説明

電子写真現像剤評価装置及び電子写真現像剤評価方法

【課題】 現像剤の流動性を精度良く、個人差のない新しい電子写真現像剤評価装置を提供する。
【解決手段】 側面に円柱状部材が圧密方向に対して垂直方向に移動できる孔を有していて、現像剤を入れる試料容器5と、試料容器5中の現像剤相を攪拌する手段31、32と、攪拌した現像剤相を圧密する圧密手段21とを有する電子写真現像剤評価装置1であって、撹拌した現像剤相中に非磁性の円柱状検出部材24を設け、現像剤相をピストン21を用いた圧密手段21により圧密状態にし、試料容器5側面の孔と円柱状検出部材24とのギャップが50〜100μmであって、現像剤相又は円柱状検出部材24を圧密方向に対して垂直方向に移動させ、そのときに円柱状検出部材24に発生する力を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の静電複写プロセスの電子写真方式の画像形成装置に用いられる2成分系電子写真現像剤の流動性評価装置および評価方法に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画質は、高画質化が進んでおり、最近では細かいドットの再現性が非常に重要になって来ている。このドットの再現性は、トナーや現像剤の帯電量などの他に流動性に非常に影響され、細かい潜像部に均一なトナー層または現像剤層を安定して供給することが必要になって来ている。また、高画質化が進むにつれて、それに用いられるトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのため、トナーの構造が複雑になってきており、従来より細かい作製時の制御が必要となってきている。また、現像剤を構成するキャリアにおいても、高画質化を達成するために小粒径化が進み、キャリア付着などの問題が生じないように磁性材料やコート剤の検討が進んでいる。電子写真プロセスでは、キャリアは磁気的な面(現像特性、搬送力、攪拌力)、電気的な面(現像特性、帯電特性)、機械的な面(耐久性、帯電安定性、感光体の磨耗特性)から最適化が必要とされている。キャリアの粒径が小さくなるということは、磁気的な面、電気的な面、機械的な面の全ての条件が変化するわけで、それらの条件を材料等の面を含めて再度最適化する必要が出てきている。特に、現像剤の流動性は大きく変化する。現像剤の流動性はドット再現性をはじめ、全ての画像品質に影響を与えるため、評価の面では個人差のない、精度の高い評価法が必要とされている。
【0003】
これまでに、例えば、特許文献1では、粉体の流動性を、試料粉体相中に長い円柱状部材を設け、該粉体相または円柱状部材を移動させ、そのときに円柱状部材に発生する力を測定することにより少なくとも該粉体の流動性を評価する粉体の評価方法が開示されている。また、特許文献2では、トナー粉体相中に長い円柱状検出部材を侵入させ、トナー粉体相を圧密手段により圧密した後円柱状検出部材を移動させ、そのときに円柱状検出部材に発生する力を測定することによりトナー粉体の流動性を評価する静電荷現像用トナーの評価方法が開示されている。しかし、これらの評価方法では、データのバラツキが大きく、測定者による差があり、細かいトナー間の流動性の違いを評価することは出来なかった。
【0004】
【特許文献1】特開2006−17491
【特許文献2】特開2006−349860
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、現像剤の流動性を精度良く、個人差のない新しい電子写真現像剤評価装置を提供することを課題とする。さらに、この電子写真現像剤評価装置を用いる新しい電子写真現像剤評価方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の電子写真現像剤評価装置は、側面に円柱状部材が圧密方向に対して垂直方向に移動できる孔を有していて、現像剤を入れる試料容器と、試料容器中の現像剤相を攪拌する手段と、攪拌した現像剤相を圧密する圧密手段とを有する電子写真現像剤評価装置であって、撹拌した現像剤相中に非磁性の円柱状部材を設け、現像剤相をピストンを用いた圧密手段により圧密状態にし、試料容器側面の孔と円柱状部材とのギャップが50〜100μmであって、現像剤相又は円柱状部材を圧密方向に対して垂直方向に移動させ、そのときに円柱状部材に発生する力を測定することを特徴とする。
また、本発明の電子写真現像剤評価装置は、さらに、前記円柱状部材の直径が2〜5mmφで、Al,Cu,Au,Ag,黄銅の少なくとも1種からなることを特徴する。
また、本発明の電子写真現像剤評価装置は、さらに、前記円柱状部材の表面が円柱状部材の移動方向に0.5〜1.0mm周期の規則的な凹凸形状を有することを特徴する。
また、本発明の電子写真現像剤評価装置は、さらに、ピストンを用いた圧密手段により現像剤相の空間率が30〜60%になるようにしたことを特徴とする。
また、本発明の電子写真現像剤評価装置は、さらに、前記円柱状部材の相対移動速度が0.1〜3mm/secであることを特徴とする。
また、本発明の電子写真現像剤評価装置は、さらに、前記円柱状部材の相対移動量が、5〜30mmであることを特徴とする。
また、本発明の電子写真現像剤評価装置は、さらに、前記現像剤相に対して円柱状部材を相対的に1〜5回往復移動させることを特徴とする。
【0007】
本発明の電子写真現像剤評価方法は、上述の電子写真現像剤評価装置をを用いて、現像剤の流動性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記解決するための手段によって、予め攪拌手段により少なくとも磁性材料からなる現像剤相を攪拌した後、現像剤相中に長い非磁性の円柱状部材を設け、現像剤相をピストンを用いた圧密手段により圧密状態にし、現像剤相または円柱状部材を圧密方向に対して垂直方向に移動させ、そのときに円柱状部材に発生する力を測定することにより、現像剤の流動性を精度良く、個人差のない測定が実現できる電子写真現像剤評価装置及び電子写真現像剤評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0010】
本発明の電子写真現像剤評価装置1は、現像剤相中に非磁性の長い円柱状検出部材24を設け、現像剤相または円柱状検出部材24を長手方向に移動させ、そのときに円柱状検出部材24にかかる力を測定し、その力の値により流動性を評価するものである。
図1は、本発明の電子写真現像剤評価装置の構成を示す概略図である。
図1からわかるように、電子写真現像剤評価装置1の構成は、圧密及び測定ゾーン2と攪拌ゾーン3とから成る。攪拌ゾーン3は、現像剤を入れる試料容器5、その容器を上下させる昇降ステージ34、昇降させたときの試料容器5の位置を検出する位置検出器35、回転体としての攪拌羽根32、攪拌羽根を回転する回転手段31等から構成される。
また、圧密・測定ゾーン2は、試料容器5内の現像剤を圧密状態にするための圧密手段21としてピストン21、試料容器5を載置する試料ステージ22、これを移動させる駆動ユニット27があり、その移動した試料容器5の位置を検出する位置検出器26、その時に試料容器5内の現像剤相中を非磁性円柱状検出部材(以下、単に「円柱状検出部材」と記す。)24を通してあり、この円柱状検出部材24を支持するガイドプーリー23が設けられている。駆動ユニット27で試料ステージ22を移動させ、その時の位置を位置検出器26で検出し、さらに、円柱状検出部材24に係る力をロードセル25で測定する。
