説明

電子機器

【課題】複数の接続部に動作クロックを出力すると、それぞれのクロックの立ち上がり及び立ち下がりにより生じる電磁波の周りへの影響が大きい。
【解決手段】電子機器は、信号の授受する動作クロックの周波数が同じ複数の外部機器が接続される複数の接続部と、複数の接続部に対して互いに位相をずらした動作クロックを出力するクロック出力部とを備える。クロック出力部は、複数の接続部のうちの2つに対して互いに逆位相の動作クロックを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の外部機器が複数の接続部を介して接続される電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような電子機器の場合、複数の接続部のそれぞれに同位相の動作クロックを供給している。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2005−92833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の接続部に動作クロックを出力すると、それぞれの動作クロックの立ち上がり及び立ち下がりにより生じる電磁波が大きなノイズとなり、周りへの影響が大きいといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、信号の授受する動作クロックの周波数が同じ複数の外部機器が接続される複数の接続部と、前記複数の接続部に対して互いに位相をずらした動作クロックを出力するクロック出力部とを備える電子機器である。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】撮像装置の全体構成図である。
【図2】第1接続部と第2接続部とに入力される動作クロックを説明する図である。
【図3】第1接続部と第2接続部とに入力される動作クロックの他の例を説明する図である。
【図4】撮像装置による格納情報の入出力動作の前半を説明するフローチャートである。
【図5】撮像装置の格納情報の入出力動作の後半を説明するフローチャートである。
【図6】5個の接続部に出力される動作クロックを説明する図である。
【図7】5個の接続部に出力される他の動作クロックを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、撮像装置の全体構成図である。尚、電子機器を撮像装置に適用した例について説明する。図1に示すように、電子機器の一例である撮像装置10は、CPU(central processing unit :中央処理装置)12と、撮像素子14と、画像処理部16と、表示部18と、測光センサ20と、焦点検出センサ22と、入力部24と、ASIC26と、第1接続部28及び第2接続部30とを備えている。
【0009】
CPU12は、撮像装置10の制御全般を司る。CPU12には、撮像素子14と、画像処理部16と、表示部18と、測光センサ20と、焦点検出センサ22と、入力部24と、ASIC26とが信号を入出力可能に接続されている。
【0010】
撮像素子14は、CCD(charge-coupled device:電荷結合素子)またはCMOS(complementary metal-oxide semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)等を有する。撮像素子14は、被写体像を光電変換することによって生成した画像信号を画像処理部16へと出力する。
【0011】
画像処理部16は、撮像素子14から入力された画像信号をアナログ/デジタル変換した後、画像データへと変換して、CPU12へと出力する。
【0012】
表示部18は、液晶ディプレイ等からなる。表示部18は、CPU12から入力される画像データに基づいて、被写体像、設定情報等の情報を表示する。
【0013】
測光センサ20は、被写体光束の光路の経路上に配置される。測光センサ20は、レンズユニットを通じて入射した被写体光束の一部を受光する。測光センサ20は、受光した被写体光束から被写体輝度を検出してCPU12へと出力する。CPU12は、撮像素子14の感度、シャッタ速度、絞り開度等を算出して、各部に指示を発信する。
【0014】
焦点検出センサ22は、レンズユニットの光学系が形成した被写体像からデフォーカス量を検出して、レンズユニットを合焦させる。この過程で、焦点検出センサ22は、撮像素子14から被写体までの距離に関する情報も取得する。
【0015】
第1接続部28及び第2接続部30のそれぞれには、第1メモリーカード90及び第2メモリーカード92が接続される。第1接続部28に接続される第1メモリーカード90と第2接続部30に接続される第2メモリーカード92は、信号の授受する動作クロックの周波数が同じである。尚、第1メモリーカード90及び第2メモリーカード92は、同種のメモリーカードであってもよく、動作クロックが同じ周波数の異なるメモリーカードであってもよい。
