説明

電子制御装置

【課題】車両用の電子制御装置が記憶している車両識別情報を書き換えるときに、他の記憶情報の書き換えに要する工数を極力低減する電子制御装置を提供する。
【解決手段】車両100に搭載されていたエンジンECU10を他の車両200に載せ換えた場合、エンジンECU10は、外部コンピュータから指令されたVIN(b)により、EEPROM24に記憶している元の車両100のVIN(a)を書き換える。VINの書き換えが完了すると、エンジンECU10は、エンジンECU10を載せ換える先の車両200のイモビECU210からイモビID(B)を取得し、EEPROM24に記憶されているイモビID(A)をイモビID(B)に書き換える。さらに、エンジンECU10は、エミッション関連故障情報を消去するとともに、車両100において学習した車両制御の学習値を初期化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に固有の車両識別情報を書き換える電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、車両の各部を制御する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)として、例えばエンジンECUでは、車両に固有の車両識別番号(VIN:Vehicle Identification Number)をEEPROM等のメモリに記憶している。エンジンECUは、VIN以外にも、イモビライザ識別情報(イモビライザID)、各種故障情報、車両制御のための学習値などをメモリに記憶している。尚、イモビライザIDとは、車両のユーザーが所持しているキーなどの携帯機から、車両を作動させようとしているユーザーが正規のユーザーか否かを判定するためのECUであってエンジンECUとは別に設けられるイモビライザECUと、あるいはこのイモビライザECUが存在しない場合には相当のECUや、あるいは直接的に携帯機と、エンジンECUとの間で照合をとるためのID情報であって、車両固有あるいは車両のユーザーに関連する固有情報と言えるものである。エンジンECUはこのイモビライザIDに基づく判定結果により、車両を作動させようとしているユーザーが正規のユーザーであると判定すると、例えばエンジンの始動を許可する、といったことを行う。
【0003】
ここで、例えばECUを元の車両から他の車両に載せ換える場合、ECUに記憶されているVINを載せ換え先の車両のVINに書き換える必要がある。ECUを他の車両に載せ換えるときに載せ換え先の車両のVINに書き換えないと、車検に合格しない。
【0004】
そして、OBD法規制の改訂予定として、VINの書き換えを行う場合は、ECUに記憶されているエミッション関連の故障情報を同時に消去しなければならない旨が規定される可能性が高い。
【特許文献1】特開2001−301572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ECUを元の車両から他の車両に載せ換える場合、ECUに記憶されている記憶情報として、VIN及びエミッション関連故障情報以外にも書き換えることが望ましいと思われる記憶情報がある。この場合、VINを書き換えるときに、記憶情報の書き換えに要する工数を極力低減することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、車両用の電子制御装置が記憶している車両識別情報を書き換えるときに、他の記憶情報の書き換えに要する工数を極力低減する電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者等は、車両識別情報の書き換えに伴い書き換えたほうが望ましいと思われる情報としてイモビライザIDに着目した。イモビライザIDは車両に固有の情報と言えるものであり、ECUが記憶しているイモビライザIDが該当車両のイモビライザIDと異なっていると、エンジンを始動できないことがある。従って、本願発明者等は、ECUが記憶している車両識別情報を書き換える場合、エミッション関連故障情報を消去するとともに、イモビライザIDを該当車両に合わせて書き換えることが望ましいと考えるに至った。
【0008】
そこで、請求項1から6に記載の発明によると、記憶情報管理手段は、車両識別情報を書き換えるときに、イモビライザIDを書き換える。
これにより、車両識別情報を書き換えるときに、イモビライザIDも同時期に書き換えることができる。従って、車両識別情報の書き換えを実施する工程とは異なる工程でイモビライザIDを書き換える場合に比べ、イモビライザIDの書き換えに要する工数を低減できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によると、記憶情報管理手段は、車両に搭載された他の電子制御装置からイモビライザID取得手段が取得するイモビライザIDにより、イモビライザID記憶手段に記憶されているイモビライザIDを書き換える。
【0010】
同じ車両に搭載された他の電子制御装置からイモビライザIDを取得するので、正確なイモビライザIDによりイモビライザID記憶手段に記憶されているイモビライザIDを書き換えることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、車両識別情報を書き換えるとき、学習値記憶手段に記憶されている車両制御の学習値を初期値に書き換える。
