説明

電子輸送性材料及びその製造方法

式Cの化合物は、式Aの化合物をピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルと反応させて式Bの化合物を形成し、式Bの化合物をピリジル二ハロゲン化物と化合させて式Cの化合物を形成することによって製造される。
【化1】


【化2】


式中、
3、R4、R5、R6及びR7は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20環式脂肪族基であり、
Xは各々独立にCH又はNであり、
Yはクロロ又はブロモであり、
Zはブロモ又はヨードであり、Yがブロモである場合、Zはヨードであり、
d、e、及びgは各々独立に0〜4の範囲の整数であり、
fは0〜2の範囲の整数であり、
hは0〜3の範囲の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に化合物に関し、特に化合物、それを、例えば電子輸送材料として使用するオプトエレクトロニクスデバイス、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧バイアスを印加したときに発光する薄膜材料を利用するオプトエレクトロニクスデバイス、例えば有機発光デバイス(OLED)は、フラットパネルディスプレイ技術の次第にポピュラーな形態になると期待されている。これは、OLEDが、携帯電話、電子手帳(PDA)、コンピューターディスプレイ、車両の情報ディスプレイ、テレビモニター、並びに全般照明用の光源を始めとする多種多様の潜在的な用途をもっているためである。OLEDは、それらの明るい色、広い視角、フルモーションビデオとの適合性、広い温度範囲、薄い整合したフォームファクター、低い出力要件及び低コストの製造プロセスの可能性のために、ブラウン管(CRT)及び液晶ディスプレイ(LCD)に代わる今後の代替技術と見られている。OLEDは、その高い発光効率のため、ある種の用途向けの白熱灯、及び恐らくは蛍光灯にさえ取って代わる可能性を有すると見られている。
【0003】
OLEDは、対向する2つの電極間に挟まれた1以上の有機層からなるサンドイッチ構造を有する。例えば、多層化デバイスは通常少なくとも3つの層、すなわち正孔注入/輸送層、放出層及び電子輸送層(ETL)を有する。さらに、正孔注入/輸送層が電子ブロック層として、またETLが正孔ブロック層として機能することも好ましい。単層のOLEDは対向する2つの電極間に1つの層の材料のみを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/289547号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、本発明は、次の式Iの化合物に関する。
【0006】
【化1】

【0007】
式中、
1及びR2は各々独立にH、C1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20環式脂肪族基であり、
aは0〜2の範囲の整数であり、
bは1又は2であり、
cは0〜4の範囲の整数であり、
Ar1及びAr2は独立にヘテロアリールである。
【0008】
別の態様では、本発明は、式Iの化合物を1種以上含む、特に化合物が電子輸送層内に存在する場合のオプトエレクトロニクスデバイスに関する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、
以下の式Aの化合物をピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルと反応させて以下の式Bの化合物を形成し、
式Bの化合物をピリジル二ハロゲン化物と化合させて以下の式Cの化合物を形成する
ことを含む方法に関する。
【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
式中、
3、R4、R5、R6及びR7は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20環式脂肪族基であり、
Xは各々独立にCH又はNであり、
Yはクロロ又はブロモであり、
Zは、ブロモ又はヨードであり、Yがブロモである場合、Zはヨードであり、
d、e、及びgは各々独立に0〜4の範囲の整数であり、
fは0〜2の範囲の整数であり、
hは0〜3の範囲の整数である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
式Iの化合物は、オプトエレクトロニクスデバイス、例えば有機発光デバイス(OLED)に有用な性質を有し、特にその電子輸送層に使用するのに適している。ヘテロアリールは電子求引性/電子不足であってもよく、複数の芳香環又は複数の非縮合芳香環を含んでいてもよい。電子求引性/電子不足のヘテロアリール基はピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、フェナントラニル基、インドール基、イソインドール基、カルバゾリル基、アザ−カルバゾリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ナフチリジニル基、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル又はオキサゾリルであってもよい。幾つかの実施形態では、Ar1はピリジル又は次式の基であってもよい。
【0014】
【化4】

【0015】
幾つかの実施形態では、Ar2はピリジルであってもよい。
【0016】
1つの態様では、本発明は、以下の式IIの化合物及びそれを使用するオプトエレクトロニクスデバイスに関する。
【0017】
【化5】

【0018】
さらに別の態様では、本発明は、以下の式III〜IVの化合物、及びそれらのいずれか又は任意の組合せを使用するオプトエレクトロニクスデバイスに関する。
【0019】
【化6】

【0020】
さらに別の態様では、本発明は、以下の式Cの化合物の製造方法に関し、この方法は、以下の式Aの化合物をピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルと反応させて以下の式Bの化合物を形成し、 式Bの化合物をピリジル二ハロゲン化物と化合させて式Cの化合物を形成することを含んでいる。
【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

【0023】
式中、
3、R4、R5、R6及びR7は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20環式脂肪族基であり、
Xは各々独立にCH又はNであり、
Yはクロロ又はブロモであり、
Zは、ブロモ又はヨードであり、Yがブロモである場合、Zはヨードであり、
d、e、及びgは各々独立に0〜4の範囲であり、
fは0〜2の範囲の整数であり、
hは0〜3の範囲の整数である。
【0024】
式Aの化合物は次式のものであってもよい。
【0025】
【化9】

【0026】
ピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルは次式のものであってもよい。
【0027】
【化10】

