説明

電子放出素子アセンブリ、並びに電子ビームを発生する方法

【課題】電子放出素子アセンブリに電子を放出させる信号を供給する電気制御線を真空容器の壁面を貫通させて取り回しする必要をなくす。
【解決手段】電子放出素子アセンブリ、並びに電子ビームを発生する方法を提供する。電子放出素子アセンブリは、光を放出するように構成された光源(80)を含む。電子放出素子アセンブリはさらに、電子放出素子(74)に結合されて動作する光応答素子(104)を含む。光応答素子(104)は、電子放出素子(74)に、光の受光に応答して電子を放出させる。最後に、電子放出素子アセンブリは、電子放出素子(74)から放出された電子を受領するアノード(77)を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
X線装置は、X線を発生するために電界放出素子アレイのような電子放出素子を用いている。各々の電界放出素子アレイは電気制御線に結合され、制御線は真空容器を貫通して延在して、制御線に印加される電圧信号が電界放出素子アレイに電子を放出させる。この後に、放出された電子を用いてX線を発生する。従って、X線装置が、数千本の電気制御線を有する数千個の電界放出素子アレイ用い得るので、真空容器の壁面の開口を介して電気制御線を取り回しし、且つ各々の制御線の周囲で真空密閉を設けることに問題が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
このように、電子放出素子アセンブリに電子を放出させる信号を供給する電気制御線を真空容器の壁面を貫通させて取り回しする必要をなくす電子放出素子アセンブリが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施形態の一例による電子放出素子アセンブリを提供する。この電子放出素子アセンブリは、光を放出するように構成された光源を含む。電子放出素子アセンブリはさらに、電子放出素子に結合されて動作する光応答素子を含む。光応答素子は、電子放出素子に、受光に応答して電子を放出させる。最後に、電子放出素子アセンブリは、電子放出素子から放出された電子を受領するアノードを含む。
【0004】
また、実施形態の他の一例による電子放出素子アセンブリを提供する。この電子放出素子アセンブリは、光を放出するように構成された光源を含む。この電子放出素子アセンブリはさらに、複数の光応答素子及び複数の電子放出素子を含む。各々の光応答素子は、対応する電子放出素子に結合されて動作する。各々の光応答素子は、対応する電子放出素子に、光応答素子が光の少なくとも一部を受光するのに応答して電子を放出させる。最後に、電子放出素子アセンブリは、電子放出素子の各々から放出された電子を受領するアノードを含む。
【0005】
また、実施形態の他の一例による電子放出素子アセンブリを提供する。この電子放出素子アセンブリは、第一の波長を有する光を放出するように構成された第一の光源を含む。電子放出素子アセンブリはさらに、第二の波長を有する光を放出するように構成された第二の光源を含む。電子放出素子アセンブリはさらに、電子放出素子に結合されて動作する第一及び第二の光応答素子を含む。電子放出素子は、第一の電子放出素子サブアセンブリ及び第二の電子放出素子サブアセンブリを含む。第一の光応答素子は、第一の電子放出素子サブアセンブリに、第一の波長を有する光の受光に応答して電子を放出させる。第二の光応答素子は、第二の電子放出素子サブアセンブリに、第二の波長を有する光の受光に応答して電子を放出させる。最後に、電子放出素子アセンブリは、電子放出素子から放出された電子を受領するアノードを含む。
【0006】
また、実施形態の他の一例による電子ビームを発生する方法を提供する。この方法は、電子放出素子に結合されて動作する光応答素子に対して光を放出するステップを含む。この方法はさらに、光応答素子が光を受光するのに応答してアノードに向かって電子を放出するように電子放出素子に通電するステップを含む。
【0007】
