説明

電子機器および電子時計

【課題】より簡易な構成で二次電池の充電傾向を知らせることができる。
【解決手段】太陽電池108は二次電池107を充電する。CPU101は、二次電池107の電圧値を所定の周期で検出し、複数回検出した電圧値を比較した結果に基づいて、二次電池107の蓄電量の増減を判定する。また、CPU101は、判定した二次電池107の蓄電量の増減を示す情報を表示部110に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の蓄電量の表示方法として、簡易的に「H」「M」「L」の3段階などで表示するソーラー時計が知られている。しかしながら、この表示方法は表示時点での蓄電量を示しているので、ユーザーは二次電池の充電傾向を把握することが難しい。そのため、ユーザーは、ソーラー時計を太陽に当てるなど積極的に充電した方がよいのか、そのままソーラー時計を使用するだけでよいのかを判断することが難しい。
【0003】
この課題を解決する電子時計として、入力エネルギー量と出力エネルギー量とを検出する入出力エネルギー量検出手段によりエネルギー収支を求め、エネルギー量の変動傾向を告知する電子時計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−52035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電子時計では、入出力エネルギー量を検出するために特別な回路が必要となるという問題がある。また、エネルギー量の変動傾向を判断するために入出力エネルギー量の測定回数が多くなり、電力を多く消費してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上述の事情を鑑みてなされたものであり、より簡易な構成で二次電池の充電傾向を知らせることができる電子機器および電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、充電可能な二次電池と、前記二次電池を充電する充電部と、表示部と、前記二次電池の電圧値を所定の周期で検出する電圧検出部と、前記電圧検出部が複数回検出した前記電圧値を比較した結果に基づいて、前記二次電池の蓄電量の増減を判定する充電傾向判定部と、前記充電傾向判定部が判定した前記二次電池の蓄電量の増減を示す情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする電子機器である。
【0008】
また、本発明の電子機器において、前記所定の周期は1日周期であり、前記充電傾向判定部は、前記電圧検出部が検出した前記電圧値と当該検出の1日前に検出した前記電圧値とを比較し、前記二次電池の蓄電量の増減を判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の電子機器において、前記充電傾向判定部は、前記電圧検出部が前記電圧値を所定の回数検出する毎に当該回数分の前記電圧値の平均値を算出し、当該算出した平均値を比較した結果に基づいて、前記二次電池の蓄電量の増減を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子機器において、前記所定の周期は1日周期であり、前記所定の回数は7回であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、充電可能な二次電池と、前記二次電池を充電する充電部と、表示部と、前記二次電池の電圧値を所定の周期で検出する電圧検出部と、前記電圧検出部が複数回検出した前記電圧値を比較した結果に基づいて、前記二次電池の蓄電量の増減を判定する充電傾向判定部と、前記充電傾向判定部が判定した前記二次電池の蓄電量の増減を示す情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電部は二次電池を充電する。また、電圧検出部は、二次電池の電圧値を所定の周期で検出する。また、充電傾向判定部は、電圧検出部が複数回検出した電圧値を比較した結果に基づいて、二次電池の蓄電量の増減を判定する。また、表示制御部は、充電傾向判定部が判定した二次電池の蓄電量の増減を示す情報を表示部に表示させる。これにより、二次電池の電圧値を所定の周期で検出することで、二次電池の蓄電量の増減を判定し、判定結果を表示させることができる。従って、より簡易な構成で二次電池の充電傾向を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子時計の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における本実施形態における電源部と、太陽電池と、逆流防止回路と、過充電防止回路との回路構成を示した回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における二次電池の充電傾向を示す表示内容を示した概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における二次電池の充電傾向を示す表示内容を示した概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における二次電池の充電傾向を示す表示内容を示した概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における二次電池の充電傾向を示す表示内容を示した概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における電子時計が実行する充電傾向表示処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態における電子時計が充電傾向表示処理で日々検出した二次電池の電圧値を示したグラフである。
