説明

電子媒体処理装置

【課題】
商品の会計情報を、ネットを介することなく商品購入時に電子データとして恒常的に利用可能な非紙媒体である電子媒体に出力して保持させること。
【解決手段】
電子媒体処理装置10は、再書き込み可能な電子媒体20と、電子媒体に記録した会計履歴情報を読み込むリード部11と、商品のラベルに表示されたバーコードを取り込むスキャナ部12と、バーコード情報に応じた商品情報を設定する会計情報設定部13と、会計履歴情報を更新する会計情報蓄積部14と、更新した会計履歴情報を電子媒体に書き込むメモリ出力部15と、会計履歴情報を目視情報とする表示出力部16とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品購入時における会計情報の出力処理を行なう電子媒体処理装置に関し、詳しくは、会計情報を電子化して電子媒体に出力する電子媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、購入商品の会計情報の提供は、会計情報を紙レシートに印刷して行われている。このような会計情報には、購入日付、商品名、個数、商品単価、合計金額等が記載されている。近年においては、特許文献1に記載されているように、会計情報を提供する装置として、紙レシートとデジタルデータである電子レシートとを選択して出力できるものが開示されている。
この装置では、前提として、顧客毎の電子レシートデータがインターネットに接続されたサーバに記憶されている。顧客が電子レシートを必要とするときは、装置からネットを介してサーバに電子レシートの配信要求を行なうことによりメールにて電子レシートの配信が受けられる。
【特許文献1】特開平2002−312853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記装置で用いられる電子レシートは電子データそのものであり、電子レシートを利用するためには、先ずネットに接続しなければ求める情報を得ることができない。
また、電子レシートの供給は、ネットを介して行なわれる。つまり、ネットに異常が生じた場合には、電子レシートを得る事ができない。
また、上記装置で選択的に出力できる紙レシートは、従来の紙レシートと何ら変わることなく紙資源の消費を助長する。
【0004】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ネットを介することなく商品の会計情報を電子データとして電子媒体に常時保持可能にする装置を提供することを課題とする。
また、紙レシートを使うことなく恒常的に利用できる電子媒体を用いることで紙資源の保全に供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、商品購買の履歴である会計履歴情報を記憶できるメモリ機能を有するICチップを備えた電子媒体と、上記メモリに記憶されている会計履歴情報を読み込むリード部と、購入する商品ラベルに記載された商品情報を読み込むスキャナ部と、上記商品情報に応じた会計情報の設定を行なう会計情報設定部と、上記会計履歴情報に上記会計情報を蓄積する会計情報蓄積部と、上記会計情報が蓄積された会計履歴情報を上記メモリに書き込むメモリ出力部とを備えた電子媒体処理装置を提供する。
用いる電子媒体は接触型や非接触型のICカードが利用できる。商品情報は、商品名及び販売価格そのものや、コード化された情報を利用できる。また、商品情報には、サービスポイント等購買情報に関連する情報も含まれる。
【0006】
また、電子媒体は、表裏面を有するカード状に形成され、表裏面の一部に再書き込み表示可能な表示部を備え、表示部に、会計情報が蓄積された会計履歴情報を書き込む表示出力部を備えた電子媒体出力装置を提供する。
表示部には、直近の購買情報を表示することができ、電子媒体のメモリに記録する情報と区別することができる。
【0007】
また、電子媒体への会計蓄積情報書き込み時に、表示部側に表示出力部が位置し、表示部の反対側にメモリ出力部が位置するように、表示出力部とメモリ出力部とを相対して配置する電子媒体処理装置を提供する。
電子媒体の表裏両面に夫々情報を同時に書き込むことができる。
【0008】
また、表示部は、感熱作用により再書き込み可能な感熱材からなり、表示出力部は、表示部に感熱書き込みを行なうサーマルヘッドを備える電子媒体処理装置を提供する。
【0009】
また、表示部は、磁気作用により再書き込み可能な磁気材からなり、表示出力部は、表示部に磁気書き込みを行なう磁気ヘッドを備える電子媒体処理装置を提供する。