【0028】
式Bの化合物は次式のものであってもよい。
【0029】
【化11】

【0030】
ピリジル二ハロゲン化物は次式のものであってもよい。
【0031】
【化12】

【0032】
この方法は、さらにピリジル二ハロゲン化物と化合させる前に式Bの化合物をボランエステル化試薬と化合させることを含み得、又は、さらに化合物Bと反応させる前にピリジル二ハロゲン化物をボランエステル化試薬と化合させることを含んでいてもよい。ボランエステル化試薬はピナコレートジボランであってもよい。
【0033】
式Cの化合物の例は次のものを含む。
【0034】
【化13】

【0035】
本明細書に記載した方法では、ハロゲン化物の選択的反応性を選ぶことにより、式Bの中間体化合物の収率が著しく増大し、その結果生成物である式Cの化合物の収率が増大する。加えて、式Bの化合物、ピリジル二ハロゲン化物及びボランエステル化試薬の反応は1つの容器内で行われ、さらなる反応のために中間体を分離する必要はなく、従って方法と機器を簡単化することができ、コストを低減することができる。本明細書に記載した方法は幾つかの工程でカラムクロマトグラフィーを省略することができ、中程度の収率、低いコスト及び高い生産性(100g〜1kg)を有する。
【0036】
式I〜IV及びCの化合物はSuzukiクロスカップリング反応を使用することによって調製し得る。Suzukiクロスカップリング反応の一般的な手順では、適切な溶媒中、塩基とPd触媒の存在下で、第1のハロゲン原子を有する第1のハロゲン化アリールと、この第1のハロゲン化アリールの第1のハロゲン原子とは異なる第2のハロゲン原子を有する第2のハロゲン化アリールとを混合する。この反応混合物を不活性雰囲気下である期間加熱する。適切な溶媒としては、限定されることはないが、ジオキサン、THF、EtOH、トルエン及びこれらの混合物がある。代表的な塩基としては、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、リン酸カリウム及びこれらの水和物がある。塩基は固体の粉末又は水溶液として反応に加えることができる。最も一般的に使われる触媒として、Pd(PPh34、又はPd(OAc)2、Pd(dba)2があり、二次リガンドを添加し得る。代表的なリガンドとして、次に示す構造V〜IXのようなジアルキルホスフィノビフェニルリガンドがあり、式中のCyはシクロヘキシルである。
【0037】
【化14】

