説明

電子機器

【課題】外部の表示部に設けられた透明回路基板を、接続線により筐体内部の回路基板と接続する際に、確実に防水性能を確保できる電子機器を提供する。
【解決手段】筐体20は、枠状の側部22、側部22の一端側228に設けられた底部23、側部22の他端側221に設けられた透明回路基板261により密閉箱状に形成されており、筐体内部に収容された回路基板31と、筐体20の外側の透明回路基板261とを接続線32により接続する。透明回路基板261の端面261Aは筐体20よりも外側に位置しており、透明回路基板261の端面261Aから引き出された接続線32は筐体20の外側を通り、筐体20の内外を連通する挿通孔223を通って筐体20内の回路基板31と接続される。このとき、接続線32に設けられたグロメット33が挿通孔223に圧入・嵌合するため、接続線32が筐体20の外部から内部に配索されていても確実な防水性が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の外部の表示部に透明回路基板を有し、この透明回路基板を接続線により、筐体内部の回路基板と接続する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の電子機器にタッチパネルを備えたものが提案されてきている。ここで、携帯電話等の持ち運ばれる機器の場合、誤って水中へ落としたり、雨が筐体内部に侵入したり等の原因によって故障することが多い。そこで、タッチパネルを供えた電子機器についても防水構造を実現する技術が提案されてきている。
例えば、従来の電子機器には、タッチパネルおよびその制御を行う基板を取り囲むように防水用のパッキンやクッションを設けたものがある(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−207630号公報(第2図)
【特許文献2】特開平11−074661号公報(第8図)
【特許文献3】特開2000−114732公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、透明回路基板で構成されるタッチパネルを用いて、透明回路基板と他の回路基板を接続線で接続する構成を考える。この場合、タッチパネルを介して透明線が視認されてしまうことを防止するため、タッチパネルの側面から接続線を引き出すことが一般的である。この場合、接続線を含めたパネル全体を覆うように防水用のパッキンやクッションを設けることで防水性を持たせることが可能である。しかし、この場合、接続線を含めた全体について防水構造を持たせなくてはならなくなるため、防水構造の大きさが大きくなり、筐体が大型化してしまう。また、従来技術のように透明基板の縁をパッキン等で覆うことでも防水を実現できるが、この場合も接続線を防水領域に入れなくてはならないため、その分だけ表示面が狭まり、また、筐体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、表示部に設けられた透明回路基板を、接続線により筐体内部の回路基板と接続する際に、表示部の面積の確保と筐体の小型化とを両立しつつ、防水性能を確保できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電子機器は、枠状の側部を有する筐体と、前記筐体に収容される回路基板と、板状に形成された透明回路基板と、前記透明回路基板の端面から引き出され、防水加工された接続線と、を備え、前記側部に前記筐体の内外を連通させる挿通孔が設けられているとともに、前記接続線が、前記筐体の外側から前記挿通孔を通じて前記回路基板に接続され、当該接続線に設けられたグロメットが前記挿通孔に嵌合されることで前記挿通孔が止水されるものである。
【0007】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器は、前記グロメットが、弾性部材で構成されており、前記挿通孔に嵌合されていない状態において、前記グロメットの幅及び高さが前記挿通孔の幅及び高さよりも大きい。
【0008】
また、本発明の第3の態様に係る電子機器は、前記接続線が、前記グロメットの貫通穴において、剛性部材で構成された支持板によって支持されている。
【0009】
また、本発明の第4の態様に係る電子機器は、前記筐体がヒンジ部を介して他の筐体に連結されているとともに、前記接続線が前記ヒンジ部側に配索されているものである。
【0010】
さらに、本発明の第5の態様に係る電子機器は、前記透明回路基板における前記接続線が引き出された側とは反対側に前記側部の他端側を覆うレシーバカバーが設けられているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の態様に係る電子機器によれば、接続線に設けられたグロメットが挿通孔に嵌合するため、接続線が筐体の外部から内部に配索されていても確実な防水性が得られるという効果を有する。
【0012】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器によれば、接続線に設けられたグロメットによって、確実に挿通孔を塞ぐことができる。したがって、グロメットによって確実な防水性を得ることができるという効果を有する。
