説明

電子デバイス

【課題】半田の接合前の形状に影響されずに半田接合を良好にするための電子デバイスを提供する。
【解決手段】第1の素子1と、第1の素子1の上に形成されて少なくとも露出面が絶縁材から形成される柱状突起5と、柱状突起5の周囲に形成される複数の第1電極3とを有し、柱状突起5は、第1の素子1に対向して配置される第2の素子11の上に形成された複数の突起電極14の間に嵌め込まれ、第1電極3と突起電極14は半田層4、15を介して接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子(LSI)のパッケージ基板への接合方法として、多端子化が可能なフリップチップ接合が主流となってきている。さらに、電子機器の小型化、高密度化に伴い、接続端子の微細化が進行している。接続端子の微細化が進むと、チップと回路基板の間のはんだ微細接合部において電流密度が増加する。この電流密度の増加によって、従来ではLSIの内配線で問題であったエレクトロマイグレーションが、LSIとパッケージ基板とを接合する半田層においても生じるので、対策が必要になってくる。
【0003】
エレクトロマイグレーション対策として、銅(Cu)ポストなどが用いられる。Cuポストは電極上にめっきで形成されている。そして、Cuポストの先端上とこれに対向するパッケージ基板側の電極上のそれぞれにはんだ(半田)が形成され、半田を加熱溶融してCuポストとパッケージ基板側の電極を接合する。
【0004】
これにより、半導体チップと半導体チップ、または半導体チップとパッケージ基板との微細接合を行っている。
Cuポストを突起電極として使用するためには、電極径が100μm程度の場合、60〜80μmの高さが必要になる。現在では、半導体素子の微細化が進行し、直径30μm、ピッチ60μm以下の接合体が検討され始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−197665号公報
【非特許文献1】富士時報 Vol.78、No.4、2005年、316頁−318頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Cuポスト上に形成された半田層は、先端形状が半球状になっている。このため、Cuポストを介して半導体素子同士を接続する場合に、一方の半導体素子上の半球状の半田と、他方の半導体素子上の半球状の半田を上下に位置合わせすると、凸同士で接触する。このため、半田を溶融させるまでに振動などで上下の半田に位置ずれが発生し、接合不良となりやすい。
【0007】
本発明の目的は、半田の接合前の形状に影響されずに半田接合を良好にするための電子デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの観点によれば、第1の素子と、前記第1の素子の上に形成され、少なくとも露出面が絶縁材から形成される柱状突起と、前記柱状突起の周囲に形成される複数の第1電極と、有する電子デバイスが提供される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の素子の上に、少なくとも表面が絶縁材に覆われる柱状突起を形成したので、第1の素子に対向して配置される第2の素子上の複数の突起電極の間に嵌め込むことにより、第1の素子と第2の素子の位置ズレを防止することができる。
これにより、第1の素子と第2の素子にそれぞれ形成される電極の位置会わせを高い精度で行うことができ、電極間の半田接合を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1Aは、第1実施形態に係る半導体装置における2つの半導体素子の接続方法を示す側面図、図1B、図1Cは、第1実施形態に係る半導体装置内の2つの半導体素子のそれぞれの半田層の配置を示す平面図である。
【図2】図2A、図2Bは、第1実施形態に係る半導体装置に含まれる2つの半導体素子の接続方法を示す斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る半導体装置を示す側面図である。
【図4A】図4A〜図4Eは、第1実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の半田層及び突起の形成工程を示す断面図(その1〜5)である。
【図4F】図4F〜図4Hは、第1実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の半田層及び突起の形成工程を示す断面図(その6〜8)である。
【図5】図5A〜図5Eは、第1実施形態に係る半導体装置における第2の半導体素子の突起電極の形成工程を示す断面図である。
【図6】図6A、図6Bは、第2実施形態に係る半導体装置内の第1、第2の半導体素子のそれぞれの半田層の配置を示す平面図である。
