説明

電子機器、入力方法および入力プログラム

【課題】複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にした電子機器の提供。
【解決手段】ダイアルやトラックボールで操作方向入力を受付けると(S03)、該方向入力に基づいて、初期情報として設定された被選択情報を反転表示する(S05)。続けて操作方向入力を受付けると(S07)、操作ベクトルを加算して基準方向との差分を算出し(S09)、所定の値を超えていれば被選択情報を新たに選択し、反転表示する(S12)。選択後、所定時間が経過するか(S13)決定操作を受付けると(S14)、選択情報を決定し(S15)、決定した選択情報を決定領域に表示する(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器、入力方法および入力プログラムに関し、特に数字または文字の入力を容易にした電子機器、入力方法および入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機で代表される電子機器は、ユーザインターフェースとしてテンキーなどの複数のキーを備えている。ユーザは、電話番号等を入力する際に、番号にそれぞれ割り当てられたキーを押下する。このため、ユーザは複数のキーのうちから、入力する数字が割り当てられたキーを選択する必要がある。特開平9−261311号公報には、文字を含むデータおよび該データを選択するためのカーソルを表示する表示部と、該表示部のデータを前記カーソルの移動によって選択する選択キーと、該選択キーによって選択されたデータを確定する入力確定キーとを有し、前記入力確定キーによって確定された内容に対応して処理を行う回路とを備えたことを特徴とする携帯電話が記載されている。
【0003】
しかしながら、従来の携帯電話は、複数のデータのうちから1つを選択するために、選択キーを複数回押下しなければならず、連続する複数のデータを選択するために時間がかかるといった問題がある。
【特許文献1】特開平9−261311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にすることが可能な電子機器を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にすることが可能な入力方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にすることが可能な入力プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、電子機器は、情報を表示する表示部と、操作に基づく操作方向を出力する操作部と、操作部から出力された操作方向に基づいて、表示部に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択情報として選択する選択部と、を備え、選択部は、複数の被選択情報のうち操作部から出力された第1の操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択する初期情報選択部と、操作部から第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、第1の操作方向と第2の操作方向とに基づいて補正方向を決定する補正方向決定部と、決定された補正方向と、初期情報に対して予め定められた領域基準方向とがなす角度とに基づいて、複数の被選択情報のうちから1つを選択する補正情報選択部と、を含む。
【0008】
この局面に従えば、複数の被選択情報が表示され、複数の被選択情報のうち第1の操作方向に配置された被選択情報が初期情報として選択され、第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、第1の操作方向と第2の操作方向とに基づいて補正方向が決定され、決定された補正方向と、初期情報に対して予め定められた領域基準方向との差分に基づいて、複数の被選択情報のうちから1つが選択される。このため、ユーザは方向を入力するだけで、複数の被選択情報を選択することができ、その後、入力する方向を変更すれば、選択する被選択情報を別の被選択情報に変更することができる。また、初期情報に対して予め定められた領域基準方向と補正方向との差分に基づいて、複数の被選択情報のうちから1つが選択されるので、被選択情報を変更する操作を直感的に決定しやすい操作とすることができる。その結果、複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にすることが可能な電子機器を提供することができる。
【0009】
好ましくは、操作部が出力する操作方向は、所定の基準方向に基づき定まり、表示部は、複数の被選択情報を基準点から複数の方向にそれぞれ配置して表示し、複数の被選択情報は、基準方向に基づき定まる複数の方向にそれぞれ割り当てられ、複数の被選択情報それぞれに割り当てる方向は、基準方向から時計回りになす回転角であって、所定の角度範囲で示される。
【0010】
好ましくは、補正情報選択部は、決定された補正方向と初期情報に対して予め定められた領域基準方向とがなす角度と初期情報が割り当てられた方向を示す所定の角度範囲とに基づいて、複数の被選択情報のうちから1つを選択する。
【0011】
この局面に従えば、初期情報に対して予め定められた領域基準方向と補正方向とがなす角を所定の角度範囲と比較するだけで、複数の被選択情報のうちから1つを選択することができる。
【0012】
好ましくは、複数の被選択情報にそれぞれ割り当てられる複数の方向それぞれが示す所定の角度範囲の大きさはすべて同じである。
【0013】
好ましくは、表示制御部は、基準点を中心にした円を基準点を通る直線で分割した複数の表示領域に複数の被選択情報をそれぞれ配置する。
【0014】
好ましくは、複数の表示領域の中心角は同じである。
【0015】
好ましくは、補正方向決定部は、操作部から出力された第1の操作方向と、操作部により連続して出力される第2の操作方向とに基づいて軌跡を生成する軌跡生成部を含み、生成された軌跡の始点と終点とを結ぶ方向を補正方向として決定する。
【0016】
好ましくは、補正方向決定部は、操作部から出力された第1の操作方向に対応する操作ベクトルと第2の操作方向に対応する操作ベクトルとの和が示す方向を補正方向に決定する。
【0017】
