電子装置、および、雑音電流測定方法
【課題】筐体内において電子部品を搭載した基板に流れる雑音電流を抑制し、電子装置の誤動作を防止する。
【解決手段】電子部品を搭載した基板103と筐体102とが金属スペーサー108およびネジ104によって固定されている。金属スペーサー108と基板103の間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材100が配置されている。雑音抑制部材100の金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、雑音抑制部材100の基板側には第2の導電膜が形成され、第1の導電膜と第2の導電膜の間には抵抗部材101が配置されている。この抵抗部材によって筐体から基板に流れ込む雑音電流を抑制することが出来る。
【解決手段】電子部品を搭載した基板103と筐体102とが金属スペーサー108およびネジ104によって固定されている。金属スペーサー108と基板103の間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材100が配置されている。雑音抑制部材100の金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、雑音抑制部材100の基板側には第2の導電膜が形成され、第1の導電膜と第2の導電膜の間には抵抗部材101が配置されている。この抵抗部材によって筐体から基板に流れ込む雑音電流を抑制することが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内の基板に配置された電子部品が静電気等ノイズに起因した半導体の破壊や誤動作を防止した構成を有する電子装置および、電子装置に印加される静電気等による雑音電流の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンシューマー装置や製造装置・検査装置などの電子装置では、人が触れる部位などへの接触した場合の静電気放電、あるいは、気中での静電気放電を受けて誤動作しないことを確認するイミュニティ試験が定められている(IEC61000−4−2)。また、近年の半導体の電源電圧低下による動作マージン減少によるイミュニティ耐性劣化や電子装置の軽量化のための筐体非金属化などにより、これら電子装置の静電気に対する環境は年々厳しくなっている。そのため、上記静電気試験を通過するために必要となる対策コストも増大する傾向にある。更に、静電気による誤動作に関しては上記試験を通過した装置においても発生しており大きな問題となっている。
【0003】
この状況において、電子装置のイミュニティ耐性や静電気耐性を向上させる技術の要望は高くなっている。このため、静電気の影響を受けるLSIなどの半導体へ流入する雑音電流を抑制する部品や基板・筐体構造、および基板・筐体に対する設計技術の構築が急務となっている。更に、前記した雑音抑制部品や基板・筐体構造の設計技術構築に向けては、イミュニティ試験時や静電気試験時における電流経路の同定技術の構築や障害発生メカニズムの解明も重要となってきている。
【0004】
静電気を含めたイミュニティ問題に対しては、電子装置の筺体と基板とを接続するネジ/スペーサー部に流れる電流が重要である。特に、静電気問題においては、静電気放電によって発生した雑音電流は筺体からネジ/スペーサーを介して基板に流れ込む経路をとり、また、基板に流れ込んだ雑音電流はネジ/スペーサーを介して筺体へ逃がす為の経路をとる可能性があるからである。
【0005】
また、電子装置からの不要電磁波放射問題に関しても同じように重要である。なぜなら、LSIなどの半導体で発生した雑音電流は基板からネジ/スペーサー部を介して筺体に流入し電磁波放射の発生要因となるためである。
【0006】
これらの問題に対して以下のような技術が提案されている。「特許文献1」、「特許文献2」、「特許文献3」には、インダクタンスと容量とで構成された伝送線路構造によりローパスフィルタ特性を保持させたネジ状部品が記載されている。
【0007】
また、「特許文献4」、「特許文献5」、「特許文献6」には、電子装置の筐体と基板とを固定する金属スペーサーの周囲を磁性コアで囲み、一体化したスペーサーが記載されている。さらに、「特許文献4」には、前記スペーサーと筐体の間にワッシャー状の抵抗シートを挿入する技術が記載されている。
【0008】
一方、「特許文献6」には、電子装置全体から放射される不要電磁波の発生原因を特定するために、電子装置の筺体と基板とを接合するネジ部に流れる電流を計測する技術が記載されている。これは、筺体と基板とのネジ部に流れる電流によって発生した磁束を検知するコイルを有した電流プローブおよびそれを使った測定法に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−267134号公報
【特許文献2】特開2001−76931号公報
【特許文献3】特開2001−76932号公報
【特許文献4】特開平9−23083号公報
【特許文献5】特開平10−163665号公報
【特許文献6】特開2007−85741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1、特許文献2、または特許文献3では、筺体と基板とを結合するネジにおいて、電流に対してネジのインダクタンスと寄生容量が分布的に配置されるローパスフィルタ構造が記載されている。しかし、長さ5〜10mm程度のネジおよび直径2〜6mm程度の開口部で形成されるインダクタンスと容量は非常に小さいため、ローパスフィルタの遮断周波数はGHz近くなることが予測される。そのため、静電気放電電流のように数MHz〜数GHzの広帯域な雑音電流に対しては遮断周波数帯域が足りないという課題がある。
【0011】
また、基板と筺体との間の寄生容量も考慮することで、遮断周波数を数百MHzとなるとあるが、この遮断周波数は、基板と筺体の構造で決まり、遮断周波数を意図的にコントロールできない、あるいは、遮断周波数帯域が足りないということも課題となる。更に、損失となる抵抗成分を考慮していないためインダクタンスと容量とが共振した場合では、逆に電流が大きくなってしまう課題も上げられる。
【0012】
また、特許文献4および特許文献5では、筺体と基板とを磁性体で囲まれた金属スペーサーで接続することで筺体内の空洞共振による電磁波放射を抑制し、また、筺体と金属スペーサーとの間に抵抗シートを挿入することでネジに流れる高周波電流を抑制している。
【0013】
しかし、磁性体で囲まれた金属スペーサーでは基板から筺体に流れる電流に対して直列に磁性体が持つインダクタンス成分と抵抗成分とが挿入されていないため一部電流は金属スペーサーを介して流れる恐れもあり、狙った低減効果を得られない可能性もある。
【0014】
また、筺体と金属スペーサーとの間に挿入した抵抗シートは、抵抗値の選択性が無く数MHz〜数GHzの広帯域な雑音電流に対して十分な抑制効果を得られない課題が挙げられる。筺体とネジスペーサーの間に抵抗シートを挿入する場合は、ネジや筺体及び基板の持つインダクタンス成分とでノイズの遮断周波数帯域が決まるため抵抗値の選択性は重要となる。
【0015】
一方、特許文献6ではネジ部に流れる電流によって発生する磁束を検知するコイルを有したプローブにより、基板と筺体との接続部に流れる電流を測定する手法が提案されている。しかし、特許文献6にあるプローブでは、先端のコイル部が外来磁界などの直接飛込みに対しても感度を持っている。特に、静電気試験に使用する静電ガンが発する磁界強度は非常に大きくなる。そこで、静電気試験などのイミュニティ試験においては、測定したいネジ部に流れる電流への感度を保ったまま、外来磁界に対する感度を抑えることが大きな課題となる。
【0016】
したがって、本発明の目的は基板と筺体との接合部、ネジやスペーサーに流れる静電気放電電流などの広帯域な雑音電流に対して直列に損失成分を挿入する事ができ、且つ遮断周波数帯域を意図的にコントロールできる雑音抑制部品を提供することである。また、本発明における他の目的は、雑音抑制部品を使うことで、対策時に新たな部品の追加や基板配線パターンの変更などのコスト増を招くことなく、通常の部品と置き換えることが可能な部品を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、イミュニティ試験時に試験機などから発せられる外来磁界に対する感度が小さい電流測定用プローブを提供し、且つそれを用いた測定法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0019】
(2)前記抵抗体は前記雑音抑制部材の第1の面に配置されていることを特徴とする(1)に記載の電子装置。
【0020】
(3)前記抵抗体は前記雑音抑制部材の内部に埋設されていることを特徴とする(1)に記載の電子装置。
【0021】
(4)前記抵抗体は並列に複数形成されていることを特徴とする(1)に記載の電子装置。
【0022】
(5)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした第1の雑音抑制部材が配置され、前記第1の雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記第1の雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には第1の抵抗部材が配置されており、前記ネジの皿部と前記基板の間には第2の雑音抑制部材が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第3の導電膜が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記基板側には第4の導電膜が形成され、前記第3の導電膜と前記第4の導電膜の間には第2の抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0023】
(6)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、前記ネジの皿部と前記基板の間には雑音抑制部材が形成され、前記雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0024】
(7)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0025】
(8)前記抵抗体は前記絶縁体部の表面に配置されていることを特徴とする(7)に記載の電子装置。