【図9】本発明の第1の実施形態における電子時計が充電傾向表示処理で日々検出した二次電池の電圧値を示したグラフである。
【図10】本発明の第2の実施形態における電子時計が実行する充電傾向表示処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、電子機器の一例として、太陽電池を備えた電子時計の例を用いて説明する。図1は、本実施形態における電子時計の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子時計100は、CPU101(電圧検出部、充電傾向判定部、表示制御部)と、発振回路102と、分周回路103と、入力部104と、ROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)105と、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)106と、二次電池107と、太陽電池108(充電部)と、逆流防止回路109と、表示部110とを備える。
【0015】
CPU101は、電子時計100が備える各部の制御を行う。また、CPU101は、二次電池107の電圧を検出する。また、CPU101は、二次電池107の蓄電量の増減を判定する。また、CPU101は、表示部110の表示を制御する。発振回路102は、所定周波数の信号を出力する。分周回路103は、発振回路102の出力信号を所定分周比で分周してCPU101用の規準クロック信号や計時用の時計信号を出力する。入力部104は、外部から操作可能なスイッチによって構成されており、入力を受け付ける。ROM105は、CPU101が実行するプログラムを予め記憶している。RAM106は、電子時計100が用いるデータを記憶する。
【0016】
二次電池107は、充電可能な電池であり、電子時計100が備える各部に電力を供給する。二次電池107が出力する電圧(出力電圧)は、電池残量(蓄電量)が多い場合には高く、電池残量が少なくなるにつれて低くなる。これにより、二次電池107が出力する電圧の値(出力電圧値)に基づいて、二次電池107の電池残量を検出することができる。
【0017】
太陽電池108は、受光した光の強度に応じた電力を発電し、二次電池107を充電する。逆流防止回路109は、二次電池107から太陽電池108に電流が流れないように制御する回路である。表示部110は例えば液晶ディスプレイであり、時刻や、二次電池の充電傾向を示す情報などを表示する。
【0018】
次に、電子時計100が備える二次電池107と、太陽電池108と、逆流防止回路109と、過充電防止回路との回路構成について説明する。図2は、本実施形態における電子時計100が備える二次電池107と、太陽電池108と、逆流防止回路109と、過充電防止回路200との回路構成を示した回路図である。なお、過充電防止回路200は、CPU101の一部である。また、過充電防止回路200は、基準電圧回路201と、コンパレータ部202と、NMOSトランジスタ203とを備える。
【0019】
図示する例では、太陽電池108の陽極端子は電源線Vscに接続され、陰極端子は電源線Vssに接続されている。また、二次電池107の陽極端子は電源線Vddに接続され、陰極端子は電源線Vssに接続されている。また、逆流防止回路109はダイオード素子であり、アノード端子は電源線Vscに接続され、カソード端子は電源線Vddに接続されている。この構成により、二次電池107から太陽電池108に電流が流れることを防止することができる。
【0020】
また、コンパレータ部202の入力端子の一端は電源線Vddに接続され、他端は基準電圧回路201に接続されている。また、コンパレータ部202の出力端子は、NMOSトランジスタ203のゲート端子に接続されている。また、NMOSトランジスタ203のソース端子は電源線Vssに接続され、ドレイン端子は電源線Vscに接続されている。
【0021】
基準電圧回路201は、基準電圧をコンパレータ部202に入力する。基準電圧は、例えば二次電池107が満充電の際に出力する電圧2.6Vである。コンパレータ部202は、電源線Vddの電圧と基準電圧とを比較し、電源線Vddの電圧が基準電圧以上の場合には出力端子から電圧を出力する。これにより、電源線Vddの電圧が基準電圧以上の場合、すなわち、二次電池107が満充電の場合、太陽電池108が発電した電流は二次電池107を流れず、NMOSトランジスタ203を流れる。従って、二次電池107の過充電を防止することができる。
【0022】
