説明

電子装置

【課題】リモコンによる遠隔操作が可能な電子装置であって、リモコンに対する操作履歴に基づいてユーザの安否を確認することが可能な電子装置を提供する。
【解決手段】本発明の電子装置は、通信部と、リモコン装置と、リモコン装置より制御信号を受信する信号受信部とを備えている。また、信号受信部が受信した記制御信号の受信履歴を示す受信履歴情報を生成する、履歴生成部を備えている。また、受信履歴情報を参照して制御信号の受信が検知されているか否かを判定し、検知されていない場合に報知情報を生成して送信する動作監視部を備えている。リモコン装置は、操作部により受け付けた操作指示に応じた制御信号を生成する信号生成部と、制御信号を送信する信号送信部と、無線通信を行う無線通信部とを備えている。さらにリモコン装置は、制御信号の生成履歴情報、または制御信号の送信履歴情報を生成して送信する履歴送信部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭において使用される電子装置に関するものであり、特にリモコンによる遠隔操作が可能な電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の多機能化、多様化により、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダやHDD(Hard Disk Drive)レコーダ等の様々な電子装置が普及している。これらの電子装置は、DVDやHDDに記録されている画像/音声デジタルデータをデコードすることにより、画像/音声信号をテレビジョン装置やモニタ、又はスピーカ等に出力する。
【0003】
これらの電子装置は一般的に、ユーザが遠隔操作を行うためのリモコンを備えているものが多い。リモコン装置を用いれば、ユーザは電子装置から離れた場所から、電子装置の各種操作を行うことが可能である。
【0004】
一方、高齢化社会のため一人暮らしのユーザが増加していることから、ユーザの安否確認に電子装置を用いる試みが広く行われている。例えば、超音波センサやタッチセンサ等を利用して、一人暮らしのユーザの安否を確認する装置が開発されている。
【0005】
上記に関連して特許文献1においては、リモコンを利用してユーザの安否を確認する安否確認装置が開示されている。この安否確認装置は、テレビ等に付随しているリモコンから発せられる光信号を検出し、当該検出結果に基づいてユーザの安否を確認する。
【0006】
また上記に関連して特許文献2においては、ユーザが浴室内に入った段階から出るまで人体感知センサにより監視する人体感知センサ付きリモコンが開示されている。この人体感知センサ付きリモコンは、浴室内で音波を発信し、反射波を受信して分析し、分析結果に基づいて異常を検知して警報を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−293774号公報
【特許文献2】特開平07−067803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に記載されている技術では、リモコンから発せられる光信号を検出する検出器を、電子装置とは別に設ける必要がある。また特許文献2に記載されている技術では、音波の発信及び受信を行う音波発生器や、受信音波の解析を行う解析装置を新たに設ける必要がある。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、リモコンによる遠隔操作が可能な電子装置であって、リモコンに対する操作履歴に基づいてユーザの安否を確認することが可能な電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の電子装置は、通信網に接続して通信を行う通信部と、操作指示を受け付ける操作部を備えるリモコン装置と、前記リモコン装置より制御信号を受信する信号受信部とを備えた電子装置において、前記信号受信部が受信した前記制御信号の受信履歴を示す受信履歴情報を生成する履歴生成部と、前記受信履歴情報を参照して前記制御信号の受信が検知されているか否かを判定し、検知されていない場合に予め定められた報知情報を生成し、前記報知情報を予め定められた通信先に対して送信するよう前記通信部を制御する動作監視部とを備えることを特徴としている。
【0011】
これによると、本発明の電子装置は、通信部と、操作部を備えるリモコン装置と、リモコン装置より制御信号を受信する信号受信部とを備えている。また、信号受信部が受信した記制御信号の受信履歴を示す受信履歴情報を生成する、履歴生成部を備えている。また、受信履歴情報を参照して制御信号の受信が検知されているか否かを判定し、検知されていない場合に報知情報を生成して送信する動作監視部を備えている。
【0012】
