説明

電子部品の放熱構造

【課題】基板に生じる歪みを低減できるとともに、基板に実装された複数の電子部品の発熱を効率的に放熱することができる電子部品の放熱構造の提供。
【解決手段】電子部品11が表面10aにハンダ付けされる基板10と、平面部21を有するケース20と、基板10の裏面10bとケース20の平面部21との間に挟みこまれ、基板10の裏面10bおよびケース20の平面部21と接触し、電子部品11で発生する熱を基板10からケース20に伝える伝熱シート30と、平面部24を有するケース23と、電子部品11の上面15とケース23の平面部24との間に挟みこまれ、電子部品11の上面15およびケース23の平面部24と接触し、電子部品11で発生する熱を基板10からケース23に伝える伝熱シート31とを備える電子部品の放熱構造であって、ケース20の平面部21及びケース23の平面部24に溝22、溝25が設けられる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品がハンダ付けされる基板や、基板を保持するケース等を構成要素として有する電子部品の放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の発達に伴って電子機器の小型化が進んでいる状況の中で、発熱量の多い電子部品を長時間使用する上で電子部品の特性の低下を防止するために発熱する電子部品からの効率的な放熱が必要となっている。その放熱構造として、例えば特許文献1で示すように、基板の一方の面に発熱電子部品がハンダ付けされ、基板の他方の面と対向して配置される放熱部材との間に伝熱シートを挟みこんだ放熱構造がある。伝熱シートは、基板の他方の面および放熱部材の平面部と接触し、発熱電子部品で発生した熱を基板から放熱部材に伝える。
【0003】
しかし、特許文献1の放熱構造では、伝熱シートが基板の他方の面および放熱部材の平面部と隙間なく圧接しているため、基板の面積が大きくなるほど、基板が伝熱シートから受ける反力が大きくなって、基板に歪みが生じる可能性がある。そして、基板に歪みが生じると、基板と発熱電子部品との接合部(ハンダ付け部)に応力が作用して、この接合部における強度の低下につながる可能性がある。
【0004】
そこで、上記問題を解決する例として、特許文献2がある。特許文献2では、表面に回路素子がハンダ付けされた基板と、基板の裏面に対向して配置されるケース(放熱部材)の平面部との間に伝熱シートを挟みこむように備え、ケースの平面部に溝が設けられた電子部品実装体がある。ケースに設けられた溝に対面する伝熱シートの部分からは基板に応力が作用しない為、基板に生じる歪みを低減できる。
【0005】
また、その他の放熱構造として例えば特許文献3で示すように、プリント配線基板の表面に実装した電子部品の上面を放熱シートで覆い、プリント配線基板の裏面に放熱板を配置し、放熱シートを放熱板またはプリント配線基板に固定した電子機器の放熱構造がある(図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−354696号公報
【特許文献2】特開2008−112839号公報
【特許文献3】特開2001−257490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2の電子部品実装体では、発熱する電子部品を多数実装した基板をケースに数箇所でねじ締めして固定する場合、基板に歪みが生じてねじを締める場所からの距離によっては基板の裏面と伝熱シートの密着性にばらつきが生じる可能性がある。このため、期待通りの放熱性能が確保できない可能性がある。
【0008】
また、特許文献3の放熱構造では、複数の電子部品を放熱シートで覆う場合、放熱シートの歪みによって電子部品と放熱シートの密着性にばらつきが生ずる。このため、特に放熱シートが固定されている場所から離れた位置に実装された電子部品の放熱性能が確保できないことがある。また、放熱板がプリント配線基板の裏面と隙間なく圧接するため、基板の面積が大きくなるほど、基板が放熱板から受ける反力が大きくなる。このため、基板に歪みが生じ、基板と電子部品との接合部に作用する応力によって接合部の強度が低下し、接合部の剥がれが発生する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであって、基板に実装された電子部品の発熱を効率的に放熱することができる放熱構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の課題解決手段は、電子部品が少なくとも一方の面にハンダ付けされる基板と、平面部を有する第一の放熱部材と、平面部を有し、前記基板あるいは前記第一の放熱部材に固定される第二の放熱部材と、前記基板の他方の面と前記第一の放熱部材の平面部との間に挟みこまれ、前記基板の他方の面および前記第一の放熱部材の平面部と接触し、前記電子部品で発生する熱を前記基板から前記第一の放熱部材に伝える第一の伝熱シートと、前記電子部品と前記第二の放熱部材の平面部との間に挟みこまれ、前記電子部品および前記第二の放熱部材の平面部と接触し、前記電子部品で発生する熱を前記第二の放熱部材に伝える第二の伝熱シートと、を備える電子部品の放熱構造であって、前記第一の放熱部材の平面部に第一の溝が設けられるものである。
