説明

電子タグ読取システム及び電子タグ読取方法

【課題】書類保管箱内の複数の書類に貼付けてある電子タグを一括読取りさせ、労力をかけずに短時間に書類の内容、数量を把握する。
【解決手段】情報を記憶した電子タグを複数収納した保管箱80を載せて、保管箱80を回転させる回転台10と、電子タグとの間で無線通信するアンテナ21〜アンテナ23と、回転台10とアンテナ21〜23とを内部に設置した電波暗箱30と、アンテナ21〜23を介して電子タグに記憶した情報を読取るリーダ40と、保管箱80に収納されている電子タグのタグリスト52を記憶するタグリスト記憶部50と、タグリスト記憶部50に記憶されたタグリスト52と、リーダ40の読取結果42とを比較して、リーダ40がタグリスト52に記載されたすべての電子タグの情報を読取るまで、回転台10を回転させながらリーダ40に電子タグに記憶した情報を読取らせる制御計算機60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、UHF(Ultra High Frequency)帯RFID(Radio Frequency IDentification)タグを用いた電子タグ読取システム及び電子タグ読取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
書類保管箱に収納された重要書類を保管管理する場合に、従来は書類にバーコードやHF(High Frequency)タグを貼付け、個々の書類毎に読取りを行い、保管書類の内容、数量を把握する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−004532号公報
【特許文献2】特開2008−112227号公報
【特許文献3】特開2009−057153号公報
【特許文献4】特開2008−107888号公報
【特許文献5】特開2007−087378号公報
【特許文献6】特開2005−192030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、保管箱に収納された書類を保管箱から取り出し、書類に貼付けされたバーコードやHFタグをリーダで読取り、書類の内容、数量を確認するため、労力・時間が多く必要とされる課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の電子タグ読取システムは、
情報を記憶した電子タグを複数収納した保管箱を載せて、保管箱を回転させる回転台と、
所定の周波数の電波で電子タグとの間で無線通信するアンテナと、
上記所定の周波数の電波を遮断するとともに、回転台とアンテナとを内部に設置した電波暗箱と、
アンテナを介して電子タグに記憶した情報を読取るリーダと、
回転台を回転させながらリーダに電子タグに記憶した情報を読取らせる制御計算機と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、書類保管箱内の複数の書類に貼付けてある電子タグを一括読取りさせることが可能となり、労力をかけずに短時間に書類の内容、数量を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1に係る電子タグ読取システム100の全体構成図である。
【図2】実施の形態1に係る電子タグ読取システム100の電波暗箱30の構成図である。
【図3】実施の形態1に係る電子タグ読取システム100の保管箱80と書類綴(大)83との構成図である。
【図4】実施の形態1に係る電子タグ読取システム100の保管箱80と書類綴(小)84との構成図である。
【図5】実施の形態1に係る電子タグ読取システム100の制御計算機60の動作フロー図である。
【図6】実施の形態2に係る電子タグ読取システム100の電波暗箱30の構成図である。
【図7】電子タグ読取システム100の制御計算機60のハードウェア資源の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、電子タグ読取システム100の全体構成図である。図2は、電子タグ読取システム100の電波暗箱30の構成図である。図1及び図2を用いて、電子タグ読取システム100の全体構成について説明する。
電子タグ読取システム100は、電波暗箱30とリーダ40とタグリスト記憶部50と制御計算機60とモニタ70とを備えている。
【0009】
電波暗箱30は、図2に示すように、6面体からなる筺体39を有している。筺体39は、UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数(約860〜960MHz)を遮断する。電波暗箱30の扉32は前方に開閉する。
