説明

電子写真感光体用円筒状押出し原管、及びその製造方法、並びに電子写真感光体用円筒状基体の製造方法、並びに電子写真感光体ドラム

【課題】高い寸法精度が要求される高画質のフルカラー画像形成に適し、かつ低コストで製造可能な電子写真感光体用円筒状基体や、その製造に用いられる電子写真感光体用円筒状押出し原管を提供する。
【解決手段】アルミニウムビレットに、押出し加工を行なって得られる電子写真感光体用円筒状押出し原管であって、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または該電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機等の画像形成装置における電子写真感光体ドラムに用いられる電子写真感光体用円筒状基体の製造方法、その電子写真感光体用円筒状基体の製造に用いられる電子写真感光体用円筒状押出し原管及びその製造方法、並びに上記電子写真感光体用円筒状基体を用いた電子写真感光体ドラムに関するものである。詳しくは、高い基体寸法精度が要求される、フルカラー画像形成に適した電子写真感光体用円筒状基体の製造方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、印刷機などの画像形成装置における電子写真感光体ドラムは、所定の表面粗さに仕上げられた円筒状基体の外表面に感光層を形成することによって製造されている。上記円筒状基体の寸法精度が低いと感光層に凹凸が生じ、画像形成装置で得られる画像に欠陥が生じる。また特に、複数色の重ね合わせで形成されるフルカラー画像形成において、ムラや色ズレ、解像度不足が生じやすいことが知られており、電子写真感光体ドラムに用いられる円筒状基体の寸法精度を高めることが望まれている。
【0003】
一般に、上記電子写真感光体ドラム用の円筒状基体の素材として、アルミニウムが用いられている。アルミニウム製の電子写真感光体用の円筒状基体の一般的な製造方法としては、アルミニウム材を押出し加工後、引抜き加工を施し、さらに得られたパイプを所定の長さに切断して、外表面をダイヤモンドバイト等の切削工具を用いて切削仕上げする技術が用いられている。
【0004】
しかしながら、このようにして得られた電子写真感光体ドラム用の円筒状基体は、製造時の工程数が多く、また工程が煩雑であること等から、コストが高い傾向にある。そこで例えば、切削仕上げすることなく、アルミニウム製の押出し原管の表面をしごき加工により仕上げた円筒状基体(EI管)や、アルミニウム製の押出し原管を冷間引抜き加工した円筒状基体(ED管)等が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また前記アルミニウム材の押出し原管の製造方法として、円柱状のアルミニウム原体であるアルミニウムビレットを、ポートホールダイスを用いて押し出す加工方法(例えば特許文献2参照)も用いられている。しかしながらポートホールダイスを用いた押出し加工だけでは、通常、薄肉で高精度の円筒状基体が得られないため、例えば特許文献3及び4に記載されているように、ポートホールダイスを用いた押出し加工により得られた押出し原管に、さらに押出しより高精度に加工可能であるとされる冷間引抜き加工が行なわれている。
【0006】
しかしながら、上記ポートホールダイスを用いて加工された押出し原管の断面形状が不均一な場合等、押出しの際の変形力が一部残留応力として押出し原管中に蓄積され、冷間引抜き加工を行なう際等に、その残留応力が解放されて加工部の寸法精度が低下することが指摘されており(例えば特許文献4参照)、上記方法では、高精度の電子写真感光体用の円筒状基体が得られなかった。
【特許文献1】特開平05−313394号公報
【特許文献2】特開平08−30002号公報
【特許文献3】特開平09−244286号公報
【特許文献4】特開平11−160901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の押出し原管を用いた場合、押出し原管の偏肉や残留応力によって、引抜き加工等を施した後の円筒状基体の真直度(直線形体の幾何学的に正しい直線との一致性)が低下することが知られている。そこで、例えば上記押出し原管を冷間引抜き加工し、さらに外面の切削を行う方法等も提案されている(特許文献4参照)。しかしながらこの方法では、工程数が増え、コストが増大するため、さらなる改良が望まれている。
【0008】
そこで、例えば押出し原管自体を改良することが考えられるが、加工後の寸法精度が良好なアルミニウム材の押出し原管を得る方法や、加工後の寸法精度が良好となる押出し原管の形状等については、上記特許文献4を含めて開示がないのが現状であり、高い寸法精度が要求されるフルカラー画像形成等に適した電子写真感光体ドラムを低コストで製造することは困難であった。
【0009】
以上のことから高い寸法精度が要求される高画質のフルカラー画像形成に適し、かつ低コストで製造可能な電子写真感光体用円筒状基体や、その製造に用いられる電子写真感光体用円筒状押出し原管の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、電子写真感光体用円筒状押出し原管として、外面や内面に、凹部あるいは凸部を有するものとした場合、一般的な滑らかな円筒形状の電子写真感光体用円筒状押出し原管と比較して、後工程で残留応力等によって寸法精度が低下することが少ないことを見出し、この電子写真感光体用円筒状押出し原管を用いて寸法精度を良好に、かつ低コストで電子写真感光体ドラムを製造可能であることを知得し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の要旨は、アルミニウムビレットに、押出し加工を行なって得られる電子写真感光体用円筒状押出し原管であって、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または該電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有することを特徴とする電子写真感光体用円筒状押出し原管に存する(請求項1)。
【0012】
またこの際、複数の該凹部または該凸部が該電子写真感光体用円筒状押出し原管の中心軸を中心として、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の外面に等角度に形成されている、または内面に等角度に形成されていることが好ましい(請求項2)。
【0013】
さらに、該凹部及び該凸部の数の合計が、3以上であることが好ましく(請求項3)、該凹部及び該凸部から選ばれる少なくとも一方の、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の周方向断面の形状が、矩形、三角形、及び半円形のいずかであることが好ましい(請求項4)。
【0014】
また該凹部及び該凸部から選ばれる少なくとも一方の幅が、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内径の1/10以上、1/5以下であることが好ましく(請求項5)、さらに該凹部の深さ及び該凸部の高さから選ばれる少なくとも一方が、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の肉厚の1/10以上、1/4以下であることが好ましい(請求項6)。
【0015】
また、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面のみに、該凹部または該凸部を1つ以上有することが好ましく(請求項7)、さらに該凹部のみを1つ以上有することが好ましい(請求項8)。
【0016】
