説明

電子部品の実装部分確認用スコープ

【課題】位置決めを容易に行ことができ、小型でも大きな視野角を得ることができるようにした電子部品の実装部分確認用スコープを提供する。
【解決手段】基板11aに実装した電子部品11の一側縁の全幅に亘って側縁と対向する反射面を有する側視用光学部材13と、撮像信号を生成する撮像部14と、を備え、撮像部14が側視用光学部材13の上側を移動して側視用光学部材13を介して電子部品11の基板11aに対する実装部分を撮像する。側視用光学部材13は、好ましくは電子部品11のすべての側縁に対向するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、例えば所謂BGA(Ball Grid Array)パッケージを基板に実装した状態で基板との間に形成される実装部分、例えばボールの確認を行なうためのスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BGAパッケージの実装部分を確認する場合、スコープが使用されている。このスコープは、BGAパッケージの検査対象の部位と対向する反射面を備えた側視用プリズムと、CCDカメラから成る撮像部とを備えている。
【0003】
このような構成のスコープによれば、側視用プリズムが基板に実装されたBGAパッケージの検査対象の部位に対向するように配置された状態で、撮像部が側視用プリズムを介してBGAパッケージの基板に対する実装部分を撮像する。この種のスコープが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2001−108918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスコープにおいては、撮像部と側視用プリズムとが一体に構成されており、使用者がスコープを握ってBGAパッケージの側縁に対して移動させることで、実装部分の確認を行っている。しかし、BGAパッケージの側縁に対して側視用プリズムは幅狭に構成されているため、側縁の全幅に亘って形成された全ての実装部分の検査を行うには、側視用プリズムをBGAパッケージの側縁に沿って順次ずらしてその都度検査を行う必要があり、検査部位を変える毎に位置合わせなどの設定をしなければならなかった。
【0005】
また、側視用プリズムは、BGAパッケージの側縁に対して近接した状態で側縁に沿って移動させるので、撮像部及び側視用プリズムが移動すべき経路からずれてしまうと、場合によってはBGAパッケージを傷つけたり破壊したりしてしまう虞がある。
【0006】
さらに、側視用プリズムは移動を考慮してできるだけ小型に構成することが望ましいが、小型にすると視野角が小さくなってしまう。このため、BGAパッケージの実装部分、即ちボールの全体を撮像することが困難になってしまう。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、電子部品の側縁の全幅に亘って形成された複数の実装部分の確認を容易に行うことができるようにした、電子部品の実装部分確認用スコープを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、基板に実装された電子部品の一側縁の全幅に亘って側縁と対向する反射面を有する側視用光学部材と、撮像信号を生成する撮像部と、を備えており、撮像部が側視用光学部材の上側を移動して側視用光学部材を介して電子部品の基板に対する実装部分を撮像することを特徴としている。本発明において、撮像部は、側視用光学部材を動かす装置、或いは撮像部側を動かす装置よって、側視用光学部材に対して移動可能に配置されている。
本発明において、側視用光学部材は、好ましくは、電子部品の二つの側縁と対向する二つの反射面、或いは、電子部品の四方の側縁と対向する四つの反射面を有する。
【0009】
本発明の電子部品の実装部分確認用スコープにおいて、側視用光学部材は、好ましくは、揺動軸の周りに揺動可能に支持された角度調整用の反射部材と、反射部材を揺動軸の周りに揺動させる角度調整機構と、を備えている。このように、撮像部を包含する筐体内の反射部材を揺動させる他に、撮像部を包含する筐体,ケース自体を揺動させてもよい。