次に、表示部110が表示する、二次電池107の充電傾向を示す表示内容について説明する。図3は、本実施形態における表示部110が表示する、二次電池107の充電傾向を示す表示内容を示した概略図である。図3(1)に示す表示「−」は、二次電池107の蓄電量が減少している、すなわち、充電電力量よりも消費電力量が多いことを示す表示である。図3(2)に示す表示「−+」は、二次電池107の蓄電量が変化していない、すなわち、充電電力量と消費電力量とが同じであることを示す表示である。図3(3)に示す表示「+」は、二次電池107の蓄電量が増加している、すなわち、消費電力量よりも充電電力量が多いことを示す表示である。ユーザーは、表示部110が表示するこれらの表示を見ることで、二次電池107の充電傾向を知ることができる。従って、ユーザーは、電子時計100を太陽に当てるなど積極的に二次電池107を充電した方がよいのか、そのまま電子時計100を使用するだけでよいのか容易に判断することができる。
【0023】
例えば、表示部110が図3(1)に示す「−」表示を行っている場合、ユーザーは二次電池107の蓄電量が減少していることを知ることができる。そのため、ユーザーは、積極的に二次電池107を充電した方が良いと容易に判断することができる。また、表示部110が図3(2)に示す「−+」表示を行っている場合、ユーザーは二次電池107の蓄電量は変化していないことを知ることができる。そのため、ユーザーは、これまでと同様に電子時計100を使用しても二次電池107の蓄電容量が減少しないため、積極的に二次電池107を充電する必要がないと容易に判断することができる。また、表示部110が図3(3)に示す「+」表示を行っている場合、ユーザーは二次電池107の蓄電量は増加していることを知ることができる。そのため、ユーザーは、二次電池107を充電することができるため、これまでと同様に電子時計100を使用するのが良いと判断することができる。
【0024】
なお、表示部110が表示する、二次電池107の充電傾向を示す表示内容は、図3に示した表示内容に限らない。以下、表示部110が表示する、二次電池107の充電傾向を示す表示内容の例について図4〜図6を用いて説明する。
【0025】
図4(1)に示す図形401の表示は、二次電池107の蓄電量が減少していることを示す表示である。また、図4(2)に示す図形402の表示は、二次電池107の蓄電量が変化していないことを示す表示である。また、図4(3)に示す図形403の表示は、二次電池107の蓄電量が増加していることを示す表示である。
【0026】
また、静的な表示ではなく、動的な表示で二次電池の充電傾向を示すようにしてもよい。例えば、図5(1)に示すように、電池マーク501、電池マーク502、・・・、電池マーク505、電池マーク501、・・・、の順に一定時間毎(例えば1秒毎)に表示を変化させることで、二次電池107の蓄電量が減少していることを示すようにしてもよい。また、図5(2)に示すように、電池マーク511,電池マーク512を一定時間毎に交互に表示し、二次電池107の蓄電量が変化していないことを示すようにしてもよい。また、図5(3)に示すように、電池マーク521、電池マーク522、・・・、電池マーク525、電池マーク521、・・・、の順に一定時間毎に表示を変化させることで、二次電池107の蓄電量が増加していることを示すようにしてもよい。
【0027】
また、電池マークに限らず、他の図形を動的に表示させ、二次電池の充電傾向を示すようにしてもよい。例えば、図6(1)に示すように、図形601、図形602、・・・、図形605、図形601、・・・、の順に一定時間毎に表示を変化させることで、二次電池107の蓄電量が減少していることを示すようにしてもよい。また、図6(2)に示すように、図形611,図形612を一定時間毎に交互に表示し、二次電池107の蓄電量が変化していないことを示すようにしてもよい。また、図6(3)に示すように、図形621、図形622、・・・、図形625、図形621、・・・、の順に一定時間毎に表示を変化させることで、二次電池107の蓄電量が増加していることを示すようにしてもよい。
【0028】
次に、本実施形態における電子時計100が、二次電池107の充電傾向を表示部110に表示する充電傾向表示処理について説明する。図7は、本実施形態における電子時計100が実行する充電傾向表示処理の処理手順を示したフローチャートである。なお、電子時計100は、1日1回定時に充電傾向表示処理を実行する。例えば、電子時計100は、ユーザーが電子時計100を使用する可能性が少ない午前3時に充電傾向表示処理を実行する。
【0029】
(ステップS101)CPU101は、二次電池107の電圧値を検出する。その後、ステップS102の処理に進む。
(ステップS102)CPU101は、ステップS101の処理で検出した二次電池107の電圧値と、前日に充電傾向表示処理を実行した際に更新した、RAM106が記憶している「前日の電圧値」とを比較し、どちらの電圧値が高い(低い)電圧値であるかを判定する。ステップS101で検出した電圧値は「前日の電圧値」よりも低い電圧値であるとCPU101が判定した場合にはステップS103の処理に進む。また、ステップS101で検出した電圧値と「前日の電圧値」とは同じ電圧値であるとCPU101が判定した場合にはステップS104の処理に進む。また、ステップS101で検出した電圧値は「前日の電圧値」よりも高い電圧値であるとCPU101が判定した場合にはステップS105の処理に進む。なお、電子時計100が起動またはリセットされた等により、初めて充電傾向表示処理を実行した場合、RAM106には「前日の電圧値」が記憶されていないため、CPU101は、ステップS101の処理で検出した電圧値を「前日の電圧値」としてRAM106に記憶させ、充電傾向表示処理を終了する。
