説明

電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するための装置及びプロセス

高密度の電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播する装置及びプロセスであって、装置は、ガスを含んだ第1絶縁チューブと、第1絶縁チューブに気密に接続された中空のカソードと、中空のカソードに気密に接続され、溶着室内に突出して溶着室に接続された第2絶縁チューブと、第2絶縁チューブの回りに中間に位置して配置されたアノードと、カソード及びアノードに電圧を印加する手段と、溶着室からガスを排出する手段と、第1絶縁チューブ内にてガスをプラズマに自発的に転換する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するための装置及びプロセス、特に、材料を処理する更なる方法、例えば種々の材料から、膜を溶着又はナノ集団を形成する方法に適用するための装置及びプロセスに関する。
より正確には、本発明は、電子及びプラズマのパルスビームの発生、加速及び伝播に関し、これら電子及びプラズマのパルスビームが固形又は液状の物質からなるターゲットに向けられたとき、少量の物質の爆発的な排除、即ち、融徐(ablation)として公知の現象を得ることができる。この現象は、如何なるメカニズムの強制を意図することなく、ターゲットの面ではなくその下側にて、ビームにより実施されるエネルギの解放に関連するものと信じられ、面の下側にて材料の部分爆発を発生させる。
【背景技術】
【0002】
背景技術において、熱イオンの放射又は放電により、真空中に電子の流れを発生させ、そして、これら電子の流れを対応した電圧の場にて加速することは公知である。しかしながら、このようにして得られた電子の流れの密度は幾つかの適用例にとって十分なものではない。
背景技術において、真空中にて発生された電子は低圧のガスを含む室内の薄いシートを介して蓄積される。このように低圧領域での電子の流れは得ることができるけれども、高密度の電子の流れを要求する機器は非常に多く、その現象は十分ではない。
【0003】
米国特許第4335465号は、電圧を印加することにより、電子及びイオンを発生して加速する方法を開示し、ここでは、電圧を受けて電子を供給する電極が備えられ、低圧のガスが電子及びイオンを供給する。電極は互いに離間し、外側に対して遮蔽されている。少なくとも1個のガス排出通路が設けられており、このガス排出通路は各電極に備えられた開口によって形成され、これら開口は共通の軸線に沿って一線上に配置されている。低圧にてイオン化可能なガスは電極間に供給され、これら電極は所定の電圧源に接続され、「疑似スパーク」として知られているガス放出を実質的に発生させる。低圧ガス内にて得ることができる電子の流れの密度は、真空内での電子又はイオンの流れの密度よりも実質的に高い。
【0004】
独国特許DE3834402号はプロセスを開示し、このプロセスにて、磁気的に自己集中した電子ビーム、即ち、疑似スパークは電気的に絶縁された石英チューブのアノードの出口にて受け取られ、そして、石英チューブ内を所定の距離に亘って伝播される。石英チューブの僅かな湾曲は、ビームの伝播に視認可能な影響をもたらさず、この結果、ターゲットに対してのビームの最適な衝突角の検査を容易にする。石英チューブはある程度、融徐蒸気から疑似スパーク室を保護し、ポンプの小さな横断面積による差動ポンピングを許容する。疑似スパーク室を用いた電子ビームの発生は、ビームパワー及びビーム拡散に制限されるため、技術的に複雑である。
【0005】
米国特許第5576593号は、荷電粒子のビームを発生させる粒子ビーム加速器を開示する。この加速器によれば、所定の電荷及び質量を有する粒子がリザーバから取り出され、加速室に供給される。この加速室は2つの異なる電位間に形成され、更なるプロセスにて使用されるべきビームを提供する。
特に、米国特許第5576593号は荷電粒子を加速する加速器を開示する。ここに記載された加速器は、高粒子密度のパルスプラズマリザーバと、このリザーバから延びる内径dの絶縁チューブ室と、絶縁チューブ室の回りに互いに離間して配置され、その1つがリザーバの内壁に沿って配置された少なくとも2つの電極と、十分に低い圧力pの残留充填ガスを保持するように絶縁チューブ室を排気する手段であって、ガス圧pと絶縁チューブの内径との積(p×d)を残留充填ガスの寄生的な放電を避けるべく十分に低くする排気手段と、電極に電圧を印加する印加手段とを備え、この印加手段は、リザーバから絶縁チューブ室内に荷電粒子を取り出して、絶縁チューブ室内にて荷電粒子を加速し、絶縁チューブ室内に荷電粒子のビームを形成し、これにより、絶縁チューブ室内の残留充填ガスはその内壁に沿ってイオン化且つ分極化されて、壁に対する反発力及び軸線に対する吸引力を提供し、これら反発力及び吸引力は絶縁チューブ室から出る荷電粒子のビームを静電的に集中可能とする。
【0006】