なお、本構成は一例であり、本発明を限定するものではない。
【0011】
測定は、前述の攪拌処理を行なった現像剤の入った試料容器5を試料ステージ22に載せ、円柱状検出部材24を試料容器側面の孔を通してセットする。この現像剤相をピストン21により圧密を行なう。その後、ピストン21を載せ、圧密したままの状態で試料ステージ22を予め決められた駆動条件で動かし、円柱状検出部材24を相対的に現像剤相の中を移動させる。そのときに円柱状検出部材24に働く力をロードセル25により測定する。力測定は、決められた速度条件で行なう。試料ステージ22の駆動方向や往復回数なども決めておく必要がある。勿論、一定方向のみの測定でも良いが、移動方向の依存性などをみる場合には往復測定をした方が良い。その場合、往復回数は1〜5回が良い。5回より多く往復測定しても変化が殆んどなく、測定の意味が無い。移動距離は基本的には任意であり、データが安定する位置まで移動させるのが良い。しかし、測定時間等の関係から5〜30mmの移動量が適している。5mmより小さい場合には力特性が大きく変化している領域でデータが安定しないという問題が発生する。30mmより大きくなると力特性は安定するが、測定時間が長くなるという問題が発生する。測定モードは、どのような条件でも可能であるが、例として以下のような順序で測定する。
(1)容器に現像剤を充填する。
(2)現像剤相を攪拌し、現像剤相を初期化する。
(3)円柱状部材を試料容器側面の孔を通してセットする。
(4)現像剤相をピストンにより加圧して、圧密状態作り出す。
(5)圧密させた状態で試料ステージを駆動させ、そのときの力を測定する。
(6)予め設定した距離迄移動したところで、移動動作を止める。
(7)試料ステージをスタート位置(最初のホームポジション)に戻す動作を行なう。
以上の(1)〜(7)の操作を繰返して、測定を行なう。試料ステージ22の移動を止めないで、一定の距離を往復駆動させて、力の変化を測定しても良い。
また、別の測定法としては、現像剤相をピストン21により圧密した後、一定距離試料ステージ22を移動させて止め、さらに一定距離を移動させて止めるという動作を繰返し行ない(1回の動作でも良い)、そのときの力変化を測定する。
【0012】
本発明の電子写真現像剤評価方法では、現像剤相の空間率が重要になるが、我々の実験結果では空間率は30%以上のとき安定して測定が可能であった。30%未満では圧密状態の微妙な条件の違いが力特性に影響を及ぼし、安定した測定が困難であった。現像剤相の空間率の範囲としては、種々な測定法の場合を含めて、30%〜60%であった。60%より大きい場合には現像剤相と円柱状検出部材24との接触状態が一定化せず、安定した測定には適していなかった。
【0013】
測定時には現像剤を一定量試料容器5に入れ、電子写真現像剤評価装置1にセットする。その後、攪拌ゾーン3にて昇降ステージ34を上昇させ、現像剤相中に回転体として攪拌羽根32を侵入させ、現像剤相を攪拌し、現像剤相を一定の状態に初期化する。この攪拌操作により、現像剤相の初期状態を個人差のないようにし、精度の高い測定が実現できる。攪拌条件は、攪拌羽根32の回転数と攪拌羽根32の侵入速度により決まる。攪拌羽根32の回転数は1〜30rpmが適している。1rpmより回転数が低いと攪拌の効果が小さく、30rpmより回転数が高いと現像剤の飛散が生じ、飛散した現像剤が試料容器5の側面に付着し、ピストンによる圧密時にピストンが下りないという問題が生じる。攪拌羽根32の侵入速度は5〜50mm/minが適している。5mm/minより攪拌速度が遅くなると攪拌時間がかかり測定に適しておらず、50mm/minより攪拌速度が速くなると粗い攪拌になり安定した攪拌状態を得ることが出来ない。現像剤相を攪拌した後の現像剤相の空間率は、30%〜60%になるようにし、出来るだけ現像剤の粒子間に隙間が存在するような状態にする。その後、現像剤の入った容器を圧密および測定ゾーン3の昇降ステージ34に設置する。この動作は、昇降ステージ34を回転させることにより、攪拌ゾーン3から圧密および測定ゾーン2に移動させても良い。現像剤相に円柱状検出部材24を設けた後、ピストン21を用いて現像剤相に荷重を加えて現像剤相を予め圧密した状態にして、試料ステージ22を駆動させ測定を行なう。そのとき、現像剤相の圧密方向に対して試料ステージ22を垂直方向に移動させる。
本構成では、現像剤を入れた試料容器5を上昇させ、現像剤相中に攪拌羽根32を回転させながら侵入させ、現像剤相を攪拌する。図2は、撹拌羽根の形状を示している画略図である。攪拌羽根32はどんな形状でも良いが、図2に示すような現像剤相を切るような形状が適している。攪拌羽根32は、非磁性の材料からなり、現像剤を切る攪拌羽根32の表面性がスムーズである必要がある。そのため、加工しやすくて、表面が固く、変質しない材質が良い。また、帯電による現像剤付着が無いようにする必要があり、導電性の材質が適している。この材質の一例としては、Al,Cu,Au,Ag,黄銅等がある。また、試料容器5の下部に加振器33を設けて、攪拌前および/または後に現像剤相を振動させ現像剤相を均一化するようにしても良い。
【0014】
圧密・測定ゾーン2は、円柱状検出部材24を現像剤相中に設け、その先端を力検出器であるロードセル25に接続する。具体的には、図1のようになり、試料容器5を挟んで両側にガイドプーリーを設け、その上に円柱状検出部材24を載せる。このときも、円柱状検出部材24(検出棒)は現像剤相の中央部を通過するように設定する。当然、円柱状検出部材24は、試料容器5側面の両側の適切な位置に開けてある孔を通して、位置の適正化を行なう。試料容器5側面の孔と円柱状検出部材24とのギャップは、現像剤漏れのないように50〜100μmにする必要がある。その円柱状検出部材24の外周面から試料容器5側面孔の壁面との間のギャップが50μmより小さい場合には、円柱状検出部材24と孔との間に現像剤粒子が入り込んだ場合現像剤粒子が硬いために強い接触状態が生じやすくなり、それが摩擦成分として力特性に反映されるので良くない。円柱状検出部材24の外周面から試料容器5の側面孔の壁面との間のギャップが100μmより大きい場合には、現像剤を圧密したときに円柱状検出部材24と孔との間から現像剤粒子が漏れるため、安定した圧密状態が保たれず、またその現像剤粒子が試料容器5の外に流れそれが摩擦成分として力特性に反映されるので正確な評価が出来なくなる。試料容器5は試料ステージ22の上に載せて、その試料ステージ22を駆動ユニット27により、円柱状検出部材24の配置方向と平行に駆動する。そのときの円柱状検出部材24に働く力をロードセルに25より検出する。試料ステージ22の移動量は位置検出器26で測定し、移動量と力との関係を測定データとしてPC等で入手する。
【0015】
