説明

電子機器、データ記録方法及びデータ記録システム

【課題】記録メディア220の交替領域が使い果たされて、記録メディア220全体が再生不能に陥ることを防止する。
【解決手段】データを記録するためのデータ領域と、データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合にデータ領域に替わってその書き込むべきデータを記録するための交替領域とを含む記録メディア220を備えた外部記録ドライブ200に対して、記録メディア220に記録するべきデータを電子機器100から送信する。電子機器100は、交替領域の使用サイズに関する情報を外部記録ドライブ200から取得する。使用サイズに関する情報に応じて、電子機器100から外部記録ドライブ200へのデータの送信が禁止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記録装置上の記録媒体にデータを記録する(コピーする)ために、外部記録装置にデータを送信する機能を持った電子機器に関する。本発明は、特に、記録媒体に記録不可の領域が存在する場合の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置に保存した画像データをDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録するために、一般に、USB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを介して撮像装置を外部記録装置に接続する。撮像装置から外部記録装置に画像データを送信することで、外部記録装置上のDVDに画像データを記録できる。
【0003】
ところで、DVD等の記録媒体は、ほこり、指紋、キズ等の異物に敏感で、その表面に異物が付着すると、異物の付着した領域にデータを書込めない場合がある。異物の付着した領域が存在していたとしてもデータの書込みを継続できるように、次のような処理を行うことが当業者に知られている。すなわち、書込み途中で異物を検知した場合、異物の付着した領域には書込みを行わず、予め準備された物理的に全く異なる交替領域へ書込みを行う。交替領域に所定サイズのデータを書き込んだ後、異物の付着した領域を避けて、通常の領域への書込みを再開する。
【0004】
しかし、異物が多くの領域に付着していると、記録の途中で交替領域が使い果たされる可能性がある。この場合、正常に記録が完了しないため、記録内容の整合性を確保することができず、記録媒体全体を再生できなくなる。記録が正常に完了しない場合、通常、再生及び次の記録の際に必要な管理情報も正常に作成されない。その結果、物理的にはデータが記録されているにも拘らず、再生が不可能になる。交替領域を使い果たしているため、新たにデータを記録することもできない。
【0005】
こうした不具合を避けるべく、特開平7−254229号公報は、記録媒体の交替領域を使い果たさないように構成されたディスク装置を開示している。ディスク(記録媒体)のフォーマット処理時又はホストコンピュータからの情報記録命令を受信すると、ディスク装置のCPUはディスクの欠陥セクタ数管理テーブルを用いて記録面のユーザ領域の各領域毎に交替セクタ数を計数する。その計数された交替セクタ数が予め決められた所定数αを越えた場合には、その領域の属するグループの禁止領域について設定フラグをONにし、情報の記録及び消去禁止領域と設定する。そして、その禁止領域情報をディスクのDMA領域(ディスク管理領域)の未使用セクタに記録することにより、ディスクの交替領域を使い果たさないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−254229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平7−254229号公報に記載されたディスク装置によれば、ディスク装置本体で記録媒体の状態を把握し、特定の領域を記録及び消去禁止領域に設定することで、交替領域への書込みを減らし、交替領域を使い果たすことを回避できる。しかし、このような機能を持たない記録装置に対して、外部からデータの書込み指示を行う場合、記録媒体の交替領域を含む特定の領域を指定して書込みを行う、又は書込みを禁止するという指示をだせない。その結果、記録媒体の交替領域を使い果たしてしまい、記録媒体全体が再生不能に陥るおそれがある。
【0008】
本発明は、記録媒体の交替領域が使い果たされて、記録媒体全体が再生不能に陥ることを防止するための新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、
データを記録するためのデータ領域と、前記データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合に前記データ領域に替わってその書き込もうとしたデータを記録するための交替領域とを含む記録媒体を備えた外部記録装置に対して、前記記録媒体に記録するべきデータを送信可能な送信部と、