【図7】図7A、図7Bは、第2実施形態に係る半導体装置における2つの半導体素子の接続方法を示す側面図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係る半導体装置の第1、第2の半導体装置の接合部を示す平面図である。
【図9A】図9A〜図9Dは、第2実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の柱状の突起の形成工程を示す断面図(その1〜4)である。
【図9E】図9E〜図9Gは、第2実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の柱状の突起の形成工程を示す断面図(その5〜7)である。
【図9H】図9H〜図9Jは、第2実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の柱状の突起の形成工程を示す断面図(その8〜10)である。
【図10】図10A〜図10Dは、第2実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の柱状の突起の形成工程を示す平面図である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子上の柱状の突起の別の例を示す平面図である。
【図12】図12は、第2実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子上の柱状の突起のさらに別の例を示す断面図である。
【図13】図13は、実施形態に係る半導体装置における第1の半導体素子の柱状の突起のさらに別の構造を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1Aは本発明の第1実施形態に係る半導体装置となる第1の半導体素子1と第2の半導体装置11の接続方法を示す側面図である。第1の半導体素子1は、第2の半導体素子11に対して受け側の素子となる。
【0012】
図1Aにおいて、半導体集積回路が形成された第1の半導体素子1の第1面上には、内部の半導体集積回路に電気的に接続される直径約30μmの複数の第1電極3がピッチ6
0μmで形成されている。第1電極3は、図1Bに示すように、縦横に複数間隔をおいて配置されていて、その上面には半球状の第1の半田層4が接合されている。
【0013】
さらに、第1電極3に囲まれる十字状の領域の中央には、位置ズレ抑制用突起5が柱状に形成されている。位置ズレ抑制用突起5の高さは、第1電極3及び第1の半田層4の厚さの合計よりも高く、且つ第1電極3と後述の第2電極13及び突起電極14の厚さの合計以下で、例えば約30μm〜80μmに形成されている。位置ズレ抑制用突起5のうち少なくとも表面は絶縁材から形成されている。
【0014】
半導体集積回路が形成された第2の半導体素子11の第1面上には、図1Cの平面図に示すように、第1の半導体素子11の第1電極3に対向して配置される第2電極13が形成され、第2電極13上には約40μm〜80μmの高さのCuの柱状の突起電極14が形成されている。さらに、突起電極14の先端面の上には、表面が半球状の第2の半田層15が形成されている。
突起電極14に囲まれた十字状の領域の上の空間は、位置ズレ抑制用突起5を嵌め込む突起嵌合領域16となっている。
【0015】
なお、第1、第2電極3、13は、Cu、Cu合金、Ni(ニッケル)などの金属層から形成されている。また、第1、第2の半田層4、15は、鉛フリー半田材料、例えば融点が約217℃のSnAgCu合金から形成されている。
【0016】
第1、第2の半導体素子1、11を接続する場合には、図2Aの斜視図に示すように、第1の半導体素子1の第1面と第2の半導体素子11の第1面を対向させ、さらに第2の半導体素子11の突起電極14上の第2の半田層15を第1の半導体素子1の第1電極3上の第1の半田層4に重ねる。その際、図2Bの斜視図に示すように、第2の半導体素子11上の突起電極14に囲まれた領域に位置ズレ抑制用突起5を嵌め込む。それらの操作は、フリップチップボンダを用いて行われる。
【0017】
その後に、第1、第2の半田層4、15を重ねた状態で、第1、第2の半導体素子1、11をリフロー炉内に入れて窒素雰囲気で第1、第2の半田層4、15を融点より例えば約20℃高い温度で加熱、溶融し、その後に常温に戻す。これにより、図3の側面図に示すように、第2電極13上の突起電極14と第1電極3は、第1、第2の半田層4、15に接合され、電気的に導通する。
以上により、第1、第2の半導体素子1、11を有する半導体装置10が形成される。
【0018】