本発明の電子部品の実装部分確認用スコープにおいて、側視用光学部材は電子部品の側縁に対向する全反射面を備えたプリズム又はミラーを備えている。プリズムの撮像部に対向する出射面は角度調整用反射部材の揺動に対応して揺動方向に拡大されていることが望ましい。さらに、側視用光学部材と電子部品の対応する側縁との間にはウェッジプリズムを備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、側視用光学部材が観察すべき電子部品の側縁の全幅に亘って対向するように配置されているので、側視用光学部材は一度電子部品に対して位置決めされた後は、当該電子部品に対して位置決めを行なう必要はない。これにより、撮像部が側視用光学部材の上側で電子部品の側縁に沿って平行移動されることで、撮像部が電子部品の側縁の基板に対する実装部分、即ち側縁に沿って設けられた全てのボールを正確に走査することができる。特に、従来のスコープでは、電子部品の一つの側縁においてその全幅の複数のボールをくまなく検査するためには、スコープの位置を何度も変える作業が必要であったが、本発明によれば、例えば側視用光学部材が電子部品の全側縁を囲繞し、撮像部が側視用光学部材の上面に沿って移動すれば、電子部品の全側縁に沿って設けられた全てのボールの拡大画像を得られるので、従来における煩雑な作業を解消できる。
また、電子部品の側縁に対向する側視用光学部材は固定配置されているので、上述した走査の際に、誤って側視用光学部材が電子部品の側縁に触れて電子部品を傷つけたり破壊したりすることはない。
さらに、走査の際に移動する撮像部が、側視用光学部材を含まないので、撮像部全体の重量が軽減され、撮像部を移動させるための駆動手段が小型で済み、コストが低減され得る。
【0011】
側視用光学部材が、電子部品の二つの側縁と対向するように配置されている場合、または側視用光学部材が、電子部品のすべての側縁と対向するように配置されている場合には、側視用光学部材の電子部品の側縁に対する位置決めの回数が低減される。従って、観察すべき電子部品の実装部分の確認をより短時間で行なうことができる。
側視用光学部材が、対応する電子部品の側縁に平行な揺動軸の周りに揺動可能に支持された角度調整用反射部材と、反射部材を揺動軸の周りに揺動させる角度調整機構と、から構成されている場合には、角度調整機構によって角度調整用反射部材を揺動させることで、電子部品の側縁から側視用光学部材を介して角度調整用反射部材に入射する光軸を振ることができる。
従って、撮像部の電子部品の側縁の実装部分に対する視野角が狭くても、即ち側視用光学部材が小型であっても、角度調整用反射部材の揺動によって光軸を振ることにより当該実装部分全体を観察することが可能である。
側視用光学部材が、電子部品の側縁に対向する全反射面を備えたプリズムから構成されており、プリズムの撮像部に対向する出射面が、角度調整用反射部材の揺動に対応して揺動方向に拡大されている場合には、角度調整用反射部材の揺動によって、電子部品の側縁から側視用光学部材を介して角度調整用反射部材に入射する光軸を振ったとしても、電子部品の側縁からの光が側視用光学部材を介して確実に撮像部に入射する。
側視用光学部材と電子部品の対応する側縁との間に配置されたウェッジプリズムを備えており、ウェッジプリズムが、光軸から一側に向かって徐々に肉厚になるように形成されている場合には、撮像部の電子部品の側縁の実装部分に対する視野角が狭くても、即ち側視用光学部材が小型であっても、このウェッジプリズムから電子部品側の光路を一側にずらして、当該実装部分の特に電子部品側及び基板側の要部を確実に観察することが可能である。
側視用光学部材の反射面が、電子部品の対応する側縁に対して45度より大きい傾斜角度を有している場合には、この反射面から電子部品側の光路を一側と反対側にずらして、当該実装部分の電子部品側の要部を確実に観察することができる。
側視用光学部材の反射面が、電子部品の対応する側縁及び撮像部に向かって凸状に形成されている場合には、撮像部の電子部品の側縁の実装部分に対する視野角が狭くても、即ち側視用光学部材が小型であっても、この反射面から電子部品側の光路を拡大することで、当該実装部分全体を確実に観察することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の第一の実施形態に係る電子部品の実装部分確認用のスコープ10の構成を示している。スコープ10は、電子部品としてのBGAパッケージ11を実装した基板11aを支持するステージ12と、基板11a上のBGAパッケージ11の側縁に対向して配置された側視用プリズム13と、側視用プリズム13の上面に対して相対的に移動可能に支持された撮像部14と、から構成されており、図示の場合、撮像部14で撮像した撮像信号を表示部15に出力して画像表示するように構成されている。
【0013】
ステージ12は公知の構成であって、基板11a、基板11aに実装されたBGAパッケージ11及び基板11a上に載置された側視用プリズム13を互いに直交する水平二方向、即ちX方向及びY方向へ移動させるように構成されている。図示例のステージ12は、X方向へ移動可能なXステージ12Aと、このXステージ12A上に載置され、Y方向へ移動可能なYステージ12Bと、Xステージを移動させるための第1駆動機構12Cと、Yステージを移動させるための第2駆動機構12Dと、を備えている。ただし、ステージは本実施形態例に限定されるものではない。
