説明

電子機器

【課題】適切なタイミングでエラーを報知可能な技術を提供する。
【解決手段】プリンタ装置は、PCからジョブデータが送信されてくると、印刷ジョブとして、受信データに基づき用紙に画像を形成する動作を頁毎に実行する。また、ジョブ実行中には、エラーの発生有無を判断し、エラーが発生すると、エラープリント実行制御処理を実行する。即ち、エラーの発生履歴(レコード)をエラー発生履歴テーブルに登録すると共に(S210)、テーブルに登録されたレコード群に基づき、エラープリントの禁止条件が満足されたか否かを判断する(S230〜S250)。そして、禁止条件が満足されたと判断すると(S250でYes)、エラープリントを実行しないようにする。一方、禁止条件が満足されていないと判断すると(S230,S240,S250でNo)、エラープリントとして、エラーへの対処方法を示したメッセージを印刷する処理を実行する(S260)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラーを報知する機能を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自装置内で発生したエラーをユーザに向けて報知する電子機器が知られている。例えば、エラーに対応したパターンでLEDを点灯させることにより、ユーザに向けて、エラーの発生及びエラーの種類を報知する電子機器が知られている。また、音を出力することにより、エラーを報知する電子機器が知られている。
【0003】
この他、プリンタ装置の分野では、エラーの回避方法を示したメッセージを用紙に印刷することにより、エラーの回避方法をユーザに向けて報知することが、行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−172033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来装置では、次のような問題があった。即ち、従来装置では、エラーが発生する度に、そのエラーを報知するため、何度でも同じエラーが、ユーザに向けて報知されるといった問題があった。
【0005】
このようなエラー報知の繰返し動作は、ユーザによっては不要な、あるいは、重要度の低いエラーの報知動作が行われることになって、ユーザに不満が及ぶ可能性があった。
特に、メッセージを用紙に印刷することによりエラーを報知する従来手法を採用した場合では、過去に印刷したメッセージを通じて、エラーの発生等をユーザが確認できるのにも拘わらず、同じメッセージが何度も用紙に印刷され、用紙が無駄に消費されることになるため、ユーザに不満が及ぶ可能性が高かった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、適切な頻度でエラーを報知することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の電子機器は、自装置内でエラーが発生すると、出力手段を通じ、上記発生したエラーを報知するエラー報知手段と、エラーの発生履歴に基づき、所定の禁止条件が満足されると、エラー報知手段による当該エラーの報知を禁止すると共に、所定の解除条件が満足されると、報知の禁止動作を解除する報知制御手段と、を備えるものである。
【0008】
エラーの発生履歴に基づいて、エラーの報知を一時的に禁止するように電子機器を構成すれば、エラーが繰返し発生する状況下で、エラーの報知を繰返し実行しなくて済み、ユーザにとって不要なエラーの報知が繰返し実行されることにより、ユーザに不満が及ぶのを抑えることができる。
【0009】
具体的に、禁止条件は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方によって規定することができる(請求項2)。即ち、報知制御手段は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方に基づいて、禁止条件が満足されたか否かを判断し、禁止条件が満足されると、エラー報知手段によるエラーの報知を禁止する構成にすることができる。
【0010】
このように電子機器を構成すれば、発生頻度の高いエラーについて、当該エラーの発生の都度、エラーの報知を実行しなくて済み、ユーザに向けて、適切な頻度でエラーを報知することができる。
【0011】
尚、エラー報知のパターンとしては、エラーの発生のみを報知するパターンやエラーの種類を報知するパターンの他、エラーへの対処方法(エラーの回避方法)を報知するパターンなどを挙げることができる。
【0012】
また、本発明は、出力手段として記録シートに画像を形成する画像形成手段を備え、エラー報知手段が、自装置内でエラーが発生すると、画像形成手段に、発生したエラーに関するメッセージを、記録シートに形成させることにより、エラーを報知する構成にされた電子機器に適用されると好ましい(請求項3)。
【0013】
エラーに関するメッセージを記録シートに形成することで、エラーを報知する電子機器においては、記録シートに形成されたメッセージの形態で、エラーの報知動作が形に残るため、メッセージを記録シートに形成した後においても、メッセージを確認することで、ユーザは、エラーの発生やその内容を知ることができる。即ち、この電子機器においては、記録シートに形成されたメッセージを媒体として、間接的に、ユーザへのエラー報知動作を継続することができる。
【0014】
従って、同一エラーが発生する度に、メッセージを記録シートに形成して出力すると、ユーザにとって不要なエラー報知を行うことになり、更には、記録シートへのメッセージ出力が、資源(記録シート)の無駄使いとなって、ユーザに不満が及ぶ可能性がある。
【0015】
一方、この種の電子機器において、エラーの発生履歴に基づき、一時的にエラーの報知を禁止すれば、ユーザにとって不要なエラーの報知をしなくて済み、ユーザに向けて、従来よりも適切な頻度でエラーを報知することができる。
【0016】
また、エラーへの対処方法を表すメッセージを記録シートに形成してエラー報知する場合には、報知の繰返し動作が不要な状況のほうが多い。
従って、上述の発明は、エラー報知手段が、発生したエラーに関するメッセージとして、画像形成手段に、発生したエラーへの対処方法を表すメッセージを、記録シートに形成させる構成にされた電子機器に適用されると、その効果が一層発揮される(請求項4)。
【0017】
また、上述の発明は、印刷対象のデータがユーザから指定されると、画像形成手段に、上記指定されたデータに基づく画像を、記録シートに形成させる記録手段を備えた電子機器に適用されると一層好ましい(請求項5)。上記記録手段を備えた電子機器としては、プリンタ装置やディジタル複合機等を挙げることができる。この種の電子機器では、従来、画像形成手段を通じて、エラーへの対処方法を表すメッセージを、記録シートに出力することが、行われている。