好ましくは、補正情報選択部は、操作部により操作方向が出力されなくなると、複数の被選択情報のうちから1つを選択することを決定する。
【0018】
この局面に従えば、操作方向が出力されなくなると、それまでに選択されている被選択情報が選択されるので、選択を終了する操作を容易にすることができる。
【0019】
好ましくは、補正情報選択部は、所定の操作が入力されたことに基づいて、複数の被選択情報のうちから1つを選択することを決定する。
【0020】
好ましくは、表示部は、複数の被選択情報のうち選択情報を、他の被選択情報と異なる表示態様で表示する。
【0021】
この局面に従えば、選択情報をユーザに通知することができる。
【0022】
好ましくは、表示部は、選択情報を、複数の被選択情報が表示されている表示領域とは別の領域に表示する。
【0023】
この局面に従えば、複数の被選択情報から複数を選択する操作を容易にすることができる。
【0024】
好ましくは、操作部から出力された操作方向は、360度以内の値である。
【0025】
好ましくは、操作部は、トラックボール、ジョイスティック、タッチパネルおよびマウスのいずれかである。
【0026】
この発明の他の局面によれば、入力方法は、電子機器で実行される入力方法であって、電子機器は、情報を表示する表示部と、操作に基づく操作方向を出力する操作部と、を備え、操作部から出力された操作方向に基づいて、表示部に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択情報として選択するステップを含み、選択するステップは、複数の被選択情報のうち操作部から出力された第1の操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択するステップと、操作部から第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、第1の操作方向と第2の操作方向とに基づいて補正方向を決定するステップと、決定された補正方向と、初期情報に対して予め定められた領域基準方向との差分に基づいて、複数の被選択情報のうちから1つを選択するステップと、を含む。
【0027】
この局面に従えば、複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にすることが可能な入力方法を提供することができる。
【0028】
この発明のさらに他の局面によれば、入力プログラムは、電子機器は、情報を表示する表示部と、操作に基づく操作方向を出力する操作部と、を備え、操作部から出力された操作方向に基づいて、表示部に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択情報として選択するステップを含み、選択するステップは、複数の被選択情報のうち操作部から出力された第1の操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択するステップと、操作部から第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、第1の操作方向と第2の操作方向とに基づいて補正方向を決定するステップと、決定された補正方向と、初期情報に対して予め定められた領域基準方向との差分に基づいて、複数の被選択情報のうちから1つを選択するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0029】
この局面に従えば、複数の被選択情報のうちから1つを選択する操作を容易にすることが可能な入力プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
以下の説明では、電子機器の一例として携帯電話機1について説明する。図1は、本発明の実施の形態の1つにおける携帯電話機の平面図である。携帯電話機1は、液晶表示装置(LCD)5と、レシーバとしてのスピーカ11と、マイクロフォン13と、トラックボール15と、通話ボタン17と、キャンセルボタン19と、が配置される。また、携帯電話機1は、その上側面に電源ボタン18を備える。スピーカ11とマイクロフォン13とは、LCD5を挟んで携帯電話機1の上下に配置される。通話ボタン17と、キャンセルボタン19とは、LCD5の下方でトラックボール15を挟んで左右に配置される。通話ボタン17は、通話を開始するために発信または着信に応答する操作を受け付けるためのボタンスイッチである。キャンセルボタン19は、入力された操作をキャンセルする操作を受け付けるためのボタンスイッチである。電源ボタン18は、携帯電話機1の主電源のONとOFFとを切り換える操作を入力するためのスイッチである。
【0032】
トラックボール15は、球体を回転可能に保持しており、ユーザがその球体を回転させることができる。トラックボール15は、球体が回転すると操作方向を出力する。操作方向は、球体が回転した場合に球体の表面がLCD5の表面と平行に移動する方向で示される。また、操作方向は、操作基準方向を時計回りに操作方向まで回転したときの回転角で示される。操作基準方向は、トラックボール15が備える球体の中心からLCD5に向かう方向としている。具体的には、トラックボール15は、球体の表面の移動量を検出する2つのセンサで、操作基準方向(垂直方向)の球体表面の移動量(以下「Y方向移動量」という)と、操作基準方向と垂直な方向(水平方向)の球体表面の移動量「以下「X方向移動量」とを検出し、検出したY方向移動量とX方向移動量とから球体の回転方向を算出する。ここでの回転方向は、球体の表面が移動する軌跡を、LCD5の表面に投影することにより定まる。トラックボール15は、球体の回転方向と操作基準方向とがなす角度を算出し、算出された角度を操作方向として出力する。球体の回転方向と操作基準方向とがなす角度は、操作基準方向から時計回りに回転する方向を正としている。換言すれば、操作方向は、基準方向から時計回りにトラックボール15から出力される角度だけ回転した方向で特定される。
【0033】
また、トラックボール15は、球体を携帯電話機1内部に向かって移動可能に保持しており、球体の下方にスイッチを有する。ユーザが球体を内部に向かって押下すれば、球体が内部に移動するので、スイッチが球体により押下されてONとなる。球体は、携帯電話機1外部に向かって付勢されおり、球体がユーザにより押下されない状態では、スイッチはOFFとなる。
【0034】