また上記目的を達成するために本発明の電子装置が備える前記リモコン装置は、前記操作部により受け付けた操作指示に応じた制御信号を生成する信号生成部と、前記電子装置に対して前記制御信号を送信する信号送信部と、無線通信網に接続して無線通信を行う無線通信部と、前記信号生成部が生成した前記制御信号の生成履歴を示す生成履歴情報、または前記信号送信部が送信した前記制御信号の送信履歴を示す送信履歴情報を生成して予め定められた装置に対して送信するよう前記無線通信部を制御する履歴送信部とを備えることを特徴としている。
【0013】
これによると、リモコン装置は、操作部により受け付けた操作指示に応じた制御信号を生成する信号生成部と、制御信号を送信する信号送信部と、無線通信を行う無線通信部とを備えている。さらにリモコン装置は、制御信号の生成履歴情報、または制御信号の送信履歴情報を生成して送信する履歴送信部を備えている。
【0014】
また上記目的を達成するために本発明の電子装置は、前記リモコン装置と無線通信を行う無線通信部を備え、前記履歴送信部は、前記生成履歴情報、または前記送信履歴情報を前記無線通信部により前記電子装置へ送信し、前記動作監視部は、該無線通信部により受信された前記生成履歴情報または前記送信履歴情報を参照し、前記リモコン装置において前記制御信号の生成または送信が行われたか否かを判定し、前記制御信号の生成及び送信が行われていない場合に前記報知情報を生成することを特徴としている。
【0015】
これによると、電子装置は、リモコン装置と無線通信を行う無線通信部を備えている。リモコン装置の履歴送信部は、生成履歴情報、または送信履歴情報を無線通信部により電子装置へ送信する。これを受けた電子装置の動作監視部は、受信された生成履歴情報または送信履歴情報を参照し、リモコン装置において制御信号の生成または送信が行われたか否かを判定する。そして制御信号の生成及び送信が行われていない場合に、報知情報を生成して送信する。
【0016】
また上記目的を達成するために本発明の電子装置が備える前記動作監視部は、予め定められた周期で前記受信履歴情報、前記生成履歴情報、または前記送信履歴情報を参照し、予め定められた時間帯において前記制御信号の受信、生成、または送信が検知されているか否かを判定し、検知されていない場合に前記報知情報を生成することを特徴としている。
【0017】
これによると、動作監視部は、所定周期で受信履歴情報、生成履歴情報、または送信履歴情報を参照する。さらに所定時間帯において制御信号の受信、生成、または送信が検知されているか否かを判定する。そして検知されていない場合に、報知情報を生成して送信する。
【0018】
また上記目的を達成するために本発明の電子装置が備える前記動作監視部は、予め定められた種別の前記制御信号の受信、生成、または送信が予め定められた回数を超えて検知された場合にのみ、前記報知情報を生成することを特徴としている。
【0019】
これによると、動作監視部は、所定種別の制御信号の受信、生成、または送信が所定回数を超えて検知された場合にのみ、報知情報を生成して送信する。
【0020】
また上記目的を達成するために本発明の電子装置は、電子メールを生成し、通信網を介して前記電子メールを送信するよう前記通信部を制御する通信制御部を備え、前記動作監視部は、前記報知情報を前記電子メールに含めて予め定められたメールアドレスへ送信するよう前記通信制御部を制御することを特徴としている。
【0021】
これによると、電子装置は、電子メールを生成して通信部により送信する通信制御部を備えている。動作監視部は、作成した報知情報を電子メールに含めて所定のメールアドレスへ送信するよう、通信制御部を制御する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、リモコン装置が送信する制御信号の受信履歴に基づいてユーザの安否確認を行い、遠隔地の人間に対して報知を行うことができる。これにより、視聴中にユーザが倒れる等により電子装置の稼働状態が継続した場合であっても、異常事態発生の検知を行うことができる。
【0023】
また本発明によれば、リモコン装置における制御信号の生成履歴または送信履歴に基づいてユーザの安否確認を行う。このため、リモコン装置が操作されたにも関わらず制御信号が電子装置に受信されなかったり、或いはリモコン装置が受け付けた操作が電子装置にとって無効な操作である場合であっても、ユーザが電子装置を使用しようとしていたことを検知できる。このため、電子装置が実施した処理内容に基づいてユーザの操作状況を判定する場合と比較して、より確実に操作状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の電子装置が備える機能部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電子装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の電子装置が備えるリモコンの外観を示す模式図である。
