説明

電子レンジ調理用容器詰液状調味料及びこれを用いた加熱料理の製造方法

【課題】炒め料理風味の美味しい加熱料理を電子レンジを利用して家庭で手軽に作れるようにする電子レンジ調理用容器詰液状調味料であって、エキス類などを配合したレトルト処理済みの液状調味料が充填された容器内に、具材を加えて電子レンジ加熱調理を行った際に液状調味料が蒸気抜きのための容器の開口部からふきこぼれることのない電子レンジ調理用容器詰液状調味料を提供する。
【解決手段】電子レンジ調理用容器詰液状調味料を、液状調味料が容器に充填密封後レトルト処理されたものとし、この容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱調理することにより加熱料理を得られるようにする。また、液状調味料として、凝固点0℃以上の食用油脂を配合した油相部と、エキス類及び澱粉を配合した粘度400〜10000mPa・sの水相部とからなる分離型の液状調味料を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炒め料理風味の美味しい加熱料理を電子レンジを利用して家庭で手軽に作れるようにする電子レンジ調理用容器詰液状調味料、及びそれを利用して加熱料理を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フライパンなどを用い、野菜や肉などを少量の油とともに強火で撹拌しながら加熱する炒め(ソテー)料理や、炒めた後に調味液などを加えて更に煮込む炒め煮などの炒め風味を有する料理がある。これらの料理が美味しいのは、高温短時間の適度な加熱により野菜や肉などの好ましいテクスチャーや旨みが引き出され、しかも、野菜や肉などから出る水分、炒め油、調味料などが混合状態となった旨みのある調味液がこれら野菜や肉などに絡んだ状態で仕上げられるためである。このような炒め料理を美味しく仕上げるには、焦げ付きなどが生じないように絶えず撹拌しながら加熱の加減を調整する必要があり、しかも、出来立てを食卓に供する必要がある。
【0003】
一方、予め調理したカレーなどの煮込み料理を容器内に密封してレトルト処理した容器詰食品が市販されている。このような容器詰食品は、容器に既に完成した調理食品が充填されているので、長期保存ができ、家庭、レストラン、弁当屋、あるいは総菜店などでは、適宜、電子レンジで30秒〜1分ほど加熱するだけで、人々に供するに足る調理料理を手軽に提供できるものである。しかしながら、加熱殺菌による過度の熱がかかって素材のテクスチュアーが損なわれ易いことから、野菜や肉などの素材のテクスチュアーを重視する炒め料理を容器詰めしてレトルト処理することはあまり行われていない。
【0004】
上述した炒め料理を家庭などで手軽に作ることを目的とした製品としては、いわゆる中華合わせ味噌等の半固形状の調味料が市販されている。このような中華合わせ味噌を用いた場合、複数の調味料を調合する手間が省けるもののフライパン等を用いる点で依然として簡便とはいい難く、より手軽に家庭等の食卓に炒め料理を提供することができる製品の開発が望まれる。
【0005】
ところで、特許文献1(特開2006−44708号公報)には、ジッパーを備えた水蒸気透過性調理用袋に、野菜や肉などの生鮮食品具材と調味料やソースとを密封した調理用バッグが提案されている。この調理用バッグを電子レンジで数分間、加熱調理した場合、生鮮食品具材はレトルト処理を受けずに電子レンジ加熱調理により初めて加熱されるので、そのテクスチュアーは失われ難いことが期待できる。従って、特許文献1の調理用バッグの技術を炒め料理などに応用できれば、フライパンなどを用いず、簡便に出来立ての炒め料理などを電子レンジで調理することができ便利である。
【0006】
【特許文献1】特開2006−44708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実際に、特許文献1の調理用バッグの技術を炒め料理などに適用するため、例えば、容器に、野菜や肉などの食材、炒め油、更に、半固形状の合わせ味噌等を充填して電子レンジ調理を行った場合、フライパンによる高温加熱と異なり野菜や肉などからの水分の流出も少なく、また、食材と調味料等が撹拌もされない。そのため、電子レンジ調理では旨みのある調味液が野菜や肉に絡んだ状態で仕上げられるような炒め風味の美味しい料理が期待できない。そこで、撹拌されない電子レンジ調理であっても食材に濃厚な旨みを有する調味液が絡んだ状態となるように、エキス類などの旨み成分を充分に配合した流動性のある液状の調味料を調理する食材とともに容器に入れて電子レンジ加熱調理することが考えられるが、そうすると、液状調味料が電子レンジ加熱の沸騰により沸き上がり、容器内に泡が充満して容器の蒸気抜きのための開口部から液状調味料がふきこぼれるという問題が生じた。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決しようとするものであり、炒め料理風味の美味しい加熱料理を電子レンジを利用して家庭で手軽に作れるようにする電子レンジ調理用容器詰液状調味料であって、エキス類などを配合したレトルト処理済みの液状調味料が充填された容器内に、具材を加えて電子レンジ加熱調理を行った際に液状調味料が蒸気抜きのための容器の開口部からふきこぼれることのない電子レンジ調理用容器詰液状調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、(i)容器内に予め充填密封しておくレトルト処理済みの液状調味料をエキス類を配合した水相部と油相部とに分離した分離型の液状調味料とし、当該液状調味料が充填された容器内に具材を加えて電子レンジ調理するならば