本発明の第2の要旨は、ポートホールダイスを用いた押出し加工法により、アルミニウムビレットから電子写真感光体用円筒状押出し原管を製造する方法であって、ベアリング部及びポートホール出口部から選ばれる少なくとも一方に、直線状に形成された凹部を1つ以上、または直線状に形成された凸部を1つ以上有する該ポートホールダイスを用いることを特徴とする電子写真感光体用円筒状押出し原管の製造方法に存する(請求項9)。
【0017】
また本発明の第3の要旨は、アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する円筒状押出し原管を得る押出し加工工程と、該円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程と、該切断加工工程後、該円筒状押出し原管の外表面を切削する切削工程と、該切削工程後、しごき加工するしごき加工工程とを有することを特徴とする電子写真感光体用円筒状基体の製造方法に存する(請求項10。)
【0018】
本発明の第4の要旨は、アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する円筒状押出し原管を得る押出し加工工程と、該円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程と、該切断加工工程後、冷間引抜き加工する冷間引抜き加工工程とを有することを特徴とする電子写真感光体用円筒状基体の製造方法に存する(請求項11)。第3と第4の要旨に係る製造方法においては、該しごき加工工程または該冷間引抜き工程後、切削加工、ホーニング加工、ブラスト加工、その他の粗面化処理、またはこれらの組合わせにより、該円筒状押出し原管の外表面を除去または粗面化する工程を有していてもよい(請求項12)。
【0019】
本発明の第5の要旨は、上述したいずれかの電子写真感光体用円筒状基体の製造方法により製造された該電子写真感光体用円筒状基体と、該電子写真感光体用円筒状基体上に形成された有機感光層とを有し、該電子写真感光体用円筒状基体の外径がφ40mm未満であることを特徴とする電子写真感光体ドラムに存する(請求項13)。
該電子写真感光体ドラムは、該電子写真感光体用円筒状基体と該有機感光層との間に下引き層を有していてもよい(請求項14)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子写真感光体用円筒状押出し原管を加工して電子写真感光体用円筒状基体を製造する際、残留応力等により寸法精度が低下することが少なく、少ない処理工程で、高精度に製造することができる。したがって、低コストで、フルカラー画像形成に適した電子写真感光体ドラムを製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に例示する物や方法等は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの内容に限定はされない。
【0022】
A.電子写真感光体用円筒状押出し原管
本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管は、アルミニウムビレットに、押出し加工を行なって得られるものである。本発明においては、この電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面のみ、外面のみ、または内面及び外面の両面に、電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凹部(以下、単に「凹部」と言う場合がある。)、あるいは電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凸部(以下、単に「凸部」と言う場合がある。)を有することを特徴とする。すなわち本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管は、内面のみまたは外面のみに、凹部のみを1つ以上有するものであってもよく、凸部のみを1つ以上有するものであってもよい。またこれらを組み合わせたもの、すなわち内面及び外面の両面に、凹部あるいは凸部をそれぞれ有するものであってもよい。両面に凹部あるいは凸部を有する場合、内面に形成される凹部や凸部の数、その種類、形状等と、外面に形成される凹部や凸部の数、その種類、形状等とは、一致していてもよく、また異なっていてもよい。
【0023】
ここで、本発明でいう凹部とは、電子写真感光体用円筒状押出し原管と同一の外径及び内径を有する円柱状の円管と比較して窪んでいる部分をいう。すなわち外面に形成された凹部とは、上記円柱状の円管と比較して、外面から内面側に窪んでいる領域をいい、内面に形成された凹部とは、上記円柱状の円管と比較して、内面から外面側に窪んでいる領域をいう。一方、凸部とは、上記円柱状の円管と比較して張り出している部分をいう。すなわち、外面に形成された凸部とは、上記円柱状の円管と比較して、外面から円心とは反対方向に張り出している領域をいい、内面に形成された凸部とは、内面から円心方向に張り出している領域をいう。
【0024】
従来、押出し原管の断面形状が不均一である場合には、押出し時に原管内に蓄積される残留応力が、その後の加工時に開放されて、加工部の寸法精度が低下するとされていた。しかしながら、本発明においては、上記凹部や凸部を電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面または外面のいずれか一方、あるいは両面に有するものとすることにより、例えばしごき加工や引抜き加工等、その後の加工を行なう際に残留応力の影響を少ないものとし、形成される電子写真感光体用円筒状基体の真直度を高いものとすることができる。本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管を加工した電子写真感光体用円筒状基体の真直度が改善される理由は明確ではないが、以下のように推測される。
【0025】
上述したように、従来の押出し原管では原管内部に残留応力(例えば引張応力や圧縮応力等)が残存しており、例えばしごき加工や引抜き加工等の後工程で、これらが開放されることにより、素管の曲がり、反りが現出し、得られる素管の真直度が低下するともの考えられる。一方、本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管では、予め電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面あるいは外面の長手方向に、直線状に凹部あるいは凸部が設けられているため、後工程で開放される残留応力がこれらの凹部あるいは凸部の加工によって生じる応力に吸収・相殺され、真直度に影響を及ぼさないものと考えられる。
【0026】
(凹部及び凸部)
本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面及び外面には、長手方向に直線状に凹部あるいは凸部が形成される。本発明において、電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面及び外面に形成される、凹部及び凸部の合計の数は1であってもよいが、通常2以上であり、好ましくは3以上である。また通常、片面、すなわち内面または外面のいずれか一方の面に形成される凹部及び凸部の合計の数は、通常1以上であり、好ましくは3以上である。
【0027】
電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面または外面に1つのみ、凹部もしくは凸部が形成されている場合においては、材料内にもともと存在する残留応力と凹部または凸部が加工されて発生する応力とをつりあうものとすることにより、電子写真感光体用円筒状押出し原管を加工した際の寸法精度が良好となる。また、上記凹部や凸部の総数が2以上である場合には、電子写真感光体用円筒状押出し原管を作製する製造装置が複雑化することもあるが、本発明の効果をより得やすい。
【0028】