前記交替領域の使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記使用サイズに関する情報に応じて、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する送信禁止部と、
を備えた電子機器を提供する。
【0010】
他の側面において、本発明は、
データを記録するためのデータ領域と、前記データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合に前記データ領域に替わってその書き込むべきデータを記録するための交替領域とを含む記録媒体を備えた外部記録装置に対して、前記記録媒体に記録するべきデータを電子機器から送信するステップと、
前記交替領域の使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から前記電子機器へと送信するステップと、
前記使用サイズに関する情報に応じて、前記電子機器から前記外部記録装置へのデータの送信を禁止するステップと、
を含む、データ記録方法を提供する。
【0011】
さらに他の側面において、本発明は、
データを記録するためのデータ領域と、前記データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合に前記データ領域に替わってその書き込むべきデータを記録するための交替領域とを含む記録媒体を備えた外部記録装置と、
前記外部記録装置と通信可能な電子機器と、を備え、
前記電子機器が、(i)前記記録媒体に記録するべきデータを前記外部記録装置に対して送信可能な送信部と、(ii)前記交替領域の使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得する取得部と、(iii)前記取得部により取得した前記使用サイズに関する情報に応じて、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する送信禁止部と、を含む、データ記録システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交替領域の使用サイズに関する情報が外部記録装置から電子機器に送られる。そして、使用サイズに関する情報に応じて、電子機器から外部記録装置へのデータの送信が禁止される。このようにすれば、外部記録装置の記録媒体にデータを記録するにあたって、記録途中で記録媒体の交替領域を使い果たし、記録媒体の再生が不可能となる状況を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態におけるデータ記録システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態における電子機器で実行される制御を示すフローチャート
【図3】記録媒体の交替領域を説明する図
【図4A】記録開始前における表示部の表示例を示す図
【図4B】記録中における表示部の表示例を示す図
【図4C】記録終了時における表示部の表示例を示す図
【図4D】記録中断時における表示部の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
(1−1.構成)
図1に示すように、本発明の実施の形態1におけるデータ記録システム400は、電子機器100及び外部記録ドライブ200を備えている。電子機器100と外部記録ドライブ200とは、接続ケーブル300により通信可能に接続されている。電子機器100は、典型的には、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置であり、内蔵又は着脱可能な再生メディア150に保存したデータを、外部記録ドライブ200上の記録メディア220に記録する(コピーする)機能を持っている。外部記録ドライブ200は、典型的には、DVD記録装置、BD(Blu-ray Disc)記録装置、メモリカードライタ又はハードディスク記録装置等であり、大容量の記録メディア220に、電子機器100から送信されたデータを記録する。記録するべきデータの種類には、例えば、画像データ、音声データ及びAVデータ(Audio Video data)がある。
【0016】
電子機器100は、制御部130、中止判定部110、表示部120、再生メディア150、再生メディア制御部140、外部ドライブ制御部160及び記録レート計測部170を含む。制御部130は、電子機器100全体の制御を行う。中止判定部110は、外部記録ドライブ200への書込みを中止するかどうかを判断する。表示部120は、ユーザに対して各種情報を提示する。再生メディア150は、記録するべきデータを保持する。再生メディア制御部140は、再生メディア150からのデータの読出しを制御する。外部ドライブ制御部160は、外部記録ドライブ200へデータの送信を制御する。記録レート計測部170は、外部ドライブ制御部160におけるデータの送信レートを基に記録レートを算出する。
【0017】
制御部130は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせることにより実現してもよい。制御部130は、典型的には、DSP(Digital Signal Processor)又はマイクロコンピュータで実現できる。