上述の融徐現象は、例えば、ネオセラ社(Neocera Inc.)によって供給される通路スパーク融徐器(Channel Spark Ablator(CSA))として公知の市販の装置により実現される。この装置は低圧ガス内での放電特性を利用する。このような装置は図1に概略的に示されており、電子ビームは以下のようにして発生される。
図1に示されたシステムは真空システムに接続され、1.5〜3.5Pa(1.5〜3.5×10−2mbar)の範囲の圧力に維持されている。中空のカソード1と接地との間には、キャパシタ(10〜20nF)2の集層体を介して高電圧のDC発生器(10〜20kV,5mA)が配置され、このDC発生器はカソード1を接地に対して負の電圧に維持する。カソードと接地との間の電圧がエアギャップ装置3の放電値を超えたとき、装置内にエアスパークが誘起される。この放電は、トリガチューブ4の基部に配置された電極13を急速に無電位にする。トリガ電極13と中空のカソード1との間の電位差はトリガチューブ4内に含まれるガス中にて放電をトリガし、この放電は環状の永久磁石5が設けられていれば更に集中される。ガスの正イオンはカソードの基部及び壁に向かって加速され、そして、これら基部及び壁に電子を取り出すための十分なエネルギにて衝突する。取り出された電子は図でみて右方に電子を推進させる電場にて加速され、通路6内に進入される。この通路6は絶縁材料からなり、電子をターゲット8に向かわせる。イオン化されたガスが存在するために、電子の電荷は空間的に遮蔽される。装置の軸線に沿う電子密度は非常に高い値に到達し、自由な経路部分(9)でさえ、瞬間的な電子の流れは10Aのオーダの値に達する。放電力学により、放電の最初の工程中に取り出された電子は最終の工程にて取り出された電子によりも遅い。それ故、蓄積効果(遅い電子が早く出発し、そして速い電子に追い付かれる)が現れ、この蓄積効果はパルスを形成し、このパルスは明確に規定された持続期間(約100nsec)を有する。電子パルスはターゲット(8)に衝突し、その表面下の数ミクロンを貫通し、エネルギ(パルス当たり約1J)を解放して材料の融徐を引き起こし、融徐は適切な距離を存して配置された基板10上に集められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記装置は有効であるものの、幾つかの問題及び制限が認められ、これらにはキャパシタの使用可能なエネルギの一部が抵抗11を介してエアギャップに予備放電を与えるのに使用されるという事実が含まれる。更に、放電時間はエアギャップ内のスパークの解放によって決定される。放電時間は、エアギャップの接点(12)の微視的な清浄さ、周囲空気の成分、圧力及び特に湿気等の制御不能な幾つかの要因に依存し、正確に決定することができない。
【0008】
更にまた、真空室の圧力は極端に制限された範囲に維持されなければならない。
実際上、多くの材料はその圧力範囲で薄膜の形態には溶着できず、一般的には1Pa(10−2mbar)よりも低い圧力が必要である。
それ故、本発明の目的は、荷電粒子のビームを発生し、加速し、伝播する公知のタイプの装置及びプロセスの上述の不具合を、システムに供給されるエネルギに対し、高エネルギ密度の電子及びプラズマのビームを得ることが可能な装置及び方法を提供することによって解消することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、特に10kVよりも低い加速電圧を使用することにより、ターゲットからの材料の融徐を高効率にて達成する電子及びプラズマのビームを発生する装置及びプロセスを提供することにある。
本発明の他の目的は、有機材料等の高揮発性材料を膜や他の形態で溶着可能とした装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下の記述からより明らかとなる上述の目的及び更なる目的は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の装置及び方法によって達成される。
電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するための本発明の装置は、ガスを含んだ第1絶縁チューブと、この第1絶縁チューブに気密に接続された中空のカソードと、この中空のカソードに気密に接続され、溶着室内に突出して溶着室に接続された第2絶縁チューブとを備えており、第1絶縁チューブ、中空のカソード及び第2絶縁チューブは気密な真空カップリング及びガスケットを介して相互に接続され、ガスの単一容器を形成する。更に、装置は第2絶縁チューブの回りに配置されたアノードと、カソード及びアノードに電圧を印加する手段と、溶着室からガスを排出する手段と、第1絶縁チューブ内にてガスをプラズマに自発的に転換する手段とを備える。
【0011】
好ましくは、本発明の装置において、ガスをプラズマに自発的に転換する手段は、第1絶縁チューブ内のガス圧と、このガス圧と組みをなして、自発的な転換を決定するカソード電圧とを供給する手段を含む。
ガスを自発的に転換する手段は例えば、第1絶縁チューブ内に0.5〜10Paの範囲のガス圧を供給する手段を含むことができる。ガスを自発的に転換する手段は例えば、1〜30kVのカソード電圧を発生させる手段を含むことができる。