【0011】
また、本発明の第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、前記電子部品が前記基板上に複数設けられ、前記第一の溝が前記電子部品間に設けられるものである。
【0012】
また、本発明の第3の課題解決手段は、第2の課題解決手段において、前記第二の放熱部材の前記平面部に第二の溝が前記電子部品間に設けられるものである。
【0013】
また、本発明の第4の課題解決手段は、第3の課題解決手段において、前記第一の伝熱シートが前記第一の溝と重なる位置において、前記基板の他方の面と対向する前記第一の伝熱シートの面の少なくとも一部が前記基板と接触せず、前記第一の伝熱シートが前記第一の溝の内側の空間に入り込む部分を有するものである。
【0014】
また、本発明の第5の課題解決手段は、第3の課題解決手段又は第4の課題解決手段の解決手段において、前記第二の伝熱シートが前記第二の溝と重なる位置において、前記基板の一方の面と対向する前記第二の伝熱シートの面の少なくとも一部が前記基板と接触せず、前記第二の伝熱シートが前記第二の溝の内側の空間に入り込む部分を有するかあるいは、前記第二の伝熱シートが前記電子部品間の空間と重なる位置において、前記第二の放熱部材の平面部と対向する前記第二の伝熱シートの面の少なくとも一部が前記第二の放熱部材と接触せず、前記第二の伝熱シートが前記電子部品間の空間に入り込む部分を有するものである。
【0015】
また、本発明の第6の課題解決手段は、第1の課題解決手段乃至第5の課題解決手段のいずれか一の解決手段において、前記第一の溝がV字形の断面形状を有するものである。
【0016】
また、本発明の第7の課題解決手段は、第3の課題解決手段乃至第6の課題解決手段のいずれか一の解決手段において、前記第二の溝がV字形の断面形状を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の解決手段によれば、電子部品と電子部品が実装される基板を第一および第二の伝熱シートを介して両側から挟み込むようにして第一および第二の放熱部材が固定される。このため、第一の伝熱シートと基板との密着性と、第二の伝熱シートと電子部品との密着性を均等に確保することができる。これにより、第一および第二の放熱部材のそれぞれに効率的に熱を伝達することができ、電子部品の発熱による特性劣化を低減することができる。
【0018】
また、第一の放熱部材の平面部に第一の溝を設けることにより、電子部品の発熱を放熱する際あるいは基板と第一および第二の放熱部材とでねじ等によって固定する際に生じる第一の伝熱シートの応力を第一の溝部分で逃がすことができ、基板へ加わる応力を低減できる。このため、電子部品と基板との接合部の強度を確保することができる。
【0019】
本発明の第2の解決手段によれば、複数の電子部品が基板上に設けられた際に、第一の溝を電子部品間に設けることにより、第一の放熱部材のうち電子部品の下方部分には第一の溝が設けられないので、電子部品からの第一の放熱部材への熱の伝達が妨げられることはない。
【0020】
本発明の第3の解決手段によれば、第二の放熱部材の平面部に第二の溝を設けることにより、第二の伝熱シートの応力を電子部品の周囲の空間以外に第二の溝部分にも逃がすことができ、基板へ加わる応力をより効果的に低減できる。
【0021】
本発明の第4の解決手段によれば、第一の伝熱シートが基板と接触しない部分を有することにより、第一の伝熱シートに加わる応力をこの部分で吸収することができ、基板へ加わる応力を低減できる。
【0022】
本発明の第5の解決手段によれば、第二の伝熱シートが基板あるいは第二の放熱部材と接触しない部分を有することにより、第二の伝熱シートに加わる応力をこの部分で吸収することができ、電子部品へ加わる応力を低減できる。
【0023】
本発明の第6および第7の解決手段によれば、溝の幅と深さが同じという条件下では、溝の断面積がより小さくてすみ、放熱部材の強度がより確保されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電子部品の放熱構造の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る電子部品の放熱構造の断面図である。