【0038】
オプトエレクトロニクスデバイス、例えばOLEDは、通例、最も単純な場合で、アノード層及び対応するカソード層と、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機エレクトロルミネセント層とを含む。これらの電極を横切って電圧バイアスがかけられると、カソードにより電子がエレクトロルミネセント層中に注入され、一方アノードにより電子がエレクトロルミネセント層から除去される(又は、「正孔」がエレクトロルミネセント層中に「注入される」)。発光は、エレクトロルミネセント層内で正孔が電子と結合して一重項又は三重項励起子を形成するときに起こる。発光は一重項及び/又は三重項励起子が放射減衰により基底状態に減衰するときに起こる。
【0039】
アノード、カソード及び発光物質に加えてOLED内に存在し得る他の成分には、正孔注入層、電子注入層、及び電子輸送層がある。電子輸送層はカソードと直接接触している必要はなく、多くの場合電子輸送層はカソードに向かって移動する正孔を阻止する正孔ブロック層としても機能する。有機発光デバイス内に存在し得る追加の成分としては、正孔輸送層、正孔輸送放出(放出性)層及び電子輸送放出(放出性)層がある。
【0040】
一実施形態では、本発明の有機化合物を含むOLEDは一重項発光体を含む蛍光OLEDであってもよい。別の実施形態では、本発明の有機化合物を含むOLEDは1以上の三重項発光体を含む燐光性OLEDであってもよい。もう1つ別の実施形態では、本発明の有機化合物を含むOLEDは1以上の一重項発光体と1以上の三重項発光体を含む。本発明の有機化合物を含むOLEDは、Ir、Os及びPtのような遷移金属の錯体を含めて青色、黄色、橙色、赤色の燐光性染料の1以上、いずれか又は組合せを含有し得る。特に、American Dye Source社(カナダ、ケベック)により供給されるもののような電子燐光性及び電子蛍光性の金属錯体を使用し得る。式I〜IVの化合物はOLEDの放射層、又は正孔輸送層若しくは電子輸送層、又は電子注入層又はこれらのあらゆる組合せの一部であってもよい。
【0041】
有機エレクトロルミネセント層、すなわち放出層は、有機発光デバイス内で、作動の際電子と正孔の両方をかなりの濃度で含有し励起子の形成と発光の場を提供する層である。正孔注入層は、アノードと接触しており、アノードからOLEDの内部の層内への正孔の注入を促進する層であり、電子注入層は、カソードと接触しており、カソードからOLED内への電子の注入を促進する層であり、電子輸送層は、カソード及び/又は電子注入層から電荷再結合部位への電子の伝導を容易にする層である。電子輸送層を含む有機発光デバイスの作動中、電子輸送層内に存在する荷電担体(すなわち正孔と電子)の大部分は電子であり、発光は放出層内に存在する正孔と電子の再結合を介して起こることができる。正孔輸送層は、OLEDが作動しているときアノード及び/又は正孔注入層から電荷再結合部位への正孔の伝導を容易にし、アノードと直接接触している必要がない層である。正孔輸送性放出層は、OLEDが作動しているとき正孔の電荷再結合部位への伝導を容易にする層であり、そこでは荷電担体の大部分が正孔であり、かつ放出が残りの電子との再結合ばかりでなく、デバイス内のいずれかの電荷再結合ゾーンからのエネルギーの移動によっても起こる。電子輸送性放出層は、OLEDが作動しているとき電子の電荷再結合部位への伝導を容易にし、荷電担体の大部分が電子であり、また放出が残りの正孔との再結合を介するばかりでなく、デバイス内のいずれかの電荷再結合ゾーンからのエネルギーの移動によっても起こる層である。
【0042】
アノードとして使用するのに適した材料としては、4点プローブ法で測定して好ましい約1000オーム/平方の体積抵抗率を有する材料がある。酸化インジウムスズ(ITO)は、光の透過に対して実質的に透明であり、従って電子活性有機層から放出された光の脱出が容易になるので、アノードとして使用されることが多い。アノード層として利用し得るその他の材料には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化亜鉛インジウム、酸化亜鉛インジウムスズ、酸化アンチモン、及びこれらの混合物がある。
【0043】
カソードとして使用するのに適した材料としては、OLEDの内層(複数でもよい)中に負の電荷担体(電子)を注入することができる、限定されることはないが金属及びITO等のような金属酸化物を始めとする一般的な導電体がある。カソードとして使用するのに適した様々な金属には、K、Li、Na、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、ランタニド系列の元素、これらの合金、及びこれらの混合物がある。カソード層として使用するのに適した合金材料には、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg、Al−Ca、及びAl−Au合金がある。アルミニウム又は銀のような金属のより厚い層で被覆されたカルシウムのような金属又はLiFのような金属フッ化物の薄い層のような層状化非合金構造もカソード内に使用し得る。特に、カソードは単一の金属、殊にアルミニウム金属からなり得る。
【0044】
式I〜IVの化合物は、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,1−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、1,3,4−トリアゾール含有ポリマー、キノキサリン含有ポリマー、及びシアノ−PPVのような従来の材料の代わりに、又はそれに加えて電子輸送層に使用し得る。
【0045】
正孔輸送層に使用するのに適した材料としては1,1−ビス((ジ−4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサン、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−(1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル)−4,4’−ジアミン、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン、フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、トリフェニルアミン、1−フェニル−3−(p−(ジエチルアミノ)スチリル)−5−(p−(ジエチルアミノ)フェニル)ピラゾリン、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、銅フタロシアニン、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール、トリアリールジアミン、テトラフェニルジアミン、芳香族第三アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、及び米国特許第6023371号に開示されているポリチオフェンがある。
【0046】
発光層に使用するのに適した材料としては、ポリフルオレンのようなエレクトロルミネセントポリマー、好ましくはポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)及びこれらのコポリマー、例えばポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(F8−TFB)、ポリ(ビニルカルバゾール)ポリフェニレンビフェニレン及びこれらの誘導体がある。加えて、発光層は青色、黄色、橙色、緑色もしくは赤色燐光性染料若しくは金属錯体、又はこれらの組合せを含んでいてもよい。燐光性染料として使用するのに適した材料には、限定されることはないが、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(赤色染料)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(緑色染料)及びイリジウム(III)ビス(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2)(青色染料)がある。ADS(American Dyes Source社)から市販されている電子蛍光性及び電子燐光性の金属錯体も使用し得る。ADS緑色染料としては、ADS060GE、ADS061GE、ADS063GE、and ADS066GE、ADS078GE、及びADS090GEがある。ADS青色染料としては、ADS064BE、ADS065BE、及びADS070BEがある。ADS赤色染料としては、ADS067RE、ADS068RE、ADS069RE、ADS075RE、ADS076RE、ADS067RE、及びADS077REがある。
【0047】
式I〜IV及びXの有機化合物は電子輸送層又は電子注入層又は発光層の一部を形成し得る。従って、1つの態様では、本発明は、式I〜IV及びXの有機化合物を含むより効率的なオプトエレクトロニクスデバイス、例えばOLEDに関する。青色、黄色、橙色、緑色、赤色燐光性染料の1種以上、いずれか又はそれらの組合せを含有するOLEDは燐光性であってもよい。
【0048】
定義
本明細書で使用する場合、用語「芳香族基」とは1以上の芳香族基を含み1以上の原子価を有する原子列をいう。1以上の芳香族基を含み1以上の原子価を有する原子列は窒素、イオウ、セレン、ケイ素及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、又は専ら炭素と水素のみからなっていてもよい。本明細書で使用する場合、用語「芳香族基」には、限定されることはないが、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレン、及びビフェニル基が包含される。既に述べたように、芳香族基は1以上の芳香族基を含有する。芳香族基は常に、4n+2の「非局在化した」電子を有する環状構造である。ここで、「n」は1以上の整数であり、例示するとフェニル基(n=1)、チエニル基(n=1)、フラニル基(n=1)、ナフチル基(n=2)、アズレニル基(n=2)、及びアントラセニル基(n=3)がある。また、芳香族基は非芳香族成分を含んでいてもよい。例えば、ベンジル基は、フェニル環(芳香族基)とメチレン基(非芳香族成分)とを含む芳香族基である。同様に、テトラヒドロナフチル基は、非芳香族成分−(CH24−と融合した芳香族基(C63)を含む芳香族基である。便宜上、用語「芳香族基」は、本明細書中で、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロ芳香族基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステル及びアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基、などのような広範囲の官能基を包含するように定義される。例えば、4−メチルフェニル基はメチル基を含むC7芳香族基であり、このメチル基はアルキル基の1種である官能基である。同様に、2−ニトロフェニル基はニトロ基を含むC6芳香族基であり、このニトロ基が官能基である。芳香族基には、4−トリフルオロメチルフェニル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェン−1−イルオキシ)(すなわち、−OPhC(CF32PhO−)、4−クロロメチルフェン−1−イル、3−トリフルオロビニル−2−チエニル、3−トリクロロメチルフェン−1−イル(すなわち、3−CCl3Ph−)、4−(3−ブロモプロプ−1−イル)フェン−1−イル(すなわち、4−BrCH2CH2CH2Ph−)、などのようなハロゲン化された芳香族基が包含される。芳香族基の別の例には、4−アリルオキシフェン−1−オキシ、4−アミノフェン−1−イル(すなわち、4−H2NPh−)、3−アミノカルボニルフェン−1−イル(すなわち、NH2COPh−)、4−ベンゾイルフェン−1−イル、ジシアノメチリデンビス(4−フェン−1−イルオキシ)(すなわち、−OPhC(CN)2PhO−)、3−メチルフェン−1−イル、メチレンビス(4−フェン−1−イルオキシ)(すなわち、−OPhCH2PhO−)、2−エチルフェン−1−イル、フェニルエテニル、3−ホルミル−2−チエニル、2−ヘキシル−5−フラニル、ヘキサメチレン−1,6−ビス(4−フェン−1−イルオキシ)(すなわち、−OPh(CH26PhO−)、4−ヒドロキシメチルフェン−1−イル(すなわち、4−HOCH2Ph−)、4−メルカプトメチルフェン−1−イル(すなわち、4−HSCH2Ph−)、4−メチルチオフェン−1−イル(すなわち、4−CH3SPh−)、3−メトキシフェン−1−イル、2−メトキシカルボニルフェン−1−イルオキシ(例えば、メチルサリチル)、2−ニトロメチルフェン−1−イル(すなわち、2−NO2CH2Ph)、3−トリメチルシリルフェン−1−イル、4−t−ブチルジメチルシリルフェン−1−イル、4−ビニルフェン−1−イル、ビニリデンビス(フェニル)、などが包含される。