【0026】
(9)前記抵抗体は前記絶縁体部の内部に埋設されていることを特徴とする(7)に記載の電子装置。
【0027】
(10)前記抵抗体は複数形成されていることを特徴とする(7)に記載の電子装置。
【0028】
(11)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0029】
(12)電子装置おける雑音電流の測定方法であって、前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した構成であって、前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されており、前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【0030】
(13)電子装置おける雑音電流の測定方法であって、前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されており、前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【発明の効果】
【0031】
情報処理装置や情報家電装置および記憶装置など電子装置に搭載されるプリント基板に対策部品を追加することなく、電子装置の静電気耐性などのイミュニティ耐性を向上させ電子装置の信頼性を高めることができる。また、電子装置から放射される不要電磁波の抑制をすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】金属スペーサーと基板間に抑制部品を実装した装置断面図である。
【図2】ネジと基板間に抑制部品を実装した装置断面図である。
【図3】スペーサーと基板/ネジと基板間に抑制部品を実装した装置断面図である。
【図4】抵抗を8個備えた抑制部品の平面図および断面図である。
【図5】抵抗を5個備えた抑制部品の平面図および断面図である。
【図6】抵抗を8個埋設した構造の抑制部品の平面図および断面図である。
【図7】抵抗を5個埋設した構造の抑制部品の平面図および断面図である。
【図8】抵抗をネジの皿の上またはネジの皿の中に配置した雑音抑制構造を持つネジの断面図である。
【図9】雑音抑制構造を持つネジを実装した装置断面図である。
【図10】抵抗検出型ネジ電流プローブの上面図および断面図である。
【図11】金属筺体と基板との間に流れる雑音電流測定時の断面図である。
【図12】抵抗検出型プローブを使った雑音電流測定ブロック図である。
【図13】抵抗検出型プローブの検出電圧周波数特性グラフである。
【図14】雑音抑制部品の入れ方による雑音電流経路制御イメージ図である。
【図15】抵抗検出型プローブを複数個使っての測定イメージ図である。
【図16】従来の金属筺体と基板固定イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を示す図を参照しながら実施の形態とともにその効果について詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一の符号を付け、その繰り返しは省略する。
【実施例1】
【0034】
図1は静電気雑音抑制部品を実装した装置における断面図であり、本発明における代表的な実施の形態を示す図である。
【0035】
本発明の実施の形態の詳細を説明する前に、図16を使って従来の静電気試験時における問題点を説明する。図16は、電子装置の金属筺体102と基板103とを金属スペーサー108を介してネジ104にて固定した時の装置断面図を示している。また、基板103はグランド配線106,電源配線107を有しており,LSI(Large Scale Integrated Circuit)109そしてバイパスコンデンサ110が実装されている。
【0036】
「背景技術」にて述べたように、IEC61000−4−2で定められている静電気試験では、電子装置において人が触れる部位、例えば図16の金属筺体102などへ放電銃111を使って静電気雑音112を印加する。このときに発生する雑音電流105は、金属筺体102から金属スペーサー108および金属ワッシャー901,もしくはネジ104および金属ワッシャー901を介して基板103のグランド配線106へ流れ込む。
【0037】
この雑音電流105がグランド配線へ流れ込むことでグランド配線106の電位変動が起こり、LSI109などの能動素子の誤リセットや発信器のロック解除などの誤動作が引き起こされる。また、グランド配線106へ流れ込んだ雑音電流105から容量性/誘導性結合により雑音電圧/電流が電源配線107や信号配線などに誘起され、これにより前述と同様にLSI109が誤動作する。これは、最終的に電子装置システム全体の障害となり信頼性を劣化させる。
【0038】
つまり、電子装置システム全体の信頼性を上げるためには、前述した静電気雑音112によるLSI109誤動作の低減が課題である。その目的として、基板103上にバイパスコンデンサ110などの対策部品を実装する。この対策部品は、他にバリスタやESD保護ダイオード、EMIフィルタなどがある。
【0039】
しかし、静電気試験時に基板103上の何処(どの配線)を雑音電流105が支配的に流れるのか予測も難しく、そのメカニズムも分かっていない。したがって、雑音電流105の電流経路に対して前述した対策部品を的確且つ効果的に配置することは非常に難しい。そのため、問題となりそうな箇所すべてに対策部品を実装可能な基板設計を行うため、基板サイズに対する対策部品コストの占める割合が大きくなると共に部品コストや基板コストの増大を招く。
【0040】
これを避けるためには、基板103上のLSI109やグランド配線106および電源配線107へ雑音電流105が流入しない根本施策が必要で、本発明では、金属筺体102から金属スペーサー108を介して基板103へ流れ込む雑音電流105を抑制する部品を提供する。
【0041】
次に、図1を使って本発明にて提供する部品の詳細を説明する。前述したように、静電気試験において図1の金属筺体102へ放電銃111にて静電気雑音112を印加することで、金属筺体102から金属スペーサー108もしくはネジ104を介して基板103へ雑音電流105が流入する。
【0042】
本発明では、図1に示すように金属スペーサー108と基板103の間に雑音抑制部品100を挿入する。雑音抑制部品100は、表面に配線を有する絶縁物の基材に抵抗101が配置されたものである。この雑音抑制部品100を挿入することにより、金属筺体102から基板103へ流れ込む雑音電流105の経路に対して損失成分となる抵抗101を意図的に配置することができる。
【0043】
このように、雑音電流105の経路に対して損失成分を挿入することで、基板103へ流れ込む雑音電流105を低減できる。その結果、前述したように基板103上で問題となりそうな箇所全てに対策部品を配置する必要は無く、基板コストの増大を抑える事ができる。
【0044】
また、この雑音抑制部品100は、図16の金属ワッシャー901の代わりに挿入するため、新たな部品追加は発生しない。また、従来技術で述べた抵抗シートや磁性体を金属スペーサー108と基板103間へ挿入するような新たな部品追加は発生しない。加えて、意図した抵抗値を挿入することができるため、雑音電流105の低減量および低減したい周波数帯域を容易にコントロールすることができる。
【0045】
次に、本実施例で示した図1とは異なる実施の形態について図2を用いて説明する。図2は金属筺体102と基板とを接続するスペーサーが、表面がプラスチックで内部が金属である金属内蔵プラスチックスペーサー201となっている。図2において、スペーサー内の金属は基板103とは直接接していない。
【0046】
この場合、放電銃111にて金属筺体102へ静電気雑音112を印加した時に流れる雑音電流105は、図2においては、図1と異なり金属スペーサー108を介して基板103へ流れ込む成分は非常に少ない。何故なら金属内蔵プラスチックスペーサーの存在によって基板103のグランド配線106筐体102とは導通していないためである。その結果、筐体102から金属スペーサーとネジを介して基板103に流れる電流を抑制することが出来る。
【0047】
図3は本発明のさらに他の形態である。図3は、本発明における雑音抑制部品100を金属スペーサー108と基板103、およびネジ104と基板103との間の両者に挿入した実施の形態を示している。この雑音抑制部品100を図3のように配置することで、金属筺体102から金属スペーサー108を介して基板103へ流入する雑音電流105、および金属筺体から金属スペーサー108更にはネジ104を介して基板103へ流入する雑音電流105の両者を抑制することができる。これにより、図1で示した形態より更に雑音電流105の低減効果を狙うことができる。
【0048】
本実施例1では図1〜3を用いて、金属筺体102と基板103とを接続する一つの部位についてのみ実施の形態を説明した。しかし、本発明における雑音抑制部品100は、金属筺体102と基板103と接続する部位全てに挿入すればさらに高い効果が得られる。
【0049】
また、図14に示すように、金属筺体102と基板103とを接続する部位において、雑音抑制部品100を挿入する部位の選択や雑音抑制部品100の抵抗101の値を任意に変えることで、金属筺体102から基板103へ流れる雑音電流105の経路を制御する事が可能となる。図14において、100aから100cは雑音電流抑制部品を示し、144aから144dはネジ部品を示している。
【0050】
したがって、例えば、雑音抑制部品100aあるいは雑音抑制部品100bの抵抗を大きくすることによって、図14の点線の矢印で示す雑音電流を抑え、雑音電流を実線で示すような方向に多く流すように制御することが可能である。すなわち、図14の実践の矢印のように雑音電流を流すことによってLSIに向かう雑音電流を小さくすることが出来る。
【0051】
また、本実施例ではイミュニティ試験の一つである静電気試験について特化して述べたが、IECで定められている電磁波を照射する放射イミュニティ試験やパルス雑音を印加するイミュニティ試験についても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0052】
以上述べたように、本発明における雑音抑制部品100により静電気試験時に金属筺体102から基板103へ流入する雑音電流105を低減し、基板103へ実装されたLSI109に混入する雑音も抑制することができる。その結果、LSI109の誤動作を低減し、本発明により信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【実施例2】
