説明

電子制御機器の連結構造

【課題】 コネクタカバーが不用意に脱落しないようにして安全性を向上させた電子制御機器の連結構造を提供する。
【解決手段】 本体ユニット1と拡張ユニット2の間を電気的に接続する雌雄型コネクタ6,7と、本体ユニットと拡張ユニットの間を機械的に連結する複数のガイドピン8,9及びピン孔8a,9aとを備えた電子制御機器の本体ユニット及び拡張ユニットのケース1a,2a内に設けられた雌型コネクタを露出させるための開口部1b、2bに、開口部に雌型コネクタを露出させるための開口部1b、2bを設け、開口部1b、2bにこれを閉塞するようにコネクタカバー10を着脱可能に取り付け、コネクタカバー10に開口部1b、2bに係止可能な係止爪10aと、ケース1a,2aに固着するための固着具12を螺差するためのねじ孔10dとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ユニットに拡張ユニットを連結することにより、産業機器の制御系を構成する電子制御機器の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来産業機器の制御系に使用されている電子制御機器には、CPUを有する本体ユニットと、I/Oユニット等の各種拡張ユニットから構成されたものがあり、用途に応じて選択した拡張ユニットを本体ユニットに連結することにより、産業機器の制御系が構成できるようになっている。
【0003】
CPUを有する本体ユニットは、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)により構成されていて、単体でもプログラムの作成や修正等ができるようになっているが、パーソナルコンピュータ(パソコン)を接続することにより、プログラムの作成やデータの転送等の作業がより効率よく行えるようになっており、特に液晶表示器等の表示手段を備えた本体ユニットの場合は、表示手段を見ながらプログラムの変更や修正、データの入出力が行えるため、これらの操作がさらに容易となっている。
【0004】
また本体ユニット及び拡張ユニットとも、ほぼ同形状の箱形ケースを備えていて、本体ユニットに複数の拡張ユニットを順次連結した場合でも違和感が生じないようになっており、本体ユニット及び拡張ユニットの側面には、各ユニットを電気的に接続するための雌雄型コネクタと、各ユニットを機械的に連結するためのガイドピン及びピン孔が設けられている。
【0005】
例えば本体ユニットの一方の側面には、雌型コネクタと複数のピン孔が設けられており、拡張ユニットの一方の側面には、本体ユニットの雌型コネクタに結合する雄型コネクタと、本体ユニットのピン孔に嵌挿する複数のガイドピンが設けられている。
【0006】
一方拡張ユニットの他方の側面には、別の拡張ユニットの雄型コネクタを結合する雌型コネクタと複数のピン孔が設けられていて、本体ユニットの側面に拡張ユニットを1個ないし複数個連結することにより、産業機器の制御系に使用する汎用性の高い電子制御機器が得られるようになっており、本体ユニット単独でも使用可能となっている。
【0007】
また複数のユニットを互いに連結して使用するユニットの連結構造としては、例えば特許文献1に記載されてものが公知である。
【0008】
前記特許文献1に記載のユニットの連結構造は、仕様の異なったユニットの連結を防止するため、各ユニット間を連結するコネクタ連結部を、異なる仕様のユニット毎にそれぞれ異ならせたもので、同じ仕様のユニットのコネクタ連結部は同一であるため連結が可能であるが、異なる仕様のユニットはコネクタ連結部が異なるため連結が不能になり、これによって仕様の異なるユニット同士を誤って連結することを未然に回避できるようになっている。
【特許文献1】特開2002−231385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし前記特許文献1に記載のユニットの連結構造では、本体ユニットを単独で使用する場合、本体ユニットの側面に雌型コネクタの接続口に設けられた複数のピンが露出してしまうと共に、本体ユニットに拡張ユニットを連結した場合でも、ケースの側面に設けられた雌型コネクタに設けられた複数のピンが露出してしまうため、誤ってピンに手等が触れると感電する虞がある。