電波暗箱30の筺体39の内壁面には、アンテナ21,アンテナ22,アンテナ23,アンテナ24,アンテナ25,アンテナ26など複数のアンテナが設置されている。
電波暗箱30の筺体39の底面には、回転台10(あるいは、環状回転台12)が置かれている。
回転台10(あるいは、環状回転台12)は、電波暗箱30の底部中央に位置し、図示していないモータにより、一方向あるいは正逆双方向に回転する。回転台10(あるいは、環状回転台12)は、円板中央の垂直方向に回転軸がある。回転台10(あるいは、環状回転台12)は、たとえば、1分間に20回転するスピードで回転する。
回転台10(あるいは、環状回転台12)の上には、情報を記憶した電子タグを複数収納した保管箱80が搭載される。扉32を開けることにより、保管箱80を回転台10(あるいは、環状回転台12)に対して搭載でき、保管箱80を電波暗箱30の内外に搬出入する。扉32の開閉機構は、保管箱80を搬出入するための搬出入機構である。回転台10(あるいは、環状回転台12)は、保管箱80を複数搭載してもかまわない。
電波暗箱30は、回転台10(あるいは、環状回転台12)の回転位置(回転角度)を検出する回転位置センサ11を備えている。回転位置センサ11は、たとえば、リミットスイッチで構成することができる。
【0010】
図1に示す回転台10の形状は、円板であるが、図2に示すように、回転台は、ドーナツ型の環状回転台12でもよい。環状回転台12の場合は、アンテナ24を環状回転台12の中央空間の内側又は中央空間の下側に配置できる。アンテナ24は、環状回転台12の中央空間の内側又は中央空間の下側に配置され筺体39の底部に固定されているので、環状回転台12が回転してもアンテナ24は回転しない構造とすることができる。
【0011】
アンテナの数は、複数であればよく、複数のアンテナは、電波暗箱内で直交する3次元軸方向に配置するのが望ましい。図1の場合は、左右と上とにアンテナがある。すなわち、アンテナ21(上)、アンテナ22(左)、アンテナ23(右)の3つのアンテナである。また、図2の場合は、直方体の6面に、アンテナがある。すなわち、アンテナ21(上)、アンテナ22(左)、アンテナ23(右)、アンテナ24(底面)、アンテナ25(背面)、アンテナ26(扉面)の6つのアンテナである。複数のアンテナの組み合わせとしては、アンテナ21(上)、アンテナ22(左)、アンテナ25(背面)の3つのアンテナ、あるいは、アンテナ21(上)、アンテナ22(左)、アンテナ26(扉面)、アンテナ24(底面)の4つのアンテナでもよい。すなわち、アンテナは、電波暗箱30内で直交する3次元軸方向に配置されているのが望ましい。回転軸をZ軸とする3次元直交座標系のXYZ座標軸方向に、アンテナがあることが望ましいが、アンテナは、3次元直交座標系の斜め方向にあってもよい。
【0012】
リーダ40は、アンテナを介してUHF帯RFIDタグなどの電子タグに記憶した情報を読取るリーダである。リーダ40は、ライター機能を備えていてもよい。リーダ40は、複数のアンテナを、順次、時分割切替えする。アンテナは、952〜954MHzの周波数の電波信号を送受信する。リーダ40は、UHF帯RFIDタグ(電子タグ)に記憶した情報を読取る。電波暗箱30(筺体39)は、UHF帯の周波数(約860〜960MHz)を遮断するので、952〜954MHzの周波数の電波信号は、外部にリークすることはないし、外部から侵入することもない。
【0013】
タグリスト記憶部50は、保管箱80に収納されている電子タグのタグリスト52を記憶する記憶部である。タグリスト記憶部50は、固定ディスクや光ディスクなどの不揮発性記録媒体を備えている。タグリスト記憶部50は、制御計算機60と直結されていてもよいし、制御計算機60に内蔵されていてもよいし、ネットワークを介して制御計算機60と接続されていてもよい。
【0014】
制御計算機60は、パーソナルコンピュータや専用機からなる計算機である。
制御計算機60は、処理部61とコントローラ64とを備えている。
処理部61は、比較部62と結果表示部63と記録部69を備えている。
比較部62は、タグリスト記憶部50にすでに記憶されたタグリスト52と、リーダ40の読取結果42とを比較して、リーダ40がタグリスト記憶部50に記憶されたタグリスト52に記載されたすべての電子タグの情報を読取るまで、回転台10を回転させながらリーダ40に電子タグに記憶した情報を読取らせる。
