説明

電子機器

【課題】タッチパネルの動作を快適なものにすることを目的とする。
【解決手段】電子機器が、タッチパネルと、前記タッチパネルの動作を制御するタッチパネル制御処理及び前記タッチパネル制御処理以外の第2の処理を実行する処理実行手段とを具備する電子機器であって、前記処理実行手段は、優先条件に基づいて前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、ジョブの優先順位付けの仕組みとして、印刷ジョブ及び送信ジョブなどのジョブの受信順に優先順位を割り振りつけたり、また、ジョブのリストを表示し、その中から選択されたジョブを優先的に実行したりしている。例えば、上述したようなものとして、下記特許文献1には、ジョブの優先順位付け機能を有する画像入力装置が開示されている。この画像入力装置は、ジョブを実行している最中に後続のジョブ要求を受け付けると、先行のジョブを優先的に実行しながら当該ジョブのメモリ資源の割り当てを変更することで、後続のジョブにメモリ資源を割り当てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−174247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、各ジョブに優先順位を割り当てて、その順位に従ってジョブを実行している。しかしながら、画像形成装置にはジョブの処理以外のタッチパネルの処理が存在するが、ジョブの処理が優先的に実行されるので、タッチパネルの処理が待たされることがある。つまり、ジョブの画像形成処理などを優先するために、タッチパネルの画面の切り替えや操作ボタンの応答が遅くなる。このため、ユーザは、画像形成などの処理を実行している最中にタッチパネルを操作すると、タッチパネルの処理の遅さに不快を感じる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、タッチパネルの動作を快適なものにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、電子機器に係る第1の解決手段として、タッチパネルと、前記タッチパネルの動作を制御するタッチパネル制御処理及び前記タッチパネル制御処理以外の第2の処理を実行する処理実行手段とを具備する電子機器であって、前記処理実行手段は、優先条件に基づいて前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、電子機器に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、処理実行手段は、前記タッチパネル制御処理の処理時間がかかる動作をタッチパネルに実行させる場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行するという手段を採用する。
【0008】
本発明では、電子機器に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、処理実行手段は、指定された時間内に前記タッチパネルに動作を実行させる場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行するという手段を採用する。
【0009】
本発明では、電子機器に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、ログイン機能を有する電子機器であって、処理実行手段は、指定されたユーザがログインしている状況で前記タッチパネルに動作を実行させる場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行するという手段を採用する。
【0010】
本発明では、電子機器に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれかの解決手段において、処理実行手段は、前記タッチパネルが所定の時間内に連続して操作された場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優先条件に基づいて第2の処理よりもタッチパネル制御処理を優先的に実行することで、タッチパネルを優先的に動作させる。これにより、タッチパネルの動作を快適なものにすることができる。タッチパネルを優先的に動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る複合機Aは、電子機器である画像形成装置の1つであり、コピー機能、プリント機能、スキャン機能、ファクシミリ送信/受信機能及び電子メール送信機能を併せ持つ。そして、複合機Aは、図1に示すように、外部記憶部1、主記憶部2、CPU3、各種センサ群4、画像読取部5、画像データ記憶部6、画像処理部7、用紙搬送/画像形成部8、通信I/F部9及び操作表示部10を備えている。なお、外部記憶部1、主記憶部2及びCPU3が、本実施形態における処理実行手段を構成する。
【0014】
外部記憶部1は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスク等の外部記憶装置であり、CPU6によって実行されるタッチパネル制御プログラム(タッチパネル制御処理)1a、画像処理制御プログラム(第2の処理)1b、用紙搬送/画像形成制御プログラム(第2の処理)1c及び優先動作制御プログラム1dなどの制御プログラムを記憶する。なお、複合機Aでは、操作表示部10がタッチパネル10aを備えている。このタッチパネル10aの詳細ついては、後述する。
【0015】
主記憶部2は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成されている主記憶装置である。主記憶部2は、CPU6の制御の下、外部記憶部1に記憶されている制御プログラムを記憶する。そして、主記憶部2が制御プログラムを記憶すると、CPU3が、主記憶部2から制御プログラムを読み出して、当該制御プログラムを実行する。なお、CPU3は、マルチプロセス対応のOS(Operating System)上でタッチパネル制御プログラム1a、画像処理制御プログラム1b、用紙搬送/画像形成制御プログラム1c及び優先動作制御プログラム1dなどの制御プログラムをプロセスとして実行する。
【0016】