また、上記電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成される複数の凹部あるいは凸部は、本発明の目的及び効果を損なわない限り、電子写真感光体用円筒状押出し原管の長さ方向の端から端まで形成されていなくてもよいが、中でも、電子写真感光体用円筒状押出し原管の長さ方向の端から端まで直線的に形成されることが好ましい。これにより、電子写真感光体用円筒状押出し原管の任意の断面で、本発明の効果が均一に発揮され、電子写真感光体用円筒状基体の真直度が安定する。電子写真感光体用円筒状押出し原管の長さは、その後の加工率にもよるが通常20mm以上であり、好ましくは40mm以上である。また通常50mm以下である。
【0029】
また、上記凹部あるいは凸部の電子写真感光体用円筒状押出し原管の周方向断面の形状は、本発明の効果、及び目的を損なわない限り特に制限はないが、通常、矩形、三角形、または半円形のいずかであることが加工性の面から好ましく、これらが組み合わされて形成されていてもよい。本発明においては上記の中でも特に矩形が好ましい。
【0030】
本発明においては、複数の凹部あるいは凸部が外面に形成されている場合、これらが電子写真感光体用円筒状押出し原管の中心軸を中心として、等角度に形成されていることが好ましく、また複数の凹部あるいは凸部が内面に形成されている場合にも、これらが電子写真感光体用円筒状押出し原管の中心軸を中心として、等角度に形成されていることが好ましい。また複数の凹部あるいは凸部が両面に形成されている場合には、外面に形成された複数の凹部あるいは凸部が、電子写真感光体用円筒状押出し原管の中心軸を中心として等角度に形成されており、さらに内面に形成された複数の凹部あるいは凸部が、電子写真感光体用円筒状押出し原管の中心軸を中心として等角度に形成されていることが好ましい。
【0031】
本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管は、通常凹部や凸部を平滑化して電子写真感光体用円筒状基体とされる。ここで、凹部や凸部が平滑化された電子写真感光体用円筒状基体では、凹部や凸部が形成されていた領域の残留応力の方向が他の部位と異なる。したがって、上記凹部や凸部を外面に等間隔に配置、または内面に等間隔に配置することにより、残留応力の方向が異なる部位をそれぞれ外面や内面に等間隔に配置することができるため、得られる電子写真感光体用円筒状基体の真直性が優れたものとなる。
【0032】
また、上記凹部及び凸部のそれぞれの幅は、電子写真感光体用円筒状押出し原管の内径の1/10以上であることが好ましく、また1/8以上であることがより好ましい。また通常、1/5以下であることが好ましい。幅が上記範囲より広い場合、及び狭い場合のいずれの場合においても、上記凹部及び凸部の、電子写真感光体用円筒状押出し原管への応力の影響が弱くなり、電子写真感光体用円筒状押出し原管を加工して得られる電子写真感光体用円筒状基体の真直度を良好なものとする効果が少なくなる傾向がある。
【0033】
また、上記凹部の深さ、及び凸部の高さが、それぞれ電子写真感光体用円筒状押出し原管の肉厚の1/10以上であることが好ましく、また1/8以上であることが好ましい。また通常、1/4以下であることが好ましく、より好ましくは1/5以下である。上記凹部の深さが深すぎると、加工時に電子写真感光体用円筒状押出し原管が破断しやすくなり、また浅すぎると電子写真感光体用円筒状押出し原管への応力の影響が弱くなり、真直度を良好なものとする効果が少なくなる傾向がある。また、上記凸部の高さが高すぎるとしごき加工や冷間引抜加工の際にダイスや中子内に電子写真感光体用円筒状押出し原管が入りにくくなって加工が出来ない場合があり、また低すぎると電子写真感光体用円筒状押出し原管への応力の影響が弱くなり、真直度を良好なものとする効果が少なくなる傾向がある。
【0034】
ここで、本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管には、内面のみに凹部あるいは凸部が形成されていてもよく、また外面のみに凹部あるいは凸部が形成されていてもよく、また両面に凹部あるいは凸部が形成されていてもよいが、特に、内面にのみ凹部あるいは凸部が形成されていることが好ましい。本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管は、通常、しごき工程、または冷間引抜き加工工程等により、凹部や凸部を平滑化して電子写真感光体用円筒状基体とされ、その外面上に感光層を形成して電子写真感光体ドラムとされる。そこで、電子写真感光体用円筒状押出し基体の外面には、凹部や凸部の加工跡がないことが、感光層の塗布性等の面から好ましい。
【0035】
また、上記電子写真感光体用円筒状押出し原管には、凹部のみが形成されてもよく、また凸部のみが形成されていてもよく、凹部及び凸部の両方が形成されていてもよいが、本発明においては中でも、凹部のみが形成されていることが好ましい。凹部のみが形成されている場合、電子写真感光体用円筒状押出し原管をしごき工程や冷間引抜き加工工程で、管内面に挿入される中子の外径と同軸精度良く位置合わせすることが容易となるからである。
【0036】
(アルミニウムビレット)
本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管の材料であるアルミニウムビレットの材質は、アルミニウムを主体とするものであればいずれであってもよく、その質別、径、断面積等は、適宜選択される。ただし、材質の種類が、得られる電子写真感光体用円筒状押出し原管や、これを加工した電子写真感光体用円筒状基体等の精度に直結する場合があるため、材質の強度や加工性を総合的に勘案して選択することが好ましい。
【0037】
好ましいアルミニウムビレットとしては、例えば、JIS H4100−2006に定められる合金番号1050等に代表される1000番系等の純度の高いアルミニウム、合金番号3003等に代表される3000番系等のMn系合金、合金番号5052等に代表される5000番系等のMg系合金、合金番号6063等に代表される6000番系等のMg−Si系合金等が挙げられる。
上記の中でも合金系のものが好ましく、特に、電子写真感光体用円筒状押出し原管から無切削で電子写真感光体用円筒状基体とする場合には、引張強さが小さく、加工性がよいことから3000番系の合金番号のものを用いるのが好ましい。
【0038】
(製造方法)
本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管の製造方法は、本発明の効果及び目的を損なわない限り、制限はない。例えばアルミニウムビレットを押出し加工した後に、押出し原管の内面あるいは外面の長手方向に1つまたは複数の凹部あるいは凸部を、種々の加工法により形成してもよい。また後述する、凹部や凸部が所定の位置に設けられたポートホールダイスを用い、押出し加工時に1つまたは複数の凹部あるいは凸部を形成する方法であってもよい。特に製造効率の面からは、後者が好ましい。
【0039】
一般的なポートホールダイスを用いて、電子写真感光体用円筒状押出し原管を製造する方法としては、例えば下記の方法とすることができる。図1は、本発明に用いるポートホールダイスを用いる押出し加工装置の一例を示す横断面図である。図1に例示する押出し加工装置は、円筒状のコンテナー1と、ポートホールダイス2を組み込んだダイリング3を有しており、押出し加工されるアルミニウムビレットは図中右側からこのコンテナー1内を搬送され高温度下、高圧力下でポートホールダイスを通過したあと図中左に搬送される。
【0040】
図2は従来の一般的なポートホールダイス2の雄型を出口側から見た断面図であり、図3はそのA−A横断面図である。ポートホールダイス2には、短軸円柱体に、略三角形をした入口ポートホール4が所定の数、好ましくは3以上設けられており、各ポートホールを仕切る仕切り支持部7が設けられている。アルミニウムビレットは分離してこのポートホール入口5から流入した後、ポートホール出口6とベアリング部8との小さな間隙を通じて圧接結合して薄肉円筒状の押し出し原管として押し出される。その後、この押出し原管に切削加工を行なうことにより、凹部や凸部を形成する。