【0053】
次に、図4〜図8を用いて本発明における雑音抑制部品100の実施の形態について詳細を説明する。図4〜図7は、金属ワッシャー901とほぼ同サイズ・同形状となる構造を有した雑音抑制用の部品である。また、図8はネジ104と同じ構造をした雑音抑制用の部品である。いずれも、従来使用されている金属ワッシャー901やネジ104と代替で使用することが可能である。
【0054】
まず、図4および図5について詳細を説明する。図4(a)および図5(a)が雑音抑制部品100の上面図、図4(b)および図5(b)が雑音抑制部品100の断面図である。ここで、図4(b)および図5(b)の雑音抑制部品100断面図において、上部をA面そして下部をB面と定義する。
【0055】
雑音抑制部品100はネジを通すネジ穴400、A面接続バッド401aおよびB面接続パッド401bそして抵抗101とで構成される。雑音抑制部品100に搭載される抵抗101は、A面接続パッド401aとB面接続パッド401bとを任意の抵抗値で電気的に接続するものである。
【0056】
これにより、A面接続パッド401aとB面接続パッド401bとの間で抵抗101により電気的損失を持った構造となる。また、ビア402は雑音抑制部品100のB面接接続パッド401bをA面とB面とで接続するためのものである。
【0057】
この構造を持つ雑音抑制部品100を挿入することで、図1〜図3に示した金属スペーサー108と基板103間、もしくはネジ104と基板103間に任意の抵抗を挿入することができる。
【0058】
図4は抵抗を8個搭載した構造であり、例えば10オームの抵抗値を雑音抑制部品100の抵抗値とするのであれば80オームのチップ抵抗を8個実装すれば良い。また、図5は抵抗を5個搭載する構造で、同様に10オームの抵抗値を雑音抑制部品100の抵抗値とするのであれば50オームのチップ抵抗を5個実装すれば良い。
【0059】
図5では、抵抗をネジ孔の片側に配置しているので、抵抗を同心円状に配置する場合に比較して外形を小さくすることが出来る。一方、抵抗を片側にのみ配置すると、抵抗を同心円状に配置する場合に比較してインダクタンスの制御の自由度が制限される。
【0060】
図6および図7は、本発明である雑音抑制部品100における別の実施の形態を示すものである。図4および図5と同様に、図6(a)および図7(a)が雑音抑制部品100の上面図、図6(b)および図7(b)が雑音抑制部品100の断面図である。先に説明した実施の形態である図4と図5との相違点は、抵抗101が雑音抑制部品100のA面とB面との間、つまり内層に埋設されていることである。
【0061】
図4および図5で示した実施の形態では、雑音抑制部品100のA面へ実装した抵抗101の高さの制約で、金属スペーサー108や部品などが密集した装置においては、本発明の雑音抑制部品100を挿入できない恐れがあった。しかし、図6および図7の構造では、抵抗101の部品による高さの制約が無いため、前述した部品密集地帯への挿入は可能となる。
【0062】
また、図6および図7で示した雑音抑制部品100の抵抗値は図4および図5と同じように設定することができる。但し、図4および図5においては、外付けで抵抗101を実装することが出来るので、抵抗101の抵抗値を任意に変えることは可能だが、図6および図7では任意に変えることは困難である。
【0063】
ちなみに、図6および図7ではチップ抵抗を雑音抑制部品100の内層へ埋設した構造であるが、チップ抵抗の替わりに抵抗材料を埋め込んだ構造でも同様の効果を得ることが出来る。
【0064】
また、図4〜図7に示した実施の形態では抵抗101を8個もしくは5個を搭載した雑音抑制部品100を示したが、この抵抗101の数は1個でも10個でも同様の効果が得られる。この場合、抵抗101の数をN個実装して雑音抑制部品100の抵抗値をRオームとすると、抵抗101はR[オーム]をN[個]で割った値を実装すれば良い。
【0065】
図8は本実施例における雑音抑制部品100のさらに他の形態を示す断面図である。図8に示す雑音抑制部品100は、ネジ自身に雑音抑制構造を持たせた雑音抑制ネジ800である。この構造は、雑音抑制ネジ800とネジの皿801にある導体802の間に抵抗101を実装した構造である。
【0066】
図8(a)および図8(b)におけるネジは、軸部と皿部を有し、皿部は、軸部と接続している第1の導電部と、第1の導電部を囲む絶縁部と、絶縁部を囲む第2の導電部から構成されていることを基本構造としている。したがって、この状態では、皿部の第1の導電部と、皿部の第2の導電膜とは電気的には導通していない。本実施形態は、この皿部における第1の導電部と第2の導電部の間に抵抗体を配置することである。
【0067】
図8(a)は、ネジの皿801上へ抵抗101を実装した構造であり、図8(b)はネジの皿801内部へ抵抗101を埋設した構造をとっている。抵抗値の決め方および抵抗101の個数は、図4〜7で前述した内容と同じである。また、図8(b)の埋設する抵抗101は、図6と図7と同じようにチップ抵抗でも、抵抗材料を充填した構成でも同等の効果が得られる。
【0068】
図9は、図8で説明した雑音抑制ネジ800を実際の装置へ適用した例を示す断面図である。図9の構成は、図2で説明したような、金属内蔵のプラスチックスペーサー201を使用した場合、内蔵金属およびネジ104を介して雑音電流が基板103に流入する電流を抑制することが出来る。
【0069】
図2では、金属ワッシャー901の代わりに雑音抑制部品100を挿入していたが、図9に示す本実施の形態では金属ネジ104の代わりに雑音抑制ネジ800にて基板103と筺体102および金属内蔵プラスチックスペーサー201とを固定し、雑音電流105の抑制をしている。
【0070】
なお、図9の構成は、スペーサーとして内部に金属を有するスペーサーを使用しているが、本実施例はかならずしもこの構成に限らない。例えば、スペーサーとして金属スペーサーを用いてもよい。この場合は、金属スペーサーの側の抵抗は小さくなると予想されるが、基板における金属スペーサー側の雑音電流よりも、基板におけるネジの皿側の電流を制御、あるいは、抑制したい場合もあるからである。
【0071】
以上、図1〜図9まで静電気試験時に金属筺体102から基板103へ流れ込む雑音電流105を抑制することに主眼を置いて説明した。しかし、逆にLSI109から基板103のグランド配線106およびネジ104や金属スペーサー108を介して金属筺体102に流れ込む雑音電流105に対しても、本発明で提案する雑音抑制部品100は同様の効果があることは言うまでもない。
【実施例3】
【0072】
実施例3では、雑音測定用プローブおよび測定法について説明する。図4〜図7に示したワッシャー型の雑音抑制部品100の構造を変形することで雑音測定用プローブに活用することができる。これを使えば、図1〜図3に示した静電気試験時に金属筺体102から金属スペーサー108やネジ104を介して基板103へ流れ込む雑音電流105の測定が可能となる。
【0073】
上述した金属筺体102と基板103との接合部に流れる電流を計測するプローブ構造の実施の形態の一例について図10を使って説明する。図10(a)が抵抗検出型プローブ1000の上面図、図10(b)が抵抗検出型プローブ1000の断面図である。
【0074】
図4に示した雑音抑制部品100の構造を改良して、抵抗検出型プローブ1000に変形したものが図10である。この抵抗検出型プローブ1000は、ネジ穴400とA面接続パッド401aおよびB面接続パッド401bそして検出抵抗1001、更にはA面接続パッド引出し線1002aとB面接続パッド引出し線1002bおよび電圧検出端子1003と整合抵抗1004とで構成される。
【0075】
抵抗検出型プローブ1000を使って静電気試験時に金属筺体102と基板103との間に流れる雑音電流105を測定している様子を図11に示す。図11のように放電銃111にて静電気雑音112を金属筺体102へ印加すると、雑音電流105は金属筺体102および金属スペーサー108から抵抗検出型プローブ1000を介して基板103に流れる。
【0076】
この雑音電流105が検出抵抗1001に流れることによって、検出抵抗1001のA面接続パッド401a側とB面接続パッド401b側との間に電位差が発生する。この電位差をA面接続パッド引出し線1002aおよびB面接続パッド引出し線1002bを介して電圧検出端子1003からオシロスコープやスペクトラムアナライザなどの測定器1100にて観測することで雑音電流105を測定できる。但し、図4の雑音抑制部品100の抵抗値について説明した内容と同じように、抵抗検出型プローブ1000の抵抗値を10オームとするのであれば、検出抵抗1001として80オームのチップ抵抗を8個実装すれば良い。
【0077】
ここで、図11に示す抵抗検出型プローブ1000を使った雑音電流105の測定原理について詳しく説明する。図11の金属筺体102や基板103をブロック化し、抵抗検出型プローブを更に詳細に書いたブロック図を図12に示す。この図から分かる様に、抵抗検出型プローブ1000は金属筺体102と基板103との間に筺体勘合部を介して挿入されている。ここで、筺体勘合部は図11における金属スペーサー108やネジ104などである。また、抵抗検出型プローブ1000は電圧検出端子1003からケーブルで測定器1100に接続されRt=50オームで終端されている。
【0078】
次に図12の回路図で記述してある抵抗検出型プローブ1000について詳細な説明を補足する。電流検出部である検出抵抗1001をRs、寄生インダクタンスをLs、寄生容量をCpとして纏めて検出部のインピーダンスZpと定義する。更に、A面接続パッド引出し配線1002aをLcgおよびB面接続パッド引出し配線1002bをLcs、そして整合抵抗1004をRdとし、測定器1100にて検出される電圧をV1とする。
【0079】
図12において、放電銃111にて金属筺体102へ静電気雑音112を印加した時に流れる雑音電流105をI1としたときに、測定器1100で検出される電圧V1は(式1)のようになる。
【0080】
【数1】
【0081】
ここで、Zpは検出部のインピーダンスで、(式2)のように表される。
【0082】
【数2】
【0083】
また、ωは角周波数で、(式3)のように表される。
【0084】
【数3】
【0085】
