説明

電子内視鏡システム及び観察画像生成方法

【課題】通常光画像と特殊光画像を同時に取得する電子内視鏡システム及び観察画像生成方法を提供する。
【解決手段】電子内視鏡システム11は、撮像素子31、光源装置14、DIP42を備える。撮像素子は、被写体からの光を光電変換することにより、前記被写体を撮像する。光源装置14は、撮像素子31による全ての撮像で白色光により被写体を照明するとともに、連続した複数の撮像のうち少なくとも1度は、白色光に加えて、ある波長を中心として撮像素子31の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯の特殊光により被写体を照明する。観察画像生成部42は、連続して取得された複数の画像データから、相互に特徴の異なる複数の観察画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の内部を撮像して観察画像を得る電子内視鏡システム及び観察画像生成方法に関し、さらに詳しくは、被写体に照射する照明光の波長を切り替えながら複数種類の観察画像を得る電子内視鏡システム及び観察画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、電子内視鏡システムが広く普及している。電子内視鏡システムによれば、微小な撮像装置が設けられた電子内視鏡の細長い挿入部を被検者の体内に挿入し、被検者の体内をリアルタイムに撮像しながら診断や治療を行うことができる。
【0003】
電子内視鏡システムでフルカラーの観察画像を得る方式としては、線順次方式と面順次方式の2種の撮像方式が知られている。線順次方式は、RGB各色を配列したカラーフィルタを撮像素子上に配置し、RGB各色の信号を取得する撮像方式である。面順次方式は、RGB各色の照明光を被写体に順に照射しながら撮像し、得られた各色の画像を合成して、白色の照明光を照射したときに得られるもとの同様の1つの観察画像を得る撮像方式である。
【0004】
このように撮像方式にかかわらず、従来の電子内視鏡システムでは、白色の照明光(以下、通常光)を照射して撮像したときに得られる観察画像が取得される。
【0005】
しかし、表面からの深さや構造のサイズ等の特徴によっては、観察部位を通常光では明瞭に観察できないことがある。通常光では明瞭に観察することが難しいものとしては、例えば、表層血管,ピットパターン(腺口構造),陥凹や隆起といった中規模の凹凸構造、微細血管や発赤,肥厚,深層血管等がある。こうした構造は、特定の波長の光を照明光として用いることで明瞭に観察することができることが知られている。
【0006】
例えば、表層の血管やピットパターン等の観察部位表面の微細構造は、波長450nm近傍の照明光で観察することができ、観察部位の陥凹や隆起等のマクロな凹凸構造は、波長500nm近傍の照明光で観察することができる。また、波長550nm近傍の照明光は、ヘモグロビンによる吸収率が高く、微細血管や発赤の観察に適し、波長600nm近傍の照明光は肥厚の観察に適していることが知られている。さらに、深層血管の観察には、インドシアニングリーン(ICG)等の蛍光物質を静脈注射し、波長780nm近傍の光を照明光として用いることで明瞭に観察することができる。
【0007】
こうしたことから、近年では、通常光では観察し難い構造をも観察し易くするために、上述のような狭い波長帯の照明光(以下、特殊光という)を、観察する構造に応じて切り替えながら用いることができるようにした電子内視鏡システムが知られている(特許文献1,2)。
【特許文献1】特許3586157号
【特許文献2】特許2686089号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の電子内視鏡システムは、被写体からの光を光電変換することにより、前記被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による全ての撮像で白色光により前記被写体を照明するとともに、連続した複数の撮像のうち少なくとも1度は、前記白色光に加えて、ある波長を中心として前記撮像素子の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯の特殊光により前記被写体を照明する照明手段と、前記照明手段で照明しながら前記撮像手段により連続して撮像された複数の画像データから、相互に特徴の異なる複数の観察画像を生成する観察画像生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記観察画像生成手段は、複数の前記画像データから色毎の画像成分を抜き出して演算することにより前記観察画像を生成することを特徴とする。
【0010】
また、前記観察画像生成手段は、前記観察画像として、前記白色光だけを前記被写体に照射して撮像したときに得られる白色光画像を生成することを特徴とする。
【0011】
また、前記観察画像生成手段は、前記観察画像として、前記特殊光の波長帯に対応して前記被写体の所定部位が強調された特殊光画像を生成することを特徴とする。
【0012】
また、前記白色光は、500nmよりも長く750nmよりも短い波長帯の光を含み、450nmより短い波長帯の光は500nmの波長の光の光量の1/10以下、780nmより長い波長帯の光は750nmの波長の光の光量の1/10以下であることを特徴とする。
【0013】
また、前記特殊光は、450、500、550、600、または780nm近傍のいずれかに中心波長を有するものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の観察画像取得方法は、全ての撮像で白色光により被写体を照明するとともに、連続した複数回の撮像のうち少なくとも1度は、前記白色光に加えて、ある波長を中心として撮像素子の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯の特殊光により前記被写体を照明して、複数の画像データを取得し、複数の前記画像データから、相互に特徴の異なる複数の観察画像を生成することを特徴とする。
【0015】
特許文献1,2に記載の発明には、通常光や種々の特殊光を適宜切り替えながら用いるために、複数の光学フィルタを予め設けておき、これらを交換して照明光を切り替えることが記載されている。しかしながら、特許文献1,2のように光学フィルタを交換することによって特徴の異なる画像を撮像するには、撮像したい被写体の特徴の種類に応じて、特殊光の種類や特殊光の組み合わせが異なる光学フィルタを予め多数用意しておく必要があり、照明光を作り出す光源装置の構成が煩雑になるとともに、高価になってしまうという問題がある。
【0016】
また、光学フィルタを交換して照明光を切り替えるようにした場合、光学フィルタの切り替えにある程度の時間を要するため、通常光による観察画像(以下、通常光画像という)と、特殊光による観察画像(以下、特殊光画像)を同時に得ることができない。このため、被検者の体内のように常に動いている被写体を観察する場合、光学フィルタを切り替える間に、被写体の向きや形状が変化してしまうので、同じ状態で通常光画像と特殊光画像を比較観察することができないという問題がある。
【0017】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、通常光画像と特殊光画像のように、相互に特徴の異なる複数の観察画像を同じ状態の被写体に対して複数同時に取得することができる電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の電子内視鏡システムは、被写体からの光を光電変換することにより、前記被写体を撮像する撮像手段と、前記被写体に照射する照明光を発生する光源と、前記光源の前方に回転自在に配置され、前記撮像手段による撮像に同期して回転し、前記撮像手段による1回の撮像に対応する所定中心角の扇形区画のうち少なくとも一つの前記扇形区画内に、ある波長を中心として前記撮像素子の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯成分を選択的に透過する選択的透過領域を有し、前記扇形区画の全てに白色光の波長帯成分を透過する白色光透過領域を有するロータリーフィルタと、前記ロータリーフィルタが回転する間に撮像された画像データから、相互に特徴の異なる複数の観察画像を生成する観察画像生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