【0030】
(ステップS103)CPU101は、RAM106が記憶している傾向フラグの値を「−1」に更新する。その後、ステップS106の処理に進む。
(ステップS104)CPU101は、RAM106が記憶している傾向フラグの値を「0」に更新する。その後、ステップS106の処理に進む。
(ステップS105)CPU101は、RAM106が記憶している傾向フラグの値を「1」に更新する。その後、ステップS106の処理に進む。
【0031】
(ステップS106)CPU101は、RAM106が記憶している「前日の電圧値」を、ステップS101の処理で検出した二次電池107の電圧値に更新する。その後、ステップS107の処理に進む。
(ステップS107)CPU101は、RAM106が記憶している傾向フラグの値に基づいて、二次電池107の充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させる。具体的には、RAM106が記憶している傾向フラグの値が「−1」である場合、CPU101は、二次電池107の蓄電量が減少していることを示す表示内容を表示部110に表示させる。また、RAM106が記憶している傾向フラグの値が「0」である場合、CPU101は、二次電池107の蓄電量が変化していないことを示す表示内容を表示部110に表示させる。また、RAM106が記憶している傾向フラグの値が「1」である場合、CPU101は、二次電池107の蓄電量が増加していることを示す表示内容を表示部110に表示させる。その後、充電傾向表示処理を終了する。
【0032】
上述したとおり、本実施形態では、CPU101は、1日1回定時に二次電池107の電圧値を検出する。そして、CPU101は、当日に検出した電圧値と、前日に検出した電圧値とを比較することで、二次電池107の充電傾向を判定する。具体的には、CPU101は、当日に検出した電圧値よりも前日に検出した電圧値の方が高い場合、二次電池107の蓄電量が減少していると判定する。また、CPU101は、当日に検出した電圧値と前日に検出した電圧値とが同じ場合、二次電池107の蓄電量が変化していないと判定する。また、CPU101は、当日に検出した電圧値よりも前日に検出した電圧値の方が低い場合、二次電池107の蓄電量が増加していると判定する。
【0033】
また、CPU101は、二次電池107の充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させる。これにより、ユーザーは、表示部110が表示するこれらの表示内容を見ることで、二次電池107の充電傾向を知ることができる。従って、ユーザーは、電子時計100を太陽に当てるなど積極的に二次電池107を充電した方がよいのか、そのまま電子時計100を使用するだけでよいのか容易に判断することができる。
【0034】
なお、電子時計100は、二次電池107の電圧値のみを検出し、検出した電圧値を用いて二次電池107の充電傾向を判定している。そのため、電子時計100は、従来必要であった入出力エネルギー量を検出するための特別な回路を用いることなく、二次電池107の充電傾向を判定することができる。従って、電子時計100は、より簡易な構成で二次電池の充電傾向をユーザーに知らせることができる。
【0035】
また、電子時計100は、充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させるため、従来の3段階の表示「H」「M」「L」で二次電池の残量を示す表示では表示内容が変化しない場合においても、充電傾向をユーザーに知らせることができる。
【0036】
図8は、12月から4月まで、本実施形態における電子時計100が、充電傾向表示処理で日々検出した二次電池107の電圧値を示したグラフである。また、図9は、3月23日から4月27日まで、本実施形態における電子時計100が、充電傾向表示処理で日々検出した二次電池107の電圧値を示したグラフである。
【0037】
図示するように、二次電池107の電圧値は日々異なるが、二次電池107の電圧値は2.35Vから2.45Vの間である。そのため、従来の3段階の表示方法で、二次電池の電圧値が2.45V以上の場合には「H」を表示し、2.35V未満かつ2.45V以上の場合には「M」を表示し、2.35V未満の場合には「L」を表示する場合には、二次電池の電圧値は日々異なるにも関わらず、電子時計は常に「M」を表示することとなる。そのため、従来の3段階の表示方法では、ユーザーは二次電池の充電傾向を知ることができない。
【0038】
しかしながら、本実施形態における電子時計100は、前日の電圧値と当日の電圧値とを比較して二次電池107の充電傾向を判定し、充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させる。従って、ユーザーは、従来の3段階の表示「H」「M」「L」で二次電池の残量を示す表示では表示内容が変化しない場合においても、二次電池107の充電傾向を知ることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態における電子時計100は、第1の実施形態における電子時計100と同様の構成である。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、充電傾向を判定する期間である。第1の実施形態における電子時計100は1日毎の充電傾向を判定しているが、本実施形態における電子時計100は、二次電池107の電圧値を複数回検出する毎に、複数回分の電圧値の平均値を算出し、算出した平均値に基づいて二次電池107の充電傾向を判定する。例えば、1日1回二次電池107の電圧値を検出して1週間毎の充電傾向を判定する場合、二次電池107の電圧値を7回検出する毎に、7回分の電圧値の平均値を算出し、算出した平均値に基づいて二次電池107の充電傾向を判定する。