【図4】本発明の電子装置が出力する監視設定画面を示す画面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る監視処理を示すフロー図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るリモコンの内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る監視処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1−1.内部構成について〉
【0026】
図2は、本発明の第一の実施形態に係るHDDレコーダ1(=電子装置)の内部構成を示すブロック図である。なお、図2における矢印線は画像/音声データの流れを示している。また、矢印のない直線は、制御部11が各装置に対する制御信号等を送受信するための通信バスを示している。
【0027】
HDDレコーダ1は少なくとも、制御部11、メモリ12、操作部13、フラッシュメモリ14、HDD15、光ディスクドライブ16、放送受信部17、信号処理部18、OSD(On-Screen Display)処理部19、信号受信部20、外部接続端子21、及び通信I/F(Interface)22(=通信部、無線通信部)を含むように構成されている。なお外部接続端子21により接続される表示装置として、ディスプレイ2が存在する。
【0028】
制御部11は、HDDレコーダ1の各部材の駆動を制御することにより、画像/音声の再生処理、記録処理、出力処理等を統括制御するためのものである。制御部11は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述するコード受信部11a〜設定部11e(図1)を備えている。
【0029】
メモリ12は、HDDレコーダ1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書き込み可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0030】
操作部13は、ユーザがHDDレコーダ1に対して、画像/音声の再生指示等を行うためのものである。操作部13は、例えばHDDレコーダ1のハウジングに設けられた複数のボタンや、リモコン90(=リモコン装置)及びリモコン信号受信部等を含む。操作部13はこれらの装置により、ユーザ操作を受け付ける。ユーザ操作が受け付けられると、制御部11は、操作内容に基づいて再生処理や記録処理等を行う。
【0031】
フラッシュメモリ14は、EEPROMの一種で、デバイスの利用者が書き込み/消去可能なROMである。フラッシュメモリ14は回路基板に実装したままで書き込み、消去ができるため、利用時に書き換えが必要な用途、例えば装置の動作設定データや、利用者固有の情報等を保存するのに用いられる。
【0032】
HDD15は、デジタルデータを記録する磁気記録媒体である。本実施形態では主に、放送波に含まれる画像/音声データから生成される録画データ(=再生情報)や、圧縮処理により生成された圧縮録画データを記録するのに用いられる。
【0033】
光ディスクドライブ16は、CD(Compact Disc)メディア、或いはDVD(Digital Versatile Disc)メディア等の光ディスクに対して光学的に各種データの読み取りを行うための光学装置である。光ディスクドライブ16は、光ピックアップ(不図示)の制御を行うことにより、光ディスクに光ビームを照射して、光ディスクに記録された音声情報、画像情報等の各種情報の読み取りを行う。この際、光ピックアップの駆動制御やフォーカス制御、或いはチルト制御等の各種制御を行う。
【0034】
放送受信部17は、外部のアンテナ(不図示)に接続されてデジタル/アナログ放送の選局、受信、周波数変換、増幅、復調等を行う。放送受信部17は、アナログ方式であればアナログチューナ、画像中間周波増幅回路、復調回路、及び増幅回路等を含むように構成されている。またデジタル方式であれば、デジタルチューナ、及び誤り訂正部等を含むように構成されている。
【0035】
例えばデジタル放送を受信する場合、放送受信部17に含まれるデジタルチューナが、中間周波信号の増幅及び検波を行う。これにより、MPEG2方式のデジタル信号であるTS(=Transport Stream)の取得を行う。なおTSとは、複数の番組の音声PES(Packetized Elementary Stream)、画像PES、及び付加情報を固定長のTSパケットに分割してつなぎ合わせたものである。信号処理部18へ与えられて画像/音声信号に変換される。なお、TSを変換せずHDD15へ記録することも可能である。この場合、信号処理部18はTSのスルーのみを行う。
【0036】
