説明

電子機器及び電子機器収納キャビネット並びにこれらに用いられる冷却装置

【課題】 吸気ファンの通過風量を低下させることなく、塵埃が筐体の内部に侵入するのを防止することができる電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器2の冷却装置18は、筐体4の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファン22と、吸気ファン22の風上側を包囲するように設けられたフードカバー24と、を有している。フードカバー24には吸気開口部38が設けられ、フードカバー24の内部には、吸気ファン22の回転によって吸気開口部38から吸気ファン22に向けて流れる旋回流が形成されるように構成されている。冷却用外気が吸気開口部38を通してフードカバー24の内部に導入されると、吸気ファン22の回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部に収容された発熱部品を冷却用外気により冷却するための冷却機構を備えた電子機器及び電子機器を収納するための電子機器収納キャビネット並びにこれらに用いられる冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばDVDレコーダやオーディオプレーヤ、パーソナルコンピュータ等の電子機器は、筐体の内部に回路基板やドライブユニット等が収容されることにより構成されている。この回路基板やドライブユニット等には、例えば半導体デバイス等の発熱部品が実装されており、電子機器の通電時にはこの発熱部品が発熱するようになる。電子機器の性能を十分に発揮するためには発熱部品を冷却する必要があり、従来より、発熱部品を冷却するための種々の冷却機構が提案されている。
【0003】
図11は従来の電子機器を示す断面図であり、図示の電子機器100は、筐体102と、筐体102の内部の空気を外部に排出するための排気ファン104と、を備えている。筐体102の内部には複数の回路基板108が収容され、各回路基板108には発熱部品106が実装されている。また、筐体102には複数の吸気口110が設けられている。排気ファン104が作動すると、その回転によって筐体102の内部の空気が排気ファン104を通して外部に排出され、これにより筐体102の内部の圧力が低下するようになる。このように筐体102の内外の圧力差が生じることによって、冷却用外気が複数の吸気口110を通して筐体102の内部に導入され、この冷却用外気により筐体102内の発熱部品106が冷却される。
【0004】
しかしながら、このような冷却機構では、塵埃が冷却用外気とともに複数の吸気口110を通して筐体102の内部に侵入してしまう。また、排気ファン104の回転によって、排気ファン104の風上側の付近には旋回流が形成されるようになる。塵埃が排気ファン104の風上側の付近に到達すると、この旋回流によって遠心分離され、これにより塵埃の大部分は排気ファン104を通して外部に排出されることなく筐体102の内部に蓄積される。塵埃が筐体102内の回路基板108等に付着すると、回路基板108等の動作に悪影響を与えるおそれがある。また、塵埃が排気ファン104のブレードに大量に付着すると、排気ファン104の通過風量が低下するおそれがある。更に、塵埃が吸気口110及びその周囲に付着して吸気口110を塞ぐようになると、冷却用外気は、例えば筐体102の前面パネル(図示せず)と操作用ツマミ(図示せず)との間の隙間や、筐体102の背面パネル(図示せず)と端子部(図示せず)との間の隙間等を通して筐体102の内部に導入されるようになる。すると、塵埃が冷却用外気とともに上記隙間等を通して筐体102の内部に侵入し、時間の経過とともに塵埃が上記隙間等及びその周囲に付着して上記隙間等をも塞ぐようになる。これにより、筐体102の内部に冷却用外気を効率良く導入することができなくなり、電子機器100がオーバーヒートを起こすおそれがある。
【0005】
このように筐体内に塵埃が侵入するのを防止するために、例えば特許文献1に記載のような電子機器の冷却機構が提案されている。この電子機器は、筐体と、筐体の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファンと、吸気ファンの吸気側を覆うようにして設けられたフィルタと、を備えている。筐体には複数の排気口が設けられている。吸気ファンが作動すると、その回転によって冷却用外気が筐体の内部に送り込まれ、この冷却用外気により筐体内の発熱部品が冷却される。このとき、吸気ファンを通過する冷却用外気に含まれる塵埃はフィルタによって捕捉され、これにより筐体内に塵埃が侵入するのが防止される。また、筐体の内部に送り込まれた冷却用外気は、複数の排気口を通して外部に排出される。
【0006】
また、塵埃の多い環境で使用される電子機器を塵埃から保護するために、例えば特許文献2に記載のような電子機器収納キャビネットが提案されている。この電子機器収納キャビネットは、電子機器を収納するためのキャビネット本体と、キャビネット本体の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファンと、吸気ファンの吸気側を覆うようにして設けられたフィルタと、を備えている。キャビネット本体には複数の排気口が設けられている。上述した電子機器と同様に、吸気ファンの回転によって冷却用外気がキャビネット本体の内部に送り込まれ、この冷却用外気によりキャビネット本体内の電子機器が冷却される。吸気ファンを通過する冷却用外気に含まれる塵埃は、フィルタによって捕捉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−174596号公報
