説明

電子ペーパおよび印刷システム

【課題】 印刷画像と一致するプレビュー画像で印刷プレビューを行う。
【解決手段】 電子ペーパ3は、印刷データを受信する外部インタフェース35と、外部インタフェース35により受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するPDL処理部31bと、PDL処理部31bにより生成されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示する表示装置32と、表示装置32により表示されたラスタイメージのラスタイメージデータを印刷装置1へ送信しそのラスタイメージを印刷させる外部インタフェース34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパおよび印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷プレビューでは、通常、利用者端末に印刷する書類がディスプレイで表示される。その場合、プレビューのために生成された画像データは、プレビュー後に消去され、別途、プリンタドライバにより印刷処理が行われる。
【0003】
この他、プレビューイメージを紙に投影する方法(例えば特許文献1参照)、他の電子機器のディスプレイを使用してプレビューを行う方法(例えば特許文献2参照)などがある。
【0004】
また、プリンタドライバから電子ペーパへ画像データを転送して画像を表示させるシステムがある(例えば特許文献3参照)。さらに、印刷装置に画像を印刷させる電子ペーパがある(例えば特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−208792号公報
【特許文献2】特開2005−346236号公報
【特許文献3】特開2006−243581号公報
【特許文献4】特開2007−144674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の技術によれば、利用者端末から電子ペーパへデータを送信して、電子ペーパでプレビュー表示を行うことは可能である。
【0007】
その場合、プリンタドライバは、画像データを生成し電子ペーパに書類のプレビュー画像を表示させ、その後、別途、画像データに対応する印刷データを生成し印刷装置へ送信し、印刷装置がその印刷データをラスタライズして印刷画像を生成する。このように、印刷装置で実際にラスタライズされた画像がプレビューされるわけではないので、プレビュー画像と印刷画像とが異なる可能性がある。
【0008】
なお、プリンタドライバが印刷スプールにおけるPDLデータを読み出してラスタライズしプレビュー画像を生成することは可能であるが、その場合でも、印刷される画像は印刷装置でラスタライズされたものであるため、プレビュー画像と印刷画像とが異なることがある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、印刷画像と一致するプレビュー画像で印刷プレビューを行うことができる電子ペーパおよび印刷システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る電子ペーパは、印刷データを受信する受信手段と、受信手段により受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するラスタライズ手段と、ラスタライズ手段により生成されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示する表示装置と、表示装置により表示されたラスタイメージのラスタイメージデータを印刷装置へ送信しそのラスタイメージを印刷させる送信手段とを備える。
【0012】
これにより、プレビュー時に電子ペーパでラスタライズされたラスタイメージデータに基づきプレビュー画像が表示され、そのラスタイメージデータを使用して印刷が実行されるため、印刷画像と一致するプレビュー画像で印刷プレビューを行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパに加え、次のようにしてもよい。この場合、電子ペーパは、印刷装置の機器情報を取得する情報取得手段を備える。そして、ラスタライズ手段は、その機器情報に応じてラスタライズを行う。
【0014】
これにより、印刷に使用される印刷装置に応じたプレビュー画像を生成することができるため、電子ペーパによるラスタイメージデータを確実にその印刷装置に適合したものとすることができる。
【0015】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、情報取得手段は、印刷装置から機器情報を取得する。
【0016】
これにより、ラスタライズを行う時点で正確な機器情報を印刷装置から取得することができる。
【0017】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、情報取得手段は、印刷データを送信した利用者端末から機器情報を取得する。
【0018】
これにより、電子ペーパでラスタライズを行う際に、印刷装置との間で通信を行う必要がない。