用語「C3〜C10芳香族基」には、3以上10以下の炭素原子を含有する芳香族基が含まれる。芳香族基1−イミダゾリル(C322−)はC3芳香族基を代表する。ベンジル基(C77−)はC7芳香族基を代表する。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「環式脂肪族基」は1以上の原子価を有し、環状であるが芳香族ではない原子列を含む基を指す。本明細書で定義されるように、「環式脂肪族基」は芳香族基を含有しない。「環式脂肪族基」は1以上の非環状成分を含んでいてもよい。例えば、シクロヘキシルメチル基(C611CH2−)は、シクロヘキシル環(環状であるが芳香族ではない原子列)とメチレン基(非環式成分)とを含む環式脂肪族基である。環式脂肪族基は窒素、イオウ、セレン、ケイ素及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、又は専ら炭素と水素からなっていてもよい。便宜上、用語「環式脂肪族基」は、本明細書中で、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステル及びアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基、などのような広範囲の官能基を包含して定義される。例えば、4−メチルシクロペント−1−イル基はメチル基を含むC6環式脂肪族基であり、メチル基はアルキル基の1種である官能基である。同様に、2−ニトロシクロブト−1−イル基はニトロ基を含むC4環式脂肪族基であり、ニトロ基は官能基である。環式脂肪族基は、同一でも異なっていてもよい1以上のハロゲン原子を含んでいてもよい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素がある。1以上のハロゲン原子を含む環式脂肪族基としては、2−トリフルオロメチルシクロヘキス−1−イル、4−ブロモジフルオロメチルシクロオクト−1−イル、2−クロロジフルオロメチルシクロヘキス−1−イル、ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス(シクロヘキス−4−イル)(すなわち、−C610C(CF32610−)、2−クロロメチルシクロヘキス−1−イル、3−ジフルオロメチレンシクロヘキス−1−イル、4−トリクロロメチルシクロヘキス−1−イルオキシ、4−ブロモジクロロメチルシクロヘキス−1−イルチオ、2−ブロモエチルシクロペント−1−イル、2−ブロモプロピルシクロヘキス−1−イルオキシ(例えば、CH3CHBrCH2610O−)、などがある。環式脂肪族基の別の例には、4−アリルオキシシクロヘキス−1−イル、4−アミノシクロヘキス−1−イル(すなわち、H2NC610−)、4−アミノカルボニルシクロペント−1−イル(すなわち、NH2COC58−)、4−アセチルオキシシクロヘキス−1−イル、2,2−ジシアノイソプロピリデンビス(シクロヘキス−4−イルオキシ)(すなわち、−OC610C(CN)2610O−)、3−メチルシクロヘキス−1−イル、メチレンビス(シクロヘキス−4−イルオキシ)(すなわち、−OC610CH2610O−)、1−エチルシクロブト−1−イル、シクロプロピルエテニル、3−ホルミル−2−テトラヒドロフラニル、2−ヘキシル−5−テトラヒドロフラニル、ヘキサメチレン−1,6−ビス(シクロヘキス−4−イルオキシ)(すなわち、−OC610(CH26610O−)、4−ヒドロキシメチルシクロヘキス−1−イル(すなわち、4−HOCH2610−)、4−メルカプトメチルシクロヘキス−1−イル(すなわち、4−HSCH2610−)、4−メチルチオシクロヘキス−1−イル(すなわち、4−CH3SC610−)、4−メトキシシクロヘキス−1−イル、2−メトキシカルボニルシクロヘキス−1−イルオキシ(2−CH3OCOC610O−)、4−ニトロメチルシクロヘキス−1−イル(すなわち、NO2CH2610−)、3−トリメチルシリルシクロヘキス−1−イル、2−t−ブチルジメチルシリルシクロペント−1−イル、4−トリメトキシシリルエチルシクロヘキス−1−イル(例えば、(CH3O)3SiCH2CH2610−)、4−ビニルシクロヘキセン−1−イル、ビニリデンビス(シクロヘキシル)、などがある。用語「C3〜C10環式脂肪族基」には、3以上10以下の炭素原子を含有する環式脂肪族基が含まれる。環式脂肪族基2−テトラヒドロフラニル(C47O−)はC4環式脂肪族基の代表である。シクロヘキシルメチル基(C611CH2−)はC7環式脂肪族基の代表である。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「脂肪族基」とは1以上の原子価を有し、環式ではない線状又は枝分れ原子列からなる有機基をいう。脂肪族基は1以上の炭素原子を含むと定義される。脂肪族基を含む原子列は窒素、イオウ、ケイ素、セレン及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、又は専ら炭素と水素からなっていてもよい。便宜上、用語「脂肪族基」は、本明細書中で、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステル及びアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基、などのような広範囲の官能基で置換された「環式ではない線状又は枝分れ原子列からなる」有機基の一部として包含されるものと定義されている。例えば、4−メチルペント−1−イル基はメチル基を含むC6脂肪族基であり、このメチル基はアルキル基の1種である官能基である。同様に、4−ニトロブト−1−イル基はニトロ基を含むC4脂肪族基であり、このニトロ基は官能基である。脂肪族基は、同一でも又は異なっていてもよい1以上のハロゲン原子を含むハロアルキル基であってもよい。ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素がある。1以上のハロゲン原子を含む脂肪族基には、アルキルハロゲン化物であるトリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ヘキサフルオロイソプロピリデン、クロロメチル、ジフルオロビニリデン、トリクロロメチル、ブロモジクロロメチル、ブロモエチル、2−ブロモトリメチレン(例えば−CH2CHBrCH2−)、などがある。脂肪族基の別の例として、アリル、アミノカルボニル(すなわち、−CONH2)、カルボニル、2,2−ジシアノイソプロピリデン(すなわち、−CH2C(CN)2CH2−)、メチル(すなわち、−CH3)、メチレン(すなわち、−CH2−)、エチル、エチレン、ホルミル(すなわち−CHO)、ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(すなわち−CH2OH)、メルカプトメチル(すなわち、−CH2SH)、メチルチオ(すなわち、−SCH3)、メチルチオメチル(すなわち、−CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル(すなわち、CH3OCO−)、ニトロメチル(すなわち、−CH2NO2)、チオカルボニル、トリメチルシリル(すなわち(CH33Si−)、t−ブチルジメチルシリル、3−トリメトキシシリルプロピル(すなわち、(CH3O)3SiCH2CH2CH2−)、ビニル、ビニリデン、などがある。別の例として、C1〜C10脂肪族基は1以上10以下の炭素原子を含有する。メチル基(すなわち、CH3−)はC1脂肪族基の一例である。デシル基(すなわち、CH3(CH2)9−)はC10脂肪族基の一例である。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール」とは、芳香環の1以上の炭素原子が窒素、酸素、ホウ素、セレン、リン、ケイ素又はイオウのようなヘテロ原子で置き換えられている芳香族又は不飽和の環をいう。ヘテロアリールは、単一の芳香環、複数の芳香環、又は1以上の非芳香族の環に結合した1以上の芳香環であり得る構造を指す。複数の環を有する構造の場合、これらの環は互いに縮合していたり、共有結合していたり、又はエーテル、メチレン又はエチレン部分のような共通の基に結合していたりすることができる。共通の結合基はまた、フェニルピリジルケトンの場合のようにカルボニルであってもよい。ヘテロアリール環の例としては、チオフェン、ピリジン、イソオキサゾール、ピラゾール、ピロール、フラン、イミダゾール、インドール、チアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール、トリアゾール、これらの基のベンゾ−縮合類似体、ベンゾビラノン、フェニルピリジン、トリルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、フェニルイソキノリン、ジベンゾキノザリン、フルオレニルピリジン、ケトピロール、2−フェニルベンズオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、チエニルピリジン、ベンゾチエニルピリジン、3−メトキシ−2−フェニルピリジン、フェニルイミン、ピリジルナフタレン、ピリジルピロール、ピリジルイミダゾール、及びフェニルインドールがある。
【0052】
用語「アリール」は、本明細書中で、単一の芳香環であっても、又は互いに融合した、共有結合により結合した、又はエーテル、メチレン若しくはエチレン部分のような共通の基に結合した複数の芳香環でもよい芳香族置換基を指して使用されている。芳香環には特にフェニル、ナフチル、アントラセニル、及びビフェニルが包含され得る。特定の実施形態では、アリールは1〜200の炭素原子、1〜50の炭素原子、又は1〜20の炭素原子を有する。
【0053】
本明細書で、用語「アルキル」は、枝分れ又は非枝分れ飽和又は不飽和の非環式炭化水素基を指すのに使用される。適切なアルキル基には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−プロペニル(又はアリル)、ビニル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル(又は2−メチルプロピル)、等が含まれる。特定の実施形態では、アルキルは1〜200個の炭素原子、1〜50個の炭素原子又は1〜20個の炭素原子を有する。
【0054】
本明細書で、用語「シクロアルキル」は、単一の環又は複数の縮合した環を有する飽和又は不飽和の環式非芳香族炭化水素基を指すのに使用される。適切なシクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクテニル、ビシクロオクチル、等が含まれる。特定の実施形態では、シクロアルキルは3〜200個の炭素原子、3〜50個の炭素原子又は3〜20個の炭素原子を有する。
【0055】
本明細書中で挙げる数値は、低い方の値と高い方の値が少なくとも2単位離れている場合、その低い方の値から上の方の値まで1単位ずつ上昇する全ての値を含む。一例として、ある成分の量又は例えば温度、圧力、時間などのようなプロセス変量の値が、例えば1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70とされている場合、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32等のような値が本明細書中に明らかに列挙されているものとする。1未満の値の場合、1単位は適宜0.0001、0.001、0.01又は0.1であると考えられる。これらは明白に意図されているものの単なる一例であり、列挙された最低値と最高値の間のあらゆる可能な組合せの数値が同様に本出願に明白に記載されているものと考えられたい。
【実施例】
【0056】
実施例1〜9は、式III〜IVの化合物、及びその製造に用いられる中間体の合成について記載する。試薬は全て、特に断らない限りAldrich Chemical社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)から購入し、それ以上精製せずに使用した。全ての化合物は1H−NMRで特性決定し、示した構造に対応することが判明した。
【0057】
実施例1:式IIIの化合物の合成
【0058】
【化15】