また、円柱状検出部材24の表面形状はどんなものでも良く、表面に凹凸の有るものでも表面に凹凸の無いものでも良い。但し、表面に凹凸の有る円柱状検出部材24の場合には、円柱状検出部材24の移動方向による依存性が生じないように移動方向に規則的な凹凸形状をもつようにする必要がある。その凹凸形状の周期は0.5〜1.0mm周期が適している。凹凸形状の周期が0.5mmより小さい場合には、その凹部に十分な現像剤粒子が入り込まず、再現性の乏しい、バラツキの大きいデータとなり、測定に適していない。凹凸形状の周期が1.0mmより大きい場合には、凹部間での入り込んだ現像剤粒子のバラツキが大きくなり安定した測定が出来なくなる。また、凹凸形状の周期が1.0mmより大きくなると凹部の深さが深くなり、円柱状検出部材24の強度が低下し、曲がりなどの問題点が生じる。
【0016】
図3は、非磁性円柱状検出部材の形状の形態の例を示す概略図である。(1)では、円柱状検出部材24の円周表面上に溝を切ったもので、その溝の断面が三角形の凹凸からなるのこぎり歯形状をしている。この場合、円柱状検出部材24材質面と現像剤粒子との接触は、三角溝の山の先端部分のみとなる。ほとんどが溝に入り込んだ現像剤粒子とその周辺の現像剤粒子との接触となる。この他に、(2)では、半円状の外観を有する円柱状検出部材24でも同様の作用・効果を有する。また、(3)に示すように、滑らかな表面を有していても良い。
円柱状検出部材24の材質は何でも良いが、非磁性で加工しやすくて、表面が固く、変質しない材質が良い。また、帯電性を帯びない材質が適している。この一例としては、Al,Cu,Au,Ag,黄銅等がある。
円柱状検出部材24の直径は2〜5mmφものが適している。円柱状検出部材24の直径が2mmより小さいと長手方向への曲がりなどの変形が起き易く、円柱状検出部材24と試料容器5側面の孔との摩擦が大きくなり、安定した測定が出来なくなる。逆に、円柱状検出部材24の直径が5mmより大きい場合には、場所による現像剤粒子と円柱状検出部材24との間に働く力の分布が大きくなり、円柱状検出部材24に働く力の正確な測定が出来にくくなり、現像剤の流動性の評価には適していない。
【0017】
また、円柱状検出部材24の長さは、現像剤相または円柱状検出部材24が移動しても現像剤相の中に円柱状検出部材24が連続的に存在するような、十分な長さが必要である。また、円柱状検出部材24表面に溝が切ってある場合には、円柱状検出部材24の材質面と現像剤粒子との摩擦成分を測定するのではなく、現像剤粒子と現像剤粒子との摩擦成分を測定することが可能になる。そのためには、円柱状検出部材24が相対的に現像剤相の中を移動するとき、円柱状検出部材24表面に切ってある溝の中に現像剤粒子が入り込んできて、その入り込んだ現像剤粒子と周りの現像剤粒子との摩擦状態を測定するようにする必要がある。この溝の形状は問わないが、円柱状検出部材24の材質面と現像剤粒子との接触が小さくなるように工夫する必要がある。
現像剤の力特性は、円柱状検出部材24の相対移動速度により変化する。本測定では測定の精度を上げるために、現像剤粒子同士の微妙な接触状態が測定出来るように、円柱状検出部材24の移動速度を下げて測定するようにした。そのため、測定条件は、円柱状検出部材24の相対移動速度:0.1〜3mm/secにした。円柱状検出部材24の相対移動速度が0.1mm/secより遅い場合は現像剤相の微妙な状態の影響を受けやすいため、力測定バラツキの問題が生じ、測定には適していない。3mm/secより速い場合は現像剤の飛び散り、噴出し等が生じて、安定に測定できないので適していない。
【0018】
この構成は一例であり、現像剤の入った試料容器5を固定し、円柱状検出部材24自身を移動させて、円柱状検出部材24にかかる力を測定するなど他の構成でも良い。つまり、現像剤相と円柱状検出部材24との間に発生する摩擦成分を測定する方法であるので、円柱状検出部材24を固定して現像剤相を移動させても良いし、逆に現像剤相を固定して円柱状検出部材24を移動させても良い。ピストン21の側面と試料容器5の壁内面とのギャップは50〜100μmが適している。ピストン21の側面と試料容器5の壁内面とのギャップが50μmより小さい場合には、ピストン21の側面と試料容器5の壁内面との間に硬い現像剤粒子が入り込んで、ピストン21によるスムーズな圧密動作が出来なくなり、最悪の場合には止まる現象が生じる。ピストンの側面と試料容器壁内面とのギャップが100μmより大きい場合には、ピストン21の側面と試料容器壁内面との間から現像剤粒子が漏れて、安定した圧密が出来なくなり、正確な評価が出来ない。
【0019】
ロードセル25は荷重レンジが広く、分解能の高いものが適している。位置検出器26はリニアスケール、光を用いた変位センサ等があるが、精度的に0.01mm以下の仕様が適している。駆動ユニット27は、サーボモータやステッピングモータを用いて、精度良く駆動できるものが良い。また、円柱状検出部材24と平行に試料ステージ22を動かすために、ガイドレールを設けて、試料ステージ22をガイドレールに沿って動かすようにする。試料ステージ22は一定方向の動きだけではなく、往ったり来たりの往復駆動も行なうので、試料ステージ22の水平度などの位置だしは水準器などを用いて精度良く行なえるようにしておく必要がある。
現像剤相を圧密するピストン21は、Cu,Al,SUS,黄銅などからなり、表面や側面は表面に凹凸のない、鏡面に近いスムーズな面をもっている必要がある。何度も現像剤を圧密するため、傷の入りにくい硬い材質が適している。
試料容器5も変形しにくい硬い材質のものが適しているが、加工性などの点からCu,Al,SUS,黄銅などが使用されている。何度も試料を交換して使用するため、特に容器の内面に傷の入らないよう表面処理をしておけば良い。
【0020】
本発明の電子写真現像剤評価装置1に用いるトナーは、高画質画像を実現するために、トナーの平均粒径が4〜8μmであることが好ましい。本トナーの重量平均粒径は4〜8μmであり、さらに好ましくは5〜7μmである。重量平均粒径4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすく、人体への影響も懸念される。また重量平均粒径が8μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0021】
実施例の評価に使用したトナーおよび現像剤の詳細を以下に示す。
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0022】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0023】
本発明の電子写真現像剤評価装置1に用いたトナーで、用いる顔料としては以下のものが用いられる。黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。これらは1種または2種以上を使用することができる。特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0024】
本発明の電子写真現像剤評価装置1に使用したトナーは、電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)している。しかし、トナー粒子と混合(外添)して用いても良い。トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