【0010】
また本体ユニットと拡張ユニットの連結作業中や、ケーブル等の接続作業中に、誤って雌型コネクタのピンにドライバ等の工具が触れるとピン間がショートして、本体ユニットや拡張ユニットが故障する原因ともなる。
【0011】
このため従来では、雌型コネクタが露出する開口部をコネクタカバーで覆い、雌型コネクタを使用するときにコネクタカバーを外す作業を行っているが、従来のコネクタカバーは、本体ユニットや拡張ユニットの側面に開口された開口部の開口縁にフック状の係止爪を係止させてコネクタの開口部を覆う構造のため、外部から振動や衝撃が加わった場合脱落することがあり、感電やショート等の事故を確実に防止できない問題がある。
【0012】
また本体ユニットや拡張ユニットの雌型コネクタを使用するため、ドライバ等の工具を使用してコネクタカバーを外す作業を行うが、コネクタカバーの係止爪が開口縁より外れると同時にコネクタカバーが脱落することがあり、その結果露出した雌型コネクタのピンに手や工具等が誤って接触して、感電やショートを起こす問題もある。
【0013】
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、コネクタカバーが不用意に脱落しないようにして安全性を向上させた電子制御機器の連結構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の電子制御機器の連結構造は、本体ユニットと、本体ユニットに連結自在な拡張ユニットと、本体ユニットと拡張ユニットの間を電気的に接続する雌雄型コネクタと、本体ユニットと拡張ユニットの間を機械的に連結する複数のガイドピン及びピン孔とを備えた電子制御機器の連結構造であって、本体ユニット及び拡張ユニットのケースに雌型コネクタを露出させるための開口部をそれぞれ設け、開口部に、この開口部を閉塞するようにコネクタカバーを着脱可能に取り付け、コネクタカバーに、開口部に係止爪により係止可能な係止手段と、ケースに固着具により固定可能な係止手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0015】
前記構成により、本体ユニットに任意な数の拡張ユニットを連結するだけで産業機器等を制御する電子制御機器が容易に構成できると共に、使用しない雌型コネクタの開口部がコネクタカバーにより閉塞されているために、不用意に雌型コネクタのピンに手が触れたために感電したり、雌型コネクタのピンにドライバ等の工具が触れたためにショートして電子制御機器を損傷することがないため、安全性が向上する。
【0016】
またコネクタカバーは係止爪と固着具の2個所でケースに固定されているため、電子制御機器の使用中に振動や衝撃が加わっても、コネクタカバーが脱落することがないと共に、コネクタカバーを外す際は、固着具を取り外す作業とコネクタカバーをこじ開ける作業の2段階の操作が必要なため2重に安全性が確保でき、これによってコネクタカバーの取り外し作業中にコネクタカバーが不用意に脱落しないため、雌型コネクタのピンに誤って手が触れたり、雌型コネクタのピンに工具等が触れる心配もない。
【0017】
本発明の電子制御機器の連結構造は、ガイドピンの1本が嵌合するピン孔を、ガイド溝を介して開口部に連続するように開口部の近傍に形成し、かつこのピン孔の近傍に、固着具を挿入する取り付け孔を設けると共に、コネクタカバーに、ガイド溝によりガイドされるガイド突起を突設し、このガイド突起の先端に、取り付け孔より挿入した固着具を螺挿するねじ孔を形成したものである。
【0018】
前記構成により、ガイド突部がガイド溝によりガイドされて取り付け孔とねじ孔が位置決めされるため、取り付け孔より挿入した固着具を容易にねじ孔へ螺挿することができ、これによってコネクタカバーの取り付け作業が短時間で行える。
【0019】
本発明の電子制御機器の連結構造は、開口部近傍のピン孔をほぼ3角形に形成し、またこのピン孔に嵌挿するガイドピンをほぼ3角柱状に形成すると共に、3角柱状のガイドピンを他のガイドピンよりやや長く形成したものである。
【0020】