【0019】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、機器情報は、印刷装置の機種情報、オプション装備情報、および用紙種別情報のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、印刷データは、利用者端末のプリンタドライバから出力されるPDLデータである。
【0021】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、送信手段は、印刷装置との間で無線通信を行う。
【0022】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、電子ペーパは、送信手段による無線通信を介して印刷装置から機器情報を取得する情報取得手段を備える。そして、ラスタライズ手段は、受信手段により印刷データが受信された後に情報取得手段により機器情報が取得されてから、その機器情報に応じてラスタライズを行う。
【0023】
これにより、電子ペーパを有線で印刷装置へ接続する必要がない。このため、利用者端末に接続した状態でラスタライズを行い、その後、電子ペーパを移動させ、印刷装置の近傍で、印刷を実行させることができる。
【0024】
また、本発明に係る電子ペーパは、上記の電子ペーパのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、情報取得手段は、送信手段と印刷装置との無線通信が確立されていない場合、送信手段と印刷装置との無線通信が確立されたか否かを監視し、送信手段と印刷装置との無線通信が確立されると、印刷装置から機器情報を取得する。
【0025】
これにより、その時点での機器情報が取得されてからラスタライズが実行される。
【0026】
本発明に係る印刷システムは、利用者端末と、印刷装置と、電子ぺーパとを備える。そして、電子ペーパは、利用者端末から印刷データを受信する受信手段と、受信手段により受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するラスタライズ手段と、ラスタライズ手段により生成されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示する表示装置と、表示装置により表示されたラスタイメージのラスタイメージデータを印刷装置へ送信しそのラスタイメージを印刷させる送信手段とを備える。
【0027】
これにより、プレビュー時に電子ペーパでラスタライズされたラスタイメージデータに基づきプレビュー画像が表示され、そのラスタイメージデータを使用して印刷が実行されるため、印刷画像と一致するプレビュー画像で印刷プレビューを行うことができる。
【0028】
また、本発明に係る印刷システムは、上記の印刷システムに加え、次のようにしてもよい。この場合、利用者端末は、プリンタドライバを備える。そのプリンタドライバは、印刷装置に対して送信可能な印刷データを生成し、印刷装置および電子ペーパのいずれか一方にのみ、その印刷データを送信する。印刷装置は、印刷データを利用者端末から受信する印刷データ受信手段と、ラスタイメージデータを電子ペーパから受信するラスタイメージデータ受信手段と、受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するラスタライズ手段と、印刷装置のラスタライズ手段により生成されたラスタイメージデータまたはラスタイメージデータ受信手段により受信されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを印刷する印刷手段とを備える。
【0029】
これにより、プレビューが不要である場合には、印刷装置でラスタライズが行われ印刷を直ちに実行可能であるため、電子ペーパを介さずに高速に印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、印刷画像と一致するプレビュー画像で印刷プレビューを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、印刷装置1と利用者端末2とがネットワークを介して接続されており、電子ペーパ3は、印刷装置1および利用者端末2のそれぞれと通信可能である。
【0033】
印刷装置1は、プリンタ、複合機などといった装置である。印刷装置1は、演算処理装置11、印刷処理部12、通信装置13、および外部インタフェース14を有する。演算処理装置11、印刷処理部12、通信装置13、および外部インタフェース14は、バス、コントローラなどを介して相互にデータの送受が可能である。
【0034】
演算処理装置11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピュータであり、プログラムをRAMにロードしCPUで実行することにより、各種の処理部を実現する。演算処理装置11では、電子ペーパ判別部11a、PDL処理部11bおよび描画処理部11cが実現される。
【0035】
電子ペーパ判別部11aは、印刷要求が受信された場合に、その印刷要求が利用者端末1からのものであるか電子ペーパ3からのものであるかを判別する処理部である。
【0036】
