説明

電子機器

【課題】筐体の開口部を覆う蓋において、蓋を構成する内カバーと外カバーとを接着する接着部の剥離現象を抑えながら、内カバーと外カバーの両方を容易に取り外すことができる電子機器を提供すること。
【解決手段】開口部17を設けた筐体11と、開口部17を覆い、開口部17の周壁の内面全周に接触するパッキン16を備えた内カバー15と、内カバー15と接着部14を介して接着され、筐体11の外装面の一部である外カバー13と、内カバー15が、外カバー13の外周より突出する突出部152と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの電子機器に関し、特に、防水機能を備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等のような電子機器は、使用環境の制約を軽減するため、市場では堅牢性、防塵性を高めた電子機器が要望されている。また、堅牢性、防塵性とともに、電子機器の筐体内部に水が浸入しないように防水性を高めることが求められている。
【0003】
そこで、従来の電子機器は、本体と、本体に取り付け可能なバッテリーカバーとを備え、バッテリーカバーは弾性体を有する環状の突起部を有し、本体は上記突起部に対応し、かつ、上記弾性体が圧入される溝を有することで防水性を確保している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年では、図7に示すような電池収納部の周壁の内面全周に接触するOリングなどのパッキン76を備えた内カバー75と、筐体71の外装面の一部を有す外カバー73と、内カバー75と外カバー73とを接着する接着層74から構成された電池蓋を有する電子機器が提案されている。また、このような電子機器では、筐体71に設けられた電池収納部の周壁に凸部が形成されており、内カバー75には前記凸部の形状に沿った凹部が形成されており、電池収納部の内壁に形成された凸部と内カバー75の凹部が嵌めあわさることで、電池蓋を筐体71に固定することを可能としている。
【0006】
しかしながら、電池蓋の取り外しを行う際に、ユーザは外装面の一部となる外カバー73を持ち上げることによって電池蓋の取り外すことになる。したがって、筐体71に設けられた電池収納部の凸部と、内カバー75の凹部との嵌合により、電池蓋を外す方向とは反対向きの抵抗が発生する。これにより、内カバー75と外カバー73とを接着している接着部74において剥離現象が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、剥離現象を抑えながら、ユーザが容易に取り外すことができるカバーを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、開口部を設けた筐体と、前記開口部を覆い、前記開口部の周壁の内面全周に接触するパッキンを備えた内カバーと、前記内カバーと接着部を介して接着され、前記筐体の外装面の一部である外カバーと、前記内カバーが、前記外カバーの外周より突出する突出部を備えた構成を有する。
【0009】
この構成により、開口部の開閉動作を実施する際に、内カバーの突出部による開閉作業が可能となり、接着部を介した外カバー部の使用を抑制するため、接着部が剥離方向に荷重が負荷されることを軽減できる。
【0010】
また、本発明の電子機器は、前記突出部が、前記外カバーと略平行に配置され、前記外カバーの外周より突出する第1突出部と、前記第1突出部から外カバーの厚み方向に突起する突起部と、前記突起部から前記外カバーと略平行に突出する第2突出部とを備えた構成を有する。
【0011】
この構成により、開口部の開閉動作を実施する際に、内カバーの第2突出部による開閉作業が可能となり、接着部を介した外カバー部の使用を抑制するため、接着部が剥離方向に荷重が負荷されることを軽減できる。
【0012】
また、本発明の電子機器は、開口部を設けた筐体と、前記開口部を覆い、前記開口部の周壁の内面全周に接触するパッキンを備えた内カバーと、前記内カバーと接着部を介して接着され、前記筐体の外装面の一部である外カバーと、を備え、前記外カバーの一部が、内カバーの一部を挟持する構成を有する。
【0013】
この構成により、外カバーの上記一部によって開口部の開閉動作を実施する際に、接着部を固定した状態で開閉作業が可能となるため、外カバーを開閉動作に用いても、接着部の剥離現象が発生することを抑制する。
【0014】
また、本発明の電子機器は、前記外カバーが、前記内カバーの外周から突出する突出部と、前記突出部から前記内カバーの厚み方向に突起する突起部と、前記突起部から前記内カバーの前記接着部が設けられた面と反対側の面に延伸された延伸部とを備えた構成を有する。
【0015】
この構成により、接着部を固定した状態で開閉作業が可能となるため、外カバーを開閉動作に用いても、接着部の剥離現象が発生することを抑制する。
【0016】
また、本発明の電子機器は、前記外カバーが、前記内カバーの外周から突出する突出部と、前記突出部から前記内カバーの厚み方向に突起する突起部と、前記突起部から、前記突出部の突出方向とは反対の方向へ延伸された延伸部とを備えた構成を有する。
【0017】
この構成により、接着部を固定した状態で開閉作業が可能となるため、外カバーを開閉動作に用いても、接着部の剥離現象が発生することを抑制する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子機器によれば、内カバーと外カバーとを接着する接着部の剥離現象を抑えながら、内カバーと外カバーの両方を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る携帯端末装置の分解斜視図