【0016】
入力部24は、レリーズボタン、ダイアル、十字キー、押しボタン等による使用者の操作を入力として受け付け、入力した指示、設定値等を保持する。CPU12は、入力部24を参照して、動作条件を決定する。
【0017】
ASIC26は、CPU12によって入力される画像情報等を含む格納情報を外部機器の一例である第1メモリーカード90または第2メモリーカード92に格納し、それから取得する。尚、メモリーカード90、92として、SDメモリーカード、microSDカード、miniSDカードを適用することができる。更に、メモリースティック、メモリースティックデュオ、メモリースティックマイクロ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、マルチメディアカード、xDピクチャーカード、スマートメディア、SecureMMC等をメモリーカード90、92として適用できる。ASIC26は、データ入出力部32と、コマンド入出力部34と、クロック出力部36とを備えている。
【0018】
データ入出力部32は、CPU12によって入力される格納情報を第1接続部28または第2接続部30へと出力して、メモリーカード90、92に格納する。また、データ入出力部32は、メモリーカード90、92に格納されている格納情報をCPU12からの指示により取得する。
【0019】
コマンド入出力部34は、データ入出力部32から入力される格納情報を格納させるためのコマンドを第1接続部28及び第2接続部30に出力して、メモリーカード90、92に格納情報を格納する。コマンド入出力部34は、メモリーカード90、92に格納されている格納情報を取得するためのコマンドを第1接続部28及び第2接続部30に出力して、メモリーカード90、92に格納されている格納情報を取得する。コマンド入出力部34は、メモリーカード90、92が第1接続部28及び第2接続部30に接続されると、メモリーカード90、92の初期設定を実行する。ここでいう初期設定の一例は、メモリーカード90、92の記憶容量、空き容量、格納情報を格納するための格納速度、格納情報を取得するための取得速度等の情報を取得することである。
【0020】
クロック出力部36は、第1動作クロックCLK1を第1接続部28へ出力するとともに、第1動作クロックCLK1と位相がずれた第2動作クロックCLK2を第2接続部30へ出力する。クロック出力部36は、生成部38と、遅延回路部40とを有する。生成部38は、第1動作クロックCLK1を生成して第1接続部28に直接出力する。生成部38は、第1動作クロックCLK1と同位相の動作クロックを遅延回路部40へと出力する。遅延回路部40は、生成部38から入力された動作クロックを遅延させて第2動作クロックCLK2へと変換した後、第2接続部30へと出力する。これにより、第2動作クロックCLK2の位相は、第1動作クロックCLK1の位相に対してずれる。ここで、第1動作クロックCLK1と第2動作クロックCLK2の位相のずれは、180°が好ましい。これにより、クロック出力部36は、第1接続部28と第2接続部30に対して互いに逆位相の第1動作クロックCLK1と第2動作クロックCLK2とを出力する。
【0021】
クロック出力部36は、第1接続部28または第2接続部30の一方に第1メモリーカード90または第2メモリーカード92が接続されていない場合でも、他方に第1メモリーカード90または第2メモリーカード92が接続されていると、第1接続部28と第2接続部30とに互いに位相のずれた第1動作クロックCLK1と第2動作クロックCLK2との両方を出力する。クロック出力部36は、何れかの接続部(例えば、第2接続部30)にメモリーカード(例えば、第2メモリーカード92)が新たに接続された場合に、新たに接続された接続部(例えば、第2接続部30)への動作クロック(例えば、第2動作クロックCLK2)の出力を停止する。この状態で、コマンド入出力部34によって新たに接続されたメモリーカード(例えば、メモリーカード92)を初期設定する。初期設定終了後、クロック出力部36は、出力が継続している動作クロック(例えば、第1動作クロックCLK1)を基準にして、位相をずらした動作クロック(例えば、第2動作クロックCLK2)を動作クロックが停止中の接続部(例えば、第2接続部30)へと出力する。また、クロック出力部36は、第1接続部28または第2接続部30の一方から第1メモリーカード90または第2メモリーカード92が切り離された場合に、第1メモリーカード90または第2メモリーカード92が切り離された第1接続部28または第2接続部30への第1動作クロックCLK1または第2動作クロックCLK2の出力を停止することなく継続する。
