説明

電子機器

【課題】記憶媒体の寿命を延ばし、かつ記憶媒体のアクセス速度を確保した電子機器の提供。
【解決手段】異なる容量のメモリカードを装着可能な電子機器は、メモリカード装着時にメモリカードの容量を検出し記憶しておく。メモリカードのフォーマット処理(S100)が指示されると、記憶しておいたメモリカードの容量に基づいて、物理フォーマット(S120)を行うか、クイックフォーマット(S130)を行うか判断(S110)する。物理フォーマットでは、媒体の全面イレーズ処理後にファイルシステムを再構築するが、クイックフォーマットでは、ファイルシステムの再構築のみを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、特に、記憶媒体のフォーマット処理を行うことができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体記録媒体を開示する。この半導体記録媒体は、ホスト機器から全領域の削除が指示されると、簡素化された消去処理を実施する。これにより、半導体記録媒体の全領域を消去する時間を短縮することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−135544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1は、半導体記録媒体の処理については開示しているが、ホスト機器のフォーマット処理の指示については、特に新しい技術を開示していない。
【0005】
本発明は、装着されている記憶媒体の種類に応じて、適切なフォーマット指示を行い、記憶媒体の寿命をなるべく延ばし、かつ、記憶媒体の必要なアクセス速度を確保できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電子機器は、記憶媒体を接続可能な接続手段と、記憶媒体の容量を検出する検出手段と、記憶媒体をフォーマットするフォーマット手段と、を備え、フォーマット手段は、検出手段による検出結果に応じて、異なる方法で記憶媒体のフォーマットを行う。
【0007】
また、本発明にかかる電子機器において、フォーマット手段は、記憶媒体の容量が所定の容量より大きい場合に、記憶媒体へErase処理を指示することなく、ファイルシステムの再構築を行うことにより記憶媒体のフォーマットを行うようにしてもよい。
【0008】
また、本発明にかかる電子機器は、記憶手段をさらに備え、フォーマット手段は、記憶手段の容量に関わらず、記憶媒体へErase処理を指示することなく、ファイルシステムの再構築を行うことにより記憶媒体のフォーマットを行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装着されている記憶媒体の種類に応じて、適切なフォーマット指示を行い、記憶媒体の寿命をなるべく延ばし、かつ、記憶媒体の必要なアクセス速度を確保できる電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】デジタルビデオカメラ100の構成を示すブロック図
【図2】メモリカードのフォーマット動作を説明するためのフローチャート
【図3】物理フォーマットを説明するためのフローチャート
【図4】クイックフォーマットを説明するためのフローチャート
【図5】内蔵メモリのフォーマット動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔1.実施の形態1〕
本発明をデジタルビデオカメラに適用した例について図面を用いて説明する。
【0012】
〔1−1.概要〕
本実施の形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、カードスロット230を有する。カードスロット230には、メモリカード240を装着することができる。デジタルビデオカメラ100は、装着されているメモリカード240をフォーマットできる。
【0013】
本実施の形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、装着されているメモリカードの種類に応じて、適切なフォーマット指示を行い、メモリカードの寿命をなるべく延ばし、かつ、メモリカードの必要なアクセス速度を確保できる。
【0014】
〔1−2.構成〕
〔1−2−1.電気的構成〕
本実施の形態にかかるデジタルビデオカメラ100の電気的構成について、図1を用いて説明する。図1は、デジタルビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。デジタルビデオカメラ100は、ズームレンズ110等からなる光学系により形成された被写体像をCCDイメージセンサー180で撮像する。CCDイメージセンサー180で生成された映像データは、画像処理部190で各種処理が施され、メモリカード240に格納される。また、メモリカード240に格納された映像データは、液晶モニタ270で表示可能である。以下、デジタルビデオカメラ100の構成を詳細に説明する。
【0015】
デジタルビデオカメラ100の光学系は、ズームレンズ110、OIS140、フォーカスレンズ170を含む。ズームレンズ110は、光学系の光軸に沿って移動することにより、被写体像を拡大又は縮小可能である。また、フォーカスレンズ170は、光学系の光軸に沿って移動することにより、被写体像のピントを調整する。
【0016】
OIS140は、内部に光軸に垂直な面内で移動可能な補正レンズを有する。OIS140は、デジタルビデオカメラ100の振れを相殺する方向に補正レンズを駆動することにより、被写体像の振れを低減する。
【0017】
ズームモータ130は、ズームレンズ110を駆動する。ズームモータ130は、パルスモータやDCモータ、リニアモータ、サーボモータなどで実現してもよい。ズームモータ130は、カム機構やボールネジなどの機構を介してズームレンズ110を駆動するようにしてもよい。検出器120は、ズームレンズ110が光軸上でどの位置に存在するのかを検出する。検出器120は、ズームレンズ110の光軸方向への移動に応じて、ブラシ等のスイッチによりズームレンズの位置に関する信号を出力する。