CPU3は、主記憶部2に記憶されている制御プログラム、各種センサ群4から受信する各種検出信号、画像データ記憶部6に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ及びファクシミリ画像データ、通信I/F部9を介して外部(クライアントコンピュータ及び公衆網など)から入力される各種指示並びに操作表示部10から入力される操作指示に基づいて複合機Aの全体動作を制御する。なお、このCPU3の制御処理の詳細については、複合機Aの動作として後述する。
【0017】
各種センサ群4は、例えば、原稿セット検出センサ、用紙切れ検出センサ、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ及び筐体(図示略)のカバー開閉検出センサなどの画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU3に出力する。
【0018】
画像読取部5は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサなどを備え、CPU3の制御指令の下でADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく原稿画像データをCPU3に出力する。一方、CPU3は、原稿画像データを画像データ記憶部6に記憶させる。
【0019】
画像データ記憶部6は、例えばフラッシュメモリまたはハードディスクであり、CPU3の制御指令の下で原稿画像データ、通信I/F部9が外部(クライアントコンピュータ及び公衆網など)から受信するプリント画像データ及びファクシミリ画像データを記憶する。なお、画像データ記憶部6は、原稿画像データ、プリント画像データ及びファクシミリ画像データをビットマップデータで記憶する。
【0020】
画像処理部7は、画像処理制御プログラムに基づくCPU3の制御指令の下で、画像データ記憶部6から入力される画像データに対して各種画像処理(例えば、拡大縮小コピーに対応した画像処理)を施すとともに、画像データを画像形成形式の画像データに変換して用紙搬送/画像形成部8に出力する。画像読取部5がカラー原稿を読み取った場合、画像データ記憶部6から画像処理部7に入力される画像データは光の三原色に対応したRGB画像データ(カラー画像データ)となるが、画像処理部7は、このようなRGB画像データを画像形成形式に対応した画像データ、例えばYMCK画像データ、つまりY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)及びK(ブラック)を基準色とする画像データに変換して用紙搬送/画像形成部8に出力する。
【0021】
用紙搬送/画像形成部8は、プリントエンジン(感光ドラム、帯電器、現像装置及び定着ローラなど)、給紙ローラ及び排紙ローラなどを備える。この用紙搬送/画像形成部8は、用紙搬送/画像形成制御プログラム1bに基づくCPU3の制御指令の下で、給紙トレイ(図示略)から印刷用紙を給紙ローラで搬送し、画像処理部7からの画像データに基づく画像(トナーからなる画像)を印刷用紙に転写し、当該印刷用紙を排紙ローラで排紙トレイ(図示略)に搬送する。
【0022】
通信I/F部9は、外部のクライアントコンピュータ及び公衆網に接続し、このクライアントコンピュータ及び公衆網との間で各種信号の送受信を行う。そして、通信I/F部9は、クライアントコンピュータから入力されるプリント画像データと、公衆網から入力されるファクシミリ画像データとをCPU3に出力する。一方、CPU3は、プリント画像データ及びファクシミリ画像データを画像データ記憶部6に記憶させる。
【0023】
操作表示部10は、コピー機能キー、プリント機能キー、スキャン機能キー、ファクシミリ機能キー、スタートキー、ストップ/クリアキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)などのハードウェアキーと、タッチパネル10aとを備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU3に出力する。上記コピー機能キー、プリント機能キー、スキャン機能キー及びファクシミリ機能キーは、各機能を起動するためのキーである。そして、上記タッチパネル10aは、タッチパネル制御プログラム1aに基づくCPU3の制御指令の下で、種々の画面を表示などの動作を実行する。
【0024】
次に、上記構成の本実施形態に係る複合機Aの動作について、図2を参照して説明する。
例えば、複合機Aが、コピーを実行している、すなわち画像処理部7及び用紙搬送/画像形成部8の稼働状態であるとする。そして、この複合機Aで原稿をコピーしようとするユーザが、操作表示部10のコピー機能キーを押下することで複合機Aをコピー機能の動作モードに切り替える。すると、複合機Aのタッチパネル10aはコピー基本画面を表示する。そして、ユーザは、コピー基本画面上の操作ボタンを操作することで、コピーの各種設定を行う。なお、上記コピー基本画面とは、複合機Aのコピー機能におけるトップ画面であり、コピー機能の各種設定を行うための操作ボタンなどを表示する画面である。
【0025】
CPU1は、タッチパネル10aに表示されたコピー基本画面上の操作ボタンが操作されたか否か判定する(ステップS1)。CPU1は、ステップS2において『NO』と判定した場合には 、すなわちコピー基本画面上の操作ボタンが操作されていない場合には、処理を終了する。CPU1は、ステップS1において『YES』と判定した場合には 、すなわちコピー基本画面上の操作ボタンが操作された場合には、優先動作制御プログラム1dに従って、タッチパネル10aを他の機能よりも優先的に動作させる条件(優先条件)が主記憶部2に記憶されているか否か判定する(ステップS2)。
【0026】
上記優先条件は、予めユーザにより登録されるデータである。この優先条件は、外部記憶部1に記憶されており、複合機Aが稼動を開始すると、主記憶部2が外部記憶部1から読み出して記憶する。
例えば、上記優先条件として、原稿画像データまたはアドレス帳の一覧を表示するなどのタッチパネル制御処理1aの処理時間がかる動作をタッチパネル10aに実行させる場合や、指定された時間内にタッチパネル10aに動作を実行させる場合などがある。また、指定されたユーザが複合機Aにログインしている状況でタッチパネル10aに動作を実行させる場合を優先条件とするようにしてもよい。さらに、タッチパネル10aが所定の時間内に連続して操作された場合を、優先条件するようにしてもよい。
ここで、上記優先条件として、処理時間がかる動作をタッチパネル10aに実行させる場合とは、所定操作回数の多い場合や、階層表示の深い機能を操作する場合等がある。