ここで図12において、雑音電流105を1MHz〜4GHzの周波数範囲で振幅10mA一定の雑音電流105が流れたとした時に測定器1100で検出される電圧V1を計算すると図13のようになる。但し、この結果はRsを1オーム、Rdを0オームとして、LcsおよびLcgの両方を3nH、Cp=3pFと固定し、Lsを0.2nHおよび1.0nHと変えた時のV1を計算した結果である。
【0086】
図13に示した抵抗検出型プローブ1000の一つの実施例において、測定器1100で検出された電圧V1は500MHz以下の周波数では何れもV1=10mV、500MHz以上では周波数が大きくなるとV1が大きくなる傾向にある。これは、(式2)で表された検出部のインピーダンスZpの特性が大きく関わっている。(式1)および(式2)にω=0(f=0)を代入すると、Zp=Rsとなり検出電圧V1は雑音電流105:I1と検出抵抗1001:Rsとの積一定で表されるためである。このV1がI1とRsとの積一定となる変化点を決めるのが、検出部のインピーダンスZpのカットオフ周波数:fcであり、(式4)で表される。
【0087】
【数4】
【0088】
以上のことから、このカットオフ周波数:fc以下では検出電圧V1をRsで割った値が雑音電流105の値と考えて良い。但し、これは整合抵抗1004:Rd=0オームとした時であり、整合抵抗1004:Rd+検出抵抗1001:Rs=50オームとした時は、検出電圧V1を2倍した値を検出抵抗1001:Rsで割った値が雑音電流105:I1の値となる。
【0089】
抵抗検出型プローブ1000において、検出電圧V1が雑音電流105:I1と検出抵抗1001:Rsとの積一定となる周波数では、検出電圧から電流への換算が非常に容易であるため、このカットオフ周波数が高い周波数であればあるほど抵抗検出型プローブ1000としては良い特性を有する。
【0090】
以上のように、本発明によれば、Lsを適当に選定することによって、カットオフ周波数を容易に制御することが出来る。言い変えれば図13におけるフラットの領域を任意に変化させることが出来る。さらに、本発明によれば、図13のフラットの領域を容易に広げることが出来る。実験によれば、図13におけるフラットの領域を4GHz程度にまで広げることが出来る。
【0091】
ここで、図10には抵抗検出型プローブ1000上に検出抵抗1001を8個実装したプローブの実施例を示している。しかし、図5に示した雑音抑制部品100と同じように検出抵抗1001を5個実装した構造でも同様の効果が得られ、更に、図6および図7と同じように検出抵抗1001をA面接続部401aおよびB面接続部401bとの間、つまり内層に埋設した構造でも同様の効果が得られることは言うまでもない。更に、図8と同じようにネジの皿801に検出抵抗1001を実装もしくは埋設し、その検出抵抗1001の両端の電圧を測定することでネジを介して流れる雑音電流105の測定が可能となる。
【0092】
また、この検出抵抗1001の数は1個でも10個でも同様の効果が得られ、検出抵抗1001をN個実装した抵抗検出型プローブの抵抗値をRオームとすると、N個の検出抵抗101はR[オーム]をN[個]で割った値とすれば良い。
【0093】
ただし、抵抗検出型プローブ1000において、検出抵抗1001は1個より5個や8個など複数個搭載する方が検出部のインダクタンスが小さく、数4で表されるカットオフ周波数が高くなり特性が良くなる。この理由は以下の通りである。
【0094】
例えば、1.0mm×0.5mmサイズや0.4mm×0.2mmサイズのチップを抵抗検出抵抗1001に使うことを考える。このサイズのチップ抵抗の寄生インダクタンスは1nH程度ある。そのため、検出抵抗1001を1個とすると図13におけるLsは1nHとなり、一方、検出抵抗1001を5個とすると寄生インダクタンスが5分の1となり、図13におけるLs=0.2nHとなるためである。仮に、図6および図7のように抵抗材料を埋設することで寄生インダクタンスLsを小さくすることが可能であれば複数個並べる必要はない。
【0095】
以上の説明では、本発明における抵抗検出型プローブ1000の実施の形態について、図11のように放電銃111を使った静電気試験を例として説明した。しかし、本発明の抵抗検出型プローブ1000は、静電気試験以外、例えば放射イミュニティ試験や伝導パルス試験などのイミュニティ試験などでも同様の効果が得られる。
【0096】
また、図11では金属筺体102から基板103へ流れ込む雑音電流105の測定に主眼を置いて説明した。しかし、逆にLSI109から基板103のグランド配線106およびネジ104や金属スペーサー108を介して金属筺体102に流れ込む雑音電流105の測定に対しても適用可能で同様の効果があることは言うまでもない。放射される不要電磁波の発生源・問題部位を特定するのに有用なプローブとして活用可能である。
【0097】
次に、抵抗検出型プローブ1000を複数個使って、静電気試験時に電子装置の金属筺体102と基板103との接合部に流れる電流を測定する方法について説明する。図15は、その一例であり、金属筺体102と基板103との4個の接合部において抵抗検出型プローブ1000a〜dをネジ104a〜dにて固定している。更に抵抗検出型プローブ1000a〜dからケーブルを引き出し測定器1100へ接続している。
【0098】
放電銃111は制御PCと接続されており、制御PCから静電気雑音112の放電を制御でき、放電銃111の制御信号は測定器1100のトリガとして入力されている。また、制御PCはLSI109とも接続されており、試験時のLSI109の制御およびLSI109内部をモニタするために使用される。
【0099】
図15で制御PCよりトリガ信号が発せられ、放電銃111から金属筺体102へ静電気雑音112が印加される。このときにネジ104a〜d各々に流れている雑音電流105を測定器1100にて観測する。
【0100】
その時のLSI109の内部も制御PCにてモニタすることで、どの位置の放電時にLSI109に誤動作が起こったかを識別でき、その時、ネジ104a〜dのどのネジに障害となる雑音電流105が流れたか分析することも可能となる。これにより、静電気試験時のLSI109の誤動作、強いては電子装置の誤動作のメカニズムを解明する、雑音電流測定法および測定システムを提供することが可能となる
【符号の説明】
【0101】
100・・・雑音抑制部品,101・・・抵抗,102・・・金属筺体,103・・・基板,104・・・ネジ,105・・・雑音電流,106・・・グランド配線,107・・・電源配線,108・・・金属スペーサー,109・・・LSI,110・・・バイパスコンデンサ,111・・・放電銃,112・・・静電気雑音,
201・・・金属内蔵プラスチックスペーサー,
400・・・ネジ穴,401a・・・A面接続パッド,401b・・・B面接続パッド,402・・・ビア,
800・・・雑音抑制ネジ,801・・・ネジの皿,802・・・導体,
901・・・金属ワッシャー,
1000・・・抵抗検出型プローブ,1001・・・検出抵抗,1002a・・・A面接続パッド引出し配線,1002b・・・B面接続パッド引出し配線,1003・・・電圧検出端子,1004・・・整合抵抗,1100・・・測定器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内の基板に配置された電子部品が静電気等ノイズに起因した半導体の破壊や誤動作を防止した構成を有する電子装置および、電子装置に印加される静電気等による雑音電流の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンシューマー装置や製造装置・検査装置などの電子装置では、人が触れる部位などへの接触した場合の静電気放電、あるいは、気中での静電気放電を受けて誤動作しないことを確認するイミュニティ試験が定められている(IEC61000−4−2)。また、近年の半導体の電源電圧低下による動作マージン減少によるイミュニティ耐性劣化や電子装置の軽量化のための筐体非金属化などにより、これら電子装置の静電気に対する環境は年々厳しくなっている。そのため、上記静電気試験を通過するために必要となる対策コストも増大する傾向にある。更に、静電気による誤動作に関しては上記試験を通過した装置においても発生しており大きな問題となっている。
【0003】
この状況において、電子装置のイミュニティ耐性や静電気耐性を向上させる技術の要望は高くなっている。このため、静電気の影響を受けるLSIなどの半導体へ流入する雑音電流を抑制する部品や基板・筐体構造、および基板・筐体に対する設計技術の構築が急務となっている。更に、前記した雑音抑制部品や基板・筐体構造の設計技術構築に向けては、イミュニティ試験時や静電気試験時における電流経路の同定技術の構築や障害発生メカニズムの解明も重要となってきている。
【0004】
静電気を含めたイミュニティ問題に対しては、電子装置の筺体と基板とを接続するネジ/スペーサー部に流れる電流が重要である。特に、静電気問題においては、静電気放電によって発生した雑音電流は筺体からネジ/スペーサーを介して基板に流れ込む経路をとり、また、基板に流れ込んだ雑音電流はネジ/スペーサーを介して筺体へ逃がす為の経路をとる可能性があるからである。
【0005】
また、電子装置からの不要電磁波放射問題に関しても同じように重要である。なぜなら、LSIなどの半導体で発生した雑音電流は基板からネジ/スペーサー部を介して筺体に流入し電磁波放射の発生要因となるためである。
【0006】
これらの問題に対して以下のような技術が提案されている。「特許文献1」、「特許文献2」、「特許文献3」には、インダクタンスと容量とで構成された伝送線路構造によりローパスフィルタ特性を保持させたネジ状部品が記載されている。
【0007】
また、「特許文献4」、「特許文献5」、「特許文献6」には、電子装置の筐体と基板とを固定する金属スペーサーの周囲を磁性コアで囲み、一体化したスペーサーが記載されている。さらに、「特許文献4」には、前記スペーサーと筐体の間にワッシャー状の抵抗シートを挿入する技術が記載されている。
【0008】
一方、「特許文献6」には、電子装置全体から放射される不要電磁波の発生原因を特定するために、電子装置の筺体と基板とを接合するネジ部に流れる電流を計測する技術が記載されている。これは、筺体と基板とのネジ部に流れる電流によって発生した磁束を検知するコイルを有した電流プローブおよびそれを使った測定法に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−267134号公報
【特許文献2】特開2001−76931号公報
【特許文献3】特開2001−76932号公報
【特許文献4】特開平9−23083号公報
【特許文献5】特開平10−163665号公報