【0012】
制限されるものではないが本発明の一実施例において、ガスを自発的に転換する手段は、第1絶縁チューブ内にガスを流入させるダクトに配置されたニードル弁又は適切なタイプの制御/調整弁と、高電圧発生器(例えば、1〜30kVの電圧を発生させる発生器)とを含む。
更に、本発明の装置は、第1絶縁チューブ内にて、プラズマへのガスの自発的な転換の開始を制御する手段を更に含むことができる。
【0013】
転換の開始を制御する手段は、第1絶縁チューブ内に含まれたガスのイオン化を外側から引き起こすための電磁場を誘起する手段を含むことができる。
好ましくは、誘起手段は、制限されるものではないが、電圧パルスの印加に適したアンテナ、圧電発生器、マイクロ波のためのアンテナ、好ましくはミニチュア化されたアンテナ、無線周波数コイル、小さなパルスレーザ、光パルスを発生するデバイスから選択可能である。
【0014】
アンテナは、第1絶縁チューブの外壁に近接して、即ち、接触して配置されるか、外壁から数ミリメータの範囲内に配置可能である。特に、アンテナは、第1絶縁チューブの外壁によって形成されたキャビティ内に配置されたリニアアンテナであるか、又は、第1絶縁チューブの外壁の回りに配置されたコイルアンテナである。
本発明の装置は、第1絶縁チューブ内の圧力よりも低い圧力に溶着室内を維持する手段を更に備えることができる。
【0015】
特別な実施例において、溶着室内にて維持されるべき圧力は1Paより低く、好ましくは、約10−4Pa以下にすることができる。
溶着室内を低圧に維持する手段は、中空のカソードの内部と第2絶縁チューブとの間を接続し且つ選択された断面積を有するポートを含むことができ、選択された断面積は、中空のカソード及び第2絶縁チューブの横断面積よりも小さく、特に、5〜100分の1に小さい。
【0016】
更に、溶着室内の低圧を維持する手段は別の絞りを含むことができ、この絞りは中空のカソード及び第2絶縁チューブの内径よりも小さい直径を有し、第2絶縁チューブの第1端部分と第2端部分との間に位置付けられている。
好適には、ビームの再集中を維持するための再集中手段が更に備えられている。この再集中手段は、絶縁ディスクで分離された1個以上の金属ディスクによりなる積層体を含み、金属及び絶縁ディスクの各々は、積層体内に中央通路を形成するように一線上に並べられた中央孔を有する。好ましくは、積層体は第2絶縁チューブの第1端部分と第2端部分との間に配置され、カソードの出口とアノードとの間に位置付けられている。
【0017】
本発明の他の態様は、電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するためのプロセスに関し、このプロセスは、
ガスを含んだ第1絶縁チューブ、この第1絶縁チューブに接続された中空のカソード、この中空のカソードに接続され、溶着室内に突出してこの溶着室に接続された第2絶縁チューブ及びこの第2絶縁チューブの回りに配置されたアノードとを準備する工程と、
カソード及びアノードに電圧を印加する工程と、
溶着室からガスを排出する工程と、
第1絶縁チューブ内におけるガスのプラズマへの自発的な転換を制御下にして誘起し、カソード及び第2絶縁チューブにおけるカソードとアノードとの間の部位を通過する電子のパルスビームを発生させ、更に、第2絶縁チューブに沿って伝播させて、高密度のプラズマを発生させ、このプラズマを溶着室内に進入させる工程とを備える。
【0018】
好ましくは、自発的な転換の工程は、第1絶縁チューブ内のガス圧及び中空のカソードに印加される電圧の組合せを自発的な転換の発生に適合した値に調整することで実施される。
設定された電場での自発的な放電の発生は、公知のパッシェン法(Paschen law)により、カソードの幾何学的な寸法、ガスの絶縁特性及びその圧力に関連し、パッシェン法は、キャパシタの充電電圧下でのキャパシタの2つのプレート間に介在するガスの放電電圧と、プレートの幾何学的配置と、ガス圧との間の関係を確立し、その圧力値でのガスの導電率の依存性を実質的に反映している。ある種のガスにとって、等価な外部の電場でのイオン化能は0.1〜10Paの範囲の圧力において、顕著なピークを有することが事実上知られている。これは、高圧下では、電場に晒されるガス分子の平均自由経路が2つの分子間での衝突において、イオンを発生するための最小エネルギを供給するのに十分でないために起こり、これに対し、非常な低圧下では、分子間の衝突の可能性とイオンの組み換えの可能性とが等しくなる傾向にある。従って、組みをなして使用されるアノード及びカソードの幾何学的配置にとって、ガス圧はイオン化の可能性が高い範囲内に設定され、電極に印加される電圧が増加されれば、ガスが完全にイオン化してプラズマを形成し、放電を引き起こす電圧値が得られる。ガス圧が最小のイオン化可能な値に近づく程、放電を発生させるのに要求される電圧は低くなる。
【0019】
上記のプロセスは、プラズマへのガスの自発的な転換の開始を制御する工程を更に備えることができる。