【図2】本発明の実施形態1に係る携帯端末装置の斜視図
【図3】本発明の実施形態1に係る携帯端末装置の電池蓋付近のA−A断面図
【図4】本発明の実施形態2に係る携帯端末装置の分解斜視図
【図5】本発明の実施形態2に係る携帯端末装置の斜視図
【図6】本発明の実施形態2に係る携帯端末装置の電池蓋付近のB−B断面図
【図7】従来の電子機器を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは、携帯端末装置として、折畳み式携帯電話機に適用した例を説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る携帯端末装置の分解斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る携帯端末装置の斜視図である。図3は、本発明の実施形態1に係る携帯端末装置の電池蓋付近のA−A断面図である。
【0022】
図1に示すように、携帯端末装置10は、筐体11の一部に内蔵式の電池構造を有する。ここで、筐体11は、絶縁体である樹脂の成形品、たとえば非導電性のABS樹脂やポリカーボネイト材などによって構成される。
【0023】
また、携帯端末装置10において内蔵式の電池(図示せず)を取り外し可能にするため、筐体11に開口部17を設け、電池蓋12を構成する部品が開口部17に装着される。
【0024】
さらに、電池蓋12は、筐体11の外装面の一部である外カバー13と、内カバー15と、外カバー13と内カバー15とを接着する接着部14と、内カバー15に設けられ、開口部17の周壁の内面全周に接触するパッキン16とから構成される。この構成により、携帯端末装置10は、開口部17の防水性を確保している。
【0025】
なお、外カバー13は筐体11と同色で同じ質感を与えるABS樹脂やポリカーボネートといった樹脂材料もしくはSUSやマグネシウムといった金属材料で形成される。内カバー15はABS樹脂などといった樹脂材料によって形成される。接着部14はUV接着や熱溶着などよって形成される。また、パッキン16はシリコンゴムなどの弾性材料によって形成される。
【0026】
また、図3に示すように、筐体11に凹部18を設け、内カバー15のうち、−Z方向に延伸された部分の先端に凹部18に嵌め込まれる係止爪151を備える。
【0027】
さらに、電池蓋12の取り外しの工程を考慮し、内カバー15は、外カバー13と略平行に配置され、外カバー13の外周よりも−Y方向に突出する第1突出部152と、第1突出部152から外カバー13の厚み方向(ここでは+Z方向)に突起する突起部153と、突起部153から外カバー13と略平行に−Y方向へ延伸された第2突出部154とを備える。
【0028】
また、パッキン16は内カバー15と筐体11のパッキン受け溝部19の間によって圧縮されることによって開口部17の防水性が確保される。なお、パッキン16は内カバー15と接着材などによって接着されてもよい。
【0029】
以下、上述のように構成された携帯端末装置10の電池蓋12の取外し方法について説明する。
【0030】
図2および図3に示すように、筐体11に電池蓋12が取り付けられている状態では、筐体11の凹部18と内カバーの係止爪151における嵌め込みにより、固定されている。上記状態において、内カバー15の第2突出部154を基点として電池蓋12を+Z方向に引き上げると、筐体の凹部18と内カバーの係止爪151との係合が解除され、電池蓋12を取り外すことができる。
【0031】
この際、内カバー15上に配置された外カバー13が単独で引き上げられるのではなく、接着部14を介して接着された内カバー15を基点として引き上げられるため、接着部14における剥離方向の力が作用することを抑制し、接着部14における電池蓋12の脱着時の剥離現象を防止することができる。
【0032】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る携帯端末装置の分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態2に係る携帯端末装置の斜視図である。図6は、本発明の実施形態2に係る携帯端末装置の電池蓋付近のB−B断面図である。
【0033】
図4に示すように、携帯端末装置20は、筐体21の一部に内蔵式の電池構造を有する。ここで、筐体21は、絶縁体である樹脂の成形品、たとえば非導電性のABS樹脂やポリカーボネイト材などによって構成される。
【0034】
また、携帯端末装置20において内蔵式の電池(図示せず)を取り外し可能にするため、筐体21に開口部27を設け、電池蓋22を構成する部品が開口部27に装着される。
【0035】
さらに、電池蓋22は、筐体21の外装面の一部である外カバー23と、内カバー25と、外カバー23と内カバー25とを接着する接着部24と、内カバー25に設けられ、開口部27の周壁の内面全周に接触するパッキン26とから構成される。この構成により、携帯端末装置20は、開口部27の防水性を確保している。
【0036】
