説明

電子機器

【課題】コネクタカバーの操作性を向上することができる電子機器を提供する。
【解決手段】デジタルカメラにおいて、1は外部機器と通信を行う際にケーブル等の外部接続端子を接続するコネクタであり、2はコネクタ1の開口部1aを保護するコネクタカバーであり、4はデジタルカメラに関してコネクタカバー2を進退可能にガイドするガイド部材である。4bは、ガイド部材4内部に略水平方向に形成され、後述する軸部材2a及び腕部2cが挿入されるガイド溝であり、4aはコネクタカバー2と係合することによりコネクタカバー2の回動を規制する回動規制面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置等の電子機器に関し、特に、外部接続端子を接続するためのコネクタを保護するコネクタカバーを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器においては、他の電子機器との通信を行うために、外部接続端子と接続されるコネクタが電子機器本体に内蔵されている。そして、電子機器本体には、前記外部接続端子が接続されるコネクタの入り口を露出するための開口部が設けられている。また、コネクタの不使用時に前記コネクタの保護、防塵などを図るために、前記開口部を封鎖するコネクタカバーが装備される。
【0003】
外部接続端子をコネクタに接続する際には、コネクタカバーと一体的に成形された弾性部材を弾性変形させて、外部接続端子のコネクタの入り口を露出させる。しかし、コネクタカバーは、弾性変形に伴って弾性復帰力を発揮するので、外部接続端子をコネクタに接続するためには、コネクタカバーを弾性復帰力に対抗して、弾性変形させた状態に保持する必要があり、使用者の一方の手が塞がれることになる。したがって、コネクタを外部接続端子に接続する作業が困難になり、電子機器本体を確実に保持しながら作業を行わなければ、電子機器本体を誤って落下させてしまう恐れがある。また、外部接続端子を装着させた状態では、コネクタカバーに常に負荷が掛かっていることになる。したがって、外部接続端子が長時間コネクタに装着される場合は、コネクタカバーが破損する危険性がある。
【0004】
また、コネクタカバーに回転軸を設け、軸方向にコネクタカバーを引き出すことを第一動作とし、その後コネクタカバーをその軸を中心として回動させることを第二動作として、外部接続端子のコネクタの入り口を露出させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−242865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法では、外部接続端子を接続するために、コネクタカバーの引き出し及び回動という2段階の動作を行う必要があり、その操作が煩わしいという問題がある。特に、コネクタカバーを回動させる動作が煩わしく感じられることがあり、コネクタカバーを容易に回動することができない場合に、誤って電子機器本体を落下させて本体を破損させてしまう可能性がある。さらに、外部接続端子を外してコネクタカバーを開口部に収納する場合、コネクタカバーは、開口部に収容される位置から所定角度回動した位置にあるため、使用者がコネクタカバーを所定角度回動して元の位置に戻す必要があるため、その作業が煩雑である。さらに、電子機器本体を確実に保持しながら作業を行わなければ、電子機器本体を誤って落下させてしまう恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、コネクタカバーの操作性を向上することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、外部接続端子を接続するコネクタを有する電子機器において、前記コネクタの開口部を保護するコネクタカバーと、前記電子機器に関して前記コネクタカバーを進退可能にガイドするガイド部材を備え、前記ガイド部材は、前記コネクタカバーと係合することにより前記コネクタカバーの回動を規制する回動規制面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器に関してコネクタカバーを進退可能にガイドするガイド部材を備え、ガイド部材は、コネクタカバーと係合することによりコネクタカバーの回動を規制する回動規制面を有する。コネクタカバーが引き出されることにより、回動規制面との係合によってコネクタカバーが回動し、電子機器本体のコネクタの開口部を露出することが可能となる。すなわち、コネクタカバーを引き出してさらに回転させるという余計な手間をかけることなく、容易に外部接続端子を装着することができ、もってコネクタカバーの操作性を向上することができる。