【0022】
図2は、第1接続部と第2接続部とに入力される動作クロックを説明する図である。図2に示すように、クロック出力部36から第1接続部28に入力される動作クロックCLK1に比べて、クロック出力部36から第2接続部30に入力される動作クロックCLK2は、位相が180°ずれている。これにより、クロック出力部36は、2個の第1接続部28及び第2接続部30に対して、互いに逆位相の動作クロックCLK1、CLK2を出力することになる。このため、第1動作クロックCLK1の立ち上がりが、第2クロックCLK2の立ち下がりと略同時となる。この結果、第1動作クロックCLK1の立ち上がりによって生じる電磁波と第2動作クロックCLK2の立ち下がりによって生じる電磁波とが逆位相となり、2つの電磁波が互いに打ち消しあう。この結果、放射特性が向上する。
【0023】
図3は、第1接続部と第2接続部とに入力される動作クロックの他の例を説明する図である。図3に示すように、第1接続部28に入力される第1動作クロックCLK1と第2接続部30に入力される第2クロックCLK2は、互いの位相がずれている。尚、位相のずれは、0°より大きく180°よりも小さい。これにより、2つの動作クロックCLK1、CLK2の立ち上がりが時間的にずれるので、第1動作クロックCLK1の立ち上がりによる電磁波と、第2動作クロックCLK2の立ち上がりによる電磁波との重ね合わせが抑制されて、電磁波に起因するノイズ等による周囲への影響が低減する。
【0024】
上述した撮像装置である撮像装置10の動作について説明する。まず、ユーザが、表示部18に表示された画像を見つつ、入力部24のレリーズボタンを押すと、測光センサ20及び焦点検出センサ22によって検出された情報に基づいて、種々の設定がされる。この後、撮像素子14が、被写体像を受光して、その光を光電変換して画像信号を画像処理部16に出力する。画像処理部16では、画像信号を画像データに変換する。この後、画像データは、ユーザが入力部24を操作することによって、後述する格納情報としてASIC26を介してメモリーカード90、92に入力される。また、ユーザが入力部24を操作することによって、メモリーカード90、92に格納された格納情報が取得されて、表示部18に画像として表示される。
【0025】
図4は、撮像装置による格納情報の入出力動作の前半を説明するフローチャートである。図5は、撮像装置の格納情報の入出力動作の後半を説明するフローチャートである。
【0026】
電源がON状態になると、図4及び図5に示すフローチャートに基づくプログラムが実行される。尚、開始時は、後述するフラグF1及びフラグF2は、ともに「0」に設定されている。ASIC26のコマンド入出力部34が、第1接続部28に第1メモリーカード90が接続されているか否かを判定する(S1)。コマンド入出力部34は、第1メモリーカード90が接続されていないと判定すると(S1:No)、後述するステップS11の処理を実行する。
【0027】
コマンド入出力部34は、第1メモリーカード90が接続されたと判定すると(S1:Yes)、フラグF1に「1」を設定する(S2)。フラグF1は、第1メモリーカード90の接続が検出された場合は「1」に設定され、第1メモリーカード90の接続が検出されていない場合は「0」に設定される。次に、クロック出力部36が第1接続部28に出力している第1動作クロックCLK1を停止する(S3)。尚、第1動作クロックCLK1が出力されていない場合は、その停止状態が維持される。この後、コマンド入出力部34が、第1メモリーカード90の初期設定を実行する(S4)。ここでいう初期設定には、第1メモリーカード90の格納情報の取得速度及び格納速度の取得と、空き容量の検出等が含まれる。
【0028】
次に、コマンド入出力部34は、第2動作クロックCLK2がクロック出力部36によって第2接続部30に出力中か否かを判定する(S5)。クロック出力部36は、第2動作クロックCLK2が出力中と判定すると(S5:Yes)、停止している第1動作クロックCLK1を第1接続部28へと出力する(S6)。ここで、クロック出力部36は、出力中の第2動作クロックCLK2の位相に対して第1動作クロックCLK1の位相をずらして出力する。これにより、クロック出力部36は、第2接続部30へ出力されている第2動作クロックCLK2を基準にして位相をずらした第1動作クロックCLK1を第1接続部28に出力することになる。一方、クロック出力部36は、第2動作クロックCLK2が出力されていないと判定すると(S5:No)、第1動作クロックCLK1及び第2動作クロックCLK2の両動作クロックを出力する(S7)。ここで、第2動作クロックCLK2は、クロック出力部36の遅延回路部40を介して出力されるので、遅延回路部40を介さず生成部38から直接出力される第1動作クロックCLK1と比較して、位相がずれる。ここで、位相のずれは、好ましくは図2に示すように、互いの位相が逆位相となる180°である。