また、実施形態の他の一例による電子ビームを発生する方法を提供する。この方法は、電子放出素子に結合されて動作する第一の光応答素子に向かって第一の波長を有する光を放出するステップを含む。この電子放出素子は、第一の電子放出素子サブアセンブリ及び第二の電子放出素子サブアセンブリを有する。この方法はさらに、第一の光応答素子が第一の波長を有する光を受光するのに応答してアノードに向かって電子を放出するように第一の電子放出素子サブアセンブリに通電するステップを含む。この方法はさらに、電子放出素子に結合されて動作する第二の光応答素子に向かって第二の波長を有する光を放出するステップを含む。最後に、この方法は、第二の光応答素子が第二の波長を有する光を受光するのに応答してアノードに向かって電子を放出するように第二の電子放出素子サブアセンブリに通電するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1及び図2には、実施形態の一例による目標対象のディジタル画像を形成するCTイメージング・システム10が示されている。CTイメージング・システム10はCTスキャナ12を含んでおり、スキャナ12はX線源サブアセンブリ14、16、18及びX線検出器アレイ20、22、24、X線制御器26、データ取得システム28、画像再構成器30、コンピュータ32、移動制御器34、テーブル36、外部メモリ38、操作者コンソール40、並びにコンピュータ・モニタ42を含む。尚、代替的な実施形態では、CTイメージング・システム10は3基よりも多い又は少ないX線源サブアセンブリを有していてよい。さらに、CTイメージング・システム10は3基よりも多い又は少ないX線検出器アレイを有していてもよい。
【0009】
CTスキャナ12は、目標対象の複数のディジタル画像を形成するように設けられている。CTスキャナ12は、X線源サブアセンブリ14、16、18及びX線検出器アレイ20、22、24を含む。各々のX線源サブアセンブリが、当該X線源サブアセンブリによる走査領域を真直ぐに横断して設けられて目標対象を透過した減弱後のX線を受光するX線検出器アレイを含む。例えば、X線源サブアセンブリ14は、サブアセンブリ14から真直ぐに横断して設けられて間に介設された目標対象21を透過したX線を受光するX線検出器アレイ24を有する。同様に、X線源サブアセンブリ16は、サブアセンブリ16から真直ぐに横断して設けられて間に介設された目標対象21を透過したX線を受光するX線検出器アレイ20を有する。同様に、X線源サブアセンブリ18は、サブアセンブリ18から真直ぐに横断して設けられて間に介設された目標対象21を透過したX線を受光するX線検出器アレイ22を有する。さらに、各々のX線源サブアセンブリは2基の隣接するX線検出器アレイの間に配置される。例えば、X線源サブアセンブリ14はX線検出器アレイ22と20との間に配置される。同様に、X線源サブアセンブリ16はX線検出器アレイ22と24との間に配置される。同様に、X線源サブアセンブリ18はX線検出器アレイ24と20との間に配置される。サブアセンブリ14、16、18の各々は実質的に同等の構造を有しているため、単純化の目的で以下ではサブアセンブリ14のみについて詳細に説明する。
【0010】
図3を参照して述べると、X線源サブアセンブリ14は、レーザからの光の受光に応答してX線ビーム75を発生するように設けられている。サブアセンブリ14は、真空筐体60、透過窓68、基材72、絶縁支持61、63、複数の電子放出素子アセンブリ74、X線透過窓76、アノード77、レーザ78、80、鏡82、及びアクチュエータ84を含む。真空筐体60は側壁62、64を含み、これらの側壁は底面壁66に結合されている。底面壁66は、透過窓68を内部に収容した開口70を画定している。絶縁支持61、63は側壁62、64にそれぞれ結合されている。絶縁支持61、63は、基材72を筐体60から電気的に絶縁し、基材72を間に保持している。基材72は、複数の電子放出素子アセンブリ74を載せて保持するように設けられている。電子放出素子アセンブリ74の各々は、基材72内の対応する開口を貫通して配設され、開口に固定的に保持される。電子放出素子サブアセンブリ74の各々は、側壁62、64の一方を貫通して延在する電気線88、113を介して電圧源110に電気的に結合されている。側壁62及び64は、アノード薄膜77及びアノード薄膜77に隣接して配設されているX線透過窓76を収容するための底面壁66に対向した開口を画定している。真空筐体60はステンレス鋼で構築され、内部を真空に保つように真空密閉される。
【0011】
鏡82が設けられて、レーザ78、80の1又は複数からの光を、透過窓68を通して電子放出素子アセンブリ74の1又は複数に入射するように反射させる。各々の電子放出素子アセンブリ74は、光ビーム81、87の1又は複数の受光に応答して電子ビーム83を発生するように構成されており、電子ビーム83はアノード77によって受領される。アノード77は、放出された電子の受領に応答してX線ビーム75を発生し、X線ビーム75はX線透過窓76を透過して伝播する。鏡82は、軸点85において少なくとも2本の軸を中心として運動アクチュエータ84によって回転する。具体的には、鏡82は、2本の軸の各々を中心として少なくとも120°にわたって軸点85において回転することができ、レーザ78、80の各々からの光が選択的に複数の電子放出素子アセンブリ74の各々に向かうようにすることができる。代替的な実施形態では、X線源サブアセンブリ14内で第二の鏡を用いて、鏡82がレーザ78からの光を反射し、第二の鏡がレーザ80の光を反射するようにしてもよい。
