電子弦楽器
【課題】 初心者が容易に演奏技術を習得できるような電子弦楽器を安価に提供する。
【解決手段】 6本の弦を撥弦して電子的に楽音を発生する電子ギターにおいて、ボディ1から所定方向に延びるネック2の表面に形成され、各弦5のフレット番号1からフレット番号5の限定された範囲のみを有するフィンガーボード3を備えている。CPUは、演奏する曲にかかわらず、表示信号出力回路を介して、LEDを点灯させて押圧すべき位置を指示する。
【解決手段】 6本の弦を撥弦して電子的に楽音を発生する電子ギターにおいて、ボディ1から所定方向に延びるネック2の表面に形成され、各弦5のフレット番号1からフレット番号5の限定された範囲のみを有するフィンガーボード3を備えている。CPUは、演奏する曲にかかわらず、表示信号出力回路を介して、LEDを点灯させて押圧すべき位置を指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子弦楽器に関し、特に、演奏をガイドする機能を具備した電子弦楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ギターなどの電子弦楽器の演奏をガイドする機能に関する技術がいくつか提案されている。このような電子弦楽器の中には、運指によって音高を指定するために、ネックに張られた複数の弦に対応するフィンガーボード(指板)の位置に、隣接するフレット間に押圧スイッチ群を備え、演奏するボディの所定部分に複数の疑似的な弦を設けて、各弦の撥弦を検知するセンサを備えているものがある。演奏の際には、左手の指で1つ以上の押圧スイッチを押さえて、右手の指で弦を撥弦するようになっている。
【0003】
例えば、ある特許文献の発光表示機能付電子弦楽器によれば、各弦又は各フレットに対する運指操作位置、撥弦操作すべき弦、ピッキングの方向性などを明確に視認することができるほかに、音高領域を複数に分割するフレットスプリット位置、カポタスト機能設定位置、移調のためのトランスポートの基点位置、各フレットの位置なども明確に視認できるようになっている。
この提案において、例えば、各フレットに対する運指操作位置を検出するために、ネックに張られた6本のフレット弦に対応する指板に、隣接するフレット間(開放弦と第1フレットとの間、第1フレットと第2フレットとの間、……第14フレットと第15フレットとの間)の15の位置に、6本の弦に対応して90個(15×6)の音高指定スイッチが埋設されている。また、各フレット弦に沿って15本の光導光体が各音高指定スイッチまで設けられ、各光導光体の端部から入射したLEDの光によって押圧すべき音高指定スイッチをガイドするようになっている。具体的には、6本のフレット弦のそれぞれに対応する4ビットのデコーダをLED駆動用に設けて、各フレット弦のいずれかの音高指定スイッチを指定できる回路が構成されている。(特許文献1参照)
また、他の2つの特許文献の電子楽器においても同様に、ネックに張られた6本のフレット弦に対応する指板に、隣接するフレット間の12の位置に、6本の弦に対応して72個(12×6)の発光指示LED付フレットスイッチ(音高指定スイッチ)が埋設されている。(特許文献2、特許文献3参照)
また、他の特許文献のナビゲーション弦楽器によれば、初心者でも容易に演奏操作ができるために、6本の弦が張られたネックには、押圧操作によって音高を指定する指板が形成され、指板のフレット0(開放弦)からフレット20までの間に、押圧操作をガイドするために発光するLEDが設けられている。さらに、この特許文献の図11および段落番号「0012」および「0024」に記載されているように、フレット0からフレット20のうち、曲情報の音高データが最も多く分布する4フレットをポインタbによって指定する構成になっている。(特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−136962号公報
【特許文献2】特開2002−258866号公報
【特許文献3】特開2004−205995号公報
【特許文献4】特開平11−249651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1乃至特許文献3においては、指板の押圧操作すべき音高指定スイッチをLEDの発光によってガイドしても、72個乃至90個の中からLEDが発光している音高指定スイッチの位置を押圧することは、初心者にとって極めて困難な演奏操作である。
これに対して、特許文献4の場合には、演奏する曲に応じて4フレットを選択し、24個(6×4)の中からLEDが発光している音高指定スイッチの位置を押圧するので、押圧するために移動する左手の範囲は小さい。しかし、特許文献4の図11から明らかなように、選択する4フレットが曲に応じて変化すると、同じ音高であっても押圧すべき位置も変化してしまう。例えば、「A3」、「C4」、「G4」の音高を演奏する際に、「b=2」の場合と「b=3」の場合とでは、押圧する指の形が全く異なってしまう。このため、初心者にとっては極めて困難な演奏操作になってしまう。また、演奏する曲が選択されたときに、演奏に先だってその曲を読み出して、音高データが最も多く分布する4フレットを決定しなければならず、そのための特別な制御プログラムを必要とするので、開発費用やプログラムメモリの容量によってコストアップを招くことになる。
本発明は、このような従来の課題を解決するためのものであり、初心者が容易に演奏技術を習得できるような電子弦楽器を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、楽器本体に張設された少なくとも一本の弦の撥弦操作により、押圧されているフレット位置に対応する音高の楽音を楽音発生手段により発生させる電子弦楽器において、限定されたフレット範囲内でダイアトニックスケールの音高の楽音を前記楽音発生手段にて発生するために必要なフレット押圧位置を示すフレット位置データが記憶されたメモリと、前記メモリに記憶されたフレット位置データを所定の順序で読み出すとともに、当該読み出されたフレット位置データに対応するフレット位置を指示するための表示信号を出力する表示出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の電子楽器において、請求項2に記載したように、前記楽器本体には6本の弦が張設され、前記メモリに記憶するフレット位置データは、5フレットの範囲内で当該範囲内の最低フレットからひとつ飛びに指定される3個のフレットの各弦に対応するフレット位置を示すデータでかつ、前記最低フレットの3弦及び4弦に対応する2個のフレット位置データのみ、この2個のフレット位置データに代えて、1フレット分音高が高くなるフレット位置を示す位置データを有することを特徴とする。
【0008】
請求項1の電子楽器において、請求項3に記載したように、前記表示出力手段は、所定の順序で読み出しを開始する前に、前記メモリに記憶されている全てのフレット位置を同時に読み出すことにより、前記フレットにおいて記憶された全てのフレット位置を一定時間同時に表示することを特徴とする。
【0009】
請求項1の電子楽器において、請求項4に記載したように、前記表示出力手段は、所定の順序で前記メモリからフレット位置データを読み出す際に、一度に複数のフレット位置データを順次読み出すモードと、フレット位置データをひとつずつ順次読み出すモードとに切り替え可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項1において、請求項5に記載したように、前記電子弦楽器はさらに、外部から音声信号を入力する音声信号入力手段と、当該入力された音声信号の音高を解析する音高解析手段と、前記フレットの押圧位置及び撥弦操作により指定される音高と当該解析された音高とが一致したときに、前記表示出力手段に対して前記メモリからのフレット位置データの読み出しを歩進させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初心者が容易に演奏技術を習得できるような電子弦楽器を安価に提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における練習専用の電子ギターの構造を示す図。
【図2】図1のX−X線に沿った断面図およびその一部拡大図。
【図3】図1(B)のY−Y線に沿った断面図。
【図4】第1実施形態における練習専用の電子ギターの弦番号およびフレット番号によって表された押え位置を示す図。
【図5】第1実施形態における練習専用の電子ギターのボディの内部に設けられたシステムを示すブロック図。
【図6】図5のROMに記憶されている押え位置データおよびレッスンデータの構成を示す図。
【図7】図6の単音レッスンデータおよびコードレッスンデータの詳細な内容を示す図。
【図8】図5のCPUのメインルーチンのフローチャート。
【図9】図8のメインルーチンにおけるスイッチ処理のフローチャート。
【図10】図9のスイッチ処理におけるモードスイッチ処理のフローチャート。
【図11】図9のスイッチ処理におけるレッスンスイッチ処理のフローチャート。
【図12】図9のスイッチ処理におけるスタートスイッチ処理のフローチャート
【図13】図12のスタートスイッチ処理における初期表示処理(1)のフローチャート。
【図14】図12のスタートスイッチ処理における初期表示処理(2)のフローチャート。
【図15】図8のメインルーチンにおけるフレット検知処理のフローチャート。
【図16】図8のメインルーチンにおけるトリガ検知処理のフローチャート。
【図17】図8のメインルーチンにおけるレッスンガイド処理のフローチャート。
【図18】図17における単音レッスン処理のフローチャート。
【図19】図18に続く単音レッスン処理のフローチャート。
【図20】図17におけるコードレッスン処理のフローチャート。
【図21】図8のメインルーチンにおける音声検知処理のフローチャート。
【図22】第1実施形態における超基音スケールの運指を示す図。
【図23】図22の超基音スケールの運指の容易な視認性を説明する図。
【図24】第1実施形態における「1」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図25】第1実施形態における「2」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図26】第1実施形態における「3」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図27】第1実施形態における「4」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図28】第1実施形態における「5」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図29】第1実施形態における「6」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図30】第1実施形態における「7」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図31】第1実施形態における単音レッスンの楽譜を示す図。
【図32】第1実施形態における「1」のコードの運指のパターンを示す図。
【図33】第1実施形態における「2」のコードの運指のパターンを示す図。
【図34】第1実施形態における「3」のコードの運指のパターンを示す図。
【図35】第1実施形態における「4」のコードの運指のパターンを示す図。
【図36】第1実施形態における「5」のコードの運指のパターンを示す図。
【図37】第1実施形態における「6」のコードの運指のパターンを示す図。
【図38】第1実施形態における「7」のコードの運指のパターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による電子弦楽器の第1実施形態ないし第2実施形態について、練習専用の電子ギターを例に採って、図を参照して説明する。
図1は、第1実施形態における電子ギターを示す図であり、図1(A)はその平面図、図1(B)はその側面図である。図1において、電子ギターは、ボディ1、ボディ1に取り付けられたネック2、ネック2の上面に設けられ、指で押さえて音高を指定するフィンガーボード(指板)3を備えている。また、フィンガーボード3の5箇所には、その表面から線状凸部のフレット4が形成されている。ボディ1の中央部からネック2側にかけて6本の弦5が張られている。各弦5の一方の端部はボディ1側のブリッジ6に固定され、調整機構7によって張り具合を調整できるようになっている。各弦5の他方の端部はネック2の下側の部分(図示せず)で固定されている。ブリッジ6とネック2との中間の弦5の下には、各弦5の撥弦を検出するセンサ8が設けられている。センサ8は、電磁的、光学的、あるいは他の方法によって各弦5の振動を検出する。
【0014】
さらに、ボディ1には操作パネル9が設けられている。この操作パネル9には、演奏モードをレッスンモード又はノーマルモードに切り替えるモードスイッチ、レッスンモードの内容を単音レッスン又はコード(和音)レッスンに設定するレッスンスイッチ、レッスンモードを開始するスタートスイッチなどの各種のスイッチの他に、演奏者の音声を入力するマイクを接続するマイク端子が設けられている。さらに、レッスンの説明を表示するためにLCD(液晶表示部)が操作パネル9内に設けられている。
【0015】