【0029】
次に、CPU12からの指示によって、データ入出力部32が第1メモリーカード90に対して格納情報の入出力を実行する(S8)。格納情報が第1メモリーカード90に入出力されている間、クロック出力部36は、格納情報の入出力を実行していない第2接続部30への第2動作クロックCLK2の出力を継続する。
【0030】
この後、コマンド入出力部34は、第1メモリーカード90が第1接続部28から切り離されたか否かを判定する(S9)。コマンド入出力部34は、第1メモリーカード90が第1接続部28から切り離されたと判定すると(S9:Yes)、フラグF1に「0」を設定する(S10)。ここで、クロック出力部36は、第1メモリーカード90が第1接続部28から切り離されても、第1接続部28への第1動作クロックCLK1の出力を継続する。ステップS10の処理後、及び、コマンド入出力部34が、第1メモリーカード90が第1接続部28から切り離されたと判定した場合(S9:No)、図4及び図5に「A」で示すように、図5に示すステップS11の処理を実行する。
【0031】
コマンド入出力部34は、フラグF2が「1」か否かを判定する(S11)。尚、フラグF2は、第2メモリーカード92の接続が検出されている場合は「1」に設定され、第2メモリーカード92の接続が検出されていない場合は「0」に設定される。コマンド入出力部34は、フラグF2が「1」と判定すると(S11:Yes)、後述するステップS19の処理を実行する。一方、コマンド入出力部34は、フラグF2が「0」と判定すると(S11:No)、第2接続部30に第2メモリーカード92が接続されたか否かを判定する(S12)。
【0032】
次に、コマンド入出力部34は、第2メモリーカード92が接続されていないと判定すると(S12:No)、後述するステップS22の処理を実行する。一方、コマンド入出力部34は、第2メモリーカード92が接続されていると判定すると(S12:Yes)、フラグF2に「1」を設定する(S13)。クロック出力部36は、第2動作クロックCLK2を停止する(S14)。尚、第2動作クロックCLK2が出力されていない場合は、その状態が維持される。コマンド入出力部34は、第2メモリーカード92の初期設定を実行する(S15)。次に、クロック出力部36は、第1動作クロックCLK1が出力中か否かを判定する(S16)。クロック出力部36は、第1動作クロックCLK1が出力中と判定すると(S16:Yes)、停止していた第2動作クロックCLK2を第2接続部30へと出力する(S17)。ここで、クロック出力部36は、遅延回路部40を介して第2動作クロックCLK2を出力する。このため、第2動作クロックCLK2の位相は、停止中の第1動作クロックCLK1の位相に対してずれて出力される。これにより、クロック出力部36は、第1接続部28へ出力されている第1動作クロックCLK1を基準にして位相をずらした第2動作クロックCLK2を第2接続部30に出力することになる。一方、クロック出力部36は、第1動作クロックCLK1が出力されていないと判定すると(S16:No)、停止している第1動作クロックCLK1及び第2動作クロックCLK2を出力する。ここで、第2動作クロックCLK2は、クロック出力部36の遅延回路部40を介して出力されるので、遅延回路部40を介さず生成部38から直接出力される第1動作クロックCLK1と比較して、位相がずれる。
【0033】
次に、CPU12からの指示に従って、データ入出力部32が第2メモリーカード92に対して格納情報の入出力を実行する(S19)。ここで、ステップS11において、コマンド入出力部34が「F2=1」と判定した場合、ステップS12〜S17の処理を実行することなく、ステップS19の処理が実行される。これにより、第2メモリーカード92の接続状態が維持されている場合、第2メモリーカード92の初期設定が実行されることなく、データ入出力部32によって格納情報が第2メモリーカード92へ入出力されることになる。尚、格納情報が第2メモリーカード92に入出力されている間、クロック出力部36は、第1接続部28への第1動作クロックCLK1の出力を継続する。
【0034】
この後、コマンド入出力部34は、第2メモリーカード92が第2接続部30から切り離された否かを判定する(S20)。コマンド入出力部34は、第2メモリーカード92が切り離されたと判定すると(S20:Yes)、フラグF2に「0」を設定する(S21)。ここで、第2メモリーカード92が切り離されても、クロック出力部36は、第2接続部30への第2動作クロックCLK2の出力を継続する。