【図3】溝22、25の他の実施形態を示す図である。
【図4】(a)は従来の電子機器の放熱構造を示す斜視図、(b)は(a)の構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は本発明に係る電子部品の放熱構造の分解斜視図である。図1において電子部品の放熱構造は、複数の電子部品11と、基板10と、2つのケース(第一の放熱部材20、第二の放熱部材23)と、2つの伝熱シート(第一の伝熱シート30、第二の伝熱シート31)からなる。基板10は、回路を構成するための複数の電子部品11(FET、トランジスタ等の発熱部品)が表面10aにハンダ付けによって接合されている。ケース20(第一の放熱部材)は、熱伝導性の高い金属等で形成され、基板10を設置するための平面部21を有する。なお、本実施形態では、平面部21には溝22(第一の溝)が格子状に設けられているが、基板10に実装される電子部品11の形状や配置によっては、一方向のみに形成される溝も適用でき、基板10が伝熱シート30からの反発力を受ける接触面積を低減できれば良い。伝熱シート30は、密着性が良く、熱伝導性が高く、かつ弾性の高い材料で形成される。伝熱シート30として、例えば、シリコンゴムで形成されるシート(シリコンシート)を適用できる。伝熱シート30は、基板10の裏面10bとケース20の平面部21との間に挟まれるようにして配設される。ケース23(第二の放熱部材)は、ケース20と同様に熱伝導性の高い金属等で形成され、電子部品11上に設置するための平面部24を有する。なお、本実施形態では、平面部24には溝25(第二の溝)が格子状に設けられているが、電子部品11の形状や配置によっては、一方向のみに形成される溝も適用できる。伝熱シート31は、伝熱シート30と同様に、密着性が良く、熱伝導性が高く、かつ弾性の高い材料で形成される。伝熱シート31は、基板10の表面10aに実装された電子部品11とケース23の平面部24との間に挟まれるようにして配設される。
【0027】
図2は本発明に係る電子部品の放熱構造の断面図である。基板10は、ガラスエポキシ等の絶縁材料で形成され、その表面10aおよび裏面10bには銅箔から成るパターン12、パターン13がそれぞれ設けられている。スルーホール14は、基板10の厚み方向(図2示上下方向)に関してパターン12、基板10およびパターン13を貫通している。スルーホール14の内周面には銅等の導電性の良い材料でメッキが施され、パターン12とパターン13はスルーホール14を介して電気的に接続されている。電子部品11は、その電極あるいはパッケージングの表面がメタライズ加工された表面実装型のもので、パターン12の所定の位置にハンダ付けされる。電子部品11が発生する熱は、基板10の表面10aのパターン12からスルーホール14を介して裏面10bのパターン13に伝わる。基板10は、伝熱シート30を介してケース20の平面部21に設置され、電子部品11上に伝熱シート31を介して設置されたケース23とともにねじ16を用いてケース20に固定される。
【0028】
伝熱シート30は、基板10の裏面10b(パターン13)とケース20の平面部21との間に挟みこまれ、基板10の裏面10bおよびケース20の平面部21と接触(圧接)している。而して、電子部品11が発生する熱は、基板10のパターン12からスルーホール14、パターン13、伝熱シート30、ケース20の平面部21へと効率的に伝わり、放熱部材であるケース20から外部に放出される。また、伝熱シート31は、基板10の表面10aに実装された電子部品11の上面15とケース23の平面部24との間に挟みこまれ、電子部品11の上面15およびケース23の平面部24と接触(圧接)している。而して、電子部品11が発生する熱は、伝熱シート31からケース23の平面部24へと効率的に伝わり、放熱部材であるケース23から外部に放出される。
【0029】
なお、本実施形態では、複数の電子部品11は、基板10の表面10aから電子部品11の上面15までの高さが同じであるが、パッケージの高さが異なる電子部品を基板10に実装する場合においては、ケース23の平面部24の高さをそれぞれ実装される電子部品の高さに合わせた形状にすることにより、全ての電子部品11の上面15と伝熱シート31との密着性を均等に確保することができる。また、他の方法として、伝熱シート31の厚さをそれぞれの高さの異なる電子部品11に合わせて変更する、例えば、一つの電子部品11の上面15と接触する伝熱シート31の範囲に、別体の伝熱シートを張り合わせることにより、全ての電子部品11の上面15と伝熱シート31との密着性を均等に確保することができる。なお、電子部品11は、複数ではなく一つが基板10に実装されている場合、あるいは基板10の両面に実装されている場合においても本発明の放熱構造を適用することができることは明らかである。