、電子レンジ調理でありながら、フライパンなどで強加熱した場合のような旨みのある炒め料理風味の加熱料理が得られること、(ii)液状調味料の水相部に澱粉を配合して特定の粘度に調整するとともに、油相部に凝固点が0℃以上の食用油脂を配合することにより、エキス類を配合した液状調味料であっても、電子レンジ加熱調理中の泡の沸き上がりが抑制され、ふきこぼれが防止されることを見出し遂に本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、液状調味料が容器に充填密封後レトルト処理されてなり、容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱調理することにより加熱料理を得られるようにする電子レンジ調理用容器詰液状調味料であって、液状調味料が、凝固点0℃以上の食用油脂を配合した油相部と、エキス類及び澱粉を配合した粘度400〜10000mPa・sの水相部とからなる分離型の液状調味料であることを特徴とする電子レンジ調理用容器詰液状調味料を提供する。
【0011】
また、本発明は、この電子レンジ調理用容器詰液状調味料を開封し、具材を容器内に投入して電子レンジで加熱調理することを特徴とする加熱料理の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料は、レトルト処理済みの液状調味料が容器に充填密封されているので、家庭、レストラン、弁当屋、あるいは総菜店などでは、この電子レンジ調理用容器詰液状調味料を保管しておくことができる。そして、適時容器内に野菜や肉などの具材を投入し、容器内でこれら具材を液状調味料とともに電子レンジで加熱調理することにより、炒め料理風味の加熱料理を得ることができる。したがって、家庭、レストラン、弁当屋、あるいは総菜店などでは、肉や野菜などの具材を用意し、必要によりカットするなどの簡単な下ごしらえをするだけで、フライパンなどを用いることなく、手軽に美味しい炒め料理風の加熱料理を作ることが可能となる。
【0013】
また、その容器に充填密封する液状調味料は、エキス類を配合した水相部と油相部とに分離した分離型の液状調味料としてあるため、電子レンジ調理でありながら、フライパンなどで強加熱した場合のような旨みのある炒め料理風味の加熱料理が得られる。また、液状調味料の水相部に澱粉を配合して特定の粘度に調整するとともに、油相部に凝固点が0℃以上の食用油脂を配合してあるので、容器内に新たに具材を投入して電子レンジ加熱調理を行う際のふきこぼれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、図面を参照しつつ詳細に説明する。各図中、同一符号は同一又は同などの要素を表す。また、本発明において、特にことわりのない限り「%」は「質量%」を表し、「部」は「質量部」を表す。
【0015】
図1は、本発明の一実施態様の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1の斜視図である。この電子レンジ調理用容器詰液状調味料1は、電子レンジ対応のフィルム材料からなる容器(以下、パウチともいう)10に液状調味料30を充填密封してレトルト処理したものであって、これを食するときに所定の具材を容器10内に投入し、電子レンジで加熱調理するようにしたものである。
【0016】
まず、本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1を構成する液状調味料30について説明する。
【0017】
液状調味料30は、上部の油相部と下部の水相部とに分離した分離型の液状調味料としてある。前記油相部とは、食用油脂からなり、前記水相部は、水性媒体(清水、醤油、液糖など)に水溶性原料や水分散性原料が配合された水性原料からなるが、本発明の水相部としては、水相部に一部の食用油脂が均一に分散した乳化相であってもよい。なお、後述するように本発明の油相部には凝固温度が高い食用油脂を配合することから、本発明において、上述のように上部の油相部と下部の水相部とに分離しているとは、少なくとも品温60℃において分離状態となっていることを意味する。
【0018】
また、本発明の前記液状調味料の水相部には、エキス類が配合してある。本発明においては、容器内に充填密封しておく液状調味料が、エキス類を配合した水相部と油相部とに分離した分離型の液状調味料であることにより、電子レンジ調理でありながら、フライパンなどで強加熱した場合のような旨みのある炒め(ソテー)料理風味の加熱料理が得られる。ここで、エキス類とは、畜産物、水産物、農産物、酵母などの天然原料の抽出物をいい、具体的には、例えば、ビーフエキス、ポークエキス、チキンエキス、カツオエキス、ハモエキス、エビエキス、カニエキス、貝エキス、昆布エキス、人参エキス、オニオンエキス、ガーリックエキス、ジンジャーエキス、ネギエキス、セロリエキス、椎茸エキス、マッシュルームエキス、モルトエキス、酵母エキス及び麦芽エキスなどが挙げられる。これらは、粉末品や液状品として市販されているので、これらの市販品を用いればよい。
【0019】
前記エキス類の配合量は、フライパンなどを用いた炒め料理などにおいて得られるような旨みのある風味を得る点から、液状調味料に対して、固形分換算で好ましくは0.01〜15%、より好ましくは0.1〜15%、更に好ましくは1〜15%である。
【0020】