【0012】
レーザ78、80は光ビーム87、81をそれぞれ発生するように設けられており、複数の電子放出素子アセンブリ74に電子を放出させ、続いてX線を発生する。レーザ80は第一の予め決定された波長を有する光を放出し、レーザ78は第一の予め決定された波長とは異なる第二の予め決定された波長を有する光を放出する。
【0013】
図4及び図5を参照して述べると、各々の電子放出素子アセンブリ74は、真空筐体98、電子放出素子サブアセンブリ100、及び電子放出素子サブアセンブリ102を含む。電子放出素子サブアセンブリ100は、第一及び第二の波長をそれぞれ有するレーザ80、78からの第一及び第二の光ビームに応答して第一及び第二の電子ビームをそれぞれ放出するように設けられる。
【0014】
電子放出素子サブアセンブリ100は、光トランジスタ104、電子放出素子(例えば電界放出素子アレイ)106、抵抗器108、電圧源110、及び電気線111を有する。光トランジスタ104は、節点109において抵抗器108及び電界放出素子アレイ106の両方に結合されて動作する。電界放出素子アレイ106は、節点109と節点113との間で抵抗器108に並列接続され、節点113は電圧接地にさらに接続される。光トランジスタ104がレーザ80から第一の波長を有する光を受光すると、トランジスタ104は電圧源110からの電圧を電界放出素子アレイ106に印加し、これによりアレイ106に電子を放出させる。
【0015】
電界放出素子アレイ106は、複数の金属先端112、シリコン基材114、誘電層116、及び金属層118を含む。誘電層116はシリコン基材114に結合されて動作する。基材114は、シリコン以外の材料、例えば他の半導体材料を含めた材料で構築され得る。金属層118は、シリコン基材114の反対側で誘電層116に結合されて動作する。金属層118と誘電層116との組み合わせは、ここを貫通して配設される複数の開口120を含む。各々の開口120が、対応する金属先端112よりも大きい径を有し、対応する金属先端112が開口120の内部に配設されるようにしている。さらに、各々の金属先端112はシリコン基材114に結合されて動作する。各々の金属先端112は電気線111を介して節点113に電気的に接続される。さらに、金属層118が節点109に電気的に接続されて、光トランジスタ104からの電圧を受ける。光トランジスタ104が金属層118と金属先端112との間に電圧を印加するのに応答して、金属先端112の各々がアノード77に向かって電子を放出する。尚、高電圧源(図示されていない)が複数の電子放出素子アセンブリ74の各々とアノード77との間に結合されて動作し、これらの間に高電圧を印加して、アセンブリ74から放出されている電子をアノード77に向かって加速させることをさらに特記しておく。代替的な実施形態では、複数の金属先端112をナノロッド、カーボン・ナノチューブ、又は電子を放出するように構成されている等価な構造で置き換えてもよい。
【0016】
電子放出素子サブアセンブリ102は、光トランジスタ130、電界放出素子アレイ132、抵抗器134、電圧源110、及び電気線136を含む。光トランジスタ130は、節点131において抵抗器134及び電界放出素子アレイ132の両方に結合されて動作する。電界放出素子アレイ132は、節点131と節点133との間で抵抗器134に並列接続され、節点133は電圧接地にさらに接続される。光トランジスタ130がレーザ78から第二の波長を有する光を受光すると、光トランジスタ130は電圧源110からの電圧を電界放出素子アレイ132に印加し、これによりアレイ132に電子を放出させる。
【0017】
電界放出素子アレイ132は、複数の金属先端138、シリコン基材140、誘電層142、及び金属層144を含む。誘電層142はシリコン基材140に結合されて動作する。金属層144は、シリコン基材140の反対側で誘電層142に結合されて動作する。金属層144と誘電層142との組み合わせは、ここを貫通して配設される複数の開口146を含む。各々の開口146が、対応する金属先端138よりも大きい径を有し、対応する金属先端138が開口146の内部に配設されるようにしている。さらに、各々の金属先端138はシリコン基材140に結合されて動作する。各々の金属先端138は、電気線136を介して節点133に電気的に接続される。さらに、金属層144が節点131に電気的に接続されて、光トランジスタ130からの電圧を受ける。光トランジスタ130が金属層144と金属先端138との間に電圧を印加するのに応答して、金属先端138の各々がアノード77に向かって電子を放出する。