比較部62は、タグリスト記憶部50に記憶されたタグリスト52とリーダ40の読取結果42との比較結果72を出力する。
記録部69は、比較結果72を入力し、比較結果72をタグリスト記憶部50に記憶する。
結果表示部63は、比較結果72を入力し、モニタ70に出力する。
コントローラ64は、リーダ40と回転台10(のモータ)と回転位置センサ11とに接続され、これらと信号を送受信して、これらを制御する。
【0015】
モニタ70は、液晶表示装置やディスプレイ装置であり、結果表示部63から出力された比較結果を表示画面に表示する。
【0016】
図3は、電子タグ読取システム100の保管箱80と書類綴(大)83との構成図である。
図4は、電子タグ読取システム100の保管箱80と書類綴(小)84との構成図である。
【0017】
保管箱80は、電波を通過させる材質のものであればよく、段ボール箱・木箱・紙箱などがよい。保管箱80には、保管箱タグ81が貼付されている。すなわち、保管箱80の外側表面にはHF帯RFIDタグが保管箱タグ81として予め貼られている(図3、図4参照)。保管箱タグ81がUHF帯RFIDタグではない理由は、保管箱タグ81が、電波暗箱30内での読取り時に、書類綴に貼付された電子タグ82であると誤認されないようにするためである。
図3と図4とに示す基本的な考え方は、電子タグ82を保管箱80の外から読みやすいように配置することである。電子タグ82を保管箱80の外から読みやすいように配置することで、
(1)読取性能を向上させる効果、
を奏することができる。
電子タグ82の読みやすい位置とは、具体的には、電子タグ82が保管箱80の内側表面近くである。電子タグ82を保管箱80の表面近くに配置する例は以下の通りである。(1)電子タグ貼り位置
・書類綴(大)83の場合は、書類綴の長辺沿い中央付近。
・書類綴(小)84の場合は、書類綴の短辺沿い中央付近。
(2)書類綴の詰め方
・書類綴(大)83の場合は、電子タグ貼り位置を保管箱80の表面近くに配置して、寝かせて積層。書類綴(大)83の大きさによっては、書類綴(大)83を左右2列に積層し、保管箱80の左右の表面近くに電子タグ82が配置されるように詰めることもできる。
・書類綴(小)84の場合は、電子タグ貼り位置を保管箱80の表面近くに配置して、立てて二段積み。書類綴(小)84の大きさによっては、書類綴(小)84を左右2列に立てて2段積みにし、保管箱80の左右の表面近くに電子タグ82が配置されるように詰めることもできる。
(3)留意事項
・UHF帯RFIDの特性により1cm以下での積層で読取り率が落ちる傾向があるので、書類綴の厚さ(電子タグ82の重なり方向の距離)は、1cm以上とする。
・一箱の読取枚数は上限80枚とする。
・長期保存により紙が湿気を帯びた場合、UHF帯RFIDの特性により読取距離が落ちる場合があるので、湿気対策をする。
【0018】
図5は、電子タグ読取システム100の制御計算機60の処理部61の動作フロー図である。図5を用いて、電子タグ読取システム100の制御計算機60の処理部61の動作について説明する。
【0019】
電子タグ82は、例えば、ラベル面(ラベル面情報)を有するシール型である。電子タグ読取システム100では、電子タグ82のラベル面情報と電子タグIDとが関連付けられた情報が、予めタグリスト記憶部50に記憶されている。
【0020】
すなわち、電子タグ読取システム100では、書類綴が保管箱80に収納される前に、保管箱80に収納される書類綴に貼付する電子タグ82のラベル面情報と、当該ラベル面情報に対応する電子タグIDとがタグリスト52としてタグリスト記憶部50に予め記憶されているものとする。
【0021】
電子タグ読取工程.
作業員は、書類綴(例えば、書類綴の内容)とラベル面情報とが一致するように書類綴に電子タグ82を貼付するとともに、電子タグ82が貼付された書類綴をタグリスト52と一致するように保管箱80に詰める。そして、作業員は、保管箱80に予め貼られている保管箱タグ81をハンディリーダで読取り、HF帯RFIDタグ(保管箱タグ81)のデータを制御計算機60の比較部62にアップロードする。
次に、作業員は保管箱80を電波暗箱30に入れ、扉32を閉じる。制御計算機60は、UHF帯RFIDのリーダ40を用いて、閉じた保管箱80の中にあるラベル電子タグを一括読取し、そのデータを制御計算機60の比較部62にアップロードする。
この電子タグ読取工程において、制御計算機60の処理部61では、中央処理装置を用いて図5に示すように、以下の動作をする。
【0022】
制御計算機60の処理部61の動作.
