説明

電子ペン用の光学システム、分析システムおよびモジュラユニット

電子ペン用のモジュラユニットが設計される。モジュラユニットは、筆記用具に対する受信部を有する保持体(70)と、プリント回路基板(72)と、プリント回路基板に取り付けられた二次元放射線センサ(78)と、画像平面を画定する撮像ユニット(82)とを備える。保持体(70)、プリント回路基板(72)および撮像ユニット(82)は放射線センサ(78)と対向する撮像ユニット(82)と一体に結合され、放射線センサ(78)の位置に撮像面を置く。モジュラユニットは、例えば位置−符号化パターンの画像に基づく位置決定のような、特定の光学分析用途に専用の分析システムを備えることができる。LEDまたはレーザダイオードなどの放射源がプリント回路基板上に配置、または撮像ユニット上のホルダー内に取り付けられる。撮像ユニット(82)は、放射線センサ(78)の方向に伝播される放射線の空間起点を制御するセンサ照準ユニットとして実現できる。照準ユニットは放射線−伝播チャネル、撮像レンズ、およびチャネル内の方向変更ミラーを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連特許の参照】
【0001】
本出願は、両方共に2003年12月15日出願のスウェーデン特許出願第0303351−1号および米国仮特許出願第60/529,118号、ならびに両方共に2004年7月8日出願のスウェーデン特許出願第0401802−4号および米国仮特許出願第60/586,083号の利益を主張するものであり、これら全ては参照により本明細書に引用したものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、物体を照射し、物体の画像を像平面に伝播するように構成された光学システムに関する。本発明はさらに、電子ペンに対してこのような光学システムを含む分析システムとモジュラユニットとに関する。
【背景技術】
【0003】
今日の社会的移動性に関する常に増大する需要においては、撮像能力を有する小型の携帯デバイスを提供することは一般的である。上述の種類の光学システムは、手持ち式のスキャナおよび電子ペンなど、手持ち式の撮像デバイスとして実現される。このような手持ち式デバイスの全体の大きさを制限するために、光学システムを小型化することが望ましい。
【0004】
光学システムは一般に、物体を照射する放射源を含む照射システムと、物体の画像を記録する二次元の放射線センサを含む撮像システムとを備える。手持ち式デバイスに関しては、紙など、通常平面である、光学システムと物体の間の空間の向きは、著しく変化する。例えば、電子ペンで筆記するプロセスの間において、ペンは紙に対して頻繁に変化する角度で保持される。その結果、紙の空間の向きもまた、放射線センサおよび放射源に対して変化する。角度が変化すると、放射線センサと筆記する面の関係は変化する。これにより、ペンと紙の間の様々な角度に対して観察される部分を正しく撮像する撮像システムが要求される。
【0005】
さらに、物体を適切に照射する放射源が要求される。これらの要求の特徴は、放射源および放射線センサが、例えば物体に対して様々な距離に配置され、物体に対して様々な角度を形成するといった、様々な様式で物体に関係する位置に配置されることである。これらの場合においては、放射源は十分大きな立体角で放射線を放射し、観察される物体範囲が、手持ち式デバイスと物体の間の向きの変化を問わずに照射されることを保証する必要がある。
【0006】
WO03/001358は電子ペンを開示しており、これによると、カメラユニット、光源および筆記用具はペンの先端に置かれる共通の取付部分に収容されている。この構成はペン内の関連部品の相互の位置を制御することを目的とする。しかし、この電子ペンアセンブリは全体としては満足できるものではない。さらに、電子ペンは、カメラユニットの構成要素と光源の間の比較的長い許容差チェーンと、製造コストを増加させ、ペンの耐久性を低減し、手による製造の組立手順が導入される、カメラユニットとプリント回路基板の間の電気的結合とを含む。
【0007】
WO03/025658は、光軸を共有する照射システムおよび撮像システムを可能にするように設計された、光学要素を開示している。これにより、物体に対する向きに関係なく、放射源が放射線センサにより撮像される物体の範囲を照射する。
【0008】
US5,939,702は、光学読取装置を開示しており、これによると、放射源およびフォトダイオードが回路基板に取り付けられ、ライトパイプを用いて、光学データを有する紙といった外部デバイスと放射源およびフォトダイオードとの間の光伝播をしている。この光学読取装置は単にポインティング手段を形成しているだけであり、筆記機能を使用する間は光検出ができない。さらに、この光学読取装置は、点の検出が可能であるだけであり、一次元または二次元のデータを取得するために移動される読取装置を必要とする。さらに、放射源およびフォトダイオードは同一ライトパイプを使用し、このライトパイプは、フォトダイオードに放射源から直接入射する光を検出可能にするできるだけであり、外部デバイスと相互干渉しない。
【特許文献1】WO03/001358
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改良された光学システムを提供することが本発明の全体の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特定の目的は、光学システムと物体の間の変化する向きおよび距離について許容範囲を有する、照射された物体を撮像できる光学システムを提供することである。本発明の追加の目的は、小型に実現できる光学システムを提供することである。上述の問題点を少なくとも部分的に軽減または解決することもまた本発明の目的である。
【0011】
下記の説明から明らかである本発明のこれらおよび他の目的は、請求項1による光学システム、請求項20による分析システム、請求項21および38によるモジュラユニット、請求項29によるセンサ照準ユニット、請求項34による光学要素および請求項49による電子ペン機構により、完全にまたは少なくとも部分的に達成される。本発明の実施形態は独立請求項に定義されている。
【0012】
本発明の一態様によれば、本発明は光学システムに関するものであり、この光学システムは、照射システム内に光軸を有し、かつ放射源を含む照射システムと、撮像システム内に光軸を有し、かつ二次元放射線センサを含む撮像システムとを含み、前記撮像システムは前記照射システムにより照射される物体の画像を提供するように構成され、前記放射源および前記二次元放射線センサは共通基板に取り付けられ、照射システムの前記光軸および撮像システムの前記光軸は前記システム内では一致しない。
【0013】
この態様では、光学システムに放射源と二次元放射線センサ間の明確に定義される空間関係を提供する。これにより、物体上の照射範囲と撮像範囲の間の関係の予想される変化を定義する、短い許容差チェーンを可能にする。これにより、設計許容差および/またはアセンブリ許容差に対する要件を緩和し、連続生産における生産高を増加できる。あるいは、照射されるのに要求される立体角を低減するか、または光学システムを組み込む装置と物体間で使用できる向きの変化を増加できる。これは、照射範囲と撮像範囲との関係における許容差に起因する変化が低減する理由により可能となる。立体角の低減は、放射源に供給する電力が低減されることにより、バッテリの寿命が延びることを意味する。
【0014】
共通基板に取り付けられる放射源および放射線センサは、共通のプリント回路基板(PCB)上に放射源および放射線を取り付けることにより実現できる。これにより、放射源およびセンサを電子回路に安価に簡単に接続し、それらの機能を制御して、取得された画像情報を分析することができる。
【0015】
システムの光軸はシステムに対する放射線の伝搬に関して対称線を形成する。光軸はシステムの構成要素内および構成要素間に延び、さらにシステムにより撮像されるかまたは照射される一つまたは複数の物体に対するシステムの構成要素を超えて延びる。本出願の説明において、用語「照射システム内の光軸」および「撮像システム内の光軸」は、それぞれのシステム内の構成要素内でのみ定義される光軸を意味する。したがって、これらの用語はそれぞれのシステムの構成要素の外側および構成要素を超える光軸を含まない。さらに、光軸は「前記システム内で一致しない」という定義は、光軸はシステム内の任意の点で互いに重複または交差しない、ことを意味する。
【0016】
システム内の照射システムおよび撮像システムで一致しない光軸を備えることにより、それぞれの目的に対し照射光学系および撮像光学系を最適化できる。さらに、放射源から放射線センサへの放射線の直接漏れの危険性は低減される。
【0017】
上述のとおり、光学システムに組み込まれているデバイスと物体間の向きに応じて、物体の様々な範囲が撮像される。デバイスと物体間の向きが一定に場合には、平面物体は撮像システムの対物面に配置される。しかし、向きが変化すると、平面物体は撮像システムの対物面に存在しなくなる。それでも、撮像システムは、対物面からのずれを許容する撮像システムの被写界深度により平面物体を撮像できる。
【0018】
照射システムは放射源から放射線を伝播するように構成され、撮像システムは照射された物体から放射線センサに放射線を伝播するように構成される。これは、放射源および放射線センサが、細長いデバイスの縦軸に基本的に沿う方向に突き出る基板上に配置され、撮像および照射される範囲はデバイスの短い端部に存在する。このようなデバイスは電子ペンまたはバーコードリーダである。したがって、この配置は、放射源および放射線センサが例えば、電子ペン内の共通のPCBに取り付けられる場合に適している。
【0019】
照射システム内の光軸および撮像システム内の光軸は互いに基本的に平行に走る。これにより、光軸がシステム内で一致しないことを保証する。さらに、照射システムの光学要素および撮像システムの光学要素は互いに干渉せずに配置される。
【0020】
照射システム内の光軸および撮像システム内の光軸はさらに、共通基板と基本的に平行に走る。したがって、基板は照射および撮像システムの光路を妨害しない。
【0021】
さらに、照射システム内の光軸および撮像システム内の光軸は、共通基板と基本的に平行な、間隔を空けている平面を画定する。ある1つのこのような配置においては、照射システムおよび撮像システムの光軸は共通の基板全体にわたり横に並べて配置される。それにより、共通基板全体にわたる照射システムおよび撮像システムの高さは最小化され、光学システムを含む電子ペンの直径は小さく保たれる。
【0022】
さらに、照射システムは放射源から物体に向かう放射線を案内する放射線ガイドを含む。放射線ガイドは放射源からの放射線の方向を案内して、それを物体に向けて正確に導く。さらに、放射された放射線を制御して、迷走放射線の拡大を低減する。放射線ガイドは放射源全体にわたり共通基板の上方にミラーを備え、放射源からの放射線の方向変更を行う。
【0023】
放射線ガイドは金属化された突起のない面を含む。これにより、放射線の出力を意図しない放射線ガイドの表面は、放射線の漏れを防止するために金属化される。これはさらに、放射源からの迷走放射線の制御精度を向上し、放射される放射線の分布の制御精度を向上する。
【0024】
なお、ここで使用されているとおり、「迷走放射線」は、撮像範囲で発生しないため、撮像範囲上の放射線センサの情報を提供しない放射線、および撮像される物体と相互干渉することなく放射源から放射線検出器に直接通過または漏れ出す放射線、を意味する。
【0025】
さらに、放射線ガイドは傾斜した放射線伝播出口面を備える。これは、出口面の垂直軸が照射システム内の光軸に対して傾斜していることを意味する。これは、放射源から物体に放射される放射線の伝播を行う。したがって、出口面は傾斜することにより、物体の撮像範囲により正しく対応する照射範囲を生成するように放射された放射線を導くことができる。
【0026】
放射線ガイドもまた、共通基板上に取り付けられる。これは、放射源に対する照射システムの放射線ガイドの位置を明確に定義し、照射システムの許容差チェーンは短く保たれる。照射システムの許容差は物体上の照射範囲の基準位置からの許容差を定義する。したがって、許容差チェーンを短く保つことにより、結果として、物体上の照射範囲のより高精度の制御が得られる。
