説明

電子機器

【課題】 4方向ボタンなどの複数の方向に傾斜させることで異なる出力を得る操作ボタンの操作感を向上させる。
【解決手段】 複数の方向に傾斜させることのできる操作部材と、前記操作部材を弾性支持する弾性部材と、前記弾性部材に重ねて配置される感圧センサーと、前記感圧センサーに重ねて配置されるスイッチと、前記弾性部材および前記感圧センサーが位置決めされるフレームを有する電子機器であって、
前記弾性部材は前記操作部材の外周を保持する部分から延出した腕部を有し、前記腕部には前記弾性部材と前記フレームとを位置決めする第1の位置決め部と弾性変形領域が形成されるとともに、前記感圧センサーを前記フレームとを位置決めする第2の位置決め部は前記弾性変形領域よりも前記操作部材の中心に近い位置に設けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するもので、特に操作ボタンの保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の電子機器は小型化が進む一方で、機器本体に大型の映像出力画面を有する場合が多く、映像出力画面と同一面の操作部材の配置スペースが減少してきている。特に、円弧状にスペースが必要な十字ボタンを配置するのが難しくなってきており、年々その径が小さくなってきている傾向がある。その反対に多機能化が進み、多入力デバイスの必要性が高まってきている。
【0003】
このような現状から、本出願人は、十字ボタンとセンターボタンの押し込み方向側に、アナログスイッチと金属ドームシートの2種類のスイッチを重ねて配置する操作ボタン装置を提案した。(特許文献1)
【特許文献1】特願2006−32412号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載した操作ボタン装置は、金属ドームスイッチを変形させる際に、アナログスイッチとその位置決めピンとの摺動抵抗によってボタンの操作感に影響を与えていた。また、十字ボタンを保持するゴムシートのどの部分を変形させるかによってもボタンの操作感に影響を与えていた。
【0005】
本発明の目的は、このような課題に鑑み、ボタンの操作感のよい電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、複数の方向に傾斜させることのできる操作部材と、前記操作部材を弾性支持する弾性部材と、前記弾性部材に重ねて配置される感圧センサーと、前記感圧センサーに重ねて配置されるスイッチと、前記弾性部材および前記感圧センサーが位置決めされるフレームを有する電子機器であって、前記弾性部材は前記操作部材の外周を保持する部分から延出した腕部を有し、前記腕部には前記弾性部材と前記フレームとを位置決めする第1の位置決め部と弾性変形領域が形成されるとともに、前記感圧センサーを前記フレームとを位置決めする第2の位置決め部は前記弾性変形領域よりも前記操作部材の中心に近い位置に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ボタンの操作感のよい電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に関する実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の電子機器の1実施形態であるデジタルカメラの背面の斜視図である。デジタルカメラ1の背面には撮影画像を表示する表示モニタ2が配置されている。
【0010】
図1において、表示モニタ2の右側に操作部がレイアウトされている。この操作部は上下左右の4方向に押し込み操作のできるリング形状の4方向ボタン4(操作部材)と、4方向ボタン4の中央に配置されて押し込み操作の可能なセンターボタン3を備えている。
【0011】
4方向ボタン4は押し込み方向に変位するように構成されるものであって、使用者が4方向ボタン4に接触した状態と、使用者が4方向ボタン4を押し込んだ状態で異なる信号を出力する。本実施形態のカメラでは、使用者が4方向ボタン4に接触したことで出力される信号に基づいてカメラの設定メニューを表示し、使用者が4方向ボタン4を押し込んだことで出力される信号に基づいて設定メニューの決定動作を実行する。
【0012】
図2は操作ボタン3および4方向ボタン4の内部構造を説明する図である。
フレーム10にはセンターボタン3と4方向ボタン4からなる操作部を固定している。フレーム10には位置決めピン16(第1の位置決め部)がカシメられるとともに、穴30が設けている。
【0013】
位置決め部材8には、絶縁性の材料からなる位置決めピン13(第2の位置決め部)が形成されている。位置決め部材8の位置決めピン13がフレーム10の穴30に挿通された状態で、位置決め部材8はフレーム10に固着されている。このように固着することで位置決めピン13はフレーム10に設けられたと同等の寸法精度を確保している。
【0014】
位置決めピン13および16によって、プリント配線板9はフレーム10に位置決めされ、固定されている。プリント配線板9には同心円形状に複数配置された接点パターン12が設けられている。接点パターン12上には導電性の接点部材であるメタルドーム20が配置されており、各メタルドーム20は接点シート7により保持されている。接点シート7もまた位置決めピン16および13によって、フレーム10に位置決めされ、固定されている。
【0015】
感圧センサー6は接点シート7の上に重なるように配置される。感圧センサー6は、絶縁フィルムに印刷された抵抗体の層からなる回路フィルムとこの回路フィルムを固定、保持する金属板の剛体から構成されている。感圧センサー6に設けられた穴15に位置決めピン13が挿通することによって、感圧センサー6はフレーム10に位置決めされ、保持されている。なお、位置決めピン13は感圧センサー6と接触することを考慮して絶縁性を備えたものとしている。感圧センサー6からの回路信号は回路信号の伝達部27からプリント配線板9に実装されたコネクタ28を介して接続されている。
【0016】
弾性部材5は感圧センサー6の上に重なるように配置される。弾性部材5は4方向ボタン4とセンターボタン3を弾性支持している。弾性部材5には4方向ボタン4の外周を保持する縁部分5aから延出された腕部14が形成され、腕部14の先端には穴29が設けられている。位置決めピン16が穴29に挿通されることで、弾性部材5はフレーム10に位置決めされ、保持されている。すなわち、弾性部材5は腕部14によって吊られる状態で保持されている。
