説明

電子クーポン取引システム、自動販売機、プログラム

【課題】使用済みである電子クーポンの不正使用を的確に防止する。
【解決手段】電子クーポンが使用された場合に、携帯電話機100の第2の記憶領域16から読み取った電子クーポン情報に含まれるユニーク番号情報を携帯電話機100の第1の記憶領域15に書き込み、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を携帯電話機100に記憶して、これをログとして利用する。自動販売機200では、携帯電話機100の第1の記憶領域15から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域16から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較し、この比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子クーポンを得た無線通信端末から自動販売機に電子クーポン情報を読み取らせて、自動販売機から商品やサービスの提供を受ける場合に、不正な電子クーポンによる取引を防止する電子クーポン取引システム、この電子クーポン取引システムに用いられる自動販売機、この自動販売機を動作させるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のシステムとしては、電子クーポンサービス装置、受領端末及び利用者端末が任意のときに通信可能に構成しておき、当選結果(有効性)をリアルタイムに判定可能にしたものが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このシステムは電子クーポンサービス装置、受領端末及び利用者端末が任意のときに通信可能であることが前提であり、自動販売機のように基本的には孤立した存在であり、電子クーポンの有効性を独立して判定しなければならないシステムには不向きである。
【0003】
他方、自動販売機との無線回線が確立し商品の提供が可能となった後で、電子クーポン情報から金額の引取りを行う前に、無線回線を断として商品を取り出しながら金額の引き落としを逃れるような不正を防止するものが考案されている。このシステムにあっては、自動販売機との無線回線が確立によっては商品選択のみ可能とし、金額の引き落としの後に、商品を提供するようにしている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、例えば一つの商品或いは一回のサービスの提供を内容とする電子クーポンについて、一度使用しておきながら復活させて使用するような不正については防止することができず、この点の改善が望まれている。
【特許文献1】特開2002−288502号公報
【特許文献2】特開2002−324263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような電子クーポン取引における要望に応えるためになされたもので、その目的は、例えば一つの商品或いは一回のサービスの提供を内容とする電子クーポンについて、一度使用しておきながら復活させて使用するような不正について防止することを可能とする電子クーポン取引システムを提供することである。また、この電子クーポン取引システムに用いられる自動販売機、この自動販売機を動作させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子クーポン取引システムは、電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であって、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を記憶するための第1の記憶領域と、電子クーポンに関する情報を記憶するための第2の記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも発行する際に発生されたユニーク番号情報を含む電子クーポン情報を前記第2の記憶領域に書き込む書込手段と、を具備する無線通信端末と、
商品またはサービスを提供する自動販売機であって、前記無線通信端末の第1および第2の記憶領域から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域に書き込むためのリーダライタと、電子クーポンが使用された場合に、前記無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を前記無線通信端末の第1の記憶領域に書き込む端末ログ書込手段と、前記無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行う比較手段と、この比較手段による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段とを具備する自動販売機とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る自動販売機は、商品またはサービスを提供する自動販売機であって、電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であって、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を記憶するための第1の