また、使用したトナーには離型剤を内添することが可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラ温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。離型剤等の分散性を向上させるなどの目的の為に、添加剤を加えても良い。添加剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でも良い。
【0025】
また、電子写真現像剤評価装置1で使用したトナーを作製する方法としては、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、連続式の1軸混練機等の熱混練機を用いて構成材料をよく混練し、圧延冷却後、切断を行なう。切断後のトナー混練物は破砕を行ない、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。その後、混合機により無機粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。混合工程後、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し実施例で使用するトナーを得る。
【0026】
電子写真現像剤評価装置1で使用するトナーを作製する方法としては、粉砕法以外の方法が考えられ、重合法の一例としては、モノマーに着色剤及び電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることでトナー粒子を得る。造粒法は特に限定されない。例えば実施例で使用するトナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂を形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂を含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られる。 ウレア変性ポリエステル系樹脂において、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
【0027】
このトナーは、該プレポリマーと該アミンとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。得られた乾燥後のトナーの粉体を風力分級し、上記最適な混合条件により混合機により無機微粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。また、電荷制御剤を乾燥後のトナー粉体表面に打込んで、固着注入させても良い。さらにその後、無機微粒子などからかる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させても良い。電荷制御剤を表面に打込むことにより、トナーの帯電量の制御がしやすくなる。混合したり、固着注入したりする具体的手段としては、高速で回転する羽根によって粉体混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に粉体混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0028】
また、電子写真現像剤評価装置1で使用したトナーの流動性は、トナー形状によって影響されるが、トナーの平均円形度が0.9〜0.99である非常に球形に近いトナーの場合には流動性に優れ、ドット再現性に優れた高画質化を実現できる。
電子写真現像剤評価装置1で評価する現像剤は、キャリアとトナーとからなる。トナーを後述する磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって現像剤とする。現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができ、高画質化を実現できる。トナー濃度が2重量%より小さい場合には、画像濃度が低くなり、トナー濃度が10重量%より大きく場合には、トナー飛散等の問題が生じる。
二成分現像剤に使用されるキャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。これら磁性キャリアの平均粒径は20〜45μmが良い。磁性粉としては、MnMgSrフェライト,Mnフェライト,マグネタイト,ヘマタイト,MnMgフェライト等が適している。
【0029】
電子写真現像剤評価装置で測定に使用するキャリアは、前記キャリア粒子の表面に樹脂層を形成することによって製造され、樹脂としてはキャリアの製造に用いられている従来公知の各種のものを用いることができる。例えば、本発明には下記式で表される繰り返し単位を含むシリコーン樹脂が適しており、用いることができる。
【化1】

また、電子写真現像剤評価装置で測定する現像剤のキャリア被覆樹脂としては、ストレートシリコーン樹脂を用いることができる。このようなものとしては、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)などが挙げられる。他には、変性シリコーン樹脂を用いることができる。このようなものとしては、エポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーンなどが挙げられる。変性シリコーン:KR−5208、ポリエステル変性物:KR−5203、アルキッド変性物:KR−206、ウレタン変性物:KR−305(以上、信越化学工業社製)、エポキシ変性物:SR2115、アルキッド変性物:SR2110(東レダウコーニングシリコーン社製)などが挙げられる。
【0030】
また、前記シリコーン樹脂に、アミノシランカップリング剤を適量(0.001 〜30 重量%)含有させることができる。例として、以下のようなものが挙げられる。

2N(CH23Si(OCH33 MW 179.3
2N(CH23Si(OC253 MW 221.4
2NCH2CH2CH2S i(CH3)(OC25) MW 161.3
2NCH2CH2CH2Si (CH3)(OC252 MW 191.3
2NCH2CH2NHCH2Si(OCH33 MW 194.3
2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(CH3)(OCH32 MW 206.4
2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH33 MW 224.4
(CH32NCH2CH2CH2Si(CH3)(OC252 MW 219.4
(C492NC36Si(OCH3)3 MW 291.6

【0031】
更に、キャリア粒子表面を被覆する樹脂として、以下に示すものを単独または上記シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂等。
【0032】