【0013】
また、本発明の第3の態様に係る電子機器によれば、接続線の湾曲によってグロメットの貫通穴が湾曲して防水性を損なってしまうことを防ぐことができるという効果を有する。
【0014】
また、本発明の第4の態様に係る電子機器によれば、新たなスペースを必要とせず、筐体の大型化、厚型化を回避できるという効果を有する。
【0015】
さらに、本発明の第5の態様に係る電子機器によれば、ガラス基板にレシーバ用の孔を設ける必要がないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る実施形態の携帯端末を開いた状態の斜視図
【図2】本発明に係る実施形態の携帯端末を開いて回動させた状態の斜視図
【図3】(A)は閉じた状態の携帯端末の平面図、(B)は上筐体とヒンジ部の境界部分の拡大平面図、(C)は上筐体とヒンジ部の境界部分の変形例を示す平面図
【図4】上筐体の外面側から見た分解斜視図
【図5】上筐体の内面側から見た分解斜視図
【図6】上筐体のFPCの配策を示す断面図
【図7】上筐体のFPCの配策を示す斜視図
【図8】緩衝部材の取付けを示す平面図
【図9】緩衝部材の取付けを示す分解斜視図
【図10】緩衝部材とFPCとの取付けを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1および図2に示すように、本発明に係る実施形態の電子機器としての携帯端末10は、一方の面に表示部21を有する上筐体(筐体)20と、一方の面に多数のキー42から構成される操作部41を有する下筐体40と、上筐体20および下筐体40を開閉可能に連結するヒンジ部50を有する。
なお、以下の説明において、上筐体20と下筐体40とを閉じたときに重なる面すなわち表示部21および操作部41をともに内面(内面側)といい、外側になる面を外面(外面側)ということとする。
【0018】
ヒンジ部50は、下筐体40に接続され、かつ、下筐体40の幅方向に沿って配置された第1回動軸51と、上筐体20に接続され、かつ、第1回動軸51に対して直交する第2回動軸52とを有する。
従って、第1回動軸51回り(図1および図2において矢印A方向)に上筐体20と下筐体40を相対的に回動させることにより、図1に示すように、開閉できる。また、第2回動軸52回り(図1および図2において矢印B方向)に上筐体20を回動させることにより、図2に示すように、上筐体20をねじることができる。
【0019】
図4および図5に示すように、上筐体20は、矩形枠状の側部22および側部22の一端側(外面側)である平坦部228を密閉して覆う底部23を有しており、側部22における他端側(内面側)である平坦部221には表示部21が取り付けられる。
従って、上筐体20における底部23と表示部21との間には、内部空間24が形成される。表示部21は、内部空間24に収容される液晶表示板25を有し、液晶表示板25の内面側に感圧式のタッチパネル26が取り付けられる。
【0020】
なお、上筐体20におけるヒンジ部50と反対側の側部22(上辺側部224)の外側(先端側)には、通話時に耳に当てて音声を発するレシーバ34が設けられており、レシーバカバー341で覆われている。また、上筐体20におけるヒンジ部50側の下辺側部222の外側には、アッパーカバー225が設けられている。
【0021】
また、図3(A)および図3(B)に示すように、ヒンジ部50は、上筐体20の幅方向端部から上筐体20に向かう凸部53を有する。また、上筐体20は、ヒンジ部50の凸部53に対応する凹部226を有し、この凹部226に後述する緩衝部材60が取り付けられる。すなわち、上筐体20の側部22は、ヒンジ部50側の角部においてヒンジ部50から遠ざかるように形成されている。
なお、上筐体20の凹部226およびヒンジ部50の凸部53の形状は、図3(A)および図3(B)に示すような円弧状に限らず、図3(C)に示すように、矩形状の凹部227および凸部54でもよい。
【0022】
図6に示すように、タッチパネル26は、側部22の他端側を覆う板状に形成され端面261Aが側部22よりも外側に位置する透明回路基板であるガラス基板261と、ガラス基板261の上(内面側)に積層される導電膜262およびカバー263を有する。ガラス基板261の外面側における外周縁部は、矩形枠状の両面テープ27(図4参照)により、側部22の内側に突出して額縁状に設けられている平坦部221(図5参照)に密着して取り付けられる。
従って、上筐体20は、底部23、側部22、両面テープ27およびタッチパネル26、後述するグロメット33、および、ヒンジ部に設けられたOリング(図示せず)によって、内部空間24の防水性を保持している。
【0023】
図4および図6に示すように、上筐体20の内部空間24には、厚さ方向の中央にインサート板金28が取り付けられており、剛性を確保して上筐体20の薄型化を図っている。インサート板金28の内面側面281には、液晶表示板25を背後から照らすバックライトユニット29を介して液晶表示板25が設けられており、液晶表示板25の内面側にはタッチパネル26が取り付けられている。また、インサート板金28の外面側面282には、種々の電子部品を実装した回路基板31が取り付けられている。