記憶領域と、電子クーポンに関する情報を記憶するための第2の記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも発行する際に発生されたユニーク番号情報を含む電子クーポン情報を前記第2の記憶領域に書き込む書込手段とを具備する無線通信端末の第1および第2の記憶領域から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域に書き込むためのリーダライタと、電子クーポンが使用された場合に、前記無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を前記無線通信端末の第1の記憶領域に書き込む端末ログ書込手段と、前記無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行う比較手段と、この比較手段による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であって、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を記憶するための第1の記憶領域と、電子クーポンに関する情報を記憶するための第2の記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも発行する際に発生されたユニーク番号情報を含む電子クーポン情報を前記第2の記憶領域に書き込む書込手段とを具備する無線通信端末の第1および第2の記憶領域から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域に書き込むためのリーダライタを備え、商品またはサービスを提供する自動販売機において動作するプログラムであって、自動販売機を、電子クーポンが使用された場合に、前記無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を前記無線通信端末の第1の記憶領域に書き込む端末ログ書込手段と、前記無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行う比較手段と、この比較手段による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電子クーポンが使用された場合に、無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を無線通信端末の第1の記憶領域に書き込むので、使用した電子クーポンのユニーク番号情報が無線通信端末に記憶されることになり、これをログとして利用することができる。自動販売機では、無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較し、この比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御するので、一度使用された電子クーポンにより商品やサービスが提供される事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下添付図面を参照して、本発明に係る電子クーポン取引システム、自動販売機、プログラムの実施例を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係る電子クーポン取引システムの実施例の構成図を示す。このシステムは、電子クーポン発行要求サーバ400、電子クーポン発行サーバ300、通常複数台の自動販売機200、通常複数台の無線通信端末である携帯電話機100から構成される。ここでは、電子クーポン発行要求サーバ400と電子クーポン発行サーバ300とを備えるようにしたが、電子クーポン発行サーバ300のみにより構成することもできる。
【0011】
例えば、店舗TRのTR会員になることを条件として、商品CCを1個提供する電子クーポンが得られる契約があり、携帯電話機100のユーザがこの店舗TRのTR会員になったものとする。そこで図2に示すように、ユーザは携帯電話機100を用いて電子クーポン発行サーバ300へアクセスして、携帯電話機100において電子クーポンによる取り引きの処理を可能とするアプリケーションプログラムAP1のダウンロードを受ける(SS11)。このとき、ダウンロードされたアプリケーションプログラムAP1により、携帯電話機100から当該携帯電話機100に固有のIDであるUIDと、電子クーポンを含む電子マネー用のチップ製造番号情報であるチップ識別情報IDmとを電子クーポン発行サーバ300へ自動送信し(SS12)、電子クーポン発行サーバ300から店舗TRのTR会員の会員番号Aを受け取る(SS13)。会員番号Aは携帯電話機100に保持され、必要に応じて表示部11に表示させることができる。
【0012】
次に図3に示されるように、電子クーポンを得るために、店舗TRの電子クーポン発行要求サーバ400へアクセスして店舗TRのTR会員の会員となったことを通知し(SS14)、これに対し返送される会員番号要求を受けて(SS15)、会員番号Aをユーザが入力して送信し(SS16)、確認の通知を受ける(SS17)。
【0013】
次に図4に示されるように、電子クーポン発行要求サーバ400は電子クーポン発行サーバ300に対して、会員番号Aの会員に対し電子クーポンを発行する要求を送信する(SS21)。この電子クーポンを発行要求には、電子クーポンのロットIDと販売店名(ここでは、店舗TR)と会員番号Aとが含まれる。