【0018】
従って、この種の電子機器に、本発明を適用すれば、適切な頻度でエラー報知を行うことができ、記録シートを無駄に使用して、エラーへの対処方法を表すメッセージを繰返し記録シートに形成せずに済む。
【0019】
また、上記電子機器において、解除条件は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方によって規定することができる。即ち、報知制御手段は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方に基づいて、解除条件が満足されたか否かを判断し、解除条件が満足されると、報知の禁止動作を解除する構成にすることができる(請求項6)。
【0020】
また、解除条件は、記録手段の稼動量によって規定されてもよい(請求項7)。例えば、報知制御手段は、記録手段がジョブ1つ分の記録シートに対する画像形成を終えたら、解除条件が満足されたとして、報知の禁止動作を解除する構成にすることができる。
【0021】
この他、記録手段による画像形成動作に伴って自装置内で発生するエラーを報知するように、電子機器を構成する場合には、当該電子機器に、記録手段により画像形成される印刷対象のデータが切り替わる度、今回、記録手段により画像形成される印刷対象のデータを指定したユーザが、前回、記録手段により画像形成された印刷対象のデータを指定したユーザと異なるか否かを判断する判断手段を設けるとよい。
【0022】
また、報知制御手段は、判断手段により、今回、記録手段により画像形成される印刷対象のデータを指定したユーザが、前回、記録手段により画像形成された印刷対象のデータを指定したユーザと異なると判断されると、解除条件が満足されたとして、報知の禁止動作を解除する構成にされるとよい(請求項8)。
【0023】
このように電子機器を構成すれば、エラー報知されていないユーザに対してまでも報知制御手段による禁止動作が及ぶのを抑制することができ、同一ユーザに対してエラーの報知を繰返し実行せずに済むと共に、異なるユーザに対しては適切にエラーを報知することができる。
【0024】
この他、電子機器は、記録手段による画像形成動作に伴って自装置内でエラーが発生すると、当該エラーが発生する原因となった画像形成動作に供された印刷対象のデータを指定したユーザの識別情報に関連付けて、当該エラーの発生履歴を、電子機器が内蔵するデータ書換可能な記憶媒体に書き込む書込手段を備える構成にすることができる(請求項9)。
【0025】
また、報知制御手段は、記録手段による画像形成動作に伴って自装置内でエラーが発生すると、各ユーザの識別情報に関連付けられて記憶媒体に書き込まれたエラーの発生履歴の内、当該エラーが発生する原因となった画像形成動作に供された印刷対象のデータを指定したユーザの識別情報に関連付けられて記憶媒体に書き込まれたエラーの発生履歴を選択的に用いて、発生したエラーについての禁止条件が満足されたか否かを判断する構成にすることができる。
【0026】
このように電子機器を構成すれば、電子機器が複数ユーザにより利用される場合において、各ユーザに対し、適切な頻度で、エラーを報知することができる。
また、禁止条件及び解除条件の夫々を、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方によって規定する場合、報知制御手段は、エラーが発生する原因となった画像形成動作に供された印刷対象のデータを指定したユーザの識別情報に関連付けられて記憶媒体に書き込まれたエラーの発生履歴を選択的に用いて、発生したエラーについての禁止条件及び解除条件の夫々が満足されたか否かを、判断する構成にされるとよい(請求項10)。
【0027】
この他、電子機器には、出力手段として、画像形成手段に加え、音又は光の形態で情報出力を行う簡易出力手段を設けると共に、簡易出力手段を通じ、エラーを報知する簡易報知手段を設けるとよい。また、簡易報知手段は、自装置内でエラーが発生すると、報知制御手段によってエラーの報知動作が禁止されているか否かに拘わらず、簡易出力手段を通じ、発生したエラーを報知する構成にされるとよい(請求項11)。
【0028】
音又は光の形態でエラー報知を行う場合には、画像形成手段によるエラー報知と比較して、資源(記録シート)を消費しないので、高頻度にエラー報知を行っても、ユーザに不満が及ぶ可能性が低い。また、エラーが発生したにも関わらずエラーを全く報知しないと、機器がどういった状況になっているのかについて、ユーザ側で把握できず、そのことが原因で、ユーザに不満が及ぶ可能性もある。
【0029】
従って、簡易報知手段を通じたエラー報知については、エラーが発生する度に行って、画像形成手段を通じたエラー報知については、必要に応じて禁止するように、電子機器を構成すれば、エラー報知をすることによって発生する問題及びエラー報知をしないことによって発生する問題の夫々を、調和を図りながら解消することができる。よって、この電子機器によれば、ユーザに向けて、一層適切にエラーを報知することができる。
【0030】
また、上述の電子機器には、ユーザインタフェースを通じ報知指令が入力されると、当該報知指令が入力されるまでの期間に、報知制御手段により禁止された報知動作を、出力手段を通じて実現する副報知手段を設けるとよい(請求項12)。
【0031】
このように、禁止動作により報知されなかったエラーを、ユーザからの指示に従って報知するように、電子機器を構成すれば、エラー報知を禁止することによって、機器がどういった状況になっているのかについて、ユーザ側で把握できず、そのことが原因で、ユーザに不満が及ぶのを抑えることができて、各ユーザに対して適切にエラーを報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明が適用された第一実施例のプリンタ装置1の構成を表すブロック図である。図1に示すように、本実施例のプリンタ装置1は、装置全体を統括制御する制御部10と、印刷部20と、表示部30と、音出力部40と、操作部50と、通信部60と、を備える。
【0034】
制御部10は、各種プログラムを実行するCPU11と、CPU11によるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM13と、CPU11が実行するプログラムや各種設定情報を記憶するデータ書換可能な不揮発性メモリとしてのNVRAM15(フラッシュメモリ等)と、を備える。
【0035】