なお、ここでは携帯電話機1がLCD5を備える例を示すが、LCD5に代えて、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を用いてもよい。また、トラックボール15に代えて、例えば、ジョイスティック、タッチパネル、マウスなどのポインティングデバイスを用いるようにしてもよい。
【0035】
図2は、本実施の形態における携帯電話機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、携帯電話機1は、携帯電話機1の全体を制御するための主制御部21と、アンテナ22Aと接続された無線回路22と、音声データを符号化または復号するためのコーデック部23と、音声データを処理するための音声制御部28と、カメラ24と、操作部25と、着信を報知するための振動部26と、主制御部21で実行するプログラム等を記憶するためのフラッシュメモリ31と、主制御部21の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)32と、カードインターフェース(I/F)27と、を含む。
【0036】
無線回路22は、主制御部21により制御され、通信網に接続された無線基地局と通信する。具体的には、無線回路22は、アンテナ22Aにより受信された無線信号が入力され、無線信号を復調した音声信号をコーデック部23に出力する。また、無線回路22は、コーデック部23から音声信号が入力され、音声信号を変調した無線信号をアンテナ22Aに出力する。コーデック部23は、無線回路22から入力される音声信号を復号し、復号したデジタルの音声信号をアナログに変換し、音声制御部28に出力する。また、コーデック部23は、音声制御部28からアナログの音声信号が入力され、音声信号をデジタルに変換し、符号化し、そして符号化した音声信号を無線回路22に出力する。
【0037】
音声制御部28は、マイクロフォン13と接続され、マイクロフォン13が集音して出力するアナログの音声信号が入力される。音声制御部28は、マイクロフォン13から入力される音声信号をコーデック部23に出力する。また、音声制御部28は、コーデック部23から音声信号が入力され、コーデック部23から入力された音声信号をスピーカ11に出力する。
【0038】
また、無線回路22は、無線基地局との間でデータ通信が可能である。特に、無線回路22は、無線基地局に接続された電子メールサーバと無線基地局を介して通信することが可能である。無線回路22は、電子メールサーバから送信される電子メールを受信し、主制御部21に出力する。また、無線回路22は、主制御部21から入力される電子メールを電子メールサーバに送信する。主制御部21は、電子メールサーバとの間で送受信した電子メールをフラッシュメモリ31に記憶する。
【0039】
操作部25は、トラックボール15、通話ボタン17、電源ボタン18およびキャンセルボタン19を含む。通話ボタン17、電源ボタン18およびキャンセルボタン19は、ONまたはOFFのいずれかに切り換わるスイッチを含み、ユーザにより押下されると、対応するスイッチがOFFからONに切り換わる。また、トラックボール15は、入力部の一例であり、ユーザにより操作されると、球体が回転する方向を操作方向として主制御部21に出力する。
【0040】
フラッシュメモリ31は、主制御部21が実行するプログラムおよび画像を記憶する。カードI/F27には、着脱可能なメモリカード27Aが装着される。メモリカード27Aは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、プログラムを記憶可能である。主制御部21は、カードI/F27を介して、メモリカード27Aにアクセスが可能である。なお、ここでは主制御部21で実行するためのプログラムをフラッシュメモリ31に記憶しておく例を説明するが、プログラムをメモリカード27Aに記憶しておき、メモリカード27Aからプログラムを読み出して、主制御部21で実行するようにしてもよい。プログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード27Aに限らず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−ROM)/MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの半導体メモリ等でもよい。また、主制御部21が、無線回路22を介して、インターネットに接続されたコンピュータからプログラムをダウンロードし、そのプログラムを実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、主制御部21により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0041】
カメラ24は、携帯電話機1の裏面に設けられ、レンズおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の光電変換素子を備え、レンズで集光した光をCMOSセンサに結像し、CMOSセンサは受光した光を光電変換して画像データを主制御部21に出力する。カメラ24は、主制御部21により制御され、主制御部21からの指示により撮像を開始して、得られる静止画データまたは動画データを主制御部21に出力する。主制御部21は、カメラ24が出力する静止画データまたは動画データをLCD5に表示する、または、圧縮符号化方式で静止画データまたは動画データを符号化して、フラッシュメモリ31またはカードI/F27に装着されたメモリカード27Aに記憶する。
【0042】
図3は、主制御部が備える機能の一例を示すブロック図である。図3に示す機能は、主制御部21が、フラッシュメモリ31に記憶されたプログラムを実行することにより、主制御部21に形成される。図3を参照して、主制御部21は、トラックボール15が出力する方向を受け付ける方向受付部51と、LCD5の表示を制御する表示制御部53と、表示制御部53によりLCD5に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択する選択部55と、選択された被選択情報を決定する操作を受け付ける決定操作受付部71と、を含む。
【0043】