前記白色光は、500nmよりも長く750nmよりも短い波長帯の光を含み、450nmより短い波長帯の光は500nmの波長の光の光量の1/10以下、780nmより長い波長帯の光は750nmの波長の光の光量の1/10以下であることを特徴とする。
【0020】
前記選択的透過領域を透過する光は、450、500、550、600、または780nm近傍のいずれかに中心波長を有するものであることを特徴とする。
【0021】
前記ロータリーフィルタは、前記扇形区画毎に、前記撮像手段の電荷読出期間に対応して前記照明光を遮光する遮光領域を有することを特徴とする。
【0022】
前記観察画像生成手段は、複数の前記画像データから色の成分を各々抜き出して、前記選択的透過領域を透過した照明光を照射して撮像したときに得られる中間画像データを算出することを特徴とする。
【0023】
前記観察画像生成手段は、前記中間画像データから、前記被写体の所定部位を強調した強調画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、通常光画像と特殊光画像を同時に取得することができ、通常光画像と特殊光画像を容易に比較することができる。また、交換用の光学フィルタを多数用意する必要がなく、電子内視鏡システムを安価に、簡素に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に示すように、電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、プロセッサ装置13、光源装置14(照明手段)等から構成される。電子内視鏡12は、挿入部16、手元操作部17、ユニバーサルコード18等から構成される。
【0026】
挿入部16は、被検者の体内(以下、被写体という)に挿入され、被写体の形状に応じて自在に湾曲する。また、挿入部16の先端部分16aには、撮像素子31(図2参照)を内蔵した撮像装置が設けられている。
【0027】
先端部分16aの端面には、前方に照明光を照射する照明窓16bや、被写体からの光を撮像素子31に導く観察窓16c(ともに図2参照)、各種処置具が露出される鉗子出口、洗浄水や空気等が噴射される送気送水ノズル等が設けられている。
【0028】
先端部分16aの後方には、湾曲部19が設けられている。この湾曲部19は、複数の湾曲駒が連結されたものであり、挿入部16に挿通されたワイヤが手元操作部17に設けられたアングルノブ21と連結されている。湾曲部19は、アングルノブ21の回転操作に応じてワイヤが押し引きされることにより、上下左右に自在に湾曲する。これにより、先端部分16aの位置や向きが所望の方向に自在に調節される。
【0029】
手元操作部17は、前述のように湾曲部19を操作するアングルノブ21のほかに、鉗子口22や、送気送水ボタン等の各種操作ボタン23が設けられている。鉗子口22には、注射針や高周波メスといった各種処置具が挿入される。鉗子口22から挿入された各種処置具は、前述のように鉗子出口から被写体に向けて露出される。また、送気送水ボタンは、図示しない送気送水装置から供給される空気や洗浄水の送気,送水を制御する。
【0030】
ユニバーサルコード18は、基端部分に設けられたコネクタ24によって、電子内視鏡12と光源装置14を光学的に接続する。また、ユニバーサルコード18は、コネクタ24の他端で、電子内視鏡12をプロセッサ装置13に電気的に接続する。
【0031】
プロセッサ装置13は、電子内視鏡12、光源装置14、モニタ26等に接続されており、電子内視鏡システム11の動作を統括的に制御する。光源装置14は、ユニバーサルコード18や挿入部16に挿通されたライトガイドを通じて、被写体の観察部位に向けて照明光を照射する。
【0032】
図2に示すように、電子内視鏡12は、撮像素子31、AFE32、CPU33、ライトガイド34等から構成される。
【0033】
撮像素子31は、CCD型のイメージセンサであり、前方には対物レンズ36が配置されている。撮像素子31は、RGBいずれかのカラーフィルタが画素毎に配置されており、対物レンズ36によって撮像面に結像される被写体からの光を、RGB3色の基本色毎に光電変換して露光量に応じた信号電荷を蓄積する。撮像素子31は、各画素で蓄積した信号電荷を撮像信号として出力する。撮像素子31からの撮像信号は、AFE32を介してプロセッサ装置13に入力される。なお、ここでは撮像素子31としてCCD型のイメージセンサを用いるが、撮像素子31としてCMOS型のイメージセンサを用いても良い。
【0034】
AFE32は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、アナログデジタル変換回路(A/D)から構成される。CDSは、撮像素子31から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、撮像素子31の駆動により生じたノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換してプロセッサ装置13に入力する。
【0035】
CPU33は、プロセッサ装置13のCPU41と通信し、電子内視鏡12の各部の動作を統括的に制御する。例えば、CPU33は、プロセッサ装置13のCPU41からの制御信号に基づいて、タイミングジェネレータ(TG)37に所定のタイミングイ信号を生じさせることにより、撮像素子31の動作を制御し、撮像素子31に撮像信号を出力させる。
【0036】
ライトガイド34は、ユニバーサルコード18や挿入部16の内部に挿通されており、一端が照明窓16bにレンズ38を介して接続され、他端はコネクタ24で光源装置14に接続される。光源装置14からの照明光は、ライトガイド34を通じて、照明窓16bから被写体の観察部位へと照射される。
【0037】
プロセッサ装置13は、CPU41、DSP43、DIP42(観察画像生成手段)、表示制御回路44等から構成される。
【0038】
CPU41は、ROM(図示しない)に格納された制御プログラムを実行することにより、システムバス47を介して接続されたプロセッサ装置13の各部の動作を制御する。また、CPU41は、電子内視鏡12のCPU33や光源装置14のCPU63と通信し、電子内視鏡12や光源装置14の動作を制御することにより、電子内視鏡システム11を統括的に制御する。
【0039】
DSP43は、AFE32から入力されるデジタルの撮像信号に対して、色補間、ホワイトバランス調節、ガンマ補正等の各種画像処理を施し、通常光画像や特殊光画像をモニタ26への表示に適した画像データにする。
【0040】
DIP42は、DSP43から出力された画像データから、モニタ26上に表示する観察画像を生成する。また、DIP42は、被写体を撮像するごとに入力される撮像信号を画像データとしてフレームメモリに複数蓄積する。DIP42がフレームメモリに蓄積する画像データは、後述するロータリーフィルタ62が1回転するうちに撮像された撮像回数分(ここでは2回分)の画像データである。
【0041】
DIP42は、通常光画像生成部51と特殊光画像生成部52を備えている。通常光画像生成部51は、フレームメモリに蓄積された2つの画像データから、RGBの基本色毎の成分を抜き出して、比較、演算することにより、通常光で照明しながら撮像したときに得られる各画素の露光量を算出する。(以下では、各画素の露光量を単に画素値と称する。)通常光画像生成部51は、こうして算出された画素値を各画素の画素値とした通常光画像を生成する。通常光画像生成部51によって生成された通常光画像は、再びフレームメモリに格納される。