例えば、この制御工程は、第1絶縁チューブの外壁に近接して位置付けられたアンテナに対して電圧パルスを印加することによって提供され、電圧パルスはガス中に誘起される自発的な放電の典型的な持続期間と十分に比較可能な速やかな電圧変化として規定され、即ち、1msecよりも長く無い昇降時間を有する。変形例として、絶縁チューブの外壁に近接して位置付けられたアンテナを介してマイクロ波パルスを印加することも可能であり、このマイクロ波パルスは、ガス中に誘起される自発的な放電の典型的な持続期間と十分に比較可能なマイクロ波場の速やかな強度変化として規定され、即ち、1msecよりも長く無い昇降時間を有する。他の実施例において、絶縁チューブの一部はマイクロ波共鳴キャビティ内に配置されている。更に別の実施例において、絶縁チューブ内のガスは強い光子ビームで照射され、このビームはガスをイオン化するのに十分なエネルギ及びプラズマへのガスの自発的な転換を誘起する強度を有する。
【0020】
好ましくは、本発明のプロセスは、溶着室内の圧力を第1絶縁チューブ内の圧力よりも低い圧力に維持する工程を含む。
更にまた、プロセスは、第2絶縁チューブを通過する電子ビームを再集中する工程を含む。
再集中工程は、絶縁ディスクで分離された1個以上の金属ディスクにより形成された積層体を通じて電子ビームを通過させ、金属及び絶縁ディスクの各々は中央通路を形成するように一線上に並ぶ中央孔を備え、積層体は第2絶縁チューブの第1端部分と第2端部分との間に配置され、中央通路は第2絶縁チューブの第1及び第2部分の内側断面積よりも小さな断面積を有する。
【0021】
本発明の他の態様は、ターゲットからその材料を融徐するためのプロセスに関し、このプロセスは、高密度の電子及びプラズマのビームをターゲットに衝突させ、このビームは、本発明により電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するプロセスによって発生され、加速され、伝播される。これにより、ターゲット上のビームによって付与されたエネルギは、ターゲットの面に対してその軸線が垂直な円錐の分配状態にして、中性及びイオン化した原子、分子、遊離基、原子の集団及びアモルファス及び結晶の集合の形態で、材料の放出を引き起こす。
【0022】
他の態様において、本発明は、材料の膜を溶着するためのプロセスを提供し、このプロセスは、本発明のターゲットから材料を融徐するプロセスを介して、ターゲットからその材料を融徐する工程と、ターゲットからの円錐状の材料の放出を遮断するように配置された適切なサポート上に放出材料を溶着する工程とを備える。
本発明の他の態様は、ナノ構造の材料の集合を生成するプロセスを提供し、このプロセスは、本発明のターゲットからその材料を融徐するプロセスにより、ターゲットからその材料を融徐する工程と、その飛翔時間中、放出材料を凝縮する工程と、放出材料の中間路に沿って配置された冷却面、又は,放出材料の中間経路を横断して配置された適切な多孔性のフィルタ上に材料を集める工程とを備える。
【0023】
本発明の更なる特徴及び利点は、限定されるものではなく添付図面に示された好適ではあるが制約されることのない実施例の記載からより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図2,3を参照すれば、装置20はプラズマの放電チューブAを備え、この放電チューブAはガラス又は他の電気絶縁材料からなる。このチューブの主目的は、所定量のガスを収容することにあり、この所定量のガスは中空のカソードBをトリガし、そして、カソードB内の主放電を維持するのに要求される多数のイオンを供給するのに十分である。カソードBは放電チューブAに気密に接続されている。
【0025】
チューブAの底21でのガス圧は、装置20の他の部位にて生じる圧力に対して最大となる。チューブAにはニードル弁22が接続されており、ニードル弁22の上流の圧力は大気圧以上である。実際、ニードル弁22を通じてガスの流れが発生され、このガスはチューブAの底21から中空のカソードBを通じて流れて第2絶縁チューブC1に流入し、そして、溶着室(deposition chamber)Cに流入する。この溶着室CはカソードBに気密に接続され、その下流にガス排出手段が設けられている。このガス排出手段は真空ポンプシステムPにより構成されている。簡略化を図るため、放電チューブA及び第2絶縁チューブC1の両方は以降、「絶縁チューブ」A,C1として称される。
【0026】
チューブA内に含まれるガスは、ガスを自発的に転換する手段によりプラズマに転換され、この手段はニードル弁22と、中空のカソードBと周囲の環境との間に発生される静電電圧により構成されている。この転換はパッシェン法(Paschen’s law)に従い、ガスに付与された電圧/局所な圧力の値が所定の組み(典型的な値は、10kV,5Pa)をなすと、自発的に生起可能であり、ここでは自己放電として参照される。
【0027】