なお、方向受付部51および決定操作受付部71は、選択部55内に設けるようにしてもよい。その場合、後述する方向受付部51が行なう処理は、選択部55が行ってもよい。同様に、後述する決定操作受付部71が行なう処理は、選択部55が行なってもよい。また、方向受付部51および決定操作受付部71は、トラックボール15内に設けるようにしてもよい。その場合、後述する方向受付部51が行なう処理は、トラックボール15が行ってもよい。同様に後述する決定操作部71が行なう処理は、トラックボール15が行なってもよい。さらに、操作部25からの操作方向の出力は、方向受付部51を介さずに選択部55に入力されてもよい。
【0044】
方向受付部51は、トラックボール15が出力する操作方向を、予め定められた時間間隔で受け付け、操作方向を受け付けるごとにそれを選択部55に出力する。ここでは、操作方向は、操作基準方向から時計回りの回転角で示される。
【0045】
表示制御部53は、被選択情報表示部57と、選択情報表示部59と、を含む。被選択情報表示部57は、基準点の周辺に配置された複数の表示領域に複数の被選択情報をそれぞれ配置した選択画像をLCD5に表示する。基準点は、LCD5における任意の点である。ここでは、LCD5の中心の点としている。複数の表示領域それぞれは、基準点からの方向によって特定され、互いに重なることなく配置される。
【0046】
ここでは、基準点からの方向は、基準とする表示基準方向を時計回りに基準点からの方向まで回転したときの回転角で表す。
【0047】
つまり、複数の表示領域は、表示基準方向からの回転角の範囲(以下「角度範囲」という)で表されることになり複数の表示領域それぞれの角度範囲は互いに異なる。上記のように基準点からの方向を回転角で表し、複数の表示領域を基準方向からの回転角の範囲として表すことによって、ある方向に基づいて、複数の表示領域のうちからその方向を角度範囲に含む1つを特定することができる。
【0048】
具体的には、複数の表示領域は、基準点を中心にした円を複数の被選択情報の数で分割した扇形である。また、表示基準方向は、トラックボール15が基準とする操作基準方向と同じである。なお、表示基準方向は、トラックボール15の操作基準方向と異なるようにしてもよいが、操作基準方向に基づいて定まる方向である。
【0049】
ここでは、複数の被選択情報は、0〜9までの10個の数字と、*および#の2つの記号とを併せた12個の数字または記号とする場合について説明する。図4は、選択画像の一例を示す図である。図4を参照して、選択画像80は、点Oを中心にした円を被選択情報の数(12)で等分した第1〜第12の表示領域81〜92を含み、第1〜第12の表示領域81〜92に、0〜9までの10個の数字と、*および#の2つの記号とを併せた12個の数字または記号がそれぞれ配置される。第1〜第12の表示領域81〜92は合同であり、中心角30度の扇形である。より具体的には、角度範囲が0度以上30度未満の角度範囲に対して第1の表示領域、角度範囲が30度以上60度未満の第2の表示領域、角度範囲が60度以上90度未満の第3の表示領域、…、角度範囲が330度以上360度未満の第12の表示領域を含む。なお、分割数を12とすることは一例であり、分割数は、被選択情報の数に対応し変更できる。また、被選択情報は、数字や記号に限定されず、例えば文字、顔文字、絵文字、または画像などであってもよい。
【0050】
ここで、第1〜第12の表示領域81〜92それぞれの中心角を2等分する線の方向81A〜92Aそれぞれを領域基準方向という。なお、図中の領域基準方向81A〜92Aは、説明のために付したもので、実際には存在しない。例えば、第1の表示領域81の領域基準方向81Aは、表示基準方向から15度回転した方向であり、第2の表示領域82の領域基準方向82Aは、表示基準方向から45度回転した方向である。
【0051】
上記の例においては、ある方向が特定されると、第1〜第12の表示領域81〜92のうちから特定された方向を角度範囲に含む1つの表示領域が特定され、12個の被選択情報のうち第1〜第12の表示領域81〜92のうち特定された表示領域に割り当てられた単一の被選択情報が特定される。さらに、ある方向が特定されると、第1〜第12の表示領域81〜92のうちから特定された方向を角度範囲に含む1つの表示領域が特定されるので、特定された表示領域の表示基準方向が特定される。
【0052】
図3に戻って、選択部55は、初期情報選択部61と、補正方向決定部63と、補正情報選択部65と、を含む。初期情報選択部61は、方向受付部51から操作方向が入力され、被選択情報表示部57により表示された複数の被選択情報のうち方向受付部51から最初に入力される操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択する。具体的には、方向受付部51から最初に操作方向が入力されると、第1〜第12の表示領域81〜92のうちから操作方向を角度範囲に含む1つを特定する。そして、12個の被選択情報のうちから第1〜第12の表示領域81〜92のうち特定された表示領域に割り当てられた被選択情報を特定する。初期情報選択部61は、特定した被選択情報を初期情報として補正情報選択部65に出力する。
【0053】
補正方向決定部63は、方向受付部51から操作方向が入力され、方向受付部51から最初に受け付けられた操作方向の後に別の操作方向が受け付けられる場合、最初に受け付けられた操作方向と、その後に入力される別の操作方向とに基づいて補正方向を決定する。具体的には、方向受付部51から操作方向が入力されるごとに、所定単位のスカラー量と、操作方向とから操作ベクトルを生成し、最初に受け付けられた操作方向に対応する操作ベクトルと、別の操作方向に対応する操作ベクトルとの和を、補正ベクトルとして補正情報選択部65に出力する。
【0054】
より具体的には、補正方向決定部63は、方向受付部51から操作方向が入力され、方向受付部51から最初に受け付けられた操作方向に続いて別の操作方向が受け付けられる場合、方向受付部51により連続して受け付けられる複数の操作方向に基づいて軌跡を生成する。補正方向決定部63は、生成された軌跡を補正情報選択部65に出力する。補正方向決定部63は、方向受付部51から操作方向が入力されるごとに、所定単位のスカラー量と、操作方向とから操作ベクトルを生成し、操作方向が入力されるごとに操作ベクトルを加算する。補正方向決定部63は、方向受付部51から操作方向が入力されるごとに、加算結果であるベクトル和を補正方向として補正情報選択部65に出力する。
【0055】