「タグリスト入力工程S1」
比較部62は、タグリスト記憶部50からタグリスト52を入力する。
【0023】
「読取命令出力工程S2」
比較部62は、コントローラ64へ読取命令65を出力する(読取命令出力工程S2)。
コントローラ64は、モータへの駆動信号67を生成して回転台10のモータへ出力する。回転台10が回転を開始して、保管箱80を回転させる(回転工程)。
コントローラ64は、回転台10を回転させてから、読取命令65をリーダ40に転送する。リーダ40は、保管箱を回転させている間に、所定の周波数の電波で電子タグとの間でアンテナを介した無線通信により電子タグに記憶した情報を読取る。リーダ40は、複数のアンテナを、順次、時分割切替えする(リード工程)。
【0024】
「タグ情報読取結果入力工程S3」
リーダ40は、読取結果42をコントローラ64に出力する。コントローラ64は、読取結果42を比較部62に転送する。
【0025】
「比較工程S4(制御工程)」
比較部62は、タグリスト記憶部50に記憶されたタグリスト52と、リーダ40の読取結果42とを比較する。
【0026】
「継続工程S7(制御工程)」
比較部62は、リーダ40がタグリスト52に記載されたすべての電子タグの情報を読取るまで、あるいは、タイムアウトになるまで、リード工程を継続させる。
【0027】
「結果表示工程S5・S8」
比較部62は、比較結果72を結果表示部63に出力する。結果表示部63は、比較結果72をモニタ70に表示する。
モニタ70は、リーダ40がタグリスト52に記載されたすべての電子タグの情報を読取ったか否かを表示し、タイムアウトの場合又は不一致となった場合は、不一致の内容を表示する。
また、比較部62は、保管箱タグ81のデータと比較結果72とを記録部69に出力する。記録部69は、保管箱タグ81のデータと比較結果72を入力し、保管箱タグ81のデータと比較結果72をタグリスト記憶部50に記憶する。また、記録部69は、保管箱タグ81のデータをタグリスト52に記憶する。
【0028】
「停止工程S6」
比較部62は、リーダ40がタグリスト52に記載されたすべての電子タグの情報を読取った場合、あるいは、タイムアウトの場合、停止命令66をコントローラ64に出力する。コントローラ64は、回転位置センサ11から位置信号68を入力し、回転台10が回転開始位置になるように、駆動信号67を生成して、回転台10を回転開始位置で静止させる。また、コントローラ64は、停止命令66をリーダ40に出力して読取りを終了させる。
【0029】
以上のように、この実施の形態では、
複数の書類に長距離読取可能なUHF帯RFIDタグを貼付け、
書類を収納する書類保管箱を電波吸収体で覆われた電波暗箱に入れ、
電波暗箱内のアンテナ複数を回転軸上と回転軸に直交した軸上に配置し、
電波暗箱内で書類保管箱を回転させながら、リーダで読取りを行い、
外部モニタにて読取結果を表示させる電子タグ読取システム100を説明した。
【0030】
この実施の形態によれば、書類保管箱内の複数の書類に貼付けてあるUHF帯RFIDを一括読取りさせることが可能となり、労力をかけずに短時間に書類の内容、数量を把握することができる。
上記電子タグ読取システム100が電波暗箱を用いる理由は、近傍にあるUHF帯RFIDタグの誤読防止及び、電波環境の安定化のためである。
上記電子タグ読取システム100が保管箱80を回転させて読み込む理由は、複数のUHF帯RFIDタグを一括読取する場合、静止或いは移動に比べ、回転させることによりリーダ・タグ間距離によるヌルポイントが回避でき、かつ、アンテナに対する電子タグ向きが変更でき、より確実に読取りが可能となるからである。
また、上記電子タグ読取システム100が回転軸に直交した座標軸上にアンテナを配置する理由は、RFIDタグを整列させると、電子タグに常に正対し読取できるため、読取に有効となるからである。
上記電子タグ読取システム100がモニタ70(外部モニタ)にて読取結果を表示させる理由は、電波暗箱内のRFIDタグ読取を外部からモニタ可能となるからである。
回転台10は、回転スタート時点と同じ位置で停止させるリミットスイッチ等の回転位置センサを備え、電波暗箱内への書類保管箱の出し入れを容易にする。
回転台は、リング状の環状回転台12でもよく、リング状の環状回転台12の中央空間内又は中央空間下部にアンテナ24を設置する。
以上のように、この実施の形態の電子タグ読取システム100は、2枚以上のアンテナを保管箱80を囲う形に配置し、保管箱80を回転させることで効率的に読取を行う。保管箱80を回転させることにより、向きが一定でない多数のUHF帯RFIDパッシブタグを一括読取する場合、読取りが完了するまでの間、あらゆる角度から読取を行うことができ、読取り精度が向上する。
【0031】
「タイムアウトになった場合の自動再読取処理」
タイムアウトになった場合の自動再読取工程として以下のようにしてもよい。
【0032】
「リーダ・タグ間距離変更工程」
アンテナ位置変更機構を設け、処理部61は、アンテナ位置変更機構への制御信号を生成してアンテナを電波暗箱30内でスライドさせ、リーダ・タグ間距離を変更し、処理部61は、再度、読取をする。例えば、アンテナ位置変更機構は、制御信号により、所定のアンテナを電波暗箱30の内側方向に移動させて、アンテナと保管箱との距離を縮める。
あるいは、回転台位置変更機構を設け、処理部61は、回転台位置変更機構への制御信号を生成して回転台10を電波暗箱30内でスライドさせ、リーダ・タグ間距離を変更し、処理部61は、再度、読取をする。