【特許文献6】特開2007−85741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1、特許文献2、または特許文献3では、筺体と基板とを結合するネジにおいて、電流に対してネジのインダクタンスと寄生容量が分布的に配置されるローパスフィルタ構造が記載されている。しかし、長さ5〜10mm程度のネジおよび直径2〜6mm程度の開口部で形成されるインダクタンスと容量は非常に小さいため、ローパスフィルタの遮断周波数はGHz近くなることが予測される。そのため、静電気放電電流のように数MHz〜数GHzの広帯域な雑音電流に対しては遮断周波数帯域が足りないという課題がある。
【0011】
また、基板と筺体との間の寄生容量も考慮することで、遮断周波数を数百MHzとなるとあるが、この遮断周波数は、基板と筺体の構造で決まり、遮断周波数を意図的にコントロールできない、あるいは、遮断周波数帯域が足りないということも課題となる。更に、損失となる抵抗成分を考慮していないためインダクタンスと容量とが共振した場合では、逆に電流が大きくなってしまう課題も上げられる。
【0012】
また、特許文献4および特許文献5では、筺体と基板とを磁性体で囲まれた金属スペーサーで接続することで筺体内の空洞共振による電磁波放射を抑制し、また、筺体と金属スペーサーとの間に抵抗シートを挿入することでネジに流れる高周波電流を抑制している。
【0013】
しかし、磁性体で囲まれた金属スペーサーでは基板から筺体に流れる電流に対して直列に磁性体が持つインダクタンス成分と抵抗成分とが挿入されていないため一部電流は金属スペーサーを介して流れる恐れもあり、狙った低減効果を得られない可能性もある。
【0014】
また、筺体と金属スペーサーとの間に挿入した抵抗シートは、抵抗値の選択性が無く数MHz〜数GHzの広帯域な雑音電流に対して十分な抑制効果を得られない課題が挙げられる。筺体とネジスペーサーの間に抵抗シートを挿入する場合は、ネジや筺体及び基板の持つインダクタンス成分とでノイズの遮断周波数帯域が決まるため抵抗値の選択性は重要となる。
【0015】
一方、特許文献6ではネジ部に流れる電流によって発生する磁束を検知するコイルを有したプローブにより、基板と筺体との接続部に流れる電流を測定する手法が提案されている。しかし、特許文献6にあるプローブでは、先端のコイル部が外来磁界などの直接飛込みに対しても感度を持っている。特に、静電気試験に使用する静電ガンが発する磁界強度は非常に大きくなる。そこで、静電気試験などのイミュニティ試験においては、測定したいネジ部に流れる電流への感度を保ったまま、外来磁界に対する感度を抑えることが大きな課題となる。
【0016】
したがって、本発明の目的は基板と筺体との接合部、ネジやスペーサーに流れる静電気放電電流などの広帯域な雑音電流に対して直列に損失成分を挿入する事ができ、且つ遮断周波数帯域を意図的にコントロールできる雑音抑制部品を提供することである。また、本発明における他の目的は、雑音抑制部品を使うことで、対策時に新たな部品の追加や基板配線パターンの変更などのコスト増を招くことなく、通常の部品と置き換えることが可能な部品を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、イミュニティ試験時に試験機などから発せられる外来磁界に対する感度が小さい電流測定用プローブを提供し、且つそれを用いた測定法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0019】
(2)前記抵抗体は前記雑音抑制部材の第1の面に配置されていることを特徴とする(1)に記載の電子装置。
【0020】
(3)前記抵抗体は前記雑音抑制部材の内部に埋設されていることを特徴とする(1)に記載の電子装置。
【0021】
(4)前記抵抗体は並列に複数形成されていることを特徴とする(1)に記載の電子装置。
【0022】
(5)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした第1の雑音抑制部材が配置され、前記第1の雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記第1の雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には第1の抵抗部材が配置されており、前記ネジの皿部と前記基板の間には第2の雑音抑制部材が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第3の導電膜が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記基板側には第4の導電膜が形成され、前記第3の導電膜と前記第4の導電膜の間には第2の抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0023】
(6)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、前記ネジの皿部と前記基板の間には雑音抑制部材が形成され、前記雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0024】
(7)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0025】
(8)前記抵抗体は前記絶縁体部の表面に配置されていることを特徴とする(7)に記載の電子装置。
【0026】
(9)前記抵抗体は前記絶縁体部の内部に埋設されていることを特徴とする(7)に記載の電子装置。
【0027】
(10)前記抵抗体は複数形成されていることを特徴とする(7)に記載の電子装置。
【0028】
(11)筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【0029】
(12)電子装置おける雑音電流の測定方法であって、前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した構成であって、前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されており、前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【0030】
(13)電子装置おける雑音電流の測定方法であって、前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されており、前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【発明の効果】
【0031】
情報処理装置や情報家電装置および記憶装置など電子装置に搭載されるプリント基板に対策部品を追加することなく、電子装置の静電気耐性などのイミュニティ耐性を向上させ電子装置の信頼性を高めることができる。また、電子装置から放射される不要電磁波の抑制をすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】金属スペーサーと基板間に抑制部品を実装した装置断面図である。
【図2】ネジと基板間に抑制部品を実装した装置断面図である。
【図3】スペーサーと基板/ネジと基板間に抑制部品を実装した装置断面図である。
【図4】抵抗を8個備えた抑制部品の平面図および断面図である。
【図5】抵抗を5個備えた抑制部品の平面図および断面図である。
【図6】抵抗を8個埋設した構造の抑制部品の平面図および断面図である。
【図7】抵抗を5個埋設した構造の抑制部品の平面図および断面図である。
【図8】抵抗をネジの皿の上またはネジの皿の中に配置した雑音抑制構造を持つネジの断面図である。
【図9】雑音抑制構造を持つネジを実装した装置断面図である。
【図10】抵抗検出型ネジ電流プローブの上面図および断面図である。
【図11】金属筺体と基板との間に流れる雑音電流測定時の断面図である。
【図12】抵抗検出型プローブを使った雑音電流測定ブロック図である。
【図13】抵抗検出型プローブの検出電圧周波数特性グラフである。
【図14】雑音抑制部品の入れ方による雑音電流経路制御イメージ図である。
【図15】抵抗検出型プローブを複数個使っての測定イメージ図である。
【図16】従来の金属筺体と基板固定イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を示す図を参照しながら実施の形態とともにその効果について詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一の符号を付け、その繰り返しは省略する。
【実施例1】
【0034】
図1は静電気雑音抑制部品を実装した装置における断面図であり、本発明における代表的な実施の形態を示す図である。
【0035】
本発明の実施の形態の詳細を説明する前に、図16を使って従来の静電気試験時における問題点を説明する。図16は、電子装置の金属筺体102と基板103とを金属スペーサー108を介してネジ104にて固定した時の装置断面図を示している。また、基板103はグランド配線106,電源配線107を有しており,LSI(Large Scale Integrated Circuit)109そしてバイパスコンデンサ110が実装されている。
【0036】
「背景技術」にて述べたように、IEC61000−4−2で定められている静電気試験では、電子装置において人が触れる部位、例えば図16の金属筺体102などへ放電銃111を使って静電気雑音112を印加する。このときに発生する雑音電流105は、金属筺体102から金属スペーサー108および金属ワッシャー901,もしくはネジ104および金属ワッシャー901を介して基板103のグランド配線106へ流れ込む。
【0037】
この雑音電流105がグランド配線へ流れ込むことでグランド配線106の電位変動が起こり、LSI109などの能動素子の誤リセットや発信器のロック解除などの誤動作が引き起こされる。また、グランド配線106へ流れ込んだ雑音電流105から容量性/誘導性結合により雑音電圧/電流が電源配線107や信号配線などに誘起され、これにより前述と同様にLSI109が誤動作する。これは、最終的に電子装置システム全体の障害となり信頼性を劣化させる。
【0038】
つまり、電子装置システム全体の信頼性を上げるためには、前述した静電気雑音112によるLSI109誤動作の低減が課題である。その目的として、基板103上にバイパスコンデンサ110などの対策部品を実装する。この対策部品は、他にバリスタやESD保護ダイオード、EMIフィルタなどがある。