なお、ここでは、補正方向決定部63は、補正方向を決定する際に、方向受付部51から最初に受け付けられた操作方向に続いて、連続して受け付けられる複数の操作方向に基づいて軌跡を生成するようにしたが、最初に受け付けられた操作方向に基づく操作ベクトルと、最初に受け付けられた操作方向に続いて受け付けられる複数の操作方向を時間で区切って求める別の操作ベクトルとに基づいて軌跡を生成するようにしてもよい。具体的には、別の操作ベクトルを、所定時間の間に受け付けられる複数の操作方向に基づく複数の操作ベクトルの和とし、所定時間が経過するごとに複数の操作ベクトルの和(別の操作ベクトル)をリセットし、次の所定時間の間に受け付けられる複数の操作方向に基づく複数の操作ベクトルの和を新たな別の操作方向とする。複数の操作ベクトルの和のリセットとは、操作ベクトルの和を、所定単位のスカラー量のベクトルとすることをいう。
【0056】
また、別の操作方向に基づく操作ベクトルを、最初に受け付けられた操作方向に続いて受け付けられる異なる操作方向に基づく操作ベクトルの和としても良い。この場合、連続する複数の同じ操作方向から1つの操作ベクトルが生成される。
【0057】
補正情報選択部65は、初期情報選択部61から初期情報が入力されると、初期情報に対して予め定められた領域基準方向を特定する。ここで、図4に示した選択画像を用いて詳細に説明する。例えば、ユーザがトラックボール15を操作することにより0度以上30度未満の操作方向が入力される場合、初期情報選択部61によって被選択情報として数字「0」が特定される。補正情報選択部65は、特定された被選択情報「0」に割り当てられた第1の表示領域81を特定し、第1の表示領域81の領域基準方向81Aを特定する。このように、方向受付部51により最初に受け付けられた操作方向が、領域基準方向81Aでなくても、補正情報選択部65は領域基準方向81Aを特定する。本実施の形態においては、被選択情報が割り当てられる表示領域は、30度の角度範囲内の方向で特定されるため、その角度範囲内の操作方向が入力される場合は、必ず単一の表示領域の領域基準方向が特定される。
【0058】
補正情報選択部65は、補正方向決定部63から入力されるベクトル和の補正方向と、特定された領域基準方向とがなす角を算出し、算出された角と複数の被選択情報に割り当てられた角度範囲の大きさとから、被選択情報を選択する。領域基準方向と補正方向とがなす角は、回転方向を有し、ここでは、領域基準方向から時計回りの角度を正とし、反時計回りの角度を負としている。ここで、12個の被選択情報が、0〜9の数字、*および#の記号の順に配列されており、最後の#の次を0とすることにより、循環する配列とする。複数の被選択情報に割り当てられた角度範囲の大きさはそれぞれ30度であり、領域基準方向が扇形の表示領域の中心角の半分なので、補正方向と領域基準方向とがなす角の絶対値が15度以上になると、初期情報よりも順番が1つ前または後の被選択情報を選択する。さらに、補正方向決定部63から入力される補正方向と、特定された領域基準方向とがなす角の絶対値が30度増加するごとにさらに前または次の順の被選択情報を選択する。補正情報選択部65は、新たな被選択情報を選択するごとに、選択された新たな被選択情報を補正情報として被選択情報表示部57に出力する。また、補正方向となす角の絶対値が15度未満の値となる領域基準方向を決定し、決定された領域基準方向の表示領域に割り当てられた被選択情報を選択することもできる。この場合、複数の表示領域にそれぞれ対応する複数の領域基準方向のうちから補正方向となす角の絶対値が15度未満となる領域基準方向を選択しなければならず、計算量が多くなる場合がある。
【0059】
補正方向決定部63から入力される補正方向と、特定された領域基準方向とがなす角に基づいて、複数の被選択情報のうちから1つが選択されるので、補正方向が補正後の被選択情報が割り当てられた表示領域の角度範囲に含まれる必要がある。このため、補正方向が補正後の被選択情報が割り当てられた表示領域の角度範囲に含まれるようにトラックボール15を回転させればよい。
【0060】
ここで、選択画像を用いて説明する。図5は、軌跡と初期情報および補正情報の関係を説明するための図である。図5を参照して、図4に示した選択画像に2つの軌跡101,102を示す。2つの軌跡101,102は、最初に入力される操作方向は同じであり、その操作ベクトルは、符号103で示される。操作ベクトル103を含む角度範囲は、第4の表示領域84に割り当てられており、第4の表示領域84には被選択情報「3」が割り当てられているので、初期情報は「3」である。最初に入力される操作方向に続けて操作方向が入力された結果、軌跡101となると、操作ベクトルの和(補正方向)101Aと、第4の表示領域84の領域基準方向84Aとのなす角は、R1となる。この場合R1は、15度よりも大きいため、正方向に回転した第5の表示領域85に割り当てられた次の順の被選択情報「4」が補正情報として選択される。最初に入力される操作方向に基づく操作ベクトル103と、操作ベクトルの和(補正方向)101Aとのなす角は、15度よりも小さいけれども、操作ベクトルの和101Aは、第5の表示領域85に割り当てられた角度範囲に含まれる。このため、ユーザは、最初に入力した方向が誤っていることを知った場合に、正しい方向への修正が容易となる。
【0061】
また、最初に入力される操作方向に続けて操作方向が入力された結果、軌跡102となると、操作ベクトルの和102Aと、第4の表示領域84の領域基準方向84Aとのなす角は−R2となる。この場合−R2の絶対値は、15度よりも大きいため、負方向に回転した第3の表示領域83に割り当てられた前の順の被選択情報「2」が補正情報として選択される。最初に入力される操作方向に基づく操作ベクトル103と、操作ベクトルの和102Aとのなす角は、R2よりも大きいけれども、操作ベクトルの和102Aは、第3の表示領域83に割り当てられた角度範囲に含まれる。このため、ユーザは、最初に入力した方向が誤っていることを知った場合に、正しい方向への修正が容易となる。
【0062】
決定操作受付部71は、ユーザによる決定操作を受け付ける。具体的には、ユーザがトラックボール15を押下すると、トラックボール15のスイッチがONとなるので、決定操作受付部71は、トラックボール15のスイッチがONになることを検出すると、決定操作を受け付ける。決定操作受付部71は、決定操作を受け付けると、補正情報選択部65に決定指示を出力する。なお、ここでは、決定操作受付部71は、トラックボール15のスイッチがONになることを検出すると、決定操作を受け付ける場合を例に示したが、例えば、通話ボタン17が押下されたことを検出する場合等ユーザによる他の操作を検出すると、決定操作を受け付けるようにしても良い。