【0041】
一方、凹部や凸部が所定の位置に設けられたポートホールダイスを用い、押出し加工時に、凹部あるいは凸部を形成する方法としては、下記の方法とすることができる。例えば図1に示した加工装置に、図4〜6に示すような、ベアリング部8またはポートホール出口6のいずれか一方、またはその両方に直線状に形成された凹部あるいは凸部を有するポートホールダイス2を用い、アルミニウムビレットを押出し加工する方法とする。なお、凹部あるいは凸部が直線状に形成されているとは、ポートホールダイス2の長手方向に直線状に形成されていることをいう。また、上記ポートホールダイス2に形成される凹部あるいは凸部の種類や位置、形状、数等は、目的とする電子写真感光体用円筒状押出し原管の形状に合わせて適宜選択され、上述した電子写真感光体用円筒状押出し原管の凹部あるいは凸部に対応したものとされる。
【0042】
図4、図5、及び図6はいずれもベアリング部8に凸部を設けたポートホールダイスの雄型を出口側から見た断面図である。例えばベアリング部8に凹部や凸部を設けた場合、電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面に、対応する凹部や凸部を形成することが可能であり、またポートホール出口6に凹部や凸部を設けた場合、電子写真感光体用円筒状押出し原管の外面に、対応する凹部や凸部を形成することが可能である。またベアリング部8及びポートホール出口6にそれぞれ凹部あるいは凸部を設けた場合、電子写真感光体用円筒状押出し原管の外面及び内面にそれぞれ対応する凹部あるいは凸部を形成することが可能である。
【0043】
図4に示されるポートホールダイス2を用いた場合、内面に等角度に配置された、周方向断面の形状が矩形の凹部を4本有する電子写真感光体用円筒状押出し原管が得られ、図5に示されるポートホールダイス2を用いた場合、内面に等角度に配置され、周方向断面の形状が三角形の凹部を4本有する電子写真感光体用円筒状押出し原管が得られる。また図6に示されるポートホールダイス2を用いた場合、内面に等角度に配置された、周方向断面の形状が半円形の凹部を4本有する電子写真感光体用円筒状押出し原管が得られる。なお、ポートホールダイス2の形状は、上記に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を損なわない限り、限定されるものではなく、例えば断面形状が異なる凹部や凸部を、組み合わせたもの等であってもよい。
【0044】
(用途)
本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管は、例えばしごき加工や、冷間引抜き加工等が施されて、所望の形状を有する電子写真感光体用円筒状基体とされ、さらにこの電子写真感光体用円筒状基体上に有機感光層等を形成して電子写真感光体ドラムとされる。
【0045】
電子写真感光体用円筒状押出し原管を加工して得られる電子写真感光体用円筒状基体の種類としては、電子写真感光体用円筒状押出し原管の表面をしごき加工により仕上げたEI管や、電子写真感光体用円筒状押出し原管を冷間引抜き加工することにより得たED管等に代表される無切削管、及び電子写真感光体用円筒状押出し原管に引抜き加工を施した後、外表面を切削仕上げする切削管等が挙げられる。本発明の電子写真感光体用円筒状押出し原管はいずれの用途にも好ましく使用することが可能であるが、特に上記EI管、ED管等の無切削管とする場合に、加工後の真直度を高いものとすることが可能である、という本発明の効果をより活用可能であることから好ましい。
【0046】
B.電子写真感光体用円筒状基体
次に、本発明の電子写真感光体用円筒状基体について説明する。本発明の電子写真感光体用円筒状基体は、押出し加工により、円筒状押出し原管の内面あるいは外面の長手方向に形成される凹部あるいは凸部を有する円筒状押出し原管を得た後、この円筒状押出し原管を加工することにより得られることを特徴とするものである。
【0047】
本発明の電子写真感光体用円筒状基体は、凹部あるいは凸部を有する円筒状押出し原管を加工して得られることから、多数の工程を経ずとも、電子写真感光体用基体の真直度を高いものとすることができる。これは、上述したように、円筒状押出し原管の加工時に開放される残留応力が、上記凹部あるいは凸部に吸収・相殺されることによると考えられる。また本発明の電子写真感光体用円筒状基体は、その真直度が高いことから、例えば表面に感光層を形成する際、表面の仕上げ加工なしでも、寸法精度が高いものとすることができ、フルカラー画像形成にも好適なものとすることができる。また製造コストを低廉なものとすることができるという利点も有する。
【0048】
以下、本発明の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法について説明する。なお、電子写真感光体用円筒状基体の製造方法として、以下、代表的な2つの実施態様を挙げて説明するが、本発明の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を損なわない限り、所定の凹部あるいは凸部を有する円筒状押出し原管を加工して製造する方法であれば、本発明に含まれるものとする。
【0049】
(製造方法)
(1)第1の実施態様
本発明の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法の第1の実施態様としては、アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する円筒状押出し原管を得る押出し加工工程と、該円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程と、該切断加工工程後、該円筒状押出し原管の外表面を切削する切削工程と、該切削工程後、しごき加工するしごき加工工程とを有する方法である。
【0050】
<押出し加工工程>
本実施態様における押出し加工工程は、アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面のみ、外面のみ、または内面及び外面の両面に、凹部あるいは凸部を有する円筒状押出し原管を得る工程である。円筒状押出し原管に形成される凹部や凸部の形状、数や、本工程に用いられるアルミニウムビレット、アルミニウムビレットを押出し加工する方法等については、上述した「A.電子写真感光体用円筒状押出し原管」の項で説明したものと同様とすることができる。
【0051】
<切断工程>
上記押出し加工工程後、円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程を行なう。切断加工工程では、円筒状押出し原管を、電子写真感光体用円筒状基体の用途、すなわち電子写真感光体ドラムの種類や形状等に合わせて、適宜目的とする長さに切断する。
【0052】
切断方法としては、円筒状押出し原管を所定の長さに切断することが可能な方法であれば特に限定されず、例えば丸鋸や弓鋸、帯鋸、ロールカッター、レーザー等を使って切断することができる。
【0053】
<切削工程>
上記切断工程後、円筒状押出し原管の外表面を切削する切削工程を行なう。切削加工工程では、円筒状押出し原管の外面を切削し、寸法や表面状態を調整する。
円筒状押出し原管の外面切削には、通常、流体軸受けまたは金属ベアリングなどの一般的な高精度軸受けを用い、振動を極力防止した精密旋盤を用いる。これは切削によって形成される円筒状基体表面の状態が電子写真感光体ドラムの特性に直接影響するためである。外面切削は、例えばダイヤモンド焼結体のバイトを用い、切り込み量、200μm以下程度で行われる。
【0054】
<しごき加工工程>
上記切削工程後、円筒状押出し原管のしごき加工工程を行なう。しごき加工工程は、EI加工により行なうことができる。