【0018】
図5を参照して述べると、光トランジスタ104は、全体的に矩形の周縁を有する電界放出素子アレイ106に隣接して配設される。同様に、光トランジスタ130は、全体的に矩形の周縁を有する電界放出素子アレイ132に隣接して配設される。レーザ80が第一の波長を有する光を放出して光が鏡82によって反射されて光トランジスタ104に入射すると、電界放出素子アレイ106がアノード77に向かって電子を放出し、続いてこれらの電子を用いてX線を発生する。同様に、レーザ78が第二の波長を有する光を放出して光が反射されて光トランジスタ130に入射すると、電界放出素子アレイ132がアノード77に向かって電子を放出し、続いてこれらの電子を用いてX線を発生する。このように、第一の波長の光を光トランジスタ104に向かって放出し、続いて第二の波長の光を光トランジスタ130に向かって放出することにより、アノード77は第一の焦点において第一のX線ビームを、また第二の焦点において第二のX線ビームを発生し、これらのX線を用いて目標対象21のディジタル画像を形成する。
【0019】
図6には、サブアセンブリ14、16、18において用いられ得る電子放出素子アセンブリの代替的な実施形態が図示されている。具体的には、電子放出素子アセンブリ158が、真空筐体160、電界放出素子アレイ162を有する第一の電子放出素子アセンブリ、電界放出素子アレイ164を有する第二の電子放出素子アセンブリ、及び光トランジスタ166、168を含む。第一の電界放出素子アレイ162は全体的に矩形の周縁を有し、全体的に矩形の周縁をやはり有する電界放出素子アレイ164によって包囲されている。光トランジスタ166は、電界放出素子アレイ162に結合されて動作し、真空筐体160の第一の端辺に隣接して配設されている。光トランジスタ168は、電界放出素子アレイ164に結合されて動作し、真空筐体160の第二の端辺に隣接して配設されている。レーザ80が第一の波長を有する光を放出して光が鏡82によって反射されて光トランジスタ166に入射すると、電界放出素子アレイ162がアノード77に向かって相対的に小径の電子を放出して、相対的に小径のX線ビームを得る(例えば200ミクロン径のX線ビーム)。加えて、レーザ78が第二の波長を有する光を同時に放出して光が反射されて光トランジスタ168に入射すると、電界放出素子アレイ164がアノード77に向かって相対的に大径の電子を放出して、相対的に大径のX線ビームを得る(例えば200ミクロンを上回る径のX線ビーム)。このように、第一の波長の光をトランジスタ166に向かって放出し、続いて第一及び第二の波長の両方の光を光トランジスタ166、168に向かって放出することにより、アノード77は第一の焦点径を有する第一のX線ビーム及び第二の焦点径を有する第二のX線ビームを発生し、これらのX線ビームを用いて目標対象21のディジタル画像を形成する。
【0020】
図7には、アセンブリ14、16、18において用いられ得る電子放出素子アセンブリの代替的な実施形態が図示されている。具体的には、電子放出素子アセンブリ180が、真空筐体182、電界放出素子アレイ184を有する第一の電子放出素子アセンブリ、電界放出素子アレイ186を有する第二の電子放出素子アセンブリ、及び光トランジスタ188、190を含む。電界放出素子アレイ184は全体的に円形の周縁を有し、全体的に円形の周縁を有する電界放出素子アレイ186によって包囲されている。光トランジスタ188は、電界放出素子アレイ184に結合されて動作し、真空筐体182の第一の端辺に隣接して配設されている。光トランジスタ190は、電界放出素子アレイ186に結合されて動作し、真空筐体182の第二の端辺に隣接して配設されている。レーザ80が第一の波長を有する光を放出して光が鏡82によって反射されて光トランジスタ188に入射すると、電界放出素子アレイ184がアノード77に向かって相対的に小径の電子を放出して、相対的に小径のX線ビームを得る(例えば200ミクロン径のX線ビーム)。加えて、レーザ78が第二の波長を有する光を同時に放出して光が反射されて光トランジスタ190に入射すると、電界放出素子アレイ186がアノード77に向かって相対的に大径の電子を放出し、相対的に大径のX線ビームを得る(例えば200ミクロンを上回る径のX線ビーム)。このように、第一の波長の光を光トランジスタ188に向かって放出し、続いて第一及び第二の波長の両方の光を光トランジスタ188、190に向かって放出することにより、アノード77は、第一の焦点径を有する第一のX線ビーム及び第二の焦点径を有する第二のX線ビームを発生し、これらのX線ビームを用いて目標対象21のディジタル画像を形成する。