図2は、図1のネック2およびフィンガーボード3の構造を示す図である。図2(A)は、図1(A)のX−X線に沿った断面図である。図2(A)において、フィンガーボード3とネック2との間にプリント基板11が設けられている。さらに、プリント基板11とフィンガーボード3との間に、演奏者の指の押圧によってオンとなるスイッチ部12が設けられている。図2(B)は、スイッチ部12を拡大した断面図である。図2(B)において、プリント基板11の上面にスイッチの一方の接点13が設けられ、フィンガーボード3の下面に他方の接点14が設けられている。フィンガーボード3は、指の押圧によって接点13と接点14とが接触してスイッチがオンになるように、半透明で弾性を有する合成樹脂で構成されている。
【0016】
図1(A)および図2(A)に示すように、フィンガーボード3の表面には、あたかも各弦5が延長しているように、6本の疑似弦10が形成されている。この疑似弦10は、実際の弦に似せてフィンガーボード3の表面から盛り上がった形状でもよいし、又は、印刷等によるマークでもよい。スイッチ部12は、ネック2の先端の開放弦の位置もしくはフレット4によって区切られ、かつ、6本の疑似弦10にそれぞれ対応した位置に設けられている。すなわち、合計30個のスイッチ部12がプリント基板11とフィンガーボード3との間に設けられている。したがって、各スイッチ部12の押圧によって発音すべき音高が決定される。
【0017】
図2には示されていないが、接点13および接点14は、中央部に穴又は切り欠きを有するドーナツ型又は「コ」の字型の構造になっており、接点13の穴又は切り欠きの位置のプリント基板11に、接点13および接点14に接触しないように、赤色(又は、他の可視光の色)で発光するLED(発光ダイオード)15が設けられている。さらに、LED15に対応するフィンガーボード3の下側には凹部16が形成され、フィンガーボード3が押圧されてもLED15に接触しない構造になっている。
【0018】
図3(A)および図3(B)は、図1(B)のY−Y線に沿った断面図である。図3(A)において、図2に示した構成と同じものは同一の符号で表されている。図3(A)に示すように、任意のスイッチ部のLED15が点灯することによって、押圧すべきフィンガーボード3の位置を演奏者にガイドする。上記したように、フィンガーボード3は半透明で弾性を有する合成樹脂で構成されているので、点灯したLED15の光が半透明のフィンガーボード3の厚みが薄い凹部16の部分を透過する。したがって、演奏者は押さえるべき位置を容易に認識できるので、図3(B)に示すように、指17によって発光しているフィンガーボード3の位置を押さえることができる。
【0019】
押圧によって発音すべき音高に対応する各スイッチ部12の押え位置は、弦番号(1〜6)およびフレット番号(1〜5)によって表すことができる。図4は、弦番号およびフレット番号によって表された押え位置を示す図である。この押え位置データは、ボディ1の内部に設けられたシステムに記憶されて、任意のスイッチ部12の操作が認識される。
【0020】
図5は、ボディ1の内部に設けられたシステムを示すブロック図である。図5において、CPU101は、この電子ギター全体を制御する中央処理装置であり、システムバスを介して制御プログラムや練習用データを記憶するROM102およびワークエリアであるRAM103に接続されていると共に、複数の入力ポート、少なくとも1つの出力ポート、および少なくとも1つの入出力ポートを有し、制御プログラムに従って、各ポートから入力されるデータおよび出力するデータをRAM103のレジスタに一時的にストアして処理する。また、電子ギターの状態を判定するために、RAM103には各種フラグ、例えば、スタートフラグSTF、モードフラグMODEF、レッスンフラグLESFなどが設けられている。
【0021】
図5において、音高検知回路104は、CPU101から出力されるスキャン信号に応じて、30個のスイッチのオン/オフを検知して、その検知信号をCPU101に入力する。撥弦検知回路105は、図1のセンサ8によって検出された弦5の振動を電気信号に変換して撥弦検知信号を発生する。A/Dコンバータ回路106は、撥弦検知回路105によって発生された撥弦検知信号をアナログからデジタルに変換してCPU101に入力する。表示信号出力回路107は、CPU101から出力される演奏ガイド信号に含まれている押え位置データに応じて、対応するLED15を点灯させると共に、レッスンの内容や条件をLCD(液晶表示器)などの表示部に表示する。音声入力部108は、操作パネル9に接続されたマイク(図示せず)から入力される音声を電気信号に変換して音声信号を発生する。ピッチ抽出回路109は、音声入力部108によって発生された音声信号の中からピッチすなわち音高成分を抽出して、CPU101に入力する。操作部110は、図1(A)の操作パネル9の各種スイッチの操作に応じた入力信号をCPU101に入力する。音源111は、CPU101から出力される発音データに基づいて、内部の波形ROM(図示せず)から波形データを読み出して楽音信号を生成する。AMP112は、音源111によって生成された楽音信号をデジタルからアナログに変換し、それを増幅してスピーカ113から発音させる。
【0022】
図6は、図5のROM102に記憶されている押え位置データおよびレッスンデータの構成を示す図である。図6において、符号D1の押え位置データは、アドレス0〜17によって指定される18個の音高に対応する押え位置が、弦番号/フレット番号によって表されている。図4に示した弦番号およびフレット番号によって表された押え位置の総数は30個であるが、この実施形態においては、その中の18個の押え位置だけをレッスンのために使用する。図4における括弧内の数字は、図6における押え位置データのアドレスを表している。また、図6において、符号D2のレッスンデータは、符号D3の単音レッスンデータおよび符号D4のコードレッスンデータで構成され、それぞれレッスンフラグLESF=0およびLESF=1によって識別される。
【0023】
図7は、図6の単音レッスンデータおよびコードレッスンデータの詳細な内容を示す図である。図7において、単音レッスンデータは、超基本スケール位置、1コードトーン位置から7のコードトーン位置までのデータで構成され、それぞれに対応するアドレスで指定される。一方、コードレッスンデータは、1のコード位置から7のコード位置までのデータで構成され、それぞれに対応するアドレスで指定される。
【0024】
次に、第1実施形態の電子ギターの動作について、CPU101によって実行される図8ないし図21のフローチャート、および、図22ないし図30、図32ないし図38のフィンガーボードの押え位置を表す模式図、並びに、図31の楽譜に基づいて説明する。
図8は、CPU101のメインルーチンのフローチャートである。最初に、モードフラグMODEF、スタートフラグSTF、レッスンフラグLESF、および、各弦の発音の有無を示すフラグON(1)〜ON(6)を「0」にリセットするなどの所定のイニシャライズ処理(ステップSA1)の後、スイッチ処理(ステップSA2)、フレット検知処理(ステップSA3)、トリガ検知処理(ステップSA4)、レッスンガイド処理(ステップSA5)、音声検知処理(ステップSA6)、その他の処理(ステップSA7)を繰り返し実行する。
【0025】
図9は、図8のステップSA2におけるスイッチ処理のフローチャートであり、操作パネルの各種スイッチの状態に応じた処理を行う。すなわち、モードスイッチ処理(ステップSB1)、レッスンスイッチ処理(ステップSB2)、スタートスイッチ処理(ステップSB3)、その他のスイッチ処理(ステップSB4)を実行する。
【0026】
図10は、図9のステップSB1におけるモードスイッチ処理のフローチャートである。スタートフラグSTFが「0(演奏停止中)」であるか又は「1(演奏中)」であるかを判別し(ステップSC1)、STFが「1」で演奏中の場合にはスイッチ操作が無効であるので、このフローチャートを終了する。一方、STFが「0」の場合には、モードスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSC2)。モードスイッチがオンでない場合には、このフローチャートを終了するが、モードスイッチがオンされたときは、モードフラグMODEFを反転する(ステップSC3)。そして、このフローチャートを終了する。
【0027】
図11は、図9のステップSB2におけるレッスンスイッチ処理のフローチャートである。スタートフラグSTFが「0(演奏停止中)」であるか又は「1(演奏中)」であるかを判別し(ステップSD1)、STFが「1」で演奏中の場合にはスイッチ操作が無効であるので、このフローチャートを終了する。一方、STFが「0」の場合には、レッスンスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSD2)。レッスンスイッチがオンでない場合には、このフローチャートを終了するが、レッスンスイッチがオンされたときは、レッスンフラグLESFを反転する(ステップSD3)。そして、このフローチャートを終了する。
【0028】
図12は、図9のステップSB3におけるスタートスイッチ処理のフローチャートである。モードフラグMODEFが「1(レッスンモード)」であるか又は「0(ノーマルモード)」であるかを判別し(ステップSE1)、MODEFが「1」である場合には、スタートスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSE2)。MODEFが「0」の場合、又は、スタートスイッチがオンされない場合には、このフローチャートを終了するが、MODEFが「1」の場合にスタートスイッチがオンされたときは、STFを反転する(ステップSE3)。そして、反転されたSTFが「1」であるか否かを判別する(ステップSE4)。一方、反転されたSTFが「0」の場合には、レッスン終了であるので、全てのLED15の表示を消灯して(ステップSE5)、このフローチャートを終了する。
【0029】
ステップSE4において、STFが「1」の場合には、レッスンフラグLESFの値に対応して、押え位置データのエリアを指定する(ステップSE6)。次に、RAMのレジスタSCALEを「0」にセットして(ステップSE7)、LESFが「0(単音レッスン)」であるか又は「1(コードレッスン)」であるかを判別する(ステップSE8)。LESFが「0」の場合には、初期表示処理(1)を実行し(ステップSE9)、LESFが「1」の場合には、初期表示処理(2)を実行する(ステップSE10)。いずれかの初期表示処理の後は、このフローチャートを終了する。SCALEにセットするスケールデータは、フィンガーボードの押え位置のパターンを表す運指データであり、図7に示した「0」の超基本スケール、「1」のコードトーン位置のスケール…「7」のコードトーン位置の8種類のスケールがある。
【0030】
図22は、超基本スケールの運指を示した図である。図22に示すように、弦番号およびフレット番号によって指定される30個の押え位置のうち、18個の押え位置だけでレッスンを行うものである。図22の丸数字が音高「1(C)」、「2(D)」、「3(E)」、「4(F)」、「5(G)」、「6(A)」、「7(B)」を表している。図23は、図22の超基音スケールの運指の容易な視認性を説明する図である。図22の18個の押え位置は、図23に示すように、1弦ないし6弦のフレットが1つ飛びになった状態から、3弦および4弦のフレット1の押え位置がフレット2にシフトして「3(E)」および「7(B)」の音高を指定した状態に変化したことを示している。したがって、極めて覚えやすい運指のパターンになっていることが初心者にも容易に理解される。超基本スケール以外の「1」のコードトーン位置のスケールから「7」のコードトーン位置までのスケールの運指は、図24から図30に示されている。
【0031】
図13は、図12のステップSE9における初期表示処理(1)のフローチャートである。この処理では、まず、SCALEの値に対応するスケールデータを指定する(ステップSF1)。次に、指定されたスケールデータに該当する全ての押え位置のLEDを3秒間点灯する(ステップSF2)。例えば、スケールデータが「0」の場合には、図22に示す18個の押え位置のLEDを点灯する。次に、SCALEの値に対応するスケールデータの先頭アドレスをレジスタADDRESSにストアして(ステップSF3)、ADDRESSにて指定された位置にある押え位置データのアドレスにて指定される押え位置のLEDを点灯する(ステップSF4)。そして、このフローチャートを終了する。
【0032】
図14は、図12のステップSE10における初期表示処理(2)のフローチャートである。まず、SCALEの値に対応するスケールデータを指定する(ステップSG1)。次に、SCALEの値に対応するスケールデータの先頭アドレスをレジスタADDRESSにストアして(ステップSG2)、ADDRESSにて指定された位置にある押え位置データのアドレスにて指定される押え位置のLEDを点灯する(ステップSG3)。そして、このフローチャートを終了する。
【0033】
図15は、図8のメインルーチンにおけるステップSA3のフレット検知処理のフローチャートである。この処理では、まず、図5の音高検知回路104にスキャン信号を出力して、フィンガーボードの30個のフレット状態すなわちスイッチのオン/オフの状態を取り込んで、RAMのエリアへストアする(ステップSH1)。このエリアは、図4に示した弦番号gおよびフレット番号fからなる2次元の配列{g,f}である(1,1)、(1,2)…(1,5)、(2,1)、(2,2)…(2,5)…(6,1)、(6,2)…(6,5)になっている。図8のメインルーチンのイニシャライズにおいて、このエリアはクリアされている。すなわち、全ての{g,f}は「0」である。任意の弦番号jおよび任意のフレット番号kの押え位置が押圧されると、{j,k}が「0」から「1」に変化し、その押圧が解除されると、{j,k}が「1」から「0」に変化する。図15において、フレット状態を取り込んだ後は、その取り込まれた状態から発音すべきピッチ(音高)を検出する(ステップSH2)。そして、このフローチャートを終了する。