信号処理部18は、放送受信部17が生成したTSや、光ディスクドライブ16が光ディスクより読み出したデジタルデータを入力し、音声情報を含む音声デジタル信号と、画像情報を含む画像デジタル信号とに分離する多重分離部である。具体的には例えば、放送受信部17より生成されたTSを、TSパケットに分割する。そしてTSパケットを再結合することにより、音声/画像のPESを生成する。
【0037】
そしてPESを結合することにより、ES(Elementary Stream=符号化された音声/画像データ)を生成する。さらに信号処理部18はESの復号を行い、各種デジタル信号に変換する。復号により得られたデジタル信号は、記録する場合はHDD15へ与えられる。またディスプレイ2等に出力する場合は、外部接続端子21へ与えられる。
【0038】
OSD処理部19は、画像信号を生成する機能部である。OSD処理部19は、HDDレコーダ1が出力すべき情報をユーザが視認できる画像データに変換し、変換した画像データをディスプレイ2に表示するための画像信号を生成する。生成された画像信号は、外部接続端子21より出力される。
【0039】
信号受信部20は、赤外線等を用いた無線信号をリモコン90から受信し、信号に含まれる各種情報、例えばリモコンコード(=制御信号)を抽出する。抽出した情報は、制御部11に与えられる。
【0040】
外部接続端子21は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)端子やUSB(Universal Serial Bus)端子等を含む、複数の入出力端子からなるインタフェースである。外部接続端子21はこれらの入出力端子を用いて、HDDレコーダ1と外部の装置、例えばディスプレイ2を接続し、デジタル信号またアナログ信号の入出力を行う。
【0041】
通信I/F22は、HDDレコーダ1を通信ネットワークと接続するための物理的なインタフェースである。通信I/F22は例えば、IEEE802.3規格に準拠した有線LANに接続するためのLANケーブルコネクタや、IEEE802.11規格に準拠した無線LANに接続するための無線アンテナ等を含むように構成されている。なお、電話通信網に接続するためのアナログ接続端子やISDN通信網に接続するためのISDN接続端子を備える形態であってもよい。
【0042】
ディスプレイ2は、図示しない表示部、操作部、制御部、及び接続部を備える表示装置である。ディスプレイ2は例えば、接続部に含まれるHDMI端子に接続されたHDMIケーブルを介して、画像/音声を含むデジタル信号を受け付ける。そしてデジタル信号の複合化を行い、画像/音声の出力を行う。
【0043】
ブロードバンドルータ3は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)等のプロトコルを解析して転送を行う。これにより例えば、有線LANとインターネットとの二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0044】
〈1−2.リモコンの構成について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係るリモコン90の外観について、図3の模式図を用いながら説明する。
【0045】
図3は、リモコン90の表面に備えられた操作ボタン群(=操作部)の一例を示した模式図である。図3に示すように操作ボタン群は、電源ボタン101、機能ボタン群102、モード切り替えボタン群103、及び通常ボタン群104を含むように構成されている。
【0046】
電源ボタン101は、HDDレコーダ1の電源を起動させるためのリモコンコードを送信するためのボタンである。機能ボタン群102は、HDDレコーダ1が電源起動状態であれば必ず受け付けられるリモコンモードを発信するための機能固定ボタンである。例えば音声ボリューム調整ボタン等がこれに該当する。
【0047】
モード切り替えボタン群103は、HDDレコーダ1のDVDモード(=DVDの視聴を行うためのモード)とTVモード(=チューナにより受信した方法を視聴するためのモード)との切り替えを行うためのボタンである。
【0048】
通常ボタン群104は、HDDレコーダ1の処理状態によって受付可/不可が変化するリモコンコードを送信するためのボタンである。通常ボタン群104には、例えば数字ボタンやカーソルボタン等が含まれている。
〈1−3.機能部の構成について〉
【0049】
ここで、第一の実施形態に係るHDDレコーダ1が本発明の監視処理を実施するための各機能部の関係を、図1のブロック図を用いながら説明する。なお、図1における破線矢印線は、制御信号の流れを示している。
【0050】
図1に示すように本発明の監視処理は、制御部11が備えるコード受信部11a、履歴生成部11b、動作監視部11c、通信制御部11d、及び設定部11eにより実施される。
【0051】