【0018】
中止判定部110は、外部ドライブ制御部160を用いて取得した外部記録ドライブ200上の記録メディア220における交替領域の使用サイズを基に、外部記録ドライブ200へのデータの書込みを中止するか否かを判断する。中止判定部110は、ソフトウェアにより実現できる。本実施の形態1では、制御部130とは別に中止判定部110を設ける形態について説明するが、中止判定部110を制御部130で実現する形態であってもよい。
【0019】
表示部120は、再生メディア150上のデータに基づく画像、ユーザに対するメッセージ等を表示する。表示部120は、液晶モニタ等により実現できる。表示部120は、電子機器100を操作するためのタッチスクリーンであってもよいし、外部のモニタにデータを出力する出力インターフェースであってもよい。
【0020】
再生メディア150は、画像データ、音声データ、AVデータ等の各種データを保持する。再生メディア150は、電子機器100に内蔵されていてもよいし、着脱可能であってもよい。再生メディア150は、半導体メモリ、ハードディスク、DVD又はBD等である。
【0021】
再生メディア制御部140は、再生メディア150の種類に応じて設けられ、再生メディア150からのデータの読出しを制御する。
【0022】
外部ドライブ制御部160は、電子機器100と外部記録ドライブ200との間の通信を制御する。電子機器100と外部記録ドライブ200との接続形態として、USB、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers)、LAN(Local Area Network)等の通信規格が挙げられる。本実施の形態1では、接続ケーブル300により電子機器100と外部記録ドライブ200とを接続する形態について説明するが、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、赤外線等の無線通信を用いる形態であってもよい。
【0023】
記録レート計測部170は、外部ドライブ制御部160におけるデータの送信レートを計測し、計測した送信レートを基に外部記録ドライブ200の記録メディア220への記録レートを算出する。本実施の形態1では、制御部130とは別に記録レート計測部170を設ける形態について説明するが、記録レート計測部170を制御部130で実現する形態であってもよい。
【0024】
外部記録ドライブ200は、記録メディア220、記録メディア制御部210及び外部ドライブインターフェース部230を含む。記録メディア220には、電子機器100から外部記録ドライブ200に送信されたデータが記録される。記録メディア制御部210は、記録メディア220へのデータの書込みを制御する。外部ドライブインターフェース部230は、外部記録ドライブ200と電子機器100との間のデータ通信を制御する。
【0025】
外部ドライブインターフェース部230は、外部記録ドライブ200と電子機器100との接続形態に応じた通信インターフェースに対応し、外部記録ドライブ200と電子機器100との間の通信を制御する。
【0026】
記録メディア220は、電子機器100から外部記録ドライブ200に送信されたデータを記録する。記録メディア220は、外部記録ドライブ200に内蔵されていてもよいし、着脱可能であってもよい。記録メディア220は、半導体メモリ、ハードディスク、DVD又はBD等である。
【0027】
記録メディア制御部210は、記録メディア220の種類に応じて設けられ、記録メディア220へのデータの書込みを制御する。
【0028】
(1−2.本発明の構成との対応関係)
外部ドライブ制御部160は、外部記録ドライブ200に対してデータを送信可能な送信部の一例である。外部ドライブ制御部160、制御部130及び記録レート計測部170は、外部記録ドライブ200から情報を取得する取得部の一例である。中止判定部110及び制御部130は、送信部(外部ドライブ制御部160)による外部記録ドライブ200に対するデータの送信を禁止する送信禁止部の一例である。制御部130は、表示部120を制御する表示制御部の一例である。外部ドライブ制御部160及び制御部130は、記録メディア220に記録された管理情報を取得する管理情報取得部の一例である。制御部130は、また、管理情報を用いて記録メディア220を修復する修復部の一例である。
【0029】
(2.電子機器の動作)
外部記録ドライブ200の記録メディア220にデータを書き込む際の電子機器100の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
ユーザにより記録開始操作メニューが選択されると、制御部130は、表示部120に図4Aに示す案内情報を表示する。図4Aの画面において、ユーザが「開始」を選択すると、電子機器100は、再生メディア150上のデータを外部記録ドライブ200の記録メディア220に記録するための処理を開始する。
【0031】