【0035】
次に、コマンド入出力部34は、フラグF1が「0」か否かを判定する(S22)。コマンド入出力部34は、フラグF1が「0」であると判定すると(S22:Yes)、ステップS23の処理を実行する。尚、この状況は、フラグF1及びフラグF2がともに「0」であることを意味する。次に、クロック出力部36は、第1動作クロックCLK1及び第2動作クロックCLK2の出力を停止する(S23)。この後、図4及び図5に「C」で示すように、ステップS1の処理に戻って実行する。
【0036】
一方、ステップS20において、コマンド入出力部34は、第2メモリーカード92が切り離されていないと判定すると(S20:No)、フラグF1が「1」か否かを判定する(S24)。コマンド入出力部34は、フラグF1が「0」と判定すると(S24:No)、図4及び図5に「C」で示すように、上述したステップS1の処理に戻って実行する。
【0037】
一方、ステップS24において、コマンド入出力部34は、フラグF1が「1」と判定すると(S24:Yes)、図4及び図5に「B」で示すように、ステップS8の処理を実行する。また、ステップS22において、コマンド入出力部34は、フラグF1が「1」と判定すると(S22:No)、図4及び図5に「B」で示すように、ステップS8の処理を実行する。これにより、第1メモリーカード90の接続が既に検出されて、フラグF1が「1」の場合は、ステップS1〜S6の処理が実行されることなく、ステップS8の処理が実行される。この結果、第1メモリーカード90の初期設定が実行されることなく、データ入出力部32によって格納情報が第1メモリーカード90へ入出力されることになる。初期設定を実行する必要がないのは、第1動作クロックCLK1の出力が継続されているためである。この後、電源がOFFになるまで、図4及び図5のフローチャートが繰り返される。
【0038】
上述したように、撮像装置10では、クロック出力部36が、第1接続部28に出力する第1動作クロックCLK1の位相と、第2接続部30に出力する第2動作クロックCLK2の位相とをずらしている。これにより、第1動作クロックCLK1の立ち上がり及び立ち下がりにより生じる電磁波の一部と、第2動作クロックCLK2の立ち下がり及び立ち上がりにより生じる電磁波の一部が、互いに打ち消しあう。このため、動作クロックCLK1、CLK2による電磁波のノイズに起因する周りへの影響を低減することができるので、EMC(Electro Magnetic Compatibility:電波共用性)等の特性を向上させることができる。
【0039】
更に、撮像装置10では、クロック出力部36が、第1動作クロックCLK1の位相と第2動作クロックCLK2の位相を180°ずらして逆位相にすることによって、第1動作クロックCLK1により生じる電磁波と第2動作クロックCLK2により生じる電磁波とが、より多く打ち消しあう。この結果、電磁波の周りへの影響を更に低減できる。
【0040】
撮像装置10では、メモリーカード90、92に格納情報を格納または取得していない第1接続部28及び第2接続部30にも、動作クロックCLK1、CLK2を出力している。これにより、メモリーカード90、92への格納情報の格納または取得を再開する場合でも、初期設定を実行する必要がない。この結果、上述した電磁波の影響を低減しつつ、格納情報の格納及び取得に必要な時間を低減できる。
【0041】
撮像装置10では、クロック出力部36が第1動作クロックCLK1の位相と第2動作クロックCLK2の位相とを180°ずらすことによって、同位相の2つの動作クロックを出力する場合と比較して、同時に流す電流を低減することができる。これにより、撮像装置10は、消費電力を低減することができる。
【0042】
上述した実施形態では、外部機器であるメモリーカード90、92が接続される第1接続部28及び第2接続部30が2個の場合について説明したが、接続部の数は、2個に限定されるものではない。例えば、nを正の整数とした場合、2n個(即ち、偶数個)の接続部を有する電子機器に本発明を適用してもよい。この場合、n個の接続部の全てに同じ位相の第1動作クロックを出力するとともに、残りのn個の接続部の全てに第1動作クロックと位相が異なる第2動作クロックを出力すればよい。尚、第1動作クロックの位相と第2動作クロックの位相すれは、180°として、互いの位相が逆位相となることが好ましい。
【0043】
「2n+1」個(即ち、奇数個)の接続部を有する電子機器の場合について図面を参照して説明する。尚、簡単化のために、先に、5個の接続部に出力される動作クロックを例に説明する。図6は、5個の接続部に出力される動作クロックを説明する図である。図7は、5個の接続部に出力される他の動作クロックを説明する図である。
【0044】