自己放電は、ガスの自発的な転換の開始を制御する手段、特に、電圧パルスVを制御することで容易になり、電圧パルスVはキャビティ24内に配置されたリニアアンテナ23に印加されるか、又は、チューブAの回りに巻付けられたコイルアンテナ25に印加される(図3参照)。
アンテナ23又は25での制御されたパルスの発生は、制御手段の一実施例を構成し、自己放電の状態に維持されているチューブAの放電開始を制御可能とする。
【0028】
それ故、放電に使用されるか又は放電に使用可能なエネルギを少しも吸収することなく、外部のパルスは自己放電が開始する瞬間のみに提供される。
中空のカソードBは公知の装置と同様なものであり、この公知の装置はコリメートされた電子ビームを発生する分野にて一般的に使用されている。例えば、本発明にて使用された中空のカソードBは中空の金属装置であって、入手可能な公知の文献に記載されているように、キャビティの直径、長さ、ドームの曲率半径の間にて幾何学的な比率を備えている。カソードにおける電子ビームの出力端には、溶着室C内を低圧に維持する手段が設けられており、この手段はポート26によって形成された絞りを含み、ポート26はチューブA,C1よりも小さな断面積を有する。このような絞りは、装置のX−X軸線に沿って正確に加速されない多数の電子をビームから除去する。中空のカソードBは電圧を印加する手段に接続されており、この手段は、高電圧発生器HTによって構成され、キャパシタ27の集積体を介して電圧を印加する。キャパシタ27の集積体は自己放電に要求されるエネルギ及び加速された電子のための加速電圧を供給可能である。
【0029】
図2に概略的に示された装置は第2絶縁チューブC1を更に備え、この第2絶縁チューブC1内にて先ず、電子の加速、次に、高密度の電子及びプラズマのビームの伝播が生じる。特に金属ディスクからなり、そして、絶縁ディスク29で分離されている穿孔ディスク(28)の積層体は、ビームを集中させてコリメートする。ここでの積層体は参照符号C2によって示されている。
【0030】
本発明の発明者等は、ポート26の断面積よりも大きな横断面積を有する絶縁チューブC1の使用により、電子及びプラズマのビームの優れた伝播特性が得られることを見出した。また、発明者等は、再集中手段によりビームを再集中している間、優れた伝播特性が維持されることを見出した。再集中手段は、排他的ではないが1つの可能な実施例として、穿孔ディスクの積層体C2により構成され、この積層体は金属ディスク28によって形成されている。金属ディスク28は、絶縁ディスク29により互いに分離され、このような積層体C2にて、絶縁チューブC1の第1部分と第2部分との間に配置されている。ディスクは静電電圧下に置かれており、この静電電圧はカソードBとアノード30によって構成された接地参照とでの電圧間の中間にある。
【0031】
ディスク28,29は中央孔を有し、この中央孔は横断面積dC2を有する。ディスク28,29は第2絶縁チューブの軸線XX上に位置付けられ、中央通路31を形成するので、横断面積dC2はポート26の横断面積dB以上である。ディスクが発生する場は、電子ビームの運動における軸線方向成分を再調整する。
通路31がポート26の断面積にほぼ等しい減少した断面積を有しているならば、通路31は第1のポート26とともに、溶着室C内を低圧に維持する手段を構成する。
【0032】
再調整効果は、ビームの流れの高い値(正確な運動方向を有したより多くの電子数)を維持可能とし、そして、高密度の電子及びプラズマのビームの弾道的な伝播を容易に許容するのに十分に広い直径の出力通路36の使用が可能となる。
更に、その断面積が絶縁チューブC1の外側断面積にほぼ一致する中央通路31を備えたディスク28,29の提供も可能であり、これにより、ディスクの積層体C2はチューブC1の回りに配置可能である(図4参照)。
金属ディスク28や絶縁ディスク29の数は、絶縁チューブC1や電子及びプラズマのビームにとって最適なコリメート及び加速を提供する領域をカバーする電場の長さに応じて変更可能である。
【0033】
それ故、本発明の装置によれば、カソード及び溶着室Cの圧力とは独立して、放電を発生する装置内に圧力を付与可能とし、制御されたリーク(ニードル弁22)を介して異なるガス排出システムを提供することが示される。本発明の装置は、放電チューブ、プラズマチューブA及び溶着室C間に正の圧力差を維持可能とし、溶着室Cはターゲット32及び基板33を収容でき、ポンプシステムPに接続されている。
【0034】
驚くことに、第1絶縁チューブ内に0.5Pa〜10Paの範囲の圧力(第2絶縁チューブC1に沿う明確な圧力勾配)を得るようにニードル弁の開度を調整し、そして、カソードに電圧を印加することにより、ターゲット上に融徐を発生する特性を有した電子の放電及びプラズマの発生が可能であることが見出された。実際には、キャパシタ27にある電圧が供給され、ここでの電圧は如何なる場合でも、従来の装置にて使用される通常の電圧よりも十分に高くないものとなっている。従って、トリガ回路は完全に不要である。ここで、この現象は、「自己スパーク融徐」と名付けられ、文献に記載の方法及び装置とは実質的に異なる。何故なら、電場及び圧力勾配のために、放電をトリガするイオン及び電子は中空のカソード内にて直接に発生されるからであり、この圧力範囲でのガスの導電性はその圧力に大いに依存する。