なお、外カバー23は筐体21と同色で同じ質感を与えるABS樹脂やポリカーボネートといった樹脂材料もしくはSUSやマグネシウムといった金属材料で形成される。内カバー25はABS樹脂などといった樹脂材料によって形成される。接着部24はUV接着や熱溶着などよって形成される。また、パッキン26はシリコンゴムなどの弾性材料によって形成される。
【0037】
また、図6に示すように、筐体21に凹部28を設け、内カバー25のうち、−Z方向に延伸された部分の先端に凹部28に嵌め込まれる係止爪251を備える。
【0038】
さらに、電池蓋12の取り外しの工程を考慮し、外カバー23は、内カバー25の外周から−Y方向に突出する突出部231と、突出部231から内カバー25の厚み方向(ここでは−Z方向)に突起する突起部232と、突起部232から+Y方向に(内カバー25の接着部24が設けられた面と反対側の面に)延伸された延伸部233とを備える。したがって、外カバー23の突出部231、突起部232、延伸部233から構成される部分が内カバー25の端部を挟持することとなる。なお、ここで、内カバー25と、外カバー23の延伸部233とが接着剤などによって接着されていてももちろんよい。
【0039】
また、パッキン26は内カバー25と筐体21のパッキン受け溝部29の間によって圧縮されることによって開口部27の防水性が確保される。なお、パッキン26は内カバー25と接着材などによって接着されてもよい。
【0040】
以下、上述のように構成された携帯端末装置20の電池蓋22の取外し方法について説明する。
【0041】
図5および図6に示すように、筐体21に電池蓋22が取り付けられている状態では、筐体21の凹部28と内カバーの係止爪251における嵌め込みにより、固定されている。上記状態において、外カバー25の突出部231を基点として電池蓋22を+Z方向に引き上げると、筐体の凹部28と内カバーの係止爪251との係合が解除され、電池蓋22を取り外すことができる。
【0042】
この際、外カバー23が単独で引き上げられるのではなく、延伸部233が内カバー25を持ち上げるため、接着部24における剥離方向の力が作用することを抑制し、接着部24における電池蓋22の脱着時の剥離現象を防止することができる。
【0043】
なお、上記実施の形態1および2では、携帯端末装置として携帯電話機に本願発明を適用した例について説明したが、携帯電話機に限らず、PDA等の携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、さらには音楽プレーヤ、HDDプレーヤ、携帯型ゲーム機などの携帯機器にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、携帯電話機などの電池駆動を行う電子機器の防水構造用途に有用である。また、電池蓋に限らず、他の蓋部の防水構造として各種電子機器に設置することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10、20 携帯端末装置
11、21、71 筐体
12、22 電池蓋
13、23、73 外カバー
14、24、74 接着部
15、25、75 内カバー
16、26、76 パッキン
17、27 開口部
18、28 凹部
19、29 パッキン受け溝部
151、251 係止爪
152 第1突出部
153 突起部
154 第2突出部
231 突出部
232 突起部
233 延伸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を設けた筐体と、
前記開口部を覆い、前記開口部の周壁の内面全周に接触するパッキンを備えた内カバーと、
前記内カバーと接着部を介して接着され、前記筐体の外装面の一部である外カバーと、
前記内カバーが、前記外カバーの外周より突出する突出部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記突出部が、前記外カバーと略平行に配置され、前記外カバーの外周より突出する第1突出部と、前記第1突出部から外カバーの厚み方向に突起する突起部と、前記突起部から前記外カバーと略平行に突出する第2突出部とを備えた請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
開口部を設けた筐体と、
前記開口部を覆い、前記開口部の周壁の内面全周に接触するパッキンを備えた内カバーと、
前記内カバーと接着部を介して接着され、前記筐体の外装面の一部である外カバーと、を備え、
前記外カバーの一部が、内カバーの一部を挟持する電子機器。
【請求項4】
前記外カバーが、前記内カバーの外周から突出する突出部と、前記突出部から前記内カバーの厚み方向に突起する突起部と、前記突起部から前記内カバーの前記接着部が設けられた面と反対側の面に延伸された延伸部とを備えた請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記外カバーが、前記内カバーの外周から突出する突出部と、前記突出部から前記内カバーの厚み方向に突起する突起部と、前記突起部から、前記突出部の突出方向とは反対の方向へ延伸された延伸部とを備えた請求項3記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46197(P2013−46197A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182378(P2011−182378)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】