【特許文献2】特開2000−157344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に記載の電子機器の冷却機構及び特許文献2に記載の電子機器収納キャビネットでは、次のような問題がある。冷却用外気はフィルタを通過した後に吸気ファンを通過するので、フィルタが設けられていない場合に比べて吸気ファンの通過風量が低下してしまい、冷却用外気による筐体内の発熱部品(又は電子機器収納キャビネット内の電子機器)の冷却効率が低下するという問題がある。また、フィルタが目詰まりした場合には、吸気ファンの通過風量が更に大きく低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、吸気ファンの通過風量を低下させることなく、塵埃が筐体の内部に侵入するのを防止することができる電子機器を提供することである。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、吸気ファンの通過風量を低下させることなく、塵埃がキャビネット本体の内部に侵入するのを防止することができる電子機器収納キャビネットを提供することである。
【0011】
また、本発明の第3の目的は、吸気ファンの通過風量を低下させることなく、塵埃が電子機器の内部又は電子機器を収納するための電子機器収納キャビネットの内部に侵入するのを防止することができる冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載の電子機器では、筐体と、前記筐体の内部に収容された発熱部品と、前記筐体の内部に冷却用外気を送り込んで前記発熱部品を冷却するための冷却装置と、を備え、前記筐体には、その内部に送り込まれた冷却用外気を外部に排出するための排気口が設けられた電子機器であって、
前記冷却装置は、前記筐体の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファンと、前記吸気ファンの風上側を包囲するように設けられたフードカバーと、を有し、前記フードカバーには吸気開口部が設けられ、前記フードカバーの内部には、前記吸気ファンの回転によって前記吸気開口部から前記吸気ファンに向けて流れる旋回流が形成されるように構成されており、
冷却用外気が前記吸気開口部を通して前記フードカバーの内部に導入されると、前記吸気ファンの回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の電子機器では、前記吸気開口部は、前記吸気ファンの軸線方向に対して実質上垂直方向に開口され、前記フードカバーの前記吸気開口部の周囲には、冷却用外気を前記フードカバーの内部に導入するための補助吸気開口部及び/又は前記フードカバーの内部の空気を外部に排出するための補助排気開口部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の電子機器では、前記補助排気開口部には、前記補助排気開口部を通して外部に排出される塵埃を捕集するための塵埃捕集手段が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の電子機器では、前記フードカバーの前記補助排気開口部に対応する部位は、前記筐体の外部に配設されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に記載の電子機器では、前記フードカバーの前記吸気開口部には、前記吸気ファンに向けて且つ前記吸気ファンの軸方向に延びる筒状部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6に記載の電子機器では、前記吸気ファンの回転軸には、前記フードカバーの前記吸気開口部に向けて延びる旋回流形成補助突部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項7に記載の電子機器では、前記吸気ファンの回転軸には旋回流形成補助ブレードが設けられ、前記旋回流形成補助ブレードは、前記フードカバーの前記吸気開口部と前記吸気ファンとの間に回転自在に配設されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項8に記載の電子機器収納キャビネットでは、電子機器を収納するための電子機器収納キャビネットであって、
前記電子機器が収納されるキャビネット本体と、前記キャビネット本体の内部に冷却用外気を送り込んで前記電子機器を冷却するための冷却装置と、を備え、前記キャビネット本体には、その内部に送り込まれた冷却用外気を外部に排出するための排気口が設けられており、
前記冷却装置は、前記キャビネット本体の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファンと、前記吸気ファンの風上側を包囲するように設けられたフードカバーと、を有し、前記フードカバーには吸気開口部が設けられ、前記フードカバーの内部には、前記吸気ファンの回転によって前記吸気開口部から前記吸気ファンに向けて流れる旋回流が形成されるように構成されており、
冷却用外気が前記吸気開口部を通して前記フードカバーの内部に導入されると、前記吸気ファンの回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項9に記載の冷却装置では、電子機器又はこれを収納するための電子機器収納キャビネットの内部に冷却用外気を送り込むことにより、前記電子機器の内部に収容された発熱部品又は前記電子機器収納キャビネットの内部に収納された前記電子機器を冷却するための冷却装置であって、
吸気ファンと、前記吸気ファンの風上側を包囲するように設けられたフードカバーと、を備え、前記フードカバーには吸気開口部が設けられ、前記吸気ファンは、その回転によって前記吸気開口部から前記吸気ファンに向けて流れる旋回流を形成するように構成されており、
冷却用外気が前記吸気開口部を通して前記フードカバーの内部に導入されると、前記吸気ファンの回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に記載の電子機器によれば、吸気ファンの風上側を包囲するようにフードカバーが設けられているので、フードカバーの内部において、吸気ファンの回転によって吸気開口部から吸気ファンに向けて流れる旋回流を効果的に形成することができる。冷却用外気が吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入されると、塵埃は冷却用外気よりも重いため、冷却用外気に含まれる塵埃が旋回流によって径方向外方に遠心分離される。このように遠心分離された塵埃は、旋回流によってフードカバーの内周領域を所定方向に旋回するようになり、塵埃が吸気ファンを通して筐体の内部に侵入するのを防止することができる。また、吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入された冷却用外気は、従来のようにフィルタを通過することなく吸気ファンを通過するようになるので、吸気ファンの通過風量が低下するのを防止することができる。従って、発熱部品の冷却効率を高めることができ、且つ塵埃が筐体の内部に侵入するのを防止することができる電子機器を提供することができる。
