説明

電子デバイスの洗浄装置及び電子デバイスの製造方法

【課題】 電子デバイスの洗浄装置において、洗浄液の交換頻度の増加に伴って、洗浄液の使用量の増加及び洗浄装置の稼働率の低下が発生することを防止すると共に、洗浄液の経過時間の増加に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することを防止する。
【解決手段】 洗浄チャンバー(処理槽内槽)24内の洗浄液循環路(循環ライン)20において循環再利用される洗浄液を導入して、洗浄チャンバー24内に配置された被処理基板に対して洗浄を行う電子デバイスの洗浄方法であって、エッチング処理時間を導出する工程(a)と、被処理基板に対して、エッチング処理時間の間、洗浄液を供給する工程(b)と、被処理基板を水洗する工程(c)とを備え、エッチング処理時間は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの経過時間に依存して、工程(b)における洗浄液による被処理基板上の被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの洗浄装置及び電子デバイスの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスは、急速に高速化及び高集積化が進められており、電子デバイスの高速化及び高集積化を図るために、電子デバイスの微細化が進められている。このため、電子デバイスの製造工程における各工程毎に施される電子デバイスの洗浄工程では、洗浄用薬液によってエッチングされる被処理膜のエッチング量のバラツキの低減が求められている。
【0003】
しかしながら、洗浄用薬液を循環再利用する洗浄装置では、洗浄用薬液を調製した直後からの経過時間に伴って、洗浄用薬液を構成する成分のうち、蒸気圧の低い成分が蒸発する。これにより、洗浄用薬液を調整した直後からの経過時間に伴って、洗浄用薬液の組成が変化するので、被処理膜におけるエッチングレートが変動する。このため、電子デバイスの製造プロセスが安定しないので、電子デバイスの製造歩留まりが低下する。
【0004】
この問題を解決する方法として、以下に示す第1及び第2の従来例が提案されている。
【0005】
まず、第1の従来例として、洗浄用薬液の交換時間を調整することにより、被処理膜におけるエッチング量の変動量の低減を図る方法を示す。
【0006】
以下に、第1の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置として、バッチ式洗浄装置を用いた場合における洗浄装置の構成について、図24及び図25を参照しながら説明する。
【0007】
図24は、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置の構成を示す図である。
【0008】
図25は、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置における循環槽の具体的な構成を示す断面図である。
【0009】
図24に示すように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置100は、循環槽101、水洗槽102、及び乾燥槽103から構成されている。
【0010】
また、図25に示すように、循環槽101では、循環部において洗浄用薬液の循環が行われると共に洗浄部において洗浄用薬液による被処理膜の洗浄が行われる。具体的に、循環部は、循環ライン200、循環ポンプ201、電子冷熱202、フィルター203から構成されており、洗浄部は、処理槽内槽204、処理槽外槽205、槽カバー206、及び洗浄用薬液ノズル207から構成されている。
【0011】
以下に、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性について、図26を参照しながら説明する。
【0012】
ここで、ライフタイムとは、循環ライン200に洗浄用薬液が供給されてから経過した時間である。
【0013】
図26は、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性を示す図である。
【0014】
第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置において、循環ライン200に供給される洗浄用薬液として、バッファードフッ酸溶液(HF 0.10%、NH4 F 39.0% )を用いて、循環ライン200に設けられた電子冷熱202により、バッファードフッ酸溶液(以下、BHF溶液と記す)の温度を21℃にコントロールする。
【0015】
電子冷熱202により、BHF溶液の温度を一定のエッチング温度(例えば、21℃)に維持した状態で、処理槽内槽204に貯留されたBHF溶液中に、一定のエッチング時間(例えば、3分間)の間、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜(熱酸化膜)のエッチングを行う。
【0016】
このようにして、各々のライフタイムにおける熱酸化膜のエッチング量の測定を行うことにより、ライフタイムとエッチング量との相関性について評価を行う。
【0017】
上記の条件の下、各々のライフタイム(0時間、12時間、24時間、48時間)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図26に示すように、各々のライフタイムにおける熱酸化膜のエッチング量をプロットすることにより、ライフタイムとエッチング量との相関性について評価を行う。
【0018】
これにより、図26に示すように、ライフタイムの増加に伴って、熱酸化膜のエッチング量が一定の割合で増加することが分かった。
【0019】
具体的には、洗浄用薬液が循環ライン200に供給された直後、すなわち、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、熱酸化膜のエッチング量が4.0nmであるのに対し、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、熱酸化膜のエッチング量が5.6nmであった。このように、ライフタイムが24時間における熱酸化膜のエッチング量は、ライフタイムが0時間における熱酸化膜のエッチング量と比較して、エッチング量が約40%増加する。
【0020】
ここで、熱酸化膜のエッチング量の変動規格が、例えば±20%、つまり4.0±0.8(nm)である場合、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置では、図26に示すように、エッチング変動規格を満たすために、12時間毎に、循環ライン200に供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がある。
【0021】
このようにして、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置では、一定の経過時間毎に、洗浄用薬液の交換を行うことにより、被処理膜におけるエッチング量の変動量の低減を図ることができる。
【0022】
また、第1の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置として、枚葉式洗浄装置を用いた場合における洗浄装置の構成について、図27を参照しながら説明する。
【0023】
図27は、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置の構成を示す図である。
【0024】
図27に示すように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置は、循環部、洗浄部、及び水洗部から構成されている。
【0025】
また、循環部では、洗浄用薬液が循環されており、循環部は、循環ライン300、循環ポンプ301、循環タンク302、電子冷熱303、フィルター304から構成されている。また、洗浄部では、洗浄用薬液による被処理膜の洗浄が行われており、洗浄部は、洗浄チャンバー305、カップ306、洗浄用薬液ノズル307、へパ308、及びホルダー309から構成されている。また、水洗部では、被処理膜の水洗が行われており、水洗部は、水洗ノズル310から構成されている。
【0026】
以下に、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性について、図28を参照しながら説明する。
【0027】
ここで、累積処理時間とは、循環ライン300に洗浄用薬液が供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間である。
【0028】
図28は、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0029】
第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置において、循環ライン300に供給される洗浄用薬液として、ポリマー溶液(NH4 F 0.5%、有機溶剤 45%、水 54.5% )を用いて、循環ライン300に設けられた電子冷熱303により、ポリマー溶液の温度を25℃にコントロールする。
【0030】
電子冷熱303により、ポリマー溶液の温度を一定のエッチング温度(例えば、25℃)に維持した状態で、洗浄用薬液ノズル307を通じて、一定のエッチング時間(例えば、3分間)の間、ホルダー309によって保持された被処理基板に対してポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。このとき、被処理基板は、ホルダー309によって所定の回転数で回転されている。
【0031】
このようにして、各々の累積処理時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行うことにより、累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0032】
上記の条件の下、各々の累積処理時間(0分、300分、600分、900分)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTOES膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図28に示すように、各々の累積処理時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をプロットすることにより、累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0033】
これにより、図28に示すように、累積処理時間の増加に伴って、プラズマTEOS膜のエッチング量が一定の割合で増加することが分かった。
【0034】
具体的には、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、プラズマTEOS膜のエッチング量が0.3nmであるのに対し、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、プラズマTEOS膜のエッチング量が0.6nmであった。このように、累積処理時間が900分におけるプラズマTEOS膜のエッチング量は、累積処理時間が0分におけるプラズマTEOS膜のエッチング量と比較して、エッチング量が約100%増加する。
【0035】
ここで、プラズマTEOS膜のエッチング量の変動規格が、例えば±50%、つまり0.30±0.15(nm)である場合、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置では、図28に示すように、エッチング変動規格を満たすために、150枚処理(すなわち、累積処理時間450分)毎に、循環ライン300に供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がある。
【0036】
このようにして、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置では、一定の経過時間毎に、洗浄用薬液の交換を行うことにより、被処理膜におけるエッチング量の変動量の低減を図ることができる。
【0037】
以上のように、第1の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置では、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄用薬液の交換を行うことにより、被処理膜におけるエッチング量の変動量の低減を図ることができる。
【0038】
次に、第2の従来例として、時間経過と共に変動する洗浄用薬液の成分を追加することにより、被処理膜におけるエッチング量の変動量の低減を図る方法を示す(例えば、特許文献1参照)。
【0039】
以下に、第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置について、図29及び図30を参照しながら説明する。
【0040】
図29は、第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置の構成を示す概略図である。
【0041】
また、図30は、第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置における、経過時間とエッチングレートとの関係、及び経過時間とフッ化水素の濃度(HF濃度)との関係を示す模式図である。
【0042】
図29に示すように、第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置は、洗浄槽400、循環ポンプ401、貯留槽402、及び制御部403から構成されている。
【0043】
具体的に、第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄用薬液として、フッ化アンモニウム及びフッ化水素よりなる溶液を用いた場合について説明する。
【0044】
洗浄槽400には、洗浄用薬液としてフッ化アンモニウム及びフッ化水素よりなる溶液が満たされており、該溶液中に被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜の洗浄が行われる。また、洗浄槽400からオーバーフローした洗浄用薬液は、循環ポンプ401を通じて、洗浄槽400へ戻される。
【0045】
貯留槽402には、アンモニア水が貯留されており、制御部403の指示に従って、貯留槽402におけるアンモニア水は、洗浄槽400に追加補充される。これにより、洗浄槽400における洗浄用薬液の組成は常に一定に保たれる。
【0046】
図30に示される直線Laは、貯留槽402におけるアンモニア水を一定時間が経過する毎に洗浄槽400へ追加補充した場合における、被処理膜におけるエッチングレートの変動、及び洗浄用薬液におけるHF濃度の変動を模式的に示す直線である。
【0047】
一方、図30に示される直線Lbは、貯留槽402におけるアンモニア水を洗浄槽400へ追加補充しない場合における、被処理膜におけるエッチングレートの変動、及び洗浄用薬液におけるHF濃度の変動を模式的に示す直線である。
【0048】
図30に示すように、直線Lbにおける被処理膜のエッチングレートは、一定の比率で増加する。一方、直線Laにおける被処理膜のエッチングレートは、直線Lbと同様に一定の比率で増加するが、貯留槽402におけるアンモニア水が洗浄槽400へ追加補充された直後は、洗浄用薬液が洗浄槽400に調整された直後における被処理膜のエッチングレートに回復する。その後、直線Laにおける被処理膜のエッチングレートは、直線Lbと同様に一定の比率で再び増加するが、貯留槽402におけるアンモニア水が洗浄槽400へ再び追加補充されることにより、直線Laにおける被処理膜のエッチングレートは、洗浄用薬液が洗浄槽400に調整された直後における被処理膜のエッチングレートに再度回復することができる。
【0049】
このように、一定時間が経過する毎に、制御部403の指示に従って、貯留槽402におけるアンモニア水を洗浄槽400へ追加補充することにより、洗浄槽400における洗浄用薬液の組成を常に一定に保つことができる。このため、洗浄用薬液におけるHF濃度の変動量の低減を図ることができるので、被処理膜におけるエッチングレートの変動量の低減を図ることができる。
【特許文献1】特開2002-143791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0050】
しかしながら、最近の電子デバイスの洗浄装置では、被処理基板の大型化に伴って、洗浄用薬液の使用量が増大する。また、第1の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置では、電子デバイスの微細化に伴って、被処理膜のエッチング量の変動量を極力小さくしなければならないので、洗浄用薬液の交換頻度が増大する。このため、洗浄用薬液の使用量が増大するだけでなく、洗浄用薬液の交換頻度の増加に伴って洗浄装置の稼働率が低下するので、電子デバイスの製造コストが増大する。
【0051】
また、第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置では、洗浄用薬液として、ポリマー溶液等の多成分系の洗浄用薬液を用いた場合、一成分のみが選択的に蒸発する。このため、一定時間が経過する毎に、洗浄用薬液に対して一成分のみを選択的に追加補充することができないので、洗浄用薬液に対して不要な成分まで追加される。したがって、洗浄用薬液の追加補充により、洗浄用薬液の組成を一定に維持することが困難であるので、安定したエッチングレートを維持することが困難である。
【0052】
本発明は、前記の課題に鑑み、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることにより、洗浄用薬液の使用量の削減及び洗浄装置の稼働率の向上を図ると共に、安定したエッチング量を維持することができる電子デバイスの洗浄装置及び電子デバイスの洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0053】
前記の課題を解決するために、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法は、洗浄チャンバー内の洗浄液循環路において循環再利用される洗浄液を導入して、洗浄チャンバー内に配置された被処理基板に対して洗浄を行う電子デバイスの洗浄方法であって、エッチング処理時間を導出する工程(a)と、被処理基板に対して、エッチング処理時間の間、洗浄液を供給する工程(b)と、被処理基板を水洗する工程(c)とを備え、エッチング処理時間は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの経過時間に依存して、工程(b)における洗浄液による被処理基板上の被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする。
【0054】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法によると、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されたエッチング処理時間の間、被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングを行う。このため、各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0055】
このため、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチングレートが変動することはあっても、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することを防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量を確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0056】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がなく、洗浄液の使用期限の延長を図ることができる。したがって、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができるので、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0057】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法において、エッチング処理時間は、工程(c)における洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量にさらに基づいて導出されることが好ましい。
【0058】
このようにすると、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量だけでなく、洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量にも基づいて、エッチング処理時間の導出を行うことができる。このため、より精密に導出されたエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0059】
このため、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチングレートが変動することはあっても、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することをより確実に防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量をより確実に確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0060】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がないので、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができる。したがって、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減をより確実に図ることができる。
【0061】
本発明に係る電子デバイスの製造装置の洗浄方法において、エッチング処理時間は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0062】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から経過した時間(すなわち、ライフタイム)に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0063】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法において、エッチング処理時間は、下記に示す[数1]
【0064】
【数1】