制御部130は、外部ドライブ制御部160に問い合わせることによって、記録メディア220上の管理情報を取得する(S201)。これは、制御部130が、後述の修復処理を行う際に記録開始以前の管理情報を用いるためである。また、正常な記録が行われた場合にも記録開始以前の管理情報を更新する形で新たな管理情報が作成され、記録メディア220に書込まれる。
【0032】
管理情報の詳細な内容は、アプリケーションフォーマット及びファイルシステム等によって異なる。アプリケーションフォーマットとしては、例えば、AVCHD(Advanced Video Codec High Definition(登録商標))が知られている。ファイルシステムとしては、例えば、FAT32(File Allocation Table 32)ファイルシステム、UDF(Universal Disk Format)等が知られている。一般的には、記録メディア220に記録されたデータのフォーマットを特定するための情報、記録されたデータ(ファイル)の数、データの再生方法、データのプレイリスト等が管理情報に含まれる。これらの管理情報は、記録メディア220に新たなデータが書き込まれる都度、更新される。すなわち、記録メディア220に新たなデータの書込みを開始するときにそれ以前の管理情報を記録メディア220から一旦消去し、データの書込みが完了したら新たな管理情報を記録メディア220に書き込む。データの書込みの途中で交替領域を使い果たしてそれ以上データを記録できない状態になると、管理情報も欠落することとなる。その結果、記録及び再生が一切不可能になる。
【0033】
記録レート計測部170は、外部ドライブ制御部160から外部記録ドライブ200へのデータの送信が開始されると、時間計測を開始する(S202)。所定サイズのデータを送信すると(S203)、時間計測を終了する(S204)。すなわち、実施の形態1では、データを所定サイズに分割して外部記録ドライブ200に送信する。1回の処理で送信するべきデータのサイズは、例えば、数百KB〜数MBである。電子機器100の性能、外部記録ドライブ200の性能、接続ケーブル300の規格等に依存するので一概に言えないが、所定サイズのデータを送信するのに例えば数百ミリ秒かかる。
【0034】
制御部130は、記録レート計測部170より、所定サイズのデータの送信に要した時間を取得し、送信に要した時間が所定時間を超過したかどうかを判断する(S205)。制御部130は、送信に要した時間が所定時間を超過した場合(S205でYes)には、外部ドライブ制御部160を介して、外部記録ドライブ200の記録メディア220における交替領域の使用サイズを取得及び確認する(S209)。「使用サイズ」とは、交替領域に現に記録されているデータのサイズを意味する。なお、所定サイズのデータの送信に要した時間は、当該所定サイズのデータを記録メディア220に書込むのに要した時間に略一致する。
【0035】
一方、制御部130は、送信に要した時間が所定時間以下である場合(S205でNo)には、記録の継続に移り(S206)、次のデータが存在するかどうかをさらに判断する(S207)。すなわち、送信するべきデータが未だ残っているかどうかを判断する。次のデータが存在する場合(S207でYes)には、データの送信及びデータの送信に要した時間の計測(S202からS204)を継続する。制御部130は、データの送信を継続している間、表示部120に図4Bに示す案内情報を表示する。制御部130は、全てのデータの送信が完了すると(S207でNo)、表示部120に図4Cに示す案内情報を表示する。さらに、予め取得された管理情報を用いることによって、制御部130において新たな管理情報が作成され、作成された新たな管理情報が外部記録ドライブ200に送信される。これにより、正常記録が終了する(S208)。外部記録ドライブ200に送られた管理情報は、記録メディア220に書込まれる。
【0036】
ここで、外部記録ドライブ200が、記録メディア220のデータ領域、又は交替領域にデータを記録する際の動作の相違について、図3を用いて説明する。
【0037】
外部記録ドライブ200は、記録メディア220への記録開始時に、予め、記録メディア220上でデータを記録するデータ領域と、データ領域とは物理的に異なる位置に設けられた交替領域とを規定する。ここで、交替領域とは、データ領域への書込みが不可の場合に、そのデータ領域に替わって、データを記録する領域である。交替領域のサイズは、例えば、記録メディア220の全容量の1〜5%程度に設定される。図3の例において、交替領域は、比較的に外側の領域に規定されている。交替領域の位置に特に限定はなく、複数の領域が交替領域として規定されることもある。図3において、記録メディア220への書込み途中(符号301)で、ほこり、指紋、傷等の異物が検知された場合(符号302)、予め準備された交替領域への書込みが行われる(符号303)。交替領域に一定サイズのデータを書込んだ後、異物が検知された領域の付近より、データ領域への書込みが再開される(符号304)。
【0038】