【0024】
図6および図7に示すように、タッチパネル26と、タッチパネル26を駆動する回路基板31とは、接続線であるフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:以後,「FPC」と示す。)32で接続される。
FPC32のタッチパネル26側は、ガラス基板261の端部(端面261A)に接続されており、上筐体20の大型化を回避するために、接続部321は上筐体20の側部22のヒンジ部50側の下辺側部222から外側へ突出している。この部分は、ヒンジ部50との境界部分であり、FPC32のためにスペースを設けることなくスペースが確保できる。このため、FPC32は、防水領域である内部空間24から、一旦非防水領域であるヒンジ部50の空間に配策(折り返し部322)された後、再度上筐体20の内部空間24に引き込まれる。
なお、本実施の形態では、FPC32は防水加工されたものを用いる。これによって、非防水領域に配策したFPC32の配線自体が故障してしまうことを防止している。
【0025】
上筐体20の下辺側部222には、上筐体20の内外を連通させる例えば矩形断面の挿通孔223が設けられており、FPC32は挿通孔223から内部空間24に引き込まれる。このとき、内部空間24の防水性を保持するため、挿通孔223にはグロメット33が取り付けられる。
グロメット33は、樹脂やゴム等の弾性部材で形成されており、矩形の挿通孔223の高さおよび幅よりも大きな厚さおよび幅を有し、挿通孔223に圧入されて止水する矩形断面の止水部331と、止水部331から外側に鍔状に突出して、グロメット33の位置決めをする鍔部332と、鍔部332からヒンジ部50側に突出するガイド部333を有する。グロメット33の中心には、FPC32を挿通させるために扁平矩形状でFPC32の断面より小さな断面の貫通穴334が、止水部331,鍔部332,およびガイド部333を貫通して形成されており、FPC32を一体成形や圧入して貫通させる。
【0026】
なお、FPC32が湾曲することにより、グロメット33の貫通穴334を湾曲させて防水性を損なわないように、例えば金属製等の剛性の高い平板状の支持板323をFPC32に添えて、貫通穴334を真っ直ぐに貫通させるようにしている。
【0027】
図8乃至図10に示すように、上筐体20におけるヒンジ部50側の角部には、樹脂やゴム等の柔軟な材料からなる緩衝部材60が設けられている。緩衝部材60は、上筐体20のヒンジ部50側端面および側面の角部を保護する緩衝部61と、緩衝部材60を上筐体20に取り付ける取付部62を有する。
緩衝部61にはヒンジ部50側に突出する突起611が設けられている。従って、緩衝部材60がヒンジ部50に当接する際には、緩衝部61の突起611が最初に当接し、ヒンジ部50および上筐体20の傷つきを防止する。
【0028】
また、取付部62は、上筐体20側に突出する天板621と、上筐体20の厚み方向の縦壁622とを有し、断面L字形状を呈している。縦壁622の内面には、上筐体20側に突出する複数個のリブ623,624をしており、上筐体20に設けられている取付け凹部35に嵌合して緩衝部材60を上筐体20に取り付ける。
【0029】
すなわち、リブ623は、第2回動軸52側における上筐体20の厚み方向中央部から緩衝部材60の取付方向に沿って設けられており、リブ623と、上筐体20の取付け凹部35に設けられているリブ351が嵌合する。また、緩衝部材60の端部から上筐体20側へ突出して設けられているリブ624が、取付け凹部35の隙間352に嵌合する。
【0030】
さらに、緩衝部材60の凹部630(図10参照)と上筐体20のリブ631(図9参照)とが嵌合し、緩衝部材60の爪632,633が上筐体20の爪嵌合部634と嵌合する。これにより、緩衝部材60は上筐体20に取り付けられる。
なお、上筐体20に対する緩衝部材60の取付方向に沿って凹部630,リブ631,爪632,633および爪嵌合部634が設けられているので、凹部630,リブ631,爪632,633および爪嵌合部634は上筐体20に対する緩衝部材60の取り付け時の位置決めにも用いることができる。
【0031】
また、天板621,縦壁622,およびリブ623,624によって、FPC32の折り返し部322を、後述する折り返し軸線641,642の径方向から囲む包囲部63が形成されている。
なお、天板621とリブ623との間の隙間625は、リブ351よりも広めに空けられている。これは、隙間625を狭くすると、隙間625もリブ351と嵌合してしまい、緩衝部材60を押し込む際に大きな力が必要になるためである。
【0032】
図6に示すように、FPC32の折り返し部322は、FPC32を配策した時には半円形状に屈曲している(図6中破線で表示)。そして、緩衝部材60を下筐体40に対してヒンジ部50側から取り付けて(図6中矢印C方向)、折り返し部322を緩衝部材60の包囲部63に収容することにより、折り返し部322は緩衝部材60の縦壁622により押圧される。