また、印刷部20は、制御部10に制御され、周知のレーザプリンタと同様の方式にて、トレイから給紙された用紙に、外部から指定された印刷対象データに基づく画像を形成する。具体的には、印刷対象データに基づいて、感光体に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像して、トナー像を、用紙に転写することにより、用紙に印刷対象データに基づく画像を形成する。
【0036】
また、表示部30は、制御部10に制御されて、各種情報をユーザに向けて表示する。尚、本実施例の表示部30は、高々数十文字程度のカタカナ文字を表示できる程度の能力しか有さないディスプレイにて構成されている。この表示部30は、例えば、簡易なエラー表示を行うために用いられる。
【0037】
この他、音出力部40は、スピーカから数種類のビープ音を出力可能な構成にされており、制御部10に制御されて、スピーカを通じビープ音を出力する。このビープ音は、エラーの発生や、処理の完了をユーザに報知するために用いられる。
【0038】
また、操作部50は、ユーザが操作可能な各種操作キーを備えたユーザインタフェースとして構成されており、操作キーの押下情報を、制御部10に入力する。
また、通信部60は、LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)100と通信するためのインタフェースであり、周知のLANインタフェースにて構成されている。この通信部60は、LANを通じてPC100から受信した自装置宛のデータを、制御部10に入力する。
【0039】
続いて、CPU11が実行する処理について説明する。図2は、プリンタ装置1の起動後、CPU11が繰返し実行する主制御処理を表すフローチャートである。
CPU11は、主制御処理を開始すると、印刷ジョブデータが通信部60を通じて外部のPC100から送信されてくるまで待機する(S110)。印刷ジョブデータは、ジョブ名及び印刷ジョブデータの送信を指示したユーザのID等の情報を含んだヘッダとユーザが印刷を所望する印刷対象データとからなり、S110では、ヘッダを受信すると共に、印刷対象データの内、印刷ジョブの開始に必要な最低量のデータ(例えば、用紙1頁分のデータ)を受信すると、印刷ジョブデータが送信されてきたと判断し(S110でYes)、S120に移行する。尚、通信部60が受信する印刷ジョブデータは、RAM13の受信データ格納領域に順次格納される。
【0040】
また、S120に移行すると、CPU11は、送信されてきた印刷ジョブデータに対応する印刷ジョブを開始する。具体的に、CPU11は、印刷ジョブとして、未受信の印刷対象データをPC100から取得し、これを、RAM13の受信データ格納領域に書き込む処理を行う。
【0041】
また、この処理と並行して、RAM13から、受信済の印刷対象データを一頁分(以下、一頁分のデータを「ページデータ」という。)を抽出し、印刷部20を制御して、印刷部20に、抽出したページデータに基づく画像を、用紙に形成させる処理を、ページデータ毎に、最終頁の画像形成動作が終了するまで行う。CPU11は、このような内容の処理を、印刷ジョブとして実行する。
【0042】
尚、PC100からプリンタ装置1に送信されてくる印刷対象データは、PDLデータであるため、印刷対象データに基づく画像を、印刷部20に印刷させるに当たっては、PDLデータを、一旦中間データに変換する。更に、中間データをビットマップデータに変換しながら、変換したビットマップデータを用いて印刷部20を通じ静電潜像を形成する処理を行う。
【0043】
また、印刷ジョブの実行中には、印刷ジョブと並行して、印刷ジョブの実行に伴うエラーが発生したかどうかを繰返し判断する(S130)。そして、エラーが発生していないと判断すると(S130でNo)、S180に移行し、エラーが発生したと判断すると(S130でYes)、S140に移行する。
【0044】
S140に移行すると、CPU11は、発生したエラーの種類を表す文字列を、表示部30に表示させることにより、光の形態にて、エラーの発生をユーザに向けて簡易に報知する。同時に、エラーの発生を報知するためのビープ音を音出力部40に出力させることにより、音の形態にて、エラーの発生をユーザに向けて簡易に報知する。
【0045】
ここで、本実施例のプリンタ装置1において、印刷ジョブの実行中に発生するエラーについて具体的に説明する。
本実施例のプリンタ装置1では、コストの関係から、RAM13に、ページデータを多数頁記憶できるような記憶領域が、確保されていない。更に、RAM13は、フォントを記憶するための領域としても利用される。従って、多数のフォントがRAM13に記憶されている状況下では、PC100から受信したページデータを記憶するための領域が狭くなる。
【0046】
本実施例のプリンタ装置1では、このような理由でRAM13におけるページデータの記憶領域が少ない状況下で、情報量の多いページデータが送信されてくると、RAM13に当該ページデータを記憶しておくための領域を確保することができず、ページデータに基づく画像を用紙に形成することができなくなる。
【0047】
本実施例のプリンタ装置1では、このような状況が発生した場合、図3(a)に示すように、表示部30にメモリが一杯の旨の文字列を表示させることにより、ユーザにメモリ不足によるエラーを報知する。以下、このエラーを「メモリフルエラー」と表現する。
【0048】
この他、複雑な絵柄の印刷対象データを、印刷部20に印刷させる場合には、中間データをビットマップデータに変換する際に時間がかかるため、中間データを、静電潜像の形成動作に合わせて、ビットマップデータに変換できず、静電潜像形成動作が中断されて、その後の現像処理や転写処理が行われる状況が発生する。
【0049】
本実施例では、このような状況が発生した場合、表示部30にプリントオーバーランの旨の文字列を表示させることにより(図示せず)、ユーザにプリントオーバーランを報知する。以下、このエラーを、「プリントオーバーランエラー」と表現する。
【0050】
本実施例では、このようなメモリフルエラーやプリントオーバーランエラーが発生すると、上述したように、S140で、簡易にエラーを報知する。また、プリンタ装置1は、このようなエラーが発生すると、その時点で搬送中の用紙を排出して、印刷ジョブを一時中断する。
【0051】
また、S140での処理を終えると、CPU11は、S160に移行して、図4に示すエラープリント実行制御処理を開始する。図4は、CPU11が実行するエラープリント実行制御処理を表すフローチャートである。
【0052】
エラープリント実行制御処理を開始すると、CPU11は、プリンタ装置1の起動時に、RAM13に読み出されたエラー発生履歴テーブルを編集して、今回発生したエラーの発生履歴を表すレコードを、エラー発生履歴テーブルに追加登録する(S210)。
