説明

電子装置およびデータ記録制御方法

【課題】書き込み回数に制限のあるメモリカードを記録媒体として使用する場合、書き込み回数が制限回数を超えたとき、当該メモリカードに記録されているデータの破損を確実に防止しつつ、その後に発生するデータの書き込みを継続することが可能な「電子装置およびデータ記録制御方法」を提供する。
【解決手段】第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数が所定回数以上である場合、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可し、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定を行い、その後の書き込み要求に対し第1の不揮発性メモリ160に書き込みを行うように制御することにより、データが破損する可能性の高い状態で第2の不揮発性メモリ180に対するデータの書き込みが行われず、新規に保存する必要のあるデータを第1の不揮発性メモリ160に書き込み続けられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置およびデータ記録制御方法に関し、例えば、地図データの記録媒体としてメモリカード(不揮発性メモリ)を利用したナビゲーション装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置では、地図データを保存しておく記録媒体として、ハードディスクやDVDが使用されていた。これに対し最近、地図データの記録媒体として、ハードディスクやDVDに代えて不揮発性のメモリカードを用いたナビゲーション装置が提案されている。
【0003】
ところで、メモリカードには書き込み可能回数に上限があり、書き込みを一定数繰り返すとデータを正常に保存できなくなったり、既に保存されているデータが破損してしまったりする可能性が高まる。そのため、ある一定の書き込み回数を超えたメモリカードは交換する必要がある。
【0004】
なお、記録媒体に関連する技術として、記録媒体のFAT(ファイル割り当てテーブル)部分の書き込み回数が制限回数に達したことを簡便に検出してFATを別の場所に移動することにより、書き込みの集中するFATが書き込み数に応じて動的に移動されるようにし、当該記録媒体の長寿命化を図れるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
また、不揮発性メモリに関連する技術として、不揮発性メモリの書き込み保証回数が少ない場合にも当該不揮発性メモリを安心して使用できるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。すなわち、特許文献2に記載の技術では、不揮発性メモリのフォーマット累計数があらかじめ決められたフォーマット上限回数以下であれば、データの書き込みおよび読み出しが可能なライトマルチモードとする。一方、フォーマット上限回数に達した場合は、不揮発性メモリの空き容量がなくなった時点で不揮発性メモリへの書き込みを禁止し、読み出しのみを可能とするリードオンリモードに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−227919号公報
【特許文献2】特開2008−305061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、メモリカードの書き込み回数が制限回数を超えた場合に、いつも短時間で新しいメモリカードに交換することができるとは限らない。すぐに交換できない場合、メモリカードに対して制限回数を超えて書き込みが続けられると、メモリカードに保存されているデータの破損する可能性が高まる。
【0008】
このような不都合を回避するため、制限回数を超えてもメモリカードが交換されない場合には、メモリカードに対して書き込み動作を禁止する設定を行うという方法が考えられる。しかし、このようにすると、書き込みを禁止した後に、メモリカードが新しいメモリカードに交換されるまで、ナビゲーション装置で新規に保存する必要のあるデータを一切書き込むことができなくなってしまう。
【0009】
なお、上記特許文献1に記載の技術は、書き込み回数が制限回数に達したときに、同一メモリ内の空き領域にFATを移動するものである。そのため、メモリカード自体への書き込み回数が制限回数に達した場合には適用できない。すなわち、FATを移動しても、書き込み回数が制限回数を超えたメモリカードにデータを書き込み続けることになるので、データを破損する可能性がある。
【0010】
また、上述した特許文献2の技術は、フォーマット累計数が上限回数に達した後、不揮発性メモリの空き容量がなくなった時点で書き込みを禁止するモードに切り替えるものである。そのため、データの破損は回避できるが、書き込みを禁止するモードに切り替えた後はデータを一切書き込むことができなくなってしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、書き込み回数に制限のあるメモリカードを記録媒体として使用する場合、書き込み回数が制限回数を超えたとき、当該メモリカードに記録されているデータの破損を確実に防止しつつ、その後に発生するデータの書き込みを継続することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、第1の不揮発性メモリおよび第2の不揮発性メモリを接続可能に成された電子装置において、第2の不揮発性メモリにおけるデータの書き込み回数を検出する。そして、検出した書き込み回数が所定回数以上である場合、第2の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを禁止する設定を行い、その後は第1の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを行うように制御する。