【0059】
凝縮器、栓、及び窒素導入口を備えた三首丸底フラスコ中のH2O(10mL)とジオキサン(15mL)のパージした混合物に、Na2CO3(1.10g、10.5mmol)、化合物1(1.00g、2.00mmol)、PcyBiPh(80mg、0.20mmol)及びPd(OAc)2(18.0mg、0.080mmol)を加えた。15分間N2でパージした後、3−ピリジルボロン酸(1.00g、8.14mmol)を加え、混合物を15時間穏やかに還流加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを通してろ過し、EtOAcで分液漏斗に移した。有機層を分離し、飽和NaHCO3(100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。粗生成物を、5%MeOH/CH2Cl2で溶出するSiO2クロマトグラフィーで精製して化合物IIIを白色の固体として得た。収率:0.930g、86%。1H NMR(400MHz、CD2Cl2、25℃)δ 7.43(m、3H)、7.71(m、6H)、7.87(m、1H)、8.01(m、4H)、8.09(s、2H)、8.30(m、2H)、8.48(t、2H)、8.62(m、3H)、8.96(m、3H)。
【0060】
実施例2:化合物1の合成
【0061】
【化16】

【0062】
5%NaOH:EtOH(20mL:40mL)中の3−クロロベンズアルデヒド(4.00g、28.5mmol)の溶液に、3−ブロモアセトフェノン(11.4g、56.9mmol)を加えた。固体の塊が溶液から分離するまで混合物を室温で撹拌した。溶媒をフラスコからデカントし、NH4OAc(15g)、次いでAcOH(15mL)を加えた。混合物を3時間還流加熱した後室温に冷却した。EtOH/H2O(100mL)の50%溶液を加え、ろ過により固体を集め、EtOH/H2O(1:1)で洗浄した。乾燥した後粗な固体を結晶化して無色の針状化合物1を得た。収率:4.70g、33%。1H NMR(400MHz、CD2Cl2、25℃)δ 7.42(t、2H)、7.50(m、2H)、7.61(m、2H)、7.66(m、1H)、7.76(m、1H)、7.88(2H)、8.12(m、2H)、8.36(t、2H)。
【0063】
実施例3:式IVの化合物の合成
【0064】
【化17】