【0042】
特殊光画像生成部52は、フレームメモリに蓄積された2つの画像データから、RGBの基本色毎の成分を抜き出して、比較、演算することにより、特殊光で照明しながら撮像したときに得られる画素値を画素毎に算出する。特殊光画像生成部52は、特殊光による画素値を、通常光画像生成部51で生成された通常光画像に重畳することにより、被写体の特定の構造が強調された特殊光画像を生成する。また、特殊光画像生成部52は、被写体の種類等に応じた電子内視鏡システム11の設定に基づいて、強調する部位等が異なる複数の特殊光画像を生成する。特殊光画像生成部52によって生成された特殊光画像は、再びフレームメモリに格納される。また、DIP42は、CPU41からの制御にしたがって、通常光画像や特殊光画像に対して、電子変倍やエッジ強調処理等のさらなる付加的な画像処理を施す。
【0043】
表示制御回路44は、DIP42で各種画像処理が施された通常光画像や特殊光画像に、無効画素部分を隠す表示用マスクデータを重畳したり、検査日時や患者や術者の情報といった文字情報や、操作用のGUIを重畳する。また、表示制御回路44は、通常光画像や特殊光画像を表示形式に応じたビデオ信号に変換してモニタ26上に表示させる。
【0044】
光源装置14は、光源61、ロータリーフィルタ62、CPU63、位置センサ64等から構成される。
【0045】
光源61は、紫外線から可視光、赤外光にわたる広い波長帯の光を高輝度に発するキセノンランプ等の白色高輝度光源であり、被写体に照射する照明光を発生する。光源61の発する照明光には、赤外光も含まれている。
【0046】
ロータリーフィルタ62は、光源61の前方に、照明光の光路に対して面が垂直に設けられている。ロータリーフィルタ62は、所定の方向に回転自在に設けられている。ロータリーフィルタ62の中心軸は、照明光の光路からそれた位置にあり、照明光はロータリーフィルタ62の一部の面に入射する。ロータリーフィルタ62の面には、透過する波長帯や透過率等が異なる扇形の光学領域が各々所定の角度範囲で複数配置されている(図3参照)。これにより、ロータリーフィルタ62は、照明光を透過するときに波長や透過光量を変調したり、遮光したりする。ロータリーフィルタ62は、撮像素子31の動作に連動してモータ69により回転されるようになっており、ロータリーフィルタ62は撮像素子31による2回の撮像で1回転される。ロータリーフィルタ62を透過した照明光は、絞り67やレンズ68等を介してライトガイド34に入射される。
【0047】
CPU63は、光源装置14の各部の動作を制御する。また、CPU63は、プロセッサ装置13のCPU41と通信することにより、光源装置14内の各部の動作を、プロセッサ装置13や電子内視鏡12の各部の動作に同期するように制御する。例えば、CPU63は、光源61のオンオフや、ロータリーフィルタ62の回転、絞り67の開口径等を制御する。
【0048】
位置センサ64は、ロータリーフィルタ62の回転角度を検知して、CPU63に通知する。CPU63は位置センサ64からの信号に基づいて、撮像素子31の動作と同期するように、モータ69の動作を制御する。
【0049】
図3に示すように、ロータリーフィルタ62には、白色光の波長帯成分が透過する白色光透過領域として、第1白色光透過領域71、第2白色光透過領域72が設けられている。また、ロータリーフィルタ62には、ある波長を中心として撮像素子31の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯成分を選択的に透過する選択的透過領域として、青色光透過領域73、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76が設けられている。青色光透過領域73、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76は、撮像素子31のRGB各画素の感応する波長帯よりも狭い半値幅で、青色光、緑色光、赤外光を各々透過する。さらに、ロータリーフィルタ62には、撮像素子の電荷読出期間に対応して照明光を遮光する遮光領域として、第1遮光フィルタ77、第2遮光フィルタ78が設けられている。これらのロータリーフィルタ62に設けられた各領域は、各々に所定の中心角を有する扇形である。
【0050】
また、ロータリーフィルタ62は、撮像素子31による2回の撮像に対して1回転される。したがって、ロータリーフィルタ62は、撮像素子31による1回の撮像に対して180度(所定中心角)だけ回転する。このため、1回の撮像の間に、ロータリーフィルタ62の半分(図3では上半分または下半分)に設けられた白色光透過領域や選択的透過領域等が光源61の前面を順に横切る。これにより、1回の撮像の間に波長や透過光量等が変調された照明光が被写体に照射される。
【0051】
ロータリーフィルタ62の上半分の区画(扇形区画)81(以下、第1区画という)には、ロータリーフィルタ62の回転方向82に沿って、第1遮光フィルタ77、青色光透過領域73、第1白色光透過領域71が順に設けられている。このため、第1区画81によって照明光が変調されるときには、第1白色光透過領域71、青色光透過領域73、第1遮光フィルタ77の順に、光源61の前方を横切る。
【0052】
第1白色光透過領域71は、第1区画81のうち中心角θ1の範囲に設けられており、光源61からの照明光のうちの480nm以上750nm以下の波長帯の光を透過する。この第1白色光透過領域71が透過する波長帯の光は、撮像素子31のRGB各画素が何れも感応する波長帯を含んでおり(図7参照)、略白色の光(以下、通常光という)となっている。このため、第1白色光透過領域71が光源61の前方を横切っている間は、通常光が照明光として被写体に照射される。通常光(白色光)は、500nmよりも長く750nmよりも短い波長帯の光を含み、450nmより短い波長帯の光は500nmの波長の光の光量の1/10以下、780nmより長い波長帯の光は750nmの波長の光の光量の1/10以下であることが好ましい。
【0053】
青色光透過領域73は、第1白色光透過領域71に隣接して、第1区画81の中心角αの範囲に設けられており、撮像素子31のB画素が感応する波長帯よりも狭い450nm近傍の波長帯の光(以下、青色特殊光という)を選択的に透過する。このため、青色光透過領域73が光源61の前方を横切っている間は、青色特殊光だけが照明光として被写体に照射される。青色特殊光は被写体の表層付近で強く反射されるため、青色特殊光が照明光として照射されている間は、表層血管やピットパターンが撮像される。
【0054】
第1遮光フィルタ77は、青色光透過領域73に隣接して、第1区画81の中心角ωの範囲に設けられており、光源61からの全波長帯の照明光を遮光する。これにより、第1遮光フィルタ77が光源61の前方を横切っている間は、被写体には照明光が照射されない。また、第1遮光フィルタ77が光源61の前方を横切るタイミングは、第1白色光透過領域71及び青色光透過領域73が通過する間に各画素で蓄積した信号電荷を、撮像素子31が撮像信号として転送するタイミングに対応する。なお、撮像素子31が撮像信号を転送する期間は、第1遮光フィルタ77が光源61の前方を横切っている期間と同じか又は短い期間である。
【0055】
一方、ロータリーフィルタ62の下半分の区画(扇形区画)83(以下、第2区画という)には、ロータリーフィルタ62の回転方向82に沿って、第2遮光フィルタ78、赤外光透過領域76、緑色光透過領域74、第2白色光透過領域72が順に設けられている。このため、第2区画83によって照明光が変調されるときには、第2白色光透過領域72、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76、第2遮光フィルタ78の順に、光源61の前方を横切る。
【0056】
第2白色光透過領域72は、第1遮光フィルタ77に隣接して、中心角θ2の範囲に設けられている。第2白色光透過領域72は、第1白色光透過領域71と同様の構成及び作用を有する。
【0057】