これにより、折り返し部322は、上筐体20の幅方向に沿った線を折り返し軸線641,642(図9参照)として折り返されて、一部直線状になる。なお、緩衝部材60の縦壁622は、必ずしも常時FPC32の折り返し部322を押圧するものでなくてもよい。
【0033】
また、緩衝部材60の包囲部63には、グロメット33のガイド部333が収容されており、包囲部63を形成する天板621がグロメット33の鍔部332の高さ位置に配置されている。これにより、グロメット33が挿通孔223から脱落する際には、グロメット33の鍔部332が天板621に当接するので、グロメット33の脱落を防止する。
また、包囲部63には、グロメット33を貫通して取り付けられている支持板323も収容されており、支持板323の先端は緩衝部材60の縦壁622の内面近傍まで伸びている。これにより、グロメット33が挿通孔223から脱落する際には、支持板323の先端が緩衝部材60に当接するので、支持板323を介して間接的にグロメット33の脱落を防止する。
また、緩衝部材60には、グロメット33へ向かって突出するリブ635が設けられている。これにより、天板621に加えて、グロメット33の脱落をより確実に防止することができる。
【0034】
次に、FPC32の配策および緩衝部材60の取付けについて説明する。
一端がタッチパネル26のガラス基板261に接続されているFPC32を、他端を先頭にしてグロメット33の貫通穴334に挿入する。このとき、グロメット33のガイド部333側から挿入し、支持板323も一緒に挿入する。次いで、FPC32の他端側から支持板323とともに、上筐体20の側部22の挿通孔223に挿入し(図4中矢印D照)、グロメット33の止水部331を挿通孔223に圧入する。その後、FPC32の湾曲している折り返し部322を押しながら、ヒンジ部50側から緩衝部材60を上筐体20の取付け凹部35に押し込んで取り付ける。
この際、上筐体20に対する緩衝部材60の取付方向に沿って凹部630,リブ631,爪632,633および爪嵌合部634が設けられているので、凹部630,リブ631,爪632,633および爪嵌合部634は上筐体20に対して緩衝部材60が位置決めされる。
【0035】
以上、説明した本発明に係る実施形態の携帯端末10によれば、上筐体20は、矩形枠状の側部22、側部22の一端側の平坦部228に設けられた底部23、側部22の他端側の平坦部221に設けられたタッチパネル26により密閉箱状に形成されており、内部空間24に収容された回路基板31と、内部空間24の外側のタッチパネル26のガラス基板261とをFPC32により接続する。
【0036】
ガラス基板261の端面261Aは上筐体20よりも外側に位置しており、ガラス基板261の端面261Aから引き出されたFPC32は上筐体20の外側を通り、上筐体20の内外を連通する挿通孔223を通って上筐体20内の回路基板31と接続される。このとき、FPC32に設けられたグロメット33が挿通孔223に圧入・嵌合することで挿通孔が止水されるため、FPC32が上筐体20の外部から内部に配索されていても確実な防水性が得られる。
【0037】
また、FPC32を含めたガラス基板261の全体をパッキン等で覆う場合や、ガラス基板261の縁をパッキン等で覆う場合と比べて、表示面を広く、かつ、筐体のサイズを小さくすることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、ガラス基板261が上筐体の外側に位置するとしたが、これに限られるものではない。ガラス基板261を上筐体の内側に設けるとしてもよい。この場合でも、本実施の形態によれば、ガラス基板261の縁に防水用のパッキン等を設けなくとも防水構造を実現できるので、表示面を広く、かつ、筐体のサイズを小さくすることができる。なお、この場合、FPC32は、防水領域、非防水領域、防水領域の順で通過することとなる。このような場合に本実施形態と同様の防水構造を実現するためには、貫通穴334をグロメットに複数設けるか、挿通孔223を筐体に複数設けてそれぞれにグロメットを嵌合すればよい。
【0039】
また、グロメット33は、弾性部材で構成され、挿通孔223に嵌合されていない状態において、グロメット33の幅及び高さが挿通孔223の幅及び高さよりも大きくなるようにした。これにより、グロメットが弾性力によって挿通孔223を塞ぐため、確実な防水性を得ることができる。
【0040】
また、グロメット33の貫通穴334において、FPC32が剛性部材で構成された支持板によって支持されるようにした。これにより、FPC32の湾曲によって貫通穴334が湾曲して防水性を損なってしまうことを防止することができる。
【0041】
また、上筐体20のヒンジ部50側は、ヒンジ部50を上筐体20に取り付けるためのネジに対する逃げ部等のデッドスペースがあるため、矩形状の回路基板31が逃げ部に干渉しない位置に配置される。逃げ部自体は小さなスペースだが、矩形状の回路基板31が後退した位置に配置されるため、結果的にデッドスペースが生じている。この箇所にFPC32の折り返し部322を配置するので、新たなスペースを必要とせず、上筐体20の大型化、厚型化を回避できる。
【0042】
また、ガラス基板261におけるFPC32が引き出された側とは反対側に側部22の他端側を覆うレシーバカバー341が設けられているので、ガラス基板261にレシーバ34用の孔を設ける必要がない。