【0014】
電子クーポン発行サーバ300は、図5に示されるロット管理マスタファイルF1、クーポン会員マスタファイルF2、電子クーポンマスタファイルF3、利用済マスタファイルF4を備える。電子クーポンの発行要求を受けた電子クーポン発行サーバ300は、電子クーポンを発行し、ロット管理マスタファイルF1における店舗TR対応の在庫を「300」から「299」へディクリメントし(図5のP1)、電子クーポンマスタファイルF3に対し発行した電子クーポンに関する各種の情報を登録し、ステータスを「お預け」としておく。クーポン会員マスタファイルF2に対する登録は、図2に示す処理の後に行い、利用済マスタファイルF4には、この電子クーポン発行時点で登録が行われていない。電子クーポンマスタファイルF3には、ステータスの種類と電子クーポンにおける状態遷移の関係が付記されている。
【0015】
電子クーポン発行サーバ300は、図4に示すように、発行した電子クーポンに係る電子クーポン情報を携帯電話機100にダウンロードし(SS22)、これに対して返送されてくるダウンロードの成功通知を受け取り(SS23)、電子クーポンマスタファイルF3の対応するエントリのステータスをダウンロードDLに変更する(SS24)。
【0016】
ここで扱う電子クーポンは、携帯電話機100から電子クーポン発行サーバ300に預けることも、また、店舗TRの別の登録番号(例えば、B)を有するTR会員に譲渡することもできる。携帯電話機100から電子クーポン発行サーバ300へお預け要求を送ることにより、電子クーポンマスタファイルF3のステータスが「お預け」に変更され、携帯電話機100から電子クーポン発行サーバ300へ譲渡を前提とするお預け要求及び譲渡先会員番号(例えば、B)やパスワードを送ることにより、電子クーポンマスタファイルF3のステータスを譲渡が前提である「お預け」に変更され、例えばセキュリティ情報に上記パスワードが設定される。会員番号Bの会員は、図4に示されるように携帯電話機100Bから電子クーポン発行サーバ300へ譲渡要求と会員番号Aの会員が設定した上記パスワードを送って、譲渡によるダウンロードを受けることができる。この場合には、電子クーポンマスタファイルF3のステータスがダウンロードDLに変更され、所有者TR会員番号が「A」から「B」へ変更される(図5のP2)。勿論、譲渡されてダウンロードされた電子クーポンに含まれるチップ識別情報IDmは、携帯電話機100Bのものに変更されている。
【0017】
図6に、上記携帯電話機100の構成図を示す。携帯電話機100は、各部を制御するCPU10を中心に、表示部11、各種キーなどの入力部12、電話機能部13、メモリ14が接続された構成を備えている。電話機能部13には、無線通信部18が接続されており、電話機能部13に備えられたマイクロフォンから入力された音声は音声信号とされて無線通信部18から送信される。また、無線通信部18から到来する通話に係る信号はダウンコンバートされて音声信号とされ、電話機能部13に送られてスピーカから音声として出力される。
【0018】
CPU10はメモリ14に備えられているアプリケーションプログラムにより、電子メール機能、インターネット通信機能など各種の機能を実現する。また、先に図2において説明したダウンロードに係るアプリケーションプログラムAP1もメモリ14に格納され、これを実行することにより電子クーポン取引に必要な処理がなされる。
【0019】
更に、メモリ14には、第1の記憶領域15、第2の記憶領域16が備えられている。第1の記憶領域15は、電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であり、使用した電子クーポンのユニーク番号情報をログとして記憶するために用いる。第1の記憶領域15は、電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であるため、セキュリティが確保されている。第2の記憶領域16は、既に説明した図4のSS22においてダウンロードされた電子クーポン情報が記憶される領域である。ダウンロードされた電子クーポン情報を第2の記憶領域16に書き込むために、CPU10には書込手段17が備えられている。
【0020】
クーポン情報は、図7に示されるように構成されている。図示の上段から下段へ向かって説明する。最上位段には、当該電子クーポンによって提供される商品の「ロットID」が配置され、次に「シリアル」が配置され、次に電子マネー用のチップ製造番号情報であるチップ識別情報「IDm」が配置され、次にネガ情報の保持量を最小限とするための情報である「寿命」が配置され、当該電子クーポンの発行所などを識別するための情報である「発行所ID」が配置され、次にチェックサムの方式を示す情報である「チェックサムコード方式」が配置され、次に暗号化前の全データ(破線で囲まれていない平文領域のデータを含む)について作成したハッシュ値である「チェックサム」が配置され、商品や期限に関する情報などから構成される「アプリ情報(のうち暗号化すべきもの)」が配置されている。以上に説明した図7の暗号化領域EA内に配置された情報は、電子クーポン発行サーバ300において秘密鍵により暗号化される。この秘密鍵に対応する公開鍵は電子クーポン発行サーバ300から自動販売機200に配信され、自動販売機200はこの公開鍵を保持する。
【0021】