【0065】
を用いて導出されることが好ましい。
【0066】
但し、ライフタイムとは、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から経過した時間を示す値であり、上昇係数(B)は、被処理膜に対するエッチングレートがライフタイムにおける経過時間に応じて上昇する割合を示す値であり、エッチングレートとは、工程(b)において、被処理膜のエッチング量がエッチング時間に応じて増加する割合を示す値であり、エッチングレート(A)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された直後における、エッチングレートを示す値であり、追加エッチング量とは、工程(c)において、洗浄液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる被処理膜のエッチング量を示す値であり、追加エッチング量(C)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された直後における、追加エッチング量を示す値であり、追加エッチングレート(D)は、追加エッチング量がライフタイムにおける経過時間に応じて増加する割合を示す値である。
【0067】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、補正計算式として[数1]を用いることにより、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の導出を行うことができる。
【0068】
具体的に、[数1]における上昇係数(B)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからのライフタイムにおける第1の経過時間での被処理膜に対する第1の平均エッチングレートと、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからのライフタイムにおける第1の経過時間とは異なる第2の経過時間での被処理膜に対する第2の平均エッチングレートとから求めることができる。
【0069】
また、[数1]におけるエッチングレート(A)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された直後における、被処理膜に対して施されるエッチング時間の変化量に対応する被処理膜のエッチング量の変化量の割合から求めることができる。
【0070】
また、[数1]における追加エッチング量(C)及び追加エッチングレート(D)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからのライフタイムにおける第3の経過時間後の第1のエッチング時間での被処理膜の第1のエッチング量と、第3の経過時間後の第1のエッチング時間とは異なる第2のエッチング時間での被処理膜の第2のエッチング量とから、洗浄液における第3の経過時間後の残留液によって被処理膜がエッチングされる量を示す第1の追加エッチング量を求めると共に、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからのライフタイムにおける第4の経過時間後の第3のエッチング時間での被処理膜の第3のエッチング量と、第4の経過時間後の第3のエッチング時間とは異なる第4のエッチング時間での被処理膜の第4のエッチング量とから、洗浄液における第4の経過時間後の残留液によって被処理膜がエッチングされる量を示す第2の追加エッチング量を求めた後に、第3の経過時間に対応する第1の追加エッチング量と、第4の経過時間に対応する第2の追加エッチング量とから、追加エッチング量(C)及び追加エッチングレート(D)をそれぞれ求めることができる。
【0071】
このように、上昇係数(B)、エッチングレート(A)、追加エッチング量(C)、及び追加エッチングレート(D)を求めることにより、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式を得ることができる。
【0072】
このため、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置では、補正計算式として[数1]が設定されており、[数1]に基づいて各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。これにより、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際のエッチングを行うことができる。
【0073】
本発明に係る電子デバイスの製造装置の洗浄方法において、洗浄チャンバーは、枚葉式洗浄装置を構成するものであり、エッチング処理時間は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理基板に対する累積処理時間における被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0074】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置として枚葉式洗浄装置を用いた場合において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間(すなわち、累積処理時間)に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0075】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法において、エッチング処理時間は、下記に示す[数2]
【0076】
【数2】

【0077】
を用いて導出されることが好ましい。
【0078】
但し、累積処理時間とは、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点からの前記被処理基板に対して施される前記エッチング処理時間を合計した時間を示す値であり、上昇係数(F)は、被処理膜に対するエッチングレートが累積処理時間における経過時間に応じて上昇する割合を示す値であり、エッチングレートとは、工程(b)において、被処理膜のエッチング量がエッチング時間に応じて増加する割合を示す値であり、エッチングレート(E)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された直後における、エッチングレートを示す値であり、追加エッチング量とは、工程(c)において、洗浄液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる被処理膜のエッチング量を示す値であり、追加エッチング量(G)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された直後における、追加エッチング量を示す値であり、追加エッチングレート(H)は、追加エッチング量が累積処理時間における経過時間に応じて増加する割合を示す値である。
【0079】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置として枚葉式洗浄装置を用いた場合において、補正計算式として[数2]を用いることにより、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の導出を行うことができる。
【0080】
具体的に、[数2]における上昇係数(F)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの累積処理時間における第1の経過時間での被処理膜に対する第1の平均エッチングレートと、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの累積処理時間における第1の経過時間とは異なる第2の経過時間での被処理膜に対する第2の平均エッチングレートとから求めることができる。
【0081】
また、[数2]におけるエッチングレート(E)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された直後における、被処理膜に対して施されるエッチング時間の変化量に対応する被処理膜のエッチング量の変化量の割合から求めることができる。
【0082】
また、[数2]における追加エッチング量(G)及び追加エッチングレート(H)は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの累積処理時間における第3の経過時間後の第1のエッチング時間での被処理膜の第1のエッチング量と、第3の経過時間後の第1のエッチング時間とは異なる第2のエッチング時間での被処理膜の第2のエッチング量とから、洗浄液における第3の経過時間後の残留液によって被処理膜がエッチングされる量を示す第1の追加エッチング量を求めると共に、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの累積処理時間における第4の経過時間後の第3のエッチング時間での被処理膜の第3のエッチング量と、第4の経過時間後の第3のエッチング時間とは異なる第4のエッチング時間での被処理膜の第4のエッチング量とから、洗浄液における第4の経過時間後の残留液によって被処理膜がエッチングされる量を示す第2の追加エッチング量を求めた後に、第3の経過時間に対応する第1の追加エッチング量と、第4の経過時間に対応する第2の追加エッチング量とから、追加エッチング量(G)及び追加エッチングレート(H)をそれぞれ求めることができる。
【0083】
このように、上昇係数(F)、エッチングレート(E)、追加エッチング量(G)、及び追加エッチングレート(H)を求めることにより、本発明に係る枚葉式洗浄装置における補正計算式を得ることができる。
【0084】
このため、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置では、補正計算式として[数2]が設定されており、[数2]に基づいて各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。これにより、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際のエッチングを行うことができる。
【0085】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法は、洗浄チャンバー内の洗浄液循環路において循環再利用される洗浄液を導入して、洗浄チャンバー内に配置された被処理基板に対して洗浄を行う電子デバイスの洗浄方法であって、エッチング処理温度を導出する工程(d)と、被処理基板に対してエッチング処理温度に調整された洗浄液を供給する工程(e)と、被処理基板を水洗する工程(f)とを備え、エッチング処理温度は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの経過時間に依存して、工程(e)における洗浄液による被処理基板上の被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする。
【0086】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法によると、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量、及び洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて、エッチング処理温度の導出を行うことができる。このため、各々の経過時間に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0087】
このため、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチングレートが変動することがなく、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することを確実に防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量を確実に確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0088】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がないので、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができる。したがって、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0089】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法において、エッチング処理温度は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0090】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から経過した時間(すなわち、ライフタイム)に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0091】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法において、洗浄チャンバーは、枚葉式洗浄装置を構成するものであり、エッチング処理温度は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理基板に対する累積処理時間における被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0092】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置として枚葉式洗浄装置を用いた場合において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間(すなわち、累積処理時間)に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0093】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置の洗浄方法において、洗浄液は、フッ素化合物を含むことが好ましい。
【0094】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置は、洗浄液の温度を調整する温度調整機能を有し且つ洗浄液を循環再利用する洗浄液循環路と、エッチング処理時間を導出する制御部と、被処理基板の洗浄を行う洗浄チャンバーとを備え、制御部は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの経過時間を計測し、経過時間に依存して洗浄液による被処理基板上の被処理膜のエッチング量が変化する量に基づいて、洗浄の際におけるエッチング処理時間を導出するものであり、洗浄チャンバーは、制御部によって導出されるエッチング処理時間に基づいて、被処理基板に対して洗浄液を供給することを特徴とする。
【0095】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置によると、該洗浄装置は制御部を備えており、該制御部では、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて、各々の経過時間に対応するエッチング処理時間が導出される。また、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄液循環路では、温度調整機能によって洗浄液の温度の調整が行われる。
【0096】
このため、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバーでは、温度がコントロールされた洗浄液を用いて、各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の間、一定のエッチング温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0097】
これにより、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチングレートが変動することはあっても、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することを防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量を確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0098】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がなく、洗浄液の使用期限の延長を図ることができる。したがって、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができるので、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0099】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、制御部は、導出したエッチング処理時間に基づいて、予め設定された複数のエッチング時間から、所望のエッチング処理時間の選択を行い、又は、予め設定されたエッチング時間を所望のエッチング処理時間へ変更することが好ましい。
【0100】
このようにすると、制御部によって導出された各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0101】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、制御部は、洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量にさらに基づいて、エッチング処理時間を導出することが好ましい。
【0102】
このようにすると、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量だけでなく、洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量にも基づいて、各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の導出を行うことができる。
【0103】
このため、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバーでは、温度がコントロールされた洗浄液を用いて、より精密に導出されたエッチング処理時間の間、一定のエッチング温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0104】
これにより、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチングレートが変動することはあっても、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することをより確実に防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量をより確実に確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0105】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がないので、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができる。したがって、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減をより確実に図ることができる。
【0106】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、エッチング処理時間は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0107】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から経過した時間(すなわち、ライフタイム)に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0108】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄チャンバーの内部には、被処理基板を回転可能に保持するホルダーと、洗浄液循環路と連通し、被処理基板の上に洗浄液を供給するノズルとが設けられており、エッチング処理時間は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理基板に対する累積処理時間における被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0109】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置として枚葉式洗浄装置を用いた場合において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間(すなわち、累積処理時間)に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0110】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置は、洗浄液の温度を調整する温度調整機能を有し且つ洗浄液を循環再利用する洗浄液循環路と、エッチング処理温度を導出する制御部と、被処理基板の洗浄を行う洗浄チャンバーとを備え、制御部は、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてからの経過時間を計測し、経過時間に依存して洗浄液による被処理基板上の被処理膜のエッチング量が変化する量に基づいて、洗浄の際におけるエッチング処理温度を導出するものであり、洗浄チャンバーは、被処理基板に対して、制御部によって導出されるエッチング処理温度に基づいて温度が調整された洗浄液を供給することを特徴とする。
【0111】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置によると、該洗浄装置は制御部を備えており、該制御部では、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量、及び洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて、エッチング処理温度の導出を行うことができる。また、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄液循環路では、温度調整機能によって洗浄液の温度の調整が行われる。
【0112】
このため、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバーでは、温度がコントロールされた洗浄液を用いて、各々の経過時間に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0113】
これにより、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチングレートが変動することがなく、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することを確実に防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量を確実に確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0114】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がないので、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができる。したがって、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0115】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、制御部は、導出したエッチング処理温度に基づいて、エッチング処理温度を温度調整機能へフィードバックすることが好ましい。
【0116】
このようにすると、制御部によって導出された各々の経過時間に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0117】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、エッチング処理温度は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0118】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点から経過した時間(すなわち、ライフタイム)に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0119】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄チャンバーの内部には、被処理基板を回転可能に保持するホルダーと、洗浄液循環路と連通し、被処理膜基板上に洗浄液を供給するノズルとが設けられており、エッチング処理温度は、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理基板に対する累積処理時間における被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることが好ましい。
【0120】
このようにすると、本発明に係る電子デバイスの洗浄装置として枚葉式洗浄装置を用いた場合において、洗浄液が洗浄液循環路に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間(すなわち、累積処理時間)に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【発明の効果】
【0121】
本発明に係る電子デバイスの洗浄装置及びその洗浄方法によると、洗浄液による被処理膜のエッチング量の変化量、及び洗浄液におけるエッチング後の残留液による被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて、エッチング処理時間又はエッチング処理温度の導出を行うことができる。これにより、所望のエッチング処理時間の間又は所望のエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。
【0122】
このため、各々の経過時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対してエッチングを行うことができるので、経過時間の変化と共に被処理膜のエッチング量が変動することを確実に防止することができる。したがって、各々の経過時間に対応して、所望のエッチング量を確実に確保することができるので、経過時間に依存することなく、安定したエッチング量の維持を図ることができる。
【0123】
また、従来例のように、洗浄液が洗浄液循環路に供給されてから一定時間が経過する毎に、洗浄液循環路に供給される洗浄液の交換を行う必要がないので、洗浄液の交換頻度の低減を図ることができる。したがって、洗浄液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0124】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0125】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0126】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【0127】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における循環槽の具体的な構成を示す断面図である。
【0128】
図1に示すように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10は、循環槽11、水洗槽12、乾燥槽13、及び制御部14から構成されている。このようにして、洗浄装置10は、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置(100)内に、制御部14を導入することにより構成されている。
【0129】
また、図2に示すように、循環槽11では、循環部において洗浄用薬液の循環が行われると共に洗浄部において洗浄用薬液による被処理膜の洗浄が行われる。具体的に、循環部は、循環ライン(洗浄液循環路)20、循環ポンプ21、電子冷熱22、フィルター23から構成されており、洗浄部は、処理槽内槽(洗浄チャンバー)24、処理槽外槽25、槽カバー26、及び洗浄用薬液ノズル27から構成されている。
【0130】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、電子デバイスの洗浄方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
【0131】
まず、循環槽11における循環ライン20に洗浄用薬液を供給する。循環ライン20に供給される洗浄用薬液は、循環ライン20に設けられた電子冷熱22により溶液の温度が調整される。このように、電子冷熱22によって溶液の温度(エッチング温度)がコントロールされた洗浄用薬液は、洗浄用薬液ノズル27を通じて、循環ライン20から処理槽内槽24へ導入されて、処理槽内槽24に貯留される。
【0132】
次に、処理槽内槽24に貯留された洗浄用薬液中に、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板を浸漬することにより、該被処理基板における被処理膜のエッチングを行う。被処理基板の洗浄に使用された洗浄用薬液は、循環ライン20によって繰り返し循環されて、処理槽内槽24において再利用される。
【0133】
ここで、洗浄の際に、被処理膜に対して施されるエッチング処理条件(例えば、エッチング処理時間)は、洗浄装置10に内蔵された制御部14によって制御される。具体的には、制御部14によって、循環ライン20に洗浄用薬液が供給されてから経過した時間(以下、ライフタイムと記す)の計測が行われ、計測されたライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出されることにより、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件が決定される。
【0134】
このように、制御部14によって、各々のライフタイムに対応する所望のエッチング処理時間が決定され、所望のエッチング処理時間の間、処理槽内槽24に貯留された洗浄用薬液中に被処理基板を浸漬する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングを行う。
【0135】
次に、水洗槽12では、循環槽11においてエッチングされた被処理膜に対して水洗が施される。これにより、被処理膜から洗浄用薬液におけるエッチング後の残留液が除去されると共に、該残留液によって被処理膜はエッチングされる。このため、被処理膜は、循環槽11において洗浄用薬液によってエッチングされるだけでなく、水洗槽12において洗浄用薬液におけるエッチング後の残留液によってもエッチングされる。
【0136】
次に、乾燥槽13では、水洗槽12において水洗された被処理膜に対して、乾燥が施される。
【0137】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いて、ライフタイムとエッチング量との相関性、及びエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行うことにより、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の決定方法について具体的に説明する。
【0138】
これらの相関性について評価を行うために、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における循環ライン20に供給される洗浄用薬液として、バッファードフッ酸溶液(HF 0.10%、NH4 F 39.0% )を用いて、循環ライン20に設けられた電子冷熱22により、バッファードフッ酸溶液(以下、BHF溶液と記す)の温度を一定のエッチング温度(例えば、21℃)にコントロールする。
【0139】
まず、上記の条件の下、ライフタイムとエッチング量との相関性について評価を行うために、処理槽内槽24に貯留されたBHF溶液中に、一定のエッチング時間(例えば、3分間)の間、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜(熱酸化膜)のエッチングを行う。
【0140】
このようにして、各々のライフタイムにおける熱酸化膜のエッチング量の測定を行うことにより、ライフタイムとエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性について、表1及び図3を参照しながら説明する。
【0141】
表1は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のライフタイムにおける被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0142】
また、図3は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性を示す図である。
【0143】
[表1] に示すように、各々のライフタイム(0時間、12時間、24時間、48時間)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図3に示すように、各々のライフタイムにおける熱酸化膜のエッチング量をプロットすることにより、ライフタイムとエッチング量との相関性について評価を行う。
【0144】
【表1】

