説明

電子機器のサイドキースィッチ

【課題】 本発明の課題は、部品点数が少なく作業性が良好であり、しかも、発生する静電気にも対応し得る電子機器のサイドキースィッチを提供することにある。
【解決手段】 本発明に関わる電子機器のサイドキースィッチは、利用者が押下するサイドキー1aに対応したスィッチング回路を有するサイドキー基板Sを備え、電子機器10の側部に配設される電子機器10のサイドキースィッチ1であって、サイドキー基板Sが組み付けられる被位置決め係合部7a、7bを有し、制御回路等が搭載されるメイン基板7と、メイン基板7の被位置決め係合部7a、7bと係合して組み付ける位置決め係合部S1、S2を有するサイドキー基板Sとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器のサイドキースィッチの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機100は、図6に示すように、制御部等が収容される本体102と、文字、画像等の各種情報を表示する液晶表示部105を有する蓋体103とを備えており、本体102と蓋体103とはヒンジ部104により開閉自在に連結されている。
【0003】
従来、本体102の側部に設けられるサイドキースィッチ101を構成するサイドキーユニット(図示せず)は、本体102内でケースにより受けていた。
【0004】
しかしながら、最近、サイドキー101aが、図6のサイドキースィッチのA−A線断面拡大概念図の図7に示すように、キーパッド101bと一体構成になってからは、サイドキー101aに対応したスィッチング回路が形成されるスィッチ基板101kに、サイドキー101aの押圧力を受ける板金プレート106が両面テープを介して固着されている。
【0005】
この板金プレート106は、本体102の外ケース102cにおけるバッテリーホルダ壁102c1と、携帯電話機100の制御部等が搭載されるメイン基板107のシールドケース108とに両面テープを介して固定されている。
【0006】
なお、シールドケース108は、その縦板108tがメイン基板表面107hに外側から半田付けされ固定されるため、メイン基板表面107h上の基板側端縁107eからシールドケース108の縦板108tに亘る領域107h1を半田をのせる領域としていることから、シールドケース108は、メイン基板表面107h上の基板側端縁107eから少し内側に入った位置に配設されることになる。
【0007】
そのため、シールドケース108の縦板108tとスィッチ基板101kとの間に空隙が生じることから、板金プレート106は、この空隙のスペーサとしての役割も果している。 なお、板金プレート106に代替して、別体の樹脂成形プレートを用いる場合もある。
【0008】
なお、出願人等が把握している従来技術は上述の構成であり、文献公知発明として掌握しているものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の構成においては、補強用およびスペーサとしての板金プレート106或いは樹脂成形プレート、および両面テープを用いる構造のため、部品点数が増加し新規金型等が必要である。 また、作業性が良好とは言い難く、コスト上昇を招来している。
【0010】
また、スィッチ基板101kが固定された板金プレート106を、シールドケース108等に両面テープを介して固着する構成のため、これらの部材が一体構造に固定されてしまい、構造上の柔軟性に欠けるという不都合がある。
【0011】
加えて、利用者がサイドキー101aを押圧した際に発生する静電気が、サイドキー101aを介して制御系に伝播され、悪影響を及ぼすという問題がある。
【0012】
すなわち、発生した静電気は、サイドキー101aと外ケース102cのキー穴の隙間から侵入し、スィッチ基板101kに落ちて、さらに、制御系に伝播され、悪影響を及ぼす。 この静電気対策として、従来の構造は、スィッチ基板101kに落ちた静電気を、板金プレート106を介して、シールドケース縦板108tに伝え、メイン基板107のグランドに落としている。
【0013】
しかし、従来の構造においては、静電気が、スィッチ基板101k、両面テープ、板金プレート106、両面テープ、シールドケース縦板108t、および半田を介して、メイン基板107のグランドに落ちるため、抵抗値が大きくなり、静電気を落としにくいという難点がある。
【0014】
本発明は上記実状に鑑み、部品点数が少なく作業性が良好であり、しかも、発生する静電気にも対応し得る電子機器のサイドキースィッチの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1に関わる電子機器のサイドキースィッチは、利用者が押下するサイドキーに対応したスィッチング回路を有するサイドキー基板を備え、電子機器の側部に配設される電子機器のサイドキースィッチであって、前記サイドキー基板が組み付けられる被位置決め係合部を有し、制御回路等が搭載されるメイン基板と、前記メイン基板の被位置決め係合部と係合して組み付ける位置決め係合部を有するサイドキー基板とを備えている。
【0016】