【0018】
OISアクチュエータ150は、OIS140内の補正レンズを光軸と垂直な面内で駆動する。OISアクチュエータ150は、平面コイルや超音波モータなどで実現できる。また、検出器160は、OIS140内における補正レンズの移動量を検出する。
【0019】
CCDイメージセンサー180は、ズームレンズ110等からなる光学系で形成された被写体像を撮像して、映像データを生成する。CCDイメージセンサー180は、露光、転送、電子シャッタなどの各種動作を行う。
【0020】
画像処理部190は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対して各種の処理を施す。画像処理部190は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対して処理を施し、液晶モニタ270に表示するための映像データを生成したり、メモリカード240に再格納するための映像データを生成したりする。例えば、画像処理部190は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対してガンマ補正やホワイトバランス補正、傷補正などの各種処理を行う。また、画像処理部190は、CCDイメージセンサー180で生成された映像データに対して、H.264規格やMPEG2規格に準拠した圧縮形式等により映像データを圧縮する。画像処理部190は、DSPやマイコンなどで実現可能である。
【0021】
コントローラー210は、全体を制御する制御手段である。コントローラー210は、半導体素子などで実現可能である。コントローラー210は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。コントローラー210は、マイコンなどで実現できる。
【0022】
メモリ200は、画像処理部190及びコントローラー210のワークメモリとして機能する。メモリ200は、例えば、DRAM、強誘電体メモリなどで実現できる。
【0023】
液晶モニタ270は、CCDイメージセンサー180で生成した映像データが示す画像や、メモリカード240から読み出した映像データが示す画像を表示可能である。
【0024】
ジャイロセンサー220は、圧電素子等の振動材等で構成される。ジャイロセンサー220は、圧電素子等の振動材を一定周波数で振動させコリオリ力による力を電圧に変換して角速度情報を得る。ジャイロセンサー220から角速度情報を得、この揺れを相殺する方向にOIS内の補正レンズを駆動させることにより、デジタルビデオカメラ100は、使用者による手振れを補正する。
【0025】
カードスロット230は、メモリカード240を着脱可能である。カードスロット230は、機械的及び電気的にメモリカード240と接続可能である。メモリカード240は、フラッシュメモリや強誘電体メモリなどを内部に含み、データを格納可能である。
【0026】
内部メモリ280は、フラッシュメモリや強誘電低メモリなどで構成される。内部メモリ280は、デジタルビデオカメラ100全体を制御するための制御プログラム等を格納する。
【0027】
操作部材250は、使用者から画像の撮像指示を受け付ける部材である。ズームレバー260は、使用者からズーム倍率の変更指示を受け付ける部材である。
【0028】
内蔵メモリ290は、データを記憶するための記憶媒体である。本実施の形態においては、4GBのフラッシュメモリで構成されている。なお、必ずしもこのような構成である必要はなく、容量は、8GBであってもよいし、16GBであってもよい。要するに容量は問わない。
【0029】
〔1−2−2.本発明との対応〕
カードスロット230は、本発明の接続手段の一例である。コントローラー210は、本発明の検出手段の一例である。コントローラー210は、本発明のフォーマット手段の一例である。内蔵メモリ290は、本発明の記憶手段の一例である。
【0030】
〔1−3.メモリカードのフォーマット動作〕
本実施の形態にかかるデジタルビデオカメラ100がメモリカード240のフォーマットを行う際の動作について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態におけるメモリカード240のフォーマット動作を説明するためのフローチャートである。
【0031】
使用者によりメモリカード240のフォーマット処理が選択されると(S100)、コントローラー210は、メモリカード240の容量が32GBを超えるか否かを判断する(S110)。32GB以下であると判断すると、コントローラー210は、メモリカード240に対して、物理フォーマット処理をする(S120)。一方、32GBを超えると判断すると、コントローラー210は、メモリカード240に対して、クイックフォーマット処理をする(S130)。物理フォーマット及びクイックフォーマットについては後述する。
【0032】
〔1−3−1.物理フォーマット〕
物理フォーマットについて図3を用いて説明する。図3は、物理フォーマットを説明するためのフローチャートである。
【0033】
物理フォーマット処理が開始されると(S200)、コントローラー210は、全記憶領域を物理的に完全にEraseするようメモリカード240に対して指示する(S210)。Eraseを指示した後に、コントローラー210は、メモリカード240内にファイルシステムを再構築する(S220)。これにより物理フォーマットが完了する。
【0034】
〔1−3−2.クイックフォーマット〕
クイックフォーマットについて図4を用いて説明する。図4は、クイックフォーマットを説明するためのフローチャートである。
【0035】
クイックフォーマット処理が開始されると(S300)、コントローラー210は、メモリカード240内の物理的なEraseを指示せず、ファイルシステムの再構築のみを行う(S310)。これによりクイックフォーマットが完了する。
【0036】
〔1−3−3.理由〕
本実施の形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、メモリカード240の容量に応じて、フォーマットの方法を変更している。以下、その理由について説明する。