また、コネクタカバーが引き出されるだけでコネクタの開口部が露出するため、外部接続端子がコネクタに装着されている状態では、前記コネクタカバーに余計な負荷が掛からず、コネクタカバーが破損することを防止することができる。さらに、回動規制面は、コネクタカバーと係合することによりコネクタカバーの回動を規制するので、コネクタカバーを収納位置に戻す際にはコネクタカバーを電子機器本体に押し込むだけで、コネクタカバーは回動規制面に沿って回動し、収納位置に収納される。したがって、余計な手間がかからず、誤って電子機器を落下させる可能性も低くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器としてのデジタルカメラの構成を示す外観図である。
【0011】
図1において、21は、被写体を確認したり、写真の構図を確認するためのファインダであり、22は、ライブ画像表示用、または撮影画像確認用の画像表示LCD部であり、23はポップアップ式のストロボ部である。24は、撮影モードや再生モード等の切り替えを行うモードダイヤル部であり、25は、撮影準備、及び撮影開始を指示するためのレリーズ部であり、26は本体グリップ部であり、2は後述するコネクタを保護するコネクタカバーである。
【0012】
図2は、図1におけるコネクタカバー2近傍の断面図である。
【0013】
図2において、1は外部機器と通信を行う際にケーブル等の外部接続端子を接続するコネクタであり、2はコネクタ1の開口部1aを保護するコネクタカバーであり、4はデジタルカメラに関してコネクタカバー2を進退可能にガイドするガイド部材であり、また、6はコネクタカバー2が引き出される最終位置を規定する本体カバーである。6aは、本体カバー6に形成されコネクタ1の開口部1aが嵌め込まれる孔であり、6bは、本体カバー6に形成され後述するコネクタカバー2の軸部材2aが挿通される孔である。尚、図2中の矢印Aは、コネクタカバー2が引き出される方向を示す。
【0014】
図3は、図2におけるガイド部材4の構成を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)における矢印B方向から見た側面図である。
【0015】
図3(a)及び(b)において、4bは、ガイド部材4内部に略水平方向に形成され、後述する軸部材2a及び腕部2cが挿入されるガイド溝(溝部)であり、4aはコネクタカバー2と係合することによりコネクタカバー2の回動を規制する回動規制面である。回動規制面4aは、ガイド溝4bの内周面に設けられ軸部材2aの軸に関して互いに対称となるように形成された一対のテーパ面4a′,4a″を有し、一対のテーパ面4a′,4a″は、コネクタカバー2が引き出される際に、外部接続端子が装着可能となる角度までコネクタカバー2を回動するように形成される。
【0016】
また、一対のテーパ面4a′,4a″は、コネクタカバー2が引き出される方向に向かってコネクタカバー2の回動角度が徐々に大きくなるように形成される。具体的には、一対のテーパ面4a′,4a″は、夫々コネクタカバー2を引き出す方向(図2中の矢印A方向)に向かって徐々に傾斜しており、且つコネクタカバー2が回動する方向に関して徐々に傾斜している。尚、一対のテーパ面4a′,4a″の傾斜角度は、コネクタカバー2を引き出す方向に関して一定であってもよいし、徐々に大きくなるものであってもよい。また、一対のテーパ面4a′,4a″の傾斜角度は、コネクタカバー2が回動する方向に関して一定であってもよいし、徐々に大きくなるものであってもよい。
【0017】
図4は、図2におけるコネクタカバー2の構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は斜視図である。
【0018】
図4(a)において、コネクタカバー2は、コネクタ1の開口部1aをカバーする略平板形状のカバー本体2bと、カバー本体2bに略直角に取り付けられ、デジタルカメラから引き出される方向に延出する軸部材2aと、軸部材2aと一体的に設けられ、軸部材2aの引き出し方向(図2中の矢印A方向)に関して略直角方向に延出する腕部2cとを有する。本実施の形態では、腕部2cは略水平方向に延出している。また、軸部材2aは、弾性部材で形成される。尚、腕部2cは、軸部材2aと同一の弾性部材で形成されてもよい。
【0019】
本体グリップ部26の外側面には、カバー本体2bが嵌め込まれる凹部71が設けられる(図6参照)。コネクタカバー2が収納位置にあるとき、カバー本体2bが凹部71に嵌め込まれ、コネクタカバー2が収納位置で固定される。
【0020】
カバー本体2bの外側面には、断面略L型に切り取られた切り欠き部2eが形成されている。また、腕部2cの先端部には、ガイド溝4bと係合する突起部2dが設けられる。
【0021】