本発明の請求項2に関わる電子機器のサイドキースィッチは、請求項1に記載の電子機器のサイドキースィッチにおいて、前記サイドキー基板の外表面を覆う導電性の保護フィルムを前記メイン基板のグランドパターンに接続している。
【発明の効果】
【0017】
以上、詳述した如く、本発明の請求項1に関わる電子機器のサイドキースィッチによれば、メイン基板に被位置決め係合部を有し、サイドキー基板にメイン基板の被位置決め係合部と係合して組み付ける位置決め係合部を有するので、サイドキー基板を組み付けるに際して別部材を必要とせず、部品点数が削減するとともに作業性が向上する。
【0018】
また、サイドキー基板を直接、メイン基板に組み付けるので位置決め誤差の発生を可及的に防止できる。
【0019】
本発明の請求項2に関わる電子機器のサイドキースィッチによれば、サイドキー基板の外表面を覆う導電性の保護フィルムをメイン基板のグランドパターンに接続したので、サイドキーが押下された際に発生する静電気の制御系への悪影響を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
本発明の実施例である携帯電話機(電子機器)10(図6参照)は、図1に示すような本体2を備えている。 なお、図1(a)は、携帯電話機10の本体2のみを示した上面図であり、図1(b)は、右側面図である。
【0022】
この本体2の上面には、複数の操作キー3が配設され、その側部には図1(b)に示すサイドキースィッチ1が配設されている。
【0023】
このサイドキースィッチ1は、図1(b)のB−B線断面拡大概念図である図2に示すように、サイドキー1aが接着、融着等によりベースラバー1bに固着されており、ベースラバー1bにはサイドキー1aに対応する押し子1b1が突出して成形されている。
【0024】
サイドキー1aとベースラバー1bとから成るキーボードに隣接して、サイドキー1aの押下を検出するスィッチング回路が印刷されたフレキシブル基板4が配設されている。
【0025】
このフレキシブル基板4の表面には、押し子1b1に対向してクリックドーム4dが貼り付けられており、該クリックドーム4dとフレキシブル基板4の表面が導電性のペットシート等の保護フィルム4cにより覆われ保護されている。
【0026】
これらのフレキシブル基板4、クリックドーム4d、および保護フィルム4c等で一体のサイドキー基板Sを構成している。
【0027】
このサイドキー基板Sの上部には、図3(a)に示すように、制御回路等が搭載されたメイン基板7に当接して位置決めするための凹状位置決め係合部S1、凸状位置決め係合部S2が形成されている。
【0028】
一方、メイン基板7には、サイドキー基板Sの凹状位置決め係合部S1、凸状位置決め係合部S2にそれぞれ対応する凸状被位置決め係合部7a、凹状被位置決め係合部7bが形成されている。
【0029】
この構成により、サイドキー基板Sを、図3(a)の矢印αに示すように移動させて、サイドキー基板Sの凹状位置決め係合部S1、凸状位置決め係合部S2をそれぞれ、メイン基板7の凸状被位置決め係合部7a、凹状被位置決め係合部7bに互いに係合することで、図4および図4のE方向矢視図の図5に示すように、サイドキー基板Sをメイン基板7に位置決めして組み付けることができる。
【0030】
ここで、サイドキー1aは、図2、図5に示すように、その中心がメイン基板7と同じ高さに配設されている。
【0031】
このように、メイン基板7が、サイドキー1aの中心に延在して配置されることにより、サイドキー1aを押下した際の抵抗力が、メイン基板7が延在する強度が高い方向のメイン基板7端縁部からの反力として得られ、サイドキー1aのクリック感が良好になる効果がある。
【0032】
また、図3(a)に示すように、サイドキー基板Sの上端部の一方側には、メイン基板7と平行に折り返されて延在する接続配線部Saが形成されている。
【0033】
この接続配線部Saのフレキシブル基板4の表面には、図3(a)のC−C線断面拡大図の図3(b)に示すように、利用者がサイドキー1a(図2参照)を押下した際に発生する静電気を、メイン基板7に形成されるグランドパターン7gに流すための導電性の保護フィルム4cが延在して貼り付けられている。
【0034】
また、接続配線部Saに形成されるグランド接続部Sagは、図3(a)のD−D線断面拡大図の図3(c)に示すように、導電性の保護フィルム4cが、フレキシブル基板4の表裏面を廻り込んで覆い貼り付けられており、このグランド接続部Sagは、図4、図5に示すように、メイン基板7のグランドパターン7gに導電性の両面テープを介して接合されている。
【0035】
この構成により、利用者のサイドキー1aの押下により発生した静電気を、サイドキー基板Sの保護フィルム4cおよび両面テープを介してグランドパターン7gに流している。 この構成は、静電気をグランドパターン7gに落とすに際しての介在物が保護フィルム4c、両面テープと少なく抵抗値が低いため、静電気を落とし易いことから静電気による制御系への悪影響を効果的に防止できる。
【0036】