ECUを他の車両に載せ換えるときに、学習値を車両のばらつきを考慮した平均値である初期値に書き換えるので、元の車両に合わせて学習した学習値を書き換えずに使用する場合に比べ、載せ換え先の車両に応じた適正な学習値を学習するまでに要する時間が長くなりすぎることを防止できる。
【0012】
請求項4に記載の発明によると、記憶情報管理手段は、書換受付手段が外部装置から車両識別情報の書換指令を受けた後、外部装置と通信することなく、各記憶手段に記憶されている記憶情報に対して該当する書換処理を実施する。
【0013】
このように、書換受付手段が外部装置から車両識別情報の書換指令を受けた後、外部装置と通信することなく記憶情報管理手段が自動的に記憶情報を書き換えるので、車両識別情報の書き換えに合わせて、車両識別情報以外の他の記憶情報を書き換える工数を低減できる。
【0014】
請求項5に記載の発明によると、書換受付手段が外部装置から車両識別情報の書換指令を受けると、車両識別情報記憶手段に記憶されている車両識別情報を書き換えた後、外部装置と通信しながら、車両識別情報記憶手段以外の他の記憶手段に記憶されている記憶情報に対して該当する書換処理を実施する。
【0015】
このように、書換受付手段が外部装置から車両識別情報の書換指令を受けると、外部装置と通信しながら記憶情報管理手段が自動的に記憶情報を書き換えるので、車両識別情報の書き換えに合わせて、車両識別情報以外の他の記憶情報を書き換える工数を低減できる。
【0016】
ところで、記憶手段が故障している場合、車両識別情報の書き換えに失敗することが考えられる。この場合、記憶手段に記憶された記憶情報を書き換えることができないか、記憶手段に記憶された記憶情報を誤った値に書き換えるおそれがある。
【0017】
そこで、請求項6に記載の発明によると、記憶情報管理手段は、車両識別情報記憶手段に記憶されている車両識別情報の書き換えに失敗すると、車両識別情報記憶手段以外の他の記憶手段に記憶されている記憶情報に対して該当する書換処理を中止する。これにより、車両識別情報以外の記憶情報を誤った値に書き換えることを防止できる。
【0018】
尚、本発明に備わる記憶手段以外の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、またはそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
本発明の一実施形態による車両制御システムを図1に示す。車両制御システムは、エンジンECU10及びイモビライザECU(以下、イモビECUという。)60を備えている。エンジンECU10とイモビECU60とは、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介してデータを送受信する。
【0020】
エンジンECU10は、特許請求の範囲に記載された電子制御装置に相当し、エンジンを目標の運転状態に制御するために車両の各部を制御する。
エンジンECU10は、入出力回路、マイクロコンピュータ及びその周辺回路、入出力用のコネクタ等の外部端子を備え、ケースや筐体、保持部材等からなる電子制御ユニットであり、車室内やエンジンルーム内に載置されるものである。また、エンジンECU10は、処理部12、運転状態検出部14、制御出力部16、RAM20、SRAM22、EEPROM24、表示制御部30等から構成されている。
【0021】
処理部12は、CPU、タイマ、ROM等のハードウェアで構成されている。処理部12は、データ演算部として、エンジンを目標の運転状態に制御するために、運転状態検出部14から取得した各種センサのデータを演算し、制御出力部16を介して車両の各部に対する制御を実施する。また、処理部12は、自己診断部として、車両の各部の故障診断を実施する。
【0022】
運転状態検出部14は、アクセル開度(ACCP)、エンジン回転数(Ne)、水温(Tw)、酸素濃度(O2)、吸気量(V)、イグニション信号(IGN)等の車両の運転状態を示す情報を各種センサから取得する。
【0023】
制御出力部16は、処理部12からの指令にしたがい、エンジンを目標の運転状態に制御するために、点火プラグ、インジェクタ等の車両の各部に制御信号を出力する。
RAM20は、処理部12の演算結果等のデータを一時的に記憶する。SRAM(スタンバイRAM)24は、バックアップRAMとも呼ばれ、イグニションキーがオフされても車両のバッテリから常時電圧が供給されるように電源供給が構成された揮発性メモリである。EEPROM24は不揮発性メモリである。
【0024】