【0053】
尚、本実施例のプリンタ装置1は、NVRAM15にエラー発生履歴テーブルを記憶しており、起動時に、このエラー発生履歴テーブルをRAM13に読み出す構成にされている。また、このプリンタ装置1は、RAM13に読み出されCPU11により編集されたエラー発生履歴テーブルを、定期的にNVRAM15に書き込んで、NVRAM15内のエラー発生履歴テーブルを更新する構成にされている。
【0054】
図5は、このエラー発生履歴テーブルの構成を表す説明図である。図5に示すように、エラー発生履歴テーブルは、エラーの発生時刻と、発生したエラーの種類を表すエラーコードと、エラー発生時に実行されていたジョブに対応する印刷ジョブデータを送信してきたユーザのIDと、そのジョブ実行時までに処理されたジョブの総数を表す通算処理ジョブ数と、が記述されたレコードの一群からなる。
【0055】
即ち、S210において、CPU11は、発生したエラーの当該発生時刻と、発生したエラーの種類を表すエラーコードと、エラー発生時に実行されていたジョブに対応する印刷ジョブデータを送信してきたユーザのIDと、そのジョブ実行時までに処理されたジョブの総数を表す通算処理ジョブ数NJとからなるレコードを、エラー発生履歴テーブルに登録することにより、RAM13が記憶するエラー発生履歴テーブルを更新する。以下、ジョブデータを送信してきたユーザのことを、そのジョブのユーザと表現する。
【0056】
また、この処理を終えると、CPU11は、今回のエラーが発生する原因となったジョブのユーザと、同一ユーザのIDが記述されたレコードを、RAM13が記憶するエラー発生履歴テーブルから抽出し、抽出したレコード群を、参照対象のレコード群に設定する(S220)。
【0057】
そして、この参照対象のレコード群に基づき、次の判断処理を行う。具体的には、エラー発生履歴テーブルに登録されているレコード群の内、S220で設定した参照対象のレコード群のみを判断材料として、今回発生したエラーと同一のエラー(即ち、同一エラーコードのエラー)が過去所定時間内に発生しているか否かを判断する(S230)。
【0058】
このようにして、S230では、今回エラーが発生したジョブのユーザと同一ユーザのジョブの実行中に発生したエラーの発生履歴を選択的に用いて、今回発生したエラーと同一のエラーが過去所定時間内に発生しているか否かを判断する。
【0059】
そして、今回発生したエラーと同一のエラーが過去所定時間内(例えば、6時間以内)に発生していると判断すると(S230でYes)、S240に移行し、今回発生したエラーと同一のエラーが過去所定時間内に発生していないと判断すると(S230でNo)、S260に移行する。
【0060】
また、S240に移行すると、CPU11は、S220で設定した参照対象のレコード群のみを判断材料として、今回発生したエラーと同一のエラーが最後に発生した時点から現在までの印刷稼動量QPを算出し、印刷稼動量QPが、予め設定された閾値以下であるか否かを判断する。
【0061】
具体的に、S240では、印刷稼動量QPとして、今回発生したエラーと同一のエラーが最後に発生した時点から現在までに実行されたジョブの数を、今回発生したエラーの当該発生時までの通算処理ジョブ数NJから、上記最後に発生した同一エラーのレコードが示す通算処理ジョブ数を減算することにより求める。
【0062】
そして、求めた印刷稼動量QPが、予め定められた閾値以下(例えば、5以下)であると判断すると(S240でYes)、S250に移行し、印刷稼動量QPが、閾値を超えていると判断すると(S240でNo)、S260に移行する。
【0063】
この他、S250に移行すると、CPU11は、上記参照対象のレコード群のみを参照して、今回発生したエラーと同一のエラーについてのエラープリント(S260参照)を最後に実行した時点からの、今回発生したエラーと同一のエラーの発生回数を算出し、この発生回数が予め定められた閾値以下であるか否かを判断する。そして、エラー発生回数が閾値を超えていると判断すると(S250でNo)、S260に移行する。一方、エラー発生回数が閾値以下であると判断すると(S250でYes)、S260に移行することなく、当該エラープリント実行制御処理を終了する。
【0064】
また、S260に移行すると、CPU11は、今回発生したエラーについてのエラープリントを実行する。具体的に、S260では、印刷部20を制御して、印刷部20に、新規用紙をトレイから給紙させ、その用紙に、今回発生したエラーへの対処方法を示したメッセージを印刷させることにより、エラープリントを実行する。
【0065】
例えば、メモリフルエラーについてのエラープリントを実行する際には、印刷部20に、図3(b)に示す内容のメッセージを用紙に形成させる。このようにして、用紙を媒体として、メモリフルエラーを報知すると共に、メモリフルエラーへの対処方法をユーザに報知する。尚、図3(b)は、エラーへの対処方法を示すメッセージの一例を表した説明図である。
【0066】
図示しないが、本実施例においては、NVRAM15に、エラーコードに関連付けて、そのエラーコードに対応するエラーが発生したときに印刷すべき、エラーへの対処方法を示したメッセージが、予めエラーコード毎に記憶されている。即ち、S260において、CPU11は、このNVRAM15が示すエラーコードとメッセージとの対応関係に従い、発生したエラーのエラーコードに対応付けられたメッセージを、印刷部20に印刷させることにより、発生したエラーへの対処方法を、用紙を媒体として、ユーザに報知する。
【0067】
また、メッセージの印刷時には、S250における判断処理を実現するために、今回S210で追加登録したレコードに対してエラープリントを実行したことを示すフラグ(図示せず)を付す。換言すると、上述したS250では、このフラグの有無に基づき、今回発生したエラーと同一のエラーについてのエラープリントを最後に実行した時点を把握し、上述の判断を実現する。
【0068】
また、エラーへの対処方法を示したメッセージの印刷後には、印刷部20に、当該メッセージを印刷した用紙を、排紙トレイに排出させて、S260での処理を終える。その後、当該エラープリント実行制御処理を終了する。
【0069】
このようにして、本実施例のプリンタ装置1では、S230でYesと判断される条件、S240でYesと判断される条件、及び、S250でYesと判断される条件の全てが満足されたとき、エラープリントの禁止条件が満足されたとして、今回発生したエラーについてのエラープリントを禁止する。
【0070】