コード受信部11aは、赤外線等を用いた無線信号をリモコン90から受信し、無線信号に含まれるリモコンコードの解析を行う。そして解析結果に基づいた制御指示を各部、例えば動作監視部11c等に与える。これにより、リモコン90で行われたユーザ操作に基づく各種処理が実施される。
【0052】
履歴生成部11bは、コード受信部11aにより所定のリモコンコードが検知されたか否かを監視する。例えば、HDDレコーダ1を待機状態からON状態に移行させるためのリモコンコードや、録画データの再生指示を含むリモコンコード等を検知したか否かを監視する。
【0053】
所定のリモコンコードが検知された場合、履歴生成部11bは、検知したリモコンコードの履歴を示すリモコンコード受信履歴(=受信履歴情報)を生成し、フラッシュメモリ14等に記録する。なおリモコンコード受信履歴には、上記のように所定のリモコンコードのみを含める形態でもよいし、検知した全てのリモコンコードを含める形態でもよい。或いは、リモコンコードが所定時間内に所定回数を超えて連続的に検知された場合のみ、リモコンコード受信履歴に含める形態でもよい。
【0054】
動作監視部11cは、定期的にHDDレコーダ1がユーザにより使用されているか否かの監視を行う。具体的には動作監視部11cは、リモコンコード受信履歴を所定の周期、例えば24時間毎に参照する。そしてリモコンコード受信履歴の内容に基づいて、一日の所定時間帯において所定のリモコンコードが検知されているか否かを判定する。
【0055】
検知されている場合、HDDレコーダ1がユーザにより使用されているとみなす。使用されていない場合、ユーザにより使用されているとみなす。使用されていない日数が所定日数を超過すると、動作監視部11cは、警告メッセージ(=報知情報)を含む電子メールを生成する。そしてこの電子メールを予め登録されているメールアドレス、例えばユーザの関係者のメールアドレスへ送信するよう、通信制御部11dへ指示する。
【0056】
通信制御部11dは、通信I/F22により接続された外部装置、例えばメールサーバや情報配信サーバ等と相互通信を行うための通信制御を行う。これにより、電子メールの送受信を行ったり、各種情報コンテンツを取得したりすることが可能である。また通信I/F22が無線アンテナを備える場合、無線通信網を介する無線通信の制御を行う役割も持つ。
【0057】
設定部11eは、動作監視部11cが実施する処理に関する各種設定を、ユーザより受け付ける。例えば、上記の監視処理を実施する時間帯の指定や、警告メッセージを送信する送信先メールアドレスの登録等を受け付ける。なお設定内容を示す設定情報は、フラッシュメモリ14またはHDD15に記録される。
【0058】
具体的には設定部11eは、例えば図4に示す監視設定画面200を表示するための画像信号を生成するよう、OSD処理部19を制御する。そして生成された画像信号を、外部接続端子21を介してディスプレイ2へ出力する。これにより、監視設定画面200がディスプレイ2に表示される。
【0059】
図4に示すように監視設定画面200には、メッセージウィンド201及びカーソル202が含まれている。ユーザは操作部13を用いてカーソル202を移動させることにより、メッセージウィンド201に含まれる「はい」ボタン、または「いいえ」ボタンを選択できる。「はい」ボタンにカーソル202があわせられている状態で操作部13に含まれる決定キーが押下されると、設定部11eは、後述する監視処理を実施するよう動作監視部11cに命令する。
〈1−4.監視処理について〉
【0060】
ここで、第一の実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する本発明の監視処理を、図5のフロー図を用いながら説明する。図5に示す処理は、HDDレコーダ1の電源が起動された時点で開始される。
【0061】
本処理の開始後、動作監視部11cはステップS110において、リモコンコード受信履歴の確認時刻が到来したか否かを判定する。確認時刻は例えば毎日の0時のように、予め定められているものとする。
【0062】
確認時刻が到来していない場合、再びステップS110へ移行し、継続して監視を行う。確認時刻が到来した場合、動作監視部11cはステップS120において、HDDレコーダ1の稼働状況を確認する。
【0063】
次に動作監視部11cはステップS130において、フラッシュメモリ14に記録されているリモコンコード受信履歴を読み出して参照する。次に動作監視部11cはステップS140において、現在時刻から所定時間だけ遡った時間帯において所定のリモコンコードが検知されていることが、リモコンコード受信履歴に示されているか否かを判定する。
【0064】
示されている場合、ユーザがHDDレコーダ1を使用したとみなし、後述するステップS160へ移行する。示されていない場合、上記の所定時間においてユーザがHDDレコーダ1を使用していないとみなす。これにより動作監視部11cは、ステップS150において、所定の報知処理を行う。