【0014】
側視用プリズム13は、図2に示すように、BGAパッケージ11のすべての側縁にそれぞれ対向するように形成されている。即ち、側視用プリズム13は、平面視における外形が四角形を成すBGAパッケージ11を囲繞するように、4つのプリズム本体13Aを組み合わせて枠型に構成されている。1つのプリズム本体13AはBGAパッケージ11の1つの側縁に対向するように形成されている。具体的には、図3(A)に示すように、各プリズム本体13Aは、断面が縦長の台形に形成されており、BGAパッケージ11の側縁における基板11aとの間の実装部分、即ちボール11bと対向するように斜め40〜50度、例えば45度に傾斜して配置された全反射面13Bと水平な上面13Cを備えている。さらに、各プリズム本体13Aは、図3(B)に示すように、BGAパッケージ11の一側縁の全幅に対向するように幅広に形成されている。
【0015】
撮像部14は、図3に示すように、撮像素子14aと、光学系14bと、を備えている。
撮像素子14aは、例えばCCDから構成されており、撮像面に入射した光を蓄積し電気信号に変換することで、撮像面に結像された画像を取り込んで画像信号として出力する。
【0016】
光学系14bは図示の場合、例えばズームレンズから成るレンズ14cと、光路を折曲げるための一対のリレープリズム14d,14eと、を備えている。この光学系14bは、BGAパッケージ11から側視用プリズム13を介して入射する光を撮像素子14aへ導いている。なお、光学系14bの各リレープリズム14d,14eは、図3(B)に示すように、プリズム本体13Aの幅方向に沿った幅W2が、レンズ14cの光路をカバーするように選定されている。従って、これらのリレープリズム14d,14eは、プリズム本体13Aの幅W1と比較して狭く形成されている。
【0017】
さらに、光学系14bは、プリズム本体13Aの上面13Cに対向して、BGAパッケージ11の側縁に平行な方向(図3(B)の矢印A方向)でリレープリズム14dの両側に、一対の光源14fを備えている。これらの光源14fは、例えば一つ以上のLEDから構成されており、プリズム本体13Aを介して、観察すべきBGAパッケージ11の側縁のボール11b付近を照明する。
ここで、各光源14fは、その光軸が撮像部14の光軸とBGAパッケージ11の側縁で交差するように、内側に傾斜して配置されている。これにより、撮像部14の撮像素子14aが撮像しようとするBGAパッケージ11の側縁領域が光源14fによって照明される。
【0018】
撮像部14は、ステージ12がX−Y方向へ移動することで、BGAパッケージ11の4つの側縁に対向して配置された4つのプリズム本体13Aの各上面13Cを、A方向(図3(B)参照)に移動することができる。これにより、例えば図4のリレープリズムを省略した動作原理図に示すように、撮像部14の撮像素子14aが、光学系14b及びプリズム本体13Aを介して、BGAパッケージ11の側縁の実装部分、即ち長手方向(A方向)に走査してBGAパッケージ11の一側縁の全幅に亘って各実装部分を撮像できる。
【0019】
ところで、撮像部14のリレープリズム14dは、この場合、A方向へ延びる揺動軸14gの周りに、即ちB方向(図3(A)参照)に揺動可能に支持されている。具体的には、リレープリズム14dは以下の揺動機構16によって揺動される。
【0020】
この揺動機構16は、図5に示すように、揺動軸14gに取り付けられたレバー17と、引張りバネ18と、押動ネジ19と、から構成されている。
レバー17は、揺動軸14gから上方へ延びる第一のアーム17aと、揺動軸14gから水平方向一側(図5で右方)へ延びる第二のアーム17bと、からL字型に構成されている。
【0021】
引張りバネ18は、第二のアーム17bの先端を上方へ引っ張るように、一端18aが筐体25の内壁に固定されると共に、他端18bが第二のアーム17bの先端に係止されている。
押動ネジ19は撮像部14の筐体25に螺合しており、ネジ込むことで押動ネジ19の先端部が筐体25の内壁から突出して、引張りバネ18の張力に抗して第一のアーム17aを揺動軸14g周りに図5中の矢印C方向へ回動させる。一方、押動ネジ19が緩められると、引張りバネ18の張力によって第一のアーム17aの上端が押動ネジ19の先端に追従する。
【0022】
本発明の第一の実施形態に係るスコープ10は以上のように構成されており、基板11aに実装されたBGAパッケージ11の実装状態の確認を行なう場合には、以下のように操作する。