暗号化領域EAの次の段には、暗号鍵に関するアルゴリズムコードと鍵シリアルコードにより構成される「鍵コード」が配置され、次にネガ情報の保持量を最小限とするための情報である「寿命」が配置され、商品や期限に関する情報などから構成されるアプリケーション情報である「アプリ情報(のうち平文とすべきもの)」が配置されている。この非暗号化領域の情報は、携帯電話機(無線通信端末)100が使用する情報である。また、図7のクーポン情報は、クーポンの使用や譲渡などによって携帯電話機(無線通信端末)100により消去される。
【0022】
図8には、自動販売機200の構成図が示されている。自動販売機200は、各部の制御を行うCPU20を中心として、これに商品を取出口へ排出する商品提供部21、商品の選択ボタンなどから構成される入力部22、リーダライタ23、有線通信部24、メモリ25が接続されている。
【0023】
リーダライタ23は、携帯電話機100の第1および第2の記憶領域15、16から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域15に書き込むものである。有線通信部24は、有線回線を介して電子クーポン発行サーバ300との間で情報の送受信を行うためのものである。自動販売機200は基本的に孤立した装置であり、上記有線通信部24を用いた情報の送受信は例えば一日に一回行われ、ログ情報を電子クーポン発行サーバ300へ送信し、電子クーポン発行サーバ300からネガ情報を受け取る。
【0024】
メモリ25には、この自動販売機200において一度使用された電子クーポンのユニーク番号情報(本実施例では、ロットIDとシリアルからなる情報)をログとして記憶するログ記憶手段26と、電子クーポン発行サーバ300から送られる不正使用された電子クーポンのユニーク番号情報(本実施例では、ロットIDとシリアルからなる情報)を記憶するネガ記憶手段27が設けられている。
【0025】
CPU20には、ログ書込手段31、比較手段32、端末ログ書込手段33、制御手段34が備えられている。ログ書込手段31は、電子クーポンが使用された場合に、携帯電話機100のメモリ25の第2の記憶領域16からリーダライタ23により読み取った電子クーポンに含まれるユニーク番号情報をログ記憶手段26に書き込むものである。
【0026】
比較手段32は、携帯電話機100の第2の記憶領域16から読み取った電子クーポンに含まれるユニーク番号情報と、ログ記憶手段26のユニーク番号情報とを比較するものである。また、比較手段32は、携帯電話機100の第2の記憶領域16から読み取ったユニーク番号情報がネガ記憶手段27に記憶されているユニーク番号情報と一致するか否か比較を行うものである。更に、比較手段32は、携帯電話機100の第1の記憶領域15から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域16から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行うものである。
【0027】
端末ログ書込手段33は、電子クーポンが使用された場合に、携帯電話機100の第2の記憶領域16から読み取ったユニーク番号情報を、携帯電話機100の第1の記憶領域15に、使用した電子クーポンのユニーク番号情報のログとして書き込むものである。
【0028】
制御手段34は、比較手段32による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御するもので、商品提供部21を制御する。CPU20は、更に、図7の電子クーポン情報に含まれるチェックサムを用いてチェックサムによる検出処理を行う。チェックサムによる検出処理により不正等が検出された場合には、制御手段34は商品の提供拒否を制御するもので、商品提供部21を制御する。
【0029】
以上の通りに構成された自動販売機200のCPU20は、図9に示されるフローチャートに対応するプログラムを実行することにより図8の各手段として機能するので、このフローチャートに基づき動作を説明する。このフローチャートにおけるステップS15、S16のペア、ステップS17、S18のペア、ステップS19、S20のペア、ステップS21、S22のペアについては、これらのペア同士をどのような順序に配置しても良く、この図9は一例を示したものである。
【0030】
電子クーポン情報が書込手段17により第2の記憶領域16に書き込まれた状態において、携帯電話機100を自動販売機200のリーダライタ23の位置にかざすと、CPU20は、図9のフローチャートにおいてリーダライタ23のデータ読み取りを監視しており(S11)、YESへ分岐してリーダライタ23が読み取ったデータを電子クーポン発行サーバ300において用いられた秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号化し(S12)、取扱対象に係る電子クーポンであるかをアプリ情報やロットID、更にシリアルなどを用いて検出(S13)する。リーダライタ23は、上記において第1の記憶領域15から使用した電子クーポンのユニーク番号情報であるログ情報を読み取っている。
【0031】
上記ステップS13による検出の結果、取扱対象電子クーポンであるかを判定し(S14)、取扱対象電子クーポンである場合には、電子クーポン情報の全データ(破線で囲まれていない平文領域のデータを含む)についてハッシュ値を作成して、電子クーポン情報のチェックサムと比較を行うことからなるチェックサム処理を行い(S15)、一致したか(OKであるか)判定する(S16)。ステップS16において、OKとなるとステップS17へ進む。