【0065】
凝縮器、窒素導入口、及びゴム隔膜を備えた火炎乾燥した三首丸底フラスコに、PcyBiPh(84mg、0.20mmol)及びPd(OAc)2(19.0mg、0.080mmol)を加えた。次に、フラスコを大気から保護し、無水THF(10mL)を入れ、撹拌した溶液にN2をパージして通すことによりこの溶液を脱ガスした。15分後、反応混合物に3,5−ジブロモピリジン(0.315g、1.33mmol)、ピナコレートジボラン(0.338g、2.66mmol)、乾燥KOAc(0.217g、12.2mmol)を加え、混合物を5時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、化合物2(1.60g、3.2mmol)、Na2CO3(1.20g、11.3mmol)、Cs2CO3(1.10g、3.38mmol)、及び脱ガスしたH2O(0.25mL)を加えた。次いで、この混合物を20時間加熱還流した後、室温に冷却し、濃縮乾固した。こうして得られた粗な物質をH2Oに懸濁させ、ろ過により集め、H2Oで洗浄した。乾燥した固体をSiO2(3−5%MeOH/CH2Cl2)に通してクロマトグラフにかけて、式IVの化合物を無色の固体として得た。収率:0.851g、64%。1H NMR(400MHz、CD3OD/CD2Cl2、25℃)δ 7.46(m、4H)、7.66(t、4H)、7.72(m、6H)、7.83(m、2H)、7.90(m、2H)、8.07(m、10H)、8.26(m、4H)、8.33(t、1H)、8.44(t、4H)、8.54(m、4H)、8.89(m、4H)、8.93(m、2H)。
【0066】
実施例4:化合物2の合成
【0067】
【化18】

【0068】
凝縮器、栓、及び窒素導入口を備えた三首丸底フラスコ内のH2O(25mL)とジオキサン(25mL)のパージした混合物に、Na2CO3(2.75g、25.9mmol)、化合物1(2.5g、5.00mmol)、3−ピリジルボロン酸(1.85g、15.0mmol)を加えた。15minN2でパージした後、Pd(PPh34(0.350g、0.300mmol)を加え、混合物を15時間穏やかに還流加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで分液漏斗に移した。有機層を水(100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濃縮乾固した。この粗生成物をEtOAcで溶出するSiO2クロマトグラフィーにより精製して化合物2を無色の固体として得た。収率:2.30g、93%。1H NMR(400MHz、CD2Cl2、25℃)δ 7.43(m、2H)、7.51(m、2H)、7.69(m、5H)、7.82(m、1H)、8.02(m、4H)、8.28(m、2H)、8.46(t、2H)、8.63(m、2H)、8.97(d、2H)。
【0069】
実施例5:式Xの化合物の合成
【0070】
【化19】