PDL処理部11bは、PCL(Printer Control Language)、ポストスクリプトなどのPDL(Page Description Language)で記述された印刷データを解釈しラスタイメージデータを生成する処理部である。
【0037】
描画処理部11cは、ラスタイメージデータを所定の記憶領域にバッファリングする処理部である。
【0038】
また、印刷処理部12は、バッファリングされたラスタイメージデータに従ってラスタイメージを印刷用紙などの媒体に印刷する処理部である。印刷処理部12は、レーザプリントエンジンといった印刷機構とそれを制御する制御回路とを含む。
【0039】
また、通信装置13は、無線または有線のネットワークを介して利用者端末2などの他の機器との間でデータ通信を行う装置である。
【0040】
また、外部インタフェース14は、電子ペーパ3との間で無線でデータ通信を行う通信装置である。外部インタフェース14は、赤外線通信、無線LAN通信、ブルートゥースなどで無線通信を行う。なお、通信装置13が無線通信を行う場合には、通信装置13が外部インタフェース14として機能し、電子ペーパ3との間で無線でデータ通信を行うようにしてもよい。
【0041】
利用者端末2は、パーソナルコンピュータなどといった装置である。利用者端末2は、演算処理装置21、プログラム記憶装置22、表示装置23、入力装置24、通信装置25、および外部インタフェース26を有する。演算処理装置21、プログラム記憶装置22、表示装置23、入力装置24、通信装置25、および外部インタフェース26は、バス、コントローラなどを介して相互にデータの送受が可能である。
【0042】
演算処理装置21は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピュータであり、プログラムをRAMにロードしCPUで実行することにより、各種の処理部を実現する。演算処理装置21では、アプリケーション21a、およびプリンタドライバ21bが実現される。
【0043】
アプリケーション21aは、アプリケーションプログラム22aが実行されることにより実現される処理部である。アプリケーション21aは、利用者の操作に応じて、プリンタドライバ21bに印刷処理を実行させる。
【0044】
プリンタドライバ21bは、プリンタドライバプログラム22bが実行されることにより実現される処理部である。プリンタドライバ21bは、PCL、ポストスクリプトなどのPDLで記述された印刷データを出力する処理部である。印刷データは、通信装置25を介して印刷装置1へ送信されるか、外部インタフェース26を介して電子ペーパ3へ送信される。
【0045】
また、プログラム記憶装置22は、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブなどといった装置であり、アプリケーションプログラム22aおよびプリンタドライバプログラム22bを格納している。
【0046】
また、表示装置23は、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイなどといった装置であり、アプリケーション21a、プリンタドライバ21bなどによる処理において発生する各種情報を表示する装置である。
【0047】
また、入力装置24は、キーボードなどといった装置であり、利用者の操作を検出し、操作に応じた電気信号を出力する装置である。
【0048】
また、通信装置25は、無線または有線のネットワークを介して印刷装置1などの他の機器との間でデータ通信を行う装置である。
【0049】
また、外部インタフェース26は、電子ペーパ3との間で無線でデータ通信を行う通信装置である。この実施の形態では、外部インタフェース26は、USB(Universal Serial Bus)などの周辺機器インタフェースである。
【0050】
電子ペーパ3は、表示装置32を内蔵しデータを格納可能でそのデータに基づき画像を表示装置32に表示する可搬性のある装置である。電子ペーパ3は、演算処理部31、表示装置32、入力装置33、および外部インタフェース34,35を有する。
【0051】
演算処理部31は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピュータであり、プログラムをRAMにロードしCPUで実行することにより、各種の処理部を実現する。演算処理装置31では、制御部31a、PDL処理部31bおよびプリンタ情報取得部31cが実現される。
【0052】
制御部31aは、電子ペーパ3における処理フロー、並びに、表示装置32、入力装置33および外部インタフェース34,35を制御する処理部である。制御部31aは、PDL処理部31bにより生成されたラスタイメージデータに基づくラスタイメージを表示装置32に表示させる。
【0053】
PDL処理部31bは、利用者端末2から受信された印刷データを解釈しラスタイメージデータを生成する処理部である。
【0054】
プリンタ情報取得部31cは、印刷装置1の機器情報を取得する処理部である。機器情報は、印刷装置1の機種情報、オプション装備情報、および用紙種別情報などである。オプション装備情報は、フィニッシャなどのオプション装備の有無を示す情報である。
【0055】
また、表示装置32は、液晶ディスプレイなどといった薄型の装置である。表示装置32には、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式など、各種方式のものが使用可能である。