【0037】
容量の小さいメモリカードは、近年発売された製品ではなく、かなり古くに発売された製品が多い。このようなメモリカードは、書き込み速度が遅い。従って、書き込み速度を確保する必要がある。
【0038】
仮に、このようなメモリカードにクイックフォーマットを施すとする。このような場合、メモリカードの特定の領域にデータを書き込む際、メモリカードは、指示された特定の領域を一度Eraseし、その後に書き込みを行うこととなる。このように、クイックフォーマットを行うと、データの書き込みを行うために、Erase処理を行うための余分な時間が必要となる。一方、物理フォーマットを行っておけば、メモリカードにデータを書き込む際に、メモリカード内のErase処理を行う必要がなくなる。このため、データの書き込みを高速に行うことができる。
【0039】
従って、デジタルビデオカメラ100は、容量の小さいメモリカードに対して、フォーマット処理を行う際に、物理フォーマットを行うこととした。
【0040】
一方、容量の大きいメモリカードは、近年発売された製品であることが多い。このようなメモリカードは、書き込み速度が高速である。しかしながら、このようなメモリカードは、微細化された半導体プロセスで製造されたものが多い。微細化された半導体プロセスで製造されたメモリカードが有するメモリセルのフローティングゲートは壊れやすい。従って、このようなメモリカードに対して、過度な全領域へのErase指示を繰り返すと、メモリカードは、短期間で使用できなくなる。
【0041】
仮に、このようなメモリカードに物理フォーマットを施すとする。上述した通り、物理フォーマットは、1度フォーマット際に、全面に対してErase処理を指示する。従って、このような場合には、メモリカードは、短期間で使用できなくなる。
【0042】
従って、デジタルビデオカメラ100は、容量の大きいメモリカードに対して、フォーマット処理を行う際に、クイックフォーマットを行うこととした。
【0043】
〔1−4.内蔵メモリのフォーマット動作〕
次に、本実施の形態にかかるデジタルビデオカメラ100が内蔵メモリ290に対してフォーマットを行う際の動作について図5を用いて説明する。図5は、内蔵メモリ290に対するフォーマット動作を説明するためのフローチャートである。
【0044】
使用者により内蔵メモリ290のフォーマット処理が選択されると(S400)、コントローラー210は、内蔵メモリ290の容量が4GBであるにも関わらず、内蔵メモリ290内を物理的なEraseを指示せず、ファイルシステムの再構築のみを行う(S410)。次に、このように制御する理由について説明する。
【0045】
内蔵メモリはビデオカメラの製造者が選択する。従って、製造者は、小さな容量の内蔵メモリであっても、近年発売された内蔵メモリを選択する。小さな容量の内蔵メモリであっても、近年の微細化された半導体プロセスで製造された内蔵メモリは、上述したのと同様の理由で物理フォーマットに適さない。
【0046】
従って、本実施の形態においては、内蔵メモリ290のフォーマットについては、その容量に関わらず、クイックフォーマットを行うこととした。
〔2.他の実施の形態〕
以上により、本発明の実施の形態として、実施の形態1を説明した。しかし、本発明は、これらには限定されない。そこで、本発明の他の実施の形態を本欄にまとめて説明する。
【0047】
実施の形態1にかかるデジタルビデオカメラ100の光学系及び駆動系は、図1に示すものに限定されない。例えば、図1では3群構成の光学系を例示しているが、他の群構成のレンズ構成としてもよい。また、それぞれのレンズは、1つのレンズで構成してもよく、複数のレンズから構成されるレンズ群として構成してもよい。
【0048】
また、実施の形態1では、撮像手段として、CCDイメージセンサー180を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、CMOSイメージセンサーで構成してもよく、NMOSイメージセンサーで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、記憶媒体のフォーマットを行うことができる電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
100 デジタルカメラ
110 ズームレンズ
120 検出器
130 ズームモータ
140 OIS
150 OISアクチュエータ
160 検出器
170 フォーカスレンズ
180 CCDイメージセンサー
190 画像処理部
200 メモリ
210 コントローラー
220 ジャイロセンサー
230 カードスロット
240 メモリカード
250 操作部材
260 ズームレバー
270 液晶モニタ
280 内部メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を接続可能な接続手段と、
前記記憶媒体の容量を検出する検出手段と、
前記記憶媒体をフォーマットするフォーマット手段と、を備え、
前記フォーマット手段は、前記検出手段による検出結果に応じて、異なる方法で前記記憶媒体のフォーマットを行う、
電子機器。
【請求項2】
前記フォーマット手段は、前記記憶媒体の容量が所定の容量より大きい場合に、前記記憶媒体へErase処理を指示することなく、ファイルシステムの再構築を行うことにより前記記憶媒体のフォーマットを行う、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
記憶手段をさらに備え、
前記フォーマット手段は、前記記憶手段の容量に関わらず、前記記憶媒体へErase処理を指示することなく、ファイルシステムの再構築を行うことにより前記記憶媒体のフォーマットを行う、
請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−118559(P2011−118559A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274100(P2009−274100)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】