更に、本発明の前記水相部は、澱粉を配合し、粘度を400〜10000mPa・sに調整してある。上述のエキス類を配合した粘度未調整の液状調味料30を充填した容器内に所定の具材を投入して電子レンジで加熱調理すると、液状調味料が電子レンジ調理により沸騰して沸き上がり、容器内に泡が充満して容器の蒸気抜きのための開口部から調味液がふきこぼれる問題が生じる。しかしながら、本発明においては、このように液状調味料の水相部に澱粉を配合して特定粘度に調整し、更に、後述するように油相部に特定の食用油脂を配合することにより、電子レンジ調理中の液状調味料の沸き上がりを抑制することができる。これに対して、粘度が前記範囲より低い場合や、澱粉の換わりに例えばキサンタンガムで粘度を前記範囲に調整した場合は電子レンジ調理中の液状調味料の沸き上がり抑制効果が充分に得られず、一方、粘度が前記範囲より高い場合は、液状調味料が容器に投入した野菜や肉などの具材に絡み難くなって具材に味付けをし難くなる。
【0021】
前記液状調味料の粘度は、電子レンジ調理中の液状調味料の沸き上がり抑制効果がより得られ易い点から、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは700mPa・s以上、更に好ましくは1000mPa・s以上である。一方、液状調味料が野菜や肉などの具材に絡み易くするようにする点から、前記粘度は、好ましくは8000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下である。
【0022】
前記粘度は、油相部と分離した水相部の粘度をBH形粘度計で、品温60℃、回転数20rpmの条件で、粘度が375mPa・s未満のときローターNo.1、375mPa・s以上1500mPa・s未満のときローターNo.2、1500mPa・s以上3750mPa・s未満のときローターNo.3、3750mPa・s以上7500mPa・s未満のときローターNo.4、7500mPa・s以上のときローターNo.5を使用し、測定開始後ローターが3回転した時の示度により求めた値である。なお、液状調味料30に固形物(具材)が含まれる場合は、液状調味料を10メッシュの網目に通して具材を取り除いた液状調味料の水相部を測定する。
【0023】
水相部の粘度を調整する前記澱粉としては、例えば、小麦粉澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉などの生澱粉、これら生澱粉に常法によりα化処理を行ったα化澱粉、生澱粉に常法により湿熱処理を行った湿熱澱粉、更に、生澱粉に常法により架橋処理、エステル化処理、エーテル化処理、酸化処理などの一種又は二種以上の処理を行った架橋澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉などの加工澱粉などが挙げられる。これらの澱粉の中でも、少なくとも湿熱処理澱粉又は加工澱粉を用いてソース部の粘度を前記範囲に調整すると、沸騰時の沸き上がり抑制効果が得られることに加えて、容器内に新たに投入した具材20に液状調味料が絡み易い好ましい性状となり好ましい。
【0024】
水相部の粘度を前記範囲に調整するための前記澱粉の配合量は、用いる澱粉の種類や液状調味料の成分等により異なるが、液状調味料に対して好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜5%程度配合すればよい。
【0025】
また、食用油脂で構成される液状調味料の油相部には、凝固点が0℃以上の食用油脂を配合してある。本発明においては、上述したように液状調味料の水相部に澱粉を配合して特定粘度に調整することに加えて、このように油相部に特定の食用油脂を配合することにより、具材を加えて電子レンジで加熱調理する際の液状調味料の沸き上がりを抑制することができ、その結果、容器の蒸気抜き機構の開口部から液状調味料がふきこぼれることを防止できる。前記凝固点の上限に関し、あまり凝固点が高すぎる食用油脂を用いると、液状調味料の口溶けが悪くなる傾向があることから、前記食用油脂の凝固点は好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。なお、本発明において、上記食用油脂の凝固点は、基準油脂分析試験法(日本油化学会制定)の凝固点測定法によって得られる凝固点をいう。
【0026】
前記凝固点が0℃以上の食用油脂としては、具体的には、例えば、パーム油、ヤシ油、ピーナッツ油、オリーブ油などの植物油脂、ラード、ヘット、乳脂などの動物油脂などの凝固点が0℃以上の食用油脂の他、菜種油、コーン油、パーム油、大豆油、これらを精製したサラダ油などに水素添加して得た硬化油などが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、風味の点から、オリーブ油、ラード及びヘットから選ばれる一種又は二種以上を配合することが好ましい。
【0027】
前記凝固点が0℃以上の食用油脂の配合量は、電子レンジ調理中の液状調味料の沸き上がり抑制効果がより得られ易い点から、液状調味料に対して、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、更に好ましくは5%以上である。一方、前記凝固点0℃以上の食用油脂の配合量が多すぎると調味液の口溶けがやや悪くなる場合があることから、前記凝固点0℃以上の食用油脂の配合量は、液状調味料に対して、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下である。
【0028】
前記油相部には、上述した凝固点が0℃以上の食用油脂の他に、凝固点が前記範囲以外の例えば菜種油や大豆油などの食用油脂を配合することができ、これら油相部を構成する食用油脂の合計配合量としては、フライパンなどで強加熱した場合のようなより旨みのある風味を得る点から、液状調味料に対して、好ましくは3〜80%、より好ましくは5〜60%である。
【0029】