一方、S230でNoと判断される条件、S240でNoと判断される条件、及び、S250でNoと判断される条件のいずれかが満足されたとき、エラープリントの禁止解除条件が満足されたとして、今回発生したエラーについてのエラープリントを実行し、エラーの発生及びエラーへの対処方法を報知する(S260)。
【0071】
また、エラープリント実行制御処理を終えると、CPU11は、S170に移行し、一時中断されているジョブの実行を再開する。例えば、メモリフルエラーやプリントオーバーランエラーが発生した場合には、当該エラーが発生する原因となったページデータの印刷処理をスキップして、次頁のページデータの印刷処理(画像形成動作)を開始する。
【0072】
また、この再開後には、印刷ジョブが終了したか否かを判断し(S180)、印刷ジョブが終了していないと判断すると(S180でNo)、S130に移行する。このようにして、本実施例では、ジョブの実行中、繰返しS130〜S170の処理を実行する。
【0073】
一方、ジョブが終了すると(S180でYes)、通算処理ジョブ数NJを、1加算した値に更新する(S190)。この通算処理ジョブ数NJは、NVRAM15に記憶されており、プリンタ装置1の起動時に、RAM13に読み出される。また、RAM13において、S190の処理により更新される通算処理ジョブ数NJは、定期的にNVRAM15に上書きされて、電源オン/オフに関わりなく、プリンタ装置1内で記憶保持される。
【0074】
また、S190での処理を終えると、CPU11は、当該主制御処理を一旦終了する。そして、再び、S110から処理を開始し、印刷ジョブデータを受信する度、S120〜S190の処理を実行する。
【0075】
続いては、図6を用いて、CPU11が、上記主制御処理と並列に、繰返し実行する指示出力処理について説明する。図6は、プリンタ装置1の起動後、CPU11が繰返し実行する指示出力処理を表すフローチャートである。
【0076】
この指示出力処理を開始すると、CPU11は、エラープリント指示が操作部50を通じてユーザから入力されるまで待機する(S310)。そして、エラープリント指示が入力されると(S310でYes)、S320に移行し、現時点にて印刷ジョブを実行中であるか否かを判断する。そして印刷ジョブを実行中であると判断すると(S320でYes)、S310に移行し、印刷ジョブを実行中ではないと判断すると(S320でNo)、S330に移行する。
【0077】
また、S330では、当該プリンタ装置1において最後に発生したエラーについてのエラープリントを実行する。即ち、エラー発生履歴テーブルに登録された最新のレコードに基づき、印刷部20に、このレコードが示すエラーコードに対応するエラーへの対処方法を示したメッセージを、新規用紙に形成させる。また、メッセージの印刷後には、印刷部20に、当該メッセージを印刷した用紙を、排紙トレイに排出させて、当該指示出力処理を終了する。
【0078】
以上、本実施例のプリンタ装置1の動作について説明したが、本実施例では、各エラーの発生履歴を、エラー発生履歴テーブルに記憶するようにし、このエラー発生履歴テーブルが示すエラー発生履歴に基づき、同一エラーが頻繁に発生している期間には、そのエラーについてのエラープリントの実行を禁止するようにした。従って、本実施例によれば、ユーザにとって不要なエラーの報知が繰返し実行されることにより、ユーザに不満が及ぶのを抑制することができる。
【0079】
例えば、メモリフルエラーが発生する状況下では、情報量の多いページデータをRAM13に記憶することができないため、情報量の多いページが発生する度に、エラーが発生することになる。このため、エラーの発生毎に、エラープリントを実行すると、用紙が無駄に消費され、ユーザに不満が及ぶ可能性があるが、本実施例のプリンタ装置1によれば、そのような不満がユーザに及ぶのを抑えることができて、適切な頻度でエラープリントを実行することができる。
【0080】
特に、本実施例のプリンタ装置1では、ジョブのユーザに対応するエラー発生履歴を選択的に用いて、発生したエラーについてのエラープリントを禁止するかどうかを決定する(S220〜S250)。従って、本実施例によれば、プリンタ装置1が複数ユーザにより使用される場合にも、各ユーザに対し適切な頻度で、エラーを報知することができる。
【0081】
また、エラーが発生したにも関わらずエラーを全く報知しないと、プリンタ装置1がどういった状況になっているのかについて、ユーザ側で把握できず、そのことが原因で、ユーザに不満が及ぶ可能性があるが、本実施例のプリンタ装置1では、表示部30や音出力部40を通じた簡易なエラー報知を、エラープリントが禁止されているか否かに拘わらず実行する。
【0082】
音又は光の形態でエラー報知を行う場合には、エラープリントによるエラー報知と比較して、紙資源を消費しないので、高頻度にエラー報知を行っても、ユーザに不満が及びにくい。従って、本実施例によれば、エラー報知をすることによって発生する問題及びエラー報知をしないことによって発生する問題の夫々を、調和を図りながら解消することができる。
【0083】
また、本実施例では、操作部50を通じてエラープリント指示(本発明の報知指令に相当)が入力されると、このエラープリント指示が入力される前において最後に発生したエラーについてのエラープリントを実行するようにした(S330)。このように、本実施例では、ユーザの要求に応じてエラープリントを実行できるようにプリンタ装置1を構成しているので、ユーザの必要なときに、エラーへの対処方法が印刷されないことが原因で、ユーザに不満が及ぶのを抑えることができる。
【実施例2】
【0084】
続いて、第二実施例について説明する。第二実施例のプリンタ装置1は、CPU11が実行する主制御処理の内容が異なることを除けば、概ね第一実施例のプリンタ装置1と同一である。従って、以下では、第二実施例の説明として、第一実施例のプリンタ装置1とは異なる第二実施例のプリンタ装置1の構成を選択的に説明する。
【0085】
図7は、第二実施例のプリンタ装置1が起動後、CPU11にて実行する主制御処理を表すフローチャートである。
図7に示す主制御処理を開始すると、CPU11は、まず、RAM13に、エラープリントの実行を管理するための管理テーブルを生成して、管理テーブルを初期化する(S410)。
【0086】
本実施例では、管理テーブルに登録されたエラーについてのエラープリントを実行するが、管理テーブルに登録されていないエラーについてのエラープリントを実行しないようにして、エラープリントの実行を制御する。図8は、このような制御に用いられる管理テーブルの構成及び更新の態様を表す説明図である。
【0087】
詳述すると、S410では、管理テーブルに、設計段階で定められたエラープリントを実行可能なエラーの全てを登録して、管理テーブルを初期化する。例えば、管理テーブルには、上述したメモリフルエラーやプリントオーバーランエラーなどを登録する。