例えば、処理部12は、車両の各部の故障を検出した場合には、故障を表す故障コード(DTC:Diagnostic Trouble Code)をSRAM22およびEEPROM24に記憶させる。具体的には、処理部12は、エミッション関連故障情報を含むDTCをSRAM22に記憶させた後、そのDTCのうち所定のDTCと同じコードを、イグニションサイクル(車両のイグニションスイッチがオンされてからオフされるまで、あるいはイグニションスイッチがオンされてから次にオンされるまで)の終わりまでに、永久故障コード(Permanent Fault Code:以下、ここでは、PDTC(Permanent DTC)と言う)としてEEPROM24に記憶させる。カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)による法規においても、診断結果として記憶されている故障コード(DTC)を、永久故障コード(PDTC)としてEEPROM等の不揮発性メモリに記憶することが提案されている。尚、エミッション関連故障情報とは、例えば、水温センサ、吸気量センサ等のエミッション制御に必要なセンサの故障情報である。
【0025】
また、EEPROM24には、VIN、イモビライザID(以下、イモビIDという。)、車両制御の学習値等の車両に固有の情報が記憶されている。車両制御の学習値として、インジェクタの噴射量特性、スロットル弁の開度特性等がEEPROM24に記憶されている。VINは、法規により不揮発性メモリに記憶することが規定されている。
【0026】
本実施形態においては、EEPROM24は、特許請求の範囲に記載した車両識別情報記憶手段、イモビID記憶手段、学習値記憶手段に相当する。また、SRAM22およびEEPROM24は、故障情報記憶手段として、エミッション関連故障情報を含むDTC、PDTCを記憶する。
【0027】
表示制御部30は、故障表示灯(MIL:Malfunction Indicator Lamp)40の表示を制御する。
外部装置としての外部コンピュータ50は、図示しない入出力インターフェースを介してエンジンECU10に接続する。外部コンピュータ50は、エンジンECU10と通信することにより、SRAM22またはEEPROM24に記憶されている故障コード等の記憶情報をエンジンECU10から読み出したり、SRAM22またはEEPROM24に記憶されている記憶情報の書き換えをエンジンECU10に指令する。
【0028】
イモビECU60は、エンジンECU10と概略的にはほぼ同一構成であり、マイクロコンピュータ等を含む電子制御ユニットである。エンジンECU10と実質的に同一のイモビECU60の構成部分には、エンジンECU10と同一符号が付されている。
【0029】
イモビECU60は、状態検出部62がイグニションキーから検出したイモビIDと、イモビECU60のEEPROM24に記憶しているイモビIDとが一致するかを判定する。イモビECU60は、両方のイモビIDが一致すれば認証合格と判定し、不一致であれば認証不合格と判定する。そして、イモビECU60は、エンジンECU10からの問い合わせに対して、両方のイモビIDが一致しているか否かの判定結果を暗号化してエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、イモビECU60が判定したイモビIDの判定結果とともに、イモビECU60がEEPROM24に記憶しているイモビIDを取得する。
【0030】
イモビECU60の判定結果が認証不合格の場合には、エンジンECU10はエンジンを始動しない。また、イモビECU60の判定結果が認証合格の場合にも、エンジンECU10は、自身がEEPROM24に記憶しているイモビIDと、イモビECU60がEEPROM24に記憶しているイモビIDとが不一致の場合には、エンジンを始動しない。エンジンECU10は、イモビECU60の判定結果が認証合格であり、自身がEEPROM24に記憶しているイモビIDと、イモビECU60がEEPROM24に記憶しているイモビIDとが一致する場合にエンジンを始動する。
【0031】
イモビECU60の表示制御部30は、イモビライザに関する警告ランプ70の表示を制御する。
次に、ROMに記憶されている制御プログラムにより、エンジンECU10が書換受付手段、イモビID取得手段及び記憶情報管理手段として機能する内容について説明する。
【0032】
(書換受付手段)
図2に示すように、車両100に搭載されていたエンジンECU10を他の車両200に載せ換えることがある。この場合、車両200に搭載されたエンジンECU10に記憶されている車両100のVIN(a)を、車両200のVIN(b)に書き換える必要がある。
【0033】
エンジンECU10は、VIN(a)からVIN(b)への書換指令を外部コンピュータ50から受信する。
(イモビID取得手段)
エンジンECU10は、VINの書換指令を外部コンピュータ50から受信すると、エンジンECU10が搭載されている車両200のイモビECU210から車両200のイモビID(B)を取得する。これにより、エンジンECU10は、車両200の正確なイモビID(B)を取得できる。
【0034】
(記憶情報管理手段)
エンジンECU10は、VIN(b)への書換指令を外部コンピュータ50から受信すると、外部コンピュータ50から指令されたVIN(b)により、EEPROM24に記憶しているVIN(a)を書き換える。
【0035】
また、エンジンECU10は、外部コンピュータ50からVINの書換指令を受信すると、SRAM22及びEEPROM24に記憶しているエミッション関連故障情報を消去するとともに、車両100において学習しEEPROM24に記憶している車両制御の各種学習値を、車両のばらつきを考慮した平均値である初期値に書き換える。尚、学習値の書き換えは必ずしも初期値に限る必要はなく、既定値や何らかのルールにより決まった値であっても良い。