【0034】
例えば、RAMのエリアの{j,k}が「0」から「1」に変化したときは、{j,k}の押え位置に対応するピッチを検出する。ただし、その押え位置が図22に示す運指の位置でない場合には、そのピッチによる発音処理は行わず、操作パネルの表示部にエラー表示を行うと共に、ギターの音色とは異なるエラー音で発音する。
【0035】
図16は、図8のメインルーチンのステップSA4におけるトリガ検知処理のフローチャートである。この処理では、弦番号を指定する変数レジスタnの値を「1」にセットして(ステップSJ1)、nの値をインクリメントしながら、ステップSJ2からステップSJ13までのループ処理を行って、図5の撥弦検知回路105から得られるn(=1〜6)弦の振動すなわち撥弦を検知し、A/Dコンバータ回路106でアナログからデジタルに変換されたトリガ信号を検知する。
【0036】
ループ処理において、n弦のA/Dデータを取り込み(ステップSJ2)、A/D出力レベルが所定値以上であるか否かを判別する(ステップSJ3)。A/D出力レベルが所定値以上である場合には、フラグON(n)が「0(非撥弦状態)」であるか否かを判別し(ステップSJ4)、ON(n)が「0」である場合には、n弦に対応するフレット状態をRAMから検出する(ステップSJ5)。すなわち、RAMのエリアの配列{n,f}が「1(押圧)」であるか又は「0(開放弦)」であるかを判別する。n弦に対応するフレット状態をRAMから検出した後は、その検出結果に基づいて、発音すべきピッチを確定して、レジスタPitch1に確定したピッチをストアする(ステップSJ6)。次に、確定したピッチで音源に発音を指示する(ステップSJ7)。次に、ON(n)を「1(撥弦状態)」にセットする(ステップSJ8)。
【0037】
ステップSJ3において、A/D出力レベルが所定値未満である場合には、フラグON(n)が「1(撥弦状態)」であるか否かを判別し(ステップSJ9)、ON(n)が「1」である場合には、その弦の振動が収束した状態であるので、n弦に対応する発音の消音を音源に指示し(ステップSJ10)、ON(n)を「0」にリセットする(ステップSJ11)。
【0038】
ステップSJ8において、ON(n)を「1」にセットした後、若しくは、ステップSJ11において、ON(n)を「0」にリセットした後、又は、ステップSJ9において、ON(n)が「0」である場合すなわちn弦が元々撥弦されていない場合には、nの値を1つインクリメントして(ステップSJ12)、nの値が最大値である「6」より大きくなったか否かを判別する(ステップSJ13)。nの値が「6」以下の場合には、ステップSJ2に移行して上記のループ処理を繰り返す。nの値が「6」より大きくなった場合には、このフローチャートを終了する。
【0039】
図17は、図8のメインルーチンにおけるステップSA5のレッスンガイド処理のフローチャートである。まず、モードフラグMODEFが「1(レッスンモード)」であるか又は「0(ノーマルモード)」であるかを判別し(ステップSK1)、MODEFが「0」である場合にはこのフローチャートを終了する。MODEFが「1」である場合には、スタートフラグSTFが「1(演奏中)」であるか又は「0(演奏停止中)」であるかを判別し(ステップSK2)、STFが「0」の場合には、このフローチャートを終了するが、STFが「1」の場合には、レッスンフラグLESFが「0(単音レッスン)」であるか又は「1(コードレッスン)」であるかを判別する(ステップSK3)。LESFが「0」である場合には、単音レッスン処理を実行し(ステップSK4)、LESFが「1」である場合には、コード(和音)レッスン処理を実行する(ステップSK5)。いずれかのレッスン処理を実行した後は、このフローチャートを終了する。
【0040】
図18は、図17のステップSK4における単音レッスン処理のフローチャートであり、図19は、図18に続く単音レッスン処理のフローチャートである。
図18において、LEDが点灯している押え位置の弦番号とフレット番号をRAMから取り出す(ステップLS1)。次に、点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とは一致しているか否かを判別する(ステップLS2)。すなわち、LEDの点灯によってガイドされたフレット番号が押圧されているかどうかを判別する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とは一致している場合には、さらに、点灯している弦番号と撥弦されてON(n)が「1」の弦番号とが一致しているか否かを判別する(ステップLS3)。点灯している弦番号と撥弦されてON(n)が「1」の弦番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。
【0041】
点灯している弦番号と撥弦されてON(n)が「1」の弦番号とが一致している場合には、RAM103から取り出した弦番号およびフレット番号に対応してPitch1にストアされているピッチ(音高)と、操作パネル9に接続された図示しないマイクから、演奏者が入力してPitch2にストアされているピッチ(音高)とが一致するか否かを判別する(ステップLS4)。なお、Pitch2にストアする動作については後述する。Pitch1のピッチとPitch2のピッチとが異なる場合には、このフローチャートを終了するが、Pitch1のピッチとPitch2のピッチとが一致する場合には、点灯しているLEDを消灯し(ステップLS5)、単音レッスンのスケールデータのADDRESSのアドレスをインクリメントする(ステップLS6)。
【0042】
そして、インクリメントしたADDRESSのアドレスが最終アドレスを超えたか否かを判別し(ステップLS7)、最終アドレスを超えていない場合には、ADDRESSのアドレスに対応する位置にある押え位置データのアドレスにて指定される押え位置をROMから読み出す(ステップLS8)。次に、押え位置に対応するフレット位置のLEDを点灯する(ステップLS9)。そして、このフローチャートを終了する。
【0043】
ステップSL7において、ADDRESSのアドレスが最終アドレスを超えた場合には、図18のフローチャートにおいて、SCALEの値をインクリメントする(ステップLS10)。そして、インクリメントしたSCALEの値が最大値である「7」以下であるか否かを判別する(ステップLS11)。SCALEの値が最大値以下である場合には、再び図13に示した初期表示処理(1)を実行する(ステップLS12)。そして、このフローチャートを終了する。一方、インクリメントしたSCALEの値が最大値を超えた場合には、STFを「0(演奏停止中)」にリセットして(ステップLS13)、全てのLEDおよび操作パネルの表示部の表示を消灯する(ステップLS14)。そして、このフローチャートを終了する。なお、初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に3秒間点灯するLEDは、SCALEの値に応じて異なる。
【0044】
図22に示した超基本スケールの場合には、上記したように、「1(C)」、「2(D)」、「3(E)」、「4(F)」、「5(G)」、「6(A)」、「7(B)」の音高を表す18個のLEDを全て点灯するが、押え位置に対応する音高の楽譜は、ABCDEFGのアルファベットおよび数字で表される。図31は、単音レッスンの楽譜を示す図である。図31(a)は超基本スケールに該当する。最も低音の「C4」から最も高音の「E6」までの17個の音符、すなわち、基本のオクターブの「ハ長調のド」から2オクターブ上の「ハ長調のミ」で構成される。この場合において、「G4」の音高は図4の「21」および「35」の2箇所の押え位置、すなわち、図22における弦番号2とフレット番号1および弦番号3とフレット番号5の2箇所の押え位置に対応している。したがって、図6においては、アドレス「11」およびアドレス「12」の押え位置が同じ音高「G4」となり、合計で18個の押え位置によって超基本スケールの運指が構成される。
【0045】
したがって、超基本スケールのレッスンにおいては、18個の押え位置のLEDを低い音高から高い音高、および、高い音高から低い音高に順に点灯させて、「ドレミファソラシド」および「ドシラソファミレド」の上下の運指を練習させる。上下の練習の回数を50往復程度行うことで、2オクターブ以上の演奏がそれなりにできるようになり、200回程度行うとほぼ完全に演奏できるようになるというのが一般的である。
【0046】
本発明では、ハ長調(Cから始まるD、E、F、G、A、B)を基本に説明する。ハ長調からは、一般的にダイアトニックコードと呼ばれる7つのコードが派生し、これらが文章でいう「起承転結」の役目を持っていることが公知である。すなわち、Cメジャースケール(ハ長調)から派生するコードは、CM7、Dm7、Em7、FM7、G7、Am7、Bm7(♭5)となっている。また、これらは曲によって調が変わっても、その機能が分かるように、IM7、IIM7、IIIm7、IVM7、V7、VIm7、VIIm7(♭5)という表記をとる場合が多い。本発明では、このIからVIIまでのダイアトニックコードの構成音をスケール化(旋法化)し、「1=I」から「7=VII」までのコードトーンのスケールを指板上に運指として作りだしている。
【0047】
図24の運指は、「1」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるCM7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(b)の楽譜に示された音符に対応する9個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、矢印で示す所定の方向に沿って押え位置のLEDを順に点灯させて、レッスンをガイドする。例えば、図に示すように、5弦および6弦の「1」、「3」、「5」の押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、「C3(ド)」、「E3(ミ)」、「G3(ソ)」のレッスンをガイドする。また、1弦ないし4弦の「7」、「1」、「3」、「5」、「7」、「1」の押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、「B3(シ)」、「C4(ド)」、「E4(ミ)」、「G4(ソ)」、「B4(シ)」、「C5(ド)」の2オクターブのレッスンをガイドする。
【0048】
図25の運指は、「2」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるDm7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(c)の楽譜に示された音符に対応する9個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0049】
図26の運指は、「3」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるEm7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(d)の楽譜に示された音符に対応する9個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0050】
図27の運指は、「4」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるFM7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(e)の楽譜に示された音符に対応する8個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0051】
図28の運指は、「5」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるG7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(f)の楽譜に示された音符に対応する7個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0052】
図29の運指は、「6」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるAm7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(g)の楽譜に示された音符に対応する7個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0053】
図30の運指は、「7」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるBm7(♭5)の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(h)の楽譜に示された音符に対応する6個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0054】
初心者は、図22の超基本スケールを「調和する音(ダイアトニックスケール)の指板上の押さえ位置」として容易に記憶することができる。さらに、図24ないし図30の7種類のコードトーンスケール位置は、コード進行中の現在のコードに対して、「最も調和する音」として記憶する。この押さえ位置が身に付けば、通常の生ギターを演奏する場合は、超基本スケール位置とコードトーンスケール位置を用いて様々なフレーズを作成して伴奏することが可能になる。