【0145】
これにより、図3に示すように、ライフタイムの増加に伴って、熱酸化膜のエッチング量が一定の割合で増加することが分かった。具体的には、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、熱酸化膜のエッチング量が4.0nmであるのに対し、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、熱酸化膜のエッチング量が5.6nmであった。このように、ライフタイムが24時間における熱酸化膜のエッチング量は、ライフタイムが0時間における熱酸化膜のエッチング量と比較して、エッチング量が増加していることが分かる。
【0146】
ここで、ライフタイムの増加に伴って、熱酸化膜のエッチング量が増加する原因を以下に示す。
【0147】
HF及びNH4 FよりなるBHF溶液は、NH3 、H+、及びHF2- に解離された平衡状態にある。従って、BHF溶液中には、HF、NH4 F、NH3 、H+、及びHF2- が存在している。
【0148】
これらのうち、NH3 は、他の成分(HF、NH4 F、H+、及びHF2- )に比べて、蒸気圧が低いため揮発し易い。このため、処理槽内槽24では、循環ライン20から導入されて処理槽内槽24に貯留されたBHF溶液のうち、NH3 が貯留時間に伴って選択的に揮発する。従って、ライフタイムの増加に伴って、BHF溶液におけるNH3 が揮発されてBHF溶液におけるNH3の濃度が減少する。
【0149】
これにより、式[イ]に示すように、BHF溶液の平衡状態が右側(生成系側)へ傾くためHF2-が解離される量が増加するので、BHF溶液中において、エッチャントであるHF2-の濃度も増加する。
【0150】
HF + NH4 F → NH3 ↑+ H+ + HF2- ・・・[イ]
このように、ライフタイムの増加に伴って、BHF溶液におけるHF2-の濃度が増加するので、熱酸化膜のエッチング量も増加する。
【0151】
具体的には、洗浄用薬液が循環ライン20に供給されてから24時間経過後のBHF溶液は、洗浄用薬液が循環ライン20に供給された直後のBHF溶液と比較して、BHF溶液の組成は変化し、BHF溶液中におけるHF2-の濃度が高くなる。このため、ライフタイムが24時間における熱酸化膜のエッチング量(5.6nm)は、ライフタイムが0時間における熱酸化膜のエッチング量(4.0nm)と比較して、熱酸化膜のエッチング量が増加している。
【0152】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性について評価を行うことにより、ライフタイムの増加に伴って、被処理膜のエッチング量が一定の割合で増加することが分かった。
【0153】
次に、上記の条件の下、エッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行うために、任意に選択されたライフタイム(例えば、ライフタイムが24時間)における、処理槽内槽24に貯留されたBHF溶液中に、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜(熱酸化膜)のエッチングを行う。
【0154】
このようにして、各々のエッチング時間における熱酸化膜のエッチング量の測定を行うことにより、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液でのエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング時間とエッチング量との相関性について、表2及び図4を参照しながら説明する。
【0155】
表2は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のエッチング時間における被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0156】
また、図4は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0157】
[表2]に示すように、各々のエッチング時間(180秒間、150秒間、120秒間、90秒間)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図4に示すように、各々のエッチング時間における熱酸化膜のエッチング量をプロットすることにより、エッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0158】
【表2】

【0159】
これにより、図4に示すように、エッチング時間の減少に伴って、熱酸化膜のエッチング量が一定の割合で減少することが分かった。具体的には、エッチング時間が180秒間では、熱酸化膜のエッチング量が5.6nmであるのに対し、エッチング時間が120秒間には、熱酸化膜のエッチング量が4.0nmであった。
【0160】
ここで、図3に示すように、熱酸化膜のエッチング量の変動規格が、例えば±20%、つまり4.0±0.8(nm)である場合、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、表1及び図3に示すように、ライフタイムに関係なく一定のエッチング時間(180秒間)の間、熱酸化膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことにより、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、熱酸化膜が4.0nmエッチングされるのに対し、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、熱酸化膜が5.6nmエッチングされるので、変動規格の範囲外となる。
【0161】
しかしながら、表2及び図4に示すように、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液の場合、180秒間ではなく120秒間のエッチングを行うことにより、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液の場合と同様に、4.0nmの熱酸化膜のエッチング量を確保することができる。
【0162】
したがって、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10は、制御部14が内蔵されており、制御部14では、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。
【0163】
例えば、表1及び図3、並びに表2及び図4に示すように、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、制御部14によって180秒間のエッチング処理時間が導出され、一方、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、制御部14によって120秒間のエッチング処理時間が導出される。
【0164】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10に内蔵された制御部14におけるフローについて、図5(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
【0165】
図5(a) 及び(b) は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に内蔵された制御部14におけるフローについて示す図である。
【0166】
図5(a) に示すように、制御部14は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン20に供給されてから経過した時間、すなわち、ライフタイムを読み取る。続いて、制御部14は、補正計算式を用いて、読み取ったライフタイムに対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間の導出を行う。続いて、制御部14は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部14に予め設定されたレシピ(処理内容)におけるエッチング時間の書き換えを行うことにより、該エッチング時間から所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0167】
このように、制御部14に予め設定されたレシピには、所定のエッチング時間が登録されており、該所定のエッチング時間から、各々のライフタイムに対応する所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0168】
次に、循環槽11において、処理槽内槽24に貯留された洗浄用薬液中に、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板を浸漬する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0169】
例えば、前述したように、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、レシピにおける所定のエッチング時間から、180秒間のエッチング処理時間へ書き換えが行われ、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、レシピにおける所定のエッチング時間から120秒間のエッチング処理時間へ書き換えが行われる。これにより、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の間、熱酸化膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができるので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量(4.0nm)を確保することができる。
【0170】
また、図5(b) に示すように、制御部14は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン20に供給されてから経過した時間、すなわち、ライフタイムを読み取る。続いて、制御部14は、補正計算式を用いて、読み取ったライフタイムに対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間の導出を行う。続いて、制御部14は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部14に予め設定されたレシピ(処理内容)における複数のエッチング時間から、所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0171】
このように、制御部14に予め設定されたレシピには、複数のエッチング時間が登録されており、該複数のエッチング時間から、各々のライフタイムに対応する所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0172】
次に、循環槽11において、処理槽内槽24に貯留された洗浄用薬液中に、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板を浸漬する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0173】
例えば、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、レシピにおける複数のエッチング時間から180秒間のエッチング処理時間が選択され、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、レシピにおける複数のエッチング時間から120秒間のエッチング処理時間が選択される。これにより、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の間、熱酸化膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができるので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量(4.0nm)を確保することができる。
【0174】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10は、制御部14が内蔵されており、制御部14では、図5(a) 又は(b) に示すように、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。また、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10における処理槽内槽24では、制御部14によって導出された所望のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0175】
このため、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、ライフタイムの変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化し、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはあっても、制御部14によって、各々のライフタイムに対応してエッチング処理時間を制御することができるので、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、ライフタイムの変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0176】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0177】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造について、図6を参照しながら説明する。
【0178】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【0179】
尚、図6において、前述した本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同一の構成要素については、同一の符号を付す。したがって、本実施形態では、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0180】
図6に示すように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10は、循環槽11、水洗槽12、乾燥槽13から構成されており、洗浄装置10には制御部14を介してCIM(Computer Integrated Manufacturing )システム34が接続されている。このように、洗浄装置10は、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置(100)に制御部14を介してCIMシステム34が接続されている。
【0181】
以下に、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10を用いた場合における、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の決定方法について、前述した表1及び図3、並びに表2及び図4を参照しながら簡単に説明する。
【0182】
前述した表1及び図3、並びに表2及び図4に示すように、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10では、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、180秒間の間、熱酸化膜に対してエッチングを行うことにより、目標とするエッチング量(4.0nm)を確保することができる。また、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、120秒間の間、熱酸化膜に対して洗浄を行うことにより、目標とするエッチング量(4.0nm)を確保することができる。
【0183】
したがって、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10は、洗浄装置10に制御部14を介してCIMシステム34が接続されており、CIMシステム34では、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。
【0184】
例えば、前述した表1及び図3、並びに表2及び図4に示すように、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、CIMシステム34によって180秒間のエッチング処理時間が導出され、一方、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、CIMシステム34によって120秒間のエッチング処理時間が導出される。
【0185】
以下に、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10に接続されたCIMシステム34におけるフローについて、図7(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
【0186】
図7(a) 及び(b) は、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10に接続されたCIMシステム34におけるフローについて示す図である。
【0187】
図7(a) に示すように、制御部14は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン(20)に供給されてから経過した時間、すなわち、ライフタイムを読み取る。続いて、CIMシステム34は、制御部14からのライフタイムデータを受けて、補正計算式を用いて、読み取ったライフタイムに対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間を導出する。続いて、CIMシステム34は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部14に予め設定されたレシピ(処理内容)における複数のエッチング時間から、所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0188】
このように、制御部14に予め設定されたレシピには、複数のエッチング時間が登録されており、該複数のエッチング処理時間から、各々のライフタイムに対応する所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0189】
次に、循環槽11において、処理槽内槽(24)に貯留された洗浄用薬液中に、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板を浸漬する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0190】
また、図7(b) に示すように、制御部14は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから経過した時間、すなわち、ライフタイムを読み取る。続いて、CIMシステム34は、制御部14からのライフタイムデータを受けて、補正計算式を用いて、読み取ったライフタイムに対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間を導出する。続いて、CIMシステム34は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部14に予め設定されたレシピ(処理内容)におけるエッチング時間の書き換えを行うことにより、該エッチング時間から所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0191】
このように、制御部14に予め設定されたレシピには、所定のエッチング時間が登録されており、該所定のエッチング処理時間から、各々のライフタイムに対応する所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0192】
次に、循環槽11において、処理槽内槽に貯留された洗浄用薬液中に、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板を浸漬する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0193】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10は、制御部14が内蔵されており、制御部14を介してCIMシステム34が接続されている。CIMシステム34では、図7(a) 又は(b) に示すように、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。また、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置10における処理槽内槽では、CIMシステム34によって導出された所望のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0194】
このため、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、ライフタイムの変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化し、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはあっても、CIMシステム34によって、各々のライフタイムに対応してエッチング処理時間を制御することができるので、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、ライフタイムの変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0195】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0196】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置について説明する。
【0197】
尚、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置(10)のように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置内に制御部(14)が内蔵されている、又は、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置(10)のように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置に制御部(14)を介してCIMシステム(34)が接続されていることにより構成されている。
【0198】
従って、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、本発明の第1及び第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0199】
以下に、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間に関する補正計算式について、表3及び図8、表4及び図9、並びに表5及び図10を参照しながら説明する。
【0200】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式を導くために、洗浄用薬液として、溶液の温度が一定のエッチング温度(例えば、21℃)にコントロールされたBHF溶液(HF 0.10%、NH4 F 39.0%)を用いて、処理槽内槽(24)に貯留されたBHF溶液中に、一定のエッチング時間(例えば、180秒間)の間、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜(熱酸化膜)のエッチングを行う。
【0201】
まず、上記の条件の下、熱酸化膜におけるエッチングレートの上昇係数(B)を導くために、以下の測定を行う。
【0202】
ここで、上昇係数(B)とは、熱酸化膜のエッチングレートが、ライフタイムにおける経過時間に応じて上昇する割合を示す。
【0203】
表3は、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のライフタイムにおける被処理膜のエッチングレートを示す表である。
【0204】
また、図8は、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムとエッチングレートとの相関性を示す図である。
【0205】
表3に示すように、各々のライフタイム(0分、720分、1440分、2880分)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチングレートの測定を行う。続いて、図8に示すように、各々のライフタイムにおける熱酸化膜のエッチングレートをプロットすることにより、ライフタイムとエッチングレートとの相関性について評価を行う。
【0206】
【表3】

【0207】
ライフタイムがTa(min)における熱酸化膜のエッチングレートをYa(nm/min)とすると、ライフタイムTaと熱酸化膜のエッチングレートYaとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[a]が導かれる。
【0208】
Ya = 0.0004 Ta + 1.3199 ・・・[a]
近似式[a]より、熱酸化膜におけるエッチングレートの上昇係数(B)が導かれ、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチングレートは、ライフタイム1(min)あたり0.0004(nm/min)上昇することが分かる。
【0209】
このように、ライフタイムの増加に伴って、BHF溶液の組成が変化し、熱酸化膜のエッチング量が増加するので、熱酸化膜におけるエッチングレートが上昇する。
【0210】
次に、上記の条件の下、熱酸化膜のエッチングレート(A)、及び熱酸化膜の追加エッチング量(C)を導くために、以下の測定を行う。
【0211】
ここで、エッチングレート(A)とは、BHF溶液が循環ラインに供給された直後における、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量がエッチング時間に応じて増加する割合を示す。
【0212】
また、追加エッチング量(C)とは、BHF溶液が循環ラインに供給された直後における水洗工程等における、BHF溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量を示す。
【0213】
表4は、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが0分における各々のエッチング時間に対応する被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0214】
また、図9は、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが0分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0215】
表4に示すように、BHF溶液が循環ラインに供給された直後、すなわち、ライフタイムが0分におけるBHF溶液を用いて、各々のエッチング時間(1分、2分、3分)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図9に示すように、各々のエッチング時間における熱酸化膜のエッチング量をプロットすることにより、ライフタイムが0分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0216】
【表4】