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、第2の不揮発性メモリにおけるデータの書き込み回数が所定回数以上である場合、第2の不揮発性メモリに対するデータの書き込みが禁止される。そのため、第2の不揮発性メモリに記録されているデータが破損する可能性の高い状態で書き込みが行われることがなくなり、第2の不揮発性メモリに記録されているデータの破損を確実に防止することができる。また、第2の不揮発性メモリにおけるデータの書き込み回数が所定回数以上である場合には、その後は第1の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを行うように制御される。そのため、電子装置で新規に保存する必要のあるデータを、第2の不揮発性メモリに代えて第1の不揮発性メモリに書き込み続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態によるナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のナビゲーション装置によるデータ記録制御動作を説明するための模式図である。
【図3】本実施形態によるナビゲーション装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という)を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナビゲーション装置100(本発明の電子装置に対応)の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーション装置100は、第1スロット部120、第2スロット部140およびコントローラ150を備えて構成されている。コントローラ150は、その機能構成として、書き込み回数検出部200、判定部220、書き込み設定部240、第1容量検出部260、第2容量検出部280、データ移動部300、書き込み制御部320および接続判定部340を備えている。
【0016】
第1スロット部120は、ナビゲーション装置100に対して着脱可能な記録媒体(例えば、USBメモリ、SDカード、メモリスティック、CFカードまたはICカード等のメモリカード)を装着可能になっており、装着された記録媒体とナビゲーション装置100との間でデータの入出力を行うためのものである。
【0017】
第1スロット部120には、データの書き込みを禁止する設定がされている第1の不揮発性メモリ160が装着されている。本実施形態では、第1の不揮発性メモリ160はSDカードであり、図2(a)に示すように、ナビゲーション装置100で使用する地図データを保存している。つまり、ナビゲーション装置100は、第1の不揮発性メモリ160に記録されている地図データにアクセスすることによって、経路探索や経路案内等の機能を実行することができる。SDカード(第1の不揮発性メモリ160)を地図データ専用の記録媒体とすることにより、ナビゲーション装置100で使用する地図データを更新するときに、現在使用しているSDカードを最新の地図データが保存されたSDカードに交換するだけで良いというメリットがある。
【0018】
第2スロット部140は、ナビゲーション装置100に対して着脱可能な記録媒体(例えば、USBメモリ、SDカード、メモリスティック、CFカードまたはICカード等のメモリカード)を装着可能になっており、装着された記録媒体とナビゲーション装置100との間でデータの入出力を行うためのものである。
【0019】
第2スロット部140には、データの読み出しおよび書き込みを許可する設定がされている第2の不揮発性メモリ180が装着されている。本実施形態では、第2の不揮発性メモリ180はSDカードであり、図2(a)に示すように、ナビゲーション装置100で使用するユーザデータA,B,C(例えば、登録地点、走行軌跡、各種設定、辞書などのデータ)を保存している。
【0020】
第2の不揮発性メモリ180に保存される各データには優先度が設定されている。例えば、ナビゲーション装置100で使用する頻度が高いほど高い優先度が設定される。具体的には、登録地点のデータは、ナビゲーション装置100の目的地設定機能に使用される頻度が高いため、高い優先度が設定される。本実施形態では、ユーザデータC、ユーザデータA,ユーザデータBの順番で優先度が高く設定されているものとする。
【0021】
書き込み回数検出部200は、第2スロット部140に装着された第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数を検出する。具体的には、書き込み回数検出部200は、データの書き込み回数を通知することを要求するコマンドを、第2の不揮発性メモリ180が備えるメモリコントローラ(図示せず)に出力する。そして、書き込み回数検出部200は、第2の不揮発性メモリ180のメモリコントローラから書き込み回数の通知を受けることによって、第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数を検出する。書き込み回数検出部200は、検出した書き込み回数を示す書き込み回数情報を判定部220に出力する。
【0022】
判定部220は、書き込み回数検出部200から出力された書き込み回数情報により示される書き込み回数が所定回数以上であるか否かについて判定する。所定回数は、第2の不揮発性メモリ180にデータを正常に保存できることや、第2の不揮発性メモリ180に保存されているデータが破損してしまわないことを保証する書き換え可能回数である。判定部220は、書き込み回数が所定回数以上であると判定した場合、その旨を書き込み設定部240に通知する。判定部220は、書き込み回数が所定回数以上でないと判定した場合には何もしない。
【0023】