さらに生ギターで演奏する場合、曲の調が変化しても、指板をシフトさせて演奏すれば、あらゆる調に対して本発明で身に付いた押さえ位置が使用可能である。すなわち、本発明によって指の位置パターンさえ記憶しておけば、ギターの場合は指板をシフトさせる演奏はトランスポーズと同じであるため、この方法を使用することにより、全ての曲において調和した演奏が可能となる。
例えば、ある調の曲を演奏したい場合を考える。ハ長調の曲を演奏したい場合は、ダイアトニックスケールの始まりの音は「C」なので、超基本スケールの1の音はCとなる。ギターの6弦上では8フレットにCの音があるので、超基本スケール位置の1の音は6弦の8フレットから始まるように演奏すればよい。また、他のコードトーンスケール位置も同様にシフトさせて演奏する。
例えば、ジャズの定番である「1625(いちろくにーごー)」のコード進行をハ長調で楽しむ場合を考える。この場合は、8フレットと12フレットとの中間あたりに手首をもってきて、6弦の8フレットを1の音として、本発明で学んだ押さえ位置を用いて演奏する。1のコードがきたときは1のコードトーンを使用し、6のコードがきたときは6のコードトーンを使用する。また、超基本スケール位置もコードトーン位置ほどではないが調和するため、自分の好みの頻度で使用する。また、さらに演奏者が慣れてくると、この中から自分の好みの音を簡単に見つけだして、瞬時にフレーズを作成できるようになる。
【0055】
図20は、図17のステップSK5におけるコードレッスン処理のフローチャートである。この処理では、まず、点灯しているLEDの押え位置の弦番号とフレット番号を取り出す(ステップSM1)。次に、LEDが点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが一致しているか否かを判別する(ステップSM2)。すなわち、押圧をガイドされているフレットが正しく押さえられているか否かを判別する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが一致している場合には、さらに、LEDが点灯している弦番号とフラグON(n)が「1」の弦番号とが一致しているか否かを判別する(ステップSM3)。すなわち、撥弦をガイドされている弦が正しく撥弦されているか否かを判別する。点灯している弦番号とフラグON(n)が「1」の弦番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。
【0056】
点灯している弦番号とフラグON(n)が「1」の弦番号とが一致している場合には、点灯しているLEDを消灯する(ステップSM5)。そして、全部のLEDが消灯されたか否かを判別し(ステップSM6)、点灯しているLEDが残っている場合には、このフローチャートを終了する。一方、全部のLEDが消灯された場合には、ADDRESSのアドレスをインクリメントする(ステップSM6)。そして、インクリメントしたADDRESSのアドレスがレッスンの終了を示す最終のアドレスであるか否かを判別する(ステップSM7)。すなわち、図7における「7」のコードトーンの最後のアドレスであるか否かを判別する。ADDRESSのアドレスが最後のアドレスである場合には、STFを「0」にリセットして(ステップSM8)、このフローチャートを終了する。一方、ADDRESSのアドレスが最後のアドレスでない場合には、図に示した初期表示処理(2)を実行して(ステップSM9)、このフローチャートを終了する。
【0057】
図32ないし図38は、それぞれ「1(C3)」、「2(D3)」、「3(E3)」、「4(F3)」、「5(G3)」、「6(A3)」、「7(B3)」を基音とする「1」のコードないし「7」の7種類のコードの運指のパターンを示す図である。各番号を基音とする運指の押え位置によって、曲の進行に応じた違和感のない有効なコードを演奏することができる。
【0058】
図21は、図8のメインルーチンにおけるステップSA6の音声検知処理のフローチャートである。図1(A)の操作パネル9に設けられたマイク端子に接続されたマイクに演奏者の音声が入力されたときは、図5のCPU101は音声検知処理を実行する。まず、STFが「1(演奏中)」であるか又は「0(演奏停止中)」であるかを判別し(ステップSN1)、STFが「0」の場合にはこのフローチャートを終了するが、STFが「1」の場合には、LESFが「0(単音レッスン)」であるか「1(コードレッスン)」であるかを判別する(ステップSN2)。LESFが「1」の場合にはこのフローチャートを終了するが、LESFが「0」の場合には、図5のピッチ抽出回路109よりピッチデータを取り込み(ステップSN3)、Pitch2にピッチデータをストアする(ステップSN4)。そして、このフローチャートを終了する。図18の単音レッスン処理のステップSL4に示したように、Pitch1にストアされた撥弦のピッチと、Pitch2にストアされた演奏者の音声のピッチとが一致した場合に、押え位置として点灯しているLEDを消灯する。すなわち、レッスン曲の音高に対応する押え位置のLEDを点灯して演奏をガイドしたときに、撥弦によるピッチと演奏者の音声のピッチとが異なる場合には、次の音高に進むことができないようになっている。
したがって、スピーカから発音されるピッチを声に出して、そのピッチすなわち音高を体で覚える効果があり、よりいっそう効率的なレッスンが可能になる。
【0059】
以上のように、上記第1実施形態によれば、楽器本体に張設された6本の弦の撥弦操作により、押圧されているフレット位置に対応する音高の楽音を音源111により発生させる電子弦楽器において、限定されたフレット範囲内でダイアトニックスケールの音高の楽音を音源111にて発生するために必要なフレット押圧位置を示すフレット位置データが記憶されたRAM103と、RAM103に記憶されたフレット位置データを所定の順序で読み出すとともに、読み出されたフレット位置データに対応するフレット位置を指示するための表示信号を出力する表示信号出力回路107と、を備えている。したがって、限定されたフレット範囲内でフレット押圧位置を憶えるだけでよいので、初心者は容易に演奏技術を習得できる。
ただし、張設された弦は必ずしも6本に限定する必要はない。少なくとも1本の弦が張設されていれば、初心者が容易にごく基本的な演奏技術を習得できる。
【0060】
上記第1実施形態において、楽器本体には6本の弦が張設され、RAM103に記憶するフレット位置データは、5フレットの範囲内で、その範囲内の最低フレットからひとつ飛びに指定される3個のフレットの各弦に対応するフレット位置を示すデータでかつ、最低フレットの3弦及び4弦に対応する2個のフレット位置データのみ、この2個のフレット位置データに代えて、1フレット分音高が高くなるフレット位置を示す位置データを有する構成になっている。したがって、フレット押圧位置が極めて単純な配置になるので、初心者は容易に運指のパターンを修得できる。
【0061】
また、上記第1実施形態において、表示信号出力回路107は、所定の順序で読み出しを開始する前に、RAM103に記憶されている全てのフレット位置を同時に読み出すことにより、フレットにおいて記憶された全てのフレット位置を一定時間同時に表示する。したがって、押さえるべき全てのフレット位置を演奏に先立って明示するので、演奏者は使用するに必要なフレット位置を容易に把握できる。
【0062】
また、上記第1実施形態において、表示信号出力回路107は、所定の順序でRAM103からフレット位置データを読み出す際に、一度に複数のフレット位置データを順次読み出すモードと、フレット位置データをひとつずつ順次読み出すモードとに切り替え可能である。したがって、個人差に応じたモードバリエーションが可能になるので、演奏者は自分が練習したいモードを選択することができる。
【0063】
また、上記第1実施形態において、電子弦楽器1はさらに、外部のマイクから音声信号を入力する音声入力部108と、その入力された音声信号の音高を解析し、フレットの押圧位置及び撥弦操作により指定される音高と解析した音高とが一致したときに、表示信号出力回路107に対してRAM103からのフレット位置データの読み出しを歩進させるCPU101を備えている。したがって、初心者は、自ら発音することで指の位置と音高とのつながりを強く感じて憶えることができ、演奏結果が正しいか否かを容易に認識できるとともに、音感の練習ができる。
【0064】
なお、上記第1実施形態においては、単音のレッスンモードにおいて、18個のLEDを3秒間点灯した後は、押圧すべき押え位置のLEDを点灯する構成にしたが、18個のLEDを点灯して、押圧すべき押え位置のLEDを点灯から点滅に変化させる構成にしてもよい。あるいは、2色(例えば、赤色と緑色)発光のLEDを設けて、18個のLEDを緑で点灯して、押圧すべき押え位置のLEDを緑色から赤色に変更するような構成にしてもよい。
【0065】
また、一般に、上記した長調すなわちメジャースケールと、ブルーススケールおよび短調すなわちマイナースケールとは別物として扱われている。しかし、本発明においては、メジャースケールに関連づけて、ブルーススケールおよびマイナースケールのレッスンを行うことができる。例えば、図29に示した「6(A)」を基音とするコードトーンによって短調の雰囲気を表現することができる。あるいは、特定の押え位置を右に1フレットだけシフトしたパターンで、ブルーススケールおよびマイナースケールのレッスンを行うことができる。
【0066】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、練習専用に特化した電子ギターについて説明したが、第2実施形態においては、従来の通常の電子ギターを用いて本発明の練習方法を実現する。例えば、フレット番号1からフレット番号13までの13個のフレット(開放弦はフレット番号0)を有する6弦の電子ギターにおいて、各弦および限定された範囲のフレットの押え位置をガイドするLEDを点灯させる。具体的には、第1実施形態の場合と同じ運指のパターンを構成するように、フレット番号8ないしフレット番号12の5個のフレットの範囲にスイッチおよびLEDを設ける。したがって、押圧によって発音すべき音高に対応する各スイッチの押え位置は、弦番号(1〜6)およびハ長調の場合はフレット番号(8〜12)の5フレットによって表すことができる。なお、ハ長調だけでなく移調された場合には、音高の変化に応じてフレット番号をシフトした5フレットによって対応できる。
【0067】
以上のように、この第2実施形態によれば、6本の弦を撥弦して電子的に楽音を発生する電子ギターにおいて、ボディから所定方向に延びるネックの表面に形成された各弦の13個のフレット(フレット番号1ないしフレット番号13)を有するフィンガーボードにおいて、ハ長調の場合にはフレット番号8からフレット番号12までの限定された範囲の5フレットによって、演奏する曲にかかわらず、その範囲のLEDを点灯させて押圧すべき位置を指示する。ハ長調だけでなく移調された場合には、音高の変化に応じてフレット番号をシフトした5フレットによって対応できる。したがって、通常の電子ギターを用いて初心者が容易に演奏技術を習得できる。
【符号の説明】
【0068】
1 ボディ
2 ネック
3 フィンガーボード
4 フレット
5 弦
101 CPU
104 音高検知回路
105 撥弦検知回路
107 表示信号出力回路
109 ピッチ抽出回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子弦楽器に関し、特に、演奏をガイドする機能を具備した電子弦楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ギターなどの電子弦楽器の演奏をガイドする機能に関する技術がいくつか提案されている。このような電子弦楽器の中には、運指によって音高を指定するために、ネックに張られた複数の弦に対応するフィンガーボード(指板)の位置に、隣接するフレット間に押圧スイッチ群を備え、演奏するボディの所定部分に複数の疑似的な弦を設けて、各弦の撥弦を検知するセンサを備えているものがある。演奏の際には、左手の指で1つ以上の押圧スイッチを押さえて、右手の指で弦を撥弦するようになっている。
【0003】
例えば、ある特許文献の発光表示機能付電子弦楽器によれば、各弦又は各フレットに対する運指操作位置、撥弦操作すべき弦、ピッキングの方向性などを明確に視認することができるほかに、音高領域を複数に分割するフレットスプリット位置、カポタスト機能設定位置、移調のためのトランスポートの基点位置、各フレットの位置なども明確に視認できるようになっている。
この提案において、例えば、各フレットに対する運指操作位置を検出するために、ネックに張られた6本のフレット弦に対応する指板に、隣接するフレット間(開放弦と第1フレットとの間、第1フレットと第2フレットとの間、……第14フレットと第15フレットとの間)の15の位置に、6本の弦に対応して90個(15×6)の音高指定スイッチが埋設されている。また、各フレット弦に沿って15本の光導光体が各音高指定スイッチまで設けられ、各光導光体の端部から入射したLEDの光によって押圧すべき音高指定スイッチをガイドするようになっている。具体的には、6本のフレット弦のそれぞれに対応する4ビットのデコーダをLED駆動用に設けて、各フレット弦のいずれかの音高指定スイッチを指定できる回路が構成されている。(特許文献1参照)
また、他の2つの特許文献の電子楽器においても同様に、ネックに張られた6本のフレット弦に対応する指板に、隣接するフレット間の12の位置に、6本の弦に対応して72個(12×6)の発光指示LED付フレットスイッチ(音高指定スイッチ)が埋設されている。(特許文献2、特許文献3参照)