【0027】
CPU1は、ステップS2において『NO』と判定した場合には 、すなわち優先条件が主記憶部2に記憶されていない場合には、処理を終了する。CPU1は、ステップS2において『YES』と判定した場合には 、すなわち優先条件が主記憶部2に記憶されている場合には、優先動作制御プログラム1dに従って、タッチパネル10aの状況が優先条件に当てはまるか否か判定する(ステップS3)。
【0028】
CPU1は、ステップS3において『NO』と判定した場合には 、すなわちタッチパネル10aの状況が優先条件に当てはまらない場合には、処理を終了する。CPU1は、ステップS3において『YES』と判定した場合には 、すなわちタッチパネル10aの状況が優先条件に当てはまる場合には、優先動作制御プログラム1dに従って、複合機Aの状態がタッチパネル10aを優先的に動作させることが可能な状態であるか否か判定する(ステップS4)。
【0029】
例えば、画像処理部7が画像データの変換処理を実行しているときは、タッチパネル10aを優先的に動作させることが可能な状態である。しかしながら、用紙搬送/画像形成部8が、感光ドラムに画像を生成しているときや、印刷用紙の搬送しているときなどのタイミング遅延が発生してはいけいない状態は、タッチパネル10aを優先的に動作させることができない状態である。
【0030】
CPU1は、ステップS4において『NO』と判定した場合には 、すなわちタッチパネル10aを優先的に動作させることができない状態である場合には、処理を終了する。
CPU1は、ステップS4において『YES』と判定した場合には 、すなわちタッチパネル10aを優先的に動作させることができる状態である場合には、優先動作制御プログラム1dに従って、タッチパネル10aを優先的に動作させるために他の機能の制御プログラムよりもタッチパネル制御プログラム1aを優先的に実行する(ステップS5)
【0031】
ステップS5においてタッチパネル制御プログラム1aを優先的に実行するとは、他の機能の制御プログラムよりも、タッチパネル制御プログラム1aのCPU3の処理時間を増やすことである。例えば、ステップS5において画像処理制御プログラム1bの処理時間の割り当てを減らし、タッチパネル制御プログラム1aの処理時間を増やす。これにより、画像処理部7よりもタッチパネル10aが優先的に動作する。このように、タッチパネル制御プログラム1aを優先的に実行することは、OSのプロセス管理処理に要求することで実現できる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る複合機Aでは、他の機能の制御プログラムよりもタッチパネル制御プログラム1aを優先的に実行することで、タッチパネル10aを優先的に動作させる。これにより、タッチパネルの動作を快適なものにすることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態は、電子機器の1つである複合機Aに本発明を適用したものであるが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、携帯端末などのタッチパネルを備えるあらゆる電子機器に、本発明を適用することができる。
【0034】
(2)上記実施形態は、マルチタスク対応のOS上で実行されるタッチパネル制御プログラムの処理時間を増やすことで優先的に実行させるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、シングタスク対応のOSであれば、プロセスが実行される順番を入れ替えてタッチパネル制御プログラムを優先的に実行するようにすればよい。
【0035】
(3)上記実施形態は、特に指示がなくても、タッチパネル10aを優先的に動作させているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、タッチパネル優先キーをハードウェアキーとして、またはタッチパネル10aに表示されるソフトウェアキーとして操作表示部10に新たに設け、このタッチパネル優先キーが押下されて、タッチパネル優先設定が「ON」になると、タッチパネル10aを優先的に動作させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
A…複合機、1…外部記憶部(処理実行手段)、1a…タッチパネル制御プログラム(タッチパネル制御処理)、1b…画像形成制御プログラム(第2の処理)、1c…用紙搬送/画像形成制御プログラム(第2の処理)、1d…優先動作制御プログラム、2…主記憶部(処理実行手段)、3…CPU(処理実行手段)、4…各種センサ群、5…画像読取部、6…画像データ記憶部、7…画像処理部、8…用紙搬送/画像形成部、9…通信I/F部、10…操作表示部、10a…タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、前記タッチパネルの動作を制御するタッチパネル制御処理及び前記タッチパネル制御処理以外の第2の処理を実行する処理実行手段とを具備する電子機器であって、
前記処理実行手段は、優先条件に基づいて前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
処理実行手段は、前記タッチパネル制御処理の処理時間がかかる動作をタッチパネルに実行させる場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
処理実行手段は、指定された時間内に前記タッチパネルに動作を実行させる場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
ログイン機能を有する電子機器であって、
処理実行手段は、指定されたユーザがログインしている状況で前記タッチパネルに動作を実行させる場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
処理実行手段は、前記タッチパネルが所定の時間内に連続して操作された場合に、前記第2の処理よりも前記タッチパネル制御処理を優先的に実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−154639(P2011−154639A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17042(P2010−17042)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】