【0027】
撮像システムはさらに、放射線センサの方向に伝播される放射線の空間起点を制御するセンサ照準ユニットを含む。これにより、センサ照準ユニットは、センサにより観察される範囲を制御する。したがって、センサ照準ユニットはセンサの照準を定義する。撮像システムのセンサ照準ユニットは照射システムの放射線ガイドから分離されているユニットである。センサ照準ユニットはまた迷走放射線を制御し、放射線センサにより迷走放射線が検知されることを防止する。
【0028】
センサ照準ユニットもまた、共通基板に取り付けられている。これは、放射線センサに対する撮像システムのセンサ照準ユニットの位置を定義し、撮像システムの許容差チェーンは短く保たれる。撮像システムの光学機械系の許容差は、物体上の撮像範囲の基準位置からのずれを定義する。したがって、許容差チェーンを短く保つことにより、物体上の撮像範囲の適切な制御が可能になる。
【0029】
さらに、センサ照準ユニットおよび放射線ガイドの両方が共通基板に取り付けられている場合、これらの構成要素の空間的な相互関係もまた明確に定義され、これにより、短い許容差チェーンが撮像および照射システム間の関係に対して得られる。これは、物体上の撮像および照射範囲間の関係が適正に制御されていることを意味する。
【0030】
センサ照準ユニットは、放射線を物体から放射線センサに向かって方向変更するミラーを備えることができる。ミラーは放射線センサが取り付けられた基板の上方、および放射線センサの上方に適切に配置され、放射線を物体から放射線センサ上に直接反射する。
【0031】
センサ照準ユニットはさらに、放射線センサ上に適切な画質の画像を生成するレンズを含む。レンズは放射線センサ上に対物面の焦点を提供する。撮像システムの被写界深度は、対物面にまたは対物面の近くに置かれる物体を観察するために適切に調整され、これにより、対物面から物体を離すように移動させる光学的設定を許容する変更に対しても、十分な画質を得ることができる。
【0032】
センサ照準ユニットは、放射線センサに向かって放射線を伝播するように配置される光学要素を含み、光学要素は物体から放射線センサに向かって放射線の方向を変えるミラーおよび放射線センサ上に適切な画質の画像を生成するレンズを含む。このようにすることにより、センサ照準ユニットはほとんど部品を含まず、光学システムの製品の許容差チェーンは短くなる。これは、アセンブリの許容差のために、照射範囲と撮像範囲間の関係における許容されるずれが低減されることを意味する。上述のとおり、低減された許容差チェーンは、照射範囲が低減され。その結果放射線が消費する電力が低減されることを意味する。これはまた、放出された電力が低減されるため、迷走放射線に関する問題を低減する。
【0033】
センサ照準ユニットはさらに、光学要素の前に配置される開口絞りを含む。開口絞りは撮像システムの被写界深度を調整するために使用される。開口絞りの開口部のサイズを低減することは撮像システムの被写界深度を増加する。
【0034】
光学要素は外側面を備え、少なくともその一部が前記外側表面における内部反射を低減するために配置される材料により覆われる。被覆材は、光学要素の内部から被覆材に入射する放射線の大部分が反射され光学要素に戻らないような、光学特性を有する。このように、被覆材が光学要素材料の屈折率と一致する屈折率を有することにより、被覆材上に入射する放射線は被覆材内に透過される。付加的にまたは代替的に、被覆材は構成要素の内側から壁に入射する放射線の吸収作用を提供する。これは光学要素の内部反射または散乱によって生じる迷走放射線を低減する。被覆材はセンサにより捕集される放射線の波長に対して適切な大きさの吸収係数を有する。さらに、被覆材を選択して、放射線が被覆材を通して光学要素に入ることを防止することもできる。例えば、これは、光学要素の外側から入射する放射線を吸収または反射する被覆材により実現される。これは、入口面よりも、他の表面を通過して光学要素に入射する放射線に対して有効な遮断を可能にする。
【0035】
光学要素は、単体の本体により形成される固体光学要素として実装される。固体光学要素は、プラスチック材、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、Zeonex(R)、ポリスチレン、ナイロン、またはポリスルホンから形成できる。
【0036】
センサ照準ユニットは、代替として、放射線センサに対して放射線を伝播するように配置される内部チャネルを有するハウジングを含み、ハウジング内には、放射線センサに向かって物体から放射線の方向を変えるミラーおよび放射線センサ上に十分な画質の画像を生成するレンズが取り付けられている。このレンズおよびミラーの実装は、撮像光学系が個別の従来の構成要素で構成され、製造および品質管理が容易に可能であることを意味する。さらに、ハウジングは共通基板への取付けに適するような構造にできる。
【0037】
センサ照準ユニットはさらに、ハウジングに開口絞りを含む。開口絞りはハウジングの内面の一部として形成される。このように、ハウジングは放射線センサに向かう放射線経路を制御する撮像システムのすべての構成要素を保持する。
【0038】
ハウジングは、少なくとも一部が放射線のミラー面反射を低減するように構成される、内側面を備える。内側面は放射線を吸収する材料、特に、センサにより捕集される放射線の波長を吸収する材料を含むことができる。ハウジングの内側面はまた、または代替的に、ミラーの反射を避けるために、粗いかまたは適切な表面模様を有する。これは、ハウジングにおける内部反射または散乱により生じる放射線センサに対する迷走放射線を低減する。さらに、内側面には、一つまたは複数の放射線トラップを設け、これにより、トラップの内側の一つまたは複数の反射によるか、あるいは入射する放射線を放射線センサから離れる方向に反射する、随意には放射線トラップ内に反射する一つまたは複数の制御表面によって、受け取る放射線を減衰させることができる。
【0039】
本発明の別の態様によれば、本発明は、本発明による光学システムと、前記共通基板を実装するPCBと、放射線センサから受け取られる画像情報を分析する画像プロセッサとを含む分析システムに関し、光学システムはPCBによりサポートされ、画像プロセッサがPCB上に取り付けられている。
【0040】
PCBによりサポートされる光学システムは、各構成要素が実際にPCB上に搭載されるかまたは取り付けられる必要がないに場合でも、光学システムの構成要素の空間的位置はPCBに対するこれらの関係により定義される、ことを意味する。例えば、光学システムのセンサ照準ユニットはPCBに取り付けられる必要はない。PCB上でサポートされる光学システムの配置は光学システムの構成要素間で明確に定義された空間関係を提供する。これにより、画像の収集および画像の処理のための小型化された配置が実現できる。さらに、分析システムは、PCB上に取り付けられた放射源の制御を容易に可能にし、さらに、画像プロセッサへの放射線センサの簡単で安価な接続を提供する。
【0041】
本発明の別の態様によれば、本発明は筆記用具を有する電子ペンのモジュラユニットに関し、前記モジュラユニットは保持体を含み、本発明による分析システムは保持体上に取り付けられ、前記保持体は電子ペン内の分析システムに対して筆記用具を位置合わせするための前記筆記用具を収納する手段を有する。
【0042】
モジュラユニットの配置により、分析システムの品質を試験後、電子ペンが電子ペンの外側シェル内にモジュラユニットを挿入することにより最終的に取り付けられることを可能にする。その結果、分析システムにおける欠陥は、製造に早い段階で検知され、欠陥製品に対して実施される工程が少なくてすむ。これは製造工程をスピードアップし、改良する。
【0043】
分析システムは保持体に取り付けられ、保持体は筆記用具を収納する手段を提供するため、分析システムと筆記用具間の空間関係は保持体の設計により決定される。これは、撮像範囲および照射範囲が物体と接触する筆記用具のペン先に関して正確に画定されることを意味する。さらに、分析システムおよび筆記用具の保持体上の相互の取り付けは、モジュラユニットがペン先に対する撮像および照射範囲の関係の短い許容差チェーンを提供する、ことを意味する。
【0044】
用語「モジュラユニット」は、一体に組み立てられるユニット、およびユニットの一部を形成しない部品により一緒に保持されないユニットとして構成されなければならない。この場合、電子ペンのモジュラユニットは、電子ペンの最終組立の前に、一体型ユニットを形成する。
【0045】
モジュラユニットは、モジュラユニットが電子ペンの内部に取り付けられる適切な寸法を有する。その結果、電子ペンの組立てにおいて、モジュラユニットは電子ペンの外側シェル内に配置できる。
【0046】
分析システムのPCBを保持体上に取り付けて、保持体上に分析システムを取り付けることができる。その結果、PCBの位置は保持体により固定される。これは、ペンの外側シェルへのモジュラユニットの挿入には、シェルにPCBを固定すること必要がないことを意味する。
【0047】
保持体は、モジュラユニットが電子ペンに組み込まれるとき、電子ペンの縦方向に延びる細長い形状を有する。この結果、保持体はペンの縦方向の形状に沿ってペンの複数の構成要素の位置を固定できる。
【0048】
モジュラユニットはさらに、保持体に取り付けられる接触センサを含む。接触センサは、筆記用具が筆記面に対して押し付けられたときを検知する。この検知により光学システムを起動して、物体を形成する筆記面を照射および撮像する。接触センサの機能は保持体に一体化されて配置された構成要素により得られるかまたは、代替として保持体に取り付けられた接触センサユニットにより得られる。
【0049】
モジュラユニットはさらに、電子ペンの外側シェルに付属物を形成する手段を含む。これにより、モジュラユニットは、ペンのシェル内に装着される準備が整う。付属物を形成する手段は、外側シェル部分を係合するフックまたはピンあるいは外側シェル部分からの突出部を受け入れるスロットまたはくぼみであってもよい。
【0050】
さらに、モジュラユニットは、保持体に取り付けられる振動ユニットを含むことができる。振動ユニットは、例えば、電子ペンが筆記面を適切に撮像できない場合、振動により、ユーザにフィードバックを提供する。
【0051】
さらに、モジュラユニットは保持体に取り付けられた波長フィルタを含むことができる。波長フィルタは、物体からの放射線が放射線センサにより検知される前に波長フィルタを通過するように配置される。その結果、分析システムにより実行される分析に対して望ましくない波長はフィルタにより除去される。
【0052】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は筆記用具を有する電子ペンのモジュラユニットに関し、前記モジュラユニットは、筆記用具に対する受信部を備える保持体と、PCBと、PCBに取り付けられた二次元放射線センサと、画像平面を画定する撮像ユニットとを含み、保持体、PCBおよび撮像ユニットは放射線センサと対向する撮像ユニットと一体に結合され、放射線センサの位置に撮像面を置く。
【0053】
保持体は筆記用具の位置の制御を提供する。保持体は別個の製造工程において十分な精度を備えて製造される。PCB上に放射線センサを備えることは、低コストの方法で製造できる簡単で耐久性のある構造を可能にする。例えば、放射線センサは、別個の製造工程において取り付けられ、PCBと一緒に試験される。撮像ユニットは単純で耐久性のある構造であり、別個の製造工程において十分な精度を備えて製造される。撮像ユニットは上述のセンサ照準ユニットであってもよい。保持体、PCBおよび撮像ユニットの結合により、適切に制御された光−機械の許容差を有するモジュラユニットを可能にし、この許容差は、筆記用具の先端と放射線センサにより記録される画像間の相互関係に影響を与える。さらに、このようなモジュラユニットは電子ペンの最終的な組立ての前に品質試験を受け、それにより製造における比較的早期に欠陥を検知できる。
【0054】