【0010】
また、電子媒体は、ICチップとリード部との情報交信に必要なアンテナとからなるインレットを備え、リード部とメモリ出力部は、電子媒体と会計履歴情報の情報交信を行なう共通のアンテナを備える電子媒体処理装置を提供する。
非接触情報交信が可能になる。
【0011】
また、商品情報は、デジタルコードからなり、スキャナ部は、上記デジタルコードを読み込む機能を備え、会計情報設定部は、デジタルコード情報に応じた商品情報を設定する機能を備える電子媒体処理装置を提供する。
商品情報は、装置自体に持たせても、外部に持たせてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によると、購入した商品の会計情報はネットを介して取得する必要がなく、個人所有の電子媒体に蓄積可能になる。
また、電子媒体に蓄積された情報は個人で利用可能であり、家計簿情報等として有効にパソコン等で利用できる。
また、用いる電子媒体は、リライタブル可能な非紙材質である。従来、会計情報出力媒体として大量に消費されているリライタブル不能な紙媒体を使う必要がない。即ち、紙資源の徒な浪費が抑制され、紙資源の保全に大きく貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに本発明の実施の形態による電子媒体処理装置を図1乃至図3に基づき説明する。
基本的に、本発明の電子媒体処理装置は、商品の購入によって生じる会計情報を出力する意味において、従来のPOS端末と変わりは無い。しかし、出力対象が、紙媒体ではなく、電子データを記憶できる電子媒体を用いることにおいて異なり、非常に有効な効果を奏するものである。
また、ここで用いる商品情報は、バーコード(デジタルデータ)とし、バーコードに対応する商品情報(商品名や金額等)はネットを介して接続されるホストのデータベースに蓄積している。
尚、ここで説明する機能は、その機能を通常実現する機器により行なわれる。
【0014】
図1には、本発明の電子レシート処理装置のブロック構成図を示す。
電子媒体処理装置10は、電子媒体20と、リード部11と、スキャナ部12と、会計情報設定部13と、会計情報蓄積部14と、メモリ出力部15と、表示出力部16とを備えて構成する。以下、電子媒体処理装置10の構成について説明する。また、電子媒体処理装置10の動作についても、図3を参照して説明する。
【0015】
電子媒体20は、図2に示すように、表裏面を有するカード状に形成されている。
図2(A)に示すように、電子媒体の表面21は感熱作用により再書き込み可能な感熱材からなる表示部22を備える。
また、図2(B)に示すように、電子媒体の裏面23はICチップ24とアンテナ25とからなるインレットを備える。
また、図3(C)に示す電子媒体11の断面図によれば、表裏面の間には断熱面26が設けられている。
この電子媒体20の構成から、電子媒体20の表面21からの感熱書き込みと、裏面23からの無線書き込みとは、同時に処理可能であることがわかる。図示しないが、電子媒体20への会計蓄積情報書き込み時に、表示部21側に表示出力部16が位置し、表示部21の反対側にメモリ出力部15が位置するように、表示出力部16とメモリ出力部15とを相対して配置している。
【0016】
リード部11は、メモリ出力部15は、電子媒体と無線による情報交信を行なう共通のアンテナを備える。情報交信にて、リード部11はメモリに記憶されている会計履歴情報を読み込み(図3A)、メモリ出力部15は新たに購入した商品の会計情報が蓄積された会計履歴情報を上記メモリに書き込む(図3B)。
【0017】
スキャナ部12は、商品のラベルに表示されたバーコード(デジタルコード)を読み込む(図3C)機能を備える。
【0018】
会計情報設定部13は、バーコードに応じた商品情報を設定する機能を備える。スキャナ部12で読み取ったバーコードデータはネットを介してホストのデータベースにて照会され、対応する商品情報が会計情報設定部13に設定される(図3D)。
【0019】
会計情報蓄積部14は、リード部11で読み込まれた会計履歴情報に、会計情報設定部13に設定された商品情報を加える(図3E)。会計履歴情報と商品情報とは、実質データ形式が同じである。購入時の商品の個々の商品情報が個別に蓄積されるとともに、これまでの合計金額や購入日時における購入金額の計算処理を行なう。
【0020】