【0032】
ステップS17においては、電子クーポン情報に含まれているロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報と、ネガ記憶手段27のロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報(不正使用されたもの)と比較を行い(S17)、不一致であるか(OKであるか)判定する(S18)。ステップS18において、OKとなるとステップS19へ進む。
【0033】
ステップS19においては、ログ記憶手段26に記憶されているロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報(一度当該自動販売機200において使用されたもの)と、電子クーポン情報に含まれているロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報と比較を行い(S19)、不一致であるか(OKであるか)判定する(S20)。ステップS20において、OKとなるとステップS21へ進む。
【0034】
ステップS19、S20は、次の意義を有する。つまり、一度当該自動販売機200において使用された電子クーポンに含まれていたロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報は、ステップS23においてログ記憶手段26に書き込まれる。従って、ステップS19、S20において、ログ記憶手段26に記憶されているロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報と、電子クーポン情報に含まれているロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報とを比較することにより、既に自動販売機200において使用された電子クーポンは使用することができない。従って、この処理により、一度使用した電子クーポンを当該携帯電話機100において或いは他の携帯電話機100Bにおいて不正に複製したような場合に、この自動販売機200において使用されることを防ぐことができる。
【0035】
ステップ21においては、携帯電話機100の第1の領域15から読み出されている使用済みに係る電子クーポンのユニーク番号情報のログ情報が、第2の記憶領域16から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否かのチェックを行い(S21)、一致するものがないか(OKであるか)判定する(S22)。ステップS22において、OKとなるとステップS23へ進む。
【0036】
ステップS23において、CPU20は商品提供部21を制御して商品などを排出するなどの処理である商品等提供と、当該電子クーポンに含まれていたロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報をログ記憶手段26に書き込み(S23)、更に、当該電子クーポンが使用されたことに鑑み、携帯電話機100の第2の記憶領域16から読み取ったユニーク番号情報を、携帯電話機100の第1の記憶領域15に、使用した電子クーポンのユニーク番号情報のログとして書き込み(S25)、処理を終了する。
【0037】
上記のステップS25の処理が行われることによって、当該電子クーポンが使用済みであるにも拘わらず、再生などにより再度使用された場合には、ステップS21、S22における処理において携帯電話機100の第1の記憶領域15から読み取った使用済みに係る電子クーポンのユニーク番号情報のログ情報の中に当該電子クーポンのユニーク番号情報が検出される。そこで、ステップS24へ進んで、CPU20は商品提供部21を制御して商品などを排出停止するなどの処理である商品不提供を行う(S24)ので、不正の場合には商品(サービス)が提供されることなく、適正な電子クーポン取引が実現される。また、ステップS14、S16、S18、S20においてNOへ分岐した場合にも、ステップS24へ進んで、商品不提供が行われるので、不正の場合には商品(サービス)が提供されることなく、適正な電子クーポン取引が実現される。
【0038】
ここで、携帯電話機100の第1の記憶領域15にユニーク番号情報を記録する手法について説明する。第1の記憶領域15は、電子マネー用に割り当てられた暗号化領域の一部であって、その容量が16バイト(128ビット)であり、ユニーク番号情報の大きさが8バイトである場合を想定する。第1の記録手法は、図10に示すように、第1の記憶領域15を各8バイトの記憶エリアER1、ER2に分けて、書込みの際には、まず、記憶エリアER1のユニーク番号情報を記憶エリアER2に転記し、次に今回書き込むべきユニーク番号情報を記憶エリアER1に書き込む。この手法により、第1の記憶領域15には、直近に使用した電子クーポンに係るユニーク番号情報のログが最大2件記憶されることになる。
【0039】