モジュラユニットは撮像ユニットにより画定される対物面を照射する放射源を含む。一実施形態においては、撮像ユニットは放射源を保持するホルダーを含む。これは、簡単で耐久性のある構造をもたらし、放射源と撮像ユニットの間に短い許容差チェーンを提供する。さらに、放射源は撮像ユニットと近接した関係で保持され、筆記面上の撮像範囲と照射範囲間の関係におけるペンの向きの上述の影響は最小化される。
【0055】
一実施形態においては、撮像ユニットはPCBにより支持される。それにより、PCBは撮像ユニットの位置を決めることができる。しかし、撮像ユニットは、PCBに実際に搭載されるかまたは取り付けられる必要はない。センサ照準ユニットは、例えば、PCBにより支持される一方、保持体に直接取り付けられる。PCBは少なくとも部分的に撮像ユニットの位置を決定するため、撮像ユニットと放射線センサ間の短い許容差チェーンが得られる。
【0056】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は物体から放射線センサに放射線を伝播するセンサ照準ユニットに関し、前記センサ照準ユニットはハウジングを含み、このハウジングは、ハウジング内での回転の方向を変える内部チャネルを備え、さらに、前記チャネルの放射線入口および放射線出口と、前記ハウジングの前記放射線入口における内部チャネルに取り付けられているレンズと、内部チャネルの前記回転において内部チャネルの方向の変更に沿って放射線の方向を変更するためにハウジングに取り付けられたミラーとを備える。
【0057】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は物体から放射線センサに放射線を伝播する光学要素に関し、前記光学要素は本体内で放射線経路を画定する堅固な本体により形成され、前記堅固な本体は前記放射線経路内に放射線を受け入れる放射線入口面を含み、前記入口面はレンズ素子、放射線出口面、管状部分の縦方向の軸に沿う放射線経路において放射線を伝播するための管状部分、および入口面と反対方向の管状部分のミラー面を含み、ミラー面の法線は管状部分の縦軸に対して傾斜することにより、放射線経路が堅固な本体の放射線出口面に向かってミラー面で方向変更されるようにされている。
【0058】
本発明これら最後に述べられた態様の両方は、物体から放射線センサに放射線を伝播するデバイスをそれぞれ提供する。有利には、この放射線の伝播を撮像システム内で利用して、物体から放射線を収集し、放射線センサに放射線を伝播することができる。その結果、これらデバイスはそれぞれ、放射線センサにより撮像される物体に対してさらに自由な、放射線センサの配置を可能にする。
【0059】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、筆記用具を含む電子ペン機構と、ペンが操作される筆記面の画像(この画像は筆記用具の一部を含む)を生成するために設計された光学システムとを含み、さらに、前記画像の位置符号化パターンに基づき、および画像の前記一部の配置に基づいて、位置を表示するデータを導き出す処理ユニットを含む。
【0060】
記録された画像内に筆記用具の一部を含む光学システムを設計することにより、処理ユニットは、位置符号化パターンにより提供される復号される位置、すなわち筆記用具と筆記面の間の接触点の位置と実際の筆記位置とを正確に対応させることができる。これにより、処理ユニットは、経時的またはペンの間の、実際の筆記位置に対する画像の位置のあらゆる変動に関して自己校正が可能である。一実施形態では、処理ユニットは、画像、ペンの空間的な向きおよび復号された位置に基づいて計算するように構成される。位置、空間的向きおよび画像の上述部分の位置の認識により、処理ユニットは実際の筆記位置を計算する。ペン機構の通常の操作中において、処理ユニットは画像の一部の位置を導き出す必要はない。その代わり、実際の筆記位置の計算は、先行する較正工程において、一つまたは複数の画像の一部の位置から導き出される較正パラメータに基づいてなされる。一実施形態では、電子ペン機構は、筆記用具、光学システムおよびペンデバイスに組み込まれている処理ユニットを備えたユニットである。別の実施形態では、筆記用具および光学システムはペンデバイスに組み込まれており、処理ユニットは別個のデバイス内に配置されている。
【0061】
本発明の他の目的、利点および機能は、以下の本発明の詳細な説明、特許請求の範囲および図面に記載されている。
【0062】
本発明は、例としての目的だけで本発明の実施形態を示す、添付図面を参照してさらに詳細に以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
図1〜4を参照すると、電子ペンの部分および構成要素およびペンの機能が最初にまとめて示されている。本発明は電子ペンにおける使用に限定されないが、電子ペンにおいて使用される本発明の実施形態は、本発明の少なくともいくつかの態様により取得される特徴および機能を説明する。
【0064】
当業者には明らかなことであるが、下記の特定の実施形態に関して単に説明されている特徴、利点および目的は、以下に開示される他の実施形態に等しく適用可能である。
【0065】
[電子ペンの光学システムの設計]
図1aおよびbでは、電子ペン1のインクカートリッジ8が示されている。インクカートリッジ8は、ユーザが筆記するときに筆記面14に接触するペン先9を含む。筆記面14は、筆記面14上に情報を有するパターンを含む。パターンは表面14上の位置または筆記が関係する全体情報を符号化できる。このパターンを利用して、ペン先9の動きを計算しおよび/または、筆記がチェックボックスまたはカレンダーの日付など、紙の上の特定の範囲で行われる場合に記録する。筆記面のパターンを復号化するため、ペン1は表面14上の範囲を撮像するため撮像システム15(図4)を含む。撮像範囲を使用して、ペン1は表面14上のペン先9の位置を決定する。撮像システム15は撮像範囲の十分に鮮明な画像を取得するための合焦レンズを含む。さらに、撮像システム15が表面14上の範囲を正しく撮像するために、この範囲は放射源により照射される。
【0066】
ユーザが筆記すると、表面14に対するインクカートリッジ8の向きは変化する。理想的には、ペン先9を中心とする範囲を撮像して、ペンの向きの変化により生じる撮像範囲とペン先9間の関係におけるあらゆる変化を最小化する。しかし、撮像システム15の光軸がインクカートリッジ8の縦軸と一致するように配置されるため、これは実現することが困難である。さらに、インクカートリッジ8およびペン先9は撮像範囲を妨害する可能性がある。したがって、撮像システム15はペン先9に隣接する範囲を撮像するように配置される。それにより、撮像範囲とペン先9間の関係は、以下に説明されるとおり、インクカートリッジ8と表面14間の向きに依存する。
【0067】
図1aおよびbにおいて、インクカートリッジ8と筆記面14間の向きが示されている。この向きは三つの角度を使用して説明できる。図1aに示されているとおり、インクカートリッジ8は、インクカートリッジ8の縦軸Aと表面14の法線との間の傾斜角として定義される、傾斜角θを形成する。傾斜角θは筆記中に大きく変化する。さらに、図1aに示されているとおり、ペン1は縦軸Aの周りで回転されることもある。撮像システム15はこの軸上に配置されていないため、このような回転は撮像範囲とペン先9間の関係に影響を与える。縦軸Aの周りのペン1の回転はスキュー角φと呼ばれる。さらに、図1bに示されるとおり、ペン1は表面14上のパターンに対して回転されることもある。表面14の法線の周りのこの回転はパターン回転角αと呼ばれる。
【0068】
図2を参照すると、インクカートリッジ8と筆記面14の間の異なる傾斜角θの影響が示されている。三つの異なる筆記面、WS、WS−45、WS45は異なる傾斜角、すなわち、それぞれ、インクカートリッジ8と筆記面14間の、θ=0°、θ=−45°およびθ=45°を説明するために示されている。図2に示されているとおり、表面14は傾斜角θに依存して画像システムの光軸Cに沿う様々な位置に配置される。その結果、撮像システム15(図4)の放射線センサと筆記面14上の撮像範囲間の距離もまた、傾斜角θに依存する。筆記中に許容される傾斜角θは撮像範囲と放射線センサ間の距離の範囲を定義し、その角度において、表面14上のパターンを復号化するために、放射線センサは撮像範囲の関連部分全体にわたり適切な鮮明度を備える撮像範囲を検出しなければならない。距離のこの範囲は撮像システム15の被写界深度の必要条件FDと呼ばれる。図2に見られるとおり、この必要な被写界深度FDは、基準面、この場合には、接触点P、すなわちペン先9と撮像システム15の光軸Cの間の傾斜角θ=0における筆記面の平面の上の距離Dに比例する。大きな被写界深度を得るために、撮像システム15は高いf数を有し、結果として少量の放射線が放射線センサを通過する。明るさが重要な場合、光軸のずれまたは距離Dを最小に保持することが望ましい。
【0069】
撮像システム15は、撮像システム15の視野である、表面14上の範囲を撮像する。放射線センサにおける画像面の上の物体の絶対倍率(|m|)は物体と撮像システム15のレンズの間の距離に反比例するため、視野の絶対倍率はインクカートリッジ8と表面14の間の傾斜角θを大きくすることにより増加する。放射線センサ上の有効範囲上で撮像される視野は、絶対倍率が大きくなると、小さくなる。撮像システム15は、表面14上のパターンを復号化するために、十分な量の情報を保持する表面14上の範囲を撮像しなければならない。その結果、視野を十分大きくして、復号化範囲DAの撮像を可能にする必要がある。このように、絶対倍率の上限は視野が復号化範囲DAを含むように設定される。さらに、絶対倍率の下限はパターンの最小の適切な細部の識別を可能にするように設定される。また、必要な被写界深度FDを可能な限り小さく保持することにより、撮像範囲の倍率の変化が最小化される。
【0070】
ただし、必要な被写界深度FDを可能な限り小さく保持するには、視野はインクカートリッジ8の先端の近傍に配置されなければならない。その結果、視野がインクカートリッジ8の先端により部分的に妨害される危険性がある。インクカートリッジ8が視野の大きい部分を妨害する場合、表面14の撮像範囲はパターンの復号化を可能にするには大きさが不十分となる。これは、距離Dがあまり小さく設計されてはならないことを意味する。距離Dを一定に保持しながら、光軸Cとインクカートリッジ8の縦軸A(図2)との間の角度を増加する場合、視野内のインクカートリッジ8の先端の妨害は低減される。
【0071】
ただし、角度を大きくすることはまた、光軸Cがペン1の内側で縦軸Aからさらに離れ、結果としてペン1の半径がより大きくなることを意味する。上で簡単に説明したとおり、撮像範囲の少なくとも関連部分、すなわち復号化されるパターンを保持する復号化範囲DAが照射されなければならない。照射システム13の光軸Iが撮像システム15の光軸Cと一致するように配置される場合、これは容易に保証される。しかし、撮像と照射システム15、13の光軸C、Iが一致するように配置される場合、一致する光軸の光学要素は撮像および照射システム15、13の両方の機能を実行するように構成される必要がある。これは、光学要素における放射線の損失を招く。他方で、光軸C、Iが一致しないように配置される場合(図2)、撮像範囲と照射範囲の間の関係はインクカートリッジ8と筆記面14の間の角度に依存する。このとき、ペンの設計は、照射範囲がインクカートリッジ8と筆記面14の間のすべての許容される角に対する撮像範囲の関連部分を常に含むように、照射システム13を配置することを必要とする。照射システム13は、例えば、十分な大きさ(放射照度)の十分に均一な放射線を用いて、適切に復号化範囲DAを照射しなければならない。均一性は復号化範囲DA内の放射照度および/または放射照度の勾配における最大の差により定義される。
【0072】
インクカートリッジ8と表面14間のすべての許容された角に対する集積された復号化範囲DAは照射される空間を画定する。上述のとおり、この空間は、ペン1の設計に、すなわち、距離D,復号化範囲DA、光軸Cとインクカートリッジ8の縦軸Aとの間の角、ならびにインクカートリッジ8と表面14との間の許容される角に依存する。その結果、照射システム13は、照射される空間をカバーするような大きな立体角γで放射線を放射するように構成されなければならない。撮像システム15の光軸Cに近接して照射システム13の光軸Iを配置することは、要求される立体角γが比較的小さく保持されることを意味する。要求される立体角γを得るのに必要な照射システム13の特性は、放射線−追跡プログラムを使用して照射パターンを計算することにより設計できる。