【0065】
報知処理の具体的な内容としては例えば、所定の警告メッセージを含む電子メールを生成する。そしてこの電子メールを、予め登録されているメールアドレス、例えばHDDレコーダ1のユーザの関係者が所持するメールアドレスへ送信するよう、通信制御部11dへ指示する。
【0066】
次に動作監視部11cはステップS160において、監視終了条件が満たされたか否かを判定する。具体的には例えば、操作部13に含まれる電源停止キーの押下が検知された場合や、監視設定画面200において監視処理を実行しないことが設定された場合に、終了条件が満たされたと判定する。
【0067】
終了条件が満たされた場合、本処理を終了する。終了条件が満たされていない場合、再びステップS110へ移行し、監視処理を継続して行う。
【0068】
以上に説明した本実施形態によれば、リモコンコードの受信履歴に基づいて、ユーザの安否確認を行い、遠隔地の人間に対して報知を行うことができる。また、ユーザが視聴中に倒れる等により、HDDレコーダ1の稼働が意図せず継続されている場合であっても、異常事態発生の検知を行うことができる。
[実施の形態2]
【0069】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
〈2−1.内部構成について〉
【0070】
第一の実施形態と同内容であるため、ここでは説明を省略する。
〈2−2.リモコンの構成について〉
【0071】
外部構成については実施の形態1の図3と同内容であるが、内部構成が異なる。本実施形態のリモコン90は、図6に示すように、制御部91、操作ボタン群92(=操作部)、信号送信部93、及び無線通信部94を含むように構成されている。
【0072】
制御部91は、リモコン90の各部材の駆動を制御することにより、リモコンコード送信処理を統括制御するためのものである。制御部91は例えば、複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部91は、制御部91が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、後述するコード送信部91a〜通信制御部91cを備えている。
【0073】
操作ボタン群92は、ユーザがリモコン90に対して操作指示を行うためのものである。操作ボタン群92は、図3に示す電源ボタン101〜通常ボタン群104を含む。信号送信部93は、リモコンコードを含む無線信号、例えば赤外線信号をHDDレコーダ1へ送信する。
【0074】
無線通信部94は、HDDレコーダ1に対して近距離無線通信を行うための通信インタフェースである。無線通信部94は例えば、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN通信や、ブルートゥース(登録商標)による無線通信を行うための無線通信装置を含むように構成されている。なお無線通信部94は、HDDレコーダ1と相互通信を行うためのものであり、赤外線等により一方向通信のみを行う信号送信部93とは機能及び役割が異なるものである。
〈2−3.機能部の構成について〉
【0075】
ここで、第二の実施形態に係るリモコン90が備える各機能部の関係を、図6のブロック図を用いながら説明する。図6に示すように制御部91は、コード送信部91a(=信号生成部)、履歴送信部91b、及び通信制御部91cを備える。
【0076】
コード送信部91aは、操作ボタン群92で検知された操作内容を解析し、操作内容に応じたリモコンコードを生成する。そして生成したリモコンコードを送信するよう、信号送信部93を制御する。
【0077】
履歴送信部91bは、コード送信部91aの動作を監視し、コード送信部91aが送信したリモコンコードの送信履歴(=送信履歴情報)を生成する。そして生成した送信履歴を無線通信部94により送信するよう、通信制御部91cに指示する。なお送信履歴の生成及び送信のタイミングとしては、所定の時間感覚で定期的に行う形態でもよいし、リモコンコードの送信が検知される度に行う形態でもよい。
【0078】
通信制御部91cは、無線通信部94を用いて外部装置、例えばHDDレコーダ1やブロードバンドルータ3と相互通信を行うための通信制御を行う。これにより、上記の送信履歴の送信を行う。なお送信履歴の送信先としては、例えば広域通信網に予め設けられたネットワークサーバや、HDDレコーダ1のユーザの関係者が所有する監視端末、例えば携帯電話を用いる。
【0079】
或いは履歴送信部91bは、送信履歴をHDDレコーダ1に送信する形態でもよい。この形態の場合、HDDレコーダ1が備える動作監視部11cは、受信した送信履歴を用いて、定期的にHDDレコーダ1がユーザにより使用されているか否かの監視を行う。
【0080】