前記構成により、他のガイドピンよりやや長く形成されたガイドピンを先にピン孔に挿入した後、残りのピンをピン孔へ挿入することができるため、複数のピンを同時にピン孔へ挿入する従来のものに比べてガイドピンの挿入作業が容易になると共に、断面がほぼ三角形状に形成されたガイドピンを先に挿入することにより、本体ユニットに対し拡張ユニットが位置決めされるため、残りのガイドピンをピン孔に挿入する作業がさらに容易になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電子制御機器の連結構造によれば、コネクタカバーは係止爪と固着具の2個所でケースに固定されているため、電子制御機器の使用中に振動や衝撃が加わっても、コネクタカバーが脱落することがないと共に、コネクタカバーを外す際は、固着具を取り外す作業とコネクタカバーをこじ開ける作業の2段階の操作が必要なため2重に安全性が確保でき、これによってコネクタカバーの取り外し作業中にコネクタカバーが不用意に脱落したため、雌型コネクタのピンに誤って手が触れたり、雌型コネクタのピンに工具等が触れる心配もないことから、安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0023】
図1は本体ユニットのコネクタカバーを外した状態の斜視図、図2は拡張ユニットの斜視図、図3は本体ユニットに拡張ユニットを連結する寸前の状態を示す正面図、図4は本体ユニットに拡張ユニットを連結した状態の正面図、図5は本体ユニットの拡張ユニット連結側の側面図、図6は拡張ユニットの雄型コネクタ側の側面図、図7は拡張ユニットの雌型コネクタ側の側面図、図8はコネクタカバーの表面側の斜視図、図9は同裏面側の斜視図、図10はコネクタカバーを外す際の作用説明図である。
【0024】
電子制御機器を構成する本体ユニット1は、図1に示すように箱形のケース1aを有していて、ケース1a内にCPUや電子部品等の機能部品より構成された電子機器例えばPLCが収容されており、ケース1aの前面には、プログラムの作成や修正、データを入力するための操作ボタン群3と、液晶表示器からなる表示手段3aが設けられ、表示手段3aの下方には、図示しないパソコンを接続するためのコネクタ3bが設けられている。なお表示手段3aがないものもある。
【0025】
ケース1aの上部には、本体ユニット1に電源を供給する電源端子4aや、入力端子4b等からなる端子群4が幅方向に一直線上に配列されており、ケース1aの下部には、出力端子4cからなる端子群4が幅方向に一直線上に配列されていると共に、ケース1aの裏面には、図示しないDINレール等に本体ユニット1を装着するブラケット1cが突設されている。
【0026】
本体ユニット1の一方の側面には、図5に示すように、この開口部1b内に拡張ユニット2を電気的に接続するための雌型コネクタ6が設けられており、雌型コネクタ6の先端は、ケース1aの側面よりやや奥の方に位置している。
【0027】
本体ユニット1に連結して使用するI/Oユニット等の拡張ユニット2は、図2に示すように本体ユニット1のケース1aのほぼ2分の1の幅に形成されケース2aを有していて、このケース2aは、本体ユニット1に拡張ユニット2を連結した際違和感が生じないように、本体ユニット1のケース1aと幅を除いてほぼ同一形状となっており、ケース2aの上部には、入力端子5a等からなる端子群5が幅方向に一直線上に配列されていると共に、ケース2aの下部には、出力端子5bからなる端子群5が幅方向に一直線上に配列され、ケース2aの裏面には、DINレール等に拡張ユニット2を装着するブラケット2cが突設されている。
【0028】
拡張ユニット2の一方の側面には、図6に示すように、本体ユニット1の側面に設けられた雌型コネクタ6に連結自在な雄型コネクタ7が突設されており、雄型コネクタ7の近傍には、断面がほぼ三角形状に形成された1本のガイドピン8が突設され、ブラケット2cの側面には、断面がほぼI形となった一対のガイドピン9が上下に離間して突設されていると共に、雄型コネクタ7の近傍に突設されたガイドピン8は、他のガイドピン9よりやや長く形成されている。
【0029】
また拡張ユニット2を連結する本体ユニット1の側面には、図5に示すように、拡張ユニット2の側面に突設されたガイドピン8、9と合致する位置に、ほぼ三角形状のピン孔8aと、ほぼ角形のピン孔9aがそれぞれ穿設されていて、これらピン孔8a、9aにガイドピン8及び9が挿脱自在に嵌挿できるようになっている。
【0030】