【0217】
エッチング時間Xb(min)における熱酸化膜のエッチング量をZb(nm)とすると、ライフタイムが0分におけるエッチング時間Xbと熱酸化膜のエッチング量Zbとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[b]が導かれる。
【0218】
Zb = 1.20 Xb + 0.40 ・・・[b]
近似式[b]より、熱酸化膜のエッチングレート(A)が導かれ、ライフタイムが0分におけるBHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量は、エッチング時間1(min)あたり1.20(nm)増加することが分かる。
【0219】
また、近似式[b]より、熱酸化膜の追加エッチング量(C)が導かれ、水洗工程等において、ライフタイムが0分におけるBHF溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量は、0.40(nm)であることが分かる。
【0220】
次に、上記の条件の下、熱酸化膜における追加エッチングレート(D)を導くために、以下の測定を行う。
【0221】
追加エッチングレート(D)とは、水洗工程等において、BHF溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量(すなわち、熱酸化膜の追加エッチング量)が、ライフタイムにおける経過時間に応じて増加する割合を示す。
【0222】
表5は、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが1440分における各々のエッチング時間に対応する被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0223】
また、図10は、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが1440分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0224】
表5に示すように、任意に選択されたライフタイム(例えば、ライフタイムが1440分)におけるBHF溶液を用いて、各々のエッチング時間(1分、2分、3分)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図10に示すように、各々のエッチング時間における熱酸化膜のエッチング量をプロットすることにより、ライフタイムが1440分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0225】
【表5】

【0226】
エッチング時間Xc(min)における熱酸化膜のエッチング量をZc(nm)とすると、ライフタイムが1440分におけるエッチング時間Xcと熱酸化膜のエッチング量Zcとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[c]が導かれる。
【0227】
Zc = 1.67 Xc + 0.60 ・・・[c]
近似式[c]より、水洗工程等において、ライフタイムが1440分でのBHF溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量は、0.60(nm)であることが分かる。
【0228】
ここで、前述したように、ライフタイムの増加に伴って、BHF溶液の組成が変化するので、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量が増加する。このため、ライフタイムの増加に伴って、BHF溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量(以下、熱酸化膜の追加エッチング量と記す)も増加する。
【0229】
このように、図9に示される近似式[b]より、ライフタイムが0分における熱酸化膜の追加エッチング量が0.40(nm)であるのに対し、図10に示される近似式[c]より、ライフタイムが1440分における熱酸化膜の追加エッチング量は0.60(nm)であり、ライフタイムの増加に伴って熱酸化膜の追加エッチング量が増加する。
【0230】
従って、ライフタイムTd(min)における熱酸化膜の追加エッチング量をWdとすると、ライフタイムTdと追加エッチング量Wdとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[d]が導かれる。
【0231】
Wd = (1.39×10-4) × Td + 0.40 ・・・[d]
近似式[d]より、熱酸化膜における追加エッチングレート(D)が導かれ、水洗工程等において、BHF溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量(すなわち、熱酸化膜の追加エッチング量)は、ライフタイム1(min)あたり1.39×10-4(nm)増加することが分かる。
【0232】
近似式[a]、近似式[b]、及び近似式[d]より、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の導出は、以下に示される[数1]を用いて行われる。
【0233】
【数1】

【0234】
但し、上昇係数(B)は、被処理膜におけるエッチングレートが、ライフタイムにおける経過時間に応じて上昇する割合を示す値であり、近似式[a]より導かれる数値であって、例えば0.0004(nm/min2)である。
【0235】
また、エッチングレート(A)は、洗浄用薬液が循環ライン(洗浄液循環路)に供給された直後における被処理膜のエッチング量が、エッチング時間に応じて増加する割合を示す値であり、近似式[b]より導かれる数値であって、例えば1.2(nm/min)である。
【0236】
また、追加エッチング量(C)は、洗浄用薬液が循環ラインに供給された直後における水洗工程等において、洗浄用薬液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる被処理膜のエッチング量を示す値であり、近似式[b]より導かれる数値であって、例えば0.4(nm)である。
【0237】
また、追加エッチングレート(D)は、被処理膜における追加エッチング量が、ライフタイムにおける経過時間に応じて増加する割合を示す値であり、近似式[d]より導かれる数値であって、例えば1.39×10-4(nm/min2)である。
【0238】
本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部(14)又はCIMシステム(34)では、補正計算式として[数1]が設定されており、[数1]に基づいて各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。
【0239】
例えば、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部(14)又はCIMシステム(34)では、[数1]を用いることにより、前述した表1及び図3、並びに表2及び図4に示すように、ライフタイムが0分におけるBHF溶液では180秒間のエッチング処理時間が導出され、ライフタイムが1440分におけるBHF溶液では120秒間のエッチング処理時間が導出される。
【0240】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、前述した図5(a) 又は(b) 、並びに図7(a) 又は(b) に示すように、[数1]に基づいて各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間が導出される。また、本実施形態に係る電子デバイスにおける処理槽内槽では、制御部又はCIMシステムによって導出された所望のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0241】
このため、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、ライフタイムの変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化し、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはあっても、制御部又はCIMシステムによって、各々のライフタイムに対応してエッチング処理時間を制御することができるので、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、ライフタイムの変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0242】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0243】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、電子デバイスの洗浄方法について、図11(a) 〜(d) を参照しながら説明する。
【0244】
図11(a) 〜(d) は、本発明の第4の実施形態に係る電子デバイスの洗浄方法を示す要部工程断面図である。
【0245】
図11(a) に示すように、シリコン基板40の上に、窒化膜41、及びCVD酸化膜42を順に積層する。続いて、CVD酸化膜42の上に塗布されたレジスト43を所望の形状にパターニングすることにより、CVD酸化膜42の一部が露出された開口部44を形成する。開口部44におけるCVD酸化膜42及び窒化膜41に対してドライエッチングを施すことにより、開口部44におけるCVD酸化膜42及び窒化膜41の除去を行う。これにより、所望の形状のコンタクトホール45を形成する。
【0246】
次に、図11(b) に示すように、酸素プラズマによるアッシングを行うことにより、ドライエッチング後のレジスト残渣46の除去を行う。続いて、SPM(Sulfaric Acid-Hydrogen Peroxide Mixture、H2 SO4 /H2 2 )及びAPM(Ammonium Hydrogen Peroxide Mixture、NH4 OH/H2 2 )による洗浄を順次行うことにより、電子デバイスの清浄化を図る。
【0247】
次に、図11(c) に示すように、本発明の第4の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いて、自然酸化膜47を完全に除去することにより更なる電子デバイスの清浄化を図ると共に、CVD酸化膜42をエッチングすることにより所望の径を有するコンタクトホール45を形成することができる。
【0248】
例えば、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置において、洗浄用薬液として、溶液の温度が21℃にコントロールされたBHF溶液(HF 0.10%、NH4 F 39.0%)を用いて、処理槽内槽(24)に貯留されたBHF溶液中に、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の間、被処理基板(シリコン基板40)を浸漬する。これにより、シリコン基板40における被処理膜(自然酸化膜47及びCVD酸化膜42)に対して、洗浄の際におけるエッチングを行う。
【0249】
具体的には、前述した表1及び図3、並びに表2及び図4に示すように、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、180秒間の間、処理槽内槽に貯留されたBHF溶液中にシリコン基板40を浸漬する。一方、ライフタイムが24時間における洗浄用薬液では、120秒間の間、処理槽内槽に貯留されたBHF溶液中にシリコン基板40を浸漬する。
【0250】
このように、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の間、自然酸化膜47及びCVD酸化膜42に対してBHF溶液によるエッチングを施すことにより、コンタクトホール45の底部に形成された自然酸化膜47を完全に除去すると共にCVD酸化膜42を熱酸化膜換算で4.0nmエッチングすることができるので、所望の径を有するコンタクトホール45を形成することができる。
【0251】
次に、図11(d) に示すように、CVD酸化膜42の上、並びにコンタクトホール45の底部及び側壁の上に、ポリシリコン膜を形成する。続いて、CMP法を用いてポリシリコン膜の平坦化を行うことにより、ポリシリコンプラグ48を形成する。
【0252】
このように、本発明の第4の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行う。これにより、エッチング量を一定(熱酸化膜換算4.0nm)とすることができるので、ライフタイムに依存することなくコンタクトホール径の寸法シフト規格を満たすことができる。
【0253】
このため、自然酸化膜47の除去と共にCVD酸化膜42のエッチングを行う際に、ライフタイムの増加に伴って洗浄用薬液の組成が変化することにより、CVD酸化膜42が過剰にエッチングされることがないので、コンタクトホール径が過剰に拡大することがない。
【0254】
したがって、CVD酸化膜42が過剰にエッチングされ、コンタクトホール径が拡大し、隣り合ったコンタクトホール45が互いに接触することにより発生する、電子デバイスの不良を防止することができるので、電子デバイスの歩留まりの向上を図ることができる。
【0255】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。これにより、ライフタイムの変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化することはあっても、一定のエッチング量を確保することができる。
【0256】
また、従来例のように、洗浄用薬液が供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0257】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置について説明する。
【0258】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置(10)のように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置内に制御部(14)が内蔵されている、又は、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置(10)のように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置に制御部(14)を介してCIMシステム(34)が接続されていることにより構成されている。
【0259】
従って、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、本発明の第1及び第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0260】
本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の導出ではなく、各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度が導出される。
【0261】
以下に、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度の決定方法について具体的に説明する。
【0262】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における所望のエッチング処理温度の決定を行うために、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における循環ラインに供給される洗浄用薬液として、BHF溶液(HF 0.10%、NH4 F 39.0%)を用いて、循環ラインに設けられた電子冷熱により、BHF溶液の温度をコントロールする。
【0263】
上記の条件の下、処理槽内槽に貯留されたBHF溶液中に、一定のエッチング時間(3分間)の間、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜(熱酸化膜)のエッチングを行う。
【0264】
このようにして、各々のエッチング温度における熱酸化膜のエッチング量の測定を行うことにより、各々のライフタイム(0時間、24時間、48時間)におけるBHF溶液でのエッチング温度とエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング温度とエッチング量との相関性について、表6を参照しながら説明する。
【0265】
表6は、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のライフタイム(0時間、24時間、48時間)における各々のエッチング温度に対応する被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0266】
表6に示すように、電子冷熱によって一定のエッチング温度(21℃)にコントロールされたBHF溶液では、ライフタイムが0時間における熱酸化膜のエッチング量は4.0nmであるのに対し、ライフタイムが24時間における熱酸化膜のエッチング量は5.6nmである。
【0267】
【表6】

【0268】
ここで、被処理膜のエッチング量は、エッチング温度に依存しており、アレニウスの一次式で表されることが一般に知られている。
【0269】
このため、表6に示されるように、各々のライフタイム(0時間、24時間、48時間)における熱酸化膜のエッチング量は、エッチング温度の上昇に伴って一定の割合で増加する。
【0270】
例えば、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、各々のエッチング温度(15.0℃、16.6℃、17.0℃、19.0℃、21.0℃、23.0℃)に対応して、各々の熱酸化膜のエッチング量(3.5nm、4.0nm、4.1nm、4.9nm、5.6nm、6.6nm)が得られ、エッチング温度の上昇に伴って熱酸化膜のエッチング量は一定の割合で増加する。
【0271】
したがって、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、表6に示すように、BHF溶液の温度を21℃から16.6℃へ調整することにより、4.0nmの熱酸化膜のエッチング量を確保することができる。
【0272】
このため、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部又はCIMシステムを備えており、制御部又CIMシステムによって、各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度が導出される。
【0273】
例えば、ライフタイムが0時間におけるBHF溶液では、制御部又はCIMシステムによって、21℃のエッチング処理温度が導出され、一方、ライフタイムが24時間におけるBHF溶液では、制御部又はCIMシステムによって、16.6℃のエッチング処理温度が導出される。
【0274】
また、前述した図5(a) 及び(b) 、並びに図7(a) 及び(b) に示すように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における処理槽内槽では、制御部又はCIMシステムによって導出されたエッチング処理温度の下、処理槽内槽に貯留されたBHF溶液中に、一定のエッチング時間の間、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0275】
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部又CIMシステムを備えており、制御部又はCIMシステムでは、各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度が導出される。また、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における処理槽内槽では、制御部又はCIMシステムによって導出された所望のエッチング処理温度の下、一定のエッチング時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0276】
このため、本発明の第5の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、ライフタイムの変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化することがあっても、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはなく、制御部又はCIMシステムによって、各々のライフタイムに対応してエッチング処理温度を制御することができるので、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、ライフタイムの変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0277】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0278】
(第6の実施形態)
以下に、本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置について説明する。
【0279】
尚、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置(10)のように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置内に制御部(14)が内蔵されている、又は、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置(10)のように、第1の従来例に係る電子デバイスのバッチ式洗浄装置に制御部(14)を介してCIMシステム(34)が接続されていることにより構成されている。
【0280】
従って、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、本発明の第1及び第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0281】
本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、各々のライフタイムに対応するエッチング処理時間の導出ではなく、各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度が導出される。
【0282】
以下に、本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度に関する補正計算式について、表7及び図12を参照しながら説明する。
【0283】
表7は、本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが0分における各々のエッチング温度に対応する被処理膜のエッチングレートを示す表である。
【0284】
また、図12は、第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、1/(273+Tj)とLn(Rj)との相関性を示す図である。
【0285】
尚、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式の説明では、本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式の説明と同様の説明は繰り返し行わない。
【0286】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式を導くために、洗浄用薬液として、電子冷熱によって溶液の温度(エッチング温度)がコントロールされたBHF溶液(HF 0.10%、NH4 F 39.0%)を用いて、処理槽内槽に貯留されたBHF溶液中に、一定のエッチング時間(180秒間)の間、被処理基板を浸漬することにより、被処理基板における被処理膜(熱酸化膜)のエッチングを行う。
【0287】
まず、上記の条件の下、熱酸化膜におけるエッチングレートの上昇係数(B)を導く。
【0288】
前述したように、近似式[a]より、熱酸化膜におけるエッチングレートの上昇係数(B)が導かれ、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチングレートは、ライフタイム1(min)あたり0.0004(nm/min)上昇することが分かる。
【0289】
上昇係数(B) = 0.0004(nm/min2
次に、上記の条件の下、ライフタイムが0分における熱酸化膜のエッチングレート(A)を導く。
【0290】
前述したように、近似式[b]より、熱酸化膜のエッチングレート(A)が導かれ、BHF溶液が循環ライン(20)に供給された直後(すなわち、ライフタイムが0分)におけるBHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチング量は、エッチング時間1(min)あたり1.2(nm)増加することが分かる。
【0291】
エッチングレート(A) = 1.2(nm/min)
上昇係数(B)及びエッチングレート(A)より、ライフタイムがXi(min)におけるBHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチングレートをYi(nm/min)とすると、熱酸化膜のエッチングレートYiは、以下に示される式[i]を用いて求めることができる。
【0292】
Yi = 0.0004Xi + 1.2 ・・・[i]
このように、ライフタイムの増加に伴ってBHF溶液の組成が変化するので、ライフタイムXi(min)における熱酸化膜(nm)のエッチングレートYi(nm/min)が上昇する。
【0293】
次に、表7に示すように、ライフタイムが0分におけるBHF溶液を用いて、各々のエッチング温度Tj(15℃、17℃、19℃、21℃、23℃)毎に、BHF溶液によってエッチングされる熱酸化膜のエッチングレートRjの測定を行うことにより、エッチング温度TjとエッチングレートRjとの相関性について評価を行う。
【0294】
【表7】