【0036】
さらに、エンジンECU10は、車両200に搭載されているイモビECU210から取得したイモビID(B)により、EEPROM24に記憶しているイモビID(A)を書き換える。
【0037】
エンジンECU10は、外部コンピュータ50からVINの書換指令を受信すると、外部コンピュータ50と通信することなく、VIN、エミッション関連故障情報、学習値及びイモビIDを自動的に書き換えてもよいし、各記憶情報の書き換えを外部コンピュータ50と通信しながら、外部コンピュータ50の操作者の介入を受けることなく自動的に書き換えてもよい。
【0038】
エンジンECU10は、EEPROM24の故障によりVINの書き換えに失敗すると、その他の記憶情報の書き換えを中止し、VINの書き換えの失敗を外部コンピュータ50に通知することが望ましい。VIN以外の他の記憶情報の書き換えを中止することにより、VIN以外の記憶情報を誤った値に書き換えることを防止できる。
【0039】
(書換制御)
次に、エンジンECU10を他の車両に載せ換えたときの記憶情報の書換制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3のフローチャートは、外部コンピュータ50からVINの書換指令を受け付けたときに実行される。この受け付けというのは、外部コンピュータ50からVIN書換指令を受信し、その受信に対して認識したこと、すなわち書換指令を受け付けたことを知らせるための受信通知を外部コンピュータ50に行ってもよいし、受信通知をしなくてもどちらでもよい。図3において、「S」はステップを表している。
【0040】
S300においてエンジンECU10は、外部コンピュータ50から指令されたVIN(b)により、EEPROM24に記憶している元の車両100のVIN(a)を書き換える。例えば上述のようにエンジンECU10が受信通知を外部コンピュータ50側に返すケースにおいては、外部コンピュータ50はその受信通知を受けてから新たなVINを送るようにしても良いし、VIN書換指令とともに新たなVINを送るようになっていても良い。
【0041】
S300においてVINの書き換えに失敗し、VINの書き換えが完了しない場合(S302:No)、エンジンECU10は、本ルーチンを終了する。この場合、エンジンECU10は、VINの書き換えを数回リトライしてもよい。そして、数回リトライしてもVINの書き換えに失敗すると、エンジンECU10は、EEPROM24の故障であると判断し、EEPROM24の故障を外部コンピュータ50に通知する。この場合、外部コンピュータ50の操作者は、可能であればEEPROM24を交換し、実装上EEPROM24を交換できなければ、エンジンECU10を交換するなどの適切な処置を実施する。
【0042】
VINの書き換えに成功し、VINの書き換えが完了する場合(S302:Yes)、S304においてエンジンECU10は、エンジンECU10を載せ換える先の車両200のイモビECU210にイモビID(B)の送信要求を出し、イモビECU210から送信されてくるイモビID(B)を取得し、エンジンECU10の所有するEEPROM24に記憶されているイモビID(A)をイモビID(B)に書き換える。
【0043】
S306においてエンジンECU10は、その他のEEPROM24に記憶されている記憶情報として、エミッション関連故障情報を消去するとともに、車両100において学習した車両制御の学習値を初期化する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、VINを書き換え、エミッション関連情報を消去する工程と同じ工程で、イモビIDを書き換え、車両制御の学習値を初期化する。これにより、VINの書き換えに合わせて、他の記憶情報を書き換える工数を低減できる。
【0045】
[他の実施形態]
上記実施形態では、車両固有の情報として、VINを書き換えるときに、エミッション関連故障情報を消去するとともにイモビIDを書き換え、車両制御の学習値を初期化している。これ以外の車両固有の記憶情報についても、VINを書き換えるときに、必要に応じて書き換え、消去または初期化してもよい。
【0046】
上記実施形態では、イモビID及び学習値を不揮発性メモリであるEEPROM24に記憶した。これに対し、例えば、車両に搭載されている電源以外にエンジンECU10が専用の補助電源を備え、エンジンECU10を車両100から取り外したときにSRAM22に電力を供給できるのであれば、イモビID及び学習値をSRAM22に記憶してもよい。
【0047】
また上記実施例では、イモビIDがイモビECUに記憶されていた事例を示したが、イモビIDは他のECUが保持していても良い。
さらに、イモビIDを車両における他のECU等が保持しておらず、車両のユーザが保持するような携帯機(キーなど)にのみイモビIDが有るような場合もある。
【0048】
こうした場合も踏まえ、例えば図3におけるS304において、他のECUあるいは携帯機など外部に対してイモビIDの送信要求を行っても新たなイモビIDが所定時間内あるいは複数回の要求に対して送られてこないような場合、所定の値(初期値などの既定値)を書き込んでおき、次の始動の際に、イモビIDの照合としてその所定値が記憶されていた場合にはその時点でイモビIDを書込むようにしても良い。