先ず、ステージ12上に基板11aをセットする。ステージ12をX−Y方向へ適宜に移動することによって、撮像部14がステージ12上に支持されたBGAパッケージ11の各側縁に対向して配置された側視用プリズム13、即ち各プリズム本体13Aの上面13Cに沿って走査する。その際、光源14fが発光することで、光源14fからの光がプリズム本体13Aの上面13Cから内部に入射し、全反射面13Bで反射してBGAパッケージ11の側縁の実装部分が照射される。これにより、BGAパッケージ11の側縁の実装部分のボール11bのうち、撮像部14で撮像されるべき領域が照明される。
【0023】
この照明光によってBGAパッケージ11の側縁の実装部分のボール11bで反射した光が、再びプリズム本体13A内に入射し、その全反射面13Bで反射して上方へ進み、その上面13Cから出射した後、リレープリズム14d,14eそしてレンズ14cを介して撮像素子14aの撮像面に結像する。撮像素子14aは、その撮像面に結像した画像を取り込んで画像信号を生成し、表示部15に送出する。これにより、表示部15の画面上にはBGAパッケージ11の側縁の実装部分のボール11bが拡大表示される。よって、使用者は実装状態を容易に確認できる。
【0024】
そして、撮像部14が前述したように、側視用プリズム13、即ち各プリズム本体13Aの上面13Cに沿ってその長手方向へ移動することで、BGAパッケージ11の全側縁の実装部分の確認を行える。
ここで、従来のスコープでは、BGAパッケージ11の一つの側縁においてその全幅の複数のボールをくまなく検査するためには、スコープの位置を何度も変える作業が必要であったが、本実施形態によれば、側視用プリズム13がBGAパッケージ11の全側縁を囲繞し、撮像部14が側視用プリズム13の上面13Cに沿って移動すれば、BGAパッケージ11の全側縁に沿って設けられた全てのボールの拡大画像を得られるので、従来における煩雑な作業を解消できる。
また、走査の際に、側視用プリズム13はBGAパッケージ11に対して固定配置されているので、誤って側視用プリズム13がBGAパッケージ11に当たって、傷つけたり破壊したりするようなことはない。
【0025】
ここで、表示部15の画面に表示されたBGAパッケージ11の側縁の実装部分のボール11bを見て、その上端付近または下端付近を観察したい場合には、使用者が揺動機構16の押動ネジ19を締め込み又は緩めることで、リレープリズム14dが揺動軸14gの周りに揺動する。これにより、図3(A)に示すように、撮像部14の光軸がこのリレープリズム14dからBGAパッケージ11側で揺動されることになり、BGAパッケージ11の側縁の実装部分におけるボール11bに対する光軸が上下に振られて、ボール11bの上端付近又は下端付近に光軸が整合される。従って、ボール11bの上端付近又は下端付近の像が良好な状態で撮像素子14aの撮像面に結像し、確実に観察され得る。
【0026】
なお、上述した電子部品の実装部分確認用のスコープ10において、側視用プリズム13は、そのBGAパッケージ11とは反対側の側面13Dが、垂直に形成されているが、図3(A)において鎖線で示すように、上方に向かって肉厚となるように傾斜して形成されていてもよい。この場合、リレープリズム14dの揺動によって、光軸が振られたとき、側視用プリズム13から出射する光軸の周りの光束がより多くリレープリズム14dに導かれるので、より明るく見易い画像が得られることになる。
【0027】
図6は本発明の第二の実施形態に係る電子部品の実装部分確認用のスコープ20の要部を示している。スコープ20は、図1に示した第一の実施形態によるスコープ10と同様の構成であり、側視用プリズム13及びリレープリズム14d,14eの代わりに、側視用ミラー21及び角度調整ミラー22,固定ミラー23を備えている点でのみ異なる構成である。
側視用ミラー21は、この場合、BGAパッケージ11の側縁に対して、その傾斜角度θが45度より大きい角度(45度+α)に選定されている。
【0028】
このような構成のスコープ20によれば、BGAパッケージ11の基板11aの実装部分であるボール11bの下側からの光が、より良好に側視用ミラー21,角度調整ミラー22及び固定ミラー23を介して撮像部14に導かれる。従って、ボール11bの下側が良好に撮像され、より確実に実装状態の確認が行なわれ得る。
【0029】
図7は本発明の第三の実施形態に係る電子部品の実装部分確認用のスコープ30の要部を示している。スコープ30は、図1に示した第一の実施形態によるスコープ10と比較して揺動機構16が省略されると共に、側視用プリズム13の下端のBGAパッケージ11側にウェッジプリズム31を備えている点でのみ異なる構成である。