【0017】
4方向ボタン4は弾性部材5により保持されることで、上下左右の方向に傾くことができるとともに、弾性部材5の弾性力によって初期位置に復帰する。弾性部材5は腕部14によって吊られる状態で保持されているので、4方向ボタン4を初期位置に戻す弾性力は弾性部材5の腕部14の弾性力である。センターボタン3も同様に、弾性部材5により保持されることによって、センターボタン3を押し込み方向に操作できるとともに、弾性力によって初期位置に復帰する。
【0018】
使用者が4方向ボタン4に触れると4方向ボタン4が弾性部材5の弾性力に抗してわずかに傾斜する。そして、4方向ボタン4の裏面には複数のピンが立設されており、4方向ボタン4の傾斜によって、このピンが感圧センサー6と接触することで、感圧センサー6から信号が出力される。
【0019】
操作者がさらに4方向ボタン4を押し込む操作を行うと、4方向ボタン4がさらに傾斜し、4方向ボタン4の裏面に設けたピンが感圧センサー6を押す。感圧センサー6は押し込まれる方向に固定されていないので、4方向ボタン4とともに傾斜して、感圧センサー6がメタルドーム20を押すこととなる。そして、メタルドーム20が座屈し接点パターン12と電気的に接触することでスイッチとして機能している。
【0020】
したがって、4方向ボタン4を弱い力で押圧した場合には、感圧センサー6から信号が出力される。4方向ボタン4を強い力で押圧した場合には、メタルドーム20が座屈し接点パターン12のうちの1つと電気的に接触することで信号が出力される構造となっている。
【0021】
図3は、弾性部材5の形状を説明する図である。弾性部材5は、縁部分5aが4方向ボタン4の外周を覆うことで4方向ボタン4を位置決めしている。4方向ボタン4は弾性部材5に不図示の両面テープにて貼着固定されている。図3に示すように腕部14は縁部分5aから延出形成されており、腕部14には位置決めピン16が挿通される穴29が形成されている。また腕部14には、4方向ボタン4が操作される際に変形する弾性変形領域31が設けられている。4方向ボタン4が操作されると、弾性変形領域31が弾性変形しながら4方向ボタン4が傾斜する。弾性変形領域31の復元力によって4方向ボタン4は初期位置に復帰する。また、腕部14の一方の対角位置には弾性変形領域31が変形する際に、同じように変形し、復元力を発生させるためのダミー形状部17が設けられている。
【0022】
図4は、位置決め部材8が固着されたフレーム10を正面から見た図である。位置決めピン13と16の関係を示しており、位置決めピン13は4方向ボタン4の中心位置からの距離r1の位置に配置しており、位置決めピン16は弾性部材5の中心位置からの距離r2の位置に配置されている。距離r1は距離r2より短いので、位置決めピン13は位置決めピン16よりも4方向ボタン4の中心位置に近い位置に配置されている。
【0023】
図5は、弾性部材5をフレーム10に取り付けた状態を示す図である。4方向ボタン4が押し込まれることによって、感圧センサー6は4方向ボタン4とともに傾斜する。感圧センサー6が傾斜すると、穴15と位置決めピン13との間で摺動抵抗を生じる。本実施形態では、この摺動抵抗の影響を考慮して位置決めピン13を変形領域31よりも内側に配置している。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラは、このような位置に配置することで、4方向ボタン4の操作感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態であるデジタルカメラの斜視図。
【図2】操作ボタン3および4方向ボタン4の内部構造を説明する図。
【図3】弾性部材5の形状を説明する図。
【図4】位置決め部材8が固着されたフレーム10を正面から見た図。
【図5】弾性部材5をフレーム10に取り付けた状態を示す図。
【符号の説明】
【0026】
3 センターボタン
4 4方向ボタン
5 弾性部材
6 感圧センサー
7 接点シート
8 位置決め部材
9 プリント配線板
10 フレーム
13 感圧センサーの位置決めピン
14 腕部
16 弾性部材5の位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向に傾斜させることのできる操作部材と、前記操作部材を弾性支持する弾性部材と、前記弾性部材に重ねて配置される感圧センサーと、前記感圧センサーに重ねて配置されるスイッチと、前記弾性部材および前記感圧センサーが位置決めされるフレームを有する電子機器であって、
前記弾性部材は前記操作部材の外周を保持する部分から延出した腕部を有し、前記腕部には前記弾性部材と前記フレームとを位置決めする第1の位置決め部と弾性変形領域が形成されるとともに、前記感圧センサーを前記フレームとを位置決めする第2の位置決め部は前記弾性変形領域よりも前記操作部材の中心に近い位置に設けられることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の位置決め部は前記第1の位置決め部よりも前記操作部材の中心に近い位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2の位置決め部は、絶縁性の材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記弾性部材には、前記腕部の対角位置に前記操作部材が押し込まれたときに、前記操作部材を元の位置に戻す力を発生させる部分が形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1の位置決め部および前記第2の位置決め部は、それぞれ少なくとも2ヶ所であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−277112(P2008−277112A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119031(P2007−119031)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】