【0055】
<その他の工程>
本実施態様の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法においては、上述した各工程の前後、または各工程間、さらには各工程中に、必要に応じて適宜他の工程を有していてもよい。またしごき加工工程後、切削加工、ホーニング加工、ブラスト加工、その他の粗面化処理、またはこれらの組合わせにより、円筒状押出し原管の外表面を除去または粗面化する工程も必要に応じて行なわれる。
【0056】
またしごき加工工程後、円筒状押出し原管の外表面を除去することにより、管の外表面に生じた不均一な厚みを持つ酸化皮膜や強固に付着した油や汚れ、アルミニウム粉や表面傷等を除去することができる。またしごき加工工程後、円筒状押出し原管の外面を粗面化処理することにより、電子写真感光体用円筒状基体として使用した場合に、レーザー光の干渉を防ぐことができる。なお、本発明でいう粗面化とは、表面に物理的に微細な凹凸を周期的またはランダムに構成することをいう。
上記処理を行なう切削加工としては、例えばダイヤモンドバイト等の切削工具を用いて行うことができる。またホーニング加工を行なってもよい。またブラスト加工を行ってもよく、ブラスト加工としては、例えば押出し原管の外表面に砂粒、コランダム、カーボランダム、ガラスビーズ、金属粉などを吹き付けることによって、外表面における表面欠陥を除去し、粗面化する方法が挙げられる。
またその他の粗面化処理として、具体的には研磨剤入り樹脂ブラシ等によるブラッシング加工が挙げられる。
これらの処理は、適宜組み合わせて行なってもよい。
【0057】
(2)第2の実施態様
本発明の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法の第2の実施態様としては、アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する円筒状押出し原管を得る押出し加工工程と、該円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程と、該切断加工工程後、冷間引抜き加工する冷間引抜き加工工程とを有する方法である。
【0058】
本実施態様においては、該冷間引抜き加工工程後、切削加工する切削工程を有していてもよい。
【0059】
なお、本実施態様における押出し加工工程、切断加工工程、及び切削工程については、上述した第1の実施態様と同様の工程とすることができるので、これら以外の工程について以下説明する。
【0060】
<冷間引抜き加工工程>
上記押出し加工工程、及び切断加工工程後、円筒状押出し原管を冷間引抜き加工する冷間引抜き加工工程を行なう。
冷間引抜き加工は、内径側にプラグ、外径側にダイと呼ばれる金型を設置し、内径、外径を同時に引き伸ばす形で行われるが、この内側と外側の加工率のバランスが悪いと、残留応力の原因となる場合がある。通常、冷間引抜き加工後、円筒状押出し原管を所定の長さにそろえるために切断する。
【0061】
<その他の工程>
本実施態様の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法においては、上述した各工程の前後、または各工程間、さらには各工程中に、必要に応じて適宜他の工程を有していてもよい。例えば本実施態様においては、必要に応じて、インロー加工工程を行なうことができる。また冷間引抜き加工工程後、切削加工、ホーニング加工、ブラスト加工、その他の粗面化処理、またはこれらの組合わせにより、円筒状押出し原管の外表面を除去または粗面化する工程も必要に応じて行なわれる。筒状押出し原管の外表面を除去または粗面化する工程については、第1の実施態様で説明した方法と同様とすることができる。
【0062】
インロー加工工程は、素管内側を切削してフランジを装着すべき段部(インロー部)を作る工程である。装着するフランジの外径及び高さに合わせて、削減すべき肉厚及び奥行きが定められ、インロー部が形成される。インロー加工は、同軸度、端面直角度等を高精度にするため、両端同時加工が望ましい。このための機械として、両端加工機が用いられ、素管の外側又は内側をコレットチャックで把持し、素管または刃物を回転して加工する方法が採られている。
【0063】
(好ましい寸法)
上述した製造方法により製造される電子写真感光体用円筒状基体は、寸法精度に優れているため、本発明の電子写真感光体用円筒状基体の外径はφ40mm未満であることが好ましく、φ30mm以下であるのがより好ましく、特に好ましくはφ25mm以下である。また通常φ10mm以上であり、特に好ましくはφ15mm以上である。このような範囲内の外径を有する電子写真感光体用円筒状基体において、寸法精度の影響が現れやすく、本発明の利点を活かすことができる。
【0064】
C.電子写真感光体ドラム
本発明の電子写真感光体ドラムは、上述した電子写真感光体用円筒状基体の製造方法により製造された電子写真感光体用円筒状基体上に、直接、あるいは下引き層を介して有機感光層が形成されたものであり、上記電子写真感光体用円筒状基体の外径がφ40mm未満であることを特徴とする。すなわち、上述した電子写真感光体用円筒状基体上に下引き層を有し、さらにその上に有機感光層が形成された構成であってもよく、また上記電子写真感光体用円筒状基体上に、直接有機感光層が形成された構成であってもよい。
【0065】
本発明によれば、上述した凹部や凸部を有する円筒状押出し原管を加工して製造された電子写真感光体用円筒状基体を用いることから、電子写真感光体用円筒状基体の真直度が高く、また低コストで製造されたものとすることができる。したがって、本発明の電子写真感光体ドラムは、寸法精度が高く、例えばフルカラー画像形成に好適なものとすることができる。
以下、本発明の電子写真感光体ドラムにおける有機感光層、及び下引き層について説明する。
【0066】
(有機感光層)
本発明の電子写真感光体ドラムに形成される有機感光層としては、本発明の効果及び目的を損なわない限り特に制限はなく、例えば電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とから構成される積層型の有機感光層であってもよく、また電荷輸送物質を含有する層中に電荷発生物質を分散させた単層型の有機感光層であってもよい。
【0067】
有機感光層が単層型の場合は、後述する電荷発生物質、電荷輸送物質、結着剤樹脂および溶媒を混合した、単一の塗布液を調製し、上記電子写真感光体用円筒状基体上、または下引き層上に塗布することにより形成することができる。また有機感光層が積層型の場合、電荷発生物質、結着剤樹脂および溶媒を混合した電荷発生層用の塗布液と、電荷輸送物質、結着剤樹脂および溶媒を混合した電荷輸送層用の塗布液とを、別々に調製し、上記電子写真感光体用円筒状基体上、または下引き層上に形成順に応じて塗布することにより形成することができる。本発明において、上記電荷輸送層及び電荷発生層の積層順は特に限定されない。
【0068】
また各塗布液中の各成分の濃度は、公知の方法に従って適宜選択される。固形分の濃度は、主として、形成すべき層の膜厚に応じて決定されるが、例えば単層型の有機感光層を形成する際の塗布液や、積層型の電荷輸送層用の塗布液においては、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下であり、また通常10重量%以上である。またこれらの塗布液の粘度は、通常50cp以上とされ、また通常300cp以下とされる。またさらに有機感光層の乾燥膜厚は、通常15μm以上とされ、通常40μm以下とされる。
【0069】
<電荷発生物質>