【0056】
また、入力装置33は、筐体に設置されたキースイッチ、表示装置の画面上に設置されたタッチパネルなどといった装置であり、利用者の操作を検出し、操作に応じた電気信号を出力する装置である。
【0057】
また、外部インタフェース34は、印刷装置1の外部インタフェース26との間で無線でデータ通信を行う通信装置である。外部インタフェース34は、赤外線通信、無線LAN通信、ブルートゥースなどで無線通信を行う。
【0058】
また、外部インタフェース35は、利用者端末2の外部インタフェース14との間で無線でデータ通信を行う通信装置である。この実施の形態では、外部インタフェース35は、USBなどの周辺機器インタフェースである。
【0059】
次に、上記システムにおける各装置の動作について説明する。
【0060】
まず、利用者端末2の動作について説明する。図2は、図1における利用者端末2の動作を説明するフローチャートである。
【0061】
アプリケーション21aは、入力装置24に対する利用者の操作などに従って印刷指令をプリンタドライバ21bへ供給する(ステップS1)。
【0062】
プリンタドライバ21bは、印刷装置のリストおよびプレビューの要否を設定するチェックボックスを有するウィンドウを表示装置23に表示させる。利用者は、入力装置24を操作して、リストから1つの印刷装置を選択するとともに、プレビューを要求する場合には、チェックボックスをチェックする。プリンタドライバ21bは、入力装置24に対する利用者の操作に従って、印刷に使用する印刷装置1をリストから選択する(ステップS2)。
【0063】
印刷装置1が選択されると、プリンタドライバ21bは、その印刷装置1に対応する、印刷対象の書類のPDLデータを生成する(ステップS3)。
【0064】
そして、プリンタドライバ21bは、プレビューが要求されているか否かを判定する(ステップS4)。
【0065】
プレビューが要求されている場合、プリンタドライバ21bは、外部インタフェース26を介して電子ペーパ3へPDLデータを送信する(ステップS5)。このとき、プリンタドライバ21bは、選択された印刷装置1を特定する識別情報および印刷設定情報を、そのPDLデータとともに電子ペーパ3へ送信する。印刷設定情報は、印刷部数、使用する給紙トレイ、用紙サイズ、カラー/モノクロ設定、印刷品質、ステープル設定(ステープル処理の要否)、パンチ設定(パンチ処理の要否)、両面印刷設定(両面印刷か片面印刷か)、集約印刷設定(用紙1頁に含まれる原稿の頁数)などを含む。識別情報としては、ネットワークアドレス、MACアドレス、マシン名などが適宜使用される。
【0066】
一方、プレビューが要求されていない場合には、プリンタドライバ21bは、通信装置25を介して印刷装置1へ印刷要求とともにPDLデータを送信する(ステップS6)。
【0067】
次に、電子ペーパ3の動作について説明する。図3は、図1における電子ペーパ3の動作を説明するフローチャートである。
【0068】
制御部31は、外部インタフェース35を介してPDLデータを受信する(ステップS11)。
【0069】
PDLデータが受信されると、プリンタ情報取得部31cは、PDLデータとともに受信された識別情報に基づいて出力先となる印刷装置1を特定し、外部インタフェース34を介して、印刷装置1から、印刷装置1の機器情報を取得する(ステップS12)。このとき、印刷装置1の機種情報、オプション装備の有無(およびその種類)、使用可能な印刷用紙種別、内部状態の情報などが取得される。
【0070】
そして、機器情報が取得されると、PDL処理部31bは、その機器情報および印刷設定情報に従って、受信されたPDLデータをラスタライズし、ラスタイメージデータを生成する(ステップS13)。
【0071】
ラスタイメージデータが生成されると、制御部31aは、ラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示装置32に表示させる(ステップS14)。これにより、プレビュー画像が電子ペーパ3において表示される。
【0072】
その後、入力装置33における印刷ボタンの押下が検出されると(ステップS15)、制御部31aは、外部インタフェース34を介して、プレビュー画像のラスタイメージデータを印刷要求とともに印刷装置1へ送信する(ステップS16)。
【0073】
次に、印刷装置1の動作について説明する。図4は、図1における印刷装置1の動作を説明するフローチャートである。
【0074】
通信装置13または外部インタフェース14により印刷要求が受信されると(ステップS12)、電子ペーパ判別部11aは、その印刷要求が利用者端末2からのものか電子ペーパ3からのものかを判別する(ステップS22)。
【0075】
電子ペーパ3からの印刷要求の場合、描画処理部11cは、印刷要求とともに受信されたラスタイメージデータを所定の記憶領域にバッファリングし、印刷処理部12は、バッファリングされたラスタイメージデータに従ってラスタイメージを印刷用紙などの媒体に印刷する(ステップS23)。
【0076】