また、容器10内に投入する具材20を味付けするため液状調味料30には調味料を配合することが好ましく、このような調味料としては、例えば、食塩、砂糖、醤油、味噌、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、食酢、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
液状調味料30の味付けは、あまり濃すぎると容器内に新たに投入した具材20との味の差が大きくなりすぎ、液状調味料と具材との味なじみが悪くなりやすいため、液状調味料の食塩濃度は4%以下とすることが好ましい。このような液状調味料30の味付けは、前記具材20を加えた後の最終目的とする加熱料理の味付けに比べるとやや濃い味付けとなるが、いわゆる中華合わせ味噌のような濃い味付けではなく、前記具材20の投入前においても食することができる味付けである。なお、前記液状調味料30の食塩濃度とは、塩化ナトリウムの濃度又はそれに換算した食塩相当濃度をいい、常法により試料を希酸抽出法で調製して原子吸光法でナトリウム含量を測定し、所定の係数(2.54)を乗じて算出することにより求められる。
【0031】
なお、前記液状調味料には、上述した原料の他に、一般的に調理食品に配合される種々の原料、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化材などの種々の添加材などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して配合することができる。
【0032】
上述した液状調味料の調製方法としては、特に制限は無いが、より良好な風味を得る点から、上述した原料の混合液を二重釜等で品温が90℃以上になるように加熱調理して調製することが好ましい。
【0033】
一方、本発明において、電子レンジで加熱調理する際に投入を予定する具材としては、炒め料理や炒め煮料理に適したものを適宜選択して使用すればよい。例えば、キャベツ、ホウレン草、小松菜、ナス、インゲン、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、カブ、カボチャ、ジャガイモなどの野菜類、まいたけ、しめじなどのきのこ類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの獣肉類、スズキ、タラ、たこ、いか、エビ、ムール貝などの魚介類、豆腐、かまぼこなどを挙げることができる。これらの具材は、容器に投入する前に予め、下茹で、油通し、あく抜きなどの下処理をしておくことができる。
【0034】
これらの投入を予定する具材は、電子レンジによる加熱調理がムラ無く行えるように、容器10への投入時には、その厚さを0.1〜4cmにカットしておくことが好ましい。
【0035】
投入を予定する具材の液状調味料30に対する使用量は、具材の種類や味付けなどにより異なるが、通常、液状調味料30の1質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部である。
【0036】
なお、本発明で言及する電子レンジ加熱調理とは、容器10内に投入した具材20の好ましいテクスチャーや旨みを加熱により引き出し、また、液状調味料30でこれら具材を調味する点から少なくとも液状調味料が沸騰する加熱条件、具体的には、容器に充填密封された液状調味料と容器に投入された具材の合計100gあたり、好ましくは出力600W×3分相当以上の加熱をすることを意味する。ここで600W×3分相当とは、出力300Wであれば6分、出力400Wであれば、4.5分、出力800Wであれば2.25分というように、出力ワット数と時間との積の値が同じになるように換算して計算した条件以上の電子レンジ加熱を行うことである。また、容器に充填密封された液状調味料と容器に投入された具材の合計が例えば200gであれば、出力ワット数と時間との積の値が100gの場合の2倍となるように電子レンジ加熱を行うことである。なお、従来のレトルト処理済みの調理食品を単に温めるために行う電子レンジ加熱は、通常沸騰する条件で行われることは無く、この場合、調理食品が電子レンジ調理により沸騰して沸き上がることもないことから、上述したふきこぼれの問題も生じない。前記加熱条件の上限としては、沸騰状態を持続して投入した具材が適度に加熱調理される条件とすればよく、具体的には、投入した具材の種類にもよるが、容器に充填密封された液状調味料と容器に投入された具材の合計100gあたり、好ましくは出力600W×20分相当以下の加熱条件とすればよい。
【0037】
次に、本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1を構成する容器10について説明する。本発明の容器10としては、レトルト処理及びレンジ調理が可能な種々の容器を用いることができる。このような本発明の容器10としては、例えば、耐熱性樹脂性の成形容器の他、底面にマチをもたせたスタンディングパウチ、底面及び側面にマチをもたせたガゼット袋、四方シール袋などが挙げられる。また、これら容器としては、容器を開封して具材を投入した後電子レンジ調理する前に当該容器を再封するための再封機能や、電子レンジ加熱調理時に蒸気を容器外に排出する蒸気抜き機構を備えていることが好ましい。
【0038】
これら容器の中でも、本発明においては、底面にマチをもたせたスタンディングパウチや、側面にもマチをもたせたガゼット袋などのマチを有するパウチを用いることが好ましい。このようにマチを有するパウチを用いることにより、後述するように本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1を平置きした場合のパウチ厚を薄くすることと、容器の最大密封充填可能量を増大することを同時に満たすことができる。