例えば有機感光層に用いる電荷発生物質としては、任意の公知の電荷発生物質を1種、または2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー、ジェナスグリーンB等のアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アルゴールイエロー、ピレンキノン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、インドファーストオレンジトナー等のビスベンゾイミダゾール顔料、銅フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩等が挙げられる。
【0070】
<電荷輸送物質>
また電荷輸送物質として、任意の公知の電荷輸送物質を1種、または2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
電荷輸送物質として例えば、主鎖または側鎖に、アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネン等の多環芳香族化合物の骨格またはインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等の含窒素環式化合物の骨格を有する化合物が挙げられる。その他、ヒドラゾン化合物など正孔輸送物質が挙げられる。
【0071】
<結着剤樹脂>
結着剤樹脂としては、任意の公知の結着剤樹脂を1種、または2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
結着剤樹脂として例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリサルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステル等が挙げられる。
【0072】
<溶媒>
溶媒としては、例えば電子写真感光体の製造に通常使用される溶媒が使用される。このような溶媒としては、例えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロルベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これら1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0073】
<塗布方法>
本発明において、前記の各層を形成するための塗布操作は、従来公知の塗布方法に従う。例えば、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ブレードコーティング法等を採用して行うことができる。
【0074】
上記塗布法により塗布膜を形成した後、塗膜を乾燥させるが、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度及び時間を調整することが好ましい。乾燥温度は、高すぎると感光層内に気泡が混入する原因となり、低すぎると乾燥に時間を要し、残留溶媒量が増加して電気特性に影響を与えることがあるため、通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上である。また通常250℃以下、好ましくは170℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
【0075】
(下引き層)
本発明の電子写真感光体ドラムには、上記有機感光層と電子写真感光体用円筒状基体との間に下引き層を有していてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。下引き層には、上記1種類の粒子のみを用いても良く、複数の種類の粒子を任意の比率及び組み合わせで混合して用いても良い。
【0076】
上記金属酸化物粒子の中でも、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。なお酸化チタン粒子は、表面が、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、またはステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物等によって処理されていてもよい。また酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
【0077】
下引き層に用いられる金属酸化物粒子の粒径としては、特に限定されないが、下引き層の特性、および下引き層を形成するための溶液の安定性の面から、平均一次粒径として10nm以上であることが好ましく、また100nm以下、より好ましくは50nm以下である。
【0078】
ここで、下引き層は上記金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成することが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できる。これらは1種単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。上記の中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等が良好な分散性及び塗布性を示すことから好ましい。
【0079】
上記バインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の混合比は任意に選べるが、10重量%から500重量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。また下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、電子写真感光体の特性、および上記分散液の塗布性から通常0.1μm以上、20μm以下とすることが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を含んでいても良い。
【0080】
(その他の層)
また本発明の電子写真感光体ドラムは、上述した電子写真感光体用円筒状基体、有機感光層、及び下引き層以外に必要に応じて適宜他の層を有していてもよく、例えば有機感光層上に電気的、機械的劣化を防止する目的で保護層等を設けてもよい。
【0081】
(電子写真感光体ドラムの用途)
本発明の電子写真感光体ドラムが用いられる画像形成装置の種類等は特に限定されず、公知の画像形成装置に適用することが可能である。本発明の電子写真感光体ドラムは、特に寸法精度に優れていることから、電子写真感光体ドラムに高い寸法精度が要求される、フルカラー画像形成用の画像形成装置に好適に用いることが可能である。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、真直度はJIS B0621−1984に定義されるものであり、その測定は、非接触寸法測定装置(株式会社ミツトヨ製、商品名RA−801)を用いて行った。
なお、以下の説明において「部」は、特にことわらない限り「重量部」を表す。
【0083】
[実施例1]
図1に示す押出し加工装置において、ポートホール入口部分の外径が130mmである図4に示すポートホールダイス2を用い、外径が178mmのJIS3003合金(質別H112、引張り強さ110N/mm)のアルミニウムビレットを用いて押出し加工を行なって、外径がφ35mm、内径がφ30mmの円筒状押出し原管を作製した。なお、図4のポートホールダイス2のベアリング部8に設けられた4個の矩形凸部のそれぞれの幅は約4mmで高さは約0.4mmであり、作製された円筒状押出し原管の内面には、それぞれ幅約4mm、深さ約0.4mmの4本等角度の矩形の凹部が線状に形成された。上記の円筒状押出し原管を長さ100mm毎にカットした。
【0084】
その後、ダイヤモンドバイトを用いて円筒状押出し原管の外表面層を表面から約0.2mmの深さにわたって切削し、この後しごき加工を施して外径φ30mm、肉厚1mmとし、次いで長さ340mmに切断して電子写真感光体用円筒状基体Aを得た。この電子写真感光体用円筒状基体Aの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。