【0022】
また、本発明の請求項2に記載の電子機器によれば、フードカバーの吸気開口部の周囲には補助吸気開口部が設けられているので、冷却用外気が補助吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入されることにより、フードカバーの内部において旋回流をより効率良く発生させることができる。また、フードカバーの吸気開口部の周囲には補助排気開口部が設けられているので、フードカバーの内部の空気が補助排気開口部を通して外部に排出されることにより、旋回流により遠心分離された塵埃を空気とともに補助排気開口部を通して外部に排出させることができる。
【0023】
また、本発明の請求項3に記載の電子機器によれば、補助排気開口部に塵埃捕集手段が設けられているので、補助排気開口部を通して外部に排出される塵埃を塵埃捕集手段によって捕集することができる。
【0024】
また、本発明の請求項4に記載の電子機器によれば、フードカバーの補助排気開口部に対応する部位は、筐体の外部に配設されているので、補助排気開口部を通して外部に排出された塵埃が筐体の内部に侵入することがない。
【0025】
また、本発明の請求項5に記載の電子機器によれば、フードカバーの吸気開口部には、吸気ファンに向けて且つ吸気ファンの軸方向に延びる筒状部が設けられているので、吸気開口部の近傍におけるフードカバーの内周領域にはく離流域を効率良く形成することができる。このはく離流域における圧力は、吸気ファンの風上側の付近における圧力よりも低くなり、この圧力差によって、遠心分離された塵埃がフードカバーの内周領域を吸気開口部側に向けて螺旋軌道を描きながら所定方向に旋回されるようになる。これにより、塵埃を補助排気開口部を通して外部に効率良く排出させることができる。
【0026】
また、本発明の請求項6に記載の電子機器によれば、吸気ファンの回転軸には、フードカバーの吸気開口部に向けて延びる旋回流形成補助突部が設けられているので、吸気ファンの風上側の付近では、旋回流は旋回流形成補助突部により径方向外側に押し広げられて旋回流形成補助突部の周囲に形成されるようになる。これにより、吸気ファンの風上側の付近において旋回流の回転方向の流速を高めることができ、塵埃を効率良く遠心分離させることができる。
【0027】
また、本発明の請求項7に記載の電子機器によれば、吸気ファンの回転軸には旋回流形成補助ブレードが設けられ、旋回流形成補助ブレードは、フードカバーの吸気開口部と吸気ファンとの間に回転自在に配設されている。旋回流形成補助ブレードが回転することによって、フードカバーの内周領域では、旋回流の回転方向の流速が高められるとともに、径方向外側に向けて流れる気流が生じるようになり、これにより塵埃を効率良く遠心分離させることができる。
【0028】
また、本発明の請求項8に記載の電子機器収納キャビネットによれば、吸気ファンの風上側を包囲するようにフードカバーが設けられているので、フードカバーの内部において、吸気ファンの回転によって吸気開口部から吸気ファンに向けて流れる旋回流を効果的に形成することができる。冷却用外気が吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入されると、塵埃は冷却用外気よりも重いため、冷却用外気に含まれる塵埃が旋回流によって径方向外方に遠心分離される。このように遠心分離された塵埃は、旋回流によってフードカバーの内周領域を所定方向に旋回するようになり、塵埃が吸気ファンを通してキャビネット本体の内部に侵入するのを防止することができる。また、吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入された冷却用外気は、従来のようにフィルタを通過することなく吸気ファンを通過するようになるので、吸気ファンの通過風量が低下するのを防止することができる。従って、キャビネット本体内の電子機器の冷却効率を高めることができ、且つ塵埃がキャビネット本体の内部に侵入するのを防止することができる電子機器収納キャビネットを提供することができる。
【0029】
また、本発明の請求項9に記載の冷却装置によれば、吸気ファンの風上側を包囲するようにフードカバーが設けられているので、フードカバーの内部において、吸気ファンの回転によって吸気開口部から吸気ファンに向けて流れる旋回流を効果的に形成することができる。冷却用外気が吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入されると、塵埃は冷却用外気よりも重いため、冷却用外気に含まれる塵埃が旋回流によって径方向外方に遠心分離される。このように遠心分離された塵埃は、旋回流によってフードカバーの内周領域を所定方向に旋回するようになり、塵埃が吸気ファンを通して電子機器の内部又は電子機器収納キャビネットの内部に侵入するのを防止することができる。また、吸気開口部を通してフードカバーの内部に導入された冷却用外気は、従来のようにフィルタを通過することなく吸気ファンを通過するようになるので、吸気ファンの通過風量が低下するのを防止することができる。従って、電子機器内の発熱部品又は電子機器収納キャビネット内の電子機器の冷却効率を高めることができ、且つ塵埃が電子機器の内部又は電子機器収納キャビネットの内部に侵入するのを防止することができる冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態による電子機器を示す断面図である。
【図2】図1の冷却装置を示す断面図である。
【図3】図1の冷却装置の分解斜視図である。