【0039】
前記マチを有するパウチとしては、図1に示すパウチ10が例示される。図1に示す様に、パウチ10は、底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部11及び上縁シール部12を形成したスタンディングパウチからなる平袋状のレトルトパウチであり、パウチ10の片面の上縁シール部12の近傍には、ジッパー部13が設けられている。
【0040】
ジッパー部13の外方もヒートシールされてジッパーシール部14が形成されており、このジッパーシール部14近傍の側縁シール部11において、ジッパー部13より上の部分に、引き裂きによりジッパーシール部14を切除し、ジッパー部13を開口可能とするためのノッチ15が形成されている。このようにジッパーシール部14をジッパー部13の外方に設けることにより、レトルト処理の間にジッパー部13が開口することなく、密封状態を維持することが可能となる。
【0041】
また、側縁シール部11において、ジッパー部13と上縁シール部12との間には、料理の取出用開口部を引き裂きにより形成するためのノッチ16が形成されている。後述するように、このノッチ16から、電子レンジ加熱調理後のパウチ10を開封し、内容物を一気に皿に移すことにより内容物が攪拌されるので、料理の加熱ムラや味付けのムラを容易に解消することが可能となる。
【0042】
また、パウチ10の表面には、電子レンジ加熱調理時にパウチ10が過度に膨張して破裂することを防止する蒸気抜き機構17が設けられている。蒸気抜き機構17としては、従来より電子レンジ対応包装袋で使用されているものを設けることができ、例えば、側縁シール部11の近傍に、弱化シール部18を設け、その弱化シール部18内に切欠19を形成したものとする。また、パウチ10の蒸気抜き機構17としては、密封されていたジッパー部13が電子レンジ加熱時に容器10が膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整してもよい。
【0043】
本発明においては、上述した容器を用いるが、容器10に充填する液状調味料30の容積に関し、電子レンジで加熱調理する際のふきこぼれを防止するために、容器10に充填する液状調味料の充填量を少なくすることが好ましい。一方、あまり充填量が少なすぎても投入した具材に液状調味料が絡み難い。したがって、具体的には、例えば、図1に示すジッパー部13を備えたパウチ10を用いた場合、パウチ10の最大密封充填容積の10〜40%となるように液状調味料30をパウチに充填することが好ましい。よりふきこぼれ防止効果が得られ易い点からは、液状調味料の充填量は、容器の最大密封充填容積の好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下である。なお、本発明におけるパウチ10の最大密封充填容積とは、パウチ10のジッパー部13を閉じた時に、パウチに密封充填できる最大の容積であり、当該最大密封充填容積の測定は、例えば、パウチに満杯量の清水を充填密封し、そのパウチ内の清水の容積をメスシリンダー等で測定することに行うことができる。
【0044】
本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1は、室温での長期保存可能となるようにレトルト処理による殺菌処理をしてある。レトルト処理は、常法により、液状調味料30の中心部の品温を120℃で4分間相当加熱する処理又はこれと同等以上の加熱調理レベルを有する処理を行えばよい。
【0045】
更に、前記レトルト処理において液状調味料30の中心部と外周部をムラなく均一に加熱し、加熱条件を緩くしても、中心部を120℃で4分間相当に加熱できるようにするため、容器10の厚さは薄くすることが好ましい。具体的には、例えば、容器10としてパウチを用いた場合、図2に示すように、液状調味料30が充填されている状態で平板50の上に平置きして平らにならした場合のパウチ厚(以下、単にパウチ厚という)L好ましくは2cm以下、より好ましくは1.5cm以下、特に好ましくは1cm以下とする。レトルト処理後、電子レンジ調理する際に具材20を加える本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1は、容器としてパウチを採用すると、パウチ厚Lを薄くすることができる。パウチ厚Lが過度に厚くなると、液状調味料30のレトルト処理において、中心部が120℃4分間相当に加熱されるまでに、外周部が過度に加熱され、風味が低下する場合がある。なお、前記パウチ厚Lがあまり薄すぎてもパウチ材料のコストなどの点から無駄が多くなる場合があることから0.3cm以上とすることが好ましい。
【0046】
また、本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1には、電子レンジ加熱調理で最終的に得ようとする料理の種類、電子レンジ加熱の際にパウチ内に投入することが予定されている具材の種類、その野菜の好ましい切り方、大きさ、投入量、容器への投入方法、電子レンジで加熱調理する際の姿勢、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間、電子レンジ加熱後の容器の開封方法などの説明表示40を備えることが好ましい。特に、説明表示の具体的な内容として、具材の投入量、大きさ、電子レンジ加熱のワット数と時間、電子レンジで加熱調理する際の姿勢については、これらが電子レンジ加熱後の調理の出来の善し悪しに大きく影響するため、できるだけ表示することが望まれる。
【0047】