このように、外部記録ドライブ200が記録メディア220の交替領域にデータを記録する場合には、物理的に異なる領域への書込みが行われるため、通常のデータ領域への書込みと比較し、書込みに要する時間が増加する。例えば、記録メディア220がDVD及びBDの場合、光ピックアップを移動させるのに比較的長時間を要する。通常、電子機器100から外部記録ドライブ200に一方的にデータを送信することはできないので、書込みに時間がかかる場合、電子機器100から外部記録ドライブ200へのデータの送信にも時間がかかる。交替領域にデータを書込むのに要する時間は、例えば、データ領域にデータを書込むのに要する時間の4〜10倍にも達する。したがって、制御部130は、送信に要した時間を計測することにより、外部記録ドライブ200で交替領域への書込みが発生しているか否かを判断できる(S205)。送信に要する時間の増加は、交替領域への書込み以外の要因によっても発生し得るため、制御部130は、送信に要した時間が所定時間を超過した際に、交替領域の使用サイズを取得することにより(S209)、交替領域への書込みの状況を正確に把握できる。
【0039】
さらに、制御部130は、送信に要した時間が所定時間を超過した場合のみ、交替領域の使用サイズを取得する(S209)。そのため、交替領域の使用サイズを頻繁に取得することによりデータの送信が頻繁に中断され、データの送信に要する時間が増加することを回避できる。
【0040】
中止判定部110には、制御部130より、記録メディア220における交替領域の使用サイズが通知される。中止判定部110は、使用サイズが予め定められた規定サイズを超える場合(S210でYes)には、データの送信を中断すべきとの判断を行い、その結果を制御部130に通知する。一方、中止判定部110は、使用サイズが予め定められた規定サイズ以下の場合(S210でNo)には、データの送信を継続すべきとの判断を行い、その結果を制御部130に通知する。制御部130は、次のデータが存在する場合(S207でYes)、所定サイズのデータの送信及び所定サイズのデータの送信に要した時間の計測(S202からS204)を繰り返す。
【0041】
このように、本実施の形態1によれば、交替領域の使用サイズが規定サイズを超えたかどうか判断し、その結果に応じて、データの送信を続けるか、データの送信を中断するかを決定する。記録メディア220の交替領域の使用サイズが規定サイズを超えた場合に、データの送信及び書込みを中断することにより、記録メディア220の交替領域を使い切ってしまうことを防止できる。その結果、記録内容の整合性を確保できずに記録が中断され、記録メディア220全体が再生できなくなる状況を回避できる。
【0042】
制御部130は、中止判定部110から送信を中断すべきとの通知を受けると、外部ドライブ制御部160を用いた外部記録ドライブ200へのデータの送信を中断し、図4Dに示すように、表示部120にその旨のメッセージを表示する(S211)。このように、表示部120に記録(コピー)が正常に終了しなかった旨のメッセージを表示することにより、ユーザはデータのコピーが失敗したことを認識できる。また、外部記録ドライブ200上の記録メディア220の交換を促すメッセージを表示部に表示する制御を行えば、更なる利便性の向上を期待できる。
【0043】
制御部130は、データの送信を中断した場合、記録メディア220をデータの書込み開始前の状態に戻すために、記録開始前にステップS201で予め取得した管理情報を記録メディア220に書込み(S212)、その後、処理を終了する(S213)。これは、記録メディア220へのデータの書込みが中断されたため、記録メディア220の管理情報に不整合が生じ、記録メディア220に記録された全てのデータの再生が不可能になる状況を回避するためである。記録メディア220の管理情報を、データ書込み開始以前の状態に戻すことにより、データの書込み開始以降、書込み中断時までに記録されたデータについては再生不可となるものの、それ以前に記録されていたデータについては、正常に再生可能となる。
【0044】
以上のように、実施の形態1では、交替領域の使用サイズが規定サイズを超過した場合に、外部記録ドライブ200に対するデータの送信を禁止する。これにより、交替領域が使い果たされることを確実に回避できる。例えば、記録メディア220が50GBの容量を有し、かつ交替領域が2GBの容量を有している場合には、交替領域の容量の50%である1GBを「規定サイズ」として設定できる。なお、規定サイズは、必ずしも交代領域の50%の容量とする必要はない。例えば、規定サイズは、60%であってもよいし、40%であってもよい。要するに、規定サイズはどのような容量としてもよい。
【0045】
また、実施の形態1によれば、データの送信に要した時間(送信処理時間)が所定時間を超過した場合に、交替領域の使用サイズに関する情報を外部記録ドライブ200から取得する。これにより、データの送信を頻繁に中断する必要がなくなり、迅速な記録(コピー)を実現できる。なお、「使用サイズに関する情報」とは、交替領域の使用サイズを特定するために十分な情報を意味する。例えば、交替領域の全容量及び未使用サイズから使用サイズを特定できる。
【0046】