【0040】
以下、本実施形態における電子時計100が、二次電池107の充電傾向を表示部110に表示する充電傾向表示処理について説明する。図10は、本実施形態における電子時計100が実行する充電傾向表示処理の処理手順を示したフローチャートである。なお、1日1回定時に充電傾向表示処理を実行し、1週間毎に二次電池107の充電傾向を判定する例を用いて説明する。
【0041】
(ステップS201)CPU101は、二次電池107の電圧値を検出する。その後、ステップS202の処理に進む。
(ステップS202)CPU101は、ステップS101の処理で検出した二次電池107の電圧値を、「電圧値n」としてRAM106に記憶させる。その後、ステップS203の処理に進む。なお、nの値はRAM106が記憶している。
(ステップS203)CPU101は、本日は、週の切替り日(例えば日曜日)であるか否かを判定する。本日は週の切替り日であるとCPU101が判定した場合にはステップS205の処理に進み、それ以外の場合にはステップS204の処理に進む。なお、週の切替り日は予め決められていても良く、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。
(ステップS204)CPU101は、RAM106が記憶しているnの値を読み出し、1を加算する。そしてCPU101は、加算後の値をnの値としてRAM106に記憶させる。その後、ステップS212の処理に進む。
【0042】
(ステップS205)CPU101は「今週の平均電圧値」を算出する。具体的には、CPU101は、RAM106が記憶している「電圧値1」〜「電圧値7」の平均値を算出する。その後、ステップS206の処理に進む。
【0043】
(ステップS206)CPU101は、ステップS205の処理で算出した「今週の平均電圧値」と、RAM106が記憶している「前週の平均電圧値」とを比較し、どちらの電圧値が高い(低い)電圧値であるかを判定する。ステップS205の処理で算出した「今週の平均電圧値」は「前週の平均電圧値」よりも低い電圧値であるとCPU101が判定した場合にはステップS207の処理に進む。また、ステップS205の処理で算出した「今週の平均電圧値」と、「前週の平均電圧値」とは同じ電圧値であるとCPU101が判定した場合にはステップS208の処理に進む。また、ステップS205の処理で算出した「今週の平均電圧値」は「前週の平均電圧値」よりも高い電圧値であるとCPU101が判定した場合にはステップS209の処理に進む。なお、電子時計100が起動またはリセットされた等により、RAM106に「前週の平均電圧値」が記憶されていない場合には、CPU101は、ステップS205の処理で算出した「今週の平均電圧値」を「前週の平均電圧値」としてRAM106に記憶させ、充電傾向表示処理を終了する。
【0044】
(ステップS207)CPU101は、RAM106が記憶している週傾向フラグの値を「−1」に更新する。その後、ステップS210の処理に進む。
(ステップS208)CPU101は、RAM106が記憶している週傾向フラグの値を「0」に更新する。その後、ステップS210の処理に進む。
(ステップS209)CPU101は、RAM106が記憶している週傾向フラグの値を「1」に更新する。その後、ステップS210の処理に進む。
【0045】
(ステップS210)CPU101は、RAM106が記憶しているnの値を「1」に更新する。その後、ステップS211の処理に進む。
(ステップS211)CPU101は、RAM106が記憶している「前週の平均電圧値」の値を、ステップS205の処理で算出した「今週の平均電圧値」の値に更新する。その後、ステップS212の処理に進む。
【0046】
(ステップS212)CPU101は、RAM106が記憶している週傾向フラグの値に基づいて、二次電池107の充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させる。具体的には、RAM106が記憶している週傾向フラグの値が「−1」である場合、CPU101は、二次電池107の蓄電量が減少していることを示す表示内容を表示部110に表示させる。また、RAM106が記憶している週傾向フラグの値が「0」である場合、CPU101は、二次電池107の蓄電量が変化していないことを示す表示内容を表示部110に表示させる。また、RAM106が記憶している週傾向フラグの値が「1」である場合、CPU101は、二次電池107の蓄電量が増加していることを示す表示内容を表示部110に表示させる。その後、充電傾向表示処理を終了する。
【0047】