【0030】
ケース20の平面部21およびケース23の平面部24には、それぞれ溝22,25が設けられている。溝22,25は、基板10の厚み方向に関して凹状に形成され、その断面形状は矩形をなしている。なお、溝22,25は、基板10の厚み方向に関して凹状に形成されればよく、例えば、断面形状がV字形(図3参照)や半円形のものでもよい。溝22,25の断面形状が矩形に対してV字形だと、溝22,25の幅と深さが同じという条件下では、溝22,25の断面積がより小さくてすみ、ケース20の平面部21およびケース23の平面部24の強度がより確保されやすい。更に、ケース20,23の断面積が増えることにより、伝熱シート30,31から伝わる熱の外部への放熱性能が向上する。
【0031】
溝22は、基板10(パターン13)からケース20の平面部21に熱が伝わるのを妨げないように、平面部21のうち、基板10上の電子部品11の近傍で、パターン13の下方部分以外の部分に形成されている。つまり、溝22が電子部品11間に配置され、ケース20の平面部21のうちで電子部品11の下方部分には溝22が設けられない。したがって、電子部品11からケース20(平面部21)への熱の伝達が妨げられることはない。同様に、溝25は、電子部品11の上面15からケース23の平面部24に熱が伝わるのを妨げないように、平面部24のうち、電子部品11の近傍で上面15の上方部分以外の部分に形成されている。つまり、溝25が電子部品11間に配置され、ケース23の平面部24のうちで電子部品11の上方部分には溝25が設けられない。したがって、電子部品11からケース23(平面部24)への熱の伝達が妨げられることはない。
【0032】
また、伝熱シート30には溝22と重なる位置において、基板10の裏面10bと対向する伝熱シート30の面の少なくとも一部が裏面10bと接触せず、溝22の内側の空間に入り込む部分としての弛み形状部32が設けられている。この弛み形状部32を設けることによって、基板10あるいはケース20の熱による膨張、収縮時や、基板10とケース20,23をねじ固定する際に発生する伝熱シート30へ加わる応力を弛み形状部32が吸収することができる。同様に、伝熱シート31には溝25と重なる位置において、基板10の表面10aと対向する伝熱シート31の面の少なくとも一部が基板10と接触せず、伝熱シート31が溝25の内側の空間に入り込む部分としての弛み形状部33が設けられている。もしくは、伝熱シート31には電子部品11間の空間と重なる位置において、ケース23の平面部と対向する伝熱シート31の面の少なくとも一部がケース23と接触せず、電子部品11間の空間に入り込む部分としての弛み形状部33が設けられていてもよい。この弛み形状部33は、弛み形状部32と同様に伝熱シート31へ加わる応力を吸収することができる。
【0033】
以上説明した様に、本発明に係る電子部品の放熱構造によれば、ケース20における伝熱シート30と接触する平面部21に溝22が設けられるので、伝熱シート30のうちで溝22に面する部分には応力が作用しない。このため、ケース20の平面部21に溝22がない場合と比べて、伝熱シート30が基板10の裏面10bと圧接する接触面積が減り、基板10の裏面10bが伝熱シート30から受ける反力が小さくなる。加えて、伝熱シート30には溝22の内側の空間に入り込む部分としての弛み形状部32が設けられるので、伝熱シート30へ加わる応力を弛み形状部32が吸収することができる。これにより、ケース20を基板10にねじ16で固定する際あるいは、電子部品11の発熱を放熱する際に、基板10に生じる歪みを低減することができ、基板10の表面10aに複数の電子部品11を接合しているハンダが割れることや、パターン12(13)が基板10から剥がれることを抑えることができる。
【0034】
さらに、ケース23における伝熱シート31と接触する平面部24に溝25が設けられるので、伝熱シート31のうちで溝25に面する部分には応力が作用しない。このため、ケース23の平面部24に溝25がない場合と比べて、電子部品11の上面15が伝熱シート31から受ける反力が小さくなる。加えて、伝熱シート31には溝25の内側の空間に入り込む部分としての弛み形状部33が設けられるので、伝熱シート31へ加わる応力を弛み形状部33が吸収することができる。これにより、ケース23を基板10にねじ16で固定する際に、電子部品11が受ける応力を低減することができ、電子部品11が割れることや、電子部品11と基板10のパターン12をハンダ付けによって接合しているハンダが割れること、あるいはパターン12が基板10から剥がれることを抑えることができる。なお、伝熱シート31の応力は、電子部品11の周囲の空間に逃がすこともできる。