【0085】
<下引き層の形成>
平均一次粒子径40nmのルチル型白色酸化チタン(石原産業(株)製、製品名 TTO55N)と該酸化チタン100部に対して、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコーン社製 製品名 TSL8380)5部を、ボールミルにて混合し、得られたスラリーを120℃、1時間焼成して表面処理酸化チタンを作製した。次にこの表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノール=7/3の混合溶媒中でボールミル分散を行い、固形分濃度33.3重量%のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン処理酸化チタン分散液を得た。
ここで得られた酸化チタン分散液を特開平4−31870号公報の実施例で記載された製造法により製造された下記構造式のランダム共重合ポリアミドの混合アルコール(メタノール/1−プロパノール=70/30)溶液と混合して、最終的に酸化チタン/ナイロン比 3/1(重量比)で固形分濃度16重量%の分散液を調製し、これを分散液(P1)とした。
【0086】
【化1】

前記電子写真感光体用円筒状基体A上に、分散液P1を、その乾燥膜厚が0.75μmとなるように浸漬塗布して下引き層を設けた。
【0087】
<有機感光層の形成>
次に、CuKα特性X線による粉末X線回折のスペクトルが、ブラッグ角2θ±0.2で、10.5°、26.2°、27.2°に強いピークを有するA型オキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液を、先に設けた下引き層上に浸漬塗布し、その乾燥膜厚が約0.3μmとなるように電荷発生層を設けた。
次に、下記に示すヒドラゾン化合物A 56重量部、ヒドラゾン化合物B 14重量部、下記に示すシアン化合物1.5重量部、および特開平3−221962号公報の実施例中に記載された製造方法により製造された、2つの繰り返し構造単位を有する下記に示すポリカーボネート樹脂100部を、1,4ジオキサン:テトラヒドロフラン=65:25の混合溶媒620重量部に溶解させた塗布液を、該電荷発生層上に浸漬塗布することにより、乾燥膜厚が17μmになるように電荷輸送層を設けた。このようにして得られた電子写真感光体ドラムを電子写真感光体ドラムAとする。
【0088】
【化2】

【0089】
<評価>
カシオ社製タンデム方式カラーレーザープリンターColorPageprest N4−612IIを用い、4色のイメージングユニットのそれぞれに電子写真感光体ドラムAを装着し、600dpiの露光密度でフルカラー画像形成を行ったが、高画像濃度でカブリがほとんどなく、ムラや色ズレ、解像度不足もない高い画質の画像が得られた。なお、繰り返しで約4000枚のフルカラー画像形成を行ったが、ほとんど初期と差異は見られなかった。
【0090】
[実施例2]
ポートホールダイスとして図5に示すものを用いた以外、実施例1と同様にして円筒状押出し原管を作製した。なお、図5のポートホールダイス2のベアリング部8に設けられた4個の三角形凸部のそれぞれの最大幅は約4mmで高さは約0.4mmであり、形成された円筒状押出し原管の内面には、それぞれ最大幅約4mm、深さ約0.4mmの4本等角度の三角形の凹部が線状に形成された。以下、実施例1と全く同様にして電子写真感光体用円筒状基体Bを得た。
【0091】
この電子写真感光体用円筒状基体Bの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。電子写真感光体用円筒状基体Bを用い、実施例1と同様に塗布を行って電子写真感光体ドラムBを得た。そして、実施例1と同様にして画像形成を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0092】
[実施例3]
ポートホールダイスとして図6に示すものを用いた以外、実施例1と同様にして円筒状押出し原管を作製した。なお、図6のポートホールダイス2のベアリング部8に設けられた4個の半円形凸部のそれぞれの最大幅は約4mmで高さは約0.4mmであり、形成された押出し原管の内面には、それぞれ最大幅約4mm、深さ約0.4mmの4本等角度の半円形の凹部が線状に形成された。以下、実施例1と全く同様にして電子写真感光体用円筒状基体Cを得た。この電子写真感光体用円筒状基体Cの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。
【0093】
電子写真感光体用円筒状基体C用い、実施例1と同様に電子写真感光体ドラムCを得た。そして、実施例1と同様にして画像形成を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0094】
[実施例4]
実施例1の押出し原管に冷間引抜き加工を施し、さらに切断して、外径φ30mm、肉厚1mm、長さ340mmの引抜き管を作製した。この引抜き管をそのまま電子写真感光体用円筒状基体Dとして用いた。
【0095】
この電子写真感光体用円筒状基体Dの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。電子写真感光体用円筒状基体Dを用い、実施例1と同様に電子写真感光体ドラムDを得た。さらに実施例1と同様に画像形成を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0096】
[実施例5]
実施例1の押出し原管に冷間引抜き加工を施し、さらに切断して、外径φ30.5mm、肉厚1.25mm、長さ340mmの引抜き管を作製した。次に、この素管を昌運工作所製両端加工機にセットし、回転数1000rpm、送り0.2mmの条件でインロー加工を施した。さらに、この素管を昌運工作所製SPA500にセットし、回転数2000rpm、送り0.2mmの条件で、切り込み0.23mmの粗切削と切り込み0.02mmの仕上げ切削を実施し、電子写真感光体用円筒状基体Eを得た。この電子写真感光体用円筒状基体Eの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。
【0097】
電子写真感光体用円筒状基体Eを用い、実施例1と同様に電子写真感光体ドラムEを得た。実施例1と同様に画像形成を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、実施例1と同等の良好な結果を得た。
【0098】
[比較例1]
実施例1において、ポートホールダイスとして、従来のものである図2に示すものを用いた以外、同様にして円筒状押出し原管を作製した。なお、得られた原管には本発明に係わる凹凸は無いものである。以下、実施例1と全く同様にして電子写真感光体用円筒状基体Fを得た。この電子写真感光体用円筒状基体Fの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。
【0099】
電子写真感光体用円筒状基体Fを用い、実施例1と同様に電子写真感光体ドラムFを得た。そして、実施例1と同様にして実写を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、わずかではあるが素管の精度に起因すると見られる画像端部の色ズレやムラが見られた。
【0100】
[比較例2]
比較例1の押出し原管に冷間引抜き加工を施し、さらに切断して、外径φ30mm、肉厚1mm、長さ340mmの引抜き管を作製した。この引抜き管をそのまま電子写真感光体用円筒状基体Gとして用いた。この電子写真感光体用円筒状基体Gの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。
【0101】