【0073】
上では、異なる傾斜角Aの影響を説明してきた。さらに、異なるスキュー角は被写界深度FDおよび照射空間に関する要件に影響を与える。さらにまた、変化するスキュー角が許容される場合、距離Dの増加は、大きな被写界深度FDおよび大きな照射空間が必要であることを意味する。
【0074】
パターン回転角αが変化すると、撮像システム15により観察される符号化パターンも変化する。これは表面14上のペン先9の位置の計算において考慮に入れる必要がある。すべてのパターン回転角αを許容することは、筆記表面の撮像範囲の要求されるサイズが、360°を超える復号化範囲DAを回転することにより形成される円によって、基本的に画定されることを意味する。ただし、パターン回転角αの変化は撮像される範囲のサイズ、放射線センサに対する撮像範囲の距離または距離Dに影響を与えない。
【0075】
[許容差の影響]
ペン1は、ペン1のすべての構成要素に対して、サイズおよび相対的な取付角および距離などの基準パラメータを用いて設計される。この設計は距離Dの基準値を提供する。しかし、ペン1の製造においては、基準パラメータに対する許容差は許容されなければならない。許容差チェーンを合計して、距離Dの許容される最大値に関する必要条件を設定する。この最大値は撮像システム15の被写界深度FDに必要条件を設定する。さらに、許容差チェーンを合計して、可能性のある必要な照射空間を定義する。
【0076】
ペン1の設計においては、撮像および照射システム15、13の上述のパラメータを考慮する必要がある。ペン先9と基準面における撮像システム15の光軸Cとの間の基準距離Dが低減すると、基準の被写界深度FDも低減する。これは、撮像システム15における開口絞りの開口部が増加して、より多くの放射線が放射線センサに到達できることを意味する。その結果、放射源の出力が低減し、それによりペン1のバッテリの寿命が延びる。撮像システム15が変更されない一方で、低減された距離Dを用いて、代替方法として、筆記面14上のパターンがより小さな細部を含むことを可能にできる。基準の被写界深度FDを一定に保つ一方で、別の代替方法として、基準距離Dの低減を用いて、インクカートリッジ8と筆記面14との間の角のより大きな差を可能にできる。さらに、基準距離Dの低減を用いて、ペン1の個別の部品におけるまたは部品のアセンブリにおけるより大きな許容差を可能にできる。
【0077】
これらのパラメータ、すなわち、基準距離D、基準被写界深度FD、筆記面14上の細部の程度、インクカートリッジ8と表面14間の距離の許容される変化、ならびに許容される許容差は、複数の様々な様式で変化し、この場合、パラメータの必要条件における変更は他のパラメータの一つまたは複数の必要条件に変化をもたらす。
【0078】
許容差チェーンの不十分な制御により、結果として、ペンによっては、距離Dが大きくなり、撮像システムがプロセッサ16(図4)に対して有効な画像を提供することができなくなる。これは開口絞りの開口部を低減することによりおよび/または撮像レンズの焦点距離を低減することにより、大きな基準被写界深度を備える撮像システム15を構成することにより解決される。ただし、これは放射線センサに伝播される放射線の量に関して望ましくない制限をもたらす可能性がある。
【0079】
本発明の好ましい実施形態は、約3〜5mmの復号化範囲DAに対応するように設計される。距離Dは約2〜4mmの範囲で適切に設定され、必要な被写界深度FDは約2.5〜10mmの範囲で、好ましくは4−8mmの範囲で、さらに好ましくは6.5〜7.5mmの範囲で適切に設定される。好ましくは、光学システムは、すべてのスキュー角φに対して、傾斜角θの対称的な範囲を可能にするように設計され、それにより、ユーザが任意のスキュー角でペンを握り筆記できるようにされる。好ましくは、許容可能な傾斜角の範囲は、約±30°、好ましくは約±40°およびさらに好ましくは±45°を含む。好ましくは、撮像システムは、θ=0°およびφ=0°における筆記面から放射線センサまでの光軸Cの長さを用いて、約15〜60mm、好ましくは約30〜45mmの範囲に設計される。下限では、撮像システムは望ましくない小さな開口絞りを必要とし、例えば歪みなど、大きな画像収差を示す。上限では、撮像システムはペンにおける大きな縦方向および半径方向の空間を取り、および/または、ペンの前部において光学的な方向変更素子を必要とする。
【0080】
[実施形態の例]
以下に、ペン1内の撮像および照射システムのいくつかの実施形態を説明し、上述の必要条件に適合するペン1の設計方法を示す。
【0081】
図3のペン1は前部2aを備える本体2およびクリップ4を備えるキャップ3を有する。図4に示されているとおり、前部2aは、保持体5の突出する端部により形成され、中空のハウジング6内でペン1の後部7に向かって突き出るように構成される。
【0082】
ペン先9を備えるインクカートリッジ8は、図5および6に示されているとおり、保持体5内の収容10に挿入される。収容部10はペン1の前部2aにおいて貫通孔10aおよびそれに位置合わせされた縦方向溝10bを備える。インクカートリッジ8は収容部10にスライドして挿入され、ユーザにより交換できる。インクカートリッジ8と収容部10の間に、一定の半径方向の遊びが存在する。
【0083】
図4を再度参照すると、プリント回路基板(PCB)12はインクカートリッジ収容部10と平行に延びる保持体5上に取り付けられている。光学システム11はPCB12に取り付けられている。光学システム11は、ペン1を使用してユーザが筆記する、通常紙などの筆記面である物体に放射線を放射および導く照射システム13を含む。光学システム11はさらに、物体の画像を記録するために、物体からの放射線を収集および検出する撮像システム15を備える。照射および光学システムはPCB12上のプロセッサ16の制御下で動作し、このプロセッサが記録された画像を受け取り分析する画像プロセッサを実現する。
【0084】
ペン1はさらに、プロセッサ16、光学システム11および電力を必要とするペン1のすべての他の部分に対して電力を提供する手段を含む。電力を提供する手段はバッテリ21または外部の電源への接続のためのコード(図示せず)である。ペン1はさらに、プロセッサ16からの記録された画像または情報を転送するために、外部コンピュータユニットへの接続を可能にする手段(図示せず)を含む。外部コンピュータユニットへの接続を可能にする手段は無線送信機/受信機、クレードルコネクタ(ドッキングステーション)、またはUSBコネクタなど任意の種類のワイヤ接続である。
【0085】
ペン1が使用されていないとき、通常、キャップ3は前部2aを覆うように置かれ、ペン1のペン先9および他の構成要素を保護する。クリップ4は、例えばシャツのポケットに、ペン1を固定するために使用される。ペン1が使用されるとき、キャップ3は取り外され、ペン1の処理回路素子は待機モードに設定され、ペン1は起動動作を検知可能になる。キャップ取り外の検知およびペンの電子機器回路の選択的な起動制御に関する技法はさらに、本出願者の特許公開US 2002/0175903およびWO 03/069547に開示されており、これらは参照により本明細書に引用したものとする。
【0086】
ペン1はさらに、保持体上の接触センサ収容ポケット18内に取り付けられる、接触センサ機構17を含む。接触センサ機構17は収容溝10bの遠端部に装着される。収容部10に挿入されると、接触センサ機構17はインクカートリッジ8の後端部を受け入れる。ペン先9が筆記面14に対して押し付けられると、インクカートリッジ8はポケット18の壁に装着された接触センサ19に向かって押し付けられる。接触センサ19による十分な圧力の検知値を用いて、プロセッサ16など、制御する電子回路を完全に起動し、それにより、照射システム13、撮像システム15なども起動する。接触センサの出力信号が加えられた圧力量を表す場合、圧力値は、例えば、電子ペンのストロークの後続の表現に使用される、同時に記録される対応する画像に関連付けできる。
【0087】
図5および6の実施形態では、インクカートリッジ8の後端部は、インサート22に挿入され圧入されて、ポケット18内に移動可能に配置される。接触センサ19はポケット18により画定される空間の壁に付着される。空間は、インサート22が接触センサ19から離れる方向に移動できるが、同時に、インサート22がポケット18の外部に移動できないように画定される。インサート22は類似のインクカートリッジの様々な製品を保持するように設計され、これにより、通常のボールペンの交換可能なインクカートリッジを使用できる。インクカートリッジ8のペン先9が筆記面14に対して押し付けられると、インサート22は接触センサ19との十分な接触を保証し、接触センサ19に損傷を与えるインクの予想される漏洩の危険性を低減する。インクカートリッジ8が交換されるペン1から取り外されると、ポケット18の形状によりインサート22は所定の位置に留まる。インクカートリッジ8と収容部10の間の半径方向の遊びは、インクカートリッジ8がより小さい許容差のみを備えてペン1から取り外されることを保証する。新しいインクカートリッジ8を取り付けると、収容部10はインクカートリッジ8がペン1の内部に正確に配置されることを保証する。
【0088】
ペン先9と撮像システム15との間の関係を緊密にするために、インクカートリッジ8と収容部10と間の半径方向の遊びを基本的になくすることが考えられる。しかし、ペン先9は一般にゼロでない半径方向の広がりを有するため、筆記面14との実際の接触におけるペン先9の部分は、ペン1の傾斜角およびスキュー角により変化する。これは筆記面14上のペン先の位置の決定において誤差を発生する。ボールペンは通常、約0.5mmの直径を備えるペン先(ローラーボール)を有する。±45°の傾斜角に対して、上述の誤差は約0.35mmであり、この誤差は、筆跡が筆記面を表す罫線を引いた背景に対して再生される場合は十分大きく、目に見える。ペン先9の形状が既知の場合、補正値を計算することにより、この誤差ならびに瞬間的な傾斜およびスキュー角を最小化することができる。しかし、これとは別に、これらの誤差は全体の半径方向の遊びを慎重に設計することで、低減されることが判明している。図7は+45°(実線)および−45°(点線)である二つの極端な傾斜におけるインクカートリッジ8を示す。図で明らかなとおり、実際の接触点は基本的に一定のままである。これは、ペン先がインクカートリッジ8の縦軸に垂直な平面に突出したときに、ゼロの半径方向の遊びの実施形態に対する極端なペン傾斜角において、半径方向の隙間RGのサイズを、ペン先9の接触点の位置により画定される範囲の有効直径と等しく設定することにより達成できる。実際には、半径方向の隙間RGは、ペン先9が筆記中に筆記面14に通常沈むことを考慮に入れるため、有効直径の約40〜90%に設定される。
【0089】
保持体5上に明確な位置を有するポケット18(図4および5)内に接触センサ17を取付けることにより、インクカートリッジ8および接触センサ機構17の相互の調整不良の危険性を最小化する。このような調整不良はインクカートリッジ8の軸方向の動作を妨害し、そのため、不定な遅延が筆記面とペンとの接触の接触センサの検知において発生する。さらに、このような調整不良は接触センサ19上の磨耗を招く。保持体5上に接触センサ機構17を取り付けることはさらに、機械的衝撃に対するペンの感受性を低減する。
【0090】
保持体5はまた、ペン1の導電部材間の空隙など、小さな絶縁隙間の間の過電圧放電または火花の形の、静電放電(ESD)に対してペンの電子回路を保護するのに有効である。ESDは電子回路に対する重大な損傷および/またはそのラッチアップを招く。ESDの問題は、充電が多くの場合金属から作られるインクカートリッジ8を経由してペン1の内部または外部に移動するため、電子ペンにおいては強調される。図4〜6の実施形態では、カートリッジ/接触センサおよびPCB12間のすべてのこのような隙間は収容部10により効果的に取り除かれ、ポケット18は保持体5の一方側に配置され、電子回路(PCB12、プロセッサ16など)は保持体5の反対側に配置される。保持体材料は連続体であり、すなわち、少なくとも収容部10およびポケット18を画定する表面に貫通孔がない。