【図4】図2中のA−A線による冷却装置の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第2の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図であり、(b)は、(a)のフードカバーを示す正面図である。
【図6】(a)は、本発明の第3の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図であり、(b)は、(a)のフードカバーを示す正面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態による電子機器収納キャビネットを示す斜視図である。
【図10】図9の冷却装置を示す断面図である。
【図11】従来の電子機器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う電子機器及び電子機器収納キャビネット並びにこれらに用いられる冷却装置の各種実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1〜図4を参照して、第1の実施形態の電子機器及びこれに用いられる冷却装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による電子機器を示す断面図であり、図2は、図1の冷却装置を示す断面図であり、図3は、図1の冷却装置の分解斜視図であり、図4は、図2中のA−A線による冷却装置の断面図である。
【0032】
図1を参照して、本実施形態の電子機器2は、例えばDVDレコーダから構成され、ボックス状の筐体4を備えている。筐体4の内部には複数の回路基板6,8が収容され、各回路基板6,8にはそれぞれ、例えば半導体デバイス等の発熱部材10,12が実装されている。なお、筐体4の内部には、回路基板6,8の他にも種々の電子部品等(例えば、光ディスクに対する記録又は再生を行う光学系に使用される光ピックアップレンズ等)が収容されているが、図1では回路基板6,8のみを図示してある。筐体4の側壁部14aには吸気口16が設けられ、この吸気口16には、筐体4の内部に冷却用外気を送り込むための冷却装置18が取り付けられている。また、筐体4の各側壁部14a〜14dにはそれぞれ、筐体4の内部に送り込まれた冷却用外気を外部に排出するための排気口20a〜20dが設けられている。
【0033】
冷却装置18は、吸気ファン22と、吸気ファン22の風上側(即ち、吸気ファン22の前方周囲及びその前方の一部)を包囲するように設けられたフードカバー24と、を備えている(図2及び図3参照)。吸気ファン22は、軸流型ファンから構成されている。この吸気ファン22は、筐体4の吸気口16に装着されたハウジング26と、ハウジング26に回転自在に支持された羽根車28と、羽根車28を回転駆動するための駆動モータ30と、を有している。羽根車28は、回転軸32と、回転軸32より径方向外方に延びる複数のブレード34と、を有している。羽根車28の回転軸32には、砲弾形状の旋回流形成補助突部36が固定支持されている。旋回流形成補助突部36は、フードカバー24の吸気開口部38(後述する)に向けて、フードカバー24の軸方向中央部近傍まで延びている。また、旋回流形成補助突部36の直径は、羽根車28の回転軸32の直径とほぼ等しく構成されている。吸気ファン22の羽根車28が所定方向に回転すると、旋回流形成補助突部36は羽根車28と一体に回転されるようになる。
【0034】
フードカバー24は、吸気ファン22のハウジング26に着脱自在に装着されている。フードカバー24は砲弾形状に構成されており、その先端側は半球面形状に構成され、その基端側は円筒形状に構成されている。フードカバー24の基端側によって吸気ファン22の前方周囲が包囲され、その先端側によって吸気ファン22の前方の一部が包囲されている。フードカバー24の先端部には、円形状の吸気開口部38が設けられている。この吸気開口部38は、吸気ファン22の軸線方向(即ち、羽根車28の回転軸線方向)に対して実質上垂直方向に開口され、その中心は、吸気ファン22の軸線の延長線上(又はその近傍)に配置されている。また、フードカバー24の吸気開口部38の周囲には、一対の補助開口部40a,40b(補助吸気開口部及び補助排気開口部を構成する)が設けられている。これら補助開口部40a,40bはそれぞれ略矩形状に構成され、吸気開口部38を挟んで上下に略対称に配置されている。下側の補助開口部40bには、塵埃捕集用フィルタ42(塵埃捕集手段を構成する)が設けられている。フードカバー24の補助開口部40a,40bに対応する部位は、筐体4の外部に配設されている。なお、吸気開口部38の開口面積は、フードカバー24の基端側における横断面積よりも小さく構成されている。また、本実施形態では、補助開口部40a,40bをそれぞれ略矩形状に構成したが、例えば円形状や楕円形状、長円形状等に構成してもよく、適宜の形状に構成することができる。
【0035】
なお、補助開口部40a,40bは、吸気開口部38の近傍の部位に配置されている場合には、冷却用外気をフードカバー24の内部に導入する補助吸気開口部を構成し、また吸気開口部38から大きく離隔した部位に配置されている場合には、フードカバー24の内部の空気を外部に排出する補助排気開口部を構成するようになる。また、本実施形態のように、補助開口部40a,40bが上記2つの部位の中間部に配置されている場合には、補助開口部40a,40bは補助吸気開口部及び補助排気開口部の双方を構成するようになる。
【0036】
次に、本実施形態の電子機器2における冷却用外気の流れについて説明する。吸気ファン22が作動して羽根車28が所定方向に回転すると、冷却用外気が吸気開口部38及び補助開口部40a,40bを通してフードカバー24の内部に導入される。このとき、羽根車28の回転によって、フードカバー24の内部には吸気開口部38から羽根車28に向けて流れる旋回流が形成される(図2及び図4参照)。この旋回流によって、吸気開口部38より導入された冷却用外気は、所定方向に螺旋状に回転しながら吸気開口部38から羽根車28に向けて流れるようになる。このとき、羽根車28の風上側の付近では、旋回流は、旋回流形成補助突部36により径方向外側に押し広げられて旋回流形成補助突部36の周囲に形成されるようになる。また、上述のように、吸気開口部38の開口面積はフードカバー24の基端側における横断面積よりも小さく構成されているので、吸気開口部38の近傍におけるフードカバー24の内周領域には、はく離流域44が形成される。