電子写真感光体用円筒状基体Gを用い、実施例1と電子写真感光体ドラムGを得た。その後、実施例1と同様にして画像形成を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、わずかではあるが素管の精度に起因すると見られる画像端部の色ズレやムラが見られた。
【0102】
[比較例3]
比較例1の押出し原管に冷間引抜き加工を施し、さらに切断して、外径30.5mmφ、肉厚1.25mm、長さ340mmの引抜き管を作製した。次に、この素管を昌運工作所製両端加工機にセットし、回転数1000rpm、送り0.2mmの条件でインロー加工を施した。さらに、この素管を昌運工作所製SPA500にセットし、回転数2000rpm、送り0.2mmの条件で、切り込み0.23mmの粗切削と切り込み0.02mmの仕上げ切削を実施し、電子写真感光体用円筒状基体Hを得た。この電子写真感光体用円筒状基体Hの寸法精度(真直度)を測定した結果を表1に示す。
【0103】
電子写真感光体用円筒状基体Hを用い、実施例1と同様に電子写真感光体ドラムHを得た。その後、実施例1と同様に画像形成を行い、フルカラー画像の評価を行ったところ、わずかではあるが素管の精度に起因すると見られる画像端部の色ズレやムラが見られた。
【0104】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の電子写真感光体ドラムは、寸法精度よく、低コストで製造されたものとすることができ、フルカラーの画像形成においても、均一な品質で効率よく画像形成を行なうことができる。したがって、本発明は例えば複写機、プリンター、印刷機等の分野において好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】従来のポートホールダイスを用いた押出し加工装置の横断面図である。
【図2】従来のポートホールダイスの雄型を出口側から見た断面図である。
【図3】従来のポートホールダイスの横断面図である。
【図4】本発明のポートホールダイスの雄型を出口側から見た断面図である。
【図5】本発明の他のポートホールダイスの雄型を出口側から見た断面図である。
【図6】本発明の他のポートホールダイスの雄型を出口側から見た断面図である。
【符号の説明】
【0107】
1:コンテナー
2:ポートホールダイス
3:ダイリング
4:ポートホール
5:ポートホール入口
6:ポートホール出口
7:仕切り支持部
8:ベアリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムビレットに、押出し加工を行なって得られる電子写真感光体用円筒状押出し原管であって、
該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、
該電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または該電子写真感光体用円筒状押出し原管の長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する
ことを特徴とする電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項2】
複数の該凹部または該凸部が該電子写真感光体用円筒状押出し原管の中心軸を中心として、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の外面に等角度に形成されている、または内面に等角度に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項3】
該凹部及び該凸部の数の合計が、3以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項4】
該凹部及び該凸部から選ばれる少なくとも一方の、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の周方向断面の形状が、矩形、三角形、及び半円形のいずかである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項5】
該凹部及び該凸部から選ばれる少なくとも一方の幅が、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内径の1/10以上、1/5以下である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項6】
該凹部の深さ及び該凸部の高さから選ばれる少なくとも一方が、該電子写真感光体用円筒状押出し原管の肉厚の1/10以上、1/4以下である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項7】
該電子写真感光体用円筒状押出し原管の内面のみに、該凹部または該凸部を1つ以上有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項8】
該凹部のみを1つ以上有する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体用円筒状押出し原管。
【請求項9】
ポートホールダイスを用いた押出し加工法により、アルミニウムビレットから電子写真感光体用円筒状押出し原管を製造する方法であって、
ベアリング部及びポートホール出口部から選ばれる少なくとも一方に、直線状に形成された凹部を1つ以上、または直線状に形成された凸部を1つ以上有する該ポートホールダイスを用いる
ことを特徴とする電子写真感光体用円筒状押出し原管の製造方法。
【請求項10】
アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する円筒状押出し原管を得る押出し加工工程と、
該円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程と、
該切断加工工程後、該円筒状押出し原管の外表面を切削する切削工程と、
該切削工程後、しごき加工するしごき加工工程とを有する
ことを特徴とする電子写真感光体用円筒状基体の製造方法。
【請求項11】
アルミニウムビレットを押出し加工により加工し、内面及び外面から選ばれる、少なくとも一方の面に、長手方向に直線状に形成された凹部を1つ以上、または長手方向に直線状に形成された凸部を1つ以上有する円筒状押出し原管を得る押出し加工工程と、
該円筒状押出し原管を所定の長さに切断する切断加工工程と、
該切断加工工程後、冷間引抜き加工する冷間引抜き加工工程とを有する
ことを特徴とする電子写真感光体用円筒状基体の製造方法。
【請求項12】
該しごき加工工程または該冷間引抜き工程後、切削加工、ホーニング加工、ブラスト加工、その他の粗面化処理、またはこれらの組合わせにより、該円筒状押出し原管の外表面を除去または粗面化する工程を有する
ことを特徴とする請求項10または11に記載の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載の電子写真感光体用円筒状基体の製造方法により製造された該電子写真感光体用円筒状基体と、該電子写真感光体用円筒状基体上に形成された有機感光層とを有し、
該電子写真感光体用円筒状基体の外径がφ40mm未満である
ことを特徴とする電子写真感光体ドラム。
【請求項14】
該電子写真感光体用円筒状基体と該有機感光層との間に下引き層を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の電子写真感光体ドラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−32756(P2010−32756A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194626(P2008−194626)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】