【0035】
また、電子部品11が発生する熱は、基板10のパターン13から伝熱シート30、ケース20(第一の放熱部材)へ伝達するルートと、電子部品11の上面15から伝熱シート31、ケース23(第二の放熱部材)へ伝達するルートの2つのルートから外部へ放出される。加えて、電子部品11および電子部品11を実装した基板を両側から挟みこむようにして伝熱シート30,31を介してケース20,23が固定されるため、上記2つのルートの各構成間の密着性が確保される。このため、電子部品11の発熱によって回路に蓄積される熱を効率的に外部へ放出することができ、電子部品あるいは回路の特性劣化を低減することができる。
【0036】
また、基板10が伝熱シート30,31から受ける反力を低減するにあたって、例えば、電子部品11の放熱に応じた一枚の伝熱シート30をケース20の平面部21と基板10との間に挟みこみ、一枚の伝熱シート31をケース23の平面部24と電子部品11の上面15との間に挟みこめばよい。この場合、伝熱シート30,31をねじ締め等で固定することなく、容易に配置することができ、伝熱シート30,31の組み付け性も確保される。
【符号の説明】
【0037】
10 基板
10a 表面(一方の面)
10b 裏面(他方の面)
11 電子部品
20 ケース(第一の放熱部材)
23 ケース(第二の放熱部材)
21,24 平面部
22 溝(第一の溝)
25 溝(第二の溝)
30 伝熱シート(第一の伝熱シート)
31 伝熱シート(第二の伝熱シート)
32,33 弛み形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が少なくとも一方の面にハンダ付けされる基板と、
平面部を有する第一の放熱部材と、
平面部を有し、前記基板あるいは前記第一の放熱部材に固定される第二の放熱部材と、
前記基板の他方の面と前記第一の放熱部材の平面部との間に挟みこまれ、前記基板の他方の面および前記第一の放熱部材の平面部と接触し、前記電子部品で発生する熱を前記基板から前記第一の放熱部材に伝える第一の伝熱シートと、
前記電子部品と前記第二の放熱部材の平面部との間に挟みこまれ、前記電子部品および前記第二の放熱部材の平面部と接触し、前記電子部品で発生する熱を前記第二の放熱部材に伝える第二の伝熱シートと、
を備える電子部品の放熱構造であって、
前記第一の放熱部材の平面部に第一の溝が設けられることを特徴とする電子部品の放熱構造。
【請求項2】
前記電子部品が前記基板上に複数設けられ、前記第一の溝が前記電子部品間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項3】
前記第二の放熱部材の前記平面部に第二の溝が前記電子部品間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項4】
前記第一の伝熱シートが前記第一の溝と重なる位置において、前記基板の他方の面と対向する前記第一の伝熱シートの面の少なくとも一部が前記基板と接触せず、前記第一の伝熱シートが前記第一の溝の内側の空間に入り込む部分を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項5】
前記第二の伝熱シートが前記第二の溝と重なる位置において、前記基板の一方の面と対向する前記第二の伝熱シートの面の少なくとも一部が前記基板と接触せず、前記第二の伝熱シートが前記第二の溝の内側の空間に入り込む部分を有するかあるいは、前記第二の伝熱シートが前記電子部品間の空間と重なる位置において、前記第二の放熱部材の平面部と対向する前記第二の伝熱シートの面の少なくとも一部が前記第二の放熱部材と接触せず、前記第二の伝熱シートが前記電子部品間の空間に入り込む部分を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項6】
前記第一の溝がV字形の断面形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の電子部品の放熱構造。
【請求項7】
前記第二の溝がV字形の断面形状を有することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一に記載の電子部品の放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−79811(P2012−79811A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221648(P2010−221648)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】