説明

電子機器のケース構造及び携帯電子機器

【課題】 外力に対して変形しにくい電子機器のケース構造及び携帯電子機器を提供する。
【解決手段】 本発明の電子機器のケース構造は、電子辞書1の外面を形成する天板部10を有する上部キャビネット7と、前記上部キャビネット7と少なくとも同等以上の剛性を有し、前記上部キャビネット7の内側に前記上部キャビネット7と所定の空間を有して配置されたLCDフレーム8部とを備え、前記上部キャビネット7と前記LCDフレーム8との対向面のいずれか一方には嵌合凸部が、他方には前記嵌合凸部と対をなす嵌合凹部がそれぞれ設けられ、前記上部キャビネット7の外側から前記天板部10に外力が作用したときに、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが嵌合し、前記嵌合凹部の少なくとも1つの側面が前記嵌合凸部と当接することによって、前記上部キャビネット7及び前記LCDフレーム8の面方向に沿った相対移動を規制するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のケース構造及び携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD)等を表示部として備えたパソコンや電子辞書等の電子機器では、表示部を収容するケースに強い外力が作用することによって、表示部が破損することがあり、問題となっている。
【0003】
上記問題を解決するための方法として、表示部を収容する筐体(ケース)を構成する部材の中央部の厚みを増したり、筐体と表示部との間に補助フレームを介装したりすることが、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2006−085605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、表示部の破損防止効果は充分ではない。外力が作用したときは、筐体の中央部が内側に向かって撓みやすく、撓んで変形した中央部が内部に収容された表示部等の機構に接触して外力が伝達されると、破損の原因となる。これに対して特許文献1のように、筐体の中央部を厚くすると、筐体の剛性は高まるものの、上述の撓みの発生を防止することは困難である。
【0005】
一方、筐体と表示部との間に補助フレームを介装する方法も、筐体に作用する外力を補助フレーム側に逃がして軽減する効果はあるが、撓み自体の発生を抑制するわけではないので、破損防止効果は充分ではない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、外力に対して変形しにくい電子機器のケース構造及び携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電子機器のケース構造であって、前記電子機器の外面を形成する平板部を有するケース表板部と、前記ケース表板部と少なくとも同等以上の剛性を有し、前記ケース表板部の内側に前記ケース表板部と所定の空間を有して配置されたケース基板部とを備え、前記ケース表板部と前記ケース基板部との対向面のいずれか一方には嵌合凸部が、他方には前記嵌合凸部と対をなす嵌合凹部がそれぞれ設けられ、前記ケース表板部の外側から前記平板部に外力が作用したときに、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが嵌合し、前記嵌合凹部の少なくとも1つの側面が前記嵌合凸部と当接することによって、前記ケース表板部及び前記ケース基板部の面方向に沿った相対移動を規制するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の電子機器のケース構造によれば、ケース表板部の平板部に外力が作用して変形すると、ケース表板部とケース基板部の対向する面にそれぞれ設けられた、互いに対をなす嵌合凸部と嵌合凹部とが嵌合する。嵌合凸部には外力に伴って対向面の面方向に相対移動しようとする力が作用するが、嵌合凸部が嵌合凹部の少なくとも1つの側面と当接することによって、ケース表板部及びケース基板部の面方向に沿った相対移動が規制される。
【0009】
前記嵌合凸部及び前記嵌合凹部は、それぞれ前記対向面に対して垂直に設けられた垂直面を有し、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが嵌合するときに、前記嵌合凸部の垂直面と前記嵌合凹部の垂直面とが当接するものでもよい。この場合、嵌合凸部の垂直面と嵌合凹部の垂直面とが当接するため、嵌合凸部と嵌合凹部との接触面積が大きくなるので、より効果的にケース表板部及びケース基板部の相対移動を規制することができる。
【0010】
前記嵌合凸部は、前記ケース基板部に向かって突出する複数の第1リブを有し、前記嵌合凹部は、前記ケース表板部に向かって突出する複数の第2リブを有し、隣接する前記第2リブの間に前記嵌合凹部が形成されているものでもよい。この場合、ケース表板部及びケース基板部にリブを設けるだけでよいので、製造の容易なケース構造とすることができる。