【0295】
ここで、前述したように、化学反応における反応速度と反応温度との関係は、アレニウスの式を満たすことが一般に知られており、エッチングレートRjはエッチング反応における反応速度であるから、エッチングレートRjとエッチング温度Tj(反応温度)との関係はアレニウスの式を用いることにより、以下に示す式[j]で表すことができる。
Ln(Rj) = −Ea/R × 1/(273+Tj) + lnA ・・・[j]
但し、Rは気体定数であり、Ea及びAは固有値であって、具体的にはEaが活性化自由エネルギーであってAは頻度因子である。
【0296】
次に、式[j]における固有値Ea及びAを求めるために、式[j]に対して、各々のエッチング温度TjにおけるエッチングレートRjを代入する。
【0297】
具体的には、図12に示すように、表7に示される1/(273+Tj)におけるLn(Rj)をプロットすることにより、固有値Ea及びAを求める。
【0298】
次に、式[j]に対して、R、Ea及びAの具体的な数値を代入して整理することにより、以下に示す式[k]が導かれる。
【0299】
Ln(Rj) = −6833.7 × 1/(273+Tj) + 23.43
・・・[k] 式[k]より、エッチングレートRjは、以下に示す式[l]を用いて求めることができる。
【0300】
Rj = et・・・[l]
(但し、t = −6833.7 × 1/(273+Tj) + 23.43である。)
前述した式[i]に示すように、ライフタイムの増加に伴って、洗浄用薬液の組成が変化するので、被処理膜におけるエッチングレートが上昇する。
【0301】
従って、ライフタイムに依存することなく、一定のエッチングレート(1.2(nm/min))を確保するには、ライフタイムの変化量に対応するエッチングレートの変化量に基づいて、エッチング処理温度の導出を行う必要がある。これにより、以下に示す[数m]が導かれる。
【数m】

【0302】
但し、t = −6833.7 × 1/(273+Tj) + 23.43である。
【0303】
従って、式[m]におけるエッチング温度Tj(℃)について求めることにより、以下に示す[数3]が導かれ、[数3]を用いることにより、ライフタイムがXi(min)に対応するエッチング処理温度を導出することができる。
【0304】
【数3】

【0305】
但し、エッチングレート(A)は、洗浄用薬液が循環ライン(洗浄液循環路)に供給された直後における被処理膜のエッチング量が、エッチング時間に応じて増加する割合を示す値であって、例えば1.2(nm/min)である。
【0306】
また、エッチングレートYi(nm/min)は、洗浄用薬液が循環ライン(洗浄液循環路)に供給されてから経過した時間Xi(min)における被処理膜のエッチングレートを示す値である。
【0307】
例えば、[数3]を用いることにより、上記の条件の下におけるライフタイムがXi(min)に対応するエッチング温度Tj(℃)の導出は、以下に示す式[30]を用いて行うことができる。
Tj = 6833.7 / [ 23.43 − Ln[ 1.44 /( 1.2 + 0.0004 Xi )]] − 273
・・・[30] 式[30]より、ライフタイムが0分におけるBHF溶液では21℃のエッチング処理温度が導出され、一方、ライフタイムが1440分におけるBHF溶液では16.6℃のエッチング処理温度が導出される。
【0308】
本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、補正計算式として[数3]が設定されており、[数3]に基づいて各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度が導出される。
【0309】
例えば、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、[数3]を用いることにより、前述した表6に示すように、ライフタイムが0分におけるBHF溶液では21℃のエッチング処理温度が導出され、ライフタイムが1440分におけるBHF溶液では16.6℃のエッチング処理温度が導出される。
【0310】
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、前述した図5(a) 又は(b) 、並びに図7(a) 又は(b) に示すように、[数3]に基づいて各々のライフタイムに対応するエッチング処理温度が導出される。また、本実施形態に係る電子デバイスにおける処理槽内槽では、制御部又はCIMシステムによって導出された所望のエッチング処理温度の下、一定のエッチング時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0311】
このため、本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、ライフタイムの変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化することがあっても、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはなく、制御部又はCIMシステムによって、各々のライフタイムに対応してエッチング処理温度を制御することができるので、各々のライフタイムに対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、ライフタイムの変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、ライフタイムに依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0312】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0313】
(第7の実施形態)
以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造について、図13を参照しながら説明する。
【0314】
図13は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【0315】
図13に示すように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、循環部、洗浄部、水洗部、及び制御部60から構成されている。このようにして、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置内に、制御部60を導入することにより構成されている。
【0316】
また、循環部では、洗浄用薬液が循環されており、循環部は、循環ライン(洗浄液循環路)61、循環ポンプ62、循環タンク63、電子冷熱64、フィルター65から構成されている。また、洗浄部では、洗浄用薬液による被処理膜の洗浄が行われており、洗浄部は、洗浄チャンバー66、カップ67、洗浄用薬液ノズル68、へパ69、及びホルダー70から構成されている。また、水洗部では、被処理膜の水洗が行われており、水洗部は、水洗ノズル71から構成されている。
【0317】
以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、電子デバイスの洗浄方法について図13を参照しながら説明する。
【0318】
まず、循環部における循環ライン61に洗浄用薬液を供給する。循環ライン61に供給される洗浄用薬液は、循環ライン61に設けられた電子冷熱64により溶液の温度が調整される。このように、電子冷熱64によって溶液の温度(エッチング温度)がコントロールされた洗浄用薬液は、洗浄用薬液ノズル68を通じて、循環ライン61から洗浄チャンバー66へ導入される。
【0319】
次に、洗浄チャンバー66内では、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、洗浄用薬液ノズル68を通じて、所望のエッチング処理時間の間、ホルダー70によって保持された被処理基板に対して洗浄用薬液が供給することにより、被処理基板における被処理膜のエッチングを行う。このとき、被処理基板は、ホルダー70によって所定の回転数で回転されている。被処理基板の洗浄に使用された洗浄用薬液は、循環ライン61によって繰り返し循環されて、洗浄チャンバー66において再利用される。
【0320】
ここで、洗浄の際に、被処理膜に対して施されるエッチング処理条件(例えば、エッチング処理時間)は、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に内蔵された制御部60によって制御される。具体的には、制御部60によって、循環ライン61に洗浄用薬液が供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間(以下、累積処理時間と記す)の計測が行われ、計測された累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出されることにより、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件が決定される。
【0321】
このように、制御部60によって、各々の累積処理時間に対応する所望のエッチング処理時間が決定され、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板の上に洗浄用薬液が供給される。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングを行う。
【0322】
次に、水洗部では、水洗ノズル71を通じて、洗浄部においてエッチングされた被処理膜に対して水洗が施される。これにより、被処理膜から洗浄用薬液におけるエッチング後の残留液が除去されると共に、該残留液によって被処理膜はエッチングされる。このため、被処理膜は、洗浄部において洗浄用薬液によってエッチングされるだけでなく、水洗部において洗浄用薬液におけるエッチング後の残留液によってもエッチングされる。
【0323】
次に、乾燥部(図示せず)では、水洗部において水洗された被処理膜に対して、乾燥が施される。
【0324】
以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いて、累積処理時間とエッチング量との相関性、及びエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行うことにより、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の決定方法について具体的に説明する。
【0325】
これらの相関性について評価を行うために、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における循環ライン61に供給される洗浄用薬液として、ポリマー溶液(NH4 F 0.5%、有機溶剤 45%、水 54.5% )を用いて、循環ライン61に設けられた電子冷熱64により、ポリマー溶液の温度を一定のエッチング温度(例えば、25℃)にコントロールする。
【0326】
まず、上記の条件の下、累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行うために、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、洗浄用薬液ノズル68を通じて、一定のエッチング時間(例えば、3分間)の間、ホルダー70によって保持された被処理基板に対してポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。
【0327】
このようにして、各々の累積処理時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行うことにより、累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性について、表8及び図14を参照しながら説明する。
【0328】
表8は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々の累積処理時間における被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0329】
また、図14は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0330】
[表8] に示すように、各々の累積処理時間(0分、300分、600分、900分)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行う。
【0331】
【表8】

【0332】
ここで、前述したように、累積処理時間とは、循環ライン61に洗浄用薬液が供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間である。従って、累積処理時間が0分では、循環ライン61に洗浄用薬液が供給された時点から1枚目の被処理膜が洗浄用薬液によってエッチングされ、同様に、累積処理時間が300分では101枚目、累積処理時間が600分では201枚目、累積処理時間が900分では301枚目の被処理膜が、洗浄用薬液によってエッチングされる。
【0333】
すなわち、[表8]に示すように、累積処理時間が0分では、洗浄用薬液によって既に処理された被処理膜の処理枚数は0枚であり、同様に、累積処理時間が300分における被処理膜の処理枚数は100枚、累積処理時間が600分における被処理膜の処理枚数は200枚、及び累積処理時間が900分における被処理膜の処理枚数は300枚である。
【0334】
続いて、図14に示すように、各々の累積処理時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をプロットすることにより、累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0335】
これにより、図14に示すように、累積処理時間の増加に伴って、プラズマTEOS膜のエッチング量が一定の割合で増加することが分かった。具体的には、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、プラズマTEOS膜のエッチング量が0.3nmであるのに対し、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、プラズマTEOS膜のエッチング量が0.6nmであった。このように、累積処理時間が900分におけるプラズマTEOS膜のエッチング量は、累積処理時間が0分におけるプラズマTEOS膜のエッチング量と比較して、エッチング量が増加していることが分かる。
【0336】
ここで、累積処理時間の増加に伴って、プラズマTEOS膜のエッチング量が増加する原因を以下に示す。
【0337】
NH4 Fを含むポリマー溶液は、NH3 、NH4+、及びHF2- に解離された平衡状態にある。従って、ポリマー溶液中には、NH4 F、NH3 、NH4+、及びHF2- が存在している。
【0338】
これらのうち、NH3 は、他の成分(NH4 F、NH4+、及びHF2- )に比べて、蒸気圧が低いため揮発し易い。このため、洗浄チャンバー66では、洗浄用薬液ノズル68を通じて、被処理基板に対して洗浄用薬液の供給を行う際に、ポリマー溶液がミスト化(微細化)されるので、ポリマー溶液におけるNH3が選択的に揮発する。従って、累積処理時間の増加に伴って、ポリマー溶液におけるNH3 が揮発されてポリマー溶液におけるNH3の濃度が減少する。
【0339】
これにより、式[ロ]に示すように、ポリマー溶液の平衡状態が右側(生成系側)へ傾くためHF2-が解離される量が増加するので、ポリマー溶液中において、エッチャントであるHF2-の濃度も増加する。
【0340】
2NH4 F → NH3 + NH4+ + HF2- ・・・[ロ]
このように、累積処理時間の増加に伴って、ポリマー溶液におけるHF2-の濃度が増加するので、プラズマTEOS膜のエッチング量も増加する。
【0341】
具体的には、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液は、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液と比較して、ポリマー溶液の組成は変化し、ポリマー溶液中におけるHF2-の濃度が高くなる。このため、累積処理時間が900分におけるプラズマTEOS膜のエッチング量(0.6nm)は、累積処理時間が0分におけるプラズマTEOS膜のエッチング量(0.3nm)と比較して、プラズマTEOS膜のエッチング量が増加している。
【0342】
以上のように、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行うことにより、累積処理時間の増加に伴って、被処理膜のエッチング量が一定の割合で増加することが分かった。
【0343】
次に、上記の条件の下、エッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行うために、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、洗浄用薬液ノズル68を通じて、任意に選択された累積処理時間(例えば、累積処理時間が900分)におけるポリマー溶液をホルダー70によって保持された被処理基板に対して供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。
【0344】
このようにして、各々のエッチング時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行うことにより、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液でのエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング時間とエッチング量との相関性について、表9及び図15を参照しながら説明する。
【0345】
表9は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々のエッチング時間における被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0346】
また、図15は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0347】
[表9]に示すように、各々のエッチング時間(180秒間、120秒間、80秒間、60秒間)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図15に示すように、各々のエッチング時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をプロットすることにより、エッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0348】
【表9】

