以上に説明した手ブレ補正ON/OFF判定処理(ステップS6)に続くステップS7では、シャッタボタンの状態を判断し、シャッタボタンが操作されることなくOFF状態にあるならばステップS2からの処理を繰り返す。また、シャッタボタンが半押し操作された場合にはAF処理を実行して、焦点レンズ駆動部132により撮影光学系156中の焦点レンズを駆動し(ステップS8)、これにより表示部181にはピントが合った状態のスルー画像が表示されることとなる。さらに、前記検出した明るさに基づき絞り値やシャッタ速度を決定した後(ステップS9)ステップS2からの処理を繰り返す。
【0032】
したがって、シャッタボタンが操作されていない状態及び半押し操作された状態、つまりシャッタボタンが全押しされる撮影操作がなされるまでは、手ブレ補正ON/OFF判定処理(ステップS6)が繰り返し実行されて、手ブレ補正を行うか否か(マルチプレーン加算合成撮影を行うか否か)を判断する処理が、撮影前に更新されつつ予め決定されている。よって、シャッタボタンが全押しされて撮影操作がなされた後の撮影時に、手ブレ補正を行うか否か(マルチプレーン加算合成撮影を行うか否か)を判断を行った場合と比較して、撮影時の処理を簡単にすることができる。これにより、撮影時の処理を迅速に行うことが可能となり、その結果、次の撮影も迅速に行うことが可能となって、シャッタチャンスを失することなく連続して撮影を行うことができる。
【0033】
また、シャッタボタンが全押しされて撮影操作がなされると、CPU103は、ステップS7からステップS10に処理を進めて、手ブレ補正フラグがONとなっているか否かを判断する。この判断の結果、手振れ補正フラグがONとなっておらずOFFである場合には、通常撮影を実行する(ステップS11)。
【0034】
つまり、前記ステップS9で決定された絞り値となるように絞り駆動部135により絞り158を駆動し、同様に前記ステップS9で決定されたシャッタ速度となるようにシャッタ駆動部136によりシャッタ159を単一回駆動して単写を行う。この単写により得られた画像データを圧縮、符号化した撮影画像を画像メモリ媒体125に記録する。
【0035】
したがって、手ブレが発生する確率が低い撮影条件下においては、無用なマルチプレーン加算合成撮影が行われることはない。よって、必然性なくマルチプレーン加算合成撮影が行われることがなく、無用な加算処理が実行されて画像メモリ媒体125に記録された撮影画像に必然性なくノイズが発生する不都合を回避することができる。
【0036】
また、ステップS10での判断の結果、手振れ補正フラグがOFFとなっている場合には、通常撮影を実行する(ステップS11)。つまり、撮像素子157及びDSP部164を連写撮影かつマルチプレーン加算モードに設定して、前記ステップS9で決定したシャッタ速度を再決定する。より具体的には、前記ステップS9で決定されたシャッタ速度を「T」とし、加算画像数を「n」とすると、シャッタ速度「T/n」を再決定する。例えば、画像加算数nが2枚、4枚、8枚、16枚、・・・の場合には、シャッタ速度Tを1/2、1/4、1/8、1/16、・・・と「T/n」に再設定する。そして、シャッタ速度「T/n」で撮像素子157を駆動して、得られたn枚の画像データを順次マルチプレーン加算合成する。しかる後に、このマルチプレーン加算合成により得られた1枚分の撮影画像データを圧縮、符号化した撮影画像を画像メモリ媒体125に記録する。
【0037】
したがって、手ブレが発生する確率が高い撮影条件下においては、必然的にマルチプレーン加算合成撮影が行われ、手ブレのある撮影画像が記録されてしまう不都合を未然に防止することができる。よって、前述したステップS11の処理が行われることによって、撮影画像に必然性なくノイズが発生する不都合を回避しつつ、ステップS12で加算処理を適正に行って撮影画像に有効なブレ補正を行うことができる。
【0038】
なお、実施の形態においては、単にマルチプレーン加算処理を行うようにしたが、連写された画像の主被写体の特徴量を背景領域の特徴量に基づいて、位置合わせを行いつつマルチプレーン加算処理を行うようにしてもよい。
【0039】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
【0040】
以下に、本出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0041】
<請求項1>
ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、
露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
この撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段と、
前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【0042】
<請求項2>
前記ズーム検出手段は、前記光学系のズーム値を検出し、
前記制御手段は、前記ズーム値が所定の基準値未満である場合には前記第1の撮像処理手段を動作させ、前記基準値以上である場合には前記第1の撮像処理手段を動作させることを特徴とする請求項1記載の電子カメラ。
【0043】
<請求項3>
被写体像を結像する光学系と、
露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
この撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出手段と、
前記パラメータ検出手段により検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【0044】
<請求項4>
前記光学系は、ズーム機能を有し、
前記パラメータ検出手段は、前記光学系のズーム値を検出するズーム検出手段と、前記光学系により結像される被写体像の明るさを検出する明るさ検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記ズーム検出手段により検出されるズーム値と前記明るさ検出手段により検出される被写体像の明るさとの対応関係に基づき、前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれかを動作させることを特徴とする請求項3記載の電子カメラ。
【0045】
<請求項5>
前記ズーム値と明るさとを対応させて記憶した二次元座標であって、座標面に前記第1の撮像処理手段を動作させるべき単写領域と、前記第2の撮像処理手段を動作させるべき連写領域とを区分した二次元テーブルを記憶した記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記二次元テーブルにおける前記ズーム値と明るさとに対応する座標が前記単写領域と連写領域のいずれに属するかに応じて、前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれかを動作させることを特徴とする請求項3記載の電子カメラ。
【0046】
<請求項6>
撮影操作を検出する操作検出手段と、
この操作検出手段により検出される撮影操作に応答して、前記第1又は第2の撮像処理手段により処理された画像データを記録する記録手段を備え、
前記制御手段は、前記操作検出手段により前記撮影操作が検出される以前に前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれを動作させるかを繰り返し判定することを特徴とする請求項1から5にいずれか記載の電子カメラ。
【0047】
<請求項7>
前記制御手段が前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれを動作させるかを判定する毎に、その判定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項6記載の電子カメラ。
【0048】
<請求項8>
ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段とを備えた装置が有するコンピュータを、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
して機能させることを特徴とする撮像制御プログラム。
【0049】
<請求項9>
被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段とを備える装置が有するコンピュータを、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出手段と、
前記パラメータ検出手段により検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
して機能させることを特徴とする撮像制御プログラム。
【0050】
<請求項10>
ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段とを備えた撮像装置における制御方法であって、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理ステップと、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理ステップと、
前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理ステップと前記第2の撮像処理ステップのいずれかを動作させる制御ステップと、
を含むことを特徴とする撮像制御方法。
【0051】
<請求項11>
被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段とを備えた撮像装置における制御方法であって、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理ステップと、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理ステップと、
前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出ステップと、
前記パラメータ検出ステップにより検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理ステップと前記第2の撮像処理ステップのいずれかを動作させる制御ステップと、
を含むことを特徴とする撮像制御方法。
【符号の説明】
【0052】
1 デジタルカメラ
2 二次元テーブル
3 臨界線
4 連写領域
5 単写領域
102 制御回路
103 CPU
122 操作入力部
123 プログラムメモリ
124 データメモリ
125 画像メモリ媒体
133 ズームレンズ駆動部
137 ストロボ
139 測光/測距センサ
156 撮影光学系
157 撮像素子
159 シャッタ
160 イメージセンサ部
164 DSP部
180 表示駆動回路
181 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、
露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
この撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段と、
前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記ズーム検出手段は、前記光学系のズーム値を検出し、
前記制御手段は、前記ズーム値が所定の基準値未満である場合には前記第1の撮像処理手段を動作させ、前記基準値以上である場合には前記第1の撮像処理手段を動作させることを特徴とする請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
被写体像を結像する光学系と、
露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
この撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出手段と、
前記パラメータ検出手段により検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
前記光学系は、ズーム機能を有し、
前記パラメータ検出手段は、前記光学系のズーム値を検出するズーム検出手段と、前記光学系により結像される被写体像の明るさを検出する明るさ検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記ズーム検出手段により検出されるズーム値と前記明るさ検出手段により検出される被写体像の明るさとの対応関係に基づき、前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれかを動作させることを特徴とする請求項3記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記ズーム値と明るさとを対応させて記憶した二次元座標であって、座標面に前記第1の撮像処理手段を動作させるべき単写領域と、前記第2の撮像処理手段を動作させるべき連写領域とを区分した二次元テーブルを記憶した記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記二次元テーブルにおける前記ズーム値と明るさとに対応する座標が前記単写領域と連写領域のいずれに属するかに応じて、前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれかを動作させることを特徴とする請求項3記載の電子カメラ。
【請求項6】
撮影操作を検出する操作検出手段と、
この操作検出手段により検出される撮影操作に応答して、前記第1又は第2の撮像処理手段により処理された画像データを記録する記録手段を備え、
前記制御手段は、前記操作検出手段により前記撮影操作が検出される以前に前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれを動作させるかを繰り返し判定することを特徴とする請求項1から5にいずれか記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記制御手段が前記第1及び第2の撮像処理手段のいずれを動作させるかを判定する毎に、その判定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項6記載の電子カメラ。
【請求項8】
ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段とを備えた装置が有するコンピュータを、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
して機能させることを特徴とする撮像制御プログラム。
【請求項9】
被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段とを備える装置が有するコンピュータを、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理手段と、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理手段と、
前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出手段と、
前記パラメータ検出手段により検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理手段と前記第2の撮像処理手段のいずれかを動作させる制御手段と、
して機能させることを特徴とする撮像制御プログラム。
【請求項10】
ズーム機能を有し被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、前記光学系のズーム状態を検出するズーム検出手段とを備えた撮像装置における制御方法であって、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理ステップと、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理ステップと、
前記ズーム検出手段により検出されたズーム状態に応じて、前記第1の撮像処理ステップと前記第2の撮像処理ステップのいずれかを動作させる制御ステップと、
を含むことを特徴とする撮像制御方法。
【請求項11】
被写体像を結像する光学系と、露出することにより前記被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段とを備えた撮像装置における制御方法であって、
前記撮像手段を設定された露出時間で単一回露出させ、前記取得した画像データを出力する第1の撮像処理ステップと、
前記撮像手段を前記設定された露出時間よりも短い露出時間で連続して複数回露出させ、順次取得された露出毎の画像データを加算する加算処理を実行する第2の撮像処理ステップと、
前記被写体像に関連する複数のパラメータを検出するパラメータ検出ステップと、
前記パラメータ検出ステップにより検出された複数のパラメータの組合せに応じて、前記第1の撮像処理ステップと前記第2の撮像処理ステップのいずれかを動作させる制御ステップと、
を含むことを特徴とする撮像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−98849(P2013−98849A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241309(P2011−241309)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】