【0030】
このウェッジプリズム31は、BGAパッケージ11の側縁の実装部分のボール11bのほぼ半分の高さから下側に設けられており、下方に向かって徐々に肉厚となるように形成されている。
【0031】
この構成のスコープ30によれば、側視用プリズム13の全反射面13Bの傾斜角度を、この全反射面13Bで反射される光軸がBGAパッケージ11の側縁の実装部分であるボール11bの上側に振れるように選定しておくことで、当該ボール11bの上側が良好に撮像部14に導かれると共に、下側のウェッジプリズム31を透過する光が角度Δθだけ屈折されることで、当該ボール11bの下側がウェッジプリズム31を介して良好に撮像部14に導かれる。従って、ボール11bの上側も下側も撮像部14によって良好に撮像される。
【0032】
図8は本発明の第四の実施形態に係る電子部品の実装部分確認用のスコープ40の要部を示している。スコープ40は、図1に示した第一の実施形態によるスコープ10と比較して、揺動機構16が省略されると共に、側視用プリズム13の全反射面13Bが、BGAパッケージ11側及び上面13Cに向かって(内部から見て)凸状に形成された反射面43Aとして形成されている点でのみ異なる構成である。
【0033】
この場合、全反射面43Aは、A方向(図8で紙面に垂直な方向)には同じ形状を有しており全体として凸状の円筒面を形成している。
【0034】
このような構成のスコープ40によれば、側視用プリズム13の全反射面43Aにおける反射光が、その凸状の形状に基づいて拡散するので、BGAパッケージ11の側縁の実装部分であるボール11bの上側から下側までの広い角度範囲からの光が全反射面43Aで反射して撮像部14に良好に導かれる。従って、ボール11bの上側も下側も撮像部14によって良好に撮像される。
【0035】
以上詳述したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、BGAパッケージ11の全側縁に対向するようにそれぞれ側視用プリズム13が配置されているが、これに限らず、例えばBGAパッケージ11の二つの側縁或いはただ一つの側縁に対向するように、側視用プリズム13が二つ又は一つの反射面11Bを有するように、二つの又は一つのプリズム本体13Aで構成されてもよい。
【0036】
また、図6に示した実施形態によるスコープ20においては、側視用光学部材としての側視用ミラー21がBGAパッケージ11の側縁に対して45度より大きい傾斜角度を有しているが、これに限らず、他の実施形態においても、側視用プリズム13の全反射面13Bが同様にBGAパッケージ11の側縁に対して45度より大きい傾斜角度を有していてもよい。
上記構成例では、筐体25内の反射部材であるリレープリズム14eを揺動させるようにスコープは構成されているが、撮像部14a側の筐体25自体、より具体的には筐体25、レンズ14c、撮像部14aを組み合わせて成るスコープ本体26自体を揺動させるように構成されてもよい。この場合、例えば、図1に示すステージ12に添設されて設けられた支柱12Eの上端からステージ上方側へ突出したブラケット12Fに、スコープ本体26を揺動可能に支持する軸を設ける。
また、上記説明では、側視用プリズムをステージ12でX−Y方向へ動かして、撮像部14aが相対的に側視用プリズム上を移動するように構成したが、この種のステージを利用せずに、例えば、撮像部14a及びスコープ本体26をロボットアームで支持して側視用プリズム上を移動させるように構成してもよい。
【0037】
さらに、上述した実施形態においては、電子部品としてBGAパッケージ11の側縁の実装部分としてのボール11bを観察するように構成されているが、これに限らず、他の電子部品の側縁の実装部分を観察するようにしてもよいことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による電子部品の実装部分確認用スコープの第一の実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の電子部品の実装部分確認用スコープにおける側視用プリズムの斜視図である。
【図3】(A)は図1の電子部品の実装部分確認用スコープの光学系を示す概略正面図、(B)は概略側面図である。
【図4】図1の電子部品の実装部分確認用スコープの光学系を簡略化して示す概略斜視図である。
【図5】図1の電子部品の実装部分確認用スコープの揺動機構を詳細に示す正面図である。
【図6】本発明による電子部品の実装部分確認用スコープの第二の実施形態の要部を示す拡大図である。