【0071】
シュレンク管に、1,3−ビス(3−ピリジンフェニル)−5−(3−クロロフェニル)ベンゼン(化合物3、0.14g、0.28mmol)、ピナコレートジボラン(0.085g、0.336mmol)、乾燥KOAc(60mg、0.6mmol)、リガンドPCyBin(4.6mg、0.0112mmol、4%)及びPd2(dba)3(5.2mg、0.0056mmol、2%)を仕込んだ。このシュレンク管を三回排気しアルゴンで満たした。シュレンク管をアルゴン雰囲気内に置いた。無水ジオキサン(8mL)を加えた。次いで、フラスコをアルゴン雰囲気下で3時間110℃に加熱した。次に、0.5mLの溶液を取り、0.5mlの溶液をろ紙に通してろ過したフィルターケーキをEtOAcで洗浄し、ろ液を濃縮乾固した。その後1H NMR(400MHz、CD2Cl2、25℃)δ 1.39(s、12H)、7.41(m、2H)、7.52(t、1H)、7.63(m、4H)、7.82(m、4H)、7.92(s、3H);7.96(m、2H)、8.00(m、2H)、8.13(s、1H)、8.60(m、2H)、8.94(d、2H)。この1H NMRによると、全ての一臭化物が対応するホウ素エステルに変換された。
【0072】
リン酸カリウム一水和物(K3PO4・H2O、0.26g、1.3mmol、4当量)、3、5−ジブロモピリジン(30mg、0.13mmol)及び5mlのDI水を上記反応溶液に加えた後、アルゴン雰囲気下110℃で一晩還流した。次いで、周囲温度に冷却した。漏斗を介して蒸留水(30mL)を加え、得られた混合物をブフナー漏斗でろ過した。ろ液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ紙でろ過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)により濃縮乾固した。得られた黄色の固体をカラムクロマトグラフィーで精製して白色の固体0.1g(80%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.94(m、6H)、8.64(m、4H)、8.20(m、1H)、7.97−7.91(m、16H)、7.82−7.63(m、18H)、7.41(m、4H)。
【0073】
実施例6:化合物3の合成
【0074】
【化20】

【0075】
3−ピリジンボロン酸(0.738g、6mmol)と1,3−ビス(3−ブロモフェニル)−5−(3−クロロフェニル)ベンゼン(1.37g、2.75mmol)を、100mLの三首丸底フラスコに入れた。このフラスコに、ジオキサン(20mL)と水性K2CO3(2N、10mL)を加えた。この混合物を撹拌し、アルゴン流で30分脱ガスした。次に、アルゴン雰囲気下で、127mg(0.11mmol)のPd(PPh34(2%)を加えた。混合物を70℃にし、一晩撹拌した。次の日、回転蒸発により溶媒を除去し、残渣を等量の水(50mL)とCH2Cl2(50mL)に懸濁させた。有機層を水性層から分離し、塩基水(50mL×3)と塩水溶液(50mL×3)で洗浄した。Na2SO4上で乾燥し、乾燥剤を除去した後、〜1gの生成物(75%)が得られた。1,3−ビス(3−ピリジンフェニル)−5−(3−クロロフェニル)ベンゼン 1H NMR(CDCl3)δ 8.96(dd、2H)、8.65(dd、2H)、7.98(m、2H)、7.91(s、3H)、7.85(dt、2H)、7.78−7.62(m、8H)、7.47−7.39(m、4H)。
【0076】
実施例7:化合物4の合成
【0077】
【化21】

【0078】
1,3−ビス(3−ブロモフェニル)ブト−2−エン−1−オン(6.15g、16.2mmol)とm−クロロアセトフェノン(2.50g、16.2mmol)を100mLの三首丸底フラスコに加えた。このフラスコに、乾燥エタノール(40mL)を加えた。混合物を激しく撹拌した後、四塩化ケイ素(7ml、56mmol)をゆっくり加えた。混合物は赤色になり、12時間室温で撹拌した。次に、水(10ml×2)を加え、20分撹拌した。その後溶液をろ過して灰色の固体を得た。この固体をNaOH溶液(10%)、水及びアセトンで別々に洗浄した。粗生成物を乾燥し、THF(3ml)に溶かした後、このTHF溶液を激しく撹拌しながらメタノール(100ml)に加えた。ろ過により析出させた後、粗生成物をエタノールとジクロロメタンから再結晶化すると、微細な1,3−ビス(3−ブロモフェニル)−5−(3−クロロフェニル)ベンゼンが得られる。収率は3.23g(C2415Br2Cl)、40%である。1H NMR(δ、CDCl3)7.84(m、2H)、7.74(m、3H)、7.69(s、1H)、7.63−7.55(m、5H)、7.46−7.36(m、4H)。
【0079】
実施例8:化合物5の合成
【0080】
【化22】