【0037】
外部の塵埃(図1、図2及び図4において×印で示す)が冷却用外気とともに吸気開口部38よりフードカバー24の内部に侵入すると、この塵埃は、旋回流によって螺旋軌道を描きながら吸気開口部38から羽根車28に向けて流れるようになる。このように流れる間に、塵埃は旋回流によって径方向外方に遠心分離される。上述のように、旋回流形成補助突部36により旋回流が径方向外側に押し広げられることによって、羽根車28の風上側の付近において旋回流の回転方向の流速が高められる。これにより、羽根車28の風上側の付近における圧力は、はく離流域44における圧力よりも大きくなる。このように圧力差が生じることによって、上述のように遠心分離された塵埃は、所定方向に螺旋軌道を描きながらフードカバー24の内周領域を補助開口部40a,40bに向けて流れるようになる。そして、この塵埃はフードカバー24の内周領域で所定方向に旋回され、その一部は、フードカバー24の一対の補助開口部40a,40bを通して外部に排出される。フードカバー24の下側の補助開口部40bを通して排出された塵埃は、塵埃捕集用フィルタ42によって捕集される。
【0038】
なお、遠心分離された塵埃の一部がフードカバー24の内部に残った場合であっても、この塵埃はフードカバー24の内周領域で所定方向に旋回されるようになるので、吸気ファン22の通過風量に影響を与えることがない。吸気ファン22の作動を停止すると、遠心分離された塵埃がフードカバー24の内部に溜まるようになるが、フードカバー24を吸気ファン22のハウジング26から取り外すことにより、この塵埃を除去することができる。フードカバー24の内部に溜まった塵埃を外部から確認できるように、フードカバー24を例えばポリカーボネート等の透明材料から形成するようにしてもよい。
【0039】
上述のようにして塵埃の除去された清浄な冷却用外気は、吸気ファン22を通して筐体4の内部に送り込まれ、回路基板6,8の発熱部品10,12を冷却しながら筐体4の内部を流れるようになる。これにより筐体4の内部の圧力が上昇し、筐体4の内外の圧力差が生じることによって、筐体4内の冷却用外気は、複数の排気口20a〜20dを通して外部に排出される(図1参照)。このようにして塵埃が筐体4の内部に侵入するのが防止され、これにより例えば、塵埃が筐体4内の回路基板6,8に付着して回路基板6,8が誤動作するのを防止することができ、また、塵埃が筐体4内の光ピックアップレンズ(図示せず)に付着して光ディスクに対する記録又は再生に動作不良が生じるのを防止することができる。
【0040】
なお、フードカバー24の内部に旋回流を効率良く発生させるためには、フードカバー24によって吸気ファン22の風上側、即ち、少なくとも吸気ファン22の前方周囲を包囲するように構成することが好ましい。また、冷却用外気が筐体4の内部を効率良く流れるためには、吸気開口部38の開口面積と一対の補助開口部40a,40bの開口面積との総和が、吸気ファン22の開口面積に実質上等しく、また複数の排気口20a〜20dの開口面積の総和に実質上等しくなるようにすることが好ましい。
【0041】
また、筐体4の内部において特に冷却効果を高めたい箇所がある場合には、その箇所に対応する筐体4の部位に排気ファン(図示せず)を設けるようにしてもよい。かかる場合には、吸気ファン22を通して筐体4の内部に導入された冷却用外気は、複数の排気口20a〜20dを通して筐体4の外部に排出されるとともに、排気ファンを通して筐体4の外部に排出されるようになる。このとき、排気ファンの通過風量は、吸気ファン22及び排気ファンが作動している状態において、筐体4の内部が正圧となる(即ち、筐体4の内部の圧力が外部の圧力よりも高い状態となる)ような大きさに設定することが好ましい。
[第2の実施形態]
次に、図5を参照して、第2の実施形態の電子機器及びこれに用いられる冷却装置について説明する。図5(a)は、本発明の第2の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図であり、図5(b)は、図5(a)のフードカバーを示す正面図である。なお、以下に示す各実施形態において、上記第1の実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態の電子機器2Aの冷却装置18Aでは、フードカバー24Aの吸気開口部38Aには、断面円形状の筒状部46が設けられている。この筒状部46は、吸気ファン22の羽根車28に向けて且つ吸気ファン22の軸線方向に延びている。このように筒状部46を設けることにより、吸気開口部38Aの近傍におけるフードカバー24Aの内周領域にはく離流域44を効率良く形成することができる。また、フードカバー24Aの基端部側の内周面には、径方向内側に向けて突出する整流用リング48が設けられている。この整流用リング48の開口面積は、旋回流の形状に対応して、吸気開口部38A側から羽根車28側に向けて漸増するように構成されている。整流用リング48の一端部(吸気開口部38A側の端部)における内周縁は、角アールに構成されている。また、フードカバー24Aの吸気開口部38Aの周囲には、円形状に構成された複数(本実施形態では4つ)の補助開口部40Aが周方向に間隔を置いて設けられている(図5(b)参照)。なお、補助開口部40Aには、上記第1の実施形態の塵埃捕集用フィルタは設けられていない。
【0043】
上記第1の実施形態と同様に、吸気ファン22が作動して羽根車28が所定方向に回転すると、冷却用外気が吸気開口部38A及び複数の補助開口部40Aを通してフードカバー24Aの内部に導入される。このとき、羽根車28の回転によって、フードカバー24Aの内部には、吸気開口部38Aから羽根車28に向けて流れる旋回流が形成される。外部の塵埃が冷却用外気とともに吸気開口部38Aよりフードカバー24Aの内部に侵入すると、この塵埃は、旋回流によって螺旋軌道を描きながら吸気開口部38Aから羽根車28に向けて流れるようになる。旋回流によって遠心分離された塵埃は、整流用リング48の一端部で吸気開口部38A側に跳ね返される。このように跳ね返された塵埃は、フードカバー24Aの内周領域に形成されたはく離流域44のはく離流によって、螺旋軌道を描きながらフードカバー24Aの内周領域を補助開口部40Aに向けて流れるようになる。そして、この塵埃はフードカバー24Aの内周領域で所定方向に旋回され、その一部は、フードカバー24Aの複数の補助開口部40Aを通して外部に排出される。