また、樹脂層の中に、抵抗調整や耐久性向上のための添加剤を分散させても良い。添加剤としてはフラーレンまたはカーボンナノチューブ、そしてカーボン等が上げられる。フラーレンはC60,C70,C82,C84さらに高分子量のフラーレンなどを使用できる。フラーレンまたはカーボンナノチューブの合成法としては、希ガス中でグラファイト棒を直接通電加熱する抵抗加熱法、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法等がある。フラーレン、カーボンナノチューブは、内部空間にLa,Y,Scなどの金属等を内包したものも使用できる。金属内包フラーレンの合成には、金属酸化物(Laなど)を含む炭素棒を用いてアーク放電を起させて合成したり、金属酸化物を含む炭素チップをるつぼ状陽極に投入してアーク放電を起させて合成したりする方法がある。
フラーレンの粒径は0.01〜0.2μmであり、好ましくは0.01〜0.1μmである。フラーレンの粒径が0.01μm未満の場合には凝集等が生じやすく適しておらず、0.2μmより大きい場合には分散状態が低下して適していない。カーボンナノチューブの形状は、直径が0.01〜0.1μmφで、長さが0.05〜0.5μmであり、好ましくは直径が0.01〜0.05μmφで、長さが0.05〜0.1μmである。カーボンナノチューブの直径が0.01μmφ,長さが0.05μmより小さい場合には凝集が生じやすく適しておらず、カーボンナノチューブの直径が0.1μmφ,長さが0.5μmより大きくなると分散の均一性が低下して適していない。カーボンとしては、カーボンブラック等がある。粒径としては、0.01〜0.2μmである。これより小さいと粉塵の問題があり、この範囲より大きいと分散が悪くなり、均一な膜形成が難しくなる。これらのフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボン等は、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に投入して、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散させ、この溶液を磁性を示すキャリア表面にスプレー塗布などによりコートする。キャリア表面に樹脂層を形成する方法としては、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法など公知の方法が使用できる。特に流動床型コーティング装置を用いる方法は、キャリアの流動床を形成し、この流動床中にスプレーする方法で、均一なコート層が形成できるので適している。
【0033】
また、前述したように本発明の評価装置で評価する二成分現像剤は流動性向上剤として無機微粉体をトナーに添加して用いることが可能である。本発明の無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。
【0034】
また、本発明の評価装置で評価する現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0035】
上記トナーおよびキャリアを混合して現像剤を作成し、現像剤の流動性を本装置を用いて評価する。電子写真現像剤評価装置の試料台に現像剤を入れた容器を載せ、測定を行なう。円柱状検出部材24の相対移動速度は0.1〜5mm/secとした。測定は、円柱状検出部材24を固定し、試料ステージを5mm以上の予め設定した移動距離を駆動し、その後元の初期位置に戻す。このときの円柱状検出部材24にかかる力を測定し、現像剤の流動性を評価する。なお、キャリアだけの場合の測定も可能である。
電子写真現像剤評価装置で現像剤流動性を評価した場合には、測定値(力)と現像剤流動性との関係は、力が小さい場合流動性は良く、力が大きい場合流動性は悪いことになる。
円柱状検出部材24を用いた電子写真現像剤評価装置の特徴は、以下のようになり
(1)非破壊検査である。
(2)試料をそのまま測定できる。
(3)短時間で測定できる。
(4)誰にでも簡単に測定できる。
このことから、抜取り試料をそのまま迅速に、簡単に測定できるため、個人差の無い、精度の高い測定が出来ることにある。
【0036】
そのため、製造ラインでの計測も可能であり、製造工程の中での各工程間に設置して、工程途中での品質評価ができる。
図4は、トナーの製造工程の一部を示す概略図である。例えば、トナーの製造工程40の中で樹脂塗布工程を経た後のキャリア試料を搬送する途中の混合器41に、試料抜取り・測定ゾーンを設けておき、あるタイミングでシャッターを開閉して、一定量の試料を電子写真現像剤評価装置1へ搬送する。その測定部の先端部はAl等でできた容器になっており、そのまま電子写真現像剤評価方法にて測定する。または、その容器を近くの別の場所にある電子写真現像剤評価装置1へ持っていき、試料ステージへのせて電子写真現像剤評価装置1にて測定する。測定し終わったキャリアは、元の試料の中に戻す。評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲を外れていた場合、試料を充填工程へは回さず、キャリアの再処理工程へ回す。これらの仕組みは、樹脂塗布工程前の磁性粒子の検査、キャリアとトナーを混合する混合工程の後の検査、現像剤の充填前の検査等に適用できる。
【0037】
また、これらの機能をもった電子写真現像剤評価装置1を単独に開発段階の評価装置として使うことも可能である。現像剤の場合、前述の通り電子写真現像剤評価装置1での力の測定値は流動性を示しており、定量的な評価が可能となる。今までの従来の評価法では、同じ種類の現像剤間の違いは評価出来るが、現像剤の種類が違うと同じ土俵では評価できないという問題があった。しかし、電子写真現像剤評価装置1で測定した値は、粉体特性としての力の値であり、現像剤の種類が変わっても粒径が変わっても同じ土俵で評価出来る値であり、非常に汎用的な評価値になる。現像剤相中での円柱状検出部材24の移動時の力特性は、現像剤の流動性と密接な関係があり、現像剤の流動性が良い場合には、1個1個の現像剤粒子間の付着力が小さいために動きやすく、その現像剤相内で円柱状検出部材24を動かしても力は小さい。しかし、逆に現像剤の流動性が悪い場合には、1個1個の現像剤粒子間の付着力が大きいために動きにくく、その現像剤相内で円柱状検出部材24を移動した場合には円柱状検出部材24にかかる力は大きくなる。そのため、本発明の評価装置では、以下のような関係で流動性を評価出来る。
流動性が良い場合→現像剤相内を移動したときの力が小さい。
流動性が悪い場合→現像剤相内を移動したときの力が大きい。
現像剤の流動性は、キャリア粒子の焼成工程およびトナーとの混合工程によりほとんど決まる。つまり、キャリア粒子表面状態とそのキャリアへのトナーの付着状態により、現像剤の流動性は大きく変化する。そのため、キャリアの焼成工程後の流動性評価および混合工程後の流動性の評価が重要となる。よって、これらの工程間の評価を本評価法を用いて高精度に行ない、高品質な現像剤の生産を実現する。
【0038】
プリンタや複写機において、高画質化を実現するためには、非常に微小なドット再現性を高める必要がある。それを実現するためには、非常に微小な潜像に対して忠実なトナー現像が必要となる。この忠実な現像を可能にするためには、現像域に均一なトナーブラシを供給する必要がある。そのためには、トナー帯電量が適度な条件であることが必要であるが、常に安定して現像域に均一なトナーブラシが供給できるような現像剤の動き易さ、搬送のし易さが非常に重要となる。つまり、微小なドット再現性を上げるためには、現像剤の流動性を上げることが必要になる。