【0021】
図8には、アセンブリ14、16、18に用いられ得る電子放出素子アセンブリの代替的な実施形態が図示されている。具体的には、電子放出素子アセンブリ200が、真空筐体202、電界放出素子アレイ204を有する電子放出素子サブアセンブリ、及び光トランジスタ206を含む。電界放出素子アレイ204は全体的に矩形の周縁有する。但し、放出素子アレイ204は、例えば円形、三角形、六角形及び楕円形を含めて任意の既知の形状を有していてよいことを特記しておく。レーザ80が第一の波長を有する光を放出して光が鏡82によって反射されて光トランジスタ206に入射すると、電界放出素子アレイ204がアノード77に向かって電子を放出し、続いてこれらの電子を用いてX線を発生する。このように、第一の波長を有する光に応答して光トランジスタ206が起動されるため、電界放出素子アレイ204に電子を放出させるのに一つのレーザしか必要でなくなる。従って、一つのレーザを用いて複数の電子放出素子アセンブリ200を起動することができる。
【0022】
尚、電子放出素子アセンブリの実施形態の任意のものにおいて、光トランジスタを例えばフォトダイオードのような他の光応答素子で置き換えてよいことを特記しておく。
【0023】
図2を参照して述べると、コンピュータ32から受信した制御信号に応答してCTスキャナ12を制御するX線制御器26が設けられている。X線制御器26は、レーザ78、80、44、45、48、49、運動アクチュエータ84、47、51、並びにコンピュータ32に結合されて動作する。さらに、X線制御器26は制御信号L1、L2、L3、L4、L5、L6を発生して、それぞれレーザ78、80、44、45、48、49に、X線ビームを発生する光を放出させる。さらに、X線制御器26は制御信号A1、A2、A3を発生して鏡82、46、50のアクチュエータ84、47、51それぞれによる移動を制御する。
【0024】
データ取得システム28は、X線検出器アレイ20、22、24に結合されて動作し、さらにコンピュータ32及び画像再構成器30に結合されて動作する。システム28は信号D1、D2、D3をそれぞれX線検出器アレイ20、22、24から受信して、これらの信号を画像再構成器30へ転送する。
【0025】
画像再構成器30は、信号D1、D2、D3からディジタル画像を形成するために設けられている。画像再構成器30はデータ取得システム28とコンピュータ32との間に結合されて動作する。画像再構成器30は形成されたディジタル画像をコンピュータ32へ転送する。
【0026】
コンピュータは、X線制御器26、データ取得システム28、画像再構成器30、外部メモリ38、コンピュータ・コンソール40、コンピュータ・モニタ42、及び移動制御器34に結合されて動作する。
【0027】
コンピュータ32は、移動制御器34にテーブル36を予め決定された位置まで移動させる第一の制御信号を発生するために設けられている。さらに、コンピュータ32は、X線制御器26にX線ビームの発生を開始させる第二の制御信号を発生する。さらに、コンピュータ32は、画像再構成器30から形成されたディジタル画像を受け取り、画像をモニタ42に表示させるか若しくはディジタル画像を外部メモリ38に記憶させるか、又は両方を行なう。操作者コンソール40はコンピュータ32に結合されて動作して、利用者が特定のディジタル画像の閲覧を要求し得るようにする。
【0028】
図2、図3、図4、図9及び図10を参照して、実施形態の一例によるX線を発生する方法を以下で説明する。議論の目的で、電子放出素子アセンブリ74を有するX線源サブアセンブリ14を用いて方法を説明する。しかしながら、代替的な実施形態では電子放出素子アセンブリ74の代わりに電子放出素子アセンブリ158、180、200を用いてよいことを特記しておく。さらに、2本のX線ビームを放出する唯一の電子放出素子アセンブリ74を用いて方法を説明する。しかしながら、X線源サブアセンブリ14、16、18の各々の電子放出素子アセンブリ74が複数のX線ビームを発生するようにするために本方法が繰り返し実行されることを理解されたい。
【0029】
ステップ300では、X線制御器26が、電子放出素子サブアセンブリ100及び電子放出素子サブアセンブリ102を有する電子放出素子アセンブリ74に向かって光を反射させるために鏡82を第一の予め決定された位置まで回転させる。
【0030】