【0091】
さらに、保持体5上に接触センサ機構17を取り付けることにより、ペン1が最終的に組み立てられる前に、ペン1の機能を試験することができる。その結果、欠陥がペン1の機能に検知された場合、最終的な組立てを実行する必要はない。
【0092】
また、ペン先9が筆記面に対して押し付けられると、別の種類のセンサを用いてペン1を起動できることは、理解されるべきである。例えば、オープンの電子回路の部分(図示なし)は接触センサ19の位置に配置される。この場合、インサート22は導電性のピンまたは導電性のシートを備えており、これらは、ペン先9が筆記面に対して押し付けられると、接触して電子回路を閉じる。代替として、光検出器または磁気検出器がインクカートリッジ8の動作を検知するために使用される。上述のWO03/69547は本発明に関連して使用される接触センサを説明している。
【0093】
ペン1はさらに、保持体5の後端部の壁に取り付けられる振動器20を含む。振動器20はPCB12上の制御装置に接続される。振動器20は振動することで、ユーザにフィードバックを提供する。例えば、ユーザがチェックボックスにチェック印をつけたことをペン1が検知すると、振動器20が振動して、ペン1がチェックボックスに印が付けられたことを正確に検知したことをユーザに知らせる。さらに、ペン1がエラーを検知すると、例えば、ペン1が認識すると予測する表面14上のパターンを認識しない場合、振動器20は連続的に振動する。
【0094】
保持体5および保持体5上に取り付けられた構成要素、例えば、PCB12、光学システム11、接触センサ機構17、振動器20およびインクカートリッジ8は、ペン1に対するモジュラユニットを形成する。このモジュラユニットは、ペン1の最終組立を必要とせずに、ある一定の外部条件に対する機能性および許容差について試験できる。これにより、欠陥のあるモジュラユニットはペン1の最終組立ての前に廃棄または修正される。さらに、ある1つのモジュラユニット内にこれら構成要素すべてを配置することは、モジュラユニットが下請け業者によりペンの製造者またはペンの販売店に配送できる可能性を提供する。次に、ペンの製造者/販売店は、ペン1を販売する前に、バッテリおよび任意の他の望ましいまたは必要な外側シェルまたはケーシング内に構成要素を備えるモジュラユニットを単にパッケージングすればよいだけである。また、バッテリがモジュラユニットの一部を形成することを考えてもよい。いずれの場合でも、モジュラユニットはペン1の基本的な機能を提供する。
【0095】
ユーザが起動されたペン1を用いて筆記するとき、ペン先9に近接するまたは周辺の筆記面の範囲は光学システムの照射システム13により照射される。光学システム11の撮像システム15はペン先9に近接する表面14の照射範囲の画像を記録し、プロセッサ16は画像に基づいてペン1の位置を計算する。ここでは、例えば、US 6,570,104、US 6,674,427、US 2001/0038349、US 2003/0066896、US 5,477,012およびUS 6,330,976に開示されている種類の、表面14上の特定の位置符号化パターン(図示なし)が使用される。筆記面上のパターンを用いて、ペン1の位置は任意の瞬間において決定され、このようにして、ユーザの筆記が記録される。
【0096】
優れた画像品質を達成するために、撮像システム15により撮像される範囲は照射システム13により適切に照射される必要がある。これは、上に説明したとおり、例えば、ペン1と筆記面間の角度ならびにペン1の構成要素における許容差に依存する撮像範囲の予測される位置により形成される空間をカバーする、立体角γ内に放射線を放射する照射システム13により達成される。
【0097】
次に図8から12を参照して、分析システムを説明する。分析システム全体は図8に示され、分析システムの各部分は図9〜12に詳細に示されている。分析システムはPCB12を含み、PCBの上にはプロセッサ16が配置され、また光学システム11が取り付けられている。分析システムは物体を照射および照射された物体を撮像するのに使用される。記録された画像は、PCB12上の撮像システム15に接続されているプロセッサ16において分析される。このように、分析システムは、異なる光学分析用途において使用される分析機能を備える。分析システムは、手持ち式デバイスにおける使用に特に適しており、物体は照射された物体の画像に基づいて分析される。分析システムは電子ペンにおける分析システムの用途に関して以下に説明されるが、本発明の用途の保護の範囲は分析システムでのこの利用に制限されないことは、強調されるべきである。例えば、代わりにバーコードリーダにおいて利用される。
【0098】
分析は画像分析を実行するプロセッサ16をプログラミングすることにより、それぞれの特定用途において達成できる。画像プロセッサ16は画像の前処理を実行し、随意には画像から情報を抽出するのに対し、外部コンピュータユニットは、場合に応じて、前処理された画像または抽出された情報に基づいて筆記面14の座標を計算する。代替として、画像プロセッサ16は画像内の情報についてのすべての処理を実行する。代替として、画像プロセッサ16のすべてまたは一部は放射線センサ24に一体化される。一実施形態では、画像プロセッサ16は特定用途向け集積回路(ASIC)として実装される。
【0099】
実行される分析は分析システムの利用および記録された画像からの必要とされる情報に大きく依存する。したがって、以下の説明では、図9〜12を参照して、分析システムの光学システム11を詳細に説明するが、プロセッサ16の機能は簡単に説明するにとどめる。
【0100】
図8に示されるとおり、照射システム13および撮像システム15は相互に近接して配置される。この結果、照射範囲および撮像範囲間の関係におけるペン先9と筆記面14間の角度の変化の影響は低く保たれる。
【0101】
光学システム11は、図8に示されるとおり、PCB12に取り付けられる。これは光学システム11の堅固で単純なアセンブリである。
【0102】
次に図9を参照して、撮像システムの概要を説明する。撮像システムは二次元の放射線センサ24を含む。二次元の放射線センサ24は、CCDまたはCMOSセンサなど、電気−光学センサである。放射線センサ24はPCB12にはんだ付けされるパッケージ25内に配置される。代替として、センサチップは、例えば、ウェッジまたはボールボンディングによって、PCB12に直接取り付けられる。放射線センサ24は制御および分析のため、PCB12を介して画像プロセッサ16に接続される。
【0103】
撮像システムはさらに、放射線センサ24に放射線を導くセンサ照準ユニットまたは撮像ユニット26を含む。図9の実施形態では、照準ユニット26は放射線センサ24を取り囲むPCB12上に取り付けられる。照準ユニット26はセンサ24を備えるパッケージ25を収容するセンサポケット27を有する。これにより、照準ユニット26を通り伝搬する放射線のみがセンサ24に到達する。照準ユニット26は、センサ24の上方に配置されるミラー28を含む。ミラー28は、センサ254に筆記面から放射線を反射するように、およびこれにより撮像システムの光軸の方向を変更するように配置される。ミラー面は平面である必要はなく、わずかに湾曲したミラー面も考えられる。
【0104】
ミラー28を用いて放射線の方向を変更することにより、センサ24を、センサのほぼ垂直方向の筆記面から離れる方向に延びるPCB12上に取り付け可能になる。放射線はミラー28において基本的に90度で方向変更され、この結果、ミラー28の上流の光路における撮像システムの光軸は、PCB12の表面と基本的に平行になる。したがって、PCB12は撮像システム15の視野を妨害にしない。ミラー28の上流の撮像システムの光軸はある程度、通常、約15°未満、好ましくは約10°未満、最も好ましくは約3°−8°未満に、インクカートリッジの縦方向の軸に対して傾けられ、これにより、撮像システムはペン先に近接した筆記面の範囲を観察する。
【0105】
照準ユニット26はさらに、光路におけるミラー28の上流にレンズ29を含む。レンズ29は筆記面から放射線を、ミラー28を通してセンサ24上に集束するように配置される。レンズ29は照準ユニット26内に配置され、これにより、レンズ29とセンサ24との間の距離がレンズ29と筆記面間の距離より短くなり、その結果、筆記面の撮像範囲が増加する。照準ユニット26は、筆記面14の十分な範囲がセンサ24上で撮像されて、ペン先9の位置を決定するような縮小率を備える必要がある。ただし、撮像範囲は、復号化のために必要とされる特徴形状が記録された画像を区別できない程度にまで縮小されてはならない。
【0106】
照準ユニット26はさらに開口絞り30を含む。開口絞り30はセンサ24に向かう方向に通過する放射線の量を低減する。開口絞り30の開口部が増加されると、より多くの放射線がセンサ24に向かって通過するが、撮像システム15の被写界深度は同時に減少する。
【0107】
図10に示される一実施形態においては、レンズおよびミラーは一つの光学要素31として実現される。この光学要素31は、ここでは撮像プリズムとして表わされる固体光学要素である。撮像プリズム31はポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネートZeonex(商標)、プリスチレン、ナイロン、またはポリスルホンなどのプラスチック材料から製造できる。プリズム31は、例えば接着、スナップ嵌合、クランプまたは超音波溶接によりPCB12に取り付けられるベース32を有する。センサポケット27はベース32内に配置される。プリズム31のポケット27の内側表面は、平坦またはわずかに曲面であってもよく、放射線センサに向かう放射線出口面33を形成する。プリズム31はさらに、ポケット27の上方に配置され、かつベース32に対して傾斜しているミラー面34を有する。ミラー面は反射面を提供するために外側を金属化される。これにより、プリズム内からミラー面34に入射する放射線がミラー面で反射される。代替として、ガラスミラーが、光学接着剤によりプリズム31に接着される。プリズム31は、ミラー面34から延びる基本的に管状の部分35を有し、少なくとも部分的にベース32により支持される。ミラー面34から延びる管状部分35は、ベース32の幾何平面の方向にわずかに傾斜している。これにより、光学軸はインクカートリッジ8の縦軸に対して傾斜し、この結果、撮像システム15はペン先9に近接する範囲を撮像できる。管状部分35の近端はプリズム31を超えて突き出る。この近端はプリズム31の入口面36を形成する。入口面36は、レンズ面を含み、対物面からの放射線を受け入れるように配置される。レンズ面は、例えば入口面36の湾曲および/または入口面36のフレネルゾーンなどの任意の適切な屈折手段により形成できる。
【0108】
入口面36および出口面33を除く撮像プリズム31の全表面と、随意にはミラー面34とは、放射線透過材料でカバーされる。放射線透過材料は、プリズム材料の屈折率に十分一致する屈折率を有し、この結果、これらのカバーされた表面に入射するプリズム内の放射線の大部分が、反射されてプリズムに戻されることなく、放射線透過材料中に透過する。さらに、放射線透過材料を、関連の波長を吸収する、一般には少なくとも0.5の吸収度を有する材料から選択することにより、透過した放射線がペンケーシング内に拡散するのを防止できる。撮像プリズムの外側に放射線−透過材料を取り付けることにより、迷走放射線が放射線センサに達するのを防止する。プリズムの内部反射の効果的な防止がなされるため、プリズム表面をプリズム内の所望の光路に近接して配置できる。したがって、プリズムのサイズを小型化できる。さらに、放射線−透過材料を選択することにより、放射線が入口面以外の表面を通りプリズムに入るのを防止できる。一実施形態においては、放射線−透過材料は黒色塗料である。
【0109】
さらに、ベース32にノッチ37が設けられている。このノッチ37は、入口面36から見られるときの放射線センサの前面にバリヤを形成し、放射線がミラー面34と相互干渉することなく入口面36から放射線センサに直接入射するのを防止する。