【0039】
しかし、静電気試験時に基板103上の何処(どの配線)を雑音電流105が支配的に流れるのか予測も難しく、そのメカニズムも分かっていない。したがって、雑音電流105の電流経路に対して前述した対策部品を的確且つ効果的に配置することは非常に難しい。そのため、問題となりそうな箇所すべてに対策部品を実装可能な基板設計を行うため、基板サイズに対する対策部品コストの占める割合が大きくなると共に部品コストや基板コストの増大を招く。
【0040】
これを避けるためには、基板103上のLSI109やグランド配線106および電源配線107へ雑音電流105が流入しない根本施策が必要で、本発明では、金属筺体102から金属スペーサー108を介して基板103へ流れ込む雑音電流105を抑制する部品を提供する。
【0041】
次に、図1を使って本発明にて提供する部品の詳細を説明する。前述したように、静電気試験において図1の金属筺体102へ放電銃111にて静電気雑音112を印加することで、金属筺体102から金属スペーサー108もしくはネジ104を介して基板103へ雑音電流105が流入する。
【0042】
本発明では、図1に示すように金属スペーサー108と基板103の間に雑音抑制部品100を挿入する。雑音抑制部品100は、表面に配線を有する絶縁物の基材に抵抗101が配置されたものである。この雑音抑制部品100を挿入することにより、金属筺体102から基板103へ流れ込む雑音電流105の経路に対して損失成分となる抵抗101を意図的に配置することができる。
【0043】
このように、雑音電流105の経路に対して損失成分を挿入することで、基板103へ流れ込む雑音電流105を低減できる。その結果、前述したように基板103上で問題となりそうな箇所全てに対策部品を配置する必要は無く、基板コストの増大を抑える事ができる。
【0044】
また、この雑音抑制部品100は、図16の金属ワッシャー901の代わりに挿入するため、新たな部品追加は発生しない。また、従来技術で述べた抵抗シートや磁性体を金属スペーサー108と基板103間へ挿入するような新たな部品追加は発生しない。加えて、意図した抵抗値を挿入することができるため、雑音電流105の低減量および低減したい周波数帯域を容易にコントロールすることができる。
【0045】
次に、本実施例で示した図1とは異なる実施の形態について図2を用いて説明する。図2は金属筺体102と基板とを接続するスペーサーが、表面がプラスチックで内部が金属である金属内蔵プラスチックスペーサー201となっている。図2において、スペーサー内の金属は基板103とは直接接していない。
【0046】
この場合、放電銃111にて金属筺体102へ静電気雑音112を印加した時に流れる雑音電流105は、図2においては、図1と異なり金属スペーサー108を介して基板103へ流れ込む成分は非常に少ない。何故なら金属内蔵プラスチックスペーサーの存在によって基板103のグランド配線106筐体102とは導通していないためである。その結果、筐体102から金属スペーサーとネジを介して基板103に流れる電流を抑制することが出来る。
【0047】
図3は本発明のさらに他の形態である。図3は、本発明における雑音抑制部品100を金属スペーサー108と基板103、およびネジ104と基板103との間の両者に挿入した実施の形態を示している。この雑音抑制部品100を図3のように配置することで、金属筺体102から金属スペーサー108を介して基板103へ流入する雑音電流105、および金属筺体から金属スペーサー108更にはネジ104を介して基板103へ流入する雑音電流105の両者を抑制することができる。これにより、図1で示した形態より更に雑音電流105の低減効果を狙うことができる。
【0048】
本実施例1では図1〜3を用いて、金属筺体102と基板103とを接続する一つの部位についてのみ実施の形態を説明した。しかし、本発明における雑音抑制部品100は、金属筺体102と基板103と接続する部位全てに挿入すればさらに高い効果が得られる。
【0049】
また、図14に示すように、金属筺体102と基板103とを接続する部位において、雑音抑制部品100を挿入する部位の選択や雑音抑制部品100の抵抗101の値を任意に変えることで、金属筺体102から基板103へ流れる雑音電流105の経路を制御する事が可能となる。図14において、100aから100cは雑音電流抑制部品を示し、144aから144dはネジ部品を示している。
【0050】
したがって、例えば、雑音抑制部品100aあるいは雑音抑制部品100bの抵抗を大きくすることによって、図14の点線の矢印で示す雑音電流を抑え、雑音電流を実線で示すような方向に多く流すように制御することが可能である。すなわち、図14の実践の矢印のように雑音電流を流すことによってLSIに向かう雑音電流を小さくすることが出来る。
【0051】
また、本実施例ではイミュニティ試験の一つである静電気試験について特化して述べたが、IECで定められている電磁波を照射する放射イミュニティ試験やパルス雑音を印加するイミュニティ試験についても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0052】
以上述べたように、本発明における雑音抑制部品100により静電気試験時に金属筺体102から基板103へ流入する雑音電流105を低減し、基板103へ実装されたLSI109に混入する雑音も抑制することができる。その結果、LSI109の誤動作を低減し、本発明により信頼性の高い電子装置を提供することができる。
【実施例2】
【0053】
次に、図4〜図8を用いて本発明における雑音抑制部品100の実施の形態について詳細を説明する。図4〜図7は、金属ワッシャー901とほぼ同サイズ・同形状となる構造を有した雑音抑制用の部品である。また、図8はネジ104と同じ構造をした雑音抑制用の部品である。いずれも、従来使用されている金属ワッシャー901やネジ104と代替で使用することが可能である。
【0054】
まず、図4および図5について詳細を説明する。図4(a)および図5(a)が雑音抑制部品100の上面図、図4(b)および図5(b)が雑音抑制部品100の断面図である。ここで、図4(b)および図5(b)の雑音抑制部品100断面図において、上部をA面そして下部をB面と定義する。
【0055】
雑音抑制部品100はネジを通すネジ穴400、A面接続バッド401aおよびB面接続パッド401bそして抵抗101とで構成される。雑音抑制部品100に搭載される抵抗101は、A面接続パッド401aとB面接続パッド401bとを任意の抵抗値で電気的に接続するものである。
【0056】
これにより、A面接続パッド401aとB面接続パッド401bとの間で抵抗101により電気的損失を持った構造となる。また、ビア402は雑音抑制部品100のB面接接続パッド401bをA面とB面とで接続するためのものである。
【0057】
この構造を持つ雑音抑制部品100を挿入することで、図1〜図3に示した金属スペーサー108と基板103間、もしくはネジ104と基板103間に任意の抵抗を挿入することができる。
【0058】
図4は抵抗を8個搭載した構造であり、例えば10オームの抵抗値を雑音抑制部品100の抵抗値とするのであれば80オームのチップ抵抗を8個実装すれば良い。また、図5は抵抗を5個搭載する構造で、同様に10オームの抵抗値を雑音抑制部品100の抵抗値とするのであれば50オームのチップ抵抗を5個実装すれば良い。
【0059】
図5では、抵抗をネジ孔の片側に配置しているので、抵抗を同心円状に配置する場合に比較して外形を小さくすることが出来る。一方、抵抗を片側にのみ配置すると、抵抗を同心円状に配置する場合に比較してインダクタンスの制御の自由度が制限される。
【0060】
図6および図7は、本発明である雑音抑制部品100における別の実施の形態を示すものである。図4および図5と同様に、図6(a)および図7(a)が雑音抑制部品100の上面図、図6(b)および図7(b)が雑音抑制部品100の断面図である。先に説明した実施の形態である図4と図5との相違点は、抵抗101が雑音抑制部品100のA面とB面との間、つまり内層に埋設されていることである。
【0061】
図4および図5で示した実施の形態では、雑音抑制部品100のA面へ実装した抵抗101の高さの制約で、金属スペーサー108や部品などが密集した装置においては、本発明の雑音抑制部品100を挿入できない恐れがあった。しかし、図6および図7の構造では、抵抗101の部品による高さの制約が無いため、前述した部品密集地帯への挿入は可能となる。
【0062】
また、図6および図7で示した雑音抑制部品100の抵抗値は図4および図5と同じように設定することができる。但し、図4および図5においては、外付けで抵抗101を実装することが出来るので、抵抗101の抵抗値を任意に変えることは可能だが、図6および図7では任意に変えることは困難である。
【0063】
ちなみに、図6および図7ではチップ抵抗を雑音抑制部品100の内層へ埋設した構造であるが、チップ抵抗の替わりに抵抗材料を埋め込んだ構造でも同様の効果を得ることが出来る。
【0064】
また、図4〜図7に示した実施の形態では抵抗101を8個もしくは5個を搭載した雑音抑制部品100を示したが、この抵抗101の数は1個でも10個でも同様の効果が得られる。この場合、抵抗101の数をN個実装して雑音抑制部品100の抵抗値をRオームとすると、抵抗101はR[オーム]をN[個]で割った値を実装すれば良い。
【0065】
図8は本実施例における雑音抑制部品100のさらに他の形態を示す断面図である。図8に示す雑音抑制部品100は、ネジ自身に雑音抑制構造を持たせた雑音抑制ネジ800である。この構造は、雑音抑制ネジ800とネジの皿801にある導体802の間に抵抗101を実装した構造である。
【0066】
図8(a)および図8(b)におけるネジは、軸部と皿部を有し、皿部は、軸部と接続している第1の導電部と、第1の導電部を囲む絶縁部と、絶縁部を囲む第2の導電部から構成されていることを基本構造としている。したがって、この状態では、皿部の第1の導電部と、皿部の第2の導電膜とは電気的には導通していない。本実施形態は、この皿部における第1の導電部と第2の導電部の間に抵抗体を配置することである。
【0067】
図8(a)は、ネジの皿801上へ抵抗101を実装した構造であり、図8(b)はネジの皿801内部へ抵抗101を埋設した構造をとっている。抵抗値の決め方および抵抗101の個数は、図4〜7で前述した内容と同じである。また、図8(b)の埋設する抵抗101は、図6と図7と同じようにチップ抵抗でも、抵抗材料を充填した構成でも同等の効果が得られる。