コネクタカバー2の重心は、コネクタカバー2を引き出した際に軸部材2aを中心としてコネクタカバー2が自重により回動する位置に配置される。
【0022】
図4(b)に示すように、コネクタカバー2が回動軸Xに略平行な方向に引き出されると、コネクタカバー2は回動軸Xに関して矢印C方向に回動することが可能となる(図4(b))。コネクタカバー2は、コネクタカバー2がデジタルカメラから引き出された際に、腕部2cが回動規制面4aを摺動することにより、軸部材2aに関して所定量回動する。コネクタカバー2が所定量回動すると、コネクタ1の開口部1aが露出し、コネクタ1にケーブルの外部接続端子を接続することが可能になる。このコネクタカバー2の開閉機構を、図5を用いて以下に詳述する。
【0023】
図5は、コネクタカバー2の開閉機構を説明する図であり、(a)は、コネクタカバー2が収納されている状態を示す斜視図であり、(b)は、コネクタカバー2が引き出された状態を示す斜視図である。
【0024】
デジタルカメラの使用時は、通常、コネクタ1に外部接続端子が接続されていないため、コネクタカバー2はガイド部材4のガイド溝4bに収納されている(収納位置)(図5(a))。使用者が切り欠き部2eを利用してコネクタカバー2を矢印A方向に引き出すと、コネクタカバー2は収納位置から移動し、腕部2cがテーパ面4a′,4a″に当接する。腕部2cが一対のテーパ面4a′,4a″に当接すると、コネクタカバー2の重心位置が軸部材2aの中心、すなわち回動軸Xに配置されているため、コネクタカバー2の自重により矢印C方向に回動する(図5(b))。
【0025】
図6は、コネクタカバー2がガイド溝4bに収納されている位置(1)から最終位置(4)まで移動する一連の流れを示す図である。
【0026】
図6において、コネクタカバー2は、収納位置(初期位置)(1)から矢印A方向に引き出されると、矢印C方向に回動し、位置(2)及び位置(3)を経て最終位置(4)に至る。位置(2)及び位置(3)ではコネクタ1の開口部1aが一部露出しており、最終位置(4)では、コネクタ1の開口部1aが完全に露出する。コネクタカバー2が最終位置(4)にある状態で、ケーブル等の外部接続端子が脱着される。
【0027】
一方、コネクタカバー2を収納する場合は、コネクタ1の開口部1aが露出している最終位置(4)から収納位置(1)までコネクタカバー2を押していくだけでよい。すなわち、コネクタカバー2が矢印A方向と逆方向に押されると、腕部2cが一対のテーパ面4a′,4a″に当接しながらガイド溝4bに沿って内部に入り込み、コネクタカバー2は矢印C方向とは逆方向に自動的に回転し、コネクタカバー2は収納位置に収納される。
【0028】
本実施の形態によれば、デジタルカメラに関してコネクタカバー2を進退可能にガイドするガイド部材4を備え、ガイド部材4は、コネクタカバー2と係合することによりコネクタカバー2の回動を規制する回動規制面4aを有する。コネクタカバー2が引き出されることにより、回動規制面4aとの係合によってコネクタカバー2が回動し、デジタルカメラ本体のコネクタ1の開口部1aを露出することが可能となる。すなわち、コネクタカバー2を引き出してさらに回転させるという余計な手間をかけることなく、容易に外部接続端子を装着することができ、もってコネクタカバー2の操作性を向上することができる。また、コネクタカバー2が引き出されるだけでコネクタ1の開口部1aが露出するため、外部接続端子がコネクタ1に装着されている状態では、コネクタカバー2に余計な負荷が掛からず、コネクタカバー2が破損することを防止することができる。さらに、回動規制面4aは、コネクタカバー2と係合することによりコネクタカバー2の回動を規制するので、コネクタカバー2を収納位置に戻す際にはコネクタカバー2をデジタルカメラに押し込むだけで、コネクタカバー2は回動規制面4aに沿って回動し、収納位置に収納される。したがって、余計な手間がかからず、誤って電子機器を落下させる可能性も低くなる。
【0029】
本実施の形態では、本体グリップ部26の外側面には、カバー本体2bが嵌め込まれる凹部71が設けられるが、これに限るものではなく、本体グリップ部26の外側面に凹部71が設けられることなく、カバー本体2bが本体グリップ部26から突出した状態で固定されてもよい。これにより、コネクタカバー2を容易に引き出すことができる。
【0030】