一方、利用者端末2からの印刷要求の場合、PDL処理部11bは、印刷要求とともに受信されたPDLデータをラスタライズし、ラスタイメージデータを生成する(ステップS24)。そして、描画処理部11cは、PDL処理部11bにより生成されたラスタイメージデータを所定の記憶領域にバッファリングし、印刷処理部12は、バッファリングされたラスタイメージデータに従ってラスタイメージを印刷用紙などの媒体に印刷する(ステップS23)。
【0077】
以上のように、上記実施の形態によれば、電子ペーパ3は、印刷データを受信する外部インタフェース35と、外部インタフェース35により受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するPDL処理部31bと、PDL処理部31bにより生成されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示する表示装置32と、表示装置32により表示されたラスタイメージのラスタイメージデータを印刷装置1へ送信しそのラスタイメージを印刷させる外部インタフェース34とを備える。
【0078】
これにより、プレビュー時に電子ペーパ3でラスタライズされたラスタイメージデータに基づきプレビュー画像が表示され、そのラスタイメージデータを使用して印刷が実行されるため、印刷画像と一致するプレビュー画像で印刷プレビューを行うことができる。
【0079】
また、上記実施の形態によれば、電子ペーパ3は、印刷装置の機器情報を取得するプリンタ情報取得部31cを備える。そして、PDL処理部31bは、その機器情報に応じてラスタライズを行う。これにより、印刷に使用される印刷装置1に応じたプレビュー画像を生成することができるため、電子ペーパ3によるラスタイメージデータを確実にその印刷装置1に適合したものとすることができる。
【0080】
また、上記実施の形態によれば、プリンタ情報取得部31cは、印刷装置1から機器情報を取得する。これにより、ラスタライズを行う時点で正確な機器情報を印刷装置1から取得することができる。
【0081】
また、上記実施の形態によれば、プリンタ情報取得部31cは、無線通信を介して印刷装置1から機器情報を取得する。これにより、電子ペーパ3を有線で印刷装置1へ接続する必要がない。このため、利用者端末2に接続した状態でラスタライズを行い、その後、電子ペーパ3を移動させ、印刷装置1の近傍で、印刷を実行させることができる。印刷装置1において、用紙切れ、用紙ジャム、トナー切れなどが発生している場合には、その旨を表示装置32に表示させることで、印刷実行前に利用者が印刷装置1の不具合を把握することができ、利用者は、その不具合を解消した後に、利用者端末2を操作することなく電子ペーパ3を操作することで、印刷を実行させることができる。また、赤外線通信などの近距離無線通信を使用する場合には、電子ペーパ3が印刷装置1の近傍に存在するときのみ、電子ペーパ3からの印刷が可能となる。このため、電子ペーパ3を、印刷装置1での印刷についての認証用デバイスとして使用することができる。
【0082】
また、上記実施の形態によれば、利用者端末2のプリンタドライバ21bは、印刷装置1に対して送信可能な印刷データを生成し、印刷装置1および電子ペーパ3のいずれか一方にのみ、その印刷データを送信する。印刷装置1は、印刷データを利用者端末から受信する通信装置13と、ラスタイメージデータを電子ペーパ3から受信する外部インタフェース14と、受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するPDL処理部11bと、印刷装置1のPDL処理部11bにより生成されたラスタイメージデータまたは外部インタフェース14により受信されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを印刷する印刷処理部12とを備える。これにより、プレビューが不要である場合には、印刷装置1でラスタライズが行われ印刷を直ちに実行可能であるため、電子ペーパ3を介さずに高速に印刷を行うことができる。
【0083】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0084】
例えば、上記実施の形態において、プリンタドライバ21bが、予め印刷装置1の機器情報を取得している場合には、プリンタ情報取得部31cは、プリンタドライバ21bから機器情報を取得してもよい。この場合、電子ペーパでラスタライズを行う際に、印刷装置との間で通信を行う必要がない。
【0085】
また、上記実施の形態において、プリンタ情報取得部31cは、外部インタフェース34と印刷装置1との無線通信が確立されていない場合、外部インタフェース34と印刷装置1との無線通信が確立されたか否かを監視し、外部インタフェース34と印刷装置1との無線通信が確立されると、印刷装置1から機器情報を取得するようにしてもよい。これにより、その時点での機器情報が取得されてからラスタライズが実行される。
【0086】