書き込み設定部240は、書き込み回数が所定回数以上である旨の通知を判定部220から受けた場合、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行う。具体的には、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160に記録され、第1の不揮発性メモリ160に対するデータの書き込みを許可するか否かを示す書き込み設定フラグの値を「書き込み禁止」から「書き込み許可」に変更する。そして、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行った旨を第1容量検出部260および第2容量検出部280に通知する。
【0024】
また、書き込み設定部240は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨の通知をデータ移動部300から受けた場合、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定を行う。具体的には、書き込み設定部240は、第2の不揮発性メモリ180に記録され、第2の不揮発性メモリ180に対するデータの書き込みを許可するか否かを示す書き込み設定フラグの値を「書き込み許可」から「書き込み禁止」に変更する。そして、書き込み設定部240は、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定を行った旨を書き込み制御部320に通知する。
【0025】
また、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160から第3の不揮発性メモリ360にデータを移動させた旨の通知をデータ移動部300から受けた場合、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定を行う。具体的には、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160に記録されている書き込み設定フラグの値を「書き込み許可」から「書き込み禁止」に変更する。そして、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定を行った旨を書き込み制御部320に通知する。
【0026】
第1容量検出部260は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行った旨の通知を書き込み設定部240から受けた場合、第1の不揮発性メモリ160にデータを書き込むことが可能な容量(第1の不揮発性メモリ160の残容量)を第1容量として検出する。具体的には、第1容量検出部260は、第1容量を通知することを要求するコマンドを、第1の不揮発性メモリ160のメモリコントローラに出力する。そして、第1容量検出部260は、第1の不揮発性メモリ160のメモリコントローラから第1容量の通知を受けることによって、第1の不揮発性メモリ160にデータを書き込むことが可能な第1容量を検出する。そして、第1容量検出部260は、検出した第1容量を示す第1容量情報をデータ移動部300に出力する。
【0027】
第2容量検出部280は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行った旨の通知を書き込み設定部240から受けた場合、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータの容量(本実施形態では、ユーザデータA,B,Cの総容量)を第2容量として検出する。具体的には、第2容量検出部280は、第2容量を通知することを要求するコマンドを、第2の不揮発性メモリ180のメモリコントローラに出力する。そして、第2容量検出部280は、第2の不揮発性メモリ180のメモリコントローラから第2容量の通知を受けることによって、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータの容量(第2容量)を検出する。そして、第2容量検出部280は、検出した第2容量を示す第2容量情報をデータ移動部300に出力する。
【0028】
データ移動部300は、第1容量検出部260から出力された第1容量情報により示される第1容量が第2容量検出部280から出力された第2容量情報により示される第2容量より所定容量以上大きいか否かについて判定する。ここで、所定容量は、所定期間(例えば、数日間)、ナビゲーション装置100により書き込みが行われるであろうと予想されるデータの容量である。
【0029】
データ移動部300は、第1容量が第2容量より所定容量以上大きくないと判定した場合、第1容量より所定容量だけ少ない容量の範囲内で、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータをあらかじめ設定された優先度の高いデータから順番に第1の不揮発性メモリ160に移動させる。そして、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨を書き込み設定部240に通知する。
【0030】
また、データ移動部300は、第1容量が第2容量より所定容量以上大きいと判定した場合、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータの全てを第1の不揮発性メモリ160に移動させる。そして、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨を書き込み設定部240に通知する。
【0031】
図2(b)は、第1容量が第2容量より所定容量以上大きくないと判定した場合のデータの移動例を示している。この場合、データ移動部300は、第1容量より所定容量だけ少ない容量の範囲内で、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータA,B,Cをあらかじめ設定された優先度の高いユーザデータCから順番に第1の不揮発性メモリ160に移動させる。図2(b)は、データ移動部300が、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータCのみを第1の不揮発性メモリ160に移動させた様子を示している。
【0032】