このような説明表示40は、図1に示したように、容器10の表面に印刷することにより形成してもよく、電子レンジ調理用容器詰液状調味料1の梱包箱などの外装材に印刷することにより形成してもよく、容器10とは別個の紙片に印刷し、その紙片を電子レンジ調理用容器詰液状調味料1に添付するようにしてもよい。
【0048】
本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料1の製造方法としては、例えば、上縁シール部12が未シール状態の容器10を用意し、それに液状調味料を充填して、上縁シール部12をヒートシールし、レトルト処理を施すことが挙げられる。
【0049】
続いて、本発明の電子レンジ調理用容器詰液状調味料を使用して炒め風味を有する加熱料理を製造する方法を説明する。
【0050】
まず、消費者が、作りたい料理の種類、手持ちの食材などに応じて、所定の料理を作るための電子レンジ調理用容器詰液状調味料を選択すると共に、それに加える具材20を説明表示の記載に基づいてカットや秤量などを行う。
【0051】
次に、図3に示すように、電子レンジ調理用容器詰液状調味料1のジッパー部13外方のノッチ15からパウチ10を引き裂いてジッパーシール部14を切除した後、ジッパー部13を開封し、そこから必要に応じて下処理をした具材20を矢印のようにパウチ10内に投入する。この場合、洗浄水などが具材20に付着してパウチ10内に入るのは別として、具材とは別に、味の調整などの目的でパウチ10内に水を加えることはしない。水を加えると、パウチ10内で具材20が接する液状調味料30の濃度にバラツキが生じ、電子レンジ加熱後の具材の味付けにもバラツキが生じるので好ましくない。
【0052】
次に、ジッパー部13を閉じた後、蒸気抜き機構17から内容物がこぼれ難いように蒸気抜き機構17が上部にくるようにパウチ10を平置きした姿勢で、あるいは、立てた姿勢で電子レンジ加熱を所定のワット数と時間で行う。この際、電子レンジ加熱調理により液状調味料30は沸騰するが、上述のように液状調味料の水相部に澱粉を配合して特定の粘度に調整するとともに、油相部に凝固点が0℃以上の食用油脂を配合することにより、電子レンジ加熱調理中の泡の沸き上がりが抑制され、パウチ10内に泡が充満してパウチの蒸気抜きのための開口部から調味液がふきこぼれることが防止される。また、電子レンジ加熱調理により直接的に液状調味料30と具材20が加熱されるのに加え、ジッパー部が閉じられていることから、発生した蒸気によっても液状調味料30と具材20とがいわゆる蒸らし効果により加熱される。発生した蒸気は、蒸気抜き機構17から排出されるため、パウチ10は膨張しても、その破裂は防止される。
【0053】
以上により、フライパンなどで強火で加熱した場合のような旨みのある炒め料理風味の美味しい加熱料理を作ることができる。そして、加熱調理後は、上縁シール部12近傍のノッチ16からパウチ10の上端部を引き裂いて開口し、あるいは、ジッパー部13を開封し、パウチ10の料理を皿にあける。パウチ10内では料理に味付けのムラがあっても、パウチ10内の料理を皿にあけることにより、液状調味料と具材20とが撹拌されるので、料理の味付けのムラが解消される。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を、実施例に基づいて具体的に説明する。
【0055】
[実施例1](タラの加熱料理)
(1)投入する具材
パウチ内に後に加える具材をタラ(厚みが2cmの切り身2切れ)約200gとした。
【0056】
(2)液状調味料、電子レンジ調理用容器詰液状調味料
表1に示す配合原料を用意した。次に、加熱した二重釜に、大豆油(凝固温度−7℃)、ラード(凝固温度25℃)、ジンジャーペーストを投入し撹拌しながら炒めた後、砂糖、食塩、加工澱粉(アセチル化アジピン酸架橋澱粉)、ポークエキス粉末、チキンエキス粉末、エビエキス粉末及びオニオンエキス粉末を清水に加えた混合液を二重釜に更に加え、撹拌混合しながら品温90℃になるまで加熱することにより液状調味料を調製した。
【0057】
続いて、得られた液状調味料200gを弱化シール部と切欠とからなる蒸気抜き機構を有する図1のジッパー付きスタンドパウチ(パウチサイズ:縦220mm×横140mm×折込(マチ)40mm、材質:(パウチ)ポリエステル/ポリアミド/無延伸ポリプロピレン、(ジッパー部)ポリプロピレン、最大密封充填可能容量:820mL)に充填密封後、レトルト処理(115℃、15分間)し、パウチ内に液状調味料(200mL)が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。液状調味料の充填量は、パウチの最大密封充填可能容積の24%であった。また、液状調味料の食塩濃度は1%、液状調味料の水相部の粘度(品温60℃、(株)東京計器製のBH形粘度計、ローターNo.2、回転数20rpm)は440mPa・sであり、パウチ厚は1cmであった。
【0058】
【表1】

【0059】
(3)電子レンジによる加熱調理
(2)の電子レンジ調理用容器詰液状調味料のジッパーを開封し、(1)のタラ(冷凍品を解凍したもの)200gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内にタラ投入後の電子レンジ調理用容器詰液状調味料を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×5分間)をし、料理の取出用のノッチから開封してこれを大皿にあけた。なお、電子レンジ加熱中の液状調味料は、沸騰しても液面上に泡が沸き上がらなかった。
【0060】