また、上記実施の形態において、入力装置33の印刷ボタンは、表示装置32における印刷ボタンの画像とタッチパネルとで構成されるようにしてもよい。その場合、プレビュー画像とともに、印刷ボタンが表示されるようにすればよい。また、制御部31aが機器情報に基づき印刷が実行できると判定した場合のみ、印刷ボタンを表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、例えば、ネットワークプリンティングの印刷プレビューに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1における利用者端末の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1における電子ペーパの動作を説明するフローチャートである。
【図4】図1における印刷装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 印刷装置
2 利用者端末
3 電子ペーパ
11b PDL処理部(ラスタライズ手段)
12 印刷処理部(印刷手段)
13 通信装置(印刷データ受信手段の一例)
14 外部インタフェース(ラスタイメージデータ受信手段)
21b プリンタドライバ
31b PDL処理部(ラスタライズ手段の一例)
31c プリンタ情報取得部(情報取得手段の一例)
32 表示装置
34 外部インタフェース(送信手段の一例)
35 外部インタフェース(受信手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するラスタライズ手段と、
前記ラスタライズ手段により生成されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示する表示装置と、
前記表示装置により表示されたラスタイメージの前記ラスタイメージデータを印刷装置へ送信しそのラスタイメージを印刷させる送信手段と、
を備えることを特徴とする電子ペーパ。
【請求項2】
前記印刷装置の機器情報を取得する情報取得手段を備え、
前記ラスタライズ手段は、前記機器情報に応じてラスタライズを行う、
ことを特徴とする請求項1記載の電子ぺーパ。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記印刷装置から前記機器情報を取得することを特徴とする請求項2記載の電子ペーパ。
【請求項4】
前記情報取得手段は、前記印刷データを送信した利用者端末から前記機器情報を取得することを特徴とする請求項2記載の電子ペーパ。
【請求項5】
前記機器情報は、前記印刷装置の機種情報、オプション装備情報、および用紙種別情報のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項記載の電子ぺーパ。
【請求項6】
前記印刷データは、利用者端末のプリンタドライバから出力されるPDLデータであることを特徴とする請求項1記載の電子ぺーパ。
【請求項7】
前記送信手段は、前記印刷装置との間で無線通信を行うことを特徴とする請求項1記載の電子ぺーパ。
【請求項8】
前記送信手段による無線通信を介して前記印刷装置から機器情報を取得する情報取得手段を備え、
前記ラスタライズ手段は、前記受信手段により印刷データが受信された後に前記情報取得手段により機器情報が取得されてから、その機器情報に応じてラスタライズを行う、
ことを特徴とする請求項7記載の電子ぺーパ。
【請求項9】
前記情報取得手段は、前記送信手段と前記印刷装置との無線通信が確立されていない場合、前記送信手段と前記印刷装置との無線通信が確立されたか否かを監視し、前記送信手段と前記印刷装置との無線通信が確立されると、前記印刷装置から機器情報を取得することを特徴とする請求項8記載の電子ペーパ。
【請求項10】
利用者端末と、
印刷装置と、
電子ぺーパとを備え、
前記電子ペーパは、
前記利用者端末から印刷データを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するラスタライズ手段と、
前記ラスタライズ手段により生成されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを表示する表示装置と、
前記表示装置により表示されたラスタイメージの前記ラスタイメージデータを前記印刷装置へ送信しそのラスタイメージを印刷させる送信手段と、
を備えること、
を特徴とする印刷システム。
【請求項11】
前記利用者端末は、プリンタドライバを備え、
前記プリンタドライバは、前記印刷装置に対して送信可能な印刷データを生成し、前記印刷装置および前記電子ペーパのいずれか一方にのみ、その印刷データを送信し、
前記印刷装置は、前記印刷データを前記利用者端末から受信する印刷データ受信手段と、前記ラスタイメージデータを前記電子ペーパから受信するラスタイメージデータ受信手段と、受信された前記印刷データをラスタライズしラスタイメージデータを生成するラスタライズ手段と、前記印刷装置のラスタライズ手段により生成されたラスタイメージデータまたは前記ラスタイメージデータ受信手段により受信されたラスタイメージデータに基づいてラスタイメージを印刷する印刷手段とを備えること、
を特徴とする請求項10記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−127960(P2010−127960A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299225(P2008−299225)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】