また、データ移動部300は、書き込み回数が所定回数以上となった第2の不揮発性メモリ180に代えて、第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に新たに接続された旨の通知を接続判定部340から受けた場合、第2の不揮発性メモリ180から第1の不揮発性メモリ160に移動させたデータおよびナビゲーション装置100により第1の不揮発性メモリ160に書き込まれたデータを第3の不揮発性メモリ360に移動させる。そして、データ移動部300は、第3の不揮発性メモリ360にデータを移動させた旨を書き込み設定部240に通知する。
【0033】
図2(c)は、第1の不揮発性メモリ160から第3の不揮発性メモリ360へのデータの移動例を示している。この例において、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180から第1の不揮発性メモリ160に移動させたユーザデータCおよびナビゲーション装置100により第1の不揮発性メモリ160に書き込まれたユーザデータDを第3の不揮発性メモリ360に移動させている。なお、第2の不揮発性メモリ180から第1の不揮発性メモリ160に移動させることができなかったユーザデータA,Bは、例えばユーザがパソコンを用いて第2の不揮発性メモリ180から第3の不揮発性メモリ360にコピーしている。
【0034】
書き込み制御部320は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨の通知をデータ移動部300から受けた場合、ナビゲーション装置100によるデータの書き込み先を第2スロット部140から第1スロット部120に変更させる設定を行うことにより、第1スロット部120に装着された第1の不揮発性メモリ160に対してナビゲーション装置100によるデータの書き込みを行うように制御する。
【0035】
また、書き込み制御部320は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定を行った旨の通知を書き込み設定部240から受けた場合、データの書き込み先を第1スロット部120から第2スロット部140に変更させる設定を行うことにより、第2スロット部140に装着された第3の不揮発性メモリ360に対してナビゲーション装置100によるデータの書き込みを行うように制御する。
【0036】
接続判定部340は、第2の不揮発性メモリ180に代えて、データの書き込みを許可する設定がされている第3の不揮発性メモリ360が新たに第2スロット部140に接続されたか否かについて判定する。例えば、接続判定部340は、第2スロット部140に接続された不揮発性メモリのメモリコントローラに対して、当該不揮発性メモリを一意に識別する識別情報を通知することを要求するコマンドを出力する。そして、接続判定部340は、メモリコントローラから受けた識別情報に基づいて、第2の不揮発性メモリ180に代えて第3の不揮発性メモリ360(第2の不揮発性メモリ180とは別のメモリ)が第2スロット部140に接続されたか否かについて判定する。接続判定部340は、第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に接続されたと判定した場合、その旨をデータ移動部300に通知する。接続判定部340は、第2の不揮発性メモリ180が第2スロット部140に接続されたままであると判定した場合には何もしない。
【0037】
次に、本実施形態のナビゲーション装置100によるデータ記録制御動作について説明する。図3は、本実施形態のナビゲーション装置100によるデータ記録制御動作例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、操作部(図示せず)に対するユーザ操作によって、ナビゲーション装置100の電源が起動することにより開始する。なお、第1スロット部120および第2スロット部140には、第1の不揮発性メモリ160および第2の不揮発性メモリ180がそれぞれ装着されているものとする。
【0038】
まず、書き込み回数検出部200は、第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数を検出する(ステップS100)。そして、書き込み回数検出部200は、検出した書き込み回数を示す書き込み回数情報を判定部220に出力する。
【0039】
次に、判定部220は、書き込み回数検出部200から出力された書き込み回数情報により示される書き込み回数が所定回数以上であるか否かについて判定する(ステップS120)。もし、書き込み回数が所定回数以上でないと判定部220にて判定した場合(ステップS120にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
【0040】
一方、書き込み回数が所定回数以上であると判定部220にて判定した場合(ステップS120にてYES)、判定部220は、その旨を書き込み設定部240に通知する。次に、書き込み設定部240は、書き込み回数が所定回数以上である旨の通知を判定部220から受けて、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行う(ステップS140)。そして、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行った旨を第1容量検出部260および第2容量検出部280に通知する。
【0041】
次に、第1容量検出部260は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行った旨の通知を書き込み設定部240から受けて、第1の不揮発性メモリ160にデータを書き込むことが可能な容量を第1容量として検出する(ステップS160)。そして、第1容量検出部260は、検出した第1容量を示す第1容量情報をデータ移動部300に出力する。
【0042】