また、他の特許文献のナビゲーション弦楽器によれば、初心者でも容易に演奏操作ができるために、6本の弦が張られたネックには、押圧操作によって音高を指定する指板が形成され、指板のフレット0(開放弦)からフレット20までの間に、押圧操作をガイドするために発光するLEDが設けられている。さらに、この特許文献の図11および段落番号「0012」および「0024」に記載されているように、フレット0からフレット20のうち、曲情報の音高データが最も多く分布する4フレットをポインタbによって指定する構成になっている。(特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−136962号公報
【特許文献2】特開2002−258866号公報
【特許文献3】特開2004−205995号公報
【特許文献4】特開平11−249651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1乃至特許文献3においては、指板の押圧操作すべき音高指定スイッチをLEDの発光によってガイドしても、72個乃至90個の中からLEDが発光している音高指定スイッチの位置を押圧することは、初心者にとって極めて困難な演奏操作である。
これに対して、特許文献4の場合には、演奏する曲に応じて4フレットを選択し、24個(6×4)の中からLEDが発光している音高指定スイッチの位置を押圧するので、押圧するために移動する左手の範囲は小さい。しかし、特許文献4の図11から明らかなように、選択する4フレットが曲に応じて変化すると、同じ音高であっても押圧すべき位置も変化してしまう。例えば、「A3」、「C4」、「G4」の音高を演奏する際に、「b=2」の場合と「b=3」の場合とでは、押圧する指の形が全く異なってしまう。このため、初心者にとっては極めて困難な演奏操作になってしまう。また、演奏する曲が選択されたときに、演奏に先だってその曲を読み出して、音高データが最も多く分布する4フレットを決定しなければならず、そのための特別な制御プログラムを必要とするので、開発費用やプログラムメモリの容量によってコストアップを招くことになる。
本発明は、このような従来の課題を解決するためのものであり、初心者が容易に演奏技術を習得できるような電子弦楽器を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、楽器本体に張設された少なくとも一本の弦の撥弦操作により、押圧されているフレット位置に対応する音高の楽音を楽音発生手段により発生させる電子弦楽器において、限定されたフレット範囲内でダイアトニックスケールの音高の楽音を前記楽音発生手段にて発生するために必要なフレット押圧位置を示すフレット位置データが記憶されたメモリと、前記メモリに記憶されたフレット位置データを所定の順序で読み出すとともに、当該読み出されたフレット位置データに対応するフレット位置を指示するための表示信号を出力する表示出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の電子楽器において、請求項2に記載したように、前記楽器本体には6本の弦が張設され、前記メモリに記憶するフレット位置データは、5フレットの範囲内で当該範囲内の最低フレットからひとつ飛びに指定される3個のフレットの各弦に対応するフレット位置を示すデータでかつ、前記最低フレットの3弦及び4弦に対応する2個のフレット位置データのみ、この2個のフレット位置データに代えて、1フレット分音高が高くなるフレット位置を示す位置データを有することを特徴とする。
【0008】
請求項1の電子楽器において、請求項3に記載したように、前記表示出力手段は、所定の順序で読み出しを開始する前に、前記メモリに記憶されている全てのフレット位置を同時に読み出すことにより、前記フレットにおいて記憶された全てのフレット位置を一定時間同時に表示することを特徴とする。
【0009】
請求項1の電子楽器において、請求項4に記載したように、前記表示出力手段は、所定の順序で前記メモリからフレット位置データを読み出す際に、一度に複数のフレット位置データを順次読み出すモードと、フレット位置データをひとつずつ順次読み出すモードとに切り替え可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項1において、請求項5に記載したように、前記電子弦楽器はさらに、外部から音声信号を入力する音声信号入力手段と、当該入力された音声信号の音高を解析する音高解析手段と、前記フレットの押圧位置及び撥弦操作により指定される音高と当該解析された音高とが一致したときに、前記表示出力手段に対して前記メモリからのフレット位置データの読み出しを歩進させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、初心者が容易に演奏技術を習得できるような電子弦楽器を安価に提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態における練習専用の電子ギターの構造を示す図。
【図2】図1のX−X線に沿った断面図およびその一部拡大図。
【図3】図1(B)のY−Y線に沿った断面図。
【図4】第1実施形態における練習専用の電子ギターの弦番号およびフレット番号によって表された押え位置を示す図。
【図5】第1実施形態における練習専用の電子ギターのボディの内部に設けられたシステムを示すブロック図。
【図6】図5のROMに記憶されている押え位置データおよびレッスンデータの構成を示す図。
【図7】図6の単音レッスンデータおよびコードレッスンデータの詳細な内容を示す図。
【図8】図5のCPUのメインルーチンのフローチャート。
【図9】図8のメインルーチンにおけるスイッチ処理のフローチャート。
【図10】図9のスイッチ処理におけるモードスイッチ処理のフローチャート。
【図11】図9のスイッチ処理におけるレッスンスイッチ処理のフローチャート。
【図12】図9のスイッチ処理におけるスタートスイッチ処理のフローチャート
【図13】図12のスタートスイッチ処理における初期表示処理(1)のフローチャート。
【図14】図12のスタートスイッチ処理における初期表示処理(2)のフローチャート。
【図15】図8のメインルーチンにおけるフレット検知処理のフローチャート。
【図16】図8のメインルーチンにおけるトリガ検知処理のフローチャート。
【図17】図8のメインルーチンにおけるレッスンガイド処理のフローチャート。
【図18】図17における単音レッスン処理のフローチャート。
【図19】図18に続く単音レッスン処理のフローチャート。
【図20】図17におけるコードレッスン処理のフローチャート。
【図21】図8のメインルーチンにおける音声検知処理のフローチャート。
【図22】第1実施形態における超基音スケールの運指を示す図。
【図23】図22の超基音スケールの運指の容易な視認性を説明する図。
【図24】第1実施形態における「1」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図25】第1実施形態における「2」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図26】第1実施形態における「3」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図27】第1実施形態における「4」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図28】第1実施形態における「5」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図29】第1実施形態における「6」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図30】第1実施形態における「7」のコードトーン位置のスケールの運指を示す図。
【図31】第1実施形態における単音レッスンの楽譜を示す図。
【図32】第1実施形態における「1」のコードの運指のパターンを示す図。
【図33】第1実施形態における「2」のコードの運指のパターンを示す図。
【図34】第1実施形態における「3」のコードの運指のパターンを示す図。
【図35】第1実施形態における「4」のコードの運指のパターンを示す図。
【図36】第1実施形態における「5」のコードの運指のパターンを示す図。
【図37】第1実施形態における「6」のコードの運指のパターンを示す図。
【図38】第1実施形態における「7」のコードの運指のパターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による電子弦楽器の第1実施形態ないし第2実施形態について、練習専用の電子ギターを例に採って、図を参照して説明する。
図1は、第1実施形態における電子ギターを示す図であり、図1(A)はその平面図、図1(B)はその側面図である。図1において、電子ギターは、ボディ1、ボディ1に取り付けられたネック2、ネック2の上面に設けられ、指で押さえて音高を指定するフィンガーボード(指板)3を備えている。また、フィンガーボード3の5箇所には、その表面から線状凸部のフレット4が形成されている。ボディ1の中央部からネック2側にかけて6本の弦5が張られている。各弦5の一方の端部はボディ1側のブリッジ6に固定され、調整機構7によって張り具合を調整できるようになっている。各弦5の他方の端部はネック2の下側の部分(図示せず)で固定されている。ブリッジ6とネック2との中間の弦5の下には、各弦5の撥弦を検出するセンサ8が設けられている。センサ8は、電磁的、光学的、あるいは他の方法によって各弦5の振動を検出する。
【0014】
さらに、ボディ1には操作パネル9が設けられている。この操作パネル9には、演奏モードをレッスンモード又はノーマルモードに切り替えるモードスイッチ、レッスンモードの内容を単音レッスン又はコード(和音)レッスンに設定するレッスンスイッチ、レッスンモードを開始するスタートスイッチなどの各種のスイッチの他に、演奏者の音声を入力するマイクを接続するマイク端子が設けられている。さらに、レッスンの説明を表示するためにLCD(液晶表示部)が操作パネル9内に設けられている。
【0015】
図2は、図1のネック2およびフィンガーボード3の構造を示す図である。図2(A)は、図1(A)のX−X線に沿った断面図である。図2(A)において、フィンガーボード3とネック2との間にプリント基板11が設けられている。さらに、プリント基板11とフィンガーボード3との間に、演奏者の指の押圧によってオンとなるスイッチ部12が設けられている。図2(B)は、スイッチ部12を拡大した断面図である。図2(B)において、プリント基板11の上面にスイッチの一方の接点13が設けられ、フィンガーボード3の下面に他方の接点14が設けられている。フィンガーボード3は、指の押圧によって接点13と接点14とが接触してスイッチがオンになるように、半透明で弾性を有する合成樹脂で構成されている。
【0016】
図1(A)および図2(A)に示すように、フィンガーボード3の表面には、あたかも各弦5が延長しているように、6本の疑似弦10が形成されている。この疑似弦10は、実際の弦に似せてフィンガーボード3の表面から盛り上がった形状でもよいし、又は、印刷等によるマークでもよい。スイッチ部12は、ネック2の先端の開放弦の位置もしくはフレット4によって区切られ、かつ、6本の疑似弦10にそれぞれ対応した位置に設けられている。すなわち、合計30個のスイッチ部12がプリント基板11とフィンガーボード3との間に設けられている。したがって、各スイッチ部12の押圧によって発音すべき音高が決定される。
【0017】
図2には示されていないが、接点13および接点14は、中央部に穴又は切り欠きを有するドーナツ型又は「コ」の字型の構造になっており、接点13の穴又は切り欠きの位置のプリント基板11に、接点13および接点14に接触しないように、赤色(又は、他の可視光の色)で発光するLED(発光ダイオード)15が設けられている。さらに、LED15に対応するフィンガーボード3の下側には凹部16が形成され、フィンガーボード3が押圧されてもLED15に接触しない構造になっている。
【0018】
図3(A)および図3(B)は、図1(B)のY−Y線に沿った断面図である。図3(A)において、図2に示した構成と同じものは同一の符号で表されている。図3(A)に示すように、任意のスイッチ部のLED15が点灯することによって、押圧すべきフィンガーボード3の位置を演奏者にガイドする。上記したように、フィンガーボード3は半透明で弾性を有する合成樹脂で構成されているので、点灯したLED15の光が半透明のフィンガーボード3の厚みが薄い凹部16の部分を透過する。したがって、演奏者は押さえるべき位置を容易に認識できるので、図3(B)に示すように、指17によって発光しているフィンガーボード3の位置を押さえることができる。
【0019】
押圧によって発音すべき音高に対応する各スイッチ部12の押え位置は、弦番号(1〜6)およびフレット番号(1〜5)によって表すことができる。図4は、弦番号およびフレット番号によって表された押え位置を示す図である。この押え位置データは、ボディ1の内部に設けられたシステムに記憶されて、任意のスイッチ部12の操作が認識される。
【0020】
図5は、ボディ1の内部に設けられたシステムを示すブロック図である。図5において、CPU101は、この電子ギター全体を制御する中央処理装置であり、システムバスを介して制御プログラムや練習用データを記憶するROM102およびワークエリアであるRAM103に接続されていると共に、複数の入力ポート、少なくとも1つの出力ポート、および少なくとも1つの入出力ポートを有し、制御プログラムに従って、各ポートから入力されるデータおよび出力するデータをRAM103のレジスタに一時的にストアして処理する。また、電子ギターの状態を判定するために、RAM103には各種フラグ、例えば、スタートフラグSTF、モードフラグMODEF、レッスンフラグLESFなどが設けられている。