[第3の実施形態]
次に、図6を参照して、第3の実施形態の電子機器及びこれに用いられる冷却装置について説明する。図6(a)は、本発明の第3の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図であり、図6(b)は、図6(a)のフードカバーを示す正面図である。
【0044】
本実施形態の電子機器2Bの冷却装置18Bでは、フードカバー24Bの軸方向の長さが、上記第1及び第2の実施形態よりも短く構成されている。これに対応して、旋回流形成補助突部36Bの軸方向長さは、上記第1及び第2の実施形態よりも短く構成されている。このように構成することにより、筐体4の側壁部14aからのフードカバー24Bの突出量を小さく抑えることができ、電子機器2Bの省スペース化を図ることができる。また、吸気開口部38Bの周囲には、円形状に構成された複数(本実施形態では8つ)の補助開口部40Bが周方向に間隔を置いて設けられている(図6(b)参照)。従って、本実施形態においても、上記第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が達成される。
[第4の実施形態]
次に、図7を参照して、第4の実施形態の電子機器及びこれに用いられる冷却装置について説明する。図7は、本発明の第4の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図である。
【0045】
本実施形態の電子機器2Cの冷却装置18Cでは、フードカバー24Cは、断面円形状のキャップ状に構成され、その一端部には吸気開口部38Cが設けられている。フードカバー24Cの吸気開口部38Cの周囲には、円形状に構成された複数の補助開口部40Cが設けられている。また、吸気ファン22Cは遠心型ファン(所謂、シロッコファン)から構成されている。この吸気ファン22Cは、筐体4の吸気口16に装着されたハウジング26Cと、ハウジング26Cに回転自在に支持された羽根車28Cと、羽根車28Cを回転駆動するための駆動モータ(図示せず)と、を有している。羽根車28Cは、回転軸32Cと、回転軸32Cの外側において周方向に間隔を置いて設けられた複数のブレード34Cと、を有している。羽根車28Cの回転軸32Cには支持軸50を介して旋回流形成補助ブレード52が固定支持されており、この旋回流形成補助ブレード52は、フードカバー24Cの吸気開口部38Cと羽根車28Cとの間に配設されている。旋回流形成補助ブレード52は1枚の矩形状のプレートから構成されている。旋回流形成補助ブレード52の長さ方向は、支持軸50を中心として径方向外側(即ち、吸気ファン22Cの軸方向に対して実質上垂直方向)に略対称に延び、またその幅方向は、吸気ファン22Cの軸方向に対して実質上平行に延びている。旋回流形成補助ブレード52の中央部には矩形状の開口部54が設けられ、これにより旋回流形成補助ブレード52は全体としてロの字形状に構成されている。このように構成することにより、旋回流形成補助ブレード52の通過風量が吸気ファン22Cの羽根車28Cの通過風量に与える影響を小さく抑えることができる。吸気ファン22Cの羽根車28Cが所定方向に回転すると、旋回流形成補助ブレード52は羽根車28Cと一体に回転されるようになる。
【0046】
吸気ファン22Cが作動して羽根車28Cが所定方向に回転すると、冷却用外気が吸気開口部38C及び複数の補助開口部40Cを通してフードカバー24Cの内部に導入される。このとき、羽根車28Cの回転及び旋回流形成補助ブレード52の回転によって、フードカバー24Cの内部には、吸気開口部38Cから羽根車28Cに向けて流れる旋回流が形成される。このとき、旋回流形成補助ブレード52の回転によって、フードカバー24Cの内周領域では、旋回流の回転方向の流速が高められるとともに、径方向外側に向けて流れる気流が生じるようになる。外部の塵埃が冷却用外気とともに吸気開口部38Cよりフードカバー24Cの内部に侵入すると、この塵埃は、旋回流によって螺旋軌道を描きながら吸気開口部38Cから羽根車28Cに向けて流れるようになる。このように流れる間に、塵埃は、旋回流及び上述した径方向外側に向けて流れる気流によって径方向外方に遠心分離され、更に、フードカバー24Cの内周領域に形成されたはく離流域44Cによって、螺旋軌道を描きながらフードカバー24Cの内周領域を補助開口部40Cに向けて流れるようになる。そして、この塵埃はフードカバー24Cの内周領域で所定方向に旋回され、その一部は、フードカバー24Cの複数の補助開口部40Cを通して外部に排出される。
【0047】
なお、本実施形態では、旋回流形成補助ブレード52をロの字形状に構成したが、例えばコの字形状に構成してもよく、適宜の形状に構成することができる。また、旋回流形成補助ブレード52は、例えば複数枚の矩形状のプレートを組み合わせることにより構成してもよい。
[第5の実施形態]
次に、図8を参照して、第5の実施形態の電子機器及びこれに用いられる冷却装置について説明する。図8は、本発明の第5の実施形態による電子機器の冷却装置を示す断面図である。
【0048】
本実施形態の電子機器2Dの冷却装置18Dでは、フードカバー24Dは、断面円形状のキャップ状に構成され、その先端部には吸気開口部38Dが設けられている。フードカバー24Dの吸気開口部38Dの周囲には、円形状に構成された複数の補助開口部40Dが設けられている。また、吸気ファン22Dは軸流型ファンから構成されている。羽根車28Dの回転軸32Dには支持軸50Dを介して旋回流形成補助ブレード52Dが固定支持されており、この旋回流形成補助ブレード52Dは、フードカバー24Dの吸気開口部38Dと羽根車28Dとの間に配設されている。旋回流形成補助ブレード52Dは1枚のプレートから構成され、その形状は、支持軸50Dから径方向外側に向けて幅が漸減するように(所謂、山形状に)形成されている。旋回流形成補助ブレード52Dの長さ方向は、支持軸50Dを中心として径方向外側(即ち、吸気ファン22Dの軸方向に対して実質上垂直方向)に略対称に延び、またその幅方向は、吸気ファン22Dの軸方向に対して実質上平行に延びている。