次に、第2容量検出部280は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行った旨の通知を書き込み設定部240から受けて、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータの容量を第2容量として検出する(ステップS180)。そして、第2容量検出部280は、検出した第2容量を示す第2容量情報をデータ移動部300に出力する。
【0043】
次に、データ移動部300は、第1容量検出部260から出力された第1容量情報により示される第1容量が第2容量検出部280から出力された第2容量情報により示される第2容量より所定容量以上大きいか否かについて判定する(ステップS200)。もし、第1容量が第2容量より所定容量以上大きくないとデータ移動部300にて判定した場合(ステップS200にてNO)、データ移動部300は、第1容量より所定容量だけ少ない容量の範囲内で、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータをあらかじめ設定された優先度の高いデータから順番に第1の不揮発性メモリ160に移動させる(ステップS220)。そして、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨を書き込み設定部240に通知する。その後、処理はステップS260に遷移する。
【0044】
一方、第1容量が第2容量より所定容量以上大きいとデータ移動部300にて判定した場合(ステップS200にてYES)、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータの全てを第1の不揮発性メモリ160に移動させる(ステップS240)。そして、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨を書き込み設定部240に通知する。その後、処理はステップS260に遷移する。
【0045】
ステップS260では、書き込み設定部240は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨の通知をデータ移動部300から受けて、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定を行う。そして、書き込み設定部240は、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定を行った旨を書き込み制御部320に通知する。
【0046】
次に、書き込み制御部320は、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた旨の通知をデータ移動部300から受けて、データの書き込み先を第2スロット部140から第1スロット部120に変更させる設定を行う(ステップS280)。次に、接続判定部340は、第2の不揮発性メモリ180に代えて、データの書き込みを許可する設定がされている第3の不揮発性メモリ360が新たに第2スロット部140に接続されたか否かについて判定する(ステップS300)。
【0047】
もし、第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に接続されていないと接続判定部340にて判定した場合(ステップS300にてNO)、処理はステップS300に遷移する。一方、第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に接続されたと接続判定部340にて判定した場合(ステップS300にてYES)、接続判定部340は、その旨をデータ移動部300に通知する。
【0048】
次に、データ移動部300は、第2の不揮発性メモリ180に代えて第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に新たに接続された旨の通知を接続判定部340から受けて、第2の不揮発性メモリ180から第1の不揮発性メモリ160に移動させたデータおよびナビゲーション装置100により第1の不揮発性メモリ160に書き込まれたデータを第3の不揮発性メモリ360に移動させる(ステップS320)。そして、データ移動部300は、第3の不揮発性メモリ360にデータを移動させた旨を書き込み設定部240に通知する。
【0049】
次に、書き込み設定部240は、第3の不揮発性メモリ360にデータを移動させた旨の通知をデータ移動部300から受けて、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定を行う(ステップS340)。そして、書き込み設定部240は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定を行った旨を書き込み制御部320に通知する。
【0050】
最後に、書き込み制御部320は、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定を行った旨の通知を書き込み設定部240から受けて、データの書き込み先を第1スロット部120から第2スロット部140に変更させる設定を行う(ステップS360)。ステップS360の処理が完了することによって、ナビゲーション装置100は図3における処理を終了する。
【0051】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数を検出し、検出した書き込み回数が所定回数以上である場合、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定を行うとともに、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定を行い、その後のデータの書き込みは第1の不揮発性メモリ160に対して行うようにしている。
【0052】