第2の記録手法を図11に示す。この手法では、第1の記憶領域15を所定数(ここでは8)の記憶エリアER1〜ER8に分けて、携帯電話機毎に各電子クーポンに連番を付して、これをユニーク番号情報とする。従って、電子クーポン発行サーバ300から携帯電話機100へ与える各電子クーポン情報には、夫々の電子クーポンに与えられた発行連番情報であるユニーク番号情報が含まれる。つまり、発行連番情報をユニーク番号情報として扱う。電子クーポン発行サーバ300は、発行した発行連番情報を重複発行しないように「払い出し」を行う。
【0040】
図11に示される記憶エリアER1〜ER8に記憶可能な容量は2バイトであるから、最大発行番号は216=65536である。また、ユニーク番号情報を記憶する場合には、例えば、ER1→ER2→・・・→ER8と記憶内容のシフトを行った後に、今回書き込むべきユニーク番号情報を記憶エリアER1に書き込む。この手法により、第1の記憶領域15には、直近に使用した電子クーポンに係るユニーク番号情報のログが最大8件記憶されることになる。図11においては、発行された発行連番情報「1」〜「4」を持つ電子クーポンの内、発行連番情報「2」、「4」を持つ電子クーポンが使用済となったため、記憶エリアER1、ER2に発行連番情報「2」、「4」が記憶されている。
【0041】
第3の記録手法を図12に示す。この手法においても、電子クーポン発行サーバ300から携帯電話機100へ与える各電子クーポン情報には、夫々の電子クーポンに与えられた発行連番情報であるユニーク番号情報が含まれる。電子クーポン発行サーバ300は、発行した発行連番情報を重複発行しないように「払い出し」を行う。
【0042】
この第3の記録手法においては、容量が16バイト(128ビット)第1の記憶領域15を、図12に示すように一列に並べたようにして使用する。第2の記録手法においては発行連番情報を記憶したが、第3の記録手法においては発行連番情報に対応するビットを1とする。具体的には、1ビットから16ビットまでをページとして使用し、次のビットから128ビットまでをログビット部として使用する。1ビットから16ビットまでのページにおいては、全体を2進数で表して使用することにより、216=65536ページ分の記憶が可能である。
【0043】
1ページ毎に56個の発行連番情報をログビット部のカレントに書き込む。各ページの57以降の発行連番情報を持つ電子クーポンの使用に対する書き込のときに、ログビット部を56ビット右シフトし、ページをインクリメントする。これにより、過去57〜112の履歴を保持することができ、最大発行番号は317万(65536ページ×56ビット)となる。図12は、発行連番情報「1」〜「4」を持つ電子クーポンの内、発行連番情報「2」、「4」を持つ電子クーポンが使用済となったことに対応して、ログビット部に1が書き込まれている。
【0044】
但し、2ページ以上古い発行連番情報を持つ電子クーポンの使用についてログをとることができない。例えば、1〜200までの発行連番情報を持つ電子クーポンを携帯電話機100が有している場合に、発行連番情報が200の電子クーポンが使用されたとすれば、3ページ分のインクリメントを行って発行連番情報200のログビット部へ1を書き込む必要がある。この処理が行われた後に、発行連番情報が10の電子クーポンが使用されたとしても、そのログを携帯電話機100に保持させることができない。そこで、携帯電話機100のユーザには、発行連番情報の若い電子クーポンから使用するように促すなどの対策が必要である。
【0045】
以上のようにして携帯電話機100にログ情報を持たせることにより、同じ自動販売機においも異なる自動販売機においても使用済みである電子クーポンの不正使用を的確に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る電子クーポン取引システムの実施例の構成を示す図。
【図2】本発明に係る電子クーポン取引システムの無線通信端末が電子クーポンを得るための第1段階における処理のシーケンスを示す図。
【図3】本発明に係る電子クーポン取引システムの無線通信端末が電子クーポンを得るための第2段階における処理のシーケンスを示す図。
【図4】本発明に係る電子クーポン取引システムの無線通信端末が電子クーポンを得るための第3段階における処理のシーケンスを示す図。
【図5】本発明に係る電子クーポン取引システムの電子クーポン発行サーバが備えているファイルの内容の一例を示す図。
【図6】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける無線通信端末の実施例の構成を示すブロック図。
【図7】本発明に係る電子クーポン取引システムにおいて用いられる電子クーポン情報の内容を示す図。
【図8】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例の構成を示すブロック図。
【図9】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例による動作を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例が、無線通信端末の第1の記憶領域にユニーク番号情報を記録する第1の手法に関する説明図。
【図11】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例が、無線通信端末の第1の記憶領域にユニーク番号情報を記録する第2の手法に関する説明図。
【図12】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例が、無線通信端末の第1の記憶領域にユニーク番号情報を記録する第3の手法に関する説明図。