ステップ302では、X線制御器26が、レーザ80に第一の波長を有する光を放出させて、光は鏡82で反射されて光トランジスタ104に向かう。
【0031】
ステップ304では、光トランジスタ104が第一の波長を有する光を受光して、電子放出素子サブアセンブリ100にアノード77に向かって電子を放出させる。
【0032】
ステップ306では、アノード77が、電子放出素子サブアセンブリ100から放出された電子を受領して、目標対象に向かってX線を放出する。
【0033】
ステップ308では、電子放出素子アセンブリ74に対向して設けられているX線検出器アレイ24が、目標対象によって減弱したX線を受光して、減弱後のX線を示す電気信号を画像再構成器装置30へ送信し、画像再構成器30が目標対象の第一のディジタル画像を形成する。
【0034】
ステップ310では、X線制御器26が、レーザ78、80にそれぞれ第一及び第二の波長を有する光を同時に放出させる。第一の波長を有する光は鏡82で反射されて第一の光トランジスタ104に向かう。第二の波長を有する光は鏡82で反射されて第二の光トランジスタ130に向かう。
【0035】
ステップ312では、光トランジスタ104が第一の波長を有する光を受光して、電子放出素子サブアセンブリ100にアノード77に向かって電子を放出させる。
【0036】
ステップ314では、光トランジスタ130が第二の波長を有する光を受光して、電子放出素子サブアセンブリ102にアノード77に向かって電子を放出させる。
【0037】
ステップ316では、アノード77が電子放出素子サブアセンブリ100、102から放出された電子を受領して、目標対象に向かってX線を放出する。
【0038】
ステップ318では、電子放出素子アセンブリ102に対向して設けられているX線検出器アレイ24が、目標対象によって減弱したX線を受光して、減弱後のX線を示す電気信号を画像再構成器装置30へ送信し、画像再構成器30が目標対象の第二のディジタル画像を形成する。
【0039】
X線を発生するこれらのシステム及び方法は、他のシステム及び方法を凌ぐ実質的な利点を提供する。具体的には、このシステムは、X線源サブアセンブリ内の電子放出素子アセンブリを起動し、電子ビームを発生させ、これらの電子ビームを用いて引き続きX線を発生するために、光ビームを用いるという技術的効果を提供する。このため、他のシステムで為されているように複数の制御線を真空筐体の壁面を貫通させて電子放出素子アセンブリまで取り回しすると真空密閉の問題及び付随する真空筐体内部の真空漏れを生じる場合があったが、本システムでは、このような複数の制御線の取り回しの必要がなくなる。
【0040】
実施形態の例を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変形を施し、また本発明の要素を均等構成で置換し得ることが当業者には理解されよう。加えて、本発明の範囲から逸脱せずに本発明の教示を具体的な状況に合わせて適応構成する多くの改変を施してよい。従って、本発明は、本発明を実施するために開示されている実施形態に限定されている訳ではなく、所期の特許請求の範囲に属する全ての実施形態を包含するものとする。さらに、第一、第二等の用語は、重要性の序列を何ら表わすものではなく、一要素を他要素と識別するために用いられている。さらに、単数形を用いている場合も量の制限を表わしている訳ではなく、参照されている項目が少なくとも一つ存在していることを示す。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態の一例によるCTイメージング・システムの概略図である。
【図2】図1のCTイメージング・システムのさらに詳細な概略図である。
【図3】図1のCTイメージング・システムに用いられるX線源サブアセンブリの概略図である。
【図4】実施形態の一例による図3のX線源サブアセンブリに用いられる電子放出素子アセンブリの回路概略図である。
【図5】実施形態の一例による図4の電子放出素子アセンブリの上面図である。
【図6】実施形態の他の一例による電子放出素子アセンブリの上面図である。
【図7】実施形態の他の一例による電子放出素子アセンブリの上面図である。
【図8】実施形態の他の一例による電子放出素子アセンブリの上面図である。
【図9】実施形態の一例による電子ビームを発生する方法を用いてX線を発生する方法の流れ図である。
【図10】実施形態の一例による電子ビームを発生する方法を用いてX線を発生する方法の流れ図である。
【符号の説明】
【0042】
10 CTイメージング・システム
12 CTスキャナ
14、16、18 X線源サブアセンブリ
20、22、24 X線検出器アレイ
21 目標対象