【図7】本発明による電子部品の実装部分確認用スコープの第三の実施形態の要部を示す拡大図である。
【図8】本発明による電子部品の実装部分確認用スコープの第四の実施形態の要部を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
10,20,30,40 電子部品の実装部分確認用スコープ
11 BGAパッケージ
11a 基板
11b ボール(実装部分)
12 ステージ
12A Xステージ
12B Yステージ
12C 第1駆動機構
12D 第2駆動機構
12E 支柱
12F ブラケット
13 側視用プリズム(側視用光学部材)
13A プリズム本体(側視用光学部材)
13B 全反射面
13C 上面
13D 側面
14 撮像部
14a 撮像素子
14b 光学系
14c レンズ
14d,14e リレープリズム
14f 光源
14g 揺動軸
15 表示部
16 揺動機構
17 レバー
17a 第一のアーム
17b 第二のアーム
18 バネ
18a 一端
18b 他端
19 押動ネジ
21 側視用ミラー(側視用光学部材)
22 角度調整ミラー
23 固定ミラー
25 筐体
31 ウェッジプリズム
43A 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された電子部品の一側縁の全幅に亘って当該側縁と対向する反射面を有する側視用光学部材と、
撮像信号を生成する撮像部と、を備えており、
上記撮像部が上記側視用光学部材の上側を移動して上記側視用光学部材を介して上記電子部品の上記基板に対する実装部分を撮像することを特徴とする、電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項2】
前記側視用光学部材が前記電子部品の二つの側縁と対向する前記反射面を有することを特徴とする、請求項1に記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項3】
前記側視用光学部材が前記電子部品の四方の各側縁と対向する前記反射面を有することを特徴とする、請求項2に記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項4】
前記側視用光学部材が、揺動軸の周りに揺動可能に支持された角度調整用の反射部材と、上記反射部材を上記揺動軸の周りに揺動させる角度調整機構と、を備え、当該反射部材を揺動させて前記実装部分の撮像領域を変えることができることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項5】
前記撮像部が揺動軸の周りに揺動可能に支持されており、当該撮像部を揺動させて前記実装部分の撮像領域を変えることができることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項6】
前記側視用光学部材が前記電子部品の側縁に対向する全反射面を備えたプリズムを備えていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項7】
前記側視用光学部材が前記電子部品の側縁に対向する全反射面を有するミラーを備えていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項8】
前記プリズムの撮像部に対向する出射面が前記角度調整用反射部材の揺動に対応して揺動方向に拡大されていることを特徴とする、請求項6に記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項9】
前記側視用光学部材と前記電子部品の対応する側縁との間にウェッジプリズムを備えていることを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。
【請求項10】
前記側視用光学部材の反射面が、前記電子部品の対応する側縁及び前記撮像部に向かって凸状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載の電子部品の実装部分確認用スコープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−122820(P2011−122820A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92495(P2008−92495)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(599059575)マイクロ・スクェア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】