【0011】
前記ケース表板部及び前記ケース基板部はそれぞれ平面視長方形に形成されており、前記第1リブ及び第2リブが、前記ケース表板部及び前記ケース基板部の幅方向に沿って設けられてもよい。この場合、平板部が撓みやすいケース表板部及びケース基板部の長手方向における相対移動を効果的に規制することができる。
【0012】
前記嵌合凸部及び前記嵌合凹部は、前記対向面に格子状に配置されて構成されてもよい。この場合、ケース表板部及びケース基板部の長手方向だけでなく、幅方向における相対移動も規制されるので、より効果的にケース表板部及びケース基板部の相対移動を規制することができる。
【0013】
本発明の携帯電子機器は、本発明の電子機器のケース構造を備えることを特徴とする。
本発明の携帯電子機器によれば、ケース表板部の変形を抑制することによって携帯電子機器の内部機構が効果的に保護され、破損を防止することができる。
【0014】
さらに本発明の携帯電子機器は、表示部を収容する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを折りたたみ可能に連結するヒンジとを有し、前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方が、本発明の電子機器のケース構造を備えることを特徴とする。
本発明の携帯電子機器によれば、操作部又は表示部が効果的に保護され、破損しにくい携帯電子機器を構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子機器のケース構造によれば、ケース表板部に外力が作用した際のケース表板部及びケース基板部の面方向に沿った相対移動が、互いに対をなす嵌合凸部と嵌合凹部が嵌合することによって規制されるため、外力によって変形しにくいケース構造を構成することができる。
また、本発明の携帯電子機器によれば、外力によって内部の機構が破損しにくい携帯電子機器を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態の電子機器のケース構造(以下、単に「ケース構造」と称する。)及び携帯電子機器について、図1から図4を参照して説明する。
図1(a)は本実施形態のケース構造を備えた電子辞書(携帯電子機器)1を示す斜視図である。電子辞書1は、LCD(表示部)2を収容する第1筐体3と、操作キー(操作部)4を有する第2筐体5と、第1筐体3と第2筐体5とを図1(b)に示すように折りたたみ可能に連結するヒンジ6とを備えて構成されている。本実施形態のケース構造は、第1筐体3に設けられている。
【0017】
図2は、図1のA−A線における第1筐体3の断面を示す模式図である。第1筐体3は、図2に示す状態で第1筐体3の上面を形成する上部キャビネット(ケース表板部)7と、上部キャビネット7の下方、すなわち電子辞書1の内部に設けられたLCDフレーム(ケース基板部)8と、LCDフレーム8の下方に配置されたLCD2と、LCD2の下方に配置された枠状の表示面キャビネット9とを備えて構成されている。
【0018】
上部キャビネット7は、ABS樹脂やポリカーボネート等の樹脂材料又はマグネシウムやアルミ等の金属材料を、平面視長方形に成形又は鍛造して形成されたものであり、略平坦に形成された天板部(平板部)10と、天板部10の前後左右から下方に延出して設けられた側板部11とを有して構成されている。
天板部10は中央部12に比して前後左右の端部13が薄く形成されており、図2に示すように、側板部11との境界部から中央部12にかけて漸次厚みが増す略テーパ状に形成されている。なお、天板部10は均一な肉厚に形成されてもよい。
【0019】
中央部12の下面、すなわちLCDフレーム8に対向する面には、複数の第1リブ(嵌合凸部)14が一定の間隔で上部キャビネット7の幅方向に沿って、すなわちヒンジ6に対して垂直に形成されている。すなわち、第1リブ14は、電子辞書1の内部のLCDフレーム8に向かって突出している。また、第1リブ14の上部キャビネット7の長手方向における断面は、図2に示すように下に凸の略三角形に形成されている。
【0020】
図3は、LCDフレーム8の斜視図である。LCDフレーム8は、帯状の部材が周囲を取り囲むように設けられた側壁部15と、側壁部15の内面の上下方向における略中心の位置から水平に延出する水平部16と、水平部16の内側の端部から上方に凸となるアーチ状に形成された中心部17とを有し、平面視長方形に形成されている。
【0021】
中心部17の上面には、図3に示すように、断面が矩形の第2リブ18が、LCDフレーム8の幅方向に沿って、一定の間隔で複数設けられており、隣接する第2リブの間に嵌合凹部19が形成されている。
第1リブ14と第2リブ18とは、互い違いとなるように形成されており、後述するように、組み合わせたときに第1リブ14が嵌合凹部19に嵌合するように第1リブ14の高さと嵌合凹部19の深さとが略同一に形成されている。
【0022】