一方、拡張ユニット2の雄型コネクタ7が突設された側面と反対側の側面には、本体ユニット1の側面に開口された開口部1bと同一形状の開口部2bが形成されていて、この開口部2bのやや奥の方に、別の拡張ユニット2の側面に設けられた雄型コネクタ7を嵌合する雌型コネクタ6が設けられている。
【0031】
本体ユニット1及び拡張ユニット2の雌型コネクタ6が設けられたケース1a、2aの側面に開口された開口部1b、2bには、図8及び図9に詳細に示すように、コネクタカバー10を取付けるための凹部2dとガイド溝2fが切り欠き形成されている。
【0032】
これら凹部2d及びガイド溝2fは図5及び図7に示すように、開口部1b、2bの左右に互いに対向するように形成されていて、一方の凹部2dにコネクタカバー10に設けられた係止爪10aが係脱自在に係止できるようにして、係止手段を構成している。
【0033】
他方のガイド溝2fは、開口部1b、2bとほぼ三角形状のピン孔8aの頂部間を連通するように切り欠き形成されていて、ガイド溝2fの上縁と下縁は互いに平行しており、ピン孔8aの底辺側近傍には、図5に示すように、ケース1a、2aの側面を穿設することにより取り付け孔2gが形成されている。
【0034】
雌型コネクタ6が設けられた開口部1b、2bを塞ぐコネクタカバー10は、図8及び図9に示すように開口部1b、2bよりやや大きいほぼ正方形に形成されていて、裏面側に開口部1b、2bに嵌合する開口部1b、2bとほぼ同一形状の陸部10bが突設されており、樹脂により一体成形されている。
【0035】
また陸部10bを開口部1b、2bに嵌合する際、開口部1b、2bの凹部2dと合致する位置にフック状の係止爪10aが突設されており、ガイド溝2fと合致する位置にガイド突部10cが形成されている。
【0036】
ガイド突部10cは、コネクタカバー10を開口部1b、2bのやや奥の方に設けられた雌型のコネクタ6と干渉しない高さでコネクタカバー10の裏面に突設されており、一端側がコネクタカバー10の裏面に連設され、他端側はコネクタカバー10の外周縁より外側へ突出されている。
【0037】
ガイド突部10cの幅は、ガイド溝2fの幅よりやや幅狭となっていて、ガイド溝2fよりガイド突部10cをケース1a、2a内へ挿入する際、ガイド溝2fによりガイド突部10cの上下面がガイドされるようになっており、ガイド突部10cの先端には、ケース1a、2aの側面に穿設された取り付け孔2gと合致する位置にねじ孔10dが形成されていて、取り付け孔2gより挿入したビス等の固着具12が螺挿できるようになってい手、固着手段を構成している。
【0038】
次に前記構成された電子制御機器の連結構造の作用を説明する。
【0039】
電子制御機器は、適用する産業機器の仕様等に応じて、CPUを有する本体ユニット1に1個ないし複数の拡張ユニット2を連結して使用するが、本体ユニット1単独で使用する場合もある。
【0040】
本体ユニット1に拡張ユニット2を連結して電子制御機器を構成する場合は、本体ユニット1の雌型コネクタ6が設けられたケース1aの側面に拡張ユニット2を連結することになるが、連結に当たっては、まず図3に示すように、拡張ユニット2の一方の側面に突設した3本のガイドピン8、9を、本体ユニット1の側面に形成されたピン孔8a、9aにほぼ位置決めし、この状態で他のガイドピン9より長く形成されたガイドピン8を本体ユニット1側のピン孔8aに挿入する。
【0041】
これによって断面がほぼ三角形状に形成されたガイドピン8が同形状のピン孔8aに嵌合されることにより、本体ユニット1に対し拡張ユニット2が位置決めされるため、雌型コネクタ6への雄型コネクタ7の初期噛み付きを円滑に行われると共に、残りの2本のガイドピン9を本体ユニット1のピン孔9aに挿入しやすくなる。
【0042】
3本のガイドピン8、9を、本体ユニット1側のピン孔8a、9aにそれぞれ挿入したら、拡張ユニット2を本体ユニット1側へ押圧して、拡張ユニット2の雄型コネクタ7を本体ユニット1の雌型コネクタ6へ完全に嵌合するもので、これによって本体ユニット1と拡張ユニット2が雌雄型コネクタ6、7を介して電気的に接続されると同時に、互いに嵌合された複数のガイドピン8、9とピン孔8a、9aによって本体ユニット1と拡張ユニット2が機械的に結合されるため、本体ユニット1に対して拡張ユニット2を確実に連結することができる。