【0068】
図9は、図8で説明した雑音抑制ネジ800を実際の装置へ適用した例を示す断面図である。図9の構成は、図2で説明したような、金属内蔵のプラスチックスペーサー201を使用した場合、内蔵金属およびネジ104を介して雑音電流が基板103に流入する電流を抑制することが出来る。
【0069】
図2では、金属ワッシャー901の代わりに雑音抑制部品100を挿入していたが、図9に示す本実施の形態では金属ネジ104の代わりに雑音抑制ネジ800にて基板103と筺体102および金属内蔵プラスチックスペーサー201とを固定し、雑音電流105の抑制をしている。
【0070】
なお、図9の構成は、スペーサーとして内部に金属を有するスペーサーを使用しているが、本実施例はかならずしもこの構成に限らない。例えば、スペーサーとして金属スペーサーを用いてもよい。この場合は、金属スペーサーの側の抵抗は小さくなると予想されるが、基板における金属スペーサー側の雑音電流よりも、基板におけるネジの皿側の電流を制御、あるいは、抑制したい場合もあるからである。
【0071】
以上、図1〜図9まで静電気試験時に金属筺体102から基板103へ流れ込む雑音電流105を抑制することに主眼を置いて説明した。しかし、逆にLSI109から基板103のグランド配線106およびネジ104や金属スペーサー108を介して金属筺体102に流れ込む雑音電流105に対しても、本発明で提案する雑音抑制部品100は同様の効果があることは言うまでもない。
【実施例3】
【0072】
実施例3では、雑音測定用プローブおよび測定法について説明する。図4〜図7に示したワッシャー型の雑音抑制部品100の構造を変形することで雑音測定用プローブに活用することができる。これを使えば、図1〜図3に示した静電気試験時に金属筺体102から金属スペーサー108やネジ104を介して基板103へ流れ込む雑音電流105の測定が可能となる。
【0073】
上述した金属筺体102と基板103との接合部に流れる電流を計測するプローブ構造の実施の形態の一例について図10を使って説明する。図10(a)が抵抗検出型プローブ1000の上面図、図10(b)が抵抗検出型プローブ1000の断面図である。
【0074】
図4に示した雑音抑制部品100の構造を改良して、抵抗検出型プローブ1000に変形したものが図10である。この抵抗検出型プローブ1000は、ネジ穴400とA面接続パッド401aおよびB面接続パッド401bそして検出抵抗1001、更にはA面接続パッド引出し線1002aとB面接続パッド引出し線1002bおよび電圧検出端子1003と整合抵抗1004とで構成される。
【0075】
抵抗検出型プローブ1000を使って静電気試験時に金属筺体102と基板103との間に流れる雑音電流105を測定している様子を図11に示す。図11のように放電銃111にて静電気雑音112を金属筺体102へ印加すると、雑音電流105は金属筺体102および金属スペーサー108から抵抗検出型プローブ1000を介して基板103に流れる。
【0076】
この雑音電流105が検出抵抗1001に流れることによって、検出抵抗1001のA面接続パッド401a側とB面接続パッド401b側との間に電位差が発生する。この電位差をA面接続パッド引出し線1002aおよびB面接続パッド引出し線1002bを介して電圧検出端子1003からオシロスコープやスペクトラムアナライザなどの測定器1100にて観測することで雑音電流105を測定できる。但し、図4の雑音抑制部品100の抵抗値について説明した内容と同じように、抵抗検出型プローブ1000の抵抗値を10オームとするのであれば、検出抵抗1001として80オームのチップ抵抗を8個実装すれば良い。
【0077】
ここで、図11に示す抵抗検出型プローブ1000を使った雑音電流105の測定原理について詳しく説明する。図11の金属筺体102や基板103をブロック化し、抵抗検出型プローブを更に詳細に書いたブロック図を図12に示す。この図から分かる様に、抵抗検出型プローブ1000は金属筺体102と基板103との間に筺体勘合部を介して挿入されている。ここで、筺体勘合部は図11における金属スペーサー108やネジ104などである。また、抵抗検出型プローブ1000は電圧検出端子1003からケーブルで測定器1100に接続されRt=50オームで終端されている。
【0078】
次に図12の回路図で記述してある抵抗検出型プローブ1000について詳細な説明を補足する。電流検出部である検出抵抗1001をRs、寄生インダクタンスをLs、寄生容量をCpとして纏めて検出部のインピーダンスZpと定義する。更に、A面接続パッド引出し配線1002aをLcgおよびB面接続パッド引出し配線1002bをLcs、そして整合抵抗1004をRdとし、測定器1100にて検出される電圧をV1とする。
【0079】
図12において、放電銃111にて金属筺体102へ静電気雑音112を印加した時に流れる雑音電流105をI1としたときに、測定器1100で検出される電圧V1は(式1)のようになる。
【0080】
【数1】
【0081】
ここで、Zpは検出部のインピーダンスで、(式2)のように表される。
【0082】
【数2】
【0083】
また、ωは角周波数で、(式3)のように表される。
【0084】
【数3】
【0085】
ここで図12において、雑音電流105を1MHz〜4GHzの周波数範囲で振幅10mA一定の雑音電流105が流れたとした時に測定器1100で検出される電圧V1を計算すると図13のようになる。但し、この結果はRsを1オーム、Rdを0オームとして、LcsおよびLcgの両方を3nH、Cp=3pFと固定し、Lsを0.2nHおよび1.0nHと変えた時のV1を計算した結果である。
【0086】
図13に示した抵抗検出型プローブ1000の一つの実施例において、測定器1100で検出された電圧V1は500MHz以下の周波数では何れもV1=10mV、500MHz以上では周波数が大きくなるとV1が大きくなる傾向にある。これは、(式2)で表された検出部のインピーダンスZpの特性が大きく関わっている。(式1)および(式2)にω=0(f=0)を代入すると、Zp=Rsとなり検出電圧V1は雑音電流105:I1と検出抵抗1001:Rsとの積一定で表されるためである。このV1がI1とRsとの積一定となる変化点を決めるのが、検出部のインピーダンスZpのカットオフ周波数:fcであり、(式4)で表される。
【0087】
【数4】
【0088】
以上のことから、このカットオフ周波数:fc以下では検出電圧V1をRsで割った値が雑音電流105の値と考えて良い。但し、これは整合抵抗1004:Rd=0オームとした時であり、整合抵抗1004:Rd+検出抵抗1001:Rs=50オームとした時は、検出電圧V1を2倍した値を検出抵抗1001:Rsで割った値が雑音電流105:I1の値となる。
【0089】
抵抗検出型プローブ1000において、検出電圧V1が雑音電流105:I1と検出抵抗1001:Rsとの積一定となる周波数では、検出電圧から電流への換算が非常に容易であるため、このカットオフ周波数が高い周波数であればあるほど抵抗検出型プローブ1000としては良い特性を有する。
【0090】
以上のように、本発明によれば、Lsを適当に選定することによって、カットオフ周波数を容易に制御することが出来る。言い変えれば図13におけるフラットの領域を任意に変化させることが出来る。さらに、本発明によれば、図13のフラットの領域を容易に広げることが出来る。実験によれば、図13におけるフラットの領域を4GHz程度にまで広げることが出来る。
【0091】
ここで、図10には抵抗検出型プローブ1000上に検出抵抗1001を8個実装したプローブの実施例を示している。しかし、図5に示した雑音抑制部品100と同じように検出抵抗1001を5個実装した構造でも同様の効果が得られ、更に、図6および図7と同じように検出抵抗1001をA面接続部401aおよびB面接続部401bとの間、つまり内層に埋設した構造でも同様の効果が得られることは言うまでもない。更に、図8と同じようにネジの皿801に検出抵抗1001を実装もしくは埋設し、その検出抵抗1001の両端の電圧を測定することでネジを介して流れる雑音電流105の測定が可能となる。
【0092】
また、この検出抵抗1001の数は1個でも10個でも同様の効果が得られ、検出抵抗1001をN個実装した抵抗検出型プローブの抵抗値をRオームとすると、N個の検出抵抗101はR[オーム]をN[個]で割った値とすれば良い。
【0093】
ただし、抵抗検出型プローブ1000において、検出抵抗1001は1個より5個や8個など複数個搭載する方が検出部のインダクタンスが小さく、数4で表されるカットオフ周波数が高くなり特性が良くなる。この理由は以下の通りである。
【0094】
例えば、1.0mm×0.5mmサイズや0.4mm×0.2mmサイズのチップを抵抗検出抵抗1001に使うことを考える。このサイズのチップ抵抗の寄生インダクタンスは1nH程度ある。そのため、検出抵抗1001を1個とすると図13におけるLsは1nHとなり、一方、検出抵抗1001を5個とすると寄生インダクタンスが5分の1となり、図13におけるLs=0.2nHとなるためである。仮に、図6および図7のように抵抗材料を埋設することで寄生インダクタンスLsを小さくすることが可能であれば複数個並べる必要はない。
【0095】
以上の説明では、本発明における抵抗検出型プローブ1000の実施の形態について、図11のように放電銃111を使った静電気試験を例として説明した。しかし、本発明の抵抗検出型プローブ1000は、静電気試験以外、例えば放射イミュニティ試験や伝導パルス試験などのイミュニティ試験などでも同様の効果が得られる。
【0096】
また、図11では金属筺体102から基板103へ流れ込む雑音電流105の測定に主眼を置いて説明した。しかし、逆にLSI109から基板103のグランド配線106およびネジ104や金属スペーサー108を介して金属筺体102に流れ込む雑音電流105の測定に対しても適用可能で同様の効果があることは言うまでもない。放射される不要電磁波の発生源・問題部位を特定するのに有用なプローブとして活用可能である。
【0097】
次に、抵抗検出型プローブ1000を複数個使って、静電気試験時に電子装置の金属筺体102と基板103との接合部に流れる電流を測定する方法について説明する。図15は、その一例であり、金属筺体102と基板103との4個の接合部において抵抗検出型プローブ1000a〜dをネジ104a〜dにて固定している。更に抵抗検出型プローブ1000a〜dからケーブルを引き出し測定器1100へ接続している。