なお、LCDフレーム8は、上部キャビネット7と同様に樹脂または金属を成形または鍛造して形成することができるが、後述するように上部キャビネット7の変形を防ぐ観点から、少なくとも上部キャビネット7と同等以上の剛性を有することが必要であり、上部キャビネット7より高い剛性を有するのが好ましい。
【0023】
また、図4(a)に示す第1リブ14の幅寸法L1は、嵌合凹部19と完全に嵌合するように嵌合凹部19の幅寸法L2以下に設定される。
【0024】
LCD2は公知の構成のものであり、図2に示すように、LCDフレーム8の水平部16の下面に当接するように配置されている。
表示面キャビネット9は樹脂又は金属等で形成され、LCD2の周縁を支持する枠部20と、枠部20の外側の端部から上方に延出する側面部21とを有する。
【0025】
図2に示すように、LCD2はその周縁がLCDフレーム8の水平部16と表示面キャビネット9の枠部20とに挟持されて固定され、LCDフレーム8の側壁部15の下端と表示面キャビネット9の枠部20の側面部21側の上面とが、図示しないねじや爪等の固定機構によって連結固定されている。
さらに表示面キャビネット9の側面部21の上端と上部キャビネット7の側板部11の下端とが、図示しないねじや爪等の固定機構によって連結固定されて第1筐体3が形成されている。
また、図2に示すように、第1リブ14と嵌合凹部19とは、通常時において完全には嵌合せず、第1リブ14と嵌合凹部19との間に空間を有するように配置されている。第1リブ14と嵌合凹部19とは通常時において完全に接するように構成してもよい。
【0026】
上記のように構成されたケース構造を備える第1筐体3の動作について、図4(a)から図4(c)を参照して説明する。
電子辞書1が図1(b)のように折りたたまれた状態で、図4(a)に示すように上部キャビネット7の天板部10の上方から外力Fが加わると、天板部10は外力Fを側板部に向かって分散させつつ、下方に向かって撓んでいく。このとき、側板部から最も離れた天板部10の中央部12付近が最も下方に向かって撓みやすくなる。また、第1筐体3はヒンジ6の方向に長い矩形であるため、中央部10はヒンジ6に対して垂直方向に撓みやすくなる。
【0027】
さらに外力Fが加わると、天板部10が下方に向かって撓み、図4(b)に示すように、上部キャビネット7の第1リブ14と、LCDフレーム8の嵌合凹部19とが嵌合し、第1リブ14が突出する上部キャビネット7の下面と第2リブ18の上面とが当接して、第1リブ14と第2リブ18の間の空間が減少する。
【0028】
上述したように、天板部10は中央部12付近が最も下方に向けて幅方向に沿って撓む、すなわち図4(c)に示すように下に凸となるように弓なりに撓むので、天板部10の下面に設けられた各第1リブ14には、略下方に向いて突出した状態から長手方向両端の側板部に向かって放射状に広がるように傾こうとする力fが作用する。
【0029】
しかしながら、第1リブ14と第2リブ18とが嵌合しているため、各第1リブ14の外側の基部14Aは図4(c)に示すように各嵌合凹部19の側面19Aの上端と当接して干渉しあう。したがって、上部キャビネット7の面方向への相対移動は嵌合凹部19によって阻止され、上部キャビネット7の変形が抑制される。
【0030】
本実施形態のケース構造を備えた第1筐体3によれば、外力による上部キャビネット7の撓み変形が、上部キャビネット7の第1リブ14と上部キャビネット7の下方に設けられたLCDフレーム8の嵌合凹部19との嵌合によって抑制されるので、上部キャビネット7の所定限度以上の撓みが抑制され、外力がLCD2に作用することを防ぐことができる。従って、LCD2の破損を効果的に防止することができる。
【0031】
また、第1リブ14及び第2リブ18が、それぞれ上部キャビネット7及びLCDフレーム8の幅方向に沿って設けられているため、第1リブ14と嵌合凹部19との嵌合によって、外力作用時に発生しやすい上部キャビネット7の長手方向への相対移動を確実に抑制することができる。
さらに、上部キャビネット7及びLCDフレーム8に第1リブ14及び第2リブ18を設けるだけでよいため、部品点数を増やさずに、簡素な構造でLCD2の保護効果を向上させることができる。
【0032】
また、上部キャビネット7とLCDフレーム8とが、通常時において、一定の空間を有するように配置されているので、成形精度に若干ばらつきが生じても、問題なく第1筐体3を構成することができる。
加えて、第1リブ14は断面が略三角形に形成されているので、製造に際して成形寸法に若干ばらつきが生じても、問題なく嵌合凹部19に嵌合する。従って製造過程における不良品の発生を低減し、製造コストを削減することができる。
【0033】
また、本ケース構造においては、LCDフレーム8が充分な剛性を有していれば、樹脂等の比較的剛性の低い材料を用いて上部キャビネット7を形成しても、LCD2の破損を好適に防止できる。従って、コスト削減を可能にするとともに、加工しやすい樹脂を用いることで、一定の強度を保持しつつ上部キャビネット7のデザインの自由度を向上させることができる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して説明する。本実施形態と上述の第1実施形態との異なるところは、嵌合凸部及び被嵌凹部の形状である。