【0088】
図8上段は、Error1からError5までがエラープリントを実行可能なエラーとして設計段階で定められている状態で、初期化された管理テーブルの構成を示した説明図である。この場合、初期化によって、管理テーブルには、Error1からError5までのエラープリントを実行可能なエラーの全てが登録される。
【0089】
また、S410での処理を終えると、CPU11は、プリンタ装置1の電源ボタンがオフ操作されたか否かを判断し(S420)、オフ操作されたと判断すると(S420でYes)、当該主制御処理を終了する。
【0090】
一方、電源ボタンがオフ操作されていないと判断すると(S420でNo)、印刷ジョブデータが通信部60を通じて外部のPC100から送信されてきたか否かを、S110と同様の手法で判断する(S430)。
【0091】
ここで、印刷ジョブデータが外部のPC100から送信されてきていないと判断すると(S430でNo)、CPU11は、電源ボタンがオフ操作されるか、印刷ジョブデータが通信部60を通じて外部のPC100から送信されてくるまで待機する(S420,S430)。
【0092】
そして、印刷ジョブデータが送信されてきたと判断すると(S430でYes)、CPU11は、S120と同様に、送信されてきた印刷ジョブデータに対応する印刷ジョブを開始する(S440)。また、ジョブの実行中には、当該ジョブと並行して、以下に説明するS450〜S470の処理を、当該印刷ジョブが終了するまで繰返し実行する。
【0093】
具体的に、印刷ジョブを開始すると、CPU11は、S450にて、予め定められたエラープリントの禁止解除条件(詳細後述)が満足されたか否かを判断し、禁止解除条件が満足されたと判断すると(S450でYes)、RAM13に記憶された管理テーブルを初期化することで、エラープリントの禁止状態を解除する(S455)。
【0094】
即ち、管理テーブルに、設計段階で定められたエラープリントを実行可能なエラーの全てを登録することで、エラープリントの禁止状態を解除する(S455)。また、S455では、管理テーブルに登録された各エラーの発生回数NEをゼロにリセットする。その後、S460に移行する。
【0095】
一方、禁止解除条件が満足されていないと判断すると(S450でNo)、CPU11は、S455の処理を実行することなく、S460に移行する。また、S460に移行すると、印刷ジョブの実行に伴うエラーが発生したかどうかを判断する。
【0096】
そして、エラーが発生していないと判断すると(S460でNo)、S480に移行し、エラーが発生したと判断すると(S460でYes)、S461に移行する。
S461に移行すると、CPU11は、発生したエラーの種類を表す文字列を、表示部30に表示させると共に、エラーの発生を報知するためのビープ音を音出力部40に出力させることにより、エラーの発生をユーザに向けて簡易に報知する。
【0097】
その後、CPU11は、制御部10が備える時間計測カウンタの値NTをゼロにクリアすると共に、時間計測カウンタをスタートさせる(S462)。この動作により、エラー発生時点からの経過時間NTを、時間計測カウンタに計測させる。
【0098】
また、S462での処理を終えると、CPU11は、今回発生したエラーが管理テーブルに登録されているか否かを判断する(S463)。そして、今回発生したエラーが管理テーブルに登録されていると判断すると(S463でYes)、今回発生したエラーについてのエラープリントを、実行する(S465)。
【0099】
即ち、印刷部20を制御して、印刷部20に、新規用紙をトレイから給紙させ、その用紙に、今回発生したエラーへの対処方法を示したメッセージを印刷させる。
この処理後には、S466に移行し、終了ジョブ数FJをゼロにリセットする。また、今回発生したエラーの発生回数NEを1加算することで、今回発生したエラーの発生回数NEを更新する(S467)。
【0100】
本実施例のプリンタ装置1は、RAM13に、エラー毎のエラー発生回数NEを記憶しており、S467では、RAM13が記憶する今回発生したエラーの発生回数NEを更新する。尚、各エラーの発生回数NEは、プリンタ装置1の起動時において、ゼロにリセットされた状態でRAM13に記憶される。
【0101】
また、S467での処理を終えると、CPU11は、今回発生したエラーの発生回数NEが予め定められた閾値以上(例えば、1以上)であるか否かを判断する(S468)。
そして、今回発生したエラーの発生回数NEが閾値以上であると判断すると(S468でYes)、管理テーブルから今回発生したエラーの登録を抹消した後(S469)、S470に移行する。例えば、図8上段に示すError3がエラープリントの禁止条件を満足してS468でYesと判断した場合には、図8下段に示すように、Error3を管理テーブルから抹消する。このようにして、本実施例では、管理テーブルが初期化されるまでの間、Error3が発生しても常にS463でNoと判断されるようにする。
【0102】
一方、今回発生したエラーの発生回数NEが閾値未満であると判断すると(S468でNo)、CPU11は、S469の処理を実行することなく、S470に移行する。
この他、S463で、今回発生したエラーが管理テーブルに登録されていないと判断すると(S463でNo)、CPU11は、S465〜S469の処理を実行することなく、S470に移行する。即ち、管理テーブルに登録されていないエラーについては、エラープリントを実行することなく、S470に移行する。
【0103】
また、S470に移行すると、CPU11は、S170での処理と同様にして、一時中断されているジョブの実行を再開する。また、この再開後には、ジョブが終了したか否かを判断し(S480)、ジョブが終了していないと判断すると(S480でNo)、S450に移行する。このようにして、本実施例では、ジョブの実行中、繰返しS450〜S470の処理を実行する。
【0104】
一方、S480でジョブが終了したと判断すると、CPU11は、S490に移行し、終了ジョブ数FJを更新する。即ち、終了ジョブ数FJを1加算した値に更新する(S490)。尚、この終了ジョブ数FJは、プリンタ装置1の起動時に、ゼロにリセットされた状態でRAM13に記憶される。また、S490での処理を終えると、S420に移行し、新たに、印刷ジョブデータが送信されてくるか、電源ボタンのオフ操作がなされるまで待機する。そして、電源ボタンがオフ操作されたと判断すると(S420でYes)、当該主制御処理を終了する。
【0105】