図6に示すように、2個の接続部には、第1動作クロックCLK11を出力する。他の2個の接続部には、第1動作クロックCLK11とは位相が180°異なる逆位相の第2動作クロックCLK12を出力する。残りの1個には、第1動作クロックCLK11及び第2動作クロックCLK12の両方と位相が異なる第3動作クロックCLK13を出力する。第3動作クロックCLK13は、第1動作クロックCLK11及び第2動作クロックCLK12の両方と位相が90°ずれていることが好ましい。更に、「2n+1」個の接続部に動作クロックを出力する場合、n個の接続部には第1動作クロックCLK11を出力し、他のn個の接続部には第2動作クロックCLK12を出力し、残りの1個の接続部には第3動作クロックCLK13を出力すればよい。
【0045】
また、5個の接続部に出力される動作クロックの例として、図7に示すように、5個の接続部に出力される動作クロックCLK21、CLK22、CLK23、CLK24、CLK25の位相をそれぞれずらしてもよい。この場合、各位相のずれは、(180/5)°であることが好ましい。更に、「2n+1」個の接続部に動作クロックを出力する場合、各動作クロックの位相を(180/n)°ずらして出力すればよい。
【0046】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0047】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0048】
上述した実施形態では、外部機器としてメモリーカードを例にあげたが、外部機器はメモリーカードに限られない。外部機器として1個のコンピュータに接続される2個の液晶ディスプレイ等であってもよい。更には、外部機器が、同じ動作クロックが供給される異なる種類のものであってもよい。例えば、複数個の外部機器の例として、同じ動作クロックが供給される異なるメモリーカードをあげることができる。また、異なるメモリーカードが接続される装置としてカードスロットをあげることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 撮像装置
12 CPU
14 撮像素子
16 画像処理部
18 表示部
20 測光センサ
22 焦点検出センサ
24 入力部
26 ASIC
28 第1接続部
30 第2接続部
32 データ入出力部
34 コマンド入出力部
36 クロック出力部
38 生成部
40 遅延回路部
90 第1メモリーカード
92 第2メモリーカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の授受する動作クロックの周波数が同じ複数の外部機器が接続される複数の接続部と、
前記複数の接続部に対して互いに位相をずらした動作クロックを出力するクロック出力部と
を備える電子機器。
【請求項2】
前記クロック出力部は、前記複数の接続部のうちの2つに対して互いに逆位相の動作クロックを出力する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記クロック出力部は、前記複数の接続部のうち一の接続部に外部機器が接続されておりかつ他の接続部にいずれの外部機器が接続されていない場合に、前記一の接続部および前記他の接続部に、互いに位相をずらした動作クロックを出力する請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記クロック出力部は、前記他の接続部に外部機器が接続された場合に、前記他の接続部への動作クロックの出力を停止し、前記外部機器との初期設定が終了した後に、前記一の接続部へ出力される動作クロックを基準にして位相をずらした動作クロックを前記他の接続部に出力する請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記クロック出力部は、前記他の接続部から前記外部機器が切り離された場合に、前記他の接続部への動作クロックの出力を継続する請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記クロック出力部は、動作クロックを遅延する遅延回路部を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数の接続部のそれぞれは、外部機器としてメモリーカードが接続される請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−114839(P2012−114839A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264110(P2010−264110)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】