【0349】
これにより、図15に示すように、エッチング時間の減少に伴って、プラズマTEOS膜のエッチング量が一定の割合で減少することが分かった。具体的には、エッチング時間が180秒間では、プラズマTEOS膜のエッチング量が0.60nmであるのに対し、エッチング時間が80秒間には、プラズマTEOS膜のエッチング量が0.30nmであった。
【0350】
ここで、図14に示すように、プラズマTEOS膜のエッチング量の変動規格が、例えば±50%、つまり0.30±0.15(nm)である場合、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、表8及び図14に示すように、累積処理時間に関係なく一定のエッチング時間(180秒間)の間、プラズマTEOS膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことにより、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、プラズマTEOS膜が0.3nmエッチングされるのに対し、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、プラズマTEOS膜が0.6nmエッチングされるので、変動規格の範囲外となる。
【0351】
しかしながら、表9及び図15に示すように、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液の場合、180秒間ではなく80秒間のエッチングを行うことにより、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液の場合と同様に、0.3nmのプラズマTEOS膜のエッチング量を確保することができる。
【0352】
したがって、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部60が内蔵されており、制御部60では、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。
【0353】
例えば、表8及び図14、並びに表9及び図15に示すように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、制御部60によって180秒間のエッチング処理時間が導出され、一方、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、制御部60によって80秒間のエッチング処理時間が導出される。
【0354】
以下に、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に内蔵された制御部60におけるフローについて、図16(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
【0355】
図16(a) 及び(b) は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に内蔵された制御部60におけるフローについて示す図である。
【0356】
図16(a) に示すように、制御部60は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン61に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間、すなわち、累積処理時間を読み取る。続いて、制御部60は、補正計算式を用いて、読み取った累積処理時間に対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間の導出を行う。続いて、制御部60は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部60内に予め設定されたレシピ(処理内容)におけるエッチング時間の書き換えを行うことにより、該エッチング時間から所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0357】
このように、制御部60内に予め設定されたレシピには、所定のエッチング時間が登録されており、該所定のエッチング時間から、各々の累積処理時間に対応する所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0358】
次に、洗浄チャンバー66において、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板の上に洗浄用薬液を供給する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0359】
例えば、前述したように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、レシピにおける所定のエッチング時間から、180秒間のエッチング処理時間へ書き換えが行われ、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、レシピにおける所定のエッチング時間から80秒間のエッチング処理時間へ書き換えが行われる。これにより、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の間、プラズマTEOS膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができるので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量(0.3nm)を確保することができる。
【0360】
また、図16(b) に示すように、制御部60は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン61に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間、すなわち、累積処理時間を読み取る。続いて、制御部60は、補正計算式を用いて、読み取った累積処理時間に対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間の導出を行う。続いて、制御部60は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部60内に予め設定されたレシピ(処理内容)における複数のエッチング時間から、所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0361】
このように、制御部60内に予め設定されたレシピには、複数のエッチング時間が登録されており、該複数のエッチング時間から、各々の累積処理時間に対応する所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0362】
次に、洗浄チャンバー66において、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、所望のエッチング処理時間の間、被処理基板の上に洗浄用薬液を供給する。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0363】
例えば、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、レシピにおける複数のエッチング時間から180秒間のエッチング処理時間が選択され、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、レシピにおける複数のエッチング時間から80秒間のエッチング処理時間が選択される。これにより、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の間、プラズマTEOS膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができるので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量(0.3nm)を確保することができる。
【0364】
以上のように、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部60が内蔵されており、制御部60では、図16(a) 又は(b) に示すように、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。また、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバー66では、制御部60によって導出された所望のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0365】
このため、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、累積処理時間の変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化し、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはあっても、制御部60によって、各々の累積処理時間に対応してエッチング処理時間を制御することができるので、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、累積処理時間の変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0366】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0367】
(第8の実施形態)
以下に、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造について、図17を参照しながら説明する。
【0368】
図17は、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【0369】
尚、図17において、前述した本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同一の構成要素については、同一の符号を付す。したがって、本実施形態では、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0370】
図17に示すように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、循環部、洗浄部、及び水洗部から構成されており、該洗浄装置には制御部60を介してCIM(Computer Integrated Manufacturing )システム80が接続されている。このように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置に制御部60を介してCIMシステム80が接続されている。
【0371】
以下に、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の決定方法について、前述した表8及び図14、並びに表9及び図15を参照しながら簡単に説明する。
【0372】
前述した表8及び図14、並びに表9及び図15に示すように、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、180秒間の間、プラズマTEOS膜に対してエッチングを行うことにより、目標とするエッチング量(0.3nm)を確保することができる。また、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、80秒間の間、プラズマTEOS膜に対して洗浄を行うことにより、目標とするエッチング量(0.3nm)を確保することができる。
【0373】
したがって、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、該洗浄装置に制御部60を介してCIMシステム80が接続されており、CIMシステム80では、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。
【0374】
例えば、前述した表8及び図14、並びに表9及び図15に示すように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、CIMシステム80によって180秒間のエッチング処理時間が導出され、一方、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、CIMシステム80によって80秒間のエッチング処理時間が導出される。
【0375】
以下に、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に接続されたCIMシステム80におけるフローについて、図18(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
【0376】
図18(a) 及び(b) は、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に接続されたCIMシステム80におけるフローについて示す図である。
【0377】
図18(a) に示すように、制御部60は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン61に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間、すなわち、累積処理時間を読み取る。続いて、CIMシステム80は、制御部60からのライフタイムデータを受けて、補正計算式を用いて、読み取った累積処理時間に対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間を導出する。続いて、CIMシステム80は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部60に予め設定されたレシピ(処理内容)における複数のエッチング時間から、所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0378】
このように、制御部60に予め設定されたレシピには、複数のエッチング時間が登録されており、該複数のエッチング時間から、各々の累積処理時間に対応する所望のエッチング処理時間の選択を行う。
【0379】
次に、洗浄チャンバー66において、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、被処理基板の上に洗浄用薬液が供給される。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0380】
また、図18(b) に示すように、制御部60は、まず、ロット処理の際に、洗浄用薬液が循環ライン61に供給された時点からの被処理膜に対して施されるエッチング処理時間を合計した時間、すなわち、累積処理時間を読み取る。続いて、CIMシステム80は、制御部60からの累積処理時間データを受けて、補正計算式を用いて、読み取った累積処理時間に対応するエッチング処理条件、具体的には、エッチング処理時間を導出する。続いて、CIMシステム80は、導出したエッチング処理時間に基づいて、制御部60に予め設定されたレシピ(処理内容)におけるエッチング時間の書き換えを行うことにより、該エッチング時間から所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0381】
このように、制御部60に予め設定されたレシピには、所定のエッチング時間が登録されており、該所定のエッチング時間から、各々の累積処理時間に対応する所望のエッチング処理時間へ変更を行う。
【0382】
次に、洗浄チャンバー66において、ホルダー70を用いて被処理基板の回転を行った状態で、被処理基板の上に洗浄用薬液が供給される。これにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0383】
以上のように、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部60が内蔵されており、制御部60を介してCIMシステム80が接続されている。CIMシステム80では、図18(a) 又は(b) に示すように、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。また、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバー66では、CIMシステム80によって導出された所望のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0384】
このため、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、累積処理時間の変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化し、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはあっても、CIMシステム80によって、各々の累積処理時間に対応してエッチング処理時間を制御することができるので、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、累積処理時間の変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0385】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0386】
(第9の実施形態)
以下に、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置について説明する。
【0387】
尚、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置のように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置内に制御部(60)が内蔵されている、又は、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置のように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置に制御部(60)を介してCIMシステム(80)が接続されていることにより構成されている。
【0388】
従って、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、本発明の第7及び第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0389】
以下に、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間に関する補正計算式について、表10及び図19、表11及び図20、並びに表12及び図21を参照しながら説明する。
【0390】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式を導くために、洗浄用薬液として、溶液の温度が一定のエッチング温度(例えば、25℃)にコントロールされたポリマー溶液(NH4 F 0.5%、有機溶剤45%、水54.5%)を用いて、洗浄用薬液ノズル(68)を通じて、一定のエッチング時間(例えば、180秒間)の間、ホルダー(70)によって保持された被処理基板に対してポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。このとき、被処理基板は、ホルダー70によって所定の回転数で回転されている。
【0391】
まず、上記の条件の下、プラズマTEOS膜におけるエッチングレートの上昇係数(F)を導くために、以下の測定を行う。
【0392】
ここで、上昇係数(F)とは、プラズマTEOS膜のエッチングレートが、累積処理時間における経過時間に応じて上昇する割合を示す。
【0393】
表10は、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々の累積処理時間における被処理膜のエッチングレートを示す表である。
【0394】
また、図19は、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチングレートとの相関性を示す図である。
【0395】
表10に示すように、各々の累積処理時間(0分、300分、600分、900分)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチングレートの測定を行う。続いて、図19に示すように、各々の累積処理時間におけるプラズマTEOS膜のエッチングレートをプロットすることにより、累積処理時間とエッチングレートとの相関性について評価を行う。
【0396】
【表10】

【0397】
累積処理時間がTe(min)におけるプラズマTEOS膜のエッチングレートをYe(nm/min)とすると、累積処理時間TeとプラズマTEOS膜のエッチングレートYeとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[e]が導かれる。
【0398】
Ye = 0.0001 Te + 0.10 ・・・[e]
近似式[e]より、プラズマTEOS膜におけるエッチングレートの上昇係数(F)が導かれ、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチングレートは、累積処理時間1(min)あたり0.0001(nm/min)上昇することが分かる。
【0399】
このように、累積処理時間の増加に伴って、ポリマー溶液の組成が変化し、プラズマTEOS膜のエッチング量が増加するので、プラズマTEOS膜におけるエッチングレートが上昇する。
【0400】
次に、上記の条件の下、プラズマTEOS膜のエッチングレート(E)、及びプラズマTEOS膜の追加エッチング量(G)を導くために、以下の測定を行う。
【0401】
ここで、エッチングレート(E)とは、ポリマー溶液が循環ラインに供給された直後における、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量がエッチング時間に応じて増加する割合を示す。
【0402】
また、追加エッチング量(G)とは、ポリマー溶液が循環ラインに供給された直後における水洗工程等における、ポリマー溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量を示す。
【0403】
表11は、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が0分における各々のエッチング時間に対応する被処理膜のエッチング量を示す量である。
【0404】
また、図20は、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が0分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0405】
表11に示すように、ポリマー溶液が循環ラインに供給された直後、すなわち、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液を用いて、各々のエッチング時間(0.5分、1分、2分、3分)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図20に示すように、各々のエッチング時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をプロットすることにより、累積処理時間が0分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0406】
【表11】

【0407】
ここで、エッチング時間Xf(min)におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をZf(nm)とすると、累積処理時間が0分におけるエッチング時間XfとプラズマTEOS膜のエッチング量Zfとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[f]が導かれる。
【0408】
Zf = 0.09 Xf + 0.03 ・・・[f]
近似式[f]より、プラズマTEOS膜のエッチングレート(E)が導かれ、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量は、エッチング時間1(min)あたり0.09(nm)上昇することが分かる。
【0409】
また、近似式[f]より、プラズマTEOS膜の追加エッチング量(G)が導かれ、水洗工程等において、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量は、0.03(nm)であることが分かる。
【0410】
次に、上記の条件の下、プラズマTEOS膜における追加エッチングレート(H)を導くために、以下の測定を行う。
【0411】
追加エッチングレート(H)とは、水洗工程等において、ポリマー溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量(すなわち、プラズマTEOS膜の追加エッチング量)が、累積処理時間における経過時間に応じて増加する割合を示す。
【0412】
表12は、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が900分における各々のエッチング時間に対応する被処理膜のエッチング量を示す値である。
【0413】
また、図21は、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が900分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【0414】
表12に示すように、任意に選択された累積処理時間(例えば、累積処理時間が900分)におけるポリマー溶液を用いて、各々のエッチング時間(1分、1.33分、2分、3分)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行う。続いて、図21に示すように、各々のエッチング時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をプロットすることにより、累積処理時間が900分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性について評価を行う。
【0415】
【表12】

【0416】
ここで、エッチング時間Xg(min)におけるプラズマTEOS膜のエッチング量をZg(nm)とすると、累積処理時間が900分におけるエッチング時間XgとプラズマTEOS膜のエッチング量Zgとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[g]が導かれる。
【0417】
Zg = 0.18 Xg + 0.06 ・・・[g]
近似式[g]より、水洗工程等において、累積処理時間が900分でのポリマー溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量は、0.06(nm)であることが分かる。
【0418】
また、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量は、エッチング時間1(min)あたり0.18(nm)上昇することが分かる。
【0419】
これは、近似式[f]に示されるように、累積処理時間0分におけるプラズマTEOS膜のエッチングレート(E)は0.09(nm/min)であって、近似式[e]に示されるように、プラズマTEOS膜におけるエッチングレートの上昇係数(F)は0.0001(nm/min2)であるので、累積処理時間900分におけるプラズマTEOS膜のエッチングレートは、
0.09(nm/min)+ 0.0001(nm/min2)×900(min)=0.18(nm/min)
上記に示される式を用いて算出することも可能である。
【0420】
ここで、前述したように、累積処理時間の増加に伴って、ポリマー溶液の組成が変化するので、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量が増加する。このため、累積処理時間の増加に伴って、ポリマー溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量(以下、プラズマTEOS膜の追加エッチング量と記す)も増加する。
【0421】
このように、図20に示される近似式[f]より、累積処理時間が0分におけるプラズマTEOS膜の追加エッチング量は0.03(nm)であるのに対し、図21に示される近似式[g]より、累積処理時間が900分におけるプラズマTEOS膜の追加エッチング量は0.06(nm)であり、累積処理時間の増加に伴ってプラズマTEOS膜の追加エッチングが増加する。
【0422】
従って、累積処理時間Th(min)におけるプラズマTEOS膜の追加エッチング量をWhとすると、累積処理時間Thと追加エッチング量Whとの関係は、一次関数で表されるので、以下に示す近似式[h]が導かれる。
【0423】
Wh = (3.33×10-6) × Th + 0.03 ・・・[h]
近似式[h]より、プラズマTEOS膜における追加エッチングレート(H)が導かれ、水洗工程等において、ポリマー溶液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量(すなわち、プラズマTEOS膜の追加エッチング量)は、累積処理時間1(min)あたり3.33×10-6(nm)増加することが分かる。
【0424】
近似式[e]、近似式[f]、及び近似式[h]より、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の導出は、以下に示される[数2]を用いて行われる。
【0425】
【数2】