【0110】
この実施形態においては、照準ユニット26はプリズム31および開口絞り38からなる。開口絞り38は、入口面36の位置において撮像プリズム31の管状部分35を覆って取り付けられるキャップとして実現できる。開口絞り38は入口面36の前面に配置された開口39を有し、この開口39から放射線がプリズム31内に入る。開口絞り38はプラスチック材料で形成でき、プリズム31に接着するか、または上にはめ込まれる。代替として、開口絞り38は入口面36の一部を、例えばプリズム31の他の面に使用される放射線−透過材料を用いてマスクすることにより、放射線を伝播しないようにすることができる。
【0111】
図11に示される別の実施形態においては、照準ユニットは必要な光学要素を収容するハウジング40として実現される。放射線はハウジング40内に形成されるチャネル41中を伝播する。ハウジング40は撮像プリズム31と基本的に同一形状であり、したがって、ハウジング40内に類似の光路が形成される。ハウジング40のベース42はPCB12に対して大きい表面を有する。さらに、ハウジング40は、例えば接着、スナップ嵌合、クランプまたは超音波溶接により、ハウジング40をPCB12に強固に取り付けるのに適する材料で形成できる。ハウジング40はベース42に開口43を有し、この開口43はチャネル41内に開くセンサポポケットを形成する。
【0112】
例えば接着によりミラー44を取り付け、ハウジング40の開口をベース42の開口43の上方でカバーする。ハウジング40はミラー44を収容し、ミラー44の位置を画定するスロット(図示なし)を備える。ハウジング40はさらに、ミラー44から延びる、チャネル41の管状部分45を備える。ハウジング44はチャネル41の下部の内面を形成する厚いベース壁面を有する。管状部分45の端部に、ハウジング40の内壁がチャネルの直径を減少する放射状の突起46を有し、この突起が実質的な開口絞り47を形成する。開口絞り47はハウジング40のチャネル41内に短い部分を配置している。ハウジング40はさらに、筆記面14からの放射線を受け入れる外側開口を備える。レンズ46がハウジング40内の開口絞り47の上流に、例えば接着、クラッシュリブ、超音波溶接、形状結合、はめ込み結合等により取り付けられる。
【0113】
代替として(図示なし)、レンズはチャネル41内の開口絞り47の下流に取り付けられる。一般に、レンズはチャネル内の所定の位置まで、例えば開口絞りの受面まではめ込まれる。このように下流に取り付けることにより、レンズと放射線センサとの間の距離に対するアセンブリ許容誤差の影響を軽減できる。この理由は、レンズ位置の所定の位置からのずれが、ホルダーに対するミラーの位置ずれおよび放射線センサに対するホルダーの位置ずれを打ち消すからである。同様の利点は、チャネルの内部からミラーを取り付けることによって得ることができる。
【0114】
代替として、開口絞りは別個の構成要素として配置され、ハウジング40に挿入し、取り付けられる。あるいは、開口絞りはハウジング40の前端を覆うキャップにより設けることができる。このようなキャップはさらに、レンズ48を収容できる。
【0115】
ハウジング40は迷走放射線を吸収する放射線−吸収材料で形成できる。ハウジング40の内面はさらに、または代替として、放射線−吸収材料でコートできる。ハウジング40の内面は、鏡面反射を減少するために粗面とされるかまたは表面模様を付けられる。代替または追加的に、ハウジング40の内面は鏡面反射を開口43から離れる方向に導く一つまたは複数の制御表面を有する。開口絞りを形成する突起46の下流側壁面、すなわちミラー44に対向する壁面はミラーから離れる方向に先細になっている。これにより、これら突起の壁面における反射はハウジング40の壁面内に導かれる。これら突起壁も、粗面とされるかまたは表面模様を付けられる。
【0116】
筆記面上の位置−符号化パターンは近赤外波長帯域において認識可能に印刷される。さらに、ペン1からのインクを選択して、近赤外波長帯域において認識不可能にすることにより、位置−符号化パターンの情報と干渉しないようにすることができる。可視領域の波長を撮像しないようにするために、赤外線フィルタ23(図4)が撮像システム15のレンズの前に配置される。赤外線フィルタ23は近赤外波長より短い波長をすべて吸収できる。したがって、赤外線フィルタ23は太陽光および外部照明からの不要な放射線を吸収する。撮像システム15のレンズ29の前に赤外線フィルタ23を置くことにより、赤外線フィルタ23は保護窓または遮蔽板としても役立つ。
【0117】
赤外線フィルタの機能は撮像システム15内のいずれの場所でも実現できる。したがって、赤外線フィルタは、代替として、ハウジング40内に配置されるか、または近赤外波長より短い波長に対する吸収度の大きいプリズム31の材料によりプリズム31に組み込まれる。代替または追加的に、赤外線フィルタはレンズ、ミラー、放射線センサ、またはパッケージ(図9の)と一体化できる。
【0118】
図2は図8の照射システムを詳細に示す。照射システムは放射線を放射するように構成された放射源50を含む。放射源50は一般に、限定された波長帯域内の放射線を放射する発行ダイオード(LED)またはレーザダイオードである。放射源50はPCB12のスルーホールに装着され、スルーホールに電気的に接続される。放射システム13はさらに、放射線を筆記面上の所望の領域に導く放射線ガイド52を備える。ガイド52は、例えばPMMA、ポリカーボネート(PC)、Zeonex(R)、ポリスチレン、ナイロン、またはポリスルホンなどの単一のプラスチック材料で形成される。
【0119】
ガイド52はPCB12のスルーホール51に上に取り付けられる。ガイド52は、例えば接着によりPCBに取り付けられるベース面53を備える。ベース面53は、例えば床に落下したペンに生じる機械的衝撃に耐える必要がある場合、PCB12に大きい取り付け面積を提供するフランジ54を備ることもできる。フランジ54は単に、ガイド52の取り付けを確実にするために設けられるものであり、放射源50からの放射線を伝播するものではない。ガイド52はさらに、PCBおよび/または撮像システム15の近接の照準ユニット26に対するガイド52の位置を調節する案内ピンまたは穴(図示なし)を備えることができる。
【0120】
ガイド52は、PCB12のスルーホール51の上に配置される放射源収容ポケット55を備える。ポケット55はそのベースに平坦な入口面56を有し、放射源50からの放射線がこの入口面56を通りガイド52に入る。
【0121】
ガイド52はさらに、放射源収容ポケット55の上に配置され、かつベース面53に対して傾斜しているミラー面57を有する。ミラー面57は金属化され、反射面を形成する。放射線はミラー面57で約90°方向変更され、これにより、ミラー面57の下流の光路内の照射システム13の光軸が、PCB12表面に基本的に平行になる。したがって、PCBは、照射システム13による筆記面の照射を妨害にしない。ミラー面57の下流の光路内の照射システム13の光軸は、インクカートリッジの縦軸に対してわずかに傾斜、一般には約15°未満、好ましくは約10°未満で傾斜し、この結果、照射システム13がペン先の近傍の筆記面の範囲を照射する。
【0122】
ガイド52は基本的に管形状体を形成しており、ミラー面57での反射後の放射線を導く。放射線は、管形状体の端部の出口面68を通ってガイド52を出る。入口面36および出口面33を除く全表面は金属化され、これにより、放射線を出口面58だけを通って出るように制御する。したがって、他の壁面に入射する内部放射線はすべて、反射され、ガイド52に戻される。
【0123】
ガイド52の管形状体は基本的に一定断面を有する。管形状体の一定断面は、所望の形状の照射範囲を得るように設計できる。さらに、管形状体が長くなると、ガイド52から放射される放射線がより均一になる。ただし、管形状体を短く保ち、放射される放射線の大部分が、ガイド52を出る前に一度だけ反射されるようにすることで十分である。PCB表面に平行な方向における管形状体の断面の最小幅は、主に、放射線収容ポケット55のサイズにより決定される。管形状体の断面は可能な限り小さく維持され、ペンの半径サイズを小さく保つと同時に、放射される放射線が十分大きな範囲を照射する必要がある。この目的を達成するために、ガイド52の管形状体が対称断面に設計される。
【0124】
図8および12に示すとおり、ガイド52の出口面58はガイド52の管形状体の縦軸に対して傾斜しており、これにより、放射線が出口面58で、照射される筆記面の方向に方向変更される。出口面58における放射線の方向変更は、ガイド52を超える照射システム13の光軸が集束し、撮像システム15の光軸が筆記面に向かうことを意味する。ガイド52の管形状体のおける照射システム13の光軸が、プリズム31の管体部分35またはハウジング40のチャネル41における撮像システム15の光軸に基本的に平行である理由から、照射システム13の光軸の出口面58における方向変更が必要とされる。一般に、撮像システムの光軸と照射システムの光軸との間の角度は15°未満である。
【0125】
ガイド52の出口面58は平坦である。あるいは、出口面58を曲面とし、照射範囲のサイズを制御する表面出力を提供することもできる。
【0126】
放射線50および照射センサ24がPCB12上に相互に近接して配置されているため、放射線が放射線50から照射センサ24に直接漏れるのを防止する必要がある。上述の光学システム11のいくつかの形態は、このような漏れを防止するのに役立つ。このように、照射システム13のガイド52を金属化し、放射線が出口面58以外の別の表面から放射するのを防止する。さらに、プリズム31またはハウジング40を非透過材料により塗装またはコートして、放射線が、入口面以外の別の表面を通りプリズム31またはハウジング40に入るのを防止できる。
【0127】
放射線センサ24はその背面が透過性あることは珍しいことではないため、放射線がPCB12を通り放射50から放射センサ24に伝播しないことを保証することは重要である。放射源50からPCB12に放射線が直接漏れるのを最小にするために、PCB12のスルーホール51は金属化される。さらの一つまたは複数の銅の層をPCB12に設けし、PCBにおける放射線の伝播を減少させる。さらに、プリズム31またはハウジング41をPCBに取り付ける際に、非透過接着剤を使用することもできる。これにより、プリズム31またはハウジング41をとPCB12との間の境界面内に放射線が伝播するのを防止する。
【0128】
さらに、遮蔽板23(図4)が撮像システムの前に配置されている場合、放射線ガイド52から放射される放射線は、遮蔽板23での反射により、撮像システム15の入口面内に向けられる。これを回避するために、撮像システム15は、照射システム13により照射される放射線のうちで、遮蔽板23の面積範囲に一致しない遮蔽板23の領域を通過した放射線を受け入れるように構成される。さらに遮蔽板23は、一つの表面または両方の表面を無反射コーティングしてもよい。さらに、遮蔽板23を傾斜させて、放射された放射線が撮像システム15から離れるように偏向することもできる。
【0129】
上述の実施形態のすべてにおいて、照射システムの放射源は、モジュラユニットの保持体、PCB、または別の構成要素上の任意の位置に直接取り付けてもよい。ただし、放射源は、好ましくは、撮像システムに近接して保持し、筆記面上の撮像範囲と照射範囲との関係に対するペンの向きの影響を最小にする必要がある。
【0130】
図13〜19に示される一実施形態にいては、放射源は、PCBにより支持されている、センサ照準ユニットまたは撮像ユニットの外側面のホルダー内に取り付けられる。これにより、照射システムと撮像システムとの間の短い許容差チェーン、したがって明確な関係が得られる。さらに、放射源を照準ユニットに取り付けることにより、放射源は撮像システムの対物面の十分近くなり、放射線ガイドを無くすることができる。放射線ガイドを無くすることにより、光学システムの複雑性およびコストを低減できる。
【0131】
次に、図13〜19の実施形態を、上述の実施形態と異なる特徴、機能および利点に重点を置いてさらに詳しく説明する。詳細には、照射システムに関する上述の説明は、以下に述べる実施形態には適合しないことに注意されたい。