緑色光透過領域74は、第2白色光透過領域72に隣接して、中心角βの範囲に設けられており、撮像素子31のG画素が感応する波長帯(図7参照)のうち、550nm近傍の狭い波長帯の光(以下、緑色特殊光という)を選択的に透過する。このため、緑色光透過領域74が光源61の前方を横切っている間は、緑色特殊光だけが照明光として被写体に照射される。緑色特殊光は、ヘモグロビンに強く吸収されるため、緑色特殊光が照明光として照射されている間は、発赤や微細血管等が撮像される。
【0058】
赤外光透過領域76は、緑色光透過領域74に隣接して、中心角γの範囲に設けられており、780nm近傍の狭い波長帯の赤外(以下、赤外特殊光という)を透過する。この赤外特殊光は、撮像素子31のR画素が感応しない波長帯の赤外光となっている(図7参照)。このため、赤外光透過領域76が光源61の前方を横切っているときには、撮像素子31が感応しない赤外特殊光だけが照明光として照射されるが、被写体に反射された赤外特殊光によってはなにも撮像されない。
【0059】
しかし、赤外特殊光はある種の蛍光物質に効率良く吸収され、赤外特殊光を吸収した蛍光物質は、所定波長の蛍光を生じる。このため、例えば蛍光物質としてICGを静脈注射した場合には、赤外特殊光が照明光として照射されることで、深層血管等、被写体の一部から波長が830nm近傍の蛍光が生じる。また、撮像素子31のR画素は、前述のように赤外特殊光には感応しないが、ICGから発せられる蛍光には感応する。このため、赤外光透過領域76が光源61の前方を横切っているときには、蛍光物質からの蛍光によって、深層血管等が撮像される。
【0060】
第2遮光フィルタ78は、赤外光透過領域76に隣接して第1遮光フィルタ77と同様に中心角ωの範囲に設けられており、光源61からの全波長帯の照明光を遮光する。第2遮光フィルタ78の構成及び作用は第1遮光フィルタ77と同じである。また、撮像素子31が撮像信号を転送する期間も、第2遮光フィルタ78が光源61の前方を横切っている期間と同じか又は短い期間である。
【0061】
以下、上述のように構成される電子内視鏡システム11の作用を説明する。まず、挿入部16を被写体に挿入して観察を開始すると、図4に示すように、CPU63によってロータリーフィルタ62は撮像素子31の撮像動作に同期して回転制御される。
【0062】
図4(A)に示すように、撮像素子31は、プロセッサ装置13からの指示に基づいて、信号電荷の蓄積と蓄積した信号電荷の読み出しを1回の撮像とすると、2回の撮像を1セットとして、複数セットの撮像を所定のタイミングで繰り返す。このとき、ロータリーフィルタ62は、図4(B)に示すように、各回の撮像で第1区画81または第2区画83のいずれかによって変調した照明光を被写体に照射する。
【0063】
撮像素子31の1セットの撮像のうち、前半の撮像期間91(以下、第1撮像期間という)では、第1区画81が光源61の前方を横切るようにロータリーフィルタ62が回転される。したがって、第1撮像期間91における信号電荷の蓄積期間92(以下、第1蓄積期間という)では、第1白色光透過領域71と青色光透過領域73によって順に照明光が変調される。このため、第1蓄積期間92では、通常光による信号電荷と、青色特殊光による信号電荷とをあわせた量の信号電荷が撮像素子31の各画素に蓄積される。
【0064】
第1蓄積期間92の間に、R画素には、第1白色光透過領域71を透過した通常光の赤色成分の光量に応じた量の信号電荷が蓄積される。同様に、第1蓄積期間92の間に、G画素には、第1白色光透過領域71を透過した通常光の緑色成分の光量に応じた量の信号電荷が蓄積される。
【0065】
また、第1蓄積期間92の間に、B画素に蓄積される信号電荷の総量は、第1白色光透過領域71を透過した通常光の青色成分の光量に比例した信号電荷と、青色光透過領域73を透過した青色特殊光の光量に比例した量の信号電荷との合計となる。
【0066】
こうして第1蓄積期間92で各画素に蓄積された信号電荷は、第1撮像期間91内の読出期間93(以下、第1読出期間という)で、AFE32を介してDIP42に撮像信号として出力される。また、この第1読出期間93の間は、光源61からの照明光は第1遮光フィルタ77で遮られている。
【0067】
このように、第1撮像期間91では第1区画81によって照明光が変調されるが、撮像素子31の1セットの撮像のうち、後半の撮像期間96(以下、第2撮像期間という)では、図4(B)に示すように、第2区画83が光源61の前方を横切るようにロータリーフィルタ62が回転される。したがって、第2撮像期間96における信号電荷の蓄積期間97(以下、第2蓄積期間という)では、第2白色光透過領域72、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76によって順に照明光が変調される。このため、第2蓄積期間97では、通常光による信号電荷と、緑色特殊光による信号電荷と、赤外特殊光によって生じた蛍光による信号電荷とを合わせた量の信号電荷が、撮像素子31の各画素に蓄積される。
【0068】
このため、B画素には、第2蓄積期間97の間に、第2白色光透過領域72を透過した通常光の青色成分の光量に比例した量の信号電荷が蓄積される。
【0069】
一方、第2蓄積期間97の間に、R画素に蓄積される信号電荷の総量は、第2白色光透過領域72を透過した通常光の赤色成分の光量に比例した量の信号電荷と、赤外特殊光によって生じた蛍光の光量に比例した量の信号電荷との合計となる。また、第2蓄積期間97の間に、G画素に蓄積される信号電荷の総量は、第2白色光透過領域72を透過した通常光の緑色成分の光量に比例した量の信号電荷と、緑色特殊光の光量に比例した量の信号電荷との合計となる。
【0070】
こうして第2蓄積期間97で各画素に蓄積された信号電荷は、第2撮像期間96内の読出期間98(以下、第2読出期間という)で、AFE32を介してDIP42に撮像信号として出力される。この第2読出期間98の間は、光源61からの照明光は第2遮光フィルタ78で遮られている。
【0071】
なお、第1白色光透過領域71による通常光の透過光量及びこれによる各画素の画素値は、第1白色光透過領域71の通常光の透過率と中心角θ1によって定まる。同じく、第2白色光透過領域72による画素値は、第2白色光透過領域72の通常光の透過率と中心角θ2によって定まる。また、第1白色光透過領域71と第2白色光透過領域72の通常光の透過光量の比により、第1白色光透過領域71と第2白色光透過領域72の各画素の画素値の比が定まる。
【0072】
また、青色光透過領域73による青色特殊光の透過光量及びこれによる画素値は、青色光透過領域73の青色特殊光の透過率と中心角αとの積に比例する。同様に、緑色光透過領域74による緑色特殊光の透過光量及びこれによる画素値は、緑色光透過領域74の緑色特殊光の透過率と中心角βとの積に比例する。一方、赤外光透過領域76による赤外特殊光の透過光量は、赤外光透過領域76の赤外特殊光の透過率と中心角γの積に比例し、これによる赤色画素の画素値は、さらに蛍光物質によって赤外特殊光が蛍光へ変換される効率に比例する。
【0073】
上述のように、ロータリーフィルタ62と撮像素子31を同期して駆動しながら被写体を撮像すると、図5(A)に示すように、第1撮像期間91で出力された撮像信号から第1画像データ101が取得される。同時に、図5(B)に示すように、第2撮像期間96で出力された撮像信号から第2画像データ102が取得される。このため、第1画像データ101が取得されてから、第2画像データ102が取得されるまでには1フレーム分の撮像期間(例えば、1/30秒)しか経過しない。このように、第1画像データ101と第2画像データ102は略同時に取得されるので、第1画像データ101と第2画像データ102は、被写体の動きの影響を受けずに、全く同じ被写体を撮像した画像データとして扱うことができる。
【0074】
また、第1撮像期間91で出力される撮像信号は、前述のように、通常光と青色特殊光による露光が重畳しているので、図5(A)に示すように、第1画像データ101には、通常光で撮像される被写体像(実線で示す)に、青色特殊光による被写体像(模式的に破線で示す)が重畳されており、露光量の少ない青色特殊光による像はあまり目立たない。