【0049】
本実施形態においても、上記第4の実施形態と同様に、旋回流形成補助ブレード52Dの回転によって、フードカバー24Dの内周領域では、旋回流の回転方向の流速が高められるとともに、径方向外側に向けて流れる気流が生じるようになる。
[第6の実施形態]
次に、図9及び図10を参照して、第6の実施形態の電子機器収納キャビネット及びこれに用いられる冷却装置について説明する。図9は、本発明の第6の実施形態による電子機器収納キャビネットを示す斜視図であり、図10は、図9の冷却装置を示す断面図である。
【0050】
本実施形態の電子機器収納キャビネット112は、ボックス状のキャビネット本体114を備えている。キャビネット本体114の内部には例えばサーバ116(電子機器を構成する)が収納されており、これにより塵埃の多い環境で使用されるサーバ116が塵埃から保護される。このキャビネット本体114の前面には開口部118が設けられ、この開口部118には扉部材120が開閉自在に取り付けられている。扉部材120には、キャビネット本体114の内部が外部から見えるように透明のガラス窓121が設けられている。この扉部材120を開閉することによって、キャビネット本体114の内部に対してサーバ116を出し入れすることができる。キャビネット本体114の側壁部122には吸気口124が設けられ、この吸気口124には、キャビネット本体114の内部に冷却用外気を送り込むための冷却装置18Eが取り付けられている。また、キャビネット本体114の側壁部122には、キャビネット本体114の内部に送り込まれた冷却用外気を外部に排出するための排気口126が複数設けられている。
【0051】
冷却装置18Eのフードカバー24Dは、上記第5の実施形態とほぼ同様に構成されている。羽根車28Eの回転軸32Eには、砲弾形状の旋回流形成補助突部36Eが固定支持されている。更にこの旋回流形成補助突部36Eの外周部には、径方向外側に略対称に延びる一対の旋回流形成補助ブレード52Eが取り付けられている。各旋回流形成補助ブレード52Eは、L字形状のプレート状に構成されている。吸気ファン22Eの羽根車28Eが所定方向に回転すると、旋回流形成補助突部36E及び一対の旋回流形成補助ブレード52Eはそれぞれ羽根車28Eと一体に回転されるようになる。
【0052】
本実施形態の冷却装置18Eでは、上記各実施形態と同様に、外部の塵埃が冷却用外気とともに吸気開口部38Dよりフードカバー24Dの内部に侵入すると、この塵埃は、旋回流によって螺旋軌道を描きながら吸気開口部38Dから羽根車28Eに向けて流れるようになる。このように流れる間に、塵埃は旋回流によって径方向外方に遠心分離される。また、旋回流形成補助突部36Eにより旋回流が径方向外側に押し広げられることによって、羽根車28の風上側の付近において旋回流の回転方向の流速が高められる。更に、一対の旋回流形成補助ブレード52Eの回転によって、フードカバー24Dの内周領域では、旋回流の回転方向の流速が高められるとともに、径方向外側に向けて流れる気流が生じるようになる。このように、旋回流形成補助突部36Eに一対の旋回流形成補助ブレード52Eを取り付けることによって、塵埃をより効果的に遠心分離させることができる。
【0053】
上述のように遠心分離により塵埃の除去された清浄な冷却用外気は、吸気ファン22Eを通してキャビネット本体114の内部に送り込まれ、サーバ116を冷却しながらキャビネット本体114の内部を流れるようになる。これによりキャビネット本体114の内部の圧力が上昇し、キャビネット本体114の内外の圧力差が生じることによって、キャビネット本体114内の冷却用外気は、複数の排気口126を通して外部に排出される。
【0054】
なお、キャビネット本体114の内部に収納される電子機器は、サーバ116の他に、例えばパーソナルコンピュータやモニタ、ルータ、HUB等の種々の電子機器から構成することができる。
【0055】
以上、本発明に従う電子機器及び電子機器収納キャビネット並びにこれらに用いられる冷却装置の各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0056】
上記第1〜第3の実施形態では、羽根車28の回転軸32に旋回流形成補助突部36を設けるように構成したが、この旋回流形成補助突部36は省略してもよい。かかる場合であっても、フードカバー24(24A)(24B)の内部には、吸気ファン22の回転によって旋回流が形成されるようになる。
【0057】
また、上記各実施形態では、電子機器2(2A〜2D)をDVDレコーダから構成したが、例えばオーディオプレーヤやパーソナルコンピュータ、エアコン、ファンヒータ、テレビ等の種々の電子機器から構成することができる。
【0058】
また、上記各実施形態では、フードカバー24(24A〜24D)を吸気ファン22(22C)(22D)(22E)のハウジング26(26C)に着脱自在に装着するように構成したが、フードカバー24(24A〜24D)と吸気ファン22(22C)(22D)(22E)のハウジング26(26C)とを一体的に構成してもよい。
【0059】
また、上記各実施形態では、冷却装置18(18A〜18E)を横向きに配置するように構成したが、縦向きに配置するように構成してもよい。また、上記各実施形態では、1台の電子機器2(2A〜2D)及び電子機器収納キャビネット112に付き1つの冷却装置18(18A〜18E)を設けるように構成したが、複数の冷却装置18(18A〜18E)を設けるように構成してもよい。
【0060】