【0132】
保持体70およびPCB72は、本質的には、図4に関して述べた実施形態と相違しない。したがって、保持体70は取付け区画74−77、すなわちペン先を用いる筆記実行(区画74)、筆記実行のための接触センサ(区画75)、ユーザフィードバックのための振動器、プロセッサおよび任意の他の電子部品に電力供給するためのバッテリ、ユーザフィードバックのための複数のLED(区画76)、ペンの内部を保護するための透明フロントパネル(区画77)を備える。PCB72は放射線センサ78、プロセッサ80および別の電子装置(図示なし)を搭載する。
【0133】
光学システムは照準ユニット82、放射線センサ78および照射システム84を含む。
【0134】
照準ユニット82は撮像レンズ86、開口絞り88、および方向変更ミラー90を含む。照準ユニット82は対物面、撮像面、光軸、および対物面の被写界深度を定義する。照準ユニット82は、単一または個別素子から組み合わされて製造される単一構成要素である。したがって、図13〜19に示される実施形態の代替として、照準ユニットは、図10の照準ユニットと類似の固体光学素子を基本にしてもよい。以下の説明は、このような代替実施形態にも同様に適用できる。
【0135】
照準ユニットはPCB72上に、このPCB上のセンサ78と所定の関係を保って、取り付けされるように設計される。次に、PCB72は保持体上に取り付けられるように設計される。ホルダー92は照準ユニット82と一体化されて、放射源(この場合はLEDであるが、代替として、レーザダイオードでもよい)の取付けを可能にする。ホルダー92を照準ユニット82内に組み込むことにより、筆記面上の視野および照射範囲の相対位置に関するアセンブリ許容差の影響を最小にできる。代替の実施形態(図示なし)では、ホルダーは照準ユニットの本体に取り付けられる別個の部品である。
【0136】
放射源94は、ペアの接続ピン94’(図13〜19では切断されている)を介してPCB72に電気的に接続され、プロセッサ80の制御によって電力を供給されている。ピン94’はホルダー92に形成されたペアの案内トラック(track)と下流の突出部95とにより案内される。突出部95のトラックは曲線状とされ、ピン94’との整列を可能にしている。組立においては、ピン94’はトラック内に配置され、PCB72方向に曲げられた後、PCB72の対応する受け入れ穴(図示なし)に適切にはんだ付けされて固定される。ピン94’のPCB12への固定は、照準ユニット82とPCB12との間に所望の締付力を生成することを見出した。
【0137】
照準ユニット82は、センサ78に適正に整列したPCB72の表面に対向する放射線出口96を備える底面と、遮蔽板に対向する放射線入口98を有する近端部とを備える(図13のホルダー77を参照)。出口96のサイズはセンサ78に対して隙間を有する寸法とされる。したがって、1つの同一の照準ユニットが様々な種類および/または形状のセンサ/パッケージに適合できる。この実施形態ならびに本明細書に開示される他の実施形態においては、照準ユニットにより画定される撮像面が、放射線センサの位置、および放射線センサに対して所定の空間内に置かれる。
【0138】
図17〜18に示されるとおり、放射線経路は入口98と出口96との間に画定され、照準ユニット82内に限定される。撮像レンズ86は開口絞りを備える突出部の前ポケット内に収容される。チャネルは開口絞り88から出口96まで延びるように形成される。チャネルはさらに、ホルダー92から離れる方向に向く側壁部分に形成される放射線トラップ104に連結している。放射線トラップは、チャネル壁の凹部として設計されており、入射放射線を収集して減衰させる。詳細には、このトラップ104は、ホルダー77に取り付けられた遮蔽板によって照準ユニット内に反射されるすべての放射線からの放射線に対して、位置決定され、設計される(図13)。出口96の上流に遮断壁106が形成され、ミラー90と相互干渉することなくセンサ78に入射する放射線を遮断する。このように遮断される放射線を減衰させるため、遮蔽壁106の上流に底面壁の放射線トラップが形成される。さらに、遮蔽壁106の下流の側壁に第二の放射線トラップ104’が形成される。図面には示されていないが、ホルダーに対向する上部壁部分および/または側壁部分に別の放射線トラップを形成することもできる。内部チャネルの直径の最小化を望む場合、照準ユニット内の迷光を低減するには、放射線トラップが特に重要であることを見出した。
【0139】
底面はPCB12の対応する案内穴110’、112’と協働する二つの突出案内ピン110、112を有し、PCB72上の照準ユニット82の位置を決める。
【0140】
図13〜18の実施形態においては、照準ユニット82は、PCB72の対応するスルーホール114’内での補助固定ピン114の変形により、PCB72に固定される。代替または追加的に、固定は案内ピン110、112の一方または両方の変形により達成される。代替または追加的に、固定は、外部の締付具および/または溶接、接着、形状嵌合、圧入、スナップ嵌合等を用いてなされる。
【0141】
さらに、PCB72は、PCB72の対応するスルーホール116’、118’内での保持体70上の補助固定ピン116、118の変形により、保持体に固定される。代替または追加的に、固定は、外部の締付具および/または溶接、接着、形状嵌合、圧入、スナップ嵌合等を用いてなされる。
【0142】
このように、分析システムは照準ユニット82、放射源94、およびセンサ78およびプロセッサ80を搭載するPCB72の組み合わせにより形成される。
【0143】
同様に、モジュラユニットは分析システムおよび保持体70の組み合わせにより形成される。モジュラユニットは、保持体70上の、シェル部分の対応するコネクタに嵌合するように設計された一つまたは複数のコネクタ120により、ペンの外側ケーシングを形成する一つまたは複数のシェル部分に結合される。代替または追加的に、結合、外部の締付具の使用、接着、圧入等を用いてなされる。
【0144】
本明細書に記載する電子ペンにより、筆記面上の位置−符号化パターンの画像から位置を決定でき、この決定は、例えばUS 2002/0044138、US 2002/0048404、US 2003/0053699、US 2003/0118233、US 2003/0122855、US 2003/0128194、US 6,667,695、US 6,674,427、US 6,732,927、WO 04/097723、および本明細書における参照のうちのいずれか記載されているような、ペン内の内部プロセッサまたは外部プロセッサにより実行される。決定はさらに、撮像パターンから復号された位置と実際の筆記位置(すなわち、筆記面上の接触点P(図2)の位置)との関連を示す距離D(図2)を使用することを含む。例えば、プロセッサは、画像に基づいて、ペンの空間的な向き(例えば、傾斜角θおよびスキュー角φ)および位置を計算し、その位置、空間的な向き、および距離Dを知り、筆記位置を求める。ただし、距離Dの基準値からのずれが、計算された筆記位置に対称誤差を生じることがある。
【0145】
これらのずれの影響を軽減するために、光学システムおよび/またはモジュールユニットは、インクカートリッジにより部分的に妨害にされる筆記面の範囲を撮像するように設計される。インクカートリッジの先端は、インクカートリッジの円筒形本体に続く円錐形部分により保持されるボールからなる。したがって、インクカートリッジの円錐形部分と円筒形本体との間の縁部は、記録される画像の不明瞭な縁部を形成するが、先端の他の部分はこのような不明瞭な縁部を形成する。不明瞭な縁部は通常は、画像内に位置し、これにより、ペンの構成要素の許容差チェーンが、画像内に位置する不明瞭な縁部を維持する。このように、不明瞭な縁部は常に画像内で検知できる。これにより、記録された画像内の不明瞭な縁部の位置を利用して、個々のペンの距離Dを校正できる。なお、距離Dは基準面内のベクトルであり、したがって、計算は二次元でなされる。図20はこのような位置−符号化パターンPの例を示しており、不明瞭な縁部(不明瞭な縁部の基準点がRで示されている)が見られる。
【0146】
なお、本明細書に記載される実施形態は、限定を意味するものでなく、添付の特許請求の範囲に定義される保護範囲から逸脱することなく、多くの代替実施形態が可能である。
【0147】

例えば、上述の筆記の実行は、インクカートリッジの代わりに、万年筆ユニット、鉛筆ユニット、フェルトペンユニット、選択的に磁化できるベースと協働する磁気ヘッド、感熱ベースと協働する加熱ヘッド、電子制御されるインクジェットユニット、超小型レーザプリンタユニット等を利用することもできる。さらに、筆記の実行が筆記面に沿った筆記経路のトレースを残さないこと、および撮像システムおよび画像プロセッサにより検出される筆記トレースは目では見えないこと、も考えられる。この場合には、筆記の実行は、例えばスタイラスあるいはポインテッドバーまたはロッドであってもよい。
【0148】
さらに、上述の説明において、レンズはいくつかの異なる事例で説明された。このような事例では、レンズはレンズ機能を果たす単一光学要素として、あるいは複合レンズまたはレンズパッケージとして実現できる。
【0149】
同様に、上述のプリント基板(PCB)は、他の同等の構造体、例えば金属またはセラミック金属の厚膜ハイブリッド、あるいはワイヤラップなどを包含するものとする。
【0150】
代替の実施形態においては、照準ユニットがPCBに直接取り付けられずに、PCBによって支持される。詳細には、放射線センサを有するPCBは保持体の片側の上に載り、このときPCBの少なくとも一つのスルーホールが保持体の対応する受け入れ穴に整列している。少なくとも一つの突出案内ピンを有する照準ユニットが、スルーホールを通る案内ピンでPCB上にはめ込まれ、保持体の受け入れ穴に固定され、この結果、照準ユニット、放射線センサ、および保持体が正しく整列する。代替または追加的に、PCBのスルーホールを通して照準ユニットの受け入れ穴と協働するために、保持体上に少なくとも一つの対応する案内ピンを設けることができる。さらに、照準ユニットのベースは、PCBおよび/または放射線センザ上の少なくとも一つの制御面に、受面のための少なくとも一つの制御面を備えることができる。上述のとおり、照準ユニットはPCBに押し付けられ、これにより、放射線センサの基準方向における照準ユニットの位置のずれを最小にできる。照準ユニットは、外部の締付具および/または溶接、接着、形状嵌合、圧入、スナップ嵌合等により、例えば案内ピンによって保持体に固定される。
【0151】
さらに別の代替実施形態においては、照準ユニットはPCBの代わりに、保持体によって直接保持されるように構成される。したがって、保持体は照準ユニットを支持する手段、ならびにPCBを支持する手段を備える。これらの手段は、協働するピンおよび穴、形状嵌合、スナップ嵌合、溶接面、接着面等として実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1a】筆記面に対する電子ペンの向きを定義する角度の図である。
【図1b】筆記面に対する電子ペンの向きを定義する角度の図である。
【図2】電子ペンの光学システムに対する接触点、撮像範囲および照射範囲間の関係の図である。
【図3】電子ペンの側面図である。
【図4】電子ペン内のモジュラユニットの斜視図であり、ペンの外側シェルが取り外されている。
【図5】組立て前の電子ペンのモジュラユニットの各構成要素の斜視図である。
【図6】組立て後の図5のモジュラユニットの各構成要素の斜視図である。
【図7】インクカートリッジの側面図であり、インクカートリッジとペンの受け入れ穴間の放射状の隙間の効果を示している。
【図8】光学システムおよびプロセッサを含む分析システムの斜視図である。
【図9】光学システムの撮像システムの側面図である。
【図10】撮像システムの実施形態の断面図である。
【図11】撮像システムの別の実施形態の断面図である。
【図12】光学システムの照射システムの実施形態の側面図である。
【図13】電子ペンのモジュラユニットの別の実施形態の分解組立透視図である。
【図14】図13のモジュラユニットに含まれる構成要素の斜視図である。
【図15】図14における構成要素の正面図である。