上記のように本実施形態によれば、表面が半球状の第1、第2の半田層4、15を重ね合わせた状態で、位置ズレ抑制用突起5によって周囲の突起電極14の横方向の移動が規制されるので、第1の半導体素子1に対して第2の半導体素子11が横方向に位置ズレしない。また、位置ズレ抑制用突起5は、突起電極14を垂直方向に移動させる場合のガイドとなり、第1の半導体素子1に対して第2の半導体素子11の傾きを抑制できる。
また、第1、第2の半田層4、15が溶融により流れる際にも、その横方向の位置ズレの規制により、第1電極3と突起電極15の対向位置がずれなくなる。
従って、位置ズレ抑制用突起5を第1の半導体素子1上に形成することにより、垂直方向及び水平方向のズレを緩和することができる。
【0019】
本実施形態の半導体装置10の接合の不良確率について実験を行ったところ、第1の半導体素子1と第2の半導体素子11の位置ズレ不良は無く、第1の半田層4と第2の半田層15の接合は良好であった。
これに対し、比較例として、位置ズレ抑制用突起5の無い従来品を用いて第1の半田層4と第2の半田層15を接合したところ、約10%の確率で位置ずれ不良が発生した。こ
の場合、電極直径の1/2以上のズレが生じた状態を位置ズレの不良とした。
【0020】
これらの結果、第1、第2の半田層4、15の表面が半球状に湾曲していても第1電極3と突起電極15を1対1で良好に接続することができ、従来よりも位置ずれ不良確率を減らすことが可能になった。これにより、薄いチップ状の半導体素子のように反りの大きい半導体素子についても接合不良を低減できるようになる。
【0021】
次に、図4A〜図4Hを参照し、第1の半導体装置1の第1電極3の上に第1の半田層4を形成し、さらに位置ズレ抑制用突起5を形成する工程を説明する。
まず、図4Aに示すように、第1の半導体素子1の上面と第1電極3の上にシード層6を形成する。シード層6として、例えば、厚さ約50nmのCr(クロム)層と厚さ約100nmのCu層を順にスパッタにより形成する。この場合、第1の半導体素子1は、分離前の6インチのウエーハに隣接して複数形成された状態にある。
【0022】
次に、図4Bに示すように、シード層6上にドライレジストフィルム7をラミネート法で形成し、これを露光、現像等することにより、複数の第1電極3のそれぞれの上に開口部7aを有する。
【0023】
次に、図4Cに示すように、ドライレジストフィルム7の開口部7aを通して第1シード層6上の開口部7a内に、電解めっき法によりCu層4aを約2μm、Ni層4bを約3μm、SnAg(スズ銀)層4cを約12μmの厚さに順に形成する。この場合、シード層6は電解めっき用電極として使用する。
【0024】
ドライレジストフィルム7を除去した後に、図4Dに示すように、SnAg層4cをマスクにして、シード層6をエッチングする。この場合、シード層6のCu層を硫酸、過酸化水素を含むエッチャントによりエッチングし、さらに、シード6のCr層をフェリシアン化カリウム含有のエッチャントによりエッチングする。
続いて、図4Eに示すように、SnAg層4cを加熱溶融して上面を曲面にし、SnAg層4cを第1の半田層4とする。
【0025】
次に、図4Fに示すように、第1の半導体装置1が形成されたウエーハの全面に感光性エポキシ樹脂5aをスピンコートにより約50μmの厚さに塗布する。その後に、図4Gに示すように、感光性エポキシ樹脂5aの上にガラスマスク8を配置した状態で、ガラスマスク8を通して感光性のエポキシ樹脂5aを露光し、さらに、現像等を行う。
【0026】
これにより、図4Hに示すように、複数の第1電極3の間の十字状の領域の中央にエポキシ樹脂5aを円柱状に残す。円柱状のエポキシ樹脂5aは、例えば直径が50μm、ピッチが120μmの密度で形成され、上記の位置ズレ抑制用突起5として使用される。
【0027】
その後に、第1の半導体素子1が複数形成されたウエーハを切断し、チップ状に分離する。第1の半導体素子1のチップサイズは、例えば10mm×10mmの平面形状を有している。
以上の工程によれば、第1の半導体素子1上において、複数の第1電極3に挟まれる領域の位置ズレ抑制用突起5は、絶縁性樹脂のパターニングにより形成しているので、複雑な工程を必要としない。
【0028】
次に、図5A〜図5Eに示すように、第2の半導体装置11の第2電極13の上に突起電極14、第2の半田層15を形成する工程を説明する。
まず、図5Aに示す構造を形成するまでの工程について説明する。
第2の半導体素子11の上面と第2電極13の上にシード層17を形成する。シード層
17として、例えば、厚さ約50nmのCr層と厚さ約500nmのCu層を順にスパッタにより形成する。この場合、第2の半導体素子11は、分離前の6インチのウエーハに隣接して複数形成された状態にある。
【0029】
続いて、シード層17上にドライレジストフィルム18をラミネート法で形成し、これを露光、現像等することにより、複数の第2電極13の上方に開口部18aを有する。
【0030】