動作監視部11cは、受信した送信履歴を蓄積し、所定の周期、例えば24時間毎に参照する。そして送信履歴に基づいて、一日の所定時間帯において所定のリモコンコードが送信されているか否かを判定する。
【0081】
送信されている場合、HDDレコーダ1がユーザにより使用されているとみなす。送信されていない場合、ユーザにより使用されているとみなす。使用されていない日数が所定日数を超過すると、動作監視部11cは、警告メッセージを含む電子メールを生成して送信する。
〈2−4.監視処理について〉
【0082】
ここで、第二の実施形態に係るHDDレコーダ1が実施する本発明の監視処理を、図7のフロー図を用いながら説明する。図7に示す処理は、リモコン90に電池等の電源が装着されて駆動可能状態となった時点で開始される。なお本処理は、HDDレコーダ1の稼働状態には関係なく開始されるものとする。
【0083】
本処理の開始後、履歴送信部91bはステップS210において、コード送信部91aによるリモコンコードの送信が検知されたか否かを判定する。送信が検知されていない場合、後述するステップS240へ移行する。
【0084】
送信が検知された場合、履歴送信部91bはステップS220において、送信されたコードの種別を判別する。そしてステップS230において、リモコンコードの送信履歴の更新を行う。
【0085】
次に動作監視部11cはステップS240において、送信履歴の送信タイミングが到来したか否かを判定する。なお送信タイミングは、例えば毎日の所定時刻を送信タイミングとする等のように、予め定められているものとする。
【0086】
送信タイミングが到来した場合、動作監視部11cはステップS250において、予め登録されている送信先に対して送信履歴を送信するよう、通信制御部91cへ指示する。送信タイミングが到来していない場合、再びステップS210へ移行し、継続して監視を行う。
【0087】
なお履歴送信部91bは、コード送信部91aの動作を監視し、コード送信部91aが生成したリモコンコードの生成履歴(=生成履歴情報)を生成する形態でもよい。この形態の場合、履歴送信部91bは生成履歴を無線通信部94により送信する。生成履歴を受信した動作監視部11cは、受信した生成履歴を蓄積し、所定の周期、例えば24時間毎に参照する。そして生成履歴に基づいて、一日の所定時間帯において所定のリモコンコードが生成されているか否かを判定する。
【0088】
以上に説明した本実施形態によれば、リモコン90が操作されたにも関わらず、リモコンコードがHDDレコーダ1に受信されなかった場合であっても、ユーザがHDDレコーダ1を使用しようとしていたことを検知できる。また、受け付けた操作がHDDレコーダ1にとって無効な操作である場合、例えば通常ボタン群104が押下され、且つ該当ボタンによる操作が受付不可状態だった場合であっても、ユーザ操作を検知できる。このため、HDDレコーダ1が実施した処理内容に基づいてユーザの操作状況を判定する場合と比較して、より確実に操作状況を把握することができる。
[その他の実施の形態]
【0089】
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0090】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0091】
(A)上記実施形態では、本発明の電子装置の一例としてHDDレコーダ1を例に挙げているが、リモコンによる遠隔操作が可能な電子装置であれば、これ以外の装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、テレビジョン装置、エアコン等を用いる形態であってもよい。
【0092】
(B)上記実施形態では、本発明の監視処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0093】
(C)上記実施形態では、本発明の監視処理に関わる各機能部がHDDレコーダ1の内部に備わっている構成を例として説明したが、これらの一部がネットワークを介して接続された外部装置により実現される形態であってもよい。例えば、異常事態が発生したか否かに関する判定をHDDレコーダ1またはリモコン90で行わず、両装置が履歴情報を送信する機能のみを備える形態でもよい。この場合、履歴情報を収集するネットワークサーバ(不図示)が異常事態発生の有無を判定し、遠隔地の関係者に対して報知を行う。
【0094】
(D)上記実施形態では、リモコン90より発信されるリモコンコードより使用状況を判定しているが、リモコンコードに基づいてHDDレコーダ1の稼働状況、例えば電源がONになっている時間を監視し、稼働状況が所定時間を超過してもリモコンコードが生成されなかった場合に、報知を行う形態でもよい。
【0095】
(E)上記実施形態では、履歴情報の生成条件については特に規定していないが、リモコン90またはHDDレコーダ1に学習機能を設け、一日の平均操作回数を集計し、均操作回数に応じた閾値を周期的に変更し、一日の操作回数が閾値を下回った場合にのみ履歴情報を生成する形態でもよい。