また、実施の形態1によれば、電子機器100から外部記録ドライブ200へのデータの送信前に、外部記録ドライブ200上の記録メディア220に記録された管理情報が電子機器100に移される。電子機器100は、データの送信が完了するまで、取得した管理情報をメモリに保存しておく。そして、データの送信が完了する前に交替領域の使用サイズが規定サイズを超過した場合に、電子機器100に予め移された管理情報を用いて記録メディア220の修復処理が行われる。具体的には、電子機器100で予め保存しておいた管理情報が記録メディア220に再記録されることによって記録メディア220が再生可能となるように、電子機器100から外部記録ドライブ200に対して管理情報が送信されるとともに、電子機器100から外部記録ドライブ200に対して記録メディア220に管理情報を記録するべき旨の指示が出される。外部記録ドライブ200は取得した管理情報を記録メディア220に書き込む。これにより、記録開始以前から記録メディア220に保存されていたデータを確実に保護できる。
【0047】
また、実施の形態1によれば、記録メディア220に記録するべきデータを所定サイズに分割して外部記録ドライブ200に送信する。そして、所定サイズのデータの送信に要した時間(送信処理時間)が所定時間を超過した場合に限り、交替領域の使用サイズに関する情報を外部記録ドライブ200から取得する。他方、送信処理時間が所定時間以内の場合には、交替領域の使用サイズに関する情報の取得処理が実行されることなく、次の所定サイズのデータの送信処理が実行される。より詳細には、所定サイズのデータの送信に要した時間(送信処理時間)が所定時間を超過し、かつ使用サイズが規定サイズを超過した場合に、外部記録ドライブ200に対するデータの送信が禁止される。送信処理時間が所定時間を超過し、かつ交替領域の使用サイズが規定サイズ以内である場合には、次の所定サイズのデータの送信処理が実行される。これにより、データの送信を頻繁に中断する必要がなくなり、迅速な記録(コピー)を実現できる。
【0048】
(他の実施の形態)
以上により、本発明の一実施の形態として、実施の形態1を説明した。しかし、本発明は、これには限定されない。そこで、本発明の他の実施の形態を本欄にまとめて説明する。
【0049】
本実施の形態1では、制御部130は、所定サイズのデータの送信に要した時間が所定時間を越える場合に、記録メディア220の交替領域の使用サイズを取得するとしたが、記録開始前に交替領域の使用サイズを取得してもよい。すなわち、外部記録ドライブ200へのデータの送信前に、交替領域の使用サイズに関する情報を外部記録ドライブ200から取得する。これにより、制御部130は、記録開始前に記録メディア220の交替領域の使用サイズを把握できる。交替領域の使用サイズが規定サイズを超過している場合には、外部記録ドライブ200に対するデータの送信を禁止し、記録メディア220へのデータの書込みを行わない。このようにすれば、記録メディア220の交替領域を使い切ってしまい、記録内容の整合性を確保できずに記録が中断され、記録メディア220全体が再生できなくなる状況を回避できる。
【0050】
また、実施の形態1では、管理情報を予め電子機器100に退避させているが、図2中のステップS212の修復処理で新たに管理情報を作成し、作成した管理情報を記録メディア220に記録することも可能である。この場合、記録開始から記録中断までに記録メディア220に記録したデータを再生しうる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、外部記録装置の記録媒体にデータを記録するにあたって、記録途中で記録媒体の交替領域を使い果たし、記録媒体の再生が不可能となる状況を回避できる。そのため、本発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に有利に適用されうる。
【符号の説明】
【0052】
100 電子機器
110 中止判定部
120 表示部
130 制御部
140 再生メディア制御部
150 再生メディア
160 外部ドライブ制御部
170 記録レート計測部
200 外部記録ドライブ
210 記録メディア制御部
220 記録メディア
230 外部ドライブインターフェース部
300 接続ケーブル
400 データ記録システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録するためのデータ領域と、前記データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合に前記データ領域に替わってその書き込もうとしたデータを記録するための交替領域とを含む記録媒体を備えた外部記録装置に対して、前記記録媒体に記録するべきデータを送信可能な送信部と、
前記交替領域の使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記使用サイズに関する情報に応じて、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する送信禁止部と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