36 テーブル
42 コンピュータ・モニタ
46、50、82 鏡
47、51、84 アクチュエータ
60、98、160、182、202 真空筐体
61、63 絶縁支持
62、64 側壁
66 底面壁
68 透過窓
70 開口
72 基材
74、158、180、200 電子放出素子アセンブリ
75 X線ビーム
76 X線透過窓
77 アノード薄膜
78、80、44、45、48、49 レーザ
81、87 光ビーム
83 電子ビーム
85 軸点
88 電気線
100、102 電子放出素子サブアセンブリ
104、130、166、168、188、190、206 光トランジスタ
106、132 電子放出素子
108、134 抵抗器
109、113、131、133 節点
111、136 電気線
112、138 金属先端
114、140 シリコン基材
116、142 誘電層
118、144 金属層
120、146 開口
162、164、184、186、204 電界放出素子アレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を放出するように構成された光源(80)と、
電子放出素子(74)に結合されて動作し、該電子放出素子(74)に、前記光の受光に応答して電子を放出させる光応答素子(104)と、
前記電子放出素子(74)から前記放出された電子を受領するアノード(77)と、
を備えた電子放出素子アセンブリ。
【請求項2】
前記アノード(77)は、前記電子放出素子(74)からの前記放出された電子の受領に応答してX線を放出するように構成されている、請求項1に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項3】
前記光源(80)からの光の透過を許すように構成された受光透過窓(68)を有する筐体(60)をさらに含んでおり、前記光応答素子(104)及び前記アノード(77)は前記真空筐体(60)に配設されており、前記光応答素子(104)は前記光源(80)からの前記光を受光するように配置されており、前記真空筐体(60)は当該筐体(60)の壁面を貫通して延在する開口に配設されているX線透過窓(76)をさらに含んでおり、前記アノード(77)は、前記電子放出素子からの前記放出された電子の受領に応答して前記X線透過窓(76)を介してX線を放出する、
請求項2に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項4】
前記電子放出素子(74)は電界放出素子アレイを含んでいる、請求項1に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項5】
前記光源はレーザ(80)を含んでいる、請求項1に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項6】
前記光源(80)から光を受光して該光を前記光応答素子(104)に向かって反射するように構成された鏡(82)をさらに含んでいる請求項1に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項7】
前記鏡(82)は少なくとも2本の軸を中心として回転することができる、請求項6に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項8】
前記光応答素子(104)はフォトダイオード及び光トランジスタの一方を含んでいる、請求項1に記載の電子放出素子アセンブリ。
【請求項9】
電子放出素子(74)に結合されて動作する光応答素子(104)に対して光を放出するステップと、
前記光応答素子(104)が前記光を受光するのに応答してアノード(77)に向かって電子を放出するように前記電子放出素子(74)に通電するステップと、
を備えた電子ビームを発生する方法。
【請求項10】
前記アノード(77)において前記放出された電子を受領するステップと、前記放出された電子の受領に応答して前記アノード(77)においてX線を発生するステップと、をさらに含んでいる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光はレーザ光を含んでいる、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−19275(P2006−19275A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185883(P2005−185883)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】