このように構成した本実施形態によれば、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータが破損する可能性の高い状態で書き込みが行われることがなくなり、第2の不揮発性メモリ180に記録されているデータの破損を確実に防止することができる。また、第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数が所定回数以上である場合には、第1の不揮発性メモリ160に対するデータの書き込みが許可されるため、ナビゲーション装置100で新規に保存する必要のあるデータを、第2の不揮発性メモリ180に代えて第1の不揮発性メモリ160に書き込み続けることができる。
【0053】
また、本実施形態では、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定が行われた後、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させるようにしている。このようにすれば、第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数が所定回数以上になり第2の不揮発性メモリ180に対するデータの書き込みが禁止されたとしても、ナビゲーション装置100は、第1の不揮発性メモリ160に移動されたユーザデータに対して書き込みを継続することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第1容量が第2容量より所定容量以上大きくない場合、第1容量より所定容量だけ少ない容量の範囲内で、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータを優先度の高い順に第1の不揮発性メモリ160に移動させるようにしている。このようにすれば、第1の不揮発性メモリ160には所定容量の空き領域が確保され、ナビゲーション装置100で新規に保存する必要のあるデータを第1の不揮発性メモリ160に書き込み続けることができる。また、第1の不揮発性メモリ160において、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータのうち少なくとも優先度の高いユーザデータに対して書き込みを継続できるようになる。
【0055】
また、本実施形態では、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータが第1の不揮発性メモリ160に移動された後に、第2の不揮発性メモリ180に代えて第3の不揮発性メモリ360が新たにナビゲーション装置100に接続された場合、第2の不揮発性メモリ180から第1の不揮発性メモリ160に移動させたユーザデータおよびナビゲーション装置100により第1の不揮発性メモリ160に書き込まれたユーザデータを第3の不揮発性メモリ360に移動させるようにしている。
【0056】
このようにすれば、第3の不揮発性メモリ360にユーザデータが移動させられた後、第1の不揮発性メモリ160に記録されているデータは地図データのみとなる。そのため、ナビゲーション装置100で使用する地図データを更新するために第1の不揮発性メモリ160を最新の地図データが保存されたSDカードに交換する場合、交換対象の第1の不揮発性メモリ160に個人情報を含む可能性があるユーザデータが残らないようにすることができる。
【0057】
なお、上記実施形態において、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定が行われた後、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させる処理は、必ずしも必須の処理ではない。ただし、ナビゲーション装置100が第2の不揮発性メモリ180に格納済みのユーザデータに対して新たな書き込みを継続することができるようにする観点からは、第2の不揮発性メモリ180に記録されているユーザデータを第1の不揮発性メモリ160に移動させた方が良い。また、ユーザデータの移動処理を行う場合は、ユーザがわざわざパソコンでユーザデータをコピーしなくても済むというメリットもある。
【0058】
また、上記実施形態では、接続判定部340が、第2スロット部140に接続された不揮発性メモリのメモリコントローラから受けた識別情報に基づいて、第2の不揮発性メモリ180に代えて第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に接続されたか否かについて判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、書き込み回数検出部200が、第2スロット部140に接続された不揮発性メモリのメモリコントローラから書き込み回数の通知を受け、その書き込み回数が所定回数以下であるか否かについて判定することによって、書き込み回数が所定回数を超えた第2の不揮発性メモリ180に代えて第3の不揮発性メモリ360が第2スロット部140に接続されたか否かについて判定するようにしても良い。
【0059】
また、上記実施形態では、第1の不揮発性メモリ160にナビゲーション装置100で使用する地図データが記録されている例について説明したが、地図データではなく、他の電子装置で使用するデータが記録されていても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、第2の不揮発性メモリ180にナビゲーション装置100で使用するユーザデータが記録されている例について説明したが、ユーザデータではなく、他の電子装置で使用するデータが記録されていても良い。
【0061】
また、上記実施形態では、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを禁止する設定がされている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の不揮発性メモリ160に対してデータの書き込みを許可する設定がされていても良い。この場合、第2の不揮発性メモリ180におけるデータの書き込み回数が所定回数以上であるとき、第2の不揮発性メモリ180に対してデータの書き込みを禁止する設定のみを行えば良くなる。