【0075】
また、第2撮像期間96で出力される撮像信号もまた、前述のように、通常光、緑色特殊光、赤外特殊光による露光が重畳しているので、図5(B)に示すように、第2画像データ102には、通常光で撮像される被写体像に、緑色特殊光や赤外特殊光による被写体像(模式的に破線で示す)が重畳されている。第2画像データ102では、緑色特殊光や赤外特殊光による被写体像は、露光量が少ないためにあまり目立たない。
【0076】
DIP42は、こうして取得された第1画像データ101と第2画像データ102に基づき、図6に示す手順にしたがって、通常光画像生成部51によって通常光で照明したときに得られる通常光画像を生成するとともに、特殊光画像生成部52によって被写体の特定部位が適切に強調された特殊光画像を生成する。
【0077】
DIP42が通常光画像と特殊光画像を生成する手順は、大きく分けて4つの手順(ステップS10,S20,S30,S40)が略同時進行で行われる。まず、DIP42は、第1画像データ101と第2画像データ102から、青色の成分を抜き出して、各B画素の画素値を比較,演算することにより、各B画素の通常光による画素値と、青色特殊光による画素値とをそれぞれ算出する(ステップS10)。
【0078】
同様に、DIP42は、第1画像データ101と第2画像データ102から、緑色の成分を抜き出して、各G画素の画素値を比較,演算することにより、各G画素の通常光による画素値と、緑色特殊光による画素値とをそれぞれ算出する(ステップS20)。
【0079】
さらに、DIP42は、第1画像データ101と第2画像データ102から、赤色の成分を抜き出して、各R画素の画素値を比較,演算することにより、各R画素の通常光による画素値と、赤外特殊光による画素値とをそれぞれ算出する(ステップS30)。
【0080】
そして、DIP42は、上述のように算出した各画素値から、RGB各画素の画素値が通常光で照明したときに得られる画素値となるようにした通常光画像を生成するとともに、被写体の特定部位が強調された特殊光画像を生成する(ステップS40)。
【0081】
図6(A)に示すように、通常光画像生成部51は、白色光透過領域71,72を透過した通常光による画素値をRGB各色の画素毎に算出し(ステップS11,S21,S31)、通常光画像を生成する(ステップS41)。一方、図6(B)に示すように、特殊光画像生成部52は、青色光透過領域73,緑色光透過領域74,赤外光透過領域76を透過した各種特殊光による画素値をRGB各色の画素毎に算出し(ステップS12,S22,S32)、特殊光画像を生成する(ステップS42)。また、通常光画像生成部51と特殊光画像生成部52は、中間的に算出されたデータを共用するように、相互に連動して動作する。
【0082】
より詳しくは、通常光画像生成部51が、第1画像データ101又は第2画像データ102の少なくとも一方から、青色の成分を抜き出して、各B画素の画素値を比較,演算し、第1白色光透過領域71(または第2白色光透過領域72)を透過した通常光によるB画素の画素値を算出する(ステップS11)。特殊光画像生成部52は、通常光画像生成部51が算出した通常光によるB画素の画素値を利用して、第1画像データ101又は第2画像データ102の青色成分から、青色特殊光によるB画素の画素値を算出する(ステップS12)。
【0083】
同様に、通常光画像生成部51が、第1画像データ101又は第2画像データ102の少なくとも一方から、緑色の成分を抜き出して、各G画素の画素値を比較,演算し、第1白色光透過領域71(または第2白色光透過領域72)を透過した通常光によるG画素の画素値を算出する(ステップS21)。特殊光画像生成部52は、通常光画像生成部51が算出した通常光によるG画素の画素値を利用して、第1画像データ101又は第2画像データ102の緑色成分から、緑色特殊光によるG画素の画素値を算出する(ステップS22)。
【0084】
さらに、通常光画像生成部51が、第1画像データ101又は第2画像データ102の少なくとも一方から、赤色の成分を抜き出して、各R画素の画素値を比較,演算し、第1白色光透過領域71(または第2白色光透過領域72)を透過した通常光によるR画素の画素値を算出する(ステップS31)。特殊光画像生成部52は、通常光画像生成部51が算出した通常光によるR画素の画素値を利用して、第1画像データ101又は第2画像データ102の赤色成分から、赤色特殊光で生じさせた蛍光によるR画素の画素値を算出する(ステップS32)。
【0085】
その後、通常光画像生成部51は、算出した通常光による各画素の画素値を用いて通常光画像を生成する(ステップS41)。特殊光画像生成部52は、算出した各種特殊光による画素値を、通常光画像に適切な割合で重畳して特殊光画像を生成する(ステップS42)。なお、特殊光画像生成部52は、設定に応じて、強調する部位が異なるなどの複数の特徴の異なる特殊光画像を生成する。
【0086】
以下では、DIP42が、通常光画像生成部51と特殊光画像生成部52によって、通常光画像と特殊光画像を生成するより具体的な様態を説明する。
【0087】
撮像素子31のRGB各画素の感度の一例を、図7に示す。B画素の感度106は、波長450nm付近の光に最も強く感応し、380nmから520nm程度の波長帯107(以下、青色波長帯という)に感度がある。G画素の感度108は、波長550nm付近の光に最も強く感応し、470nmから650nm程度の波長帯109(以下、緑色波長帯という)に感度がある。R画素の感度110は、波長630nm付近の光に最も強く感応し、780nm近傍を除いた580nmから870nm程度の波長帯111(以下、赤色波長帯という)に感度がある。また、R画素は、830nm近傍の赤外光に対して、周辺の波長の赤外光よりもやや強く感応する。
【0088】
第1撮像期間91に被写体に照射される照明光量(積分値)と波長のグラフを、図8(A)に示す。青色特殊光の照射光量121と、第1白色光透過領域71による通常光の照射光量122を合計した分布になる。このため、第1画像データ101の各画素の画素値は、図8(A)に示す各色波長帯107,109,111に応じた値が含まれる。つまり、図8(A)に示した照明光が体腔内の観察部位に照射されることにより、照射された部位からの反射光を撮像素子31が受光して、各画素の画素値となっている。この画素値内には、観察部位にある青色特殊光での観察に適した表層血管やピットパターン等に応じた青色成分と白色成分が含まれている。
【0089】
同様に、第2撮像期間96に被写体に照射される照明光量(積分値)と波長のグラフを、図8(B)に示すが、緑色特殊光の照射光量123、赤外特殊光の照射光量124、第2白色光透過領域72による通常光の照射光量125を合計した分布になる。このため、第2画像データ102の各画素の画素値は、図8(B)に示す各色波長帯107,109,111の部分に応じた値が含まれる。つまり、図8(B)に示した照明光が体腔内の観察部位に照射されることにより、照射された部分からの反射光を撮像素子31が受光して、各画素の画素値となっている。この画素値内には、観察部位にある緑色特殊光の観察に適した発赤や微細血管等に応じた緑色成分と、赤外特殊光により蛍光が生じる深層血管等と、白色成分が含まれている。なお、前述のように、撮像素子31は赤外特殊光に感度がなく、赤外特殊光によって励起される蛍光に感度があるので、第2画像データ102のR画素の画素値は、通常光の照射光量125の一部に比例した画素値と、蛍光の光量126に比例する画素値との合計になる。蛍光の光量126は、例えば、第2白色光透過領域72を透過した通常光の光量よりも小さい。
【0090】
DIP42は、撮像素子31の映像信号から各色の成分を抜き出し、これを比較,演算することにより通常光画像と特殊光画像を生成する。
【0091】