【0043】
また本体ユニット1に複数の拡張ユニット2を順次連結して電子制御機器を構成する場合は、本体ユニット1に既に連結された拡張ユニット2に、別の拡張ユニット2を前記と同様な操作で連結することにより、任意な数の拡張ユニット2を本体ユニット1に連結した電子制御機器が容易に構成できるようになる。
【0044】
一方本体ユニット1を単独で使用する場合や、本体ユニット1に拡張ユニット2を連結して使用する場合、本体ユニット1の雌型コネクタ6や、最後に連結した拡張ユニット2の雌型コネクタ6の接続口が開口部1b、2bより露出するため、接続口のピンに誤って手や工具13等が触れると感電やショートを起こす危険がある。
【0045】
これを防止するため使用しない雌型コネクタ6は、開口部1b、2bにコネクタカバー10を取り付けて、雌型コネクタ6の接続口をコネクタカバー10で覆う。
【0046】
本体ユニット1の開口部1bや拡張ユニット2の開口部2bにコネクタカバー10を取り付けるに当たっては、まずコネクタカバー10より突設されたガイド突部10cの先端側を、開口部1b、2bよりケース1a、2a内に挿入したら、ガイド突部10cの上下面をガイド溝2fにガイドさせながら先端部のねじ孔10dを取り付け孔2g側へ移動させ、コネクタカバー10の裏面に突設された陸部10bを開口部1b、2bへ嵌合する。
【0047】
このとき係止爪10aの先端が開口部1b、2bの凹部2dに当接するので、この状態でコネクタカバー10を強く押すことにより係止爪10dを弾性変形させて、係止爪10dの先端を開口部1b、2bの凹部2dへ係止させると、ガイド突起10cがガイド溝2fの上下縁に当接してコネクタカバー10が位置決めされると同時に、ガイド突部10cの先端に形成されたねじ孔10dがピン孔8aの近傍に形成された取り付け孔2gに位置決めされるので、この状態で取付け孔2gより挿入した固着具12をねじ孔に螺挿して締め付けることにより、開口部1b、2bに対してコネクタカバー10が係止爪10aと固着具12の2個所で固定されるようになる。
【0048】
これによって不用意に雌型コネクタ6のピンに手が触れたために感電したり、雌型コネクタ6のピンに工具13等が触れたためにショートして電子制御機器を損傷する等の事故を未然に防止できると共に、コネクタカバー10は係止爪10dによる係止手段と固着具による固着手段との二重化により、電子制御機器の使用中に振動や衝撃が加わっても、コネクタカバー10が脱落することもない。
【0049】
一方、単独で使用していた本体ユニット1に拡張ユニット2を新たに連結したり、本体ユニット1に連結された拡張ユニット2にさらに拡張ユニット2を連結する場合は、まずコネクタカバー10を固定している固着具12を弛めて外すが、この状態では係止爪10aが開口部1b、2bの凹部2dに係止されていてコネクタカバー10はまだ支持状態にあるため、コネクタカバー10が不用意に脱落することがない。
【0050】
次に図10に示すようにコネクタカバー10の係止爪10a側の隙間にドライバ等の工具13を差し込んで、コネクタカバー10をこじ開けるとことにより、開口部1b、2bの凹部2dより係止爪10aを外してコネクタカバー10を取り外すもので、固着具12を取り外す作業とコネクタカバー10をこじ開ける作業の2段階の操作が必要となることから、2重に安全性が確保でき、これによって不用意にコネクタカバー10が外れたために、雌型コネクタ8のピンに手が触れて感電したり、雌型コネクタ8のピンに工具13等が触れたためにショートして、電子制御機器を損傷する等の事故を未然に防止することができるようになる。
【0051】