【0049】
また、例えばS304では外部と通信を行うことなく上述のようにエンジンECUのみにてイモビIDを所定値に書き換えておき、次の始動の際に、例えばイモビECUに対しイモビID送信要求を出して送られてきた新たなイモビIDに書き換えるなど、VINコードの書き換えと同じタイミングではなく実態的に問題の無い範囲でVINコードの書き換えと時間的にずれていても良い。
【0050】
上記実施形態では、書換受付手段、記憶情報管理手段及びイモビID取得手段の機能を制御プログラムにより機能が特定されるエンジンECU10により実現している。これに対し、上記手段の機能の少なくとも一部を、回路構成自体で機能が特定されるハードウェアで実現してもよい。
【0051】
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態の車両制御システムを示すブロック図。
【図2】エンジンECUの載せ換えを示す説明図。
【図3】書換制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
10:エンジンECU(電子制御装置、車両識別情報記憶手段、イモビID記憶手段、故障情報記憶手段、学習値記憶手段、書換受付手段、記憶情報管理手段、イモビID取得手段)、22:SRAM(故障情報記憶手段)、24:EEPROM(車両識別情報記憶手段、イモビID記憶手段、故障情報記憶手段、学習値記憶手段)、50:外部コンピュータ(外部装置):60、210:イモビECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固有の車両識別情報を記憶する車両識別情報記憶手段と、
車両に固有のイモビライザ識別情報を記憶するイモビライザ識別情報記憶手段と、
前記車両識別情報の書換指令を受ける書換受付手段と、
前記書換受付手段が前記車両識別情報の書換指令を受けると、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている前記車両識別情報を書き換える書換処理を実行するものであって、当該書換処理の実行に伴い、前記イモビライザ識別情報記憶手段に記憶されている前記イモビライザ識別情報を書き換えるためのイモビライザ識別情報書換処理を実行する記憶情報管理手段と、
を備えることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記書換受付手段が前記車両識別情報の書換指令を受けると、前記車両に搭載されている他の電子制御装置が記憶しているイモビライザ識別情報を取得するイモビライザ識別情報取得手段をさらに備え、
前記記憶情報管理手段は、前記イモビライザ識別情報取得手段が取得するイモビライザ識別情報により前記イモビライザ識別情報記憶手段に記憶されている前記イモビライザ識別情報を書き換える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記車両を制御する学習値を記憶する学習値記憶手段をさらに備え、
前記書換受付手段が前記車両識別情報の書換指令を受けると、前記記憶情報管理手段は、前記学習値記憶手段に記憶されている前記学習値を初期値に書き換える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記書換受付手段は、外部装置から通信により前記車両識別情報の書換指令を受け、
前記記憶情報管理手段は、前記書換受付手段が前記外部装置から前記車両識別情報の書換指令を受けた後、前記外部装置と通信することなく、前記各記憶手段に記憶されている記憶情報に対して該当する書換処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記書換受付手段は、外部装置から通信により前記車両識別情報の書換指令を受け、
前記記憶情報管理手段は、前記書換受付手段が前記外部装置から前記車両識別情報の書換指令を受けると、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている前記車両識別情報を書き換えた後、前記外部装置と通信しながら、前記車両識別情報記憶手段以外の他の前記記憶手段に記憶されている記憶情報に対して該当する書換処理を実施する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記記憶情報管理手段は、前記車両識別情報記憶手段に記憶されている前記車両識別情報の書き換えに失敗すると、前記車両識別情報記憶手段以外の他の前記記憶手段に記憶されている記憶情報に対して該当する書換処理を中止することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−262676(P2009−262676A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112628(P2008−112628)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】