照明光量と同様にして図9(A)に示すように、第1画像データ101のあるB画素の画素値131は、青色特殊光による画素値132と第1白色光透過領域71を透過した通常光による画素値133との合計値となっている。また、これに対応する第2画像データ102のB画素の画素値134は、図9(B)に示すように、第2白色光透過領域72を透過した通常光による画素値134となっている。
【0092】
第1白色光透過領域による通常光の照明光量と第2白色光透過領域72による通常光の光量の比がわかっているため、図9(C)に示すように、第2画像データ102のB画素の画素値134を比に応じて演算すれば、第1白色光透過領域71を透過した通常光による画素値133と同じになる。例えば、第1白色光透過領域71による通常光と第2白色光透過領域72による通常光の照明光量の比が1:2の場合は、画素値133を2倍にすれば良い。図9(D)に示すように、画素値134を演算した画素値135を、第1画像データ101のB画素の画素値131から差し引くことにより、青色特殊光による画素値132が算出される。後述する通常光画像のB画素の画素値には、画素値133を使うよりも色バランスがよくなるため、画素値131をそのまま使う。
【0093】
同様にして、図10(A)に示すように、第1画像データ101のあるG画素の画素値141は、第1白色光透過領域71を透過した通常光による画素値である。また、図10(B)に示すように、これに対応する第2画像データ102のあるG画素の画素値142は、第2白色光透過領域72を透過した通常光による画素値143と、緑色特殊光による画素値144との合計値となっている。
【0094】
このため、図10(C)に示すように、第1画像データ101のG画素の画素値141を第1白色光透過領域71による通常光と第2白色光透過領域72による通常光の照明光量の比に応じて演算することで画素値145を算出する。図10(D)に示すように、算出した画素値145を、第2画像データ102のG画素の画素値142から差し引くことにより、緑色特殊光による画素値144が算出される。後述する通常光画像のG画素の画素値には画素値141をそのまま使う。
【0095】
さらに、同様にして、図11(A)に示すように、第1画像データ101のあるR画素の画素値151は、第1白色光透過領域71を透過した通常光による画素値である。また、図11(B)に示すように、これに対応する第2画像データ102のあるR画素の画素値152は、第2白色光透過領域72を透過した通常光による画素値153と、赤外特殊光で励起された蛍光による画素値154との合計となっている。
【0096】
このため、図11(C)に示すように、第1画像データ101のR画素の画素値151を第1白色光透過領域71による通常光と第2白色光透過領域72による通常光の照明光量の比に応じて演算することで画素値155を算出する。図11(D)に示すように、算出した画素値155を、第2画像データ102のR画素の画素値152から差し引くことで、赤外特殊光で励起された蛍光による画素値154が算出される。
【0097】
これらの処理を視覚的に表すと、図12〜図16に示すようになる。図12に示すように、DIP42は、まず、第1画像データ101のB画素だけを抜き出して、第1画像データ101の青色の画像成分である第1青色画像データ161を中間的に生成する。同時に、DIP42は、第2画像データ102のB画素だけを抜き出して、第2画像データ102の青色の画像成分である第2青色画像データ162を中間的に生成する。
【0098】
そして、通常光画像生成部51は、こうして生成された第1青色画像データ161を、通常光に含まれる青色光だけによって撮像された場合と同様の画像データ(以下、通常青色画像データという)として出力する(ステップS11)。また、特殊光画像生成部52は、第1青色画像データ161から、第2青色画像データ162を第1白色光透過領域71による通常光と第2白色光透過領域72による通常光の照明光量の比に応じて演算したものを差し引くことにより、青色特殊光だけで撮像された場合と同様の画像データ164(以下、特殊青色画像データという)を生成する(ステップS12)。
【0099】
同様に、図13に示すように、DIP42は、第1画像データ101のG画素だけを抜き出して、第1画像データ101の緑色の画像成分である第1緑色画像データ171を中間的に生成する。同時に、DIP42は、第2画像データ102のG画素だけを抜き出して、第2画像データ102の緑色の画像成分である第2緑色画像データ172を中間的に生成する。
【0100】
通常光画像生成部51は、こうして生成された第1緑色画像データ171を、通常光に含まれる緑色光だけにより撮像された場合と同様の画像データ(以下、通常緑色画像データという)として出力する(ステップS21)。また、特殊光画像生成部52は、第2緑色画像データ172から、第1緑色画像データ171を第1白色光透過領域71による通常光と第2白色光透過領域72による通常光の照明光量の比に応じて演算したものを差し引くことにより、緑色特殊光だけで撮像された場合と同様の画像データ174(以下、特殊緑色画像データという)を生成する(ステップS22)。
【0101】
さらに、図14に示すように、DIP42は、第1画像データ101のR画素だけを抜き出して、第1画像データ101の赤色の画像成分である第1赤色画像データ181を中間的に生成する。同時に、DIP42は、第2画像データ102のR画素だけを抜き出して、第2画像データ102の赤色の画像成分である第2赤色画像データ182を中間的に生成する。
【0102】
通常光画像生成部51は、こうして生成された第1赤色画像データ181を、通常光に含まれる赤色光だけによって撮像された場合と同じ画像データ(以下、通常赤色画像データという)として出力する(ステップS31)。また、特殊光画像生成部52は、第2赤色画像データ182から、第1赤色画像データ181を第1白色光透過領域71による通常光と第2白色光透過領域72による通常光の照明光量の比に応じて演算したものを差し引くことにより、赤外特殊光で励起された蛍光だけで撮像された場合と同様の画像データ184(以下、特殊赤色画像データ)を生成する(ステップS32)。
【0103】
こうして通常光画像及び特殊光画像の生成に必要な各種画像データ161,164,171,174,181,184を生成すると、図15に示すように、通常光画像生成部51は通常青色画像データ161、通常緑色画像データ171、通常赤色画像データ181を合成することにより、フルカラーの通常光画像191を生成する(ステップS41)。
【0104】
さらに、図16(A)〜(C)に示すように、特殊光画像生成部52は、特殊青色画像データ164,特殊緑色画像データ174,特殊赤色画像データ184を、各々設定に応じた適切な割合で通常光画像191に重畳することにより、特殊光画像192a〜192cを生成する(ステップS42)。特殊光画像192aは、通常光画像191に特殊青色画像データ164を重畳したものであり、表層血管やピットパターンが強調される。特殊光画像192bは通常光画像191に特殊緑色画像データ174を重畳したものであり、微細血管や発赤等が強調される。特殊光画像192cは通常光画像191に特殊赤色画像データ184を重畳したものであり、深層血管等が強調される。
【0105】
上述のようにして、DIP42によって生成された通常光画像191や特殊光画像192a〜192cのうちいくつかの(あるいは全ての)観察画像は、図17に示すように、モニタ26上に並べて表示される。術者は、これらの観察画像を比較観察しながら、診断や治療を行う。もちろん、通常光画像191のみ、特殊光画像192a〜192cのうち1つのみ、通常光画像191と特殊光画像192a〜192cのうち一つを並べて表示しても良い。
【0106】