【0043】
また、上筐体20と下筐体40は、上筐体20の幅方向に沿って配置された第1回同軸51と、上筐体20に接続され且つ第1回同軸51に対して直交する第2回同軸52を有するヒンジ部50により、開閉可能且つ回動可能に接続される。また、両端が上筐体20内側に接続された接続線32は、折り返し部322が上筐体20の外部に配策される。
そして、上筐体20におけるヒンジ部50側の角部には緩衝部材60が設けられており、緩衝部材60はFPC32の折り返し部322の少なくとも一部に接触可能となっているので、FPC32が伸びようとする変形を制限して所定位置に配策することができる。
従って、第2回動軸52を中心として上筐体20を下筐体40に対して回動させる際に、同じ緩衝部材60により、上筐体20の角部が下筐体40を傷つけるのを防止するとともに、FPC32の変形を規制するので、部品点数を減少させることができる。
【0044】
また、FPC32は帯状をしており、その両端部は上筐体20に固定されるが、途中、一旦上筐体20の側部22の外側に配策される。FPC32は、上筐体20の外側において、上筐体20の幅方向に沿った線を折り返し軸641,642として折り返し部322が形成され、緩衝部材60の包囲部63が折り返し軸641,642の径方向から折り返し部322を囲むので、FPC32の配策位置がずれるのを防止できる。
【0045】
また、緩衝部材60は、上筐体20に対してヒンジ部50側から取り付けられるので、緩衝部材60は取付時にFPC32をFPC32の配策軸方向と平行に押すことになり、配策位置をずらすことなく緩衝部材60を取り付けることができる。
【0046】
緩衝部材60には、上筐体20に向かって突出するリブ623,624が設けられており、このリブ623,624が、第2回動軸52側における上筐体20の厚み方向中央部から緩衝部材60の取付方向に沿って設けられているので、FPC32の配策位置をずらすことなく緩衝部材60を位置決めして取り付けることができる。
【0047】
ヒンジ部50における上筐体20の幅方向端部から上筐体20に向かう凸部53,54を有し、上筐体20は凸部53,54に対応する凹部226,227を有するので、上筐体20がヒンジ部50に対してがたつくのを防止できる。
【0048】
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態において、電子機器である携帯端末10として、上筐体20と下筐体40とを開閉する第1回動軸51および回動させる第2回動軸52を有するヒンジ部50を備えたものを例示したが、上筐体と下筐体とを一方向へ開閉するヒンジ部を備えた携帯端末にも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 携帯端末(電子機器)
20 上筐体(筐体)
22 側部
223 挿通孔
23 底部
261 ガラス基板(透明回路基板)
261A 端面
31 回路基板
32 FPC(接続線)
33 グロメット
341 レシーバカバー
40 下筐体(他の筐体)
50 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状の側部を有する筐体と、
前記筐体に収容される回路基板と、
板状に形成された透明回路基板と、
前記透明回路基板の端面から引き出され、防水加工された接続線と、を備え、
前記側部に前記筐体の内外を連通させる挿通孔が設けられているとともに、前記接続線が、前記筐体の外側から前記挿通孔を通じて前記回路基板に接続され、当該接続線に設けられたグロメットが前記挿通孔に嵌合されることで前記挿通孔が止水される電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記グロメットが、弾性部材で構成されており、
前記挿通孔に嵌合されていない状態において、前記グロメットの幅及び高さが前記挿通孔の幅及び高さよりも大きい電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記接続線が、前記グロメットの貫通穴において、剛性部材で構成された支持板によって支持されている電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記筐体がヒンジ部を介して他の筐体に連結されているとともに、前記接続線が前記ヒンジ部側に配索されている電子機器。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記透明回路基板における前記接続線が引き出された側とは反対側に前記側部の他端側を覆うレシーバカバーが設けられている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−259082(P2011−259082A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130151(P2010−130151)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】