また、電子機器の筐体内(又は電子機器収納キャビネットのキャビネット本体内)の温度は、電子機器(又は電子機器収納キャビネット)の周囲環境温度の影響を受け易く、夏季では高くなり、冬季では低くなる傾向にある。そのため、電子機器(又は電子機器収納キャビネット)の周囲環境温度を検知するための温度検知センサと、温度検知センサによる検知温度に基づいて吸気ファンの回転数を制御する回転数制御手段と、を設けるようにしてもよい。この回転数制御手段によって、夏季では吸気ファンの回転数を高めに設定し、冬季では吸気ファンの回転数を低めに設定することができ、これにより吸気ファンの回転数を効率良く設定して省電力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0061】
2,2A〜2D,100 電子機器
4,102 筐体
10,12,106 発熱部品
18,18A〜18E 冷却装置
20a,20b,20c,20d,126 排気口
22,22C,22D,22E 吸気ファン
24,24A〜24D フードカバー
32,32C,32D,32E 回転軸
36,36B 旋回流形成補助突部
38,38A〜38D 吸気開口部
40a,40b,40A〜40D 補助開口部
42 塵埃捕集用フィルタ
46,46B 筒状部
52,52D 旋回流形成補助ブレード
112 電子機器収納キャビネット
114 キャビネット本体
116 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の内部に収容された発熱部品と、前記筐体の内部に冷却用外気を送り込んで前記発熱部品を冷却するための冷却装置と、を備え、前記筐体には、その内部に送り込まれた冷却用外気を外部に排出するための排気口が設けられた電子機器であって、
前記冷却装置は、前記筐体の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファンと、前記吸気ファンの風上側を包囲するように設けられたフードカバーと、を有し、前記フードカバーには吸気開口部が設けられ、前記フードカバーの内部には、前記吸気ファンの回転によって前記吸気開口部から前記吸気ファンに向けて流れる旋回流が形成されるように構成されており、
冷却用外気が前記吸気開口部を通して前記フードカバーの内部に導入されると、前記吸気ファンの回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記吸気開口部は、前記吸気ファンの軸線方向に対して実質上垂直方向に開口され、前記フードカバーの前記吸気開口部の周囲には、冷却用外気を前記フードカバーの内部に導入するための補助吸気開口部及び/又は前記フードカバーの内部の空気を外部に排出するための補助排気開口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記補助排気開口部には、前記補助排気開口部を通して外部に排出される塵埃を捕集するための塵埃捕集手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記フードカバーの前記補助排気開口部に対応する部位は、前記筐体の外部に配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記フードカバーの前記吸気開口部には、前記吸気ファンに向けて且つ前記吸気ファンの軸方向に延びる筒状部が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記吸気ファンの回転軸には、前記フードカバーの前記吸気開口部に向けて延びる旋回流形成補助突部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記吸気ファンの回転軸には旋回流形成補助ブレードが設けられ、前記旋回流形成補助ブレードは、前記フードカバーの前記吸気開口部と前記吸気ファンとの間に回転自在に配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
電子機器を収納するための電子機器収納キャビネットであって、
前記電子機器が収納されるキャビネット本体と、前記キャビネット本体の内部に冷却用外気を送り込んで前記電子機器を冷却するための冷却装置と、を備え、前記キャビネット本体には、その内部に送り込まれた冷却用外気を外部に排出するための排気口が設けられており、
前記冷却装置は、前記キャビネット本体の内部に冷却用外気を送り込むための吸気ファンと、前記吸気ファンの風上側を包囲するように設けられたフードカバーと、を有し、前記フードカバーには吸気開口部が設けられ、前記フードカバーの内部には、前記吸気ファンの回転によって前記吸気開口部から前記吸気ファンに向けて流れる旋回流が形成されるように構成されており、
冷却用外気が前記吸気開口部を通して前記フードカバーの内部に導入されると、前記吸気ファンの回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離されることを特徴とする電子機器収納キャビネット。
【請求項9】
電子機器又はこれを収納するための電子機器収納キャビネットの内部に冷却用外気を送り込むことにより、前記電子機器の内部に収容された発熱部品又は前記電子機器収納キャビネットの内部に収納された前記電子機器を冷却するための冷却装置であって、
吸気ファンと、前記吸気ファンの風上側を包囲するように設けられたフードカバーと、を備え、前記フードカバーには吸気開口部が設けられ、前記吸気ファンは、その回転によって前記吸気開口部から前記吸気ファンに向けて流れる旋回流を形成するように構成されており、
冷却用外気が前記吸気開口部を通して前記フードカバーの内部に導入されると、前記吸気ファンの回転により形成された旋回流によって、冷却用外気に含まれる塵埃が径方向外方に遠心分離されることを特徴とする冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−119670(P2011−119670A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239321(P2010−239321)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【特許番号】特許第4688971号(P4688971)
【特許公報発行日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(304040843)
【Fターム(参考)】