次に、図5Bに示すように、ドライレジストフィルム18の開口部18aを通してシード層17上に、電解めっき法により厚さ約50μmのCuの突起電極14、厚さ5μmのNi層15aを順に形成する。この場合、シード層17は電解めっき用電極として使用する。
続いて、図5Cに示すように、開口部18a内のNi層15aの上に厚さ10μmのSn層15bを電解めっきにより形成し、ドライレジストフィルム18の上に突出させる。
【0031】
ドライレジストフィルム18を除去した後に、図5Dに示すように、Sn層15bをマスクにしてシード層17を除去する。この場合、シード層17のCu層を硫酸、過酸化水素を含むエッチャントによりエッチングし、さらにシード17のCr層をフェリシアン化カリウム含有のエッチャントによりエッチングする。
この後に、図5Eに示すように、Sn層15bを加熱溶融した後に常温に戻すことによりSn層15aを第2の半田層15として使用する。この場合、第2の半田層15の露出面は曲面となる。
【0032】
その後に、第2の半導体素子11が複数形成されたウエーハを切断し、チップ状に分離する。第2の半導体素子11のチップサイズは、例えば7mm×5mmの平面形状を有している。
【0033】
(第2の実施の形態)
図6A、図6Bは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を形成するための2つの半導体素子を示す平面図であり、図1、図1B、図1Cと同じ符号は同じ要素を示している。
図6Aに示す第1の半導体素子31は、図6Bに示す第2の半導体素子11に接続する際には受け側の素子となる。
【0034】
図6Aに示す第1の半導体素子31の第1面上には、図6Bに示す第2の半導体装置11上の突起電極14が嵌め込まれる複数の突起電極配置領域30が区画されて、突起電極配置領域30の間には十字状の領域が形成される。第1の半導体素子31の第1面上における縦方向と横方向に配置される複数の十字状の領域の中央には、1つおきに柱状の位置ズレ抑制用突起32が形成されている。
【0035】
位置ズレ抑制用突起32は、例えば四角柱の形状を有し、少なくとも表面は絶縁材から形成されている。その絶縁材は僅かな弾性を有するか、変形が可能な材料であることが好ましい。位置ズレ抑制用突起32が四角柱状の場合には、その4つの側面が周囲の突起電極配置領域30に対向する配置にされる。
【0036】
四角柱状の位置ズレ抑制用突起32の4つのそれぞれの側面の上から第1の半導体素子31の第1面上には、図7Aに示すように第3電極33が形成されている。第3電極33は、第1の半導体素子31内部の半導体集積回路(不図示)に接続される。
また、第3電極33の表面には、図6Aに示すように、突起電極配置領域30の縁に重なる第3の半田層34が形成されている。
なお、第1の半導体素子31の第1面には、位置ズレ抑制用突起32を露出する開口部
を有する絶縁膜(不図示)が形成されている。
【0037】
一方、図6Bに示す第2の半導体素子11の第1面上には、第1実施形態と同様に、内部の半導体集積回路に接続される第2電極13が間隔をおいて縦横に複数形成され、その上にはCuから形成される突起電極14が形成されている。第2電極13の直径は約30μmで、60μmのピッチで形成されている。また、第2の半導体素子11の第1面は、第2電極13を露出する絶縁膜(不図示)で覆われている。
なお、突起電極14の上端には半田層が形成されないことが構造的に第1実施形態とは異なる。
【0038】
次に、第1の半導体素子31の第3電極33と第2の半導体素子11の突起電極14の接続方法を説明する。
まず、図7Aに示すように、第1の半導体素子1と第2の半導体素子31の第1面同士を対向させた状態で、第2の半導体素子11上の複数の突起電極14の間に第1の半導体素子11上の位置ズレ抑制用突起32を嵌め合わせる。続いて、そのような状態から、第2の半導体素子31を下降させる。
【0039】
これにより、図7Bに示すように、第1の半導体素子31上の位置ズレ抑制用突起32が第2の半導体素子11上の突起電極14の間に嵌め込まれるので、位置ズレ抑制用突起32の側面の第3の半田層34は突起電極14の側面に1対1で接触する。この場合、位置ズレ抑制用突起32は自身の弾性により変形する。以上の操作は、フリップチップボンダを用いて行われる。
【0040】
その後に、突起電極14と第3の半田層34を接触させた状態で、第1、第2の半導体素子1、11をリフロー炉内に入れて窒素雰囲気に置き、第3の半田層34をその融点より高い温度で加熱、溶融し、その後に常温に戻す。これにより、図8の拡大平面図に示すように、第2電極13上の突起電極14の側部と第3電極33は、第3の半田層34を介して互いに接合され、電気的に導通する。
以上により、第1、第2の半導体素子1、31を有する半導体装置20が形成される。なお、第3電極33、第3の半田層34は電解めっき法により形成されてもよい。
【0041】
