説明

電子機器

【課題】機器の大型化やコストアップを招くことなく、同一の構成で様々な動作温度範囲の仕様を満足し得る電子機器を提供する。
【解決手段】発振器2と、発振器2の周囲の温度を計測する温度計測部と、発振器2が実装された基板1上で、該発振器2の近辺に実装された抵抗器3〜6と、温度計測部により計測された温度に応じて、抵抗器3〜6への通電を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振器を内蔵する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線基地局においては、送受信信号の周波数を決定するPLL回路等の基準信号源として水晶発振器等の発振器が用いられている。この発振器は周囲の温度条件によって発振周波数が変化する特性を有している。
【0003】
無線基地局の動作温度範囲は、用途や設置場所により様々な性能が要求され、特に寒冷地においては、動作温度範囲の下限が−30℃以下となる仕様となることもある。このような動作温度範囲の仕様の下、発振器に、例えば周波数偏差50ppbといった非常に厳しい特性が求められる場合があり、この要求を満たすためには非常に高価でサイズの大きい特別仕様の発振器を用いる必要があった。
【0004】
これに対し、従来、例えば発振器を発熱部品の近くに設置したり、あるいは、熱伝導率の良いシートを介して、発熱部品と接触させたりする方法や、無線基地局の筐体内壁にヒータを設置するなどの方法により、発振器の周囲温度をヒートアップするといった対策がとられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−188171号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような対策をとると、寒冷地以外の場所に基地局を設置する場合などは、高温側での温度動作範囲を満たすことが難しくなり、同じ構成を有する基地局を寒冷地とそれ以外の場所とで使用することができず、別々の仕様としなければならないという問題があった。また、特に特許文献1に開示のように、筐体内壁にヒータを設置する場合は、大きな設置スペースを必要とするため装置の大型化を招くとともに、ヒータを固定するための金具等の機構を必要とするためコストの増大を招くという問題があった。このような問題は、無線基地局に限らず、発振器を内蔵する種々の電子機器においても同様に生じるものである。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、その目的は、機器の大型化やコストアップを招くことなく、同一の構成で様々な動作温度範囲の仕様を満足し得る電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる電子機器は、発振器を備える電子機器であって、前記発振器の周囲の温度を計測する温度計測部と、前記発振器が実装された基板上で、該発振器の近辺に実装された抵抗器と、前記温度計測部により計測された温度に応じて、前記抵抗器への通電を制御する制御部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の好適一実施形態では、前記抵抗器は、セメント抵抗器から成る。
【0010】
本発明の他の好適実施形態では、前記抵抗器は、複数あって、該発振器の近辺に直列で実装されている。
【0011】
本発明の別の好適実施形態では、前記抵抗器は、該発振器を囲むように実装されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機器の大型化やコストアップを招くことなく、同一の構成で様々な動作温度範囲の仕様を満足し得る電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器の要部の構成を示す図である。
【図2】抵抗器の通電制御回路の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる基地局について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる電子機器の要部の構成を示す図である。
図1に示すように、電子機器の基板1上に発振器2が実装されているとともに、発振器2の近辺の対称な4箇所に、発振機2を囲むように、抵抗器3、4,5,6が実装されている。
【0015】
図2は、抵抗器の通電制御回路の一例を示すブロック図である。この通電制御回路は、温度計測部7、制御部8、駆動部9、及び電圧源10を備えている。抵抗器3、4、5、6は、電圧源10と駆動部9との間に直列に接続されている。
【0016】
温度計測部7は、電子機器の筐体内の図1に示した発振器2の周囲の温度を計測するものである。ここで、「周囲の温度」とは、発振器の動作温度の指標とするのに適した位置での温度を意味する。
温度計測部7は、制御部8に接続され、発振器の周囲温度の計測結果を制御部2に出力する。
【0017】
制御部8は、温度計測部7による発振器の周囲温度の計測結果に応じて、駆動部9により抵抗器3〜6への通電のオン・オフを制御するものである。すなわち、発振器の周囲温度が所定の閾値未満である場合には、駆動部9により抵抗器3〜6の電流通路をオンする。これにより、抵抗器3〜6をジュール熱で発熱させて、周囲温度を上昇させる。一方、発振器の周囲温度が所定の閾値以上である場合には、駆動部9により抵抗器3〜6の電流通路をオフする。これにより、抵抗器3〜6による発熱作用を停止させて、周囲温度を低下させる。なお、上記閾値は、例えば、発振器の動作温度範囲の下限を基準として定めることができる。
【0018】
ここで、抵抗3〜6は、耐熱性に優れた、例えばセメント抵抗器を用いることが好ましい。また、同じ駆動電流で抵抗器3〜6を効率良く発熱させるためには、図1に示すように抵抗器3〜6を直列に接続することが好ましい。
【0019】
このように発振器を実装した基板1上で、発振器2の近辺に抵抗器3〜6を対称的に配置することにより、小さいスペースで効率良く発振器の周囲温度を上昇させることができる。
なお、抵抗器の数及び配置は、この例に限定されるものではなく、電子機器の種別や設置場所に応じて適宜変更することができる。
【0020】
このように、本実施形態にかかる電子機器では、温度計測部7により発振器2の周囲の温度を計測し、計測された温度に応じて抵抗器3〜6への通電のオン・オフを制御するため、発振器2の周囲の温度を適切に制御することができる。従って、電子機器の設置場所によって、構成を変更することなく、同一構成で様々な動作温度範囲の仕様を満足し得る。
【0021】
従って、寒冷地においても特別な仕様の発振器を用いる必要がないため、コストを削減することができる。また、筐体にヒータ等の設置の必要もないため、省スペースを達成することもできる。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記の実施形態では抵抗を直列に接続しているが、これに限られず、並列接続としても良い。
【符号の説明】
【0023】
1 基板
2 発振器
3、4、5、6 抵抗器
7 温度計測部
8 制御部
9 駆動部
10 電圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振器を備える電子機器であって、
前記発振器の周囲の温度を計測する温度計測部と、
前記発振器が実装された基板上で、該発振器の近辺に実装された抵抗器と、
前記温度計測部により計測された温度に応じて、前記抵抗器への通電を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、電子機器。
【請求項2】
前記抵抗器は、セメント抵抗器から成る、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記抵抗器は、複数あって、該発振器の近辺に直列で実装されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記抵抗器は、該発振器を囲むように実装されている、請求項3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−5364(P2013−5364A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137013(P2011−137013)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】