得られたタラの加熱料理は、タラ特有の軟らかく好ましい食感があり、また、旨みのある好ましい炒め(ソテー)風味があって味付けにムラがなく、大変美味しいものであった。
【0061】
[実施例2]
実施例1において、ラードに換えてヘット(凝固温度35℃)を配合した他は実施例1と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。液状調味料の充填量は、パウチの最大密封充填可能容積の24%であった。また、液状調味料の食塩濃度は1%、液状調味料の水相部の粘度(品温60℃、(株)東京計器製のBH形粘度計、ローターNo.2、回転数20rpm)は440mPa・sであり、パウチ厚は1cmであった。
【0062】
得られた電子レンジ調理用容器詰液状調味料を用い、実施例1と同様にしてタラの加熱料理を製造した。この際、電子レンジ加熱中の液状調味料は、沸騰しても液面上に泡が沸き上がらなかった。得られたタラの加熱料理は、タラ特有の軟らかく好ましい食感があり、また、旨みのある好ましい炒め(ソテー)風味があって味付けにムラがなく、大変美味しいものであった。
【0063】
[実施例3]
実施例1において、ラードに換えてパーム油(凝固温度35℃)を配合した他は実施例1と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。液状調味料の充填量は、パウチの最大密封充填可能容積の24%であった。また、液状調味料の食塩濃度は1%、液状調味料の水相部の粘度(品温60℃、(株)東京計器製のBH形粘度計、ローターNo.2、回転数20rpm)は440mPa・sであり、パウチ厚は1cmであった。
【0064】
得られた電子レンジ調理用容器詰液状調味料を用い、実施例1と同様にしてタラの加熱料理を製造した。この際、電子レンジ加熱中の液状調味料は、沸騰しても液面上に泡が沸き上がらなかった。得られたタラの加熱料理は、タラ特有の軟らかく好ましい食感があり、また、旨みのある好ましい炒め(ソテー)風味があって味付けにムラがなく、大変美味しいものであった。
【0065】
[比較例1]
実施例1において、ラードを配合せず、その減少分は大豆油の配合量を増やした他は実施例1と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。
【0066】
[試験例1]
実施例1乃至3、並びに比較例1の電子レンジ調理用容器詰液状調味料にタラを加えてそれぞれ電子レンジで加熱調理する場合の電子レンジ加熱中の液状調味料の状態を下記評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0067】
<電子レンジ加熱中の液状調味料の状態の評価記号>
○:沸騰しているが、液面上に泡が沸き上がっていない。
×:沸騰して液面上に泡が沸きあがっており、パウチ内のヘッドスペースの大部分に泡が充満している。
【0068】
【表2】

【0069】
表2より、凝固点が0℃以上の食用油脂を配合した実施例1乃至3の液状調味料は、凝固点が0℃以上の食用油脂を配合していない比較例1の液状調味料に比べて、電子レンジ加熱中の泡の沸き上がりが抑制されていることがわかる。
【0070】
[実施例4](インゲンの加熱料理)
(1)投入する具材
パウチ内に後に加える具材を1口大(長さ約40mm)にカットしたインゲン約100gとした。
【0071】
(2)液状調味料、電子レンジ調理用容器詰液状調味料
表3に示す配合原料を用意した。次に、加熱した二重釜に、オリーブ油(凝固温度3℃)、菜種油(凝固温度−5℃)、ドライトマト、ガーリックペースト、唐辛子粉末を投入し撹拌しながら炒めた後、砂糖、食塩、湿熱処理澱粉、ポークエキス粉末、チキンエキス粉末、カニエキス粉末及びオニオンエキス粉末を清水に加えた混合液を二重釜に更に加え、撹拌混合しながら品温90℃になるまで加熱することにより液状調味料を調製した。
【0072】
続いて、得られた液状調味料150gを実施例1で用いたジッパー付きスタンドパウチに充填密封後、レトルト処理(115℃、15分間)し、パウチ内に液状調味液(150mL)が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。液状調味料の充填量は、パウチの最大密封充填可能容積の18%であった。また、液状調味料の食塩濃度は1%、液状調味料の水相部の粘度(品温60℃、(株)東京計器製のBH形粘度計、ローターNo.3、回転数20rpm)は3500mPa・sであり、パウチ厚は0.7cmであった。
【0073】
【表3】

【0074】
(3)電子レンジによる加熱調理
(2)の電子レンジ調理用容器詰液状調味料のジッパーを開封し、(1)のインゲン100gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内にインゲン投入後の電子レンジ調理用容器詰液状調味料を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×4分間)をし、料理の取出用のノッチから開封してこれを大皿にあけた。なお、電子レンジ加熱中の液状調味料は、沸騰しても液面上に泡が沸き上がらなかった。
【0075】
得られたインゲンの加熱料理は、インゲン特有の歯切れのよい好ましい食感があり、また、旨みのある好ましい炒め風味があって、味付けにムラがなく、大変美味しいものであった。
【0076】
[比較例2]
実施例4において、オリーブオイルを配合せず、その減少分は菜種油の配合量を増やした他は実施例4と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。
【0077】
[試験例2]