以上に、本実施例の主制御処理の内容について説明したが、本実施例のプリンタ装置1は、禁止解除条件として、複数の条件を、切り替えて設定可能な構成にされている。具体的に、CPU11は、ユーザからの指令により禁止解除条件Aが設定されると、最後にエラーが発生してからの経過時間NTに基づき、禁止解除条件が満足されたか否かを判断する。
【0106】
即ち、禁止解除条件Aが設定されている場合、CPU11は、図9(a)に示すように、S450にて、時間計測カウンタの値NTに基づき、最後にエラーが発生してからの経過時間NTが予め定められた閾値以上(例えば、5分以上)であるか否かを判断する。そして、経過時間NTが閾値以上であると判断すると(S450でYes)、S455に移行し、管理テーブルを初期化した後、S460に移行する。一方、経過時間NTが閾値未満であると判断すると(S450でNo)、S455の処理を実行することなく、S460に移行する。
【0107】
一方、ユーザからの指令により禁止解除条件Bが設定されている状況下では、最後にエラープリントを実行してからの終了ジョブ数FJに基づき、禁止解除条件が満足されたか否かを判断する。
【0108】
即ち、禁止解除条件Bが設定されている場合、CPU11は、図9(b)に示すように、S450にて、終了ジョブ数FJが予め定められた閾値以上(例えば、1以上)であるか否かを判断する。そして、終了ジョブ数FJが閾値以上であると判断すると(S450でYes)、S455に移行し、管理テーブルを初期化した後、S460に移行する。一方、終了ジョブ数FJが閾値未満であると判断すると(S450でNo)、S455の処理を実行することなく、S460に移行する。
【0109】
以上、本実施例のプリンタ装置1の構成について説明したが、本実施例のプリンタ装置1によっても、第一実施例と同様に、ユーザにとって不要なエラーの報知が繰返し実行されることが原因で、ユーザに不満が及ぶのを抑制することができ、適切な頻度で、エラーを報知することができる。
【0110】
尚、本実施例のプリンタ装置1は、複数ユーザの夫々に対して個別にエラー発生履歴を記録するものではないため、各ユーザのエラー発生履歴を記録する第一実施例のプリンタ装置1ほど、不要なエラー報知によるユーザの不満を抑制することはできないが、少なくとも、従来装置と比べれば、不要なエラーの報知を抑制することができて、適切な頻度(タイミング)で、エラーを報知することができる。また、本実施例によれば、第一実施例と比較して、エラー発生履歴を記憶しておくための領域が不要であるため、低コストに本発明を適用したプリンタ装置1を構成することができる。
【0111】
また、以上には説明しなかったが、第二実施例においても、プリンタ装置1は、CPU11にて、図6に示す指示出力処理を実行する構成にすることができる。但し、本実施例のプリンタ装置1は、エラー発生履歴テーブルを有しないので、S330において、最後に発生したエラーについてのエラープリントを実行するために、エラーの発生時には(S460でYesと判断した場合には)、発生したエラーのエラーコードをRAM13等に記憶する。
【0112】
その他、第二実施例のプリンタ装置1における主制御処理は、次のように変形されてもよい(第三実施例)。
【実施例3】
【0113】
続いて、第三実施例について説明する。第三実施例のプリンタ装置1は、CPU11が実行する主制御処理の内容が異なることを除けば、概ね第二実施例のプリンタ装置1と同一である。従って、以下では、第三実施例の説明として、第二実施例のプリンタ装置1とは異なる第三実施例のプリンタ装置1の構成を選択的に説明する。
【0114】
図10は、第三実施例のプリンタ装置1がCPU11にて実行する主制御処理を表すフローチャートである。
この主制御処理を開始すると、CPU11は、第二実施例と同様に、S410〜S430の処理を実行する。そして、印刷ジョブデータが送信されてきたと判断すると(S430でYes)、S431に移行し、今回送信されてきた印刷ジョブデータが示すユーザIDが、前回実行したジョブのユーザIDと異なるものであるか否かを、前回のS435でRAM13に記憶したユーザIDの情報に基づいて判断する。これによって、ジョブのユーザが前回と切り替わったか否かを判断する。
【0115】
但し、本実施例では、ジョブのユーザIDをRAM13に記憶するため、プリンタ装置1の電源オフ時には、その情報が失われる。従って、プリンタ装置1の起動後初回に実行するS431では、形式的に、今回送信されてきた印刷ジョブデータが示すユーザIDが、前回実行したジョブのユーザIDと異なると判断する。
【0116】
また、今回送信されてきた印刷ジョブデータが示すユーザIDが、前回実行したジョブのユーザIDとは異なると判断すると(S431でYes)、CPU11は、エラープリントの禁止解除条件が満足されたとして、S433に移行し、S455での処理と同様に、管理テーブルを初期化する。その後、S435に移行する。一方、S431で、今回送信されてきた印刷ジョブデータが示すユーザIDが、前回実行したジョブのユーザIDと同一であると判断すると(S431でNo)、CPU11は、S433での処理を実行することなく、S435に移行する。
【0117】
また、S435では、今回送信されてきた印刷ジョブデータが示すユーザIDを、今回実行するジョブのユーザIDとして、RAM13に記憶する。その後、S440以降の処理を、第二実施例と同様に実行する。但し、本実施例では、第二実施例においてS440以降に実行するS450,S455,S462,S466,S490の処理を実行せずスキップするものとする。
【0118】
以上、第三実施例のプリンタ装置1について説明したが、このプリンタ装置1によれば、ユーザが切り替わる度に、エラープリントの禁止動作を一旦解除するので、エラープリントされていないユーザに対してまでもエラープリントの禁止動作が及ぶのを抑制することができ、同一ユーザに対してエラープリントを繰返し実行せずに済むと共に、異なるユーザに対してはエラープリントを実行して、エラーへの対処方法をユーザに伝えることができる。
【0119】
また、本実施例によれば、ユーザ毎のエラー発生履歴を記録せずとも、各ユーザに対して適切なタイミングでエラープリントを実行することができ、安価に利便性の高いプリンタ装置1をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】プリンタ装置1の構成を表すブロック図である。
【図2】CPU11が実行する主制御処理を表すフローチャートである。
【図3】エラーの報知態様を表す説明図である。
【図4】CPU11が実行するエラープリント実行制御処理を表すフローチャートである。
【図5】エラー発生履歴テーブルの構成を表す説明図である。
【図6】CPU11が実行する指示出力処理を表すフローチャートである。