【0035】
中空のカソードB及び通路31内の圧力がニードル弁22の開度により調整されるので、ターゲット32及び基板33を収容し且つ融徐現象が観察される溶着室C内の圧力範囲は、電子パルスを発生可能な従来技術の制限された値とは独立したものとなる。ニードル弁22を通過するガスの圧力が約1Paに維持されている間、溶着室内の平均圧は実際上、10−4Paまで低下される。
【0036】
更にまた、キャパシタ27に蓄えられたエネルギの全てがターゲットに向けて放射されるので、融徐を発生させる電子及びプラズマのビームのエネルギはより高い。従って、10kVよりも低い加速電圧にて融徐が可能となり、これは通路スパーク方法では不可能である。従って、本発明の装置及びプロセスは、有機材料等のより揮発性材料の溶着が可能である。
【0037】
更にまた、本発明の発明者等は、プラズマへのガスの自発的な転換を制御する工程にて、静電気、無線周波数、マイクロ波型の電磁場、又は、可視及び/又はUV範囲の光子による電磁場を外側から送ることにより、自己スパークシステムが有効且つ簡単にトリガ可能であることを見出した。
更に、絶縁チューブAの一部を公知の共鳴キャビティに置き換えることも可能である。
【0038】
如何なる種類の接点を必要としない電気的な障害の徴候は放電の不均衡を発生さ、この不均衡は非常に小さいものの、自己スパークのトリガをなすには十分である。
如何なる場合でも、絶縁チューブAが提供される材料は、使用される各モードにてパルス現象を妨害しないものである。
従って、本発明の装置は、高融点金属(ロジウム、チタニウム、タンタル)、セラミック、ガラス状材料(ペロブスキ石、カーバイト、ニトリド、鋼玉石、耐火酸化物、硼珪酸ガラス)及び有機材料(テフロン(商標)、硫化オリゴマー)等の広範囲の種々の材料を融徐可能な電子及びプラズマのビームを発生させるため、アンテナ23,25のみならず、圧電手段、マイクロ波のためのミニチュアアンテナ、光学的パルス発生器、無線周波数コイル、小形のパルスレーザ等の他のイオン化手段により発生される場に使用可能である。
【0039】
実際上、本発明の装置によれば、例えば、信頼性及び低コストの点から選択され且つ可変周波数にて発振する簡単な回路により駆動される車両の電子始動回路を使用し、100nsecのオーダのパルスの持続期間中、0.01Hz〜100Hzに設定された周波数にて、電子のパルス及び高密度のプラズマを得ることが可能となる。これらパルスは、1.5KV〜25kV(電源及び実施例にて使用されたキャパシタの制限)の電子の加速範囲にて、融徐を発生可能である。溶着室内の平均圧力は、10−4Pa〜1Paの範囲の任意の値に維持可能であり、これにより、事実上、一般的な使用が可能な自己スパーク溶解を提供する。
【0040】
他の態様において、本発明はターゲットから材料を融徐する装置及び方法、付け加えて、融徐により発生された材料を膜状、特に薄膜に溶着可能な装置及び方法、そして、融徐により発生された材料をマイクロ又はナノの集団の形態にて集める装置及び方法を提供する。
このような本発明の装置は、上述の発明に従い、電子のパルス及びプラズマのビームを発生し、加速し、そして、伝播するための装置を含み、この装置の溶着室C内に融徐すべき材料からなるターゲット32及び融徐により発生された材料を溶着して集めるためのサポート33が設けられる。ターゲット32は、電子及びプラズマのビーム34の衝突や、サポート33に向けて除去された材料35の移送に適した位置に位置付けられる。一旦、ターゲット32が衝突を受け、ターゲット32から材料の融徐が生じると、融徐により除去された材料35はサポート33に向け、ターゲット32に対して直角に移送、即ち、推進される。
【0041】
実際上、如何なるガス又は混合ガスでも使用可能である。ガスのタイプは、融徐又は溶着されるべき材料から選択される。例えば、O,Ar,Ar,1%H,N,空気、Kr,Xeが使用される。また、ターゲット上へのエネルギはガスの分子質量に依存する。
溶着例
ガス:アルゴン、供給圧:1.2バール、ニードル弁の流量:10−6mbar*l/sec、第1絶縁チューブの容量:26cm、放電電圧:12.5kV、放電反復:2.7Hz、放電制御:2.50nsec持続する1.5KVのパルスが供給されるコイルによる、第2絶縁チューブの長さ:110mm、第2絶縁チューブの断面積:6mm、溶着室の容積:35dm、ポンピング流量:60l/min、ターゲット材料:セリウム酸化物、ターゲットに対する第2絶縁チューブの距離:3mm、基板:サファイア、基板に対するターゲットの距離:6cm、溶着時間:20分、溶着されたセシウム酸化物の膜:1.44cmの表面あたり960nm。
【0042】
本発明が適用される変形例において、ターゲットから融徐された材料からナノチューブが形成され、材料はナノ集団型のナノ集合の堆積を形成する。
実際上、ナノ集団の生成を提供する材料を融徐可能とする電子及びプラズマのビームが上述の装置及びプロセスにより効果的に提供されることを見出した。