【0062】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 ナビゲーション装置
160 第1の不揮発性メモリ
180 第2の不揮発性メモリ
200 書き込み回数検出部
220 判定部
240 書き込み設定部
260 第1容量検出部
280 第2容量検出部
300 データ移動部
320 書き込み制御部
360 第3の不揮発性メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の不揮発性メモリおよび第2の不揮発性メモリを接続可能に成された電子装置であって、
前記第2の不揮発性メモリにおけるデータの書き込み回数を検出する書き込み回数検出部と、
前記書き込み回数検出部により検出された書き込み回数が所定回数以上であるか否かについて判定する判定部と、
前記判定部により前記書き込み回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記第2の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを禁止する設定を行う書き込み設定部と、
前記書き込み設定部による設定が行われた後に、前記第2の不揮発性メモリに代えて前記第1の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを行うように制御する書き込み制御部とを備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記判定部により前記書き込み回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータを前記第1の不揮発性メモリに移動させるデータ移動部を更に備え、
前記書き込み設定部は、前記データ移動部により前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータが前記第1の不揮発性メモリに移動された後に、前記第2の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを禁止する設定を行うことを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子装置において、
前記判定部により前記書き込み回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記第1の不揮発性メモリにデータを書き込むことが可能な容量を第1容量として検出する第1容量検出部と、
前記判定部により前記書き込み回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータの容量を第2容量として検出する第2容量検出部と、
前記第1容量検出部により検出された第1容量が前記第2容量検出部により検出された第2容量より所定容量以上大きくない場合、前記第1容量より前記所定容量だけ少ない容量の範囲内で、前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータをあらかじめ設定された優先度の高いデータから順番に前記第1の不揮発性メモリに移動させる一方、前記第1容量が前記第2容量より前記所定容量以上大きい場合、前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータの全てを前記第1の不揮発性メモリに移動させるデータ移動部とを更に備え、
前記書き込み設定部は、前記データ移動部により前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータが前記第1の不揮発性メモリに移動された後に、前記第2の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを禁止する設定を行うことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電子装置において、
前記データ移動部は、前記第2の不揮発性メモリに記録されているデータを前記第1の不揮発性メモリに移動させた後に、前記第2の不揮発性メモリに代えて第3の不揮発性メモリが新たに前記電子装置に接続された場合、前記第2の不揮発性メモリから前記第1の不揮発性メモリに移動させたデータおよび前記電子装置により前記第1の不揮発性メモリに書き込まれたデータを前記第3の不揮発性メモリに移動させ、
前記書き込み制御部は、前記データ移動部により前記第1の不揮発性メモリから前記第3の不揮発性メモリへのデータの移動が行われた後に、前記第1の不揮発性メモリに代えて前記第3の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを行うように制御することを特徴とする電子装置。
【請求項5】
第1の不揮発性メモリおよび第2の不揮発性メモリを接続可能に成された電子装置におけるデータ記録制御方法であって、
前記第2の不揮発性メモリにおけるデータの書き込み回数を検出する第1のステップと、
前記第1のステップにより検出された書き込み回数が所定回数以上であるか否かについて判定する第2のステップと、
前記第2のステップにより前記書き込み回数が前記所定回数以上であると判定された場合、前記第2の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを禁止する設定を行う第3のステップと、
前記第3のステップによる設定が行われた後に、前記第2の不揮発性メモリに代えて前記第1の不揮発性メモリに対してデータの書き込みを行うように制御する第4のステップとを有することを特徴とするデータ記録制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−22619(P2012−22619A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161889(P2010−161889)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】