【0081】
m−ブロモアセトフェノン(11.2g、56mmol)を100mLの三首丸底フラスコに入れた。このフラスコに、乾燥エタノール(50mL)を加えた。混合物を激しく撹拌し、四塩化ケイ素(9.52g、56mmol)をゆっくり加えた。混合物は黄色になり、これを室温で6時間撹拌した。次に、水(10×5ml)を加え、30分撹拌した。溶液をCH2Cl2(50×3mL)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥した後、乾燥剤を除去し、有機溶媒を回転蒸発により除去した。残渣を蒸留により精製し、生成物の1,3−ビス(3−ブロモフェニル)ブト−2−エン−1−オンを180〜184℃(10Pa)で集めた。収率は7.13g(C1612Br2O)、67%である。1H NMR(δ、CDCl3)8.12(m、1H)、7.92(m、1H)、7.71(m、2H)、7.56(m、1H)、7.50(m、1H)、7.38(m、1H)、7.32(m、1H)、7.07(s、1H)、2.58(s、3H)である。
【0082】
実施例9:式Xの化合物の合成
【0083】
【化23】

【0084】
シュレンク管に、3,5−ジブロモピリジン(50mg、0.21mmol)、ピナコレートジボラン(0.117g、0.462mmol)、乾燥KOAc(0.1g、1mmol)、リガンドPCyBin(6.7mg、0.017mmol、4%)及びPd(OAc)2(3mg、0.013mmol、3%)を仕込んだ。シュレンク管を三回排気しアルゴンで満たした。シュレンクをアルゴン雰囲気中に置いた。無水ジオキサン(6mL)を加えた。次いで、フラスコをアルゴン雰囲気下で3時間110℃に加熱した。次に、化合物3(0.25g、0.5mmol)、乾燥KOAc(0.1g、1mmol)、リガンドPCyBin(6.7mg、0.017mmol、4%)及びPd(OAc)2(3mg、0.013mmol、3%)及び5mlのジオキサンを上記反応溶液中に加えた後、アルゴン雰囲気下110℃で一晩還流した。次いで、周囲温度に冷却した。蒸留水(30mL)を漏斗を介して加え、得られた混合物をブフナー漏斗でろ過した。ろ液を分液漏斗に移し、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ紙でろ過し、回転蒸発(30℃、25mmHg)により濃縮乾固した。得られた黄色の固体をカラムクロマトグラフィーで精製して、色の固体94mg(45%)として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.94(m、6H)、8.64(m、4H)、8.20(m、1H)、7.97−7.91(m、16H)、7.82−7.63(m、18H)、7.41(m、4H)。
【0085】
本明細書には本発明の幾つかの特徴のみを例示し説明して来たが、多くの修正と変更が当業者には明らかであろう。従って、特許請求の範囲はかかる全ての修正と変更を本発明の真の思想内に入るものとして包含するものと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式Aの化合物をピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルと反応させて以下の式Bの化合物を形成し、
式Bの化合物をピリジル二ハロゲン化物と化合させて以下の式Cの化合物を形成する
ことを含む方法。
【化1】

【化2】

式中、
3、R4、R5、R6及びR7は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20環式脂肪族基であり、
Xは各々独立にCH又はNであり、
Yはクロロ又はブロモであり、
Zはブロモ又はヨードであり、Yがブロモである場合、Zはヨードであり、
d、e、及びgは各々独立に0〜4の範囲の整数であり、
fは0〜2の範囲の整数であり、
hは0〜3の範囲の整数である。
【請求項2】
式Aの化合物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化3】

【請求項3】
式Aの化合物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化4】

【請求項4】
ピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルが次式のものである、請求項1記載の方法。
【化5】

【請求項5】
式Bの化合物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化6】

【請求項6】
式Bの化合物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化7】

【請求項7】
ピリジル二ハロゲン化物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化8】

【請求項8】
さらに、式Bの化合物を、ピリジル二ハロゲン化物と化合させる前に、ボランエステル化試薬と化合させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
さらに、ピリジル二ハロゲン化物を、式Bの化合物と反応させる前に、ボランエステル化試薬と化合させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ボランエステル化試薬がピナコレートジボランである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
式Cの化合物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化9】

【請求項12】
式Cの化合物が次式のものである、請求項1記載の方法。
【化10】

【請求項13】
以下の式Aの化合物をピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルと反応させて以下の式Bの化合物を形成し、式Bの化合物をピリジル二ハロゲン化物と化合させて以下の式Cの化合物を形成することにより製造された式Cの化合物。
【化11】

【化12】

式中、
3、R4、R5、R6及びR7は各々独立にC1〜C20脂肪族基、C3〜C20芳香族基又はC3〜C20環式脂肪族基であり、
Xは各々独立にCH又はNであり、
Yはクロロ又はブロモであり、
Zはブロモ又はヨードであり、Yがブロモである場合、Zはヨードであり、
d、e、及びgは各々独立に0〜4の範囲の整数であり、
fは0〜2の範囲の整数であり、
hは0〜3の範囲の整数である。
【請求項14】
式Aの化合物が次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化13】

【請求項15】
式Aの化合物が次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化14】

【請求項16】
ピリジルボロン酸又はピリジルホウ酸エステルが次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化15】

【請求項17】
式Bの化合物が次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化16】

【請求項18】
式Bの化合物が次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化17】

【請求項19】
ピリジル二ハロゲン化物が次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化18】

【請求項20】
さらに、式Bの化合物を、ピリジル二ハロゲン化物と化合させる前に、ボランエステル化試薬と化合させることを含む、請求項13記載の化合物。
【請求項21】
さらに、ピリジル二ハロゲン化物を、化合物Bと反応させる前に、ボ
ランエステル化試薬と化合させることを含む、請求項13記載の化合物。
【請求項22】
ボランエステル化試薬がピナコレートジボランである、請求項20又は請求項21記載の化合物。
【請求項23】
次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化19】

【請求項24】
次式のものである、請求項13記載の化合物。
【化20】


【公表番号】特表2012−514640(P2012−514640A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545362(P2011−545362)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/068392
【国際公開番号】WO2010/080472
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】