【0021】
図5において、音高検知回路104は、CPU101から出力されるスキャン信号に応じて、30個のスイッチのオン/オフを検知して、その検知信号をCPU101に入力する。撥弦検知回路105は、図1のセンサ8によって検出された弦5の振動を電気信号に変換して撥弦検知信号を発生する。A/Dコンバータ回路106は、撥弦検知回路105によって発生された撥弦検知信号をアナログからデジタルに変換してCPU101に入力する。表示信号出力回路107は、CPU101から出力される演奏ガイド信号に含まれている押え位置データに応じて、対応するLED15を点灯させると共に、レッスンの内容や条件をLCD(液晶表示器)などの表示部に表示する。音声入力部108は、操作パネル9に接続されたマイク(図示せず)から入力される音声を電気信号に変換して音声信号を発生する。ピッチ抽出回路109は、音声入力部108によって発生された音声信号の中からピッチすなわち音高成分を抽出して、CPU101に入力する。操作部110は、図1(A)の操作パネル9の各種スイッチの操作に応じた入力信号をCPU101に入力する。音源111は、CPU101から出力される発音データに基づいて、内部の波形ROM(図示せず)から波形データを読み出して楽音信号を生成する。AMP112は、音源111によって生成された楽音信号をデジタルからアナログに変換し、それを増幅してスピーカ113から発音させる。
【0022】
図6は、図5のROM102に記憶されている押え位置データおよびレッスンデータの構成を示す図である。図6において、符号D1の押え位置データは、アドレス0〜17によって指定される18個の音高に対応する押え位置が、弦番号/フレット番号によって表されている。図4に示した弦番号およびフレット番号によって表された押え位置の総数は30個であるが、この実施形態においては、その中の18個の押え位置だけをレッスンのために使用する。図4における括弧内の数字は、図6における押え位置データのアドレスを表している。また、図6において、符号D2のレッスンデータは、符号D3の単音レッスンデータおよび符号D4のコードレッスンデータで構成され、それぞれレッスンフラグLESF=0およびLESF=1によって識別される。
【0023】
図7は、図6の単音レッスンデータおよびコードレッスンデータの詳細な内容を示す図である。図7において、単音レッスンデータは、超基本スケール位置、1コードトーン位置から7のコードトーン位置までのデータで構成され、それぞれに対応するアドレスで指定される。一方、コードレッスンデータは、1のコード位置から7のコード位置までのデータで構成され、それぞれに対応するアドレスで指定される。
【0024】
次に、第1実施形態の電子ギターの動作について、CPU101によって実行される図8ないし図21のフローチャート、および、図22ないし図30、図32ないし図38のフィンガーボードの押え位置を表す模式図、並びに、図31の楽譜に基づいて説明する。
図8は、CPU101のメインルーチンのフローチャートである。最初に、モードフラグMODEF、スタートフラグSTF、レッスンフラグLESF、および、各弦の発音の有無を示すフラグON(1)〜ON(6)を「0」にリセットするなどの所定のイニシャライズ処理(ステップSA1)の後、スイッチ処理(ステップSA2)、フレット検知処理(ステップSA3)、トリガ検知処理(ステップSA4)、レッスンガイド処理(ステップSA5)、音声検知処理(ステップSA6)、その他の処理(ステップSA7)を繰り返し実行する。
【0025】
図9は、図8のステップSA2におけるスイッチ処理のフローチャートであり、操作パネルの各種スイッチの状態に応じた処理を行う。すなわち、モードスイッチ処理(ステップSB1)、レッスンスイッチ処理(ステップSB2)、スタートスイッチ処理(ステップSB3)、その他のスイッチ処理(ステップSB4)を実行する。
【0026】
図10は、図9のステップSB1におけるモードスイッチ処理のフローチャートである。スタートフラグSTFが「0(演奏停止中)」であるか又は「1(演奏中)」であるかを判別し(ステップSC1)、STFが「1」で演奏中の場合にはスイッチ操作が無効であるので、このフローチャートを終了する。一方、STFが「0」の場合には、モードスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSC2)。モードスイッチがオンでない場合には、このフローチャートを終了するが、モードスイッチがオンされたときは、モードフラグMODEFを反転する(ステップSC3)。そして、このフローチャートを終了する。
【0027】
図11は、図9のステップSB2におけるレッスンスイッチ処理のフローチャートである。スタートフラグSTFが「0(演奏停止中)」であるか又は「1(演奏中)」であるかを判別し(ステップSD1)、STFが「1」で演奏中の場合にはスイッチ操作が無効であるので、このフローチャートを終了する。一方、STFが「0」の場合には、レッスンスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSD2)。レッスンスイッチがオンでない場合には、このフローチャートを終了するが、レッスンスイッチがオンされたときは、レッスンフラグLESFを反転する(ステップSD3)。そして、このフローチャートを終了する。
【0028】
図12は、図9のステップSB3におけるスタートスイッチ処理のフローチャートである。モードフラグMODEFが「1(レッスンモード)」であるか又は「0(ノーマルモード)」であるかを判別し(ステップSE1)、MODEFが「1」である場合には、スタートスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSE2)。MODEFが「0」の場合、又は、スタートスイッチがオンされない場合には、このフローチャートを終了するが、MODEFが「1」の場合にスタートスイッチがオンされたときは、STFを反転する(ステップSE3)。そして、反転されたSTFが「1」であるか否かを判別する(ステップSE4)。一方、反転されたSTFが「0」の場合には、レッスン終了であるので、全てのLED15の表示を消灯して(ステップSE5)、このフローチャートを終了する。
【0029】
ステップSE4において、STFが「1」の場合には、レッスンフラグLESFの値に対応して、押え位置データのエリアを指定する(ステップSE6)。次に、RAMのレジスタSCALEを「0」にセットして(ステップSE7)、LESFが「0(単音レッスン)」であるか又は「1(コードレッスン)」であるかを判別する(ステップSE8)。LESFが「0」の場合には、初期表示処理(1)を実行し(ステップSE9)、LESFが「1」の場合には、初期表示処理(2)を実行する(ステップSE10)。いずれかの初期表示処理の後は、このフローチャートを終了する。SCALEにセットするスケールデータは、フィンガーボードの押え位置のパターンを表す運指データであり、図7に示した「0」の超基本スケール、「1」のコードトーン位置のスケール…「7」のコードトーン位置の8種類のスケールがある。
【0030】
図22は、超基本スケールの運指を示した図である。図22に示すように、弦番号およびフレット番号によって指定される30個の押え位置のうち、18個の押え位置だけでレッスンを行うものである。図22の丸数字が音高「1(C)」、「2(D)」、「3(E)」、「4(F)」、「5(G)」、「6(A)」、「7(B)」を表している。図23は、図22の超基音スケールの運指の容易な視認性を説明する図である。図22の18個の押え位置は、図23に示すように、1弦ないし6弦のフレットが1つ飛びになった状態から、3弦および4弦のフレット1の押え位置がフレット2にシフトして「3(E)」および「7(B)」の音高を指定した状態に変化したことを示している。したがって、極めて覚えやすい運指のパターンになっていることが初心者にも容易に理解される。超基本スケール以外の「1」のコードトーン位置のスケールから「7」のコードトーン位置までのスケールの運指は、図24から図30に示されている。
【0031】
図13は、図12のステップSE9における初期表示処理(1)のフローチャートである。この処理では、まず、SCALEの値に対応するスケールデータを指定する(ステップSF1)。次に、指定されたスケールデータに該当する全ての押え位置のLEDを3秒間点灯する(ステップSF2)。例えば、スケールデータが「0」の場合には、図22に示す18個の押え位置のLEDを点灯する。次に、SCALEの値に対応するスケールデータの先頭アドレスをレジスタADDRESSにストアして(ステップSF3)、ADDRESSにて指定された位置にある押え位置データのアドレスにて指定される押え位置のLEDを点灯する(ステップSF4)。そして、このフローチャートを終了する。
【0032】
図14は、図12のステップSE10における初期表示処理(2)のフローチャートである。まず、SCALEの値に対応するスケールデータを指定する(ステップSG1)。次に、SCALEの値に対応するスケールデータの先頭アドレスをレジスタADDRESSにストアして(ステップSG2)、ADDRESSにて指定された位置にある押え位置データのアドレスにて指定される押え位置のLEDを点灯する(ステップSG3)。そして、このフローチャートを終了する。
【0033】
図15は、図8のメインルーチンにおけるステップSA3のフレット検知処理のフローチャートである。この処理では、まず、図5の音高検知回路104にスキャン信号を出力して、フィンガーボードの30個のフレット状態すなわちスイッチのオン/オフの状態を取り込んで、RAMのエリアへストアする(ステップSH1)。このエリアは、図4に示した弦番号gおよびフレット番号fからなる2次元の配列{g,f}である(1,1)、(1,2)…(1,5)、(2,1)、(2,2)…(2,5)…(6,1)、(6,2)…(6,5)になっている。図8のメインルーチンのイニシャライズにおいて、このエリアはクリアされている。すなわち、全ての{g,f}は「0」である。任意の弦番号jおよび任意のフレット番号kの押え位置が押圧されると、{j,k}が「0」から「1」に変化し、その押圧が解除されると、{j,k}が「1」から「0」に変化する。図15において、フレット状態を取り込んだ後は、その取り込まれた状態から発音すべきピッチ(音高)を検出する(ステップSH2)。そして、このフローチャートを終了する。
【0034】
例えば、RAMのエリアの{j,k}が「0」から「1」に変化したときは、{j,k}の押え位置に対応するピッチを検出する。ただし、その押え位置が図22に示す運指の位置でない場合には、そのピッチによる発音処理は行わず、操作パネルの表示部にエラー表示を行うと共に、ギターの音色とは異なるエラー音で発音する。
【0035】
図16は、図8のメインルーチンのステップSA4におけるトリガ検知処理のフローチャートである。この処理では、弦番号を指定する変数レジスタnの値を「1」にセットして(ステップSJ1)、nの値をインクリメントしながら、ステップSJ2からステップSJ13までのループ処理を行って、図5の撥弦検知回路105から得られるn(=1〜6)弦の振動すなわち撥弦を検知し、A/Dコンバータ回路106でアナログからデジタルに変換されたトリガ信号を検知する。
【0036】
ループ処理において、n弦のA/Dデータを取り込み(ステップSJ2)、A/D出力レベルが所定値以上であるか否かを判別する(ステップSJ3)。A/D出力レベルが所定値以上である場合には、フラグON(n)が「0(非撥弦状態)」であるか否かを判別し(ステップSJ4)、ON(n)が「0」である場合には、n弦に対応するフレット状態をRAMから検出する(ステップSJ5)。すなわち、RAMのエリアの配列{n,f}が「1(押圧)」であるか又は「0(開放弦)」であるかを判別する。n弦に対応するフレット状態をRAMから検出した後は、その検出結果に基づいて、発音すべきピッチを確定して、レジスタPitch1に確定したピッチをストアする(ステップSJ6)。次に、確定したピッチで音源に発音を指示する(ステップSJ7)。次に、ON(n)を「1(撥弦状態)」にセットする(ステップSJ8)。
【0037】
ステップSJ3において、A/D出力レベルが所定値未満である場合には、フラグON(n)が「1(撥弦状態)」であるか否かを判別し(ステップSJ9)、ON(n)が「1」である場合には、その弦の振動が収束した状態であるので、n弦に対応する発音の消音を音源に指示し(ステップSJ10)、ON(n)を「0」にリセットする(ステップSJ11)。
【0038】
ステップSJ8において、ON(n)を「1」にセットした後、若しくは、ステップSJ11において、ON(n)を「0」にリセットした後、又は、ステップSJ9において、ON(n)が「0」である場合すなわちn弦が元々撥弦されていない場合には、nの値を1つインクリメントして(ステップSJ12)、nの値が最大値である「6」より大きくなったか否かを判別する(ステップSJ13)。nの値が「6」以下の場合には、ステップSJ2に移行して上記のループ処理を繰り返す。nの値が「6」より大きくなった場合には、このフローチャートを終了する。
【0039】
図17は、図8のメインルーチンにおけるステップSA5のレッスンガイド処理のフローチャートである。まず、モードフラグMODEFが「1(レッスンモード)」であるか又は「0(ノーマルモード)」であるかを判別し(ステップSK1)、MODEFが「0」である場合にはこのフローチャートを終了する。MODEFが「1」である場合には、スタートフラグSTFが「1(演奏中)」であるか又は「0(演奏停止中)」であるかを判別し(ステップSK2)、STFが「0」の場合には、このフローチャートを終了するが、STFが「1」の場合には、レッスンフラグLESFが「0(単音レッスン)」であるか又は「1(コードレッスン)」であるかを判別する(ステップSK3)。LESFが「0」である場合には、単音レッスン処理を実行し(ステップSK4)、LESFが「1」である場合には、コード(和音)レッスン処理を実行する(ステップSK5)。いずれかのレッスン処理を実行した後は、このフローチャートを終了する。