【符号の説明】
【0047】
10、20 CPU 11 表示部
12 入力部 13 電話機能部
14 メモリ 15 第1の記憶領域
16 第2の記憶領域 17 書込手段
18 無線通信部 21 商品提供部
22 入力部 23 リーダライタ
24 有線通信部 25 メモリ
26 ログ記憶手段 27 ネガ記憶手段
31 ログ書込手段 32 比較手段
33 端末ログ書込手段 34 制御手段
100 携帯電話機 200 自動販売機
300 電子クーポン発行サーバ 400 電子クーポン発行要求サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であって、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を記憶するための第1の記憶領域と、
電子クーポンに関する情報を記憶するための第2の記憶領域と、
無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも発行する際に発生されたユニーク番号情報を含む電子クーポン情報を前記第2の記憶領域に書き込む書込手段と、
を具備する無線通信端末と、
商品またはサービスを提供する自動販売機であって、
前記無線通信端末の第1および第2の記憶領域から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域に書き込むためのリーダライタと、
電子クーポンが使用された場合に、前記無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を前記無線通信端末の第1の記憶領域に書き込む端末ログ書込手段と、
前記無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行う比較手段と、
この比較手段による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段と
を具備する自動販売機と
を備えることを特徴とする電子クーポン取引システム。
【請求項2】
商品またはサービスを提供する自動販売機であって、
電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であって、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を記憶するための第1の記憶領域と、電子クーポンに関する情報を記憶するための第2の記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも発行する際に発生されたユニーク番号情報を含む電子クーポン情報を前記第2の記憶領域に書き込む書込手段とを具備する無線通信端末の第1および第2の記憶領域から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域に書き込むためのリーダライタと、
電子クーポンが使用された場合に、前記無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を前記無線通信端末の第1の記憶領域に書き込む端末ログ書込手段と、
前記無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行う比較手段と、
この比較手段による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
電子マネー用に割り当てられた暗号化領域であって、使用した電子クーポンのユニーク番号情報を記憶するための第1の記憶領域と、電子クーポンに関する情報を記憶するための第2の記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも発行する際に発生されたユニーク番号情報を含む電子クーポン情報を前記第2の記憶領域に書き込む書込手段とを具備する無線通信端末の第1および第2の記憶領域から情報を読み出し、所要情報を第1の記憶領域に書き込むためのリーダライタを備え、商品またはサービスを提供する自動販売機において動作するプログラムであって、
自動販売機を、
電子クーポンが使用された場合に、前記無線通信端末の第2の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報を前記無線通信端末の第1の記憶領域に書き込む端末ログ書込手段と、
前記無線通信端末の第1の記憶領域から読み取ったユニーク番号情報と、第2の記憶領域から読み取ったクーポン情報に含まれるユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行う比較手段と、
この比較手段による比較結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−152755(P2010−152755A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331547(P2008−331547)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(391016358)東芝情報システム株式会社 (149)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】