当業者は、好適な実施例に記載した装置の特徴が添付の請求項の範囲内に含まれる技術的に等価な他のものに置き換え可能であることを理解できる。
【0043】
本出願の優先権主張の基礎であるイタリア特許出願番号MI2005A000585号の開示は参照として本出願に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】背景技術の融徐装置の概略図である。
【図2】好適であるが制約されることのない本発明の実施例の装置、つまり、電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播する装置の実施例の概略図である。
【図3】変形例における絶縁チューブの一部概略図である。
【図4】別の変形例における絶縁チューブの一部概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度の電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するための装置であって、
ガスを含んだ第1絶縁チューブと、
前記第1絶縁チューブに気密に接続された中空のカソードと、
前記中空のカソードに気密に接続され、溶着室内に突出して前記溶着室に接続された第2絶縁チューブと、
前記第2絶縁チューブの回りに中間に位置して配置されたアノードと、
前記カソード及び前記アノードに電圧を印加する手段と、
前記溶着室からガスを排出する手段と、
前記第1絶縁チューブ内にてガスをプラズマに自発的に転換する手段と
を具備した装置。
【請求項2】
ガスをプラズマに自発的に転換する前記手段は、前記第1絶縁チューブ内のガス圧と、このガス圧と組みをなして、前記自発的な転換を決定するカソード電圧とを供給する手段を含む、請求項1の装置。
【請求項3】
自発転換のための前記手段は、前記第1絶縁チューブ内にガスを流入させるダクトに配置されたニードル弁と、高電圧発生器により構成された電圧印加手段とを含む、請求項2の装置。
【請求項4】
前記第1絶縁チューブ内にて、プラズマへのガスの自発的な転換の開始を制御する手段を更に含む、請求項1〜3の何れかの装置。
【請求項5】
前記制御手段は、ガスのイオン化に適した電磁場を誘起させるイオン化手段を含む、請求項4の装置。
【請求項6】
前記制御手段は、電圧パルスを印加に適したアンテナ又はマイクロ波を付与に適したアンテナにより構成されている、請求項4又は5の装置。
【請求項7】
前記イオン化手段は光パルスを発生するデバイスを含む、請求項4又は5の装置。
【請求項8】
前記アンテナは、前記第1絶縁チューブの外壁に近接して配置され、前記第1絶縁チューブの外壁により形成された中空容器内に位置付けられリニアアンテナ、又は、前記第1絶縁チューブの外壁の回りに配置されたコイルアンテナによって構成されている、請求項6の装置。
【請求項9】
前記溶着室内を前記第1絶縁チューブ内の圧力よりも低い圧力に維持する手段を更に具備する、請求項1〜8の何れかの装置。
【請求項10】
低圧に維持する前記手段は、前記溶着室内を1Paよりも低い圧力、好ましくは10−4Paから1Paの範囲の圧力に維持する、請求項8の装置。
【請求項11】
低圧に維持する前記手段は、前記中空のカソードの内部と前記第2絶縁チューブとの間を接続するポートによって構成された絞りを含み、このポートは前記中空のカソードの内側横断面積及び前記第2絶縁チューブの断面積よりも小さい断面積を有する、請求項9又は10の装置。
【請求項12】
前記溶着室内を低圧に維持する前記手段は、中央通路を更に含み、この中央通路の断面積は前記中空のカソードの内側断面積及び前記第2絶縁チューブの断面積よりも小さく、前記中央通路は前記第2絶縁チューブの第1端部分と第2端部分との間に配置されている、請求項9,10又は11の装置。
【請求項13】
第2絶縁チューブ内にて、電子及びプラズマのビームの集中を維持する再集中手段を更に具備する、請求項1〜12の何れかの装置。
【請求項14】
前記再集中手段は、絶縁ディスクで分離された1個以上の金属ディスクにより構成された積層体を含み、前記金属及び絶縁ディスクの各々は前記中央通路を形成するように前記第2絶縁チューブの軸線上に位置決めされた中央孔を有し、前記積層体は前記第2絶縁チューブの第1部分と第2部分との間に配置されている、請求項13の装置。
【請求項15】
前記中央通路は、前記中空のカソードからの出口のための前記ポートの断面積以上の断面積を有する、請求項14の装置。
【請求項16】
高密度の電子及びプラズマのビームを発生し、加速し、伝播するためのプロセスであって、
ガスを含んだ第1絶縁チューブ、この第1絶縁チューブに接続された中空のカソード、この中空のカソードに接続され、溶着室内に突出して前記溶着室に接続された第2絶縁チューブ及びこの第2絶縁チューブの回りに配置されたアノードとを準備する工程と、
前記カソード及び前記アノードに電圧を印加する工程と、
前記溶着室からガスを排出する工程と、