表示出力部16は、表示部22に会計履歴情報を感熱作用により書き込みを行なうサーマルヘッドを備える。会計履歴情報は、表示出力部16にて、ドットデータに変換されて表示部22に反映される(図3F)。表示出力部16に提供される会計履歴情報の例としては、最新の購入日時の会計情報や過去の購入金額等が挙げられる。
【0021】
このように、本発明の電子媒体処理装置10を用いれば、従来例のように紙媒体を全く必要としない。また、ネットに依存することなく会計履歴情報を電子媒体に保持することができる。
また、会計履歴情報をパソコン等で取り込み所望の情報形式にすることができる。
【0022】
以上の如く、本発明を上記実施例にて説明したが、当該実施例に限定されることはない。電子媒体20の表示部21に磁気作用により再書き込み可能な磁気材を用い、表示出力部16に、表示部15に磁気書き込みを行なう磁気ヘッドを備えても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子媒体処理装置の機能ブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子媒体処理装置の電子媒体の一例を示す構成図。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子媒体処理装置の動作説明図。
【符号の説明】
【0024】
10 電子媒体処理装置
11 リード部
12 スキャナ部
13 会計情報設定部
14 会計情報蓄積部
15 メモリ出力部
16 表示出力部
20 電子媒体
21 表面
22 表示部
23 裏面
24 ICチップ
25 アンテナ
26 断熱面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品購買の履歴である会計履歴情報を記憶できるメモリ機能を有するICチップを備えた電子媒体と、
上記メモリに記憶されている会計履歴情報を読み込むリード部と、
購入する商品ラベルに記載された商品情報を読み込むスキャナ部と、
上記商品情報に応じた会計情報の設定を行なう会計情報設定部と、
上記会計履歴情報に上記会計情報を蓄積する会計情報蓄積部と、
上記会計情報が蓄積された会計履歴情報を上記メモリに書き込むメモリ出力部と
を備えた電子媒体処理装置。
【請求項2】
上記電子媒体は、表裏面を有するカード状に形成され、当該表裏面の一部に再書き込み表示可能な表示部を備え、
上記表示部に、上記会計情報が蓄積された会計履歴情報を書き込む表示出力部を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子媒体出力装置。
【請求項3】
上記電子媒体への会計蓄積情報書き込み時に、上記表示部側に表示出力部が位置し、当該表示部の反対側にメモリ出力部が位置するように、上記表示出力部と上記メモリ出力部とを相対して配置することを特徴とする請求項2記載の電子媒体処理装置。
【請求項4】
上記表示部は、感熱作用により再書き込み可能な感熱材からなり、
上記表示出力部は、上記表示部に感熱書き込みを行なうサーマルヘッドを備えることを特徴とする請求項1、2または3記載の電子媒体処理装置。
【請求項5】
上記表示部は、磁気作用により再書き込み可能な磁気材からなり、
上記表示出力部は、上記表示部に磁気書き込みを行なう磁気ヘッドを備えることを特徴とする請求項1、2または3記載の電子媒体処理装置。
【請求項6】
上記電子媒体は、上記ICチップと上記リード部との情報交信に必要なアンテナとからなるインレットを備え、
上記リード部と上記メモリ出力部は、上記電子媒体と上記会計履歴情報の情報交信を行なう共通のアンテナを備えることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の電子媒体処理装置。
【請求項7】
上気商品情報は、デジタルコードからなり、
上記スキャナ部は、上記デジタルコードを読み込む機能を備え、
上記会計情報設定部は、上記デジタルコード情報に応じた商品情報を設定する機能を備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の電子媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−187434(P2009−187434A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28685(P2008−28685)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】