図5は、二成分現像方式の現像装置の一例を示す概略図である。トナー補給ホッパー55から補給されたトナーは、撹拌ローラ53でキャリアと混合・撹拌されて、摩擦帯電で所定の帯電量となる。混合した現像剤となって、供給ローラ52で現像ローラ51に供給されることで担持され、回転してドクターブレード51で、担持される量が規制され、像保持体60の潜像部分に同期して対向する。そのときに、トナーは、キャリアから分離して現像され、トナー像を形成する。
従来の現像剤では、ドクターブレードの耐磨耗性が問題になる。このため、現像剤層が均一に形成できないばかりかトナー帯電が不均一になり、トナー電荷量も小さくなる。このため現像不良が生じる。しかし、本発明の電子写真現像剤評価装置を用いて評価した現像剤を用いることで、流動性に優れていると評価された現像剤では、ドクターブレードの磨耗量は低下し、安定した現像が行なわれ、耐久特性に優れた方式となる。また、撹拌ローラにより現像剤の均一化、帯電特性の向上等を行なうが、現像剤の流動性が悪い場合には現像剤の均一化が難しく、帯電特性の向上も出来ない。そのうえ、撹拌ローラの回転トルクが大きくなり、消費電力が大きくなる問題が生じる。しかし、本発明の電子写真現像剤評価装置を用いて評価した現像剤を用いることで、流動性に優れているため現像剤の均一化、帯電特性の向上および現像部のトルクの低減化等を実現できる。
【0039】
以下、本願発明の評価装置を用いて現像剤の流動性を評価した結果について説明する。なお、今回はトナーやキャリア構成(磁性材料、コート材料等)を変化した現像剤を作製し、現像剤の流動性を本評価法を用いて評価し、ドット再現性を画像のザラツキ感として5段階評価した。実施例は流動性の良い現像剤の測定例、比較例は流動性の悪い現像剤の測定例を示す。また、耐久特性として耐久試験時のトナー帯電量変化(初期のトナー帯電量、4万枚コピー時のトナー帯電量)、ドット再現性の評価(5段階評価,4万枚コピー時)、かぶりの評価(5段階評価,4万枚コピー時)である。ドット再現性、かぶりの評価は5段階評価(5:良→1:悪/4以上が実用上問題のない範囲で、3以下が画像上で再現性が悪く問題となるレベル)で評価した。現像剤の流動性は、以下の条件で測定し、円柱状検出部材24が現像剤相を相対的に移動している時の力を測定した。
<測定条件>
・円柱状部材:黄銅(直径:2mmφ)
・円柱状部材表面形状:のこぎり歯形状(凹凸周期:0.9mm)
・円柱状部材:黄銅(直径:2mmφ)
・円柱状部材の相対移動速度:1mm/sec
・円柱状部材と試料容器側面孔とのギャップ:80μm
・ピストンと試料容器壁内面とのギャップ:80μm
・ピストン圧密荷重:250g
【0040】
なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
―測定例1―
(トナー製造)
樹脂 ポリエステル樹脂 100部
顔料 カーボンブラック 10部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 2部
離型剤 カルナウバワックス 3部
添加剤 スチレンアクリル樹脂 2部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機により混練物温度100℃混練機回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、シリカ微分末1部をスーパーミキサーにて混合して、トナーを得た。
添加剤 シリカ微粉末 1部
混合回転数 800rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
【0041】
(キャリア製造)
磁性材 MnMgSrフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt
%の分散液を得た。流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.53
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.3μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.7重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0042】
―測定例2―
(トナー製造)
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.5部
混合回転数 1000rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
(キャリア製造)
測定例1と同様のキャリアを用いた。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0043】
―測定例3―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 MnMgSrフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
アミノシランカップリング剤 5部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂中に、5重量部のアミノシランカップリング剤:H2N(CH23Si(OC253を添加し、ボールミルを使用して分散し、この分散液を希釈して固形分5wt
%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に230℃で2時間加熱して、膜厚0.50μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.2μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.7重量%であった。上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0044】
―測定例4―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 MnMgSrフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
フラーレンC60 1部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてフラーレンC60を分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt
%の分散液を得た。フラーレンC60は、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、平均粒径が0.025μmであった。流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.54