【0426】
但し、上昇係数(F)は、被処理膜におけるエッチングレートが、累積処理時間における経過時間に応じて上昇する割合を示す値であり、近似式[e]より導かれる数値であって、例えば0.0001(nm/min2)である。
【0427】
また、エッチングレート(E)は、洗浄用薬液が循環ライン(洗浄液循環路)に供給された直後における被処理膜のエッチング量が、エッチング時間に応じて増加する割合を示す値であり、近似式[f]より導かれる数値であって、例えば0.09(nm/min)である。
【0428】
また、追加エッチング量(G)は、洗浄用薬液が循環ラインに供給された直後における水洗工程等において、洗浄用薬液におけるエッチング後の残留液によってエッチングされる被処理膜のエッチング量を示す値であり、近似式[f]より導かれる数値であって、例えば0.03(nm)である。
【0429】
また、追加エッチングレート(H)は、被処理膜における追加エッチング量が、累積処理時間における経過時間に応じて増加する割合を示す値であり、近似式[h]より導かれる数値であって、例えば3.33×10-6(nm/min2)である。
【0430】
本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部(60)又はCIMシステム(80)では、補正計算式として[数2]が設定されており、[数2]に基づいて各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。
【0431】
例えば、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部(60)又はCIMシステム(80)では、[数2]を用いることにより、前述した表8及び図14、並びに表9及び図15に示すように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では180秒間のエッチング処理時間が導出され、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では80秒間のエッチング処理時間が導出される。
【0432】
以上のように、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、前述した図16(a) 又は(b) 、並びに図18(a) 又は(b) に示すように、[数2]に基づいて各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間が導出される。また、本実施形態に係る電子デバイスにおける洗浄チャンバーでは、制御部又はCIMシステムによって導出された所望のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0433】
このため、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、累積処理時間の変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化し、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはあっても、制御部又はCIMシステムによって、各々の累積処理時間に対応してエッチング処理時間を制御することができるので、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、累積処理時間の変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0434】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0435】
(第10の実施形態)
以下に、本発明の第10の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、電子デバイスの洗浄方法について、図22(a) 〜(c) を参照しながら説明する。
【0436】
図22(a) 〜(c) は、本発明の第10の実施形態に係る電子デバイスの洗浄方法を示す要部工程断面図である。
【0437】
図22(a) に示すように、シリコン基板90の上に、酸化膜91、プラズマ窒化膜(SiN膜)92、SiOC膜93、及びプラズマTEOS膜94を順に積層する。続いて、プラズマTEOS膜94の上に、塗布されたレジスト95を所望の形状にパターニングすることにより、プラズマTEOS膜94の一部が露出された開口部96を形成する。続いて、開口部96におけるプラズマTEOS膜94及びSiOC膜93に対してドライエッチングを施すことにより、開口部96におけるプラズマTEOS膜94及びSiOC膜93の除去を行う。これにより、所望の形状のビアホール97を形成する。
【0438】
次に、図22(b) に示すように、酸素プラズマによるアッシングを行うことにより、ドライエッチング後のレジスト残渣98の除去を行う。続いて、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いて、アッシング後のプラズマTEOS膜94に対して、洗浄の際におけるエッチングを行うことにより、電子デバイスの清浄化を図ると共に所望の径を有するビアホール97を形成することができる。
【0439】
例えば、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置において、ホルダーを用いて被処理基板(シリコン基板90)の回転を行いながら、洗浄用薬液として、溶液の温度が25℃にコントロールされたポリマー溶液(NH4 F 0.5%、有機溶剤 45%、水 54.5% )を用いて、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の間、洗浄用薬液ノズル(68)を通じて、ホルダー(70)によって保持された被処理基板に対してポリマー溶液を供給する。これにより、シリコン基板90における被処理膜(プラズマTEOS膜94)に対して、洗浄の際におけるエッチングを行う。
【0440】
具体的には、前述した表8及び図14、並びに表9及び図15に示すように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、ホルダーを用いてシリコン基板90の回転を行いながら、180秒間の間、シリコン基板90の上にポリマー溶液を供給する。一方、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、ホルダーを用いてシリコン基板90の回転を行いながら、80秒間の間、シリコン基板90の上にポリマー溶液を供給する。
【0441】
このように、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の間、プラズマTEOS膜94に対してポリマー溶液によるエッチングを施すことにより、0.3nmのプラズマTEOS膜94のエッチング量を確保することができる。
【0442】
次に、図22(c) に示すように、プラズマTEOS膜94の上、並びにビアホール97の底部及び側壁の上に、銅膜を形成する。続いて、CMP法を用いて銅膜の平坦化を行うことにより、銅配線99を形成する。
【0443】
このように、本発明の第10の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜(プラズマTEOS膜94)に対して洗浄の際におけるエッチングを行う。これにより、一定(0.3nm)のエッチング量を確保することができるので、累積処理時間に依存することなくビアホール径の寸法シフト規格を満たすことができる。
【0444】
このため、プラズマTEOS膜94のエッチングを行う際に、累積処理時間の増加に伴って洗浄用薬液の組成が変化することにより、プラズマTEOS膜94が過剰にエッチングされることがないので、ビアホール径が過剰に拡大することがない。
【0445】
したがって、プラズマTEOS膜94が過剰にエッチングされ、ビアホール径が拡大し、隣り合ったビアホール97が互いに接触することにより発生する、電子デバイスの不良を防止することができるので、電子デバイスの歩留まりの向上を図ることができる。
【0446】
以上のように、本発明の第10の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。これにより、累積処理時間の変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化することはあっても、一定のエッチング量を確保することができる。
【0447】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
(第11の実施形態)
以下に、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置について説明する。
【0448】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置のように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置内に制御部(60)が内蔵されている、又は、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置のように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置に制御部(60)を介してCIMシステム(80)が接続されていることにより構成されている。
【0449】
従って、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、本発明の第7及び第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0450】
本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の導出ではなく、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度が導出される。
【0451】
以下に、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置を用いた場合における、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度の決定方法について具体的に説明する。
【0452】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における所望のエッチング処理温度の決定を行うために、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における循環ラインに供給される洗浄用薬液として、ポリマー溶液(NH4 F 0.5%、有機溶剤 45%、水 54.5% )を用いて、循環ラインに設けられた電子冷熱により、ポリマー溶液の温度をコントロールする。
【0453】
まず、上記の条件の下、ホルダーを用いて被処理基板の回転を行った状態で、洗浄用薬液ノズルを通じて、一定のエッチング時間(3分間、4分間、5分間、6分間)の間、ホルダーによって保持された被処理基板に対して、電子冷熱によって一定のエッチング温度(25℃)にコントロールされたポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。
【0454】
このようにして、各々の累積処理時間におけるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行うことにより、各々のエッチング時間(3分間、4分間、5分間、6分間)に対応する累積処理時間とエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性について、表13を参照しながら説明する。
【0455】
表13は、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々の累積処理時間(0分、900分)における、各々のエッチング時間(3分間、4分間、5分間、6分間)に対応する被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0456】
表13に示すように、一定のエッチング時間(例えば、5分間)に対応するプラズマTEOS膜のエッチング量は、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では0.48nmであるのに対し、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では0.96nmである。
【0457】
【表13】

【0458】
次に、上記の条件の下、ホルダーを用いて被処理基板の回転を行った状態で、洗浄用薬液ノズルを通じて、一定のエッチング時間(5分間)の間、ホルダーによって保持された被処理基板に対してポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。
【0459】
このようにして、各々のエッチング温度におけるプラズマTEOS膜のエッチング量の測定を行うことにより、各々の累積処理時間(0分、900分)におけるポリマー溶液でのエッチング温度とエッチング量との相関性について評価を行う。以下に、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置おける、エッチング温度とエッチング量との相関性について、表14を参照しながら説明する。
【0460】
表14は、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々の累積処理時間(0分、900分)における各々のエッチング温度に対応する被処理膜のエッチング量を示す表である。
【0461】
ここで、被処理膜のエッチング量は、エッチング温度に依存しており、アレニウスの一次式で表されることが一般に知られている。
【0462】
このため、表14に示されるように、各々の累積処理時間(0分、900分)におけるプラズマTEOS膜のエッチング量は、エッチング温度の上昇に伴って一定の割合で増加する。
【0463】
【表14】

【0464】
例えば、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、各々のエッチング温度(15.0℃、16.5℃、20.0℃、25.0℃)に対応して、各々のプラズマTEOS膜のエッチング量(0.43nm、0.48nm、0.66nm、0.96nm)が得られ、エッチング温度の上昇に伴ってプラズマTEOS膜のエッチング量は一定の割合で増加する。
【0465】
したがって、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、表14に示すように、ポリマー溶液の温度を25℃から16.5℃へ調整することにより、0.48nmのプラズマTEOS膜のエッチング量を確保することができる。
【0466】
このため、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部又はCIMシステムを備えており、制御部又CIMシステムによって、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度が導出される。
【0467】
例えば、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では、制御部又はCIMシステムによって、25℃のエッチング処理温度が導出され、一方、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では、制御部又はCIMシステムによって、16.5℃のエッチング処理温度が導出される。
【0468】
また、前述した図16(a) 及び(b) 、並びに図18(a) 及び(b) に示すように、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバーでは、制御部又はCIMシステムによって導出されたエッチング処理温度の下、ホルダーを用いて被処理基板の回転を行った状態で、一定のエッチング時間の間、被処理基板の上にポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜に対して、洗浄の際におけるエッチングが開始される。
【0469】
以上のように、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、制御部又CIMシステムを備えており、制御部又はCIMシステムでは、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度が導出される。また、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における洗浄チャンバーでは、制御部又はCIMシステムによって導出された所望のエッチング処理温度の下、一定のエッチング時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0470】
このため、本発明の第11の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、累積処理時間の変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化することがあっても、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはなく、制御部又はCIMシステムによって、各々の累積処理時間に対応してエッチング処理温度を制御することができるので、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、累積処理時間の変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0471】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0472】
(第12の実施形態)
以下に、本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置について説明する。
【0473】
尚、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置のように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置内に制御部(60)が内蔵されている、又は、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置のように、第1の従来例に係る電子デバイスの枚葉式洗浄装置に制御部(60)を介してCIMシステム(80)が接続されていることにより構成されている。
【0474】
従って、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、本発明の第7及び第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置と同様の説明は繰り返し行わない。
【0475】
本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理時間の導出ではなく、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度が導出される。
【0476】
以下に、本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度に関する補正計算式について、表15及び図23を参照しながら説明する。
【0477】
表15は、本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が0分における各々のエッチング温度に対応する被処理膜のエッチングレートを示す表である。
【0478】
また、図23は、第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、1/(273+To)とLn(Ro)との相関性を示す図である。
【0479】
尚、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式の説明では、本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式の説明と同様の説明は繰り返し行わない。
【0480】
本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における補正計算式を導くために、洗浄用薬液として、電子冷熱によって溶液の温度(エッチング温度)がコントロールされたポリマー溶液(NH4 F 0.5%、有機溶剤45%、水54.5%)を用いて、ホルダーを用いて被処理基板の回転を行った状態で、洗浄用薬液ノズルを通じて、一定のエッチング時間の間、ホルダーによって保持された被処理基板に対してポリマー溶液を供給することにより、被処理基板における被処理膜(プラズマTEOS膜)のエッチングを行う。
【0481】
まず、上記の条件の下、プラズマTEOS膜におけるエッチングレートの上昇係数(F)を導く。
【0482】
前述したように、近似式[e]より、プラズマTEOS膜におけるエッチングレートの上昇係数(F)が導かれ、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチングレートは、累積処理時間1(min)あたり0.0001(nm/min)上昇することが分かる。
【0483】
上昇係数(F) = 0.0001(nm/min2
次に、上記の条件の下、累積処理時間が0分におけるプラズマTEOS膜のエッチングレート(E)を導く。
【0484】
前述したように、近似式[f]より、プラズマTEOS膜のエッチングレート(E)が導かれ、ポリマー溶液が循環ラインに供給された直後(すなわち、累積処理時間が0分)におけるポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチング量は、エッチング時間1(min)あたり0.09(nm)増加することが分かる。
【0485】
エッチングレート(E) = 0.09(nm/min)
上昇係数(F)及びエッチングレート(E)より、累積処理時間がXn(min)におけるポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチングレートをYn(nm/min)とすると、プラズマTEOS膜のエッチングレートYnは、以下に示される式[n]を用いて求めることができる。
【0486】
Yn = 0.0001Xn + 0.09 ・・・[n]
このように、累積処理時間の増加に伴ってポリマー溶液の組成が変化するので、累積処理時間Xn(min)におけるプラズマTEOS膜のエッチングレートYn(nm/min)が上昇する。
【0487】
次に、表15に示すように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液を用いて、各々のエッチング温度To(15℃、16.5℃、20.0℃、25.0℃)毎に、ポリマー溶液によってエッチングされるプラズマTEOS膜のエッチングレートRoの測定を行うことにより、エッチング温度ToとエッチングレートRoとの相関性について評価を行う。
【0488】
【表15】

【0489】
ここで、前述したように、化学反応における反応速度と反応温度との関係は、アレニウスの式を満たすことが一般に知られており、エッチングレートRoはエッチング反応における反応速度であるから、エッチングレートRoとエッチング温度To(反応温度)との関係はアレニウスの式を用いることにより、以下に示す式[o]で表すことができる。
Ln(Ro) = −Ea/R × 1/(273+To) + lnA ・・・[o]
但し、Rは気体定数であり、Ea及びAは固有値であって、具体的にはEaが活性化自由エネルギーであってAは頻度因子である。
【0490】
次に、式[o]における固有値Ea及びAを求めるために、式[o]に対して、各々のエッチング温度ToにおけるエッチングレートRoを代入する。
【0491】
具体的には、図23に示すように、表15に示される1/(273+To)におけるLn(Ro)をプロットすることにより、固有値Ea及びAを求める。
【0492】
次に、式[o]に対して、R、Ea及びAの具体的な数値を代入して整理することにより、以下に示す式[p]が導かれる。
【0493】
Ln(Ro) = −7001.2 × 1/(273+To) + 21.09
・・・[p] 式[p]より、エッチングレートRoは、以下に示す式[q]を用いて求めることができる。
【0494】
Ro = et・・・[q]
(但し、t = −7001.2 × 1/(273+To) + 21.09である。)
前述した式[n]に示すように、累積処理時間の増加に伴って、洗浄用薬液の組成が変化するので、被処理膜におけるエッチングレートが上昇する。
【0495】
従って、累積処理時間に依存することなく、一定のエッチングレート(0.09(nm/min))を確保するには、累積処理時間の変化量に対応するエッチングレートの変化量に基づいて、エッチング処理温度の導出を行う必要がある。これにより、以下に示す式[r]が導かれる。
【数r】

【0496】
但し、t = −7001.2 × 1/(273+To) + 21.09である。
【0497】
従って、[数r]におけるエッチング温度To(℃)について求めることにより、以下に示す[数4]が導かれ、[数4]を用いることにより、累積処理時間がXn(min)に対応するエッチング処理温度を導出することができる。
【0498】
【数4】