【0096】
(F)上記第二の実施形態では、リモコン90より受信した送信履歴の蓄積を動作監視部11cが行っているが、受信した送信履歴を所定のネットワークサーバ等へ転送する中継処理のみを、HDDレコーダ1が実施する形態でもよい。
【0097】
(G)上記第二の実施形態では、コード送信部91aが生成するリモコンコードにより、ユーザがリモコン90を操作しようとしていることを検知しているが、リモコン90に圧力センサやジャイロセンサ、光センサ等を設けることにより、ユーザがリモコン90を操作しようとしていることを検知する形態でもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 HDDレコーダ(電子装置)
11 制御部
11a コード受信部
11b 履歴生成部
11c 動作監視部
11d 通信制御部
11e 設定部
12 メモリ
13 操作部
14 フラッシュメモリ
15 HDD
16 光ディスクドライブ
17 放送受信部
18 信号処理部
19 OSD処理部
20 信号受信部
21 外部接続端子
22 通信I/F(通信部、無線通信部)
90 リモコン(リモコン装置)
91 制御部
91a コード送信部(信号生成部)
91b 履歴送信部
91c 通信制御部
92 操作ボタン群(操作部)
93 信号送信部
94 無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続して通信を行う通信部と、
操作指示を受け付ける操作部を備えるリモコン装置と、
前記リモコン装置より制御信号を受信する信号受信部とを備えた電子装置において、
前記信号受信部が受信した前記制御信号の受信履歴を示す受信履歴情報を生成する履歴生成部と、
前記受信履歴情報を参照して前記制御信号の受信が検知されているか否かを判定し、検知されていない場合に予め定められた報知情報を生成し、前記報知情報を予め定められた通信先に対して送信するよう前記通信部を制御する動作監視部とを備えること
を特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記リモコン装置は、前記操作部により受け付けた操作指示に応じた制御信号を生成する信号生成部と、
前記電子装置に対して前記制御信号を送信する信号送信部と、
無線通信網に接続して無線通信を行う無線通信部と、
前記信号生成部が生成した前記制御信号の生成履歴を示す生成履歴情報、または前記信号送信部が送信した前記制御信号の送信履歴を示す送信履歴情報を生成して予め定められた装置に対して送信するよう前記無線通信部を制御する履歴送信部とを備えること
を特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記電子装置は、前記リモコン装置と無線通信を行う無線通信部を備え、
前記履歴送信部は、前記生成履歴情報、または前記送信履歴情報を前記無線通信部により前記電子装置へ送信し、
前記動作監視部は、該無線通信部により受信された前記生成履歴情報または前記送信履歴情報を参照し、前記リモコン装置において前記制御信号の生成または送信が行われたか否かを判定し、前記制御信号の生成及び送信が行われていない場合に前記報知情報を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記動作監視部は、予め定められた周期で前記受信履歴情報、前記生成履歴情報、または前記送信履歴情報を参照し、予め定められた時間帯において前記制御信号の受信、生成、または送信が検知されているか否かを判定し、検知されていない場合に前記報知情報を生成すること
を特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記動作監視部は、予め定められた種別の前記制御信号の受信、生成、または送信が予め定められた回数を超えて検知された場合にのみ、前記報知情報を生成すること
を特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記電子装置は、電子メールを生成し、通信網を介して前記電子メールを送信するよう前記通信部を制御する通信制御部を備え、
前記動作監視部は、前記報知情報を前記電子メールに含めて予め定められたメールアドレスへ送信するよう前記通信制御部を制御すること
を特徴とする請求項5に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−95093(P2012−95093A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240656(P2010−240656)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】