なお、上述の第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
図5は本実施形態のLCDフレーム22を示す斜視図である。本実施形態のケース構造において、LCDフレーム22の中心部23の上面は、断面が矩形の複数のリブが幅方向及び長手方向に沿って一定間隔で、かつ互いに直行するように設けられた、いわゆる格子状に形成されており、隣接する前後左右のリブに囲まれた略正方形の嵌合凹部24が、LCDフレーム22の長手方向及び幅方向に一定間隔で格子状に設けられている。
【0036】
図6(a)に断面図で示すように、上部キャビネット25の下面には、天板部26に対して略垂直下方に突出する四角柱状の基部27と、基部27の下面にドーム状に形成された先端部28とを有する嵌合凸部29が、嵌合凹部24と嵌合可能な位置に多数配置されている。すなわち、各嵌合凸部29は、基部27の前後左右の4方向に、天板部26に対して略垂直な垂直面30を有している。また、嵌合凸部29の高さは、嵌合凹部24の深さより大きくなるように設定されている。
【0037】
上記のように構成されたケース構造の動作について、図6(a)及び図6(b)を参照して以下に説明する。
図6(a)に示すように、上部キャビネット25の天板部26に外力Fが作用すると、天板部26は第1実施形態と同様に、外力Fを側板部に向かって分散させつつ、下方に向かって撓んでいく。
【0038】
天板部26がさらに下方に向かって撓むと、上部キャビネット25の嵌合凸部29が、LCDフレーム22の嵌合凹部24に進入して嵌合するが、嵌合凸部29の高さの値は嵌合凹部24の深さの値より大きいため、図6(b)に示すように、嵌合凸部29の先端部28が嵌合凹部24の底面に接触しても、上部キャビネット25とLCDフレーム22との間の間隙は一定量確保される。
【0039】
嵌合凸部29には、第1実施形態と同様に側板部側に傾こうとする力fが作用するが、各嵌合凸部29の傾く方向の基部27に設けられた垂直面30Aと、当該垂直面に対向する各嵌合凹部24の側面24Aとが当接するため、嵌合凸部29の変位は確実に抑制される。
【0040】
また、嵌合凸部29は上部キャビネット25の幅方向にも垂直面を有し、嵌合凹部24もLCDフレーム22の幅方向に側面を有するので、嵌合凸部29に幅方向に傾こうとする力が作用した際にも、同様に嵌合凸部29の当該方向の垂直面と対向する嵌合凹部24の側面とが当接して、上部キャビネット25の面方向における相対移動が規制される。
【0041】
本実施形態のケース構造によれば、上部キャビネット25に外力が作用した際に、嵌合凸部29の垂直面と対向する嵌合凹部24の側面とが当接するので、嵌合凸部29と嵌合凹部24との接触面積が大きくなり、嵌合凸部29の面方向における相対移動をより確実に規制して、上部キャビネット25の変形を防ぎ、LCD2を保護することができる。
【0042】
また、上部キャビネット25の長手方向だけでなく、幅方向においても嵌合凸部29の変位が抑制されるので、より変形しにくく、内部に収容された機構の保護性能に優れたケース構造とすることができる。
【0043】
さらに、嵌合凸部29の先端部28がドーム状に形成されているので、嵌合凸部29と嵌合凹部24とが嵌合した際の接触面積を保ちつつ、上部キャビネット25の製造精度にある程度ばらつきが生じても、良好に嵌合凹部24に嵌合させることができる。従って、部材製造時の不良品発生頻度を低下させ、製造コストを抑えることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、いずれも嵌合凸部及び嵌合凹部が上部キャビネット及びLCDフレームの対向面全面に設けられている例を説明したが、嵌合凸部と嵌合凹部とが天板部に外力が作用した際に嵌合可能であれば、上部キャビネット及びLCDフレームの対向面の一部に設けられていてもよい。
【0045】
具体例を挙げると、撓みやすい天板部の中央部及びLCDフレームの中心部とその周辺にのみ嵌合凸部及び嵌合凹部が設けられてもよいし、嵌合凸部と嵌合凹部とが、天板部及びLCDフレームの四隅に設けられていてもよい。
【0046】
また、嵌合凸部及び嵌合凹部の形状と上部キャビネット及びLCDフレームとの組み合わせも上記実施形態には限定されず、両者が嵌合可能であれば、上部キャビネットに嵌合凹部が形成され、LCDフレームに嵌合凸部が形成されてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では表示部を有する電子辞書1の第1筐体3に設けた例を説明したが、携帯電話や、パソコン等の他の携帯電子機器又は電子機器に本発明のケース構造を適用することも可能である。
