説明

電子部品の試験用コネクタ

【課題】 電子部品から平行に延びるフレキシブルな薄板電極にワンタッチで確実に接続できる試験用コネクタを提供する。
【解決手段】
上段挟持板10はプラスチック製の細長い板であり、その下面に、左右の接触端子12が間隔を設けて取り付けてある。下段挟持板11は細長いプリント基板でできており、その上面に形成される金属箔部分13が左右の接触端子を形成している。上段挟持板は10両端の近くから下に向かって支柱17が延びており、これら支柱は下段挟持板11を貫き、プラスチックの細長い基台19に固定されている。他方、下段挟持板11から上段挟持板10を貫いて3本の上段支柱17が上に伸びており、これら上段支柱の上に細長い押圧部材20が支持されている。押圧部材と上段挟持板の間には支柱に沿う格好でコイルスプリング21が縮設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気二重層キャパシタ等の電子部品の試験用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電気二重層キャパシタが蓄電手段としてに注目されているが、その電気二重層キャパシタは、円筒形のものもあるが、扁平形(角形)およびラミネート形など独特の形状を持っている。偏平形(角形)は、電極板とセパレータを交互に重ね合わせ、偏平形(角形)のアルミケースに収納して密封したものである。ラミネート形は積層数を少なくして、アルミラミネートフィルムで密封したもので、薄型形状になっている。これら扁平形(角形)およびラミネート形キャパシタはいずれもその一辺から、一対のフレキシブルな薄板状の電極タブが間隔を存して平行に突出している。
【0003】
このような薄型形状の電極タブを持つものでは、充放電等の性能試験を行う場合、従来、電極タブをワニ口クリップで咥えて試験装置に接続していた。しかしこの方法は、電極タブの間隔の大小に拘わらずテストができて便利であるが、クリップが外れやすく、また、電極タブの表面が傷ついたり、折れ曲がってしまうなどの問題があった