以上のように、電子内視鏡システム11は、ロータリーフィルタ62によって照明光を変調しながら第1画像データ101と第2画像データ102を略同時に取得し、これらの画像データ101,102から通常光画像191や特殊光画像192a〜192cといった相互に特徴の異なる観察画像を生成する。このため、電子内視鏡システム11は、被写体の動きに影響されず、全く同じ状態の被写体に対して、通常光画像191と特殊光画像192a〜192cを同時に取得することができる。また、電子内視鏡システム11は通常光画像191と特殊光画像192a〜192cを同時に取得できるので、これらの観察画像を相互に比較観察することができる。このため、電子内視鏡システム11では、短時間に検査や診察を行うことができるとともに、被検者や術者の負担を軽減することができる。さらに、診断の正確性も高まる。
【0107】
なお、第1白色光透過領域71と第2白色光透過領域72の透過光量は任意に定めることができる。但し、撮像素子31の各画素に蓄積することのできる信号電荷量には限度があるので、各画素の信号電荷の飽和を防止するために、上述の実施形態のように、通常光と特殊光を重ねて照射する撮像期間では、通常光の照射光量が小さくなっていることが好ましい。
【0108】
なお、上述の実施形態では、ロータリーフィルタ62の第1区画81には、第1白色光透過領域71、青色光透過領域73、第1遮光フィルタ77が設けられ、第2区画83に第2白色光透過領域72、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76、第2遮光フィルタ78が設けられているが、ロータリーフィルタ62に設ける白色光透過領域や選択的透過領域の配置や種類はこれ限らない。
【0109】
例えば、図18に示すロータリーフィルタ201のように、第1区画81に、第1遮光フィルタ77と第1白色光透過領域202(中心角θ3)を回転方向82に沿って設け、第2区画83に、第2遮光フィルタ78、赤外光透過領域76、緑色光透過領域74、青色光透過領域73、第2白色光透過領域203(中心角θ4)を、回転方向82に沿って順に設けても良い。また、遮光フィルタ77,78が撮像素子31の読み出しのタイミングに同期して、光源61からの照明光を遮光する配置となっていれば、第1区画81や第2区画83内での各選択的透過領域や白色光透過領域の配置は互いに入れ替えても良い。また、同じ区画内で、白色光透過領域,青色光透過領域,白色光透過領域の順にするなど、白色光透過領域や選択的透過領域を2つに分割するなどしても良い。
【0110】
なお、上述の実施形態では、2回の撮像に対してロータリーフィルタ62が1回転する例を説明したが、これに限らず、3回以上の撮像に対してロータリーフィルタ62が1回転するようにしても良い。この場合、ロータリーフィルタ62の1回転のうちに取得される複数の画像データの全てを用いて、通常光画像191や特殊光画像192a〜192cを生成しても良いし、ロータリーフィルタ62が1回転するうちに取得される複数の画像データのうち、一部を用いて通常光画像191や特殊光画像192a〜192cを生成するようにしても良い。但し、データの同時性が失われない程度が好ましい。
【0111】
また、上述の実施形態では、第1白色光透過領域71及び第2白色光透過領域72を透過する光の波長帯は、480nm以上750nm以下となっているが、これに限らず、白色光透過領域は、より短波長の光を透過したり、より長波長の光を透過したり、各種特殊光の波長帯を含むようにさらに広範囲の波長帯を透過するようにしても良い。
【0112】
なお、上述の実施形態では、ロータリーフィルタ62に設けられた白色光透過領域,選択的透過領域,遮光フィルタは、中心角度と透過率の積によって実際の透過光量を調節しているが、これに限らず、白色光透過領域71,72や青色光透過領域73、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76をいずれも同じ中心角範囲に設け、透過率だけを調節することで、各種照明光の実効的な照射光量を調節するようにしても良い。逆に、透過率を統一して、扇形区画の面積だけを違えても良い。
【0113】
なお、上述の実施形態では、青色光透過領域73、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76の各々の透過率や透過光量は、撮像に十分な光量が得られる範囲内で各々任意に定めることができる。
【0114】
なお、上述の実施形態では、遮光フィルタ77,78が、読出期間93,98に合致する中心角ωとなるように設けられているが、これに限らず、通常光や各種特殊光で十分な露光量が得られれば、上述の実施形態よりも大きな中心角範囲の遮光フィルタを設けても良い。また、メカニカルシャッタや、撮像素子31の電子シャッタによって十分な遮光性を得られるときには、ロータリーフィルタ62に遮光フィルタ77,78を設けなくても良い。
【0115】
なお、上述の実施形態では、各種特殊光を選択的に透過する選択的透過領域として、ロータリーフィルタ62には青色光透過領域73、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76を設ける例を説明したが、これに限らず、他の特殊光を選択的に透過させる選択的透過領域をロータリーフィルタ62に備えても良い。例えば、コラーゲン等の自家蛍光を利用して肥厚等を観察するために、波長600nm近傍の特殊光を選択的に透過する選択的透過領域をロータリーフィルタ62に設けても良い。
【0116】
なお、上述の実施形態では、光源61としてキセノンランプ等の白色の高輝度光源を単独で用いるが、撮像に必要な波長帯の照明光を発することができれば、複数の光源を複合的に用いたり、切り替え自在に用いるようにしても良い。また、ガスランプに限らず、LEDやレーザーダイオード等の周知の光源を用いても良い。また、光源61は、白色の照明光を発するが、赤‐緑錐体の視感度の重なりを利用して擬似的に白色を実現する光源を用いても良い。
【0117】
なお、上述の実施形態では、青色特殊光によって陥凹や隆起を撮像する例を説明したが、これに限らず、これらの構造は、波長500nm近傍の光で観察することもできるので、画素値134を取り出すことによってこれらを観察するようにしても良い。
【0118】
なお、上述の実施形態では、特殊光画像192a〜192cを生成するときに、通常光画像191に各種特殊光による画像データ164,174,184を重畳するが、これに限らず、各種特殊光による画像データ164,174,184だけを適切な比率で互いに重畳することで特殊光画像192a〜192cを生成するようにしても良い。
【0119】
なお、上述の実施形態では、特殊光画像192a〜192cを生成するときに、通常光画像191に各種特殊光による画像データ164,174,184をそのまま重畳するが、これに限らず、各種特殊光による画像データ164,174,184を重畳するときに、これらの各種特殊光による成分を他の色に変換してから通常光画像191に重畳して、上述の実施形態とは配色の異なる特殊光画像192a〜192cを生成するようにしても良い。
【0120】
なお、上述の実施形態では、通常光画像191に各種特殊光による画像データ164,174,184を各々重畳して特殊光画像192a〜192cを生成するが、これに限らず、各種特殊光による画像データ164,174,184のうちいくつかを適当な比率で通常光画像191に重畳することにより、各種特殊光で観察される複数の観察部位が同時に強調された特殊光画像を生成するようにしても良い。
【0121】
なお、上述の実施形態では、いわゆる線順次方式でフルカラーの画像を取得する例を説明したが、本発明を面順次式でフルカラーの画像を取得する電子内視鏡システムに適用しても良い。
【0122】
なお、上述の実施形態では、通常光による画素値を算出し、これを利用して特殊光による画素値を算出する例を説明したが、第1画像データ101や第2画像データ102から通常光による画素値や特殊光による画素値を算出する計算の手順は、上述の実施形態の例に限らない。例えば、先に特殊光による画素値を算出し、これを用いて通常光による画素値を算出するようにしても良い。
【0123】
なお、上述の実施形態では、生体内を観察する電子内視鏡システム11を例に説明したが、観察する対象はこれに限らず、配管やトンネル構造等を損傷せずに内部から観察する観察装置等にも本発明を好適に用いることができる。