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.4μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.6重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0045】
―測定例5―
(トナー製造)
測定例1と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Mnフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.7μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.7重量%であった。上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0046】
―測定例6―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Mnフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.8μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0047】
―測定例7―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Mnフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
アミノシランカップリング剤 5部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂中に、5重量部のアミノシランカップリング剤:H2N(CH23Si(OC253を添加し、ボールミルを使用して分散し、この分散液を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に230℃で2時間加熱して、膜厚0.50
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.6μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0048】
―測定例8―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Mnフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
フラーレンC60 1部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてフラーレンC60を分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。フラーレンC60は、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、平均粒径が0.025μmであった。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.55
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.9μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0049】
―測定例9―
(トナー製造)
測定例1と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Gdフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.58
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.8μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0050】
―測定例10―
(トナー製造)
実施例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Gdフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt
%の分散液を得た。流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.56μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は37.1μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.9重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0051】
―測定例11―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Gdフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
アミノシランカップリング剤 5部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂中に、5重量部のアミノシランカップリング剤:H2N(CH23Si(OC253を添加し、ボールミルを使用して分散し、この分散液を希釈して固形分5wt
%の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に230℃で2時間加熱して、膜厚0.50
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は36.8μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.8重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。
また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0052】
―測定例12―
(トナー製造)
測定例2と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Gdフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
フラーレンC60 1部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂中に、ボールミルを用いてフラーレンC60を分散させ、この分散液を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。フラーレンC60は、希ガス中で2本のグラファイト棒の間にアーク放電を起させて合成するアーク放電法で作製し、平均粒径が0.025μmであった。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.59μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は37.0μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は2.9重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。 また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0053】