前記第1絶縁チューブ内でのプラズマへのガスの自発的な転換を制御下にして誘起し、前記カソード及び前記第2絶縁チューブを通過する電子のパルスビームを発生させ、次に前記溶着室内に電子とともに進入する高密度のプラズマを発生させる工程と
を具備したプロセス。
【請求項17】
自発的な転換の工程は、前記第1絶縁チューブ内のガス圧及び前記中空のカソードに印加される電圧の組合せを前記自発的な転換に適した測定値に調整することで実施される、請求項16のプロセス。
【請求項18】
前記自発的な転換の開始を制御する工程を更に具備する、請求項16又は17のプロセス。
【請求項19】
前記制御工程は、前記第1絶縁チューブの外壁に近接して配置されたアンテナに電圧パルスを印加する、請求項18のプロセス。
【請求項20】
前記制御工程は、前記第1絶縁チューブの外壁に近接して配置されたアンテナを介してマイクロ波パルスを印加する、請求項18のプロセス。
【請求項21】
前記制御工程は、前記第1絶縁チューブを通じて可視及び/又はUVスペクトルの光子からなる光パルス、及び/又は、自発的な転換の開始を決定するエネルギを有した光パルスを向け、前記第1絶縁チューブは使用される放射を妨害しない材料で形成されている、請求項18のプロセス。
【請求項22】
前記溶着室内の圧力を前記第1絶縁チューブ内の圧力よりも低い圧力に維持する工程を更に含む、請求項16〜21の何れかのプロセス。
【請求項23】
前記第2絶縁チューブを通過する電子及びプラズマのビームを再集中する工程を更に含む、請求項16〜21の何れかのプロセス。
【請求項24】
前記再集中工程は、絶縁ディスクで分離された1個以上の金属ディスクによるなる積層体を通じて電子及びプラズマのビームを通過させ、前記金属及び絶縁ディスクの各々は中央通路を形成するように一線上に並ぶ中央孔を備え、前記積層体は前記第2絶縁チューブの第1端部分と第2端部分との間に配置され、前記中央通路は、前記第2絶縁チューブの第1及び第2部分の内側断面積よりも小さな断面積を有する、請求項23のプロセス。
【請求項25】
ターゲットからその材料を融徐するためのプロセスであって、
請求項16〜24の何れかのプロセスにより発生、加速及び伝播された高密度の電子及びプラズマのビームを前記ターゲットに衝突させ、前記ターゲット上に前記ビームによって付与されたエネルギが、前記ターゲットの面に対して垂直な軸線を有した円錐状の分配状態にして、中性及びイオン化した原子、分子、遊離基、原子の集団及びアモルファス及び結晶両方の集合の形態で、材料の放出を引き起こす、プロセス。
【請求項26】
材料の膜を溶着するためのプロセスであって、
請求項24のプロセスによりターゲットからその材料を融徐する工程と、
前記ターゲットからの円錐状をなす材料の放出を遮断するように配置された適切なサポート上に放出材料を溶着する工程とを備える、プロセス。
【請求項27】
ナノ構造の材料の集団を生成するプロセスであって、
請求項24のプロセスによりターゲットからその材料を融徐する工程と、
放出された材料を凝縮する工程と、
その近傍の他の面の温度よりも低い温度に維持されるように制御された温度を有し且つ放出材料の経路に沿って配置された冷却面上、又は、集められるべき粒子の最小寸法よりも小さな気孔路の開口を有して選択され、放出材料の経路に沿って配置された多孔性のフィルタ上に前記放出材料を集める、プロセス。
【請求項28】
ターゲットから融徐された融徐材料をサポート上に溶着させるシステムであって、
請求項1〜15の何れかの装置と、
融徐されるべき材料からなるターゲットと、
融徐された材料を溶着させるためのサポートと
を備え、
前記サポートは前記装置の溶着室内に配置されている、システム。
【請求項29】
前記ターゲットは、前記装置内での電子及びプラズマのビームの伝播軸線に沿って配置されたターゲット面を含み、このターゲット面は前記伝播軸線に対して約45度の傾斜角で配置されている、請求項28のシステム。
【請求項30】
前記サポートは、膜又はナノ集団を溶着するための面を有する、請求項28又は29のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−535193(P2008−535193A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504682(P2008−504682)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003107
【国際公開番号】WO2006/105955
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507326010)
【氏名又は名称原語表記】MATACOTTA, Francesco, Cino
【住所又は居所原語表記】Via Oblach, 3, I−40141 Bologna, ITALY
【出願人】(507326021)
【氏名又は名称原語表記】TALIANI, Carlo
【住所又は居所原語表記】Via Dotti, 10, I−40135 Bologna, ITALY
【Fターム(参考)】