【0033】
「リーダ・タグ間角度変更工程」
アンテナ取付角度変更機構を設け、処理部61は、アンテナ取付角度変更機構への制御信号を生成してアンテナを電波暗箱内で傾斜させ、リーダ・タグ間角度を変更し、処理部61は、再度、読取をする。
【0034】
上記リーダ・タグ間距離変更により、リーダ・タグ間距離変化によるヌルポイントが回避でき、上記リーダ・タグ間角度変更により、アンテナに対する電子タグ向きが変更でき、より確実に読取りが可能となる。
【0035】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る電子タグ読取システム100の電波暗箱30の構成図である。図6を用いて、実施の形態2に係る電波暗箱30の構成について説明する。また、図6の説明において、実施の形態1の図2と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
図6に示すように、電波暗箱30は、扉32が前方に開閉するとともに、天板31が上方に開閉する。開閉する天板31の内側(内壁面)には、アンテナ21が設置されている。
【0037】
電波暗箱30の筺体39の底面には、2本のスライドシャフト33が設置されている。スライドシャフト33には、環状回転台12が置かれている。環状回転台12は、2本のスライドシャフト33により、筺体39の前後にスライド可能になっている。スライドシャフト33は、前方(扉32方向)にスライドして伸長する。スライドシャフト33が伸長した状態では、環状回転台12は電波暗箱30の外側に位置することになる。
【0038】
環状回転台12の上には、保管箱80が搭載される。天板31と扉32を開け、スライドシャフト33により回転台10を手前にスライドさせることにより、保管箱80を環状回転台12に対して搭載でき、保管箱80を電波暗箱30の内外に搬出入する。天板31や扉32の開閉機構と、2本のスライドシャフト33は、保管箱80を搬出入するための搬出入機構である。環状回転台12は、保管箱80を複数搭載してもかまわない。
【0039】
環状回転台12は、ドーナツ型である。環状回転台12は、アンテナ24を環状回転台12の中央空間の内側又は中央空間の下側に配置できる。アンテナ24は、スライドシャフト33又は筺体39の底部に固定されている。また、環状回転台12は、図示していないモータにより、一方向あるいは正逆双方向に回転する。アンテナ24は、スライドシャフト33又は筺体39の底部に固定されているので、環状回転台12が回転してもアンテナ24は回転しない。
【0040】
また、実施の形態1において説明したリーダ・タグ間距離を変更させる回転台位置変更機構として、スライドシャフト33を利用することができる。例えば、回転台位置変更機構は、制御信号により、スライドシャフト33の上において環状回転台12を前後に移動させたり、スライドシャフト33そのものを環状回転台12とともに左右に移動させたりしてリーダ・タグ間距離を変更させることができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態に係る電子タグ読取システム100の電波暗箱30は、上部のアンテナ21を天板31とともに撥ね上げ、前部のアンテナ26を扉32とともに開閉させ、回転台10をスライドシャフト33によりスライドさせて書類保管箱をスライドさせる搬出入機構を備えており、電波暗箱内への書類保管箱の出し入れを容易にする。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係る電子タグ読取システム100の電波暗箱30は、天板31や扉32の開閉機構と、2本のスライドシャフト33とを備えているので、保管箱80の搬出入の作業性を向上させることができる。また、本実施の形態に係る電子タグ読取システム100の電波暗箱30は、環状回転台12を備えることにより、底部にもアンテナ24を備えることができ、電子タグの読み取り性能を向上させることができる。また、スライドシャフト33を利用して、回転台位置変更機構とすることができる。
【0043】
以上、実施の形態1〜2について説明したが、2つの実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0044】
図7は、実施の形態における制御計算機60のハードウェア資源の一例を示す図である。
図7において、制御計算機60は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
【0045】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力部、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力部、出力装置の一例である。
【0046】
通信ボード915は、インターネットなどのWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続される。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0047】
上記プログラム群923には、実施の形態の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0048】
ファイル群924には、実施の形態の説明において、「〜の読取結果」、「〜の比較結果」、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0049】