【図7】第二実施例の主制御処理を表すフローチャートである。
【図8】管理テーブルの構成及び更新の態様を表す説明図である。
【図9】解除条件が満足されたか否かの判断手法を表す説明図である。
【図10】第三実施例の主制御処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
1…プリンタ装置、10…制御部、11…CPU、13…RAM、15…NVRAM、20…印刷部、30…表示部、40…音出力部、50…操作部、60…通信部、100…パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を出力する出力手段と、
自装置内でエラーが発生すると、前記出力手段を通じ、前記発生したエラーを報知するエラー報知手段と、
エラーの発生履歴に基づき、所定の禁止条件が満足されると、前記エラー報知手段による当該エラーの報知を禁止すると共に、所定の解除条件が満足されると、前記報知の禁止動作を解除する報知制御手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記禁止条件は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方によって規定されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記出力手段として、記録シートに画像を形成する画像形成手段を備え、
前記エラー報知手段は、自装置内でエラーが発生すると、前記画像形成手段に、前記発生したエラーに関するメッセージを、記録シートに形成させることにより、前記発生したエラーを報知する構成にされていること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記エラー報知手段は、前記発生したエラーに関するメッセージとして、前記画像形成手段に、前記発生したエラーへの対処方法を表すメッセージを、記録シートに形成させる構成にされていることを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、印刷対象のデータがユーザから指定されると、前記画像形成手段に、前記指定されたデータに基づく画像を、記録シートに形成させる記録手段を備えた構成にされていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記解除条件は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方によって規定されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記解除条件は、前記記録手段の稼動量によって規定されていることを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項8】
前記エラー報知手段は、前記記録手段による画像形成動作に伴って自装置内で発生するエラーを報知する構成にされ、
前記電子機器は、前記記録手段により画像形成される前記印刷対象のデータが切り替わる度、今回、前記記録手段により画像形成される前記印刷対象のデータを指定したユーザが、前回、前記記録手段により画像形成された前記印刷対象のデータを指定したユーザと異なるか否かを判断する判断手段を備え、
前記報知制御手段は、前記判断手段により、今回、前記記録手段により画像形成される前記印刷対象のデータを指定したユーザが、前回、前記記録手段により画像形成された前記印刷対象のデータを指定したユーザと異なると判断されると、前記解除条件が満足されたとして、前記報知の禁止動作を解除する構成にされていること
を特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項9】
前記エラー報知手段は、前記記録手段による画像形成動作に伴って自装置内で発生するエラーを報知する構成にされ、
前記電子機器は、前記記録手段による画像形成動作に伴って自装置内でエラーが発生すると、当該エラーが発生する原因となった画像形成動作に供された印刷対象のデータを指定したユーザの識別情報に関連付けて、当該エラーの発生履歴を、前記電子機器が内蔵するデータ書換可能な記憶媒体に書き込む書込手段を備え、
前記報知制御手段は、前記記録手段による画像形成動作に伴って自装置内でエラーが発生すると、各ユーザの識別情報に関連付けられて前記記憶媒体に書き込まれたエラーの発生履歴の内、当該エラーが発生する原因となった画像形成動作に供された印刷対象のデータを指定したユーザの識別情報に関連付けられて前記記憶媒体に書き込まれた前記エラーの発生履歴を選択的に用いて、前記発生したエラーについての前記禁止条件が満足されたか否かを判断する構成にされていること
を特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項10】
前記禁止条件及び前記解除条件の夫々は、エラーの発生回数及び発生間隔の少なくとも一方によって規定され、
前記報知制御手段は、前記記録手段による画像形成動作に伴って自装置内でエラーが発生すると、当該エラーが発生する原因となった画像形成動作に供された印刷対象のデータを指定したユーザの識別情報に関連付けられて前記記憶媒体に書き込まれた前記エラーの発生履歴を選択的に用いて、前記発生したエラーについての前記禁止条件及び前記解除条件の夫々が満足されたか否かを、判断する構成にされていること
を特徴とする請求項9記載の電子機器。
【請求項11】
前記出力手段として、前記画像形成手段に加え、音又は光の形態で情報出力を行う簡易出力手段を備えると共に、
自装置内でエラーが発生すると、前記報知制御手段によってエラーの報知動作が禁止されているか否かに拘わらず、前記簡易出力手段を通じ、前記発生したエラーを報知する簡易報知手段を備えること
を特徴とする請求項3〜請求項5及び請求項7〜請求項10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
ユーザインタフェースを通じ報知指令が入力されると、当該報知指令が入力されるまでの期間に、前記報知制御手段により禁止された報知動作を、前記出力手段を通じて実現する副報知手段
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−196307(P2009−196307A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42982(P2008−42982)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】