加えて、保護対象となる電子機器の内部機構も、上記実施形態で説明したLCDに限定されず、半導体装置を実装した各種基板や、精密部品を含む精密機構等、外力に対して破損しやすいあらゆる構造を保護するために本発明のケース構造を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態のケース構造を備えた電子辞書の斜視図、(b)は同電子辞書を折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】同実施形態のLCDフレームを示す斜視図である。
【図4】(a)から(c)は、それぞれ同実施形態の第1筐体に外力が加わった際の動作を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のLCDフレームを示す斜視図である。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれ同実施形態のケース構造に外力が加わった際の動作を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…電子辞書(携帯電子機器)、2…LCD(表示部)、3…第1筐体、4…操作キー(操作部)、5…第2筐体、6…ヒンジ、7、25…上部キャビネット(ケース表板部)、8、22…LCDフレーム(ケース基板部)、10、26…天板部(平板部)、14…第1リブ(嵌合凸部)、18…第2リブ、19、24…嵌合凹部、19A、24A…側面、29…嵌合凸部、30、30A…垂直面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のケース構造であって、
前記電子機器の外面を形成する平板部を有するケース表板部と、
前記ケース表板部と少なくとも同等以上の剛性を有し、前記ケース表板部の内側に前記ケース表板部と所定の空間を有して配置されたケース基板部と、
を備え、
前記ケース表板部と前記ケース基板部との対向面のいずれか一方には嵌合凸部が、他方には前記嵌合凸部と対をなす嵌合凹部がそれぞれ設けられ、
前記ケース表板部の外側から前記平板部に外力が作用したときに、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが嵌合し、前記嵌合凹部の少なくとも1つの側面が前記嵌合凸部と当接することによって、前記ケース表板部及び前記ケース基板部の面方向に沿った相対移動を規制するように構成されていることを特徴とする電子機器のケース構造。
【請求項2】
前記嵌合凸部及び前記嵌合凹部は、それぞれ前記対向面に対して垂直に設けられた垂直面を有し、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが嵌合するときに、前記嵌合凸部の垂直面と前記嵌合凹部の垂直面とが当接することを特徴とする請求項1に記載の電子機器のケース構造。
【請求項3】
前記嵌合凸部は、前記ケース基板部に向かって突出する複数の第1リブを有し、前記嵌合凹部は、前記ケース表板部に向かって突出する複数の第2リブを有し、隣接する前記第2リブの間に前記嵌合凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の電子機器のケース構造。
【請求項4】
前記ケース表板部及び前記ケース基板部はそれぞれ平面視長方形に形成されており、前記第1リブ及び第2リブが、前記ケース表板部及び前記ケース基板部の幅方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器のケース構造。
【請求項5】
前記嵌合凸部及び前記嵌合凹部は、前記対向面に格子状に配置されて構成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の電子機器のケース構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器のケース構造を備えることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項7】
表示部を収容する第1筐体と、
操作部を有する第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを折りたたみ可能に連結するヒンジと、
を有し、
前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方が、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器のケース構造を備えることを特徴とする携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−198050(P2008−198050A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34456(P2007−34456)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】