【0499】
但し、エッチングレート(E)は、洗浄用薬液が循環ライン(洗浄液循環路)に供給された直後における被処理膜のエッチング量が、エッチング時間に応じて増加する割合を示す値であって、例えば0.09(nm/min)である。
【0500】
また、エッチングレートYn(nm/min)は、洗浄用薬液が循環ライン(洗浄液循環路)に供給されてから経過した時間Xn(min)における被処理膜のエッチングレートを示す値である。
【0501】
例えば、[数4]を用いることにより、上記の条件の下における累積処理時間がXn(min)に対応するエッチング温度To(℃)の導出は、以下に示す式[40]を用いて行うことができる。
To = 7001.2 / [ 21.09 − Ln[ 0.0081 /( 0.09 + 0.0001 Xn)]] − 273
・・・[40] 式[40]より、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では25℃のエッチング処理温度が導出され、一方、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では16.5℃のエッチング処理温度が導出される。
【0502】
本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、補正計算式として[数4]が設定されており、[数4]に基づいて各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度が導出される。
【0503】
例えば、本実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、[数4]を用いることにより、前述した表14に示すように、累積処理時間が0分におけるポリマー溶液では25℃のエッチング処理温度が導出され、累積処理時間が900分におけるポリマー溶液では16.5℃のエッチング処理温度が導出される。
【0504】
以上のように、本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における制御部又はCIMシステムでは、前述した図16(a) 又は(b) 、並びに図18(a) 又は(b) に示すように、[数4]に基づいて各々の累積処理時間に対応するエッチング処理温度が導出される。また、本実施形態に係る電子デバイスにおける洗浄チャンバーでは、制御部又はCIMシステムによって導出された所望のエッチング処理温度の下、一定のエッチング時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングが行われる。
【0505】
このため、本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置では、累積処理時間の変化に伴って洗浄用薬液の組成が変化することがあっても、被処理膜におけるエッチングレートが変動することはなく、制御部又はCIMシステムによって、各々の累積処理時間に対応してエッチング処理温度を制御することができるので、各々の累積処理時間に対応するエッチング処理条件の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行うことができる。したがって、累積処理時間の変化に伴って、被処理膜のエッチング量が変動することはないので、累積処理時間に依存することなく一定のエッチング量を確保することができる。
【0506】
また、従来例のように、洗浄用薬液が循環ラインに供給されてから一定時間が経過する毎に、循環ラインに供給される洗浄用薬液の交換を行う必要がないので、洗浄用薬液の交換頻度の低減を図ることができる。このため、洗浄用薬液の使用量の削減と共に洗浄装置の稼働率の向上を図ることができるので、電子デバイスの製造コストの低減を図ることができる。
【0507】
尚、本発明の第1〜第4及び第7〜10の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置及び電子デバイスの洗浄方法では、制御部又はCIMシステムによって各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の導出を行って、該エッチング処理時間の間、一定のエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行う。しかしながら、各々の経過時間に対応して、エッチング処理時間だけでなくエッチング処理温度の導出を行って、各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の間であって且つ各々の経過時間に対応するエッチング処理温度の下、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行ってもよい。
【0508】
また、本発明の第5及び第6並びに第11及び第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置及び電子デバイスの洗浄方法では、制御部又はCIMシステムによって各々の経過時間に対応するエッチング処理温度の導出を行って、該エッチング処理温度の下、一定のエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行う。しかしながら、各々の経過時間に対応して、エッチング処理温度だけでなくエッチング処理時間の導出を行って、各々の経過時間に対応するエッチング処理温度の下であって且つ各々の経過時間に対応するエッチング処理時間の間、被処理膜に対して洗浄の際におけるエッチングを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0509】
本発明は、電子デバイスの洗浄装置及び電子デバイスの洗浄方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0510】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における循環槽の具体的な構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図5】(a) 及び(b) は、本発明の第1の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に内蔵された制御部におけるフローについて示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【図7】(a) 及び(b) は、本発明の第2の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に接続されたCIMシステムにおけるフローについて示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムとエッチングレートとの相関性を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが0分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、ライフタイムが1440分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図11】(a) 〜(d) は、本発明の第4の実施形態に係る電子デバイスの洗浄方法を示す要部工程断面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、1/(273+Tj)とLn(Rj)との相関性を示す図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、エッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図16】(a) 及び(b) は、本発明の第7の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に内蔵された制御部でのフローについて示す図である。
【図17】本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置の構造を示す断面図である。
【図18】(a) 及び(b) は、本発明の第8の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置に接続されたCIMシステムにおけるフローについて示す図である。
【図19】本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間とエッチングレートとの相関性を示す図である。
【図20】本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が0分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図21】本発明の第9の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、累積処理時間が900分におけるエッチング時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図22】(a) 〜(c) は、本発明の第10の実施形態に係る電子デバイスの洗浄方法を示す要部工程断面図である。
【図23】本発明の第12の実施形態に係る電子デバイスの洗浄装置における、1/(273+To)とLn(Ro)との相関性を示す図である。
【図24】第1の従来例に係るバッチ式洗浄装置の構成を示す図である。
【図25】第1の従来例に係るバッチ式洗浄装置における循環槽の具体的な構成を示す図である。
【図26】第1の従来例に係るバッチ式洗浄装置における、ライフタイムとエッチング量との相関性を示す図である。
【図27】第1の従来例に係る枚葉式洗浄装置の構成を示す図である。
【図28】第1の従来例に係る枚葉式洗浄装置における、累積処理時間とエッチング量との相関性を示す図である。
【図29】第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置の構成を示す概略図である。
【図30】第2の従来例に係る電子デバイスの洗浄装置における、経過時間とエッチングレートとの関係、及び経過時間とフッ化水素の濃度(HF濃度)との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0511】
10 洗浄装置
11 循環槽
12 水洗槽
13 乾燥槽
14、60 制御部
34、80 CIMシステム
20、61 循環ライン(洗浄液循環路)
21、62 循環ポンプ
22、64 電子冷熱
23、65 フィルター
24 処理槽内槽(洗浄チャンバー)
25 処理槽外槽
26 槽カバー
27、68 洗浄用薬液ノズル
40、90 シリコン基板
41 窒化膜
42 CVD酸化膜
43、95 レジスト
44、96 開口部
45 コンタクトホール
46、98 レジスト残渣
47 自然酸化膜
48 ポリシリコンプラグ
63 循環タンク
66 洗浄チャンバー
67 カップ
69 へパ
70 ホルダー
71 水洗ノズル
91 酸化膜
92 プラズマ窒化膜(SiN膜)
93 SiOC膜
94 プラズマTEOS膜
97 ビアホール
99 銅配線
100 洗浄装置
101 循環槽
102 水洗槽
103 乾燥槽
200、300 循環ライン
201、301、401 循環ポンプ
202、303 電子冷熱
203、304 フィルター
204 処理槽内槽
205 処理槽外槽
206 槽カバー
207、307 洗浄用薬液ノズル
302 循環タンク
305 洗浄チャンバー
306 カップ
308 へパ
309 ホルダー
310 水洗ノズル
400 洗浄槽
402 貯留槽
403 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄チャンバー内の洗浄液循環路において循環再利用される洗浄液を導入して、前記洗浄チャンバー内に配置された被処理基板に対して洗浄を行う電子デバイスの洗浄方法であって、
エッチング処理時間を導出する工程(a)と、前記被処理基板に対して、前記エッチング処理時間の間、前記洗浄液を供給する工程(b)と、前記被処理基板を水洗する工程(c)とを備え、
前記エッチング処理時間は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給されてからの経過時間に依存して、前記工程(b)における前記洗浄液による前記被処理基板上の被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする電子デバイスの洗浄方法。
【請求項2】
前記エッチング処理時間は、前記工程(c)における前記洗浄液における前記エッチング後の残留液による前記被処理膜のエッチング量の変化量にさらに基づいて導出されることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの洗浄方法。
【請求項3】
前記エッチング処理時間は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点から前記洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの洗浄方法。
【請求項4】
前記エッチング処理時間は、下記に示す[数1]
【数1】

を用いて導出されることを特徴とする請求項3に記載の電子デバイスの洗浄方法。
但し、ライフタイムとは、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点から経過した時間を示す値であり、
上昇係数(B)は、前記被処理膜に対するエッチングレートが前記ライフタイムにおける経過時間に応じて上昇する割合を示す値であり、
エッチングレートとは、前記工程(b)において、前記被処理膜のエッチング量がエッチング時間に応じて増加する割合を示す値であり、
エッチングレート(A)は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された直後における、エッチングレートを示す値であり、
追加エッチング量とは、前記工程(c)において、前記洗浄液における前記エッチング後の残留液によってエッチングされる前記被処理膜のエッチング量を示す値であり、
追加エッチング量(C)は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された直後における、追加エッチング量を示す値であり、
追加エッチングレート(D)は、前記追加エッチング量が前記ライフタイムにおける経過時間に応じて増加する割合を示す値である。
【請求項5】
前記洗浄チャンバーは、枚葉式洗浄装置を構成するものであり、
前記エッチング処理時間は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点からの前記被処理基板に対する累積処理時間における前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの洗浄方法。
【請求項6】
前記エッチング処理時間は、下記に示す[数2]
【数2】

を用いて導出されることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイスの洗浄方法。
但し、累積処理時間とは、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点からの前記被処理基板に対して施される前記エッチング処理時間を合計した時間を示す値であり、
上昇係数(F)は、前記被処理膜に対するエッチングレートが前記累積処理時間における経過時間に応じて上昇する割合を示す値であり、
エッチングレートとは、前記工程(b)において、前記被処理膜のエッチング量がエッチング時間に応じて増加する割合を示す値であり、
エッチングレート(E)は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された直後における、エッチングレートを示す値であり、
追加エッチング量とは、前記工程(c)において、前記洗浄液における前記エッチング後の残留液によってエッチングされる前記被処理膜のエッチング量を示す値であり、
追加エッチング量(G)は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された直後における、追加エッチング量を示す値であり、
追加エッチングレート(H)は、前記追加エッチング量が前記累積処理時間における経過時間に応じて増加する割合を示す値である。
【請求項7】
洗浄チャンバー内の洗浄液循環路において循環再利用される洗浄液を導入して、前記洗浄チャンバー内に配置された被処理基板に対して洗浄を行う電子デバイスの洗浄方法であって、
エッチング処理温度を導出する工程(d)と、前記被処理基板に対して、前記エッチング処理温度に調整された前記洗浄液を供給する工程(e)と、前記被処理基板を水洗する工程(f)とを備え、
前記エッチング処理温度は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給されてからの経過時間に依存して、前記工程(e)における前記洗浄液による前記被処理基板上の被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする電子デバイスの洗浄方法。
【請求項8】
前記エッチング処理温度は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点から前記洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項7に記載の電子デバイスの洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄チャンバーは、枚葉式洗浄装置を構成するものであり、
前記エッチング処理温度は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点からの前記被処理基板に対する累積処理時間における前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項7に記載の電子デバイスの洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄液は、フッ素化合物を含むことを特徴とする請求項1又は7に記載の電子デバイスの洗浄方法。
【請求項11】
洗浄液の温度を調整する温度調整機能を有し且つ前記洗浄液を循環再利用する洗浄液循環路と、
エッチング処理時間を導出する制御部と、
被処理基板の洗浄を行う洗浄チャンバーとを備え、
前記制御部は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給されてからの経過時間を計測し、前記経過時間に依存して前記洗浄液による前記被処理基板上の被処理膜のエッチング量が変化する量に基づいて、前記洗浄の際における前記エッチング処理時間を導出するものであり、
前記洗浄チャンバーは、前記制御部によって導出される前記エッチング処理時間に基づいて、前記被処理基板に対して前記洗浄液を供給することを特徴とする電子デバイスの洗浄装置。
【請求項12】
前記制御部は、導出した前記エッチング処理時間に基づいて、
予め設定された複数のエッチング時間から、所望のエッチング処理時間の選択を行い、又は、
予め設定されたエッチング時間を所望のエッチング処理時間へ変更することを特徴とする請求項11に記載の電子デバイスの洗浄装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記洗浄液における前記エッチング後の残留液による前記被処理膜のエッチング量の変化量にさらに基づいて、前記エッチング処理時間を導出することを特徴とする請求項11に記載の電子デバイスの洗浄装置。
【請求項14】
前記エッチング処理時間は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点から前記洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項11に記載の電子デバイスの洗浄装置。
【請求項15】
前記洗浄チャンバーの内部には、
前記被処理基板を回転可能に保持するホルダーと、
前記洗浄液循環路と連通し、前記被処理基板上に前記洗浄液を供給するノズルとが設けられており、
前記エッチング処理時間は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点からの前記被処理基板に対する累積処理時間における前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項11に記載の電子デバイスの洗浄装置。
【請求項16】
洗浄液の温度を調整する温度調整機能を有し且つ前記洗浄液を循環再利用する洗浄液循環路と、
エッチング処理温度を導出する制御部と、
被処理基板の洗浄を行う洗浄チャンバーとを備え、
前記制御部は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給されてからの経過時間を計測し、前記経過時間に依存して前記洗浄液による前記被処理基板上の被処理膜のエッチング量が変化する量に基づいて、前記洗浄の際における前記エッチング処理温度を導出するものであり、
前記洗浄チャンバーは、前記被処理基板に対して、前記制御部によって導出される前記エッチング処理温度に基づいて温度が調整された前記洗浄液を供給することを特徴とする電子デバイスの洗浄装置。
【請求項17】
前記制御部は、導出した前記エッチング処理温度に基づいて、前記エッチング処理温度を前記温度調整機能へフィードバックすることを特徴とする請求項16に記載の電子デバイスの洗浄装置。
【請求項18】
前記エッチング処理温度は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点から前記洗浄液循環路から排出されるまでの経過時間に依存する前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項16に記載の電子デバイスの洗浄装置。
【請求項19】
前記洗浄チャンバーの内部には、
前記被処理基板を回転可能に保持するホルダーと、
前記洗浄液循環路と連通し、前記被処理基板上に前記洗浄液を供給するノズルとが設けられており、
前記エッチング処理温度は、前記洗浄液が前記洗浄液循環路に供給された時点からの前記被処理基板に対する累積処理時間における前記被処理膜のエッチング量の変化量に基づいて導出されることを特徴とする請求項16に記載の電子デバイスの洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−186065(P2006−186065A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377165(P2004−377165)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】