また、本実施の形態では、腕部2cは水平方向に延出しているが、これに限るものでなく、図7に示すように、腕部2cは、水平方向に関して所定角度回動方向に傾いた方向に延出していてもよい。すなわち、軸部材2aは弾性部材で形成され、腕部2cは、腕部2cの角度がコネクタカバー2の収納状態と引き出された状態とで異なる角度となるように形成される。この構成において、収納時には、軸部材2aを回動方向と逆方向にねじりながら、腕部2cをガイド溝4bに沿って挿入する。これにより、コネクタカバー2は、収納位置では軸部材2aの弾性力により前記コネクタカバー2が回動する方向に付勢され、収納位置から引き出すことでカバー本体2bを自動的に回動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器としてのデジタルカメラの構成を示す外観図である。
【図2】図1におけるコネクタカバー近傍の断面図である。
【図3】図2におけるガイド部材の構成を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)における矢印B方向から見た側面図である。
【図4】図2におけるコネクタカバーの構成を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は斜視図である。
【図5】コネクタカバーの開閉機構を説明する図であり、(a)は、コネクタカバーが収納されている状態を示す斜視図であり、(b)は、コネクタカバーが引き出された状態を示す斜視図である。
【図6】コネクタカバーがガイド溝4bに収納されている位置(1)から最終位置(4)まで移動する一連の流れを示す図である。
【図7】図4における腕部の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 コネクタ
2 コネクタカバー
2a 軸部材
2b カバー本体
2c 腕部
4 ガイド部材
4a 回動規制面
4b ガイド溝
4a′,4a″ 一対のテーパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続端子を接続するコネクタを有する電子機器において、
前記コネクタの開口部を保護するコネクタカバーと、前記電子機器に関して前記コネクタカバーを進退可能にガイドするガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記コネクタカバーと係合することにより前記コネクタカバーの回動を規制する回動規制面を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記コネクタカバーは、前記コネクタの前記開口部をカバーするカバー本体と、前記カバー本体に略直角に取り付けられ、前記電子機器から引き出される方向に延出する軸部材と、前記軸部材と一体的に設けられ、前記軸部材の引き出し方向に関して略直角方向に延出する腕部とを有し、
前記ガイド部材は、前記コネクタカバーが引き出された際に、前記腕部が前記回動規制面を摺動することにより、前記軸部材に関して所定量回動することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記軸部材及び前記腕部が挿入される溝部を有し、
前記回動規制面は、前記溝部の内周面に形成され前記軸部材に関して対称となるように形成された一対のテーパ面を有することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記一対のテーパ面は、前記コネクタカバーが引き出される際に、前記外部接続端子が装着可能となる角度まで前記コネクタカバーを回動するように形成されることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記コネクタカバーの重心は、前記コネクタカバーを引き出した際に前記軸部材を中心として前記コネクタカバーが自重により回動する位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項6】
前記コネクタカバーは、前記軸部材を中心として前記コネクタカバーが回動する方向に付勢されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項7】
前記腕部は弾性部材で形成され、前記腕部は、前記腕部の角度が前記コネクタカバーの収納状態と引き出された状態とで異なる角度となるように形成されていることを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項8】
前記一対のテーパ面は、前記コネクタカバーが引き出される方向に向かって前記コネクタカバーの回動角度が徐々に大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−277052(P2008−277052A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117455(P2007−117455)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】