【0063】
補正情報選択部65は、補正情報選択部65から決定指示が入力されると、被選択情報の選択を中止し、決定指示を被選択情報表示部57に出力する。また、補正情報選択部65は、所定期間の間、補正方向決定部63から補正方向と最初の操作方向が入力されない場合、被選択情報の選択を中止する。換言すれば、ユーザが操作方向を入力した後、別の操作方向を入力することなく、所定時間が経過すると、被選択情報の選択を中止する。補正情報選択部65は、選択を中止する場合、決定指示を被選択情報表示部57に出力する。それまでに選択されている被選択情報が選択されるので、選択を終了する操作を容易にすることができる。
【0064】
被選択情報表示部57は、選択画像80に含まれる第1〜第12の表示領域81〜92にそれぞれ配置された12個の被選択情報のうち、選択部55によって選択された被選択情報を、選択されていない被選択情報と表示態様を異ならせて表示する。例えば、選択された被選択情報を反転表示する。これにより、複数の被選択情報のうち選択されている被選択情報をユーザに通知することができる。なお、選択された被選択情報を、選択されていない被選択情報の色と異なる色で表示するようにしてもよい。また、選択されている被選択情報を選択されていない被選択情報よりも大きなサイズで表示してもよいし、字体を異ならせても良い。また、第1〜第12の表示領域81〜92のうち選択されている被選択情報が割り当てられた表示領域を他の表示領域の色と異なる色で表示するようにしてもよい。
【0065】
被選択情報表示部57は、初期情報選択部61から初期情報が入力されると、複数の被選択情報のうち初期情報を他の被選択情報と表示態様を異ならせて表示し、補正情報選択部65から補正情報が入力されると、複数の被選択情報のうち補正情報を他の被選択情報と表示態様を異ならせて表示する。さらに、被選択情報表示部57は、補正情報選択部65から決定指示が入力されると、複数の被選択情報のうち決定指示が入力された段階で選択されている初期情報または補正情報を選択情報として選択情報表示部59に出力する。
【0066】
選択情報表示部59は、LCD5の選択画像が表示される領域とは別に設けられた決定領域に選択情報を表示する。したがって、ユーザがトラックボール15を回転させる選択操作を入力すれば、選択画像に含まれる複数の被選択情報のうち1つが選択され、他の被選択情報と異なる表示態様で表示される。さらに、ユーザがトラックボール15を所定期間回転させなければ、また、トラックボール15を押下すれば、また他の決定操作を入力すれば、複数の被選択情報のうち選択されている被選択情報が決定され、決定領域に表示される。選択情報表示部59は、選択情報を決定領域に順に表示するので、複数の被選択情報から複数を選択する操作を容易にすることができる。
【0067】
図6は、電話番号入力画面の一例を示す図である。図6を参照して、電話番号入力画面は、選択画像80と、決定領域201とを含む。決定領域201には、「09」の2桁の数字が既に入力され、3桁目にカーソルが表示されており、3桁目の数字の入力を受け付け可能な状態を示している。また、選択画像80は、被選択情報「0」が反転表示されている状態を示している。
【0068】
図7は、発信処理の流れの一例を示すフローチャートである。発信処理は、主制御部21がフラッシュメモリ31に記憶された入力プログラムを実行することにより、主制御部21により実行される処理である。図7を参照して、主制御部21は、LCD5に選択画像を表示する(ステップS01)。ここでは、図4に示した選択画像80を表示する。さらに主制御部21は、LCD5に決定領域201を表示する。この段階において、選択情報が決定されていないので(後述するステップS15)、決定領域201は空欄である。
【0069】
次のステップS03においては、操作方向が入力されたか否かを判断する。トラックボール15から操作方向を受け付けたか否かを判断する。操作方向を受け付けるまで待機状態となり(ステップS03でNO)、操作方向を受け付けると(ステップS03でYES)、処理をステップS04に進める。
【0070】
ステップS04においては、ステップS03において受け付けられた操作方向を含む角度範囲が割り当てられた被選択情報を初期情報に設定する。具体的には、選択画像80に含まれる第1〜第12表示領域81〜92のうちから操作方向を含む角度範囲が割り当てられた表示領域を特定し、その表示領域に割り当てられた被選択情報を初期情報に設定する。図4に示した選択画像80において、例えば、操作方向が92度であれば、第4の表示領域84が特定され、その表示領域84に割り当てられた被選択情報「3」が初期情報に設定される。そして、初期情報に設定された被選択情報を反転表示する(ステップS05)。これにより、ユーザに被選択情報「3」が選択されていることを通知することができる。
【0071】
次のステップS06においては、初期情報に対応する領域基準方向を特定する。具体的には、初期情報に設定された被選択情報に割り当てられた表示領域を特定し、その表示領域に予め割り当てられた領域基準方向を特定する。ここでは、領域基準方向を、表示領域の中心角を2等分した方向としている。
【0072】
次のステップS07においては、ステップS03と同様に操作方向を受け付けたか否かを判断する。操作方向を受け付けたならば処理をステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS13に進める。ステップS13においては、操作方向を受け付けることなく所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過したならば処理をステップS15に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。ステップS14においては、決定操作を受け付けたか否かを判断する。ユーザがトラックボール15を押下する操作を受け付けたならば決定操作を受け付ける。決定操作を受け付けたならば処理をステップS15に進めるが、そうでなければ処理をステップS07に戻す。
【0073】