上記のように本実施形態によれば、第1の半導体素子31上に形成した位置ズレ抑制用突起32を第2の半導体素子11の突起電極14で囲まれた領域に嵌め込むようにしている。これにより、位置ズレ抑制用突起32の4つの側面にそれぞれ形成された第3電極33を第3の半田層34により突起電極14の側面に接合することができる。しかも、突起電極14の側面で半田接合する際に、位置ズレ抑制用突起32の4つの角で半田層34の飛び出しが防止されるので、突起電極14同士のショート不良を抑制することができる。
【0042】
また、複数の突起電極14の間の領域に位置ズレ抑制用突起32を嵌め込むだけで、第1、第2の半導体素子31,11の位置合わせが可能になる。しかも、位置ズレ抑制用突起32により、その周囲の突起電極14の横方向の移動が規制されるので、第1の半導体素子31に対して第2の半導体素子11が横方向に位置ズレしない。また、位置ズレ抑制用突起32は、突起電極14を垂直方向に移動させる場合のガイドとなり、第1の半導体素子31に対して第2の半導体素子11の傾きを抑制できる。
従って、位置ズレ抑制用突起32を第1の半導体素子31上に形成することにより、垂直方向及び水平方向のズレを緩和することができる。
【0043】
本実施形態の半導体装置20の接合の不良確率について実験を行ったところ、第1の半導体素子31と第2の半導体素子11の位置ズレ不良は無く、第3の半田層34と突起電極14の接合は良好であった。
【0044】
これに対し、第1実施形態に示したと同様に、比較として、位置ズレ抑制用突起32の無い従来品を用いて第1の半田層4と第2の半田層15を接合したところ、約10%の確率で位置ずれ不良が発生した。これらの結果、本実施形態に係る半導体装置20によれば、従来よりも位置ずれ不良確率を抑制することが可能となった。これにより、薄いチップ状の半導体素子のように反りの大きい半導体素子についても接合不良を低減できる。
【0045】
以下に、図9A〜図9Hの側断面図、及び図10A〜図10Dの上面図を参照し、第1の半導体装置31の位置ズレ抑制用突起32を形成する工程を説明する。
次に、図9Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、上記の第3電極33の下部となる接続電極33aが形成された第1の半導体素子31を用意する。そして、第1の半導体素子31の第1面の全面に熱硬化性樹脂、例えば感光性エポキシ樹脂36をスピンコート法により例えば約50μmの厚さに塗布する。この場合、第1の半導体素子31は、分離前の6インチのウエーハに隣接して複数形成された状態にある。
【0046】
なお、接続電極33aは、図6Aに示したように、互いに隣り合う突起電極配置領域30の間の領域内で、突起電極配置領域30に最も近い位置に接近して形成されている。
次に、図6Bに示すように、感光性エポキシ樹脂36の上にガラスマスク37を配置した状態で、ガラスマスク37を通して感光性のエポキシ樹脂36を露光し、さらに、現像等を行った後に、ポストベークにより硬化させる。
【0047】
これにより、図9Cに示すように、互いに隣り合う4つの突起電極配置領域30の間に四角柱状の位置ズレ抑制用突起32を形成する。位置ズレ抑制用突起32は、上記のように40μm×40μmの平面形状を有し、図6Aに示すような配置となり、4つの側面の根本から接続電極33aの一部を露出させる大きさになっている。
【0048】
次に、図9Dに示すように、第1の半導体装置31の上にフォトレジスト38を塗布する。その後に、図9Eに示すように、ガラスマスク39を使用してフォトレジスト38を露光、現像することにより、図9Fの側断面図と図10Aの平面図に示すように、位置ズレ抑制用突起32の4つの側面の外側に、接続電極33aを露出する開口部38aを形成する。開口部38aの平面形状は四角形であり、そのうち位置ズレ抑制用突起32の側面に平行な2辺を約20μm、残りの2辺を10μmの大きさとする。
【0049】
次に、図9Gと図10Bに示すように、無電解めっき法により、開口部38aのうち位置ズレ抑制用突起32の4つの側面上に厚さ5μmのCu層40を形成する。続いて、図9Hと図10Cに示すように、無電解めっき法により、開口部38a内でCu層40の上に厚さ5μmのSn層41を形成する。
【0050】
次に、図9Iに示すように、フォトレジスト38を溶剤により除去する。さらに、図9Jと図10Dに示すように、Sn層40を加熱溶融し、さらに冷却する。これにより、Sn層40の表面が曲面になる。この場合、Cu層40は、図7Aに示した第3電極33として使用され、Sn層41は、図7Aに示した第3の半田層34として使用される。
【0051】
そのように、柱状の位置ズレ抑制用突起32の側面に第3電極33、第3の半田層34を形成することにより、第3電極33を局所的に高密度化し、電極が配置されない領域を従来よりも広くすることができる。