上述したとおり、本実施形態では、CPU101は、所定の周期、例えば1日1回定時に二次電池107の電圧値を検出する。また、CPU101は、所定の回数毎、例えば1週間に1度の場合では二次電池107の電圧値を7回検出した場合に、1週間分の電圧値の平均値「今週の平均電圧値」を算出し、前週に算出した1週間分の電圧値の平均値「前週の平均電圧値」と比較することで、二次電池107の1週間の充電傾向を判定する。具体的には、CPU101は、「今週の平均電圧値」よりも「前週の平均電圧値」の方が高い場合、二次電池107の蓄電量が減少していると判定する。また、CPU101は、「今週の平均電圧値」と「前週の平均電圧値」とが同じ場合、二次電池107の蓄電量が変化していないと判定する。また、CPU101は、「今週の平均電圧値」よりも「前週の平均電圧値」の方が低い場合、二次電池107の蓄電量が増加していると判定する。
【0048】
また、CPU101は、二次電池107の充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させる。これにより、ユーザーは、表示部110が表示するこれらの表示内容を見ることで、二次電池107の1週間の充電傾向を知ることができる。従って、ユーザーは、電子時計100を太陽に当てるなど積極的に二次電池107を充電した方がよいのか、そのまま電子時計100を使用するだけでよいのか容易に判断することができる。
【0049】
なお、電子時計100は、二次電池107の電圧値のみを検出し、検出した電圧値を用いて二次電池107の充電傾向を判定している。そのため、電子時計100は、従来必要であった入出力エネルギー量を検出するための特別な回路を用いることなく、二次電池107の充電傾向を判定することができる。従って、電子時計100は、より簡易な構成で二次電池の充電傾向をユーザーに知らせることができる。
【0050】
また、電子時計100は、充電傾向を示す表示内容を表示部110に表示させるため、従来の3段階の表示「H」「M」「L」で二次電池の残量を示す表示では表示内容が変化しない場合においても、充電傾向をユーザーに知らせることができる。
【0051】
なお、上述した第1の実施形態および第2の実施形態における電子時計100が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0052】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、二次電池の1日または1週間の充電傾向を判定する例を説明したが、これに限らず、任意の期間の充電傾向を判定し、ユーザーに知らせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100・・・電子時計、101・・・CPU、102・・・発振回路、103・・・分周回路、104・・・入力部、105・・・ROM、106・・・RAM、107・・・二次電池、108・・・太陽電池、109・・・逆流防止回路、110・・・表示部、200・・・過充電防止回路、201・・・基準電圧回路、202・・・コンパレータ部、203・・・NMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な二次電池と、
前記二次電池を充電する充電部と、
表示部と、
前記二次電池の電圧値を所定の周期で検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部が複数回検出した前記電圧値を比較した結果に基づいて、前記二次電池の蓄電量の増減を判定する充電傾向判定部と、
前記充電傾向判定部が判定した前記二次電池の蓄電量の増減を示す情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記所定の周期は1日周期であり、
前記充電傾向判定部は、前記電圧検出部が検出した前記電圧値と当該検出の1日前に検出した前記電圧値とを比較し、前記二次電池の蓄電量の増減を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記充電傾向判定部は、前記電圧検出部が前記電圧値を所定の回数検出する毎に当該回数分の前記電圧値の平均値を算出し、当該算出した平均値を比較した結果に基づいて、前記二次電池の蓄電量の増減を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定の周期は1日周期であり、
前記所定の回数は7回である
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
充電可能な二次電池と、
前記二次電池を充電する充電部と、
表示部と、
前記二次電池の電圧値を所定の周期で検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部が複数回検出した前記電圧値を比較した結果に基づいて、前記二次電池の蓄電量の増減を判定する充電傾向判定部と、
前記充電傾向判定部が判定した前記二次電池の蓄電量の増減を示す情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−29407(P2013−29407A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165290(P2011−165290)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】