操作方向を受け付けてから所定時間が経過する前、または、決定操作を受け付ける前に次の操作方向を受け付ける場合に処理をステップS08に進める。操作方向を受け付けてから次の操作方向を受け付ける前に所定時間が経過した場合、または、決定操作を受け付ける場合は、処理をステップS15に進める。
【0074】
ステップS08においては、操作ベクトルを加算する。ステップS03において受け付けられた操作方向の操作ベクトルと、ステップS07において受け付けられた操作方向の操作ベクトルとを加算する。これによって操作ベクトルの和(補正方向)が算出される。ステップS09においては、操作ベクトルの和とステップS06において特定された領域基準方向とのなす角Rを算出する。
【0075】
そして、角Rの絶対値がしきい値TR以上か否かを判断する(ステップS10)。しきい値は、被選択情報の数により定まり、ここでは、15度である。角Rがしきい値TR以上ならば処理をステップS11に進めるが、そうでなければ処理をステップS07に戻す。
【0076】
ステップS11においては、操作ベクトルの和の方向を含む角度範囲が割り当てられた被選択情報を補正情報に設定する。図4に示した選択画像80において、例えば、操作方向が92度の場合、第4の表示領域84が特定され、その表示領域84に割り当てられた被選択情報「3」が初期情報に設定される。この状態で、角Rが15度になると、第4の表示領域84から時計回りに回転した第5の表示領域85に割り当てられた次の順の被選択情報「4」が補正情報に設定される。また、この状態で、角Rが−15度になると、第4の表示領域84から反時計回りに回転した第3の表示領域83に割り当てられた前の順の被選択情報「2」が補正情報に設定される。
【0077】
次のステップS12においては、補正情報を反転表示し、処理をステップS07に戻す。これにより、ユーザに補正情報、換言すれば、選択している被選択情報を通知することができる。
【0078】
一方、処理がステップS15に進む場合、その段階で選択されている初期情報または補正情報を選択情報に決定し、処理をステップS16に進める。ステップS16においては、選択情報をLCD16に表示されている電話番号入力画面に含まれる決定領域201に表示し、処理をステップS17に進める。これにより、選択情報に決定された番号が決定領域201に表示されるので、ユーザに、入力された電話番号を通知することができる。
【0079】
ステップS17においては、通話ボタン17が押下されたか否かを判断する。通話ボタンが押下されたならば処理をステップS18に進めるが、そうでなければ次の桁の番号を受け付けるために処理をステップS03に戻す。ステップS18においては、決定領域201に表示されている電話番号に発信する処理を実行し、処理を終了する。発信処理については、周知なのでここでは説明を繰り返さない。
【0080】
なお、上述した実施の形態においては、選択画像80に含まれる第1〜第12の表示領域81〜92の中心角をすべて等しくしたが、中心角を異なるようにしてもよい。この場合には、しきい値TRを最初の操作方向によって選択された表示領域に基づいて変更するようにすればよい。具体的には、最初の操作方向によって選択された表示領域の中心角の1/2をしきい値とすればよい。
【0081】
図8は、電話番号入力画面の一例を示す別の図である。図8を参照して、別の電話番号入力画面は、その4辺に沿って4つの選択画像80A,80B,80C,80Dがそれぞれは位置され、決定領域201を含む。決定領域201には、「09」の2桁の数字が既に入力され、3桁目にカーソルが表示されており、3桁目の数字の入力を受け付け可能な状態を示している。選択画像80Aは0,1,2の被選択情報が割り当てられ、選択画像80Bは3,4,5の被選択情報が割り当てられ、選択画像80Cは6,7,8の被選択情報が割り当てられ、選択画像80Dは9,*,#の被選択情報が割り当てられる。また、選択画像80Aは、被選択情報「0」が反転表示されている状態を示している。
【0082】
なお、上述した実施の形態においては、電子機器の一例として、携帯電話機1を例に説明したが、図7に示した入力処理を携帯電話機1に実行させる入力方法、またはその入力方法を携帯電話機1の主制御部21に実行させるための入力プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける携帯電話機の平面図である。
【図2】本実施の形態における携帯電話機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】主制御部が備える機能の一例を示すブロック図である。
【図4】選択画像の一例を示す図である。
【図5】軌跡と初期情報および補正情報の関係を説明するための図である。
【図6】電話番号入力画面の一例を示す図である。
【図7】発信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】電話番号入力画面の一例を示す別の図である。
【符号の説明】
【0085】
1 携帯電話機、5 LCD、11 スピーカ、13 マイクロフォン、15 トラックボール、17 通話ボタン、18 電源ボタン、19 キャンセルボタン、21 主制御部、22 無線回路、22A アンテナ、23 コーデック部、24 カメラ、25 操作部、26 振動部、27 カードI/F、27A メモリカード、28 音声制御部、31 フラッシュメモリ、32 RAM、51 角度算出部、53 表示制御部、55 選択部、57 被選択情報表示部、59 選択情報表示部、61 初期情報選択部、63 軌跡生成部、65 補正情報選択部、71 決定操作受付部、80,80A,80B,80C,80D 選択画像、81〜92 表示領域、81A〜92A 領域基準方向、101,102 軌跡、101A,102A ベクトル和、103 操作ベクトル、201 決定領域。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部と、
操作に基づく操作方向を出力する操作部と、
前記操作部から出力された操作方向に基づいて、前記表示部に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択情報として選択する選択部と、を備え、
前記選択部は、前記複数の被選択情報のうち前記操作部から出力された第1の操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択する初期情報選択部と、