このため、第1の半導体素子31の第1面上では、図6Aに示すように、第3電極33に接続される配線43の形成領域が広がるので、配線43を第3電極33の4列目まで接続することができ、配線43の配置設計が容易になる。なお、図1Bに示す第1の半導体
装置1上では、第1電極3の2列目まで配線を形成することができる。
【0052】
ところで、上記の位置ズレ抑制用突起32は、四角柱状に形成しているが、円柱状、多角形柱状、その他の柱状に形成してもよい。例えば、図11に示すように、露光、現像により上面を十字形状にパターニングしてもよい。この場合、位置ズレ抑制用突起32の側面の凹部が突起電極配置領域30に最も接近するように配置し、その凹部上に形成される第3電極33と第3の半田層34を第2の半導体素子1側の複数の突起電極14の間に接続するように形成する。
【0053】
ところで、上記した実施形態において、位置ズレ抑制用突起5,34を樹脂により形成したが、図12に示すように、その中心をCuなどの金属ポスト5yにより形成し、その表面を絶縁層5xでコーティングする構造を採用してもよい。これにより、位置ズレ抑制用突起5,34が強固になる。この場合、絶縁層5xによって突起電極14間のショートが防止される。また、その他の構造として、図12に示した金属ポスト5yを配線の一部に使用するなど、位置ズレ抑制用突起5,34内に配線を形成してもよい。
【0054】
また、図13に示すように、位置ズレ抑制用突起32の側面をテーパー状に形成することにより上面を下面よりも狭くしてもよい。位置ズレ抑制用突起32の側面をテーパー状にする方法として、例えば、図9B、図9Cに示したように、露光された感光性エポキシ樹脂36を現像する際に現像時間を長くする方法がある。また、感光性エポキシ樹脂36を現像した後に、プラズマなどで位置ズレ抑制用突起32を所定時間アッシングすることによりテーパー形状にしてもよい。これにより、位置ズレ抑制用突起32の上端が比較的狭くなるので、位置ズレ抑制用突起32を複数の突起電極14の間に嵌め入れ易くなる。
なお、上記した実施形態では、半導体素子同士を接続する場合について説明したがその他の素子同士の電極の接続部分に上記した構造を採用してもよい。そのような素子として、半導体素子の他、例えば回路基板、パッケージ基板がある。
【0055】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解すべきである。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の半導体素子
3 第1の電極
4 第1の半田層
5 位置ズレ抑制用突起
10 半導体装置
11 第2の半導体素子
13 第1電極
14 突起電極
15 第2の半田層
20 半導体装置
31 第1の半導体素子
32 位置ズレ抑制用突起
33 第3電極
34 第3の半田層
43 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の素子と、
前記第1の素子の上に形成され、少なくとも露出面が絶縁材から形成される柱状突起と、
前記柱状突起の周囲に形成される複数の第1電極と、
を有する電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の素子に対向して配置される第2の素子と、
前記第2の素子のうち前記第1の素子との対向面の上に、前記柱状突起が嵌め込まれる領域を囲む複数の第2電極上に形成される突起電極と、
を有する請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1電極は、前記柱状突起の側面に形成され、前記突起電極の側面に半田を介して接続される請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1電極は、前記第1の素子上の前記突起電極の上端が対向する領域に形成され、前記突起電極の前記上端に半田を介して接続される請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第1の素子と前記第2の素子の少なくとも一方は、半導体素子であることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9E】
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【図9H】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−211042(P2011−211042A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78644(P2010−78644)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】