【0040】
図18は、図17のステップSK4における単音レッスン処理のフローチャートであり、図19は、図18に続く単音レッスン処理のフローチャートである。
図18において、LEDが点灯している押え位置の弦番号とフレット番号をRAMから取り出す(ステップLS1)。次に、点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とは一致しているか否かを判別する(ステップLS2)。すなわち、LEDの点灯によってガイドされたフレット番号が押圧されているかどうかを判別する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とは一致している場合には、さらに、点灯している弦番号と撥弦されてON(n)が「1」の弦番号とが一致しているか否かを判別する(ステップLS3)。点灯している弦番号と撥弦されてON(n)が「1」の弦番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。
【0041】
点灯している弦番号と撥弦されてON(n)が「1」の弦番号とが一致している場合には、RAM103から取り出した弦番号およびフレット番号に対応してPitch1にストアされているピッチ(音高)と、操作パネル9に接続された図示しないマイクから、演奏者が入力してPitch2にストアされているピッチ(音高)とが一致するか否かを判別する(ステップLS4)。なお、Pitch2にストアする動作については後述する。Pitch1のピッチとPitch2のピッチとが異なる場合には、このフローチャートを終了するが、Pitch1のピッチとPitch2のピッチとが一致する場合には、点灯しているLEDを消灯し(ステップLS5)、単音レッスンのスケールデータのADDRESSのアドレスをインクリメントする(ステップLS6)。
【0042】
そして、インクリメントしたADDRESSのアドレスが最終アドレスを超えたか否かを判別し(ステップLS7)、最終アドレスを超えていない場合には、ADDRESSのアドレスに対応する位置にある押え位置データのアドレスにて指定される押え位置をROMから読み出す(ステップLS8)。次に、押え位置に対応するフレット位置のLEDを点灯する(ステップLS9)。そして、このフローチャートを終了する。
【0043】
ステップSL7において、ADDRESSのアドレスが最終アドレスを超えた場合には、図18のフローチャートにおいて、SCALEの値をインクリメントする(ステップLS10)。そして、インクリメントしたSCALEの値が最大値である「7」以下であるか否かを判別する(ステップLS11)。SCALEの値が最大値以下である場合には、再び図13に示した初期表示処理(1)を実行する(ステップLS12)。そして、このフローチャートを終了する。一方、インクリメントしたSCALEの値が最大値を超えた場合には、STFを「0(演奏停止中)」にリセットして(ステップLS13)、全てのLEDおよび操作パネルの表示部の表示を消灯する(ステップLS14)。そして、このフローチャートを終了する。なお、初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に3秒間点灯するLEDは、SCALEの値に応じて異なる。
【0044】
図22に示した超基本スケールの場合には、上記したように、「1(C)」、「2(D)」、「3(E)」、「4(F)」、「5(G)」、「6(A)」、「7(B)」の音高を表す18個のLEDを全て点灯するが、押え位置に対応する音高の楽譜は、ABCDEFGのアルファベットおよび数字で表される。図31は、単音レッスンの楽譜を示す図である。図31(a)は超基本スケールに該当する。最も低音の「C4」から最も高音の「E6」までの17個の音符、すなわち、基本のオクターブの「ハ長調のド」から2オクターブ上の「ハ長調のミ」で構成される。この場合において、「G4」の音高は図4の「21」および「35」の2箇所の押え位置、すなわち、図22における弦番号2とフレット番号1および弦番号3とフレット番号5の2箇所の押え位置に対応している。したがって、図6においては、アドレス「11」およびアドレス「12」の押え位置が同じ音高「G4」となり、合計で18個の押え位置によって超基本スケールの運指が構成される。
【0045】
したがって、超基本スケールのレッスンにおいては、18個の押え位置のLEDを低い音高から高い音高、および、高い音高から低い音高に順に点灯させて、「ドレミファソラシド」および「ドシラソファミレド」の上下の運指を練習させる。上下の練習の回数を50往復程度行うことで、2オクターブ以上の演奏がそれなりにできるようになり、200回程度行うとほぼ完全に演奏できるようになるというのが一般的である。
【0046】
本発明では、ハ長調(Cから始まるD、E、F、G、A、B)を基本に説明する。ハ長調からは、一般的にダイアトニックコードと呼ばれる7つのコードが派生し、これらが文章でいう「起承転結」の役目を持っていることが公知である。すなわち、Cメジャースケール(ハ長調)から派生するコードは、CM7、Dm7、Em7、FM7、G7、Am7、Bm7(♭5)となっている。また、これらは曲によって調が変わっても、その機能が分かるように、IM7、IIM7、IIIm7、IVM7、V7、VIm7、VIIm7(♭5)という表記をとる場合が多い。本発明では、このIからVIIまでのダイアトニックコードの構成音をスケール化(旋法化)し、「1=I」から「7=VII」までのコードトーンのスケールを指板上に運指として作りだしている。
【0047】
図24の運指は、「1」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるCM7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(b)の楽譜に示された音符に対応する9個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、矢印で示す所定の方向に沿って押え位置のLEDを順に点灯させて、レッスンをガイドする。例えば、図に示すように、5弦および6弦の「1」、「3」、「5」の押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、「C3(ド)」、「E3(ミ)」、「G3(ソ)」のレッスンをガイドする。また、1弦ないし4弦の「7」、「1」、「3」、「5」、「7」、「1」の押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、「B3(シ)」、「C4(ド)」、「E4(ミ)」、「G4(ソ)」、「B4(シ)」、「C5(ド)」の2オクターブのレッスンをガイドする。
【0048】
図25の運指は、「2」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるDm7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(c)の楽譜に示された音符に対応する9個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0049】
図26の運指は、「3」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるEm7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(d)の楽譜に示された音符に対応する9個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0050】
図27の運指は、「4」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるFM7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(e)の楽譜に示された音符に対応する8個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0051】
図28の運指は、「5」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるG7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(f)の楽譜に示された音符に対応する7個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0052】
図29の運指は、「6」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるAm7の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(g)の楽譜に示された音符に対応する7個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0053】
図30の運指は、「7」のコードトーンのスケールであり、ハ長調の「C」から派生するコードであるBm7(♭5)の構成音をスケール化したレッスンである。このレッスンでは、図13の初期表示処理(1)において、レッスンの開始前に、図31(h)の楽譜に示された音符に対応する6個のLEDを点灯させて、押圧すべき押え位置の範囲を明らかにした後、所定の方向に沿って押え位置のLEDを音高の順に点灯させて、レッスンをガイドする。
【0054】
初心者は、図22の超基本スケールを「調和する音(ダイアトニックスケール)の指板上の押さえ位置」として容易に記憶することができる。さらに、図24ないし図30の7種類のコードトーンスケール位置は、コード進行中の現在のコードに対して、「最も調和する音」として記憶する。この押さえ位置が身に付けば、通常の生ギターを演奏する場合は、超基本スケール位置とコードトーンスケール位置を用いて様々なフレーズを作成して伴奏することが可能になる。
さらに生ギターで演奏する場合、曲の調が変化しても、指板をシフトさせて演奏すれば、あらゆる調に対して本発明で身に付いた押さえ位置が使用可能である。すなわち、本発明によって指の位置パターンさえ記憶しておけば、ギターの場合は指板をシフトさせる演奏はトランスポーズと同じであるため、この方法を使用することにより、全ての曲において調和した演奏が可能となる。
例えば、ある調の曲を演奏したい場合を考える。ハ長調の曲を演奏したい場合は、ダイアトニックスケールの始まりの音は「C」なので、超基本スケールの1の音はCとなる。ギターの6弦上では8フレットにCの音があるので、超基本スケール位置の1の音は6弦の8フレットから始まるように演奏すればよい。また、他のコードトーンスケール位置も同様にシフトさせて演奏する。
例えば、ジャズの定番である「1625(いちろくにーごー)」のコード進行をハ長調で楽しむ場合を考える。この場合は、8フレットと12フレットとの中間あたりに手首をもってきて、6弦の8フレットを1の音として、本発明で学んだ押さえ位置を用いて演奏する。1のコードがきたときは1のコードトーンを使用し、6のコードがきたときは6のコードトーンを使用する。また、超基本スケール位置もコードトーン位置ほどではないが調和するため、自分の好みの頻度で使用する。また、さらに演奏者が慣れてくると、この中から自分の好みの音を簡単に見つけだして、瞬時にフレーズを作成できるようになる。
【0055】
図20は、図17のステップSK5におけるコードレッスン処理のフローチャートである。この処理では、まず、点灯しているLEDの押え位置の弦番号とフレット番号を取り出す(ステップSM1)。次に、LEDが点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが一致しているか否かを判別する(ステップSM2)。すなわち、押圧をガイドされているフレットが正しく押さえられているか否かを判別する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。点灯しているフレット番号と押さえられているフレット番号とが一致している場合には、さらに、LEDが点灯している弦番号とフラグON(n)が「1」の弦番号とが一致しているか否かを判別する(ステップSM3)。すなわち、撥弦をガイドされている弦が正しく撥弦されているか否かを判別する。点灯している弦番号とフラグON(n)が「1」の弦番号とが異なる場合には、このフローチャートを終了する。
【0056】
点灯している弦番号とフラグON(n)が「1」の弦番号とが一致している場合には、点灯しているLEDを消灯する(ステップSM5)。そして、全部のLEDが消灯されたか否かを判別し(ステップSM6)、点灯しているLEDが残っている場合には、このフローチャートを終了する。一方、全部のLEDが消灯された場合には、ADDRESSのアドレスをインクリメントする(ステップSM6)。そして、インクリメントしたADDRESSのアドレスがレッスンの終了を示す最終のアドレスであるか否かを判別する(ステップSM7)。すなわち、図7における「7」のコードトーンの最後のアドレスであるか否かを判別する。ADDRESSのアドレスが最後のアドレスである場合には、STFを「0」にリセットして(ステップSM8)、このフローチャートを終了する。一方、ADDRESSのアドレスが最後のアドレスでない場合には、図に示した初期表示処理(2)を実行して(ステップSM9)、このフローチャートを終了する。