前記操作部から前記第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、前記第1の操作方向と前記第2の操作方向とに基づいて補正方向を決定する補正方向決定部と、
前記決定された補正方向と、前記初期情報に対して予め定められた領域基準方向とがなす角度とに基づいて、前記複数の被選択情報のうちから1つを選択する補正情報選択部と、を含む電子機器。
【請求項2】
前記操作部が出力する操作方向は、所定の基準方向に基づき定まり、
前記表示部は、前記複数の被選択情報を基準点から複数の方向にそれぞれ配置して表示し、
前記複数の被選択情報は、前記基準方向に基づき定まる複数の方向にそれぞれ割り当てられ、
前記複数の被選択情報それぞれに割り当てる方向は、前記基準方向から時計回りになす回転角であって、所定の角度範囲で示される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記補正情報選択部は、前記決定された補正方向と前記初期情報に対して予め定められた領域基準方向とがなす角度と前記初期情報が割り当てられた方向を示す前記所定の角度範囲とに基づいて、前記複数の被選択情報のうちから1つを選択する、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記複数の被選択情報にそれぞれ割り当てられる複数の方向それぞれが示す前記所定の角度範囲の大きさはすべて同じである、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記基準点を中心にした円を前記基準点を通る直線で分割した複数の表示領域に前記複数の被選択情報を配置する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数の表示領域の中心角は同じである、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記補正方向決定部は、前記操作部から出力された第1の操作方向と、前記操作部により連続して出力される第2の操作方向とに基づいて軌跡を生成する軌跡生成部を含み、前記生成された軌跡の始点と終点とを結ぶ方向を補正方向として決定する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記補正方向決定部は、前記操作部から出力された第1の操作方向に対応する操作ベクトルと前記第2の操作方向に対応する操作ベクトルとの和が示す方向を補正方向に決定する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記補正情報選択部は、前記操作部から前記操作方向が出力されなくなると、前記複数の被選択情報のうちから1つを選択することを決定する、請求項1〜8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記補正情報選択部は、所定の操作が入力されたことに基づいて、前記複数の被選択情報のうちから1つを選択することを決定する、請求項1〜9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記表示部は、前記複数の被選択情報のうち前記選択情報を、他の被選択情報と異なる表示態様で表示する、請求項1〜10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記表示部は、前記選択情報を、前記複数の被選択情報が表示されている表示領域とは別の領域に表示する、請求項1〜11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記操作部から出力された操作方向は、360度以内の値である、請求項1〜12のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記操作部は、トラックボール、ジョイスティック、タッチパネルおよびマウスのいずれかである、請求項1〜13のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
電子機器で実行される入力方法であって、
前記電子機器は、情報を表示する表示部と、
操作に基づく操作方向を出力する操作部と、を備え、
前記操作部から出力された操作方向に基づいて、前記表示部に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択情報として選択するステップを含み、
前記選択するステップは、前記複数の被選択情報のうち前記操作部から出力された第1の操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択するステップと、
前記操作部から前記第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、前記第1の操作方向と前記第2の操作方向とに基づいて補正方向を決定するステップと、
前記決定された補正方向と、前記初期情報に対して予め定められた領域基準方向との差分に基づいて、前記複数の被選択情報のうちから1つを選択するステップと、を含む入力方法。
【請求項16】
電子機器を制御するコンピュータで実行される入力プログラムであって、
前記電子機器は、情報を表示する表示部と、
操作に基づく操作方向を出力する操作部と、を備え、
前記操作部から出力された操作方向に基づいて、前記表示部に表示された複数の被選択情報のうちから1つを選択情報として選択するステップを含み、
前記選択するステップは、前記複数の被選択情報のうち前記操作部から出力された第1の操作方向に配置された被選択情報を初期情報として選択するステップと、
前記操作部から前記第1の操作方向が出力された後に第2の操作方向が出力された場合、前記第1の操作方向と前記第2の操作方向とに基づいて補正方向を決定するステップと、
前記決定された補正方向と、前記初期情報に対して予め定められた領域基準方向との差分に基づいて、前記複数の被選択情報のうちから1つを選択するステップと、を前記コンピュータに実行させる入力プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−154543(P2011−154543A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15795(P2010−15795)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】