また、実施の形態の説明において説明したフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disk)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0050】
また、実施の形態の説明において「〜部」として説明したものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明したものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【符号の説明】
【0051】
10 回転台、11 回転位置センサ、12 環状回転台、21 アンテナ、22 アンテナ、23 アンテナ、24 アンテナ、25 アンテナ、26 アンテナ、30 電波暗箱、31 天板、32 扉、33 スライドシャフト、39 筺体、40 リーダ、42 読取結果、50 タグリスト記憶部、52 タグリスト、60 制御計算機、61 処理部、62 比較部、63 結果表示部、64 コントローラ、65 読取命令、66 停止命令、67 駆動信号、68 位置信号、69 記録部、70 モニタ、80 保管箱、81 保管箱タグ、82 電子タグ、83 書類綴(大)、84 書類綴(小)、100 電子タグ読取システム、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 コンパクトディスク装置、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶した電子タグを複数収納した保管箱を載せて、保管箱を回転させる回転台と、
所定の周波数の電波で電子タグとの間で無線通信するアンテナと、
上記所定の周波数の電波を遮断するとともに、回転台とアンテナとを内部に設置した電波暗箱と、
アンテナを介して電子タグに記憶した情報を読取るリーダと、
回転台を回転させながらリーダに電子タグに記憶した情報を読取らせる制御計算機と
を備えたことを特徴とする電子タグ読取システム。
【請求項2】
電子タグ読取システムは、さらに、
保管箱に収納されている電子タグのタグリストを記憶するタグリスト記憶部を備え、
制御計算機は、タグリスト記憶部に記憶されたタグリストと、リーダの読取結果とを比較して、リーダがタグリスト記憶部に記憶されたタグリストに記載されたすべての電子タグの情報を読取るまで、回転台を回転させながらリーダに電子タグに記憶した情報を読取らせることを特徴とする請求項1記載の電子タグ読取システム。
【請求項3】
電子タグ読取システムは、さらに、タグリスト記憶部に記憶されたタグリストとリーダの読取結果との比較結果を表示するモニタを備えたことを特徴とする請求項2記載の電子タグ読取システム。
【請求項4】
アンテナは、電波暗箱内に複数配置され、複数のアンテナは、電波暗箱内で直交する3次元軸方向に配置され、
リーダは、複数のアンテナを、順次、時分割切替えすることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の電子タグ読取システム。
【請求項5】
回転台は、環形状をしており、アンテナは、回転台の中央空間内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の電子タグ読取システム。
【請求項6】
回転台は、回転台の回転位置を検出する回転位置センサを備え、
制御計算機は、回転位置センサの回転位置の検出結果に基づいて、読取り終了時に、回転台を回転開始位置に戻すことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の電子タグ読取システム。
【請求項7】
電波暗箱は、保管箱を搬出入するための搬出入機構を備えたことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の電子タグ読取システム。
【請求項8】
上記電子タグは、RFID(Radio Frequency IDentification)タグであり、上記所定の周波数はUHF(Ultra High Frequency)帯の周波数であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の電子タグ読取システム。
【請求項9】
複数の電子タグのタグリストを記憶したタグリスト記憶部と、回転台とアンテナとを内部に設置した電波暗箱とを備えた電子タグ読取システムの電子タグ読取方法において、
情報を記憶した電子タグを複数収納した保管箱を回転台が回転させる回転工程と、
回転工程により保管箱を回転させている間に、所定の周波数の電波で電子タグとの間でアンテナを介した無線通信によりリーダが電子タグに記憶した情報を読取るリード工程と、
制御計算機が、タグリスト記憶部に記憶されたタグリストと、リーダの読取結果とを比較して、リーダがタグリスト記憶部に記憶されたタグリストに記載されたすべての電子タグの情報を読取るまで、リード工程を継続する制御工程と
を備えたことを特徴とする電子タグ読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−8708(P2011−8708A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154077(P2009−154077)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】