―比較例1―
(トナー製造)
測定例1と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 MnMgSrフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.51μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は35.8μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は12.7重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、本評価法により流動性を測定した結果、表1のようになった。また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。
【0054】
―比較例2―
(トナー製造)
測定例1と同様のトナーを用いた。
(キャリア製造)
磁性材 Mnフェライト 100部
コート層 シリコーン樹脂 100部
磁性粒子の表面に以下の条件でコート層を設けた。シリコーン樹脂を希釈して固形分5wt %の分散液を得た。
流動床型コーティング装置を用いて、磁性粒子表面上に上記の希釈した分散溶液を、100℃の雰囲気下で約40g/minの割合で塗布し、更に240℃で2時間加熱して、膜厚0.53
μmの樹脂コート膜を形成し、キャリアを得た。キャリア平均粒径は35.4μmで15μmより小さい粒径を有する粒子の含有割合は14.1重量%であった。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア95部に対し、5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
本現像剤を作製した後、電子写真現像剤評価装置1により流動性を測定した結果を表1及び図6に示す。
また、トナー帯電量の評価を行ない、得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験、耐久試験を行なった。以上の測定例1〜12,比較例1〜2の測定結果を表1に示す。
【0055】
【表1】


表1及び図6から明らかなように、空間率60%以下で、引抜力を0.4N以下にすることで、初期画像及び4万プリント画像のドット再現性が、すべて4以上で実用上問題のないレベルであった。それに反して、引抜力が0.4を越えると、初期画像及び4万プリント画像のドット再現性が、すべて3以下で実用上問題となるレベルであった。カブリも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の電子写真現像剤評価装置の構成を示す概略図である。
【図2】撹拌羽根の形状を示している画略図である。
【図3】非磁性円柱状検出部材の形状の形態の例を示す概略図である。
【図4】トナーの製造工程の一部を示す概略図である。
【図5】二成分現像方式の現像装置の一例を示す概略図である。
【図6】電子写真現像剤評価装置により流動性を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1 電子写真現像剤評価装置
2 圧密・測定ゾーン
3 撹拌ゾーン
5 試料容器
21 ピストン
22 試料ステージ
23 ガイドプーリー
24 非磁性円柱状検出部材
25 ロードセル
26 位置検出器
27 駆動ユニット
31 回転手段
32 撹拌羽根
33 加振器
34 昇降ステージ
35 位置検出器
36 シャフト
40 トナー製造装置
41 混合機
50 現像装置
51 現像ローラ
52 供給ローラ
53 撹拌ローラ
54 ドクターブレード
55 トナー補給ホッパー
60 画像保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に円柱状部材が圧密方向に対して垂直方向に移動できる孔を有していて、現像剤を入れる試料容器と、
試料容器中の現像剤相を攪拌する手段と、
攪拌した現像剤相を圧密する圧密手段とを有する電子写真現像剤評価装置であって、
撹拌した現像剤相中に非磁性の円柱状部材を設け、現像剤相をピストンを用いた圧密手段により圧密状態にし、
試料容器側面の孔と円柱状部材とのギャップが50〜100μmであって、現像剤相又は円柱状部材を圧密方向に対して垂直方向に移動させ、そのときに円柱状部材に発生する力を測定する
ことを特徴とする電子写真現像剤評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子写真現像剤評価装置において、
前記円柱状部材の直径が2〜5mmφで、Al,Cu,Au,Ag,黄銅の少なくとも1種からなる
ことを特徴する電子写真現像剤評価装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子写真現像剤評価装置において、
前記円柱状部材の表面が円柱状部材の移動方向に0.5〜1.0mm周期の規則的な凹凸形状を有する
ことを特徴する電子写真現像剤評価装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子写真現像剤評価装置において、
ピストンを用いた圧密手段により現像剤相の空間率が30〜60%になるようにした
ことを特徴とする電子写真現像剤評価装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電子写真現像剤評価装置において、
前記円柱状部材の相対移動速度が0.1〜3mm/secである
ことを特徴とする電子写真現像剤評価装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子写真現像剤評価装置において、
前記円柱状部材の相対移動量が、5〜30mmである
ことを特徴とする電子写真現像剤評価装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電子写真現像剤評価装置において、
前記現像剤相に対して円柱状部材を相対的に1〜5回往復移動させる
ことを特徴とする電子写真現像剤評価装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の現像剤の流動性評価装置を用いて、現像剤の流動性を評価する
ことを特徴とする電子写真現像剤評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−14607(P2009−14607A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178554(P2007−178554)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】