なお、接続配線部Saに形成される接続端子Satは、図3(a)、図4に示すように、メイン基板7に実装される接続端子コネクタ7kに挿入され、サイドキースィッチ1のオン・オフ信号の接続が行われている。
【0037】
上記構成によれば、サイドキー基板Sをメイン基板7の側部に直接、当接して組み付けることにより、組み付けのための板金プレート、両面テープ等の別部材が必要でなくなり、部品点数の削減が行えるとともに作業性の向上が図れる。 そのため、低コスト化が可能である。
【0038】
また、サイドキー基板Sの凹状位置決め係合部S1、凸状位置決め係合部S2をそれぞれ、メイン基板7の凸状被位置決め係合部7a、凹状被位置決め係合部7bに互いに係合してサイドキー基板Sをメイン基板7に組み付けることにより、サイドキー基板Sをメイン基板7が延在する水平方向および高さ方向の位置決めが容易に行える。
【0039】
また、サイドキー基板Sを直接、メイン基板7に当接して組み付けることにより、サイドキー基板Sのメイン基板7に対する位置決め誤差を可及的に低減できる。
【0040】
また、サイドキー基板Sにおけるグランド接続部Sagの保護フィルム4cを、両面テープを介してメイン基板7のグランドパターン7gに接合することにより、サイドキー基板Sのメイン基板7からの脱落を防止することができる。
【0041】
また、サイドキー1aを有するキーボードに接触する保護フィルム4cを、メイン基板7のグランドパターン7gに接続することにより、利用者がサイドキー1aを押下した際に発生する静電気を、該グランドパターン7gに抵抗が少なく流すことができるため、制御系への悪影響を未然に効果的に防止できる。
【0042】
なお、サイドキー基板Sの凹状位置決め係合部S1、凸状位置決め係合部S2、および、メイン基板7の凸状被位置決め係合部7a、凹状被位置決め係合部7bの凹凸を、それぞれ逆に形成してもよい。
【0043】
また、これらの位置決め係合部、被位置決め係合部の数は、適宜選択できるものである。
【0044】
また、本実施例では、位置決め係合部を凹凸状に形成した場合を例示したが、孔と該孔に係合する凸部とで形成してもよい。
【0045】
また、本実施例では、サイドキー1aの高さをメイン基板7の高さと揃えた場合を例示したが、必ずしも、サイドキー1aの高さをメイン基板7の高さと揃える必要はなく、設計条件により適宜、選択できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の活用例として、電子機器においてサイドキースィッチを有するものであれば特に限定されることなく、携帯電話機以外のPHS(Personal handy-hone System)等の通信機器、あるいはPDA(Personal Digital Assistant)等に有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a)および(b)は、本発明に関わる実施例の携帯電話機の本体を示す上面図、および右側面図。
【図2】図1(b)に示すサイドキースィッチのB−B線断面拡大概念図。
【図3】(a)、(b)、および(c)は、サイドキー基板をメイン基板に組み付ける過程を示す斜視図、(a)図のC−C線断面拡大図、および(a)図のD−D線断面拡大図。
【図4】サイドキー基板をメイン基板に組み付けた状態を示す斜視図。
【図5】図4のE方向矢視図。
【図6】携帯電話機を示す斜視図。
【図7】図6に示す従来の携帯電話機のサイドキースィッチのA−A線断面概念図。
【符号の説明】
【0048】
1…サイドキースィッチ、
1a…サイドキー、
7…メイン基板、
7a…凸状被位置決め係合部(被位置決め係合部)、
7b…凹状被位置決め係合部(被位置決め係合部)、
7g…グランドパターン、
10…携帯電話機(電子機器)、
4c…保護フィルム、
S…サイドキー基板、
S1…凹状位置決め係合部(位置決め係合部)、
S2…凸状位置決め係合部(位置決め係合部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が押下するサイドキーに対応したスィッチング回路を有するサイドキー基板を備え、電子機器の側部に配設される電子機器のサイドキースィッチであって、
前記サイドキー基板が組み付けられる被位置決め係合部を有し、制御回路等が搭載されるメイン基板と、
前記メイン基板の被位置決め係合部と係合して組み付ける位置決め係合部を有するサイドキー基板とを
備えることを特徴とする電子機器のサイドキースィッチ。
【請求項2】
前記サイドキー基板の外表面を覆う導電性の保護フィルムを前記メイン基板のグランドパターンに接続した
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器のサイドキースィッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−211581(P2006−211581A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24120(P2005−24120)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】