【0057】
図32ないし図38は、それぞれ「1(C3)」、「2(D3)」、「3(E3)」、「4(F3)」、「5(G3)」、「6(A3)」、「7(B3)」を基音とする「1」のコードないし「7」の7種類のコードの運指のパターンを示す図である。各番号を基音とする運指の押え位置によって、曲の進行に応じた違和感のない有効なコードを演奏することができる。
【0058】
図21は、図8のメインルーチンにおけるステップSA6の音声検知処理のフローチャートである。図1(A)の操作パネル9に設けられたマイク端子に接続されたマイクに演奏者の音声が入力されたときは、図5のCPU101は音声検知処理を実行する。まず、STFが「1(演奏中)」であるか又は「0(演奏停止中)」であるかを判別し(ステップSN1)、STFが「0」の場合にはこのフローチャートを終了するが、STFが「1」の場合には、LESFが「0(単音レッスン)」であるか「1(コードレッスン)」であるかを判別する(ステップSN2)。LESFが「1」の場合にはこのフローチャートを終了するが、LESFが「0」の場合には、図5のピッチ抽出回路109よりピッチデータを取り込み(ステップSN3)、Pitch2にピッチデータをストアする(ステップSN4)。そして、このフローチャートを終了する。図18の単音レッスン処理のステップSL4に示したように、Pitch1にストアされた撥弦のピッチと、Pitch2にストアされた演奏者の音声のピッチとが一致した場合に、押え位置として点灯しているLEDを消灯する。すなわち、レッスン曲の音高に対応する押え位置のLEDを点灯して演奏をガイドしたときに、撥弦によるピッチと演奏者の音声のピッチとが異なる場合には、次の音高に進むことができないようになっている。
したがって、スピーカから発音されるピッチを声に出して、そのピッチすなわち音高を体で覚える効果があり、よりいっそう効率的なレッスンが可能になる。
【0059】
以上のように、上記第1実施形態によれば、楽器本体に張設された6本の弦の撥弦操作により、押圧されているフレット位置に対応する音高の楽音を音源111により発生させる電子弦楽器において、限定されたフレット範囲内でダイアトニックスケールの音高の楽音を音源111にて発生するために必要なフレット押圧位置を示すフレット位置データが記憶されたRAM103と、RAM103に記憶されたフレット位置データを所定の順序で読み出すとともに、読み出されたフレット位置データに対応するフレット位置を指示するための表示信号を出力する表示信号出力回路107と、を備えている。したがって、限定されたフレット範囲内でフレット押圧位置を憶えるだけでよいので、初心者は容易に演奏技術を習得できる。
ただし、張設された弦は必ずしも6本に限定する必要はない。少なくとも1本の弦が張設されていれば、初心者が容易にごく基本的な演奏技術を習得できる。
【0060】
上記第1実施形態において、楽器本体には6本の弦が張設され、RAM103に記憶するフレット位置データは、5フレットの範囲内で、その範囲内の最低フレットからひとつ飛びに指定される3個のフレットの各弦に対応するフレット位置を示すデータでかつ、最低フレットの3弦及び4弦に対応する2個のフレット位置データのみ、この2個のフレット位置データに代えて、1フレット分音高が高くなるフレット位置を示す位置データを有する構成になっている。したがって、フレット押圧位置が極めて単純な配置になるので、初心者は容易に運指のパターンを修得できる。
【0061】
また、上記第1実施形態において、表示信号出力回路107は、所定の順序で読み出しを開始する前に、RAM103に記憶されている全てのフレット位置を同時に読み出すことにより、フレットにおいて記憶された全てのフレット位置を一定時間同時に表示する。したがって、押さえるべき全てのフレット位置を演奏に先立って明示するので、演奏者は使用するに必要なフレット位置を容易に把握できる。
【0062】
また、上記第1実施形態において、表示信号出力回路107は、所定の順序でRAM103からフレット位置データを読み出す際に、一度に複数のフレット位置データを順次読み出すモードと、フレット位置データをひとつずつ順次読み出すモードとに切り替え可能である。したがって、個人差に応じたモードバリエーションが可能になるので、演奏者は自分が練習したいモードを選択することができる。
【0063】
また、上記第1実施形態において、電子弦楽器1はさらに、外部のマイクから音声信号を入力する音声入力部108と、その入力された音声信号の音高を解析し、フレットの押圧位置及び撥弦操作により指定される音高と解析した音高とが一致したときに、表示信号出力回路107に対してRAM103からのフレット位置データの読み出しを歩進させるCPU101を備えている。したがって、初心者は、自ら発音することで指の位置と音高とのつながりを強く感じて憶えることができ、演奏結果が正しいか否かを容易に認識できるとともに、音感の練習ができる。
【0064】
なお、上記第1実施形態においては、単音のレッスンモードにおいて、18個のLEDを3秒間点灯した後は、押圧すべき押え位置のLEDを点灯する構成にしたが、18個のLEDを点灯して、押圧すべき押え位置のLEDを点灯から点滅に変化させる構成にしてもよい。あるいは、2色(例えば、赤色と緑色)発光のLEDを設けて、18個のLEDを緑で点灯して、押圧すべき押え位置のLEDを緑色から赤色に変更するような構成にしてもよい。
【0065】
また、一般に、上記した長調すなわちメジャースケールと、ブルーススケールおよび短調すなわちマイナースケールとは別物として扱われている。しかし、本発明においては、メジャースケールに関連づけて、ブルーススケールおよびマイナースケールのレッスンを行うことができる。例えば、図29に示した「6(A)」を基音とするコードトーンによって短調の雰囲気を表現することができる。あるいは、特定の押え位置を右に1フレットだけシフトしたパターンで、ブルーススケールおよびマイナースケールのレッスンを行うことができる。
【0066】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、練習専用に特化した電子ギターについて説明したが、第2実施形態においては、従来の通常の電子ギターを用いて本発明の練習方法を実現する。例えば、フレット番号1からフレット番号13までの13個のフレット(開放弦はフレット番号0)を有する6弦の電子ギターにおいて、各弦および限定された範囲のフレットの押え位置をガイドするLEDを点灯させる。具体的には、第1実施形態の場合と同じ運指のパターンを構成するように、フレット番号8ないしフレット番号12の5個のフレットの範囲にスイッチおよびLEDを設ける。したがって、押圧によって発音すべき音高に対応する各スイッチの押え位置は、弦番号(1〜6)およびハ長調の場合はフレット番号(8〜12)の5フレットによって表すことができる。なお、ハ長調だけでなく移調された場合には、音高の変化に応じてフレット番号をシフトした5フレットによって対応できる。
【0067】
以上のように、この第2実施形態によれば、6本の弦を撥弦して電子的に楽音を発生する電子ギターにおいて、ボディから所定方向に延びるネックの表面に形成された各弦の13個のフレット(フレット番号1ないしフレット番号13)を有するフィンガーボードにおいて、ハ長調の場合にはフレット番号8からフレット番号12までの限定された範囲の5フレットによって、演奏する曲にかかわらず、その範囲のLEDを点灯させて押圧すべき位置を指示する。ハ長調だけでなく移調された場合には、音高の変化に応じてフレット番号をシフトした5フレットによって対応できる。したがって、通常の電子ギターを用いて初心者が容易に演奏技術を習得できる。
【符号の説明】
【0068】
1 ボディ
2 ネック
3 フィンガーボード
4 フレット
5 弦
101 CPU
104 音高検知回路
105 撥弦検知回路
107 表示信号出力回路
109 ピッチ抽出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器本体に張設された少なくとも一本の弦の撥弦操作により、押圧されているフレット位置に対応する音高の楽音を楽音発生手段により発生させる電子弦楽器において、
限定されたフレット範囲内でダイアトニックスケールの音高の楽音を前記楽音発生手段にて発生するために必要なフレット押圧位置を示すフレット位置データが記憶されたメモリと、
前記メモリに記憶されたフレット位置データを所定の順序で読み出すとともに、当該読み出されたフレット位置データに対応するフレット位置を指示するための表示信号を出力する表示出力手段と、
を備えたことを特徴とする電子弦楽器。
【請求項2】
前記楽器本体には6本の弦が張設され、
前記メモリに記憶するフレット位置データは、5フレットの範囲内で当該範囲内の最低フレットからひとつ飛びに指定される3個のフレットの各弦に対応するフレット位置を示すデータでかつ、前記最低フレットの3弦及び4弦に対応する2個のフレット位置データのみ、この2個のフレット位置データに代えて、1フレット分音高が高くなるフレット位置を示す位置データを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項3】
前記表示出力手段は、所定の順序で読み出しを開始する前に、前記メモリに記憶されている全てのフレット位置を同時に読み出すことにより、前記フレットにおいて記憶された全てのフレット位置を一定時間同時に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項4】
前記表示出力手段は、所定の順序で前記メモリからフレット位置データを読み出す際に、一度に複数のフレット位置データを順次読み出すモードと、フレット位置データをひとつずつ順次読み出すモードとに切り替え可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項5】
前記電子弦楽器はさらに、
外部から音声信号を入力する音声信号入力手段と、
当該入力された音声信号の音高を解析する音高解析手段と、
前記フレットの押圧位置及び撥弦操作により指定される音高と当該解析された音高とが一致したときに、前記表示出力手段に対して前記メモリからのフレット位置データの読み出しを歩進させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項1】
楽器本体に張設された少なくとも一本の弦の撥弦操作により、押圧されているフレット位置に対応する音高の楽音を楽音発生手段により発生させる電子弦楽器において、
限定されたフレット範囲内でダイアトニックスケールの音高の楽音を前記楽音発生手段にて発生するために必要なフレット押圧位置を示すフレット位置データが記憶されたメモリと、
前記メモリに記憶されたフレット位置データを所定の順序で読み出すとともに、当該読み出されたフレット位置データに対応するフレット位置を指示するための表示信号を出力する表示出力手段と、
を備えたことを特徴とする電子弦楽器。
【請求項2】
前記楽器本体には6本の弦が張設され、
前記メモリに記憶するフレット位置データは、5フレットの範囲内で当該範囲内の最低フレットからひとつ飛びに指定される3個のフレットの各弦に対応するフレット位置を示すデータでかつ、前記最低フレットの3弦及び4弦に対応する2個のフレット位置データのみ、この2個のフレット位置データに代えて、1フレット分音高が高くなるフレット位置を示す位置データを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項3】
前記表示出力手段は、所定の順序で読み出しを開始する前に、前記メモリに記憶されている全てのフレット位置を同時に読み出すことにより、前記フレットにおいて記憶された全てのフレット位置を一定時間同時に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項4】
前記表示出力手段は、所定の順序で前記メモリからフレット位置データを読み出す際に、一度に複数のフレット位置データを順次読み出すモードと、フレット位置データをひとつずつ順次読み出すモードとに切り替え可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【請求項5】
前記電子弦楽器はさらに、
外部から音声信号を入力する音声信号入力手段と、
当該入力された音声信号の音高を解析する音高解析手段と、
前記フレットの押圧位置及び撥弦操作により指定される音高と当該解析された音高とが一致したときに、前記表示出力手段に対して前記メモリからのフレット位置データの読み出しを歩進させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子弦楽器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2013−57953(P2013−57953A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233831(P2012−233831)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2006−334172(P2006−334172)の分割
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【分割の表示】特願2006−334172(P2006−334172)の分割
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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