なお前記実施の形態では、PLCよりなる本体ユニット1にI/Oユニット等の拡張ユニットを連結する場合について説明したが、電源ユニット同士を連結する連結構造にも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の電子制御機器の連結構造は、コネクタカバーは係止爪と固着具の2個所でケースに固定されているため、電子制御機器の使用中に振動や衝撃が加わっても、コネクタカバーが脱落することがないと共に、コネクタカバーを外す際は、固着具を取り外す作業とコネクタカバーをこじ開ける作業の2段階の操作が必要なため2重に安全性が確保でき、本体ユニットに拡張ユニットを連結することにより、産業機器の制御系を構成する電子制御機器の連結構造に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した本体ユニットのコネクタカバーを外した状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した拡張ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した本体ユニットに拡張ユニットを連結する寸前の状態を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した本体ユニットに拡張ユニットを連結した状態の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した本体ユニットの拡張ユニット連結側の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した拡張ユニットの雄型コネクタ側の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造を採用した拡張ユニットの雌型コネクタ側の側面図である。
【図8】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造に採用したコネクタカバーの表面側の斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造に採用したコネクタカバーの裏面側の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態になる電子制御機器の連結構造に採用したコネクタカバーを外す際の作用説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 本体ユニット
1a ケース
1b 開口部
2 拡張ユニット
2a ケース
2b 開口部
2f ガイド溝
2g 取り付け孔
6 雌型コネクタ
7 雄型コネクタ
8 ガイドピン
8a ピン孔
9 ガイドピン
9a ピン孔
10 コネクタカバー
10a 係止爪
10c ガイド突部
10d ねじ孔
12 固着具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、前記本体ユニットに連結自在な拡張ユニットと、前記本体ユニットと前記拡張ユニットの間を電気的に接続する雌雄型コネクタと、前記本体ユニットと前記拡張ユニットの間を機械的に連結する複数のガイドピン及びピン孔とを備えた電子制御機器の連結構造であって、前記本体ユニット及び前記拡張ユニットのケースに前記雌型コネクタを露出させるための開口部をそれぞれ設け、前記開口部に、該開口部を閉塞するようにコネクタカバーを着脱可能に取り付け、前記コネクタカバーに前記開口部に係止爪により係止可能な係止手段と、前記ケースに固着具により固定可能な係止手段とを設けたことを特徴とする電子制御機器の連結構造。
【請求項2】
前記ガイドピンの1本が嵌合する前記ピン孔を、ガイド溝を介して前記開口部に連続するように前記開口部の近傍に形成し、かつこのピン孔の近傍に、前記固着具を挿入する取り付け孔を設けると共に、前記コネクタカバーに、前記ガイド溝によりガイドされるガイド突起を突設し、前記ガイド突起の先端に、前記取り付け孔より挿入した前記固着具を螺挿するねじ孔を形成してなる請求項1に記載の電子制御機器の連結構造。
【請求項3】
前記開口部近傍のピン孔をほぼ3角形に形成し、またこのピン孔に嵌挿する前記ガイドピンをほぼ3角柱状に形成すると共に、前記3角柱状のガイドピンを他のガイドピンよりやや長く形成してなる請求項1または2に記載の電子制御機器の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−260822(P2006−260822A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73287(P2005−73287)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】