実施例4の電子レンジ調理用容器詰液状調味料にインゲンを加えて電子レンジで加熱調理する場合と、比較例2の電子レンジ調理用容器詰液状調味料を用いて実施例4と同様にして電子レンジで加熱調理した場合の電子レンジ加熱中の液状調味料の状態を試験例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0078】
【表4】

【0079】
表4より、凝固点が0℃以上の食用油脂を配合した実施例4の液状調味料は、凝固点が0℃以上の食用油脂を配合していない比較例2の液状調味料に比べて、電子レンジ加熱中の泡の沸き上がりが抑制されていることがわかる。
【0080】
[比較例3]
実施例4において、澱粉を配合せず、代わりにキサンタンガムを1部配合しその減少分は清水の配合量を増やして補正した他は実施例4と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。液状調味料の水相部の粘度(品温60℃、(株)東京計器製のBH形粘度計、ローターNo.4、回転数20rpm)は5000mPa・sであった。
【0081】
得られた電子レンジ調理用容器詰液状調味料を用い、実施例4と同様にしてインゲンの加熱料理を製造したところ、電子レンジ加熱中に液状調味料が沸騰して液面上に泡が沸きあがり、パウチ内のヘッドスペースの大部分に泡が充満し、最終的にパウチの蒸気抜きのための開口部から液状調味料がふきこぼれた。
【0082】
[比較例4]
実施例4において、澱粉を配合せずその減少分は清水の配合量を増やして補正した他は実施例4と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。液状調味料の水相部の粘度(品温60℃、(株)東京計器製のBH形粘度計、ローターNo.1、回転数20rpm)は350mPa・sであった。
【0083】
得られた電子レンジ調理用容器詰液状調味料を用い、実施例4と同様にしてインゲンの加熱料理を製造したところ、電子レンジ加熱中に液状調味料が沸騰して液面上に泡が沸きあがりパウチ内のヘッドスペースの大部分に泡が充満した。
【0084】
[比較例5]
比較例4において、オリーブ油を配合せず、その減少分は菜種油の配合量を増やした他は比較例4と同様にしてパウチ内に液状調味料が充填されている電子レンジ調理用容器詰液状調味料を得た。
【0085】
得られた電子レンジ調理用容器詰液状調味料を用い、比較例4と同様にしてインゲンの加熱料理を製造したところ、電子レンジ加熱中に液状調味料が沸騰して液面上に泡が沸きあがり、パウチ内のヘッドスペースの大部分に泡が充満し、最終的にパウチの蒸気抜きのための開口部から液状調味料がふきこぼれた。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施態様の電子レンジ調理用容器詰液状調味料の斜視図である。
【図2】電子レンジ調理用容器詰液状調味料を平置きした状態の側面図である。
【図3】具材を投入するためにジッパー部を開口した電子レンジ調理用容器詰液状調味料の斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
1 電子レンジ調理用容器詰液状調味料
10 容器(パウチ)
11 側縁シール部
12 上縁シール部
13 ジッパー部
14 ジッパーシール部
15 ノッチ
16 ノッチ
17 蒸気抜き機構
18 弱化シール部
19 切欠
20 具材
30 液状調味料
40 説明表示
50 平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状調味料が容器に充填密封後レトルト処理されてなり、容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱調理することにより加熱料理を得られるようにする電子レンジ調理用容器詰液状調味料であって、
液状調味料が、凝固点0℃以上の食用油脂を配合した油相部と、エキス類及び澱粉を配合した粘度400〜10000mPa・sの水相部とからなる分離型の液状調味料であることを特徴とする電子レンジ調理用容器詰液状調味料。
【請求項2】
澱粉の配合量が、液状調味料に対して0.1〜10%である請求項1記載の電子レンジ調理用容器詰液状調味料。
【請求項3】
凝固点が0℃以上の食用油脂の配合量が、液状調味料に対して0.1%以上である請求項1又は2記載の電子レンジ調理用容器詰液状調味料。
【請求項4】
エキス類の配合量が、液状調味料に対して固形分換算で0.01〜15%である請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ調理用容器詰液状調味料。
【請求項5】
容器に充填されている液状調味料及び投入した具材の合計100gあたり、600W×3分相当以上の条件で電子レンジで加熱調理する請求項1〜4のいずれかに記載の電子レンジ調理用容器詰液状調味料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電子レンジ調理用容器詰液状調味料を開封し、具材を容器内に投入して電子レンジで加熱調理することを特徴とする加熱料理の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−254303(P2009−254303A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108387(P2008−108387)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【出願人】(591116036)アヲハタ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】