【0098】
放電銃111は制御PCと接続されており、制御PCから静電気雑音112の放電を制御でき、放電銃111の制御信号は測定器1100のトリガとして入力されている。また、制御PCはLSI109とも接続されており、試験時のLSI109の制御およびLSI109内部をモニタするために使用される。
【0099】
図15で制御PCよりトリガ信号が発せられ、放電銃111から金属筺体102へ静電気雑音112が印加される。このときにネジ104a〜d各々に流れている雑音電流105を測定器1100にて観測する。
【0100】
その時のLSI109の内部も制御PCにてモニタすることで、どの位置の放電時にLSI109に誤動作が起こったかを識別でき、その時、ネジ104a〜dのどのネジに障害となる雑音電流105が流れたか分析することも可能となる。これにより、静電気試験時のLSI109の誤動作、強いては電子装置の誤動作のメカニズムを解明する、雑音電流測定法および測定システムを提供することが可能となる
【符号の説明】
【0101】
100・・・雑音抑制部品,101・・・抵抗,102・・・金属筺体,103・・・基板,104・・・ネジ,105・・・雑音電流,106・・・グランド配線,107・・・電源配線,108・・・金属スペーサー,109・・・LSI,110・・・バイパスコンデンサ,111・・・放電銃,112・・・静電気雑音,
201・・・金属内蔵プラスチックスペーサー,
400・・・ネジ穴,401a・・・A面接続パッド,401b・・・B面接続パッド,402・・・ビア,
800・・・雑音抑制ネジ,801・・・ネジの皿,802・・・導体,
901・・・金属ワッシャー,
1000・・・抵抗検出型プローブ,1001・・・検出抵抗,1002a・・・A面接続パッド引出し配線,1002b・・・B面接続パッド引出し配線,1003・・・電圧検出端子,1004・・・整合抵抗,1100・・・測定器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、
前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記抵抗体は前記雑音抑制部材の第1の面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記抵抗体は前記雑音抑制部材の内部に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記抵抗体は並列に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした第1の雑音抑制部材が配置され、
前記第1の雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記第1の雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には第1の抵抗部材が配置されており、
前記ネジの皿部と前記基板の間には第2の雑音抑制部材が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第3の導電膜が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記基板側には第4の導電膜が形成され、前記第3の導電膜と前記第4の導電膜の間には第2の抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、
前記ネジの皿部と前記基板の間には雑音抑制部材が形成され、前記雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、
前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
前記抵抗体は前記絶縁体部の表面に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記抵抗体は前記絶縁体部の内部に埋設されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項10】
前記抵抗体は複数形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項11】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、
前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
電子装置おける雑音電流の測定方法であって、
前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した構成であって、
前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、
前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されており、
前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【請求項13】
電子装置おける雑音電流の測定方法であって、
前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、
前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されており、
前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【請求項1】
筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、
前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記抵抗体は前記雑音抑制部材の第1の面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記抵抗体は前記雑音抑制部材の内部に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記抵抗体は並列に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび金属スペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした第1の雑音抑制部材が配置され、
前記第1の雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記第1の雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には第1の抵抗部材が配置されており、
前記ネジの皿部と前記基板の間には第2の雑音抑制部材が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第3の導電膜が形成され、前記第2の雑音抑制部材の前記基板側には第4の導電膜が形成され、前記第3の導電膜と前記第4の導電膜の間には第2の抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、
前記ネジの皿部と前記基板の間には雑音抑制部材が形成され、前記雑音抑制部材の前記ネジの皿部の側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、
前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
前記抵抗体は前記絶縁体部の表面に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記抵抗体は前記絶縁体部の内部に埋設されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項10】
前記抵抗体は複数形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項11】
筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよび内部に金属を有するスペーサーで固定した電子装置であって、
前記基板と前記スペーサーとは接触し、前記基板と前記スペーサーの内部の金属は前記基板と接触しておらず、
前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されていることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
電子装置おける雑音電流の測定方法であって、
前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板をネジおよび金属スペーサーで固定した構成であって、
前記基板と前記金属スペーサーの間には絶縁物を基材とした雑音抑制部材が配置され、
前記雑音抑制部材の前記金属スペーサー側には第1の導電膜が形成され、前記雑音抑制部材の前記基板側には第2の導電膜が形成され、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜の間には抵抗部材が配置されており、
前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【請求項13】
電子装置おける雑音電流の測定方法であって、
前記電子装置は、筐体と、回路部品が搭載された基板を皿部と軸部を有するネジおよびスペーサーで固定した電子装置であって、
前記ネジの前記皿部は前記軸部と接続している第1の導体部と、前記第1の導体部を囲む絶縁体部と、前記絶縁体部を囲み、前記基板と導通している第2の導体部から構成され、
前記第1の導体部と前記第2の導体部との間には抵抗体が配置されており、
前記抵抗体の2つの端部間の電圧を、前記抵抗体と直列に接続した整合抵抗を介して測定することを特徴とする電子装置における雑音電流の測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−283069(P2010−283069A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134139(P2009−134139)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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