前記使用サイズが規定サイズを超過した場合に、前記送信禁止部は、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記送信部によるデータの送信処理時間が所定時間を超過した場合に、前記取得部は、前記使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
情報を表示する表示部と、
前記使用サイズが規定サイズを超過した場合に、前記外部記録装置上の前記記録媒体の交換を促すメッセージを前記表示部に表示する制御を行う表示制御部と、
をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記送信部によるデータの送信前に、前記取得部は、前記使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得し、
前記使用サイズが規定サイズを超過した場合に、前記送信禁止部は、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記送信部によるデータの送信前に、前記外部記録装置上の前記記録媒体に記録された管理情報を取得する管理情報取得部と、
前記送信部によるデータの送信が完了する前に前記使用サイズが規定サイズを超過した場合に、前記管理情報を用いて前記記録媒体を修復する修復部と、
をさらに備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記管理情報が前記記録媒体に再記録されることによって前記記録媒体が再生可能となるように、前記修復部は、前記外部記録装置に対して前記記録媒体への前記管理情報の記録を指示する請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記送信部は、前記記録媒体に記録するべきデータを所定サイズに分割して前記外部記録装置に送信するように構成され、
前記送信部による前記所定サイズのデータの送信処理時間が前記所定時間を超過した場合に限り、前記取得部は、前記使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得する一方、
前記送信処理時間が前記所定時間以内の場合には、前記取得部による前記使用サイズに関する情報の取得処理が実行されることなく、前記送信部による次の前記所定サイズのデータの送信処理が実行される請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記送信部によるデータの送信前に、前記外部記録装置上の前記記録媒体に記録された管理情報を取得する管理情報取得部と、
前記送信部によるデータの送信が完了する前に前記使用サイズが規定サイズを超過した場合に、前記管理情報を用いて前記記録媒体を修復する修復部と、をさらに備え、
前記送信処理時間が前記所定時間を超過し、かつ前記使用サイズが規定サイズを超過した場合、前記送信禁止部は、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する一方、
前記送信処理時間が前記所定時間を超過し、かつ前記使用サイズが前記規定サイズ以内である場合、前記送信部による次の前記所定サイズのデータの送信処理が実行される請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
データを記録するためのデータ領域と、前記データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合に前記データ領域に替わってその書き込むべきデータを記録するための交替領域とを含む記録媒体を備えた外部記録装置に対して、前記記録媒体に記録するべきデータを電子機器から送信するステップと、
前記交替領域の使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から前記電子機器へと送信するステップと、
前記使用サイズに関する情報に応じて、前記電子機器から前記外部記録装置へのデータの送信を禁止するステップと、
を含む、データ記録方法。
【請求項11】
データを記録するためのデータ領域と、前記データ領域へのデータの書き込みに失敗した場合に前記データ領域に替わってその書き込むべきデータを記録するための交替領域とを含む記録媒体を備えた外部記録装置と、
前記外部記録装置と通信可能な電子機器と、を備え、
前記電子機器が、(i)前記記録媒体に記録するべきデータを前記外部記録装置に対して送信可能な送信部と、(ii)前記交替領域の使用サイズに関する情報を前記外部記録装置から取得する取得部と、(iii)前記取得部により取得した前記使用サイズに関する情報に応じて、前記送信部による前記外部記録装置に対するデータの送信を禁止する送信禁止部と、を含む、データ記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公開番号】特開2010−192095(P2010−192095A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13381(P2010−13381)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】