【0124】
なお、上述の実施形態では、第1白色光透過領域71は、扇形の領域内が全て白色光を透過する領域となっているが、これに限らず、白色光を透過する領域は、第1白色光透過領域71に各々割り当てられた扇形の領域の一部分であっても良い。例えば、第1白色光透過領域71に割り当てられた扇形の領域のうち、ロータリーフィルタ62の外周に沿った帯状の部分だけが白色光を透過するようにしても良い。このことは、第2白色光透過領域72についても同様である。また、青色光透過領域73、緑色光透過領域74、赤外光透過領域76についても、各色の特殊光を透過する領域は各色光透過領域73,74,76に割り当てられた扇形の領域の一部分であっても良い。さらに、第1遮光フィルタ77、第2遮光フィルタ78についても、照明光を遮光する領域は、これらに割り当てられた扇形の領域の一部分であっても良い。
【0125】
なお、上述の実施形態では、撮像素子31にはRGB3色のカラーフィルタが画素毎に配置され、DIP42が観察画像を生成するときには、RGBの基本色毎の成分を抜き出す例を説明したが、撮像素子31にはイエロー、シアン、マゼンタの3色(あるいは、これにグリーンを加えた4色)の補色系カラーフィルタを画素毎に配置し、DIP42が観察画像を生成するときには、イエロー、シアン、マゼンタ(、グリーン)の各色成分を抜き出して比較、演算するようにしても良い。
【0126】
なお、上述の実施形態では、光源装置14は、ロータリーフィルタ62を用いて種々の照明光を発生するが、これに限らず、発生する光の波長帯が異なるLEDやLD等の周知光源を複数組み合わせて光源61を構成することにより、ロータリーフィルタ62を用いずに上述の実施形態のような種々の照明光を発生するようにしても良い。また、この場合、上述の実施形態のように、通常光や各種特殊光が順に被写体に照射されるようにしても良いし、上述の実施形態とは異なり、種々の照明光を順に照射するのではなく、通常光や各種特殊光を同時に被写体に照射するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す外観図である。
【図2】電子内視鏡システムの電気的、光学的構成を示すブロック図である。
【図3】ロータリーフィルタの構成を示す説明図である。
【図4】撮像素子とロータリーフィルタの駆動タイミングを示す説明図である。
【図5】電子内視鏡システムで取得される画像データを示す説明図である。
【図6】取得した画像データから観察画像を生成する手順を示すフローチャートである。
【図7】波長に対する撮像素子の感度を示すグラフである。
【図8】各撮像期間における照明光の光量を示す説明図である。
【図9】第1画像データと第2画像データのB画素の画素値から、通常光による画素値と青色特殊光による画素値を各々算出する様子を示す説明図である。
【図10】第1画像データと第2画像データのG画素の画素値から、通常光による画素値と緑色特殊光による画素値を各々算出する様子を示す説明図である。
【図11】第1画像データと第2画像データのR画素の画素値から、通常光による画素値と、赤外特殊光により励起された蛍光による画素値を各々算出する様子を示す説明図である。
【図12】DIPが通常青色画像データと特殊青色画像データを中間的に生成する様子を示す説明図である。
【図13】DIPが通常緑色画像データと特殊緑色画像データを中間的に生成する様子を示す説明図である。
【図14】DIPが通常赤色画像データと特殊赤色画像データを中間的に生成する様子を示す説明図である。
【図15】通常光画像生成部がフルカラーの通常光画像を生成する様子を示す説明図である。
【図16】特殊光画像生成部が特殊光画像を生成する様子を示す説明図である。
【図17】通常光画像と特殊光画像が同時にモニタ表示される様子を示す説明図である。
【図18】ロータリーフィルタの変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0128】
11 電子内視鏡システム
12 電子内視鏡
13 プロセッサ装置
14 光源装置
31 撮像素子
33,41,63 CPU
42 DIP
43 DSP
51 通常光画像生成部
52 特殊光画像生成部
61 光源
62,201 ロータリーフィルタ
71,202 第1白色光透過領域
72,203 第2白色光透過領域
73 青色光透過領域
74 緑色光透過領域
76 赤外光透過領域
77 第1遮光フィルタ
78 第2遮光フィルタ
101 第1画像データ
102 第2画像データ
161 第1青色画像データ
162 第2青色画像データ
163 通常青色画像データ
164 特殊青色画像データ
171 第1緑色画像データ
172 第2緑色画像データ
173 通常緑色画像データ
174 特殊緑色画像データ
181 第1赤色画像データ
182 第2赤色画像データ
183 通常赤色画像データ
184 特殊赤色画像データ
191 通常光画像
192 特殊光画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を光電変換することにより、前記被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による全ての撮像で白色光により前記被写体を照明するとともに、連続した複数の撮像のうち少なくとも1度は、前記白色光に加えて、ある波長を中心として前記撮像素子の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯の特殊光により前記被写体を照明する照明手段と、
前記照明手段で照明しながら前記撮像手段により連続して撮像された複数の画像データから、相互に特徴の異なる複数の観察画像を生成する観察画像生成手段と、
を備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
前記観察画像生成手段は、複数の前記画像データから色毎の画像成分を抜き出して演算することにより前記観察画像を生成することを特徴とする請求項1記載の電子内視鏡システム。
【請求項3】
前記観察画像生成手段は、前記観察画像として、前記白色光だけを前記被写体に照射して撮像したときに得られる白色光画像を生成することを特徴とする請求項1または2記載の電子内視鏡システム。
【請求項4】
前記観察画像生成手段は、前記観察画像として、前記特殊光の波長帯に対応して前記被写体の所定部位が強調された特殊光画像を生成することを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
前記白色光は、500nmよりも長く750nmよりも短い波長帯の光を含み、450nmより短い波長帯の光は500nmの波長の光の光量の1/10以下、780nmより長い波長帯の光は750nmの波長の光の光量の1/10以下であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の電子内視鏡システム。
【請求項6】
前記特殊光は、450、500、550、600、または780nm近傍のいずれかに中心波長を有するものであることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の電子内視鏡システム。
【請求項7】
全ての撮像で白色光により被写体を照明するとともに、連続した複数回の撮像のうち少なくとも1度は、前記白色光に加えて、ある波長を中心として撮像素子の画素が感応する波長帯よりも狭い波長帯の特殊光により前記被写体を照明して、複数の画像データを取得し、
複数の前記画像データから、相互に特徴の異なる複数の観察画像を生成することを特徴とする観察画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−94153(P2010−94153A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264951(P2008−264951)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】