【図16】図14における構成要素の平面図である。
【図17】図16の線A−Aに沿って切断した断面図である。
【図18】図14における構成要素の底面図である。
【図19】図14における構成要素の底部の斜視図である。
【図20】本発明による電子ペンを用いて得られたサンプル画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光軸を有し、かつ放射源を含む照射システムと、
内部に光軸を有し、かつ二次元放射線センサを含む撮像システムと、
を備えた、光学システムであって、
前記撮像システムが前記照射システムにより照射された物体の画像を形成するように構成され、
前記放射源および前記二次元放射線センサが共通基板上に取り付けられ、
照射システムの前記光軸と撮像システムの前記光軸とが前記システム内で一致していない、光学システム。
【請求項2】
照射システムが放射源からの放射線の方向を変更するように構成され、撮像システムが照射された物体から放射線検出器の方向に放射線の方向を変更するように構成されている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
照射システム内の前記光軸と撮像システム内の前記光軸とが相互に基本的に平行に走る、請求項1または2に記載の光学システム。
【請求項4】
照射システム内の前記光軸と撮像システム内の前記光軸とが共通基板に基本的に平行に走る、請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
照射システム内の前記光軸と撮像システム内の前記光軸とが、共通基板に基本的に平行で、前記共通基板から離れた平面を画定している、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
照射システムがさらに、放射源から物体の方向に放射線を導く放射線ガイドを備えている、請求項1〜5のいずれかに記載の光学システム。
【請求項7】
放射線ガイドが金属化された非出口面を備えている、請求項6に記載の光学システム。
【請求項8】
放射線ガイドが傾斜した放射線−方向変更出口面を有する、請求項6または7に記載の光学システム。
【請求項9】
放射線ガイドが共通基板上に取り付けられている、請求項6〜8のいずれかに記載の光学システム。
【請求項10】
撮像システムがさらに、放射線センサの方向に伝播される放射線の空間起点を制御するセンサ照準ユニットを備えている、請求項1〜9のいずれかに記載の光学システム。
【請求項11】
センサ照準ユニットが共通基板上に取り付けられている、請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
センサ照準ユニットが物体から放射線センサの方向に放射線の方向を変更するミラーを備えている、請求項10または11に記載の光学システム。
【請求項13】
センサ照準ユニットが放射線センサ上に適正な画像品質の画像を生成するレンズを備えている、請求項10〜12のいずれかに記載の光学システム。
【請求項14】
センサ照準ユニットが光学要素を備え、前記光学要素が放射線センサの方向に放射線を伝播し、
前記光学要素が、物体から放射線センサの方向に放射線の方向を変更するミラーと、放射線センサ上に適正な画像品質の画像を生成するレンズとを備えている、請求項10または11に記載の光学システム。
【請求項15】
センサ照準ユニットがさらに、光学要素の前に開口絞りを備えている、請求項14に記載の光学システム。
【請求項16】
光学要素が外側面を備え、この外側面の少なくともその一部が内部反射を低減するために配置される材料により覆われている、請求項14または15に記載の光学システム。
【請求項17】
センサ照準ユニットは、放射線センサの方向に放射線を伝播するように配置される内部チャネルを有するハウジングを備え、
ハウジング内には、物体から放射線センサに向かって放射線の方向を変えるミラーと、放射線センサ上に適正な画質の画像を生成するレンズとが取り付けられている、請求項10または11に記載の光学システム。
【請求項18】
センサ照準ユニットがさらに、前記ハウジング内に配置された開口絞りを備えている、請求項17に記載の光学システム。
【請求項19】
ハウジングが内側面を有し、この内側面の少なくとも一部が放射線の鏡面反射を低減するように構成されている、請求項17または18に記載の光学システム。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の光学システムと、
前記共通基板を実装しているプリント回路基板と、
放射線センサから受け取る画像情報を分析する画像プロセッサと、を備えた分析システムであって、
光学システムが前記プリント回路基板で支持され、画像プロセッサが前記プリント回路基板に取り付けられている、分析システム。
【請求項21】
筆記具を有する電子ペン用のモジュラユニットであって、
前記モジュラユニットが、保持体と、この保持体に取り付けられた請求項20による分析システムとを備え、
筆記具を電子ペン内の分析システムに対して位置決定するために、前記保持体が前記筆記具を収容する手段を有する、モジュラユニット。
【請求項22】
モジュラユニットの寸法が、このモジュラユニットを電子ペンの内部に取り付け可能な寸法である、請求項21に記載のモジュラユニット。
【請求項23】
保持体に分析システムを取り付けるために、分析システムのプリント回路基板が保持体に取り付けられている、請求項21または22に記載のモジュラユニット。
【請求項24】
モジュラユニットが電子ペン内に含まれる場合、保持体が、電子ペンの縦方向に延びる細長い形状を有する、請求項21〜23のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項25】
保持体に取り付けられた接触センサをさらに備えている、請求項21〜24のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項26】
電子ペンの外側シェル部分への連結部を形成する手段をさらに備えている、請求項21〜25のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項27】
保持体に取り付けられた振動器をさらに備えている、請求項21〜26のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項28】
保持体に取り付けられた波長フィルタをさらに備えている、請求項21〜27のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項29】
物体から放射線センサに放射線を伝播するセンサ照準ユニットであって、
内部の曲がり部分で方向を変更する内部チャネルと、前記チャネルの放射線入口端および放射線出口端と、を有するハウジングと、
内部チャネル内の前記ハウジングの前記放射線入口端に装着されたレンズと、
ハウジング内の内部チャネルの前記曲がり部分に取り付けられ、内部チャネルの方向の変化に沿って放射線の方向を変更するミラーと、を備えているセンサ照準ユニット。
【請求項30】
前記物体を照射する放射源のホルダーをさらに備えている、請求項29に記載のセンサ照準ユニット。
【請求項31】
前記レンズが前記放射線出口端に画像面を画定し、
前記ハウジングが、前記チャネル内に、前記放射線入口端から画像面を遮蔽する遮蔽体を画定している、請求項29または30に記載のセンサ照準ユニット。
【請求項32】
前記ハウジングが前記遮蔽体と前記放射線入口端との間のチャネル−画定壁内に少なくとも一つの放射線トラップを画定している、請求項31に記載のセンサ照準ユニット。
【請求項33】
前記ハウジングが前記チャネル内に開口絞りを画定している、請求項29〜32のいずれかに記載のセンサ照準ユニット。
【請求項34】
物体から放射源に放射線を伝播する光学要素であって、
前記光学要素が、内部に放射線経路を画定している固体本体を含み、
前記固体本体が、
前記放射線険路内に放射線を受け入れるための、レンズ素子を含む放射線入口面と、
放射線出口面と、
放射線経路内を管状部分の縦軸に沿って放射線を伝播する管状部分と、
入口面の反対側の管状部分の端部にミラー面と、を備え、
ミラー面の法線が管状部分の縦軸に対して傾斜することにより、放射線経路が固体本体の放射線出口の方向にミラー面で方向変更される、光学要素。
【請求項35】
前記物体を照射する放射源のホルダーをさらに備えている、請求項34に記載の光学要素。
【請求項36】
前記レンズが前記放射線出口端に画像面を画定し、
前記固体本体が、前記管状部分内に、前記放射線入口面から前記画像面を遮蔽する遮蔽体を画定している、請求項34または35に記載の光学要素。
【請求項37】
前記放射線入口面上に開口絞りを画定する部材をさらに備えている、請求項34〜36のいずれかに記載の光学要素。
【請求項38】
筆記具を有する電子ペン用のモジュラユニットであって、
筆記具の収容部を有する保持体と、
プリント回路基板と、
プリント回路基板に搭載された二次元放射線センサと、
画像面を画定する撮像ユニットと、を備え、
保持体、プリント回路基板、および撮像ユニットが、放射線センサに対向する撮像ユニットに一体に結合されることにより、放射線センサ位置に画像面を置く、モジュラユニット。
【請求項39】
撮像ユニットが、放射線センサに達する放射線の空間起点を制御するように設計されている、請求項38に記載のモジュラユニット。
【請求項40】
撮像ユニットによって画定される対物面を照射する放射源をさらに備えている、請求項38または39に記載のモジュラユニット。
【請求項41】
撮像ユニットが放射源を搭載するホルダーを備えている、請求項40に記載のモジュラユニット。
【請求項42】
放射源とプリント回路基板との間の電気接続をさらに備えている、請求項40または41に記載のモジュラユニット。
【請求項43】
電気接続が撮像ユニットとプリント回路基板との間に締付け力により機能する、請求項41および42に記載のモジュラユニット。
【請求項44】
プリント回路基板が保持体により支持されている、請求項38〜43のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項45】
プリント回路基板が保持体に取り付けられている、請求項38〜44のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項46】
撮像ユニットがプリント回路基板により支持されている、請求項38〜45のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項47】
撮像ユニットがプリント回路基板に取り付けられている、請求項38〜46のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項48】
前記電子ペンの外側ケーシングの少なくとも一部に取り付けるための少なくとも1つのコネクタをさらに備えている、請求項38〜47のいずれかに記載のモジュラユニット。
【請求項49】
筆記具と、
その上をペンで操作される筆記面の画像を生成するように設計された光学システムと、を備え、
前記画像が前記筆記具の部分を含み、
さらに、
前記画像内の位置−符号化パターンと画像内の前記筆記具の部分の位置とに基づき、データを導き出すように設計された処理ユニット、を備えている電子ペン装置
【請求項50】
前記部分が筆記具と筆記面との間の接触点を表わしている、請求項49に記載の電子ペン装置。


【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−524155(P2007−524155A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543779(P2006−543779)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001864
【国際公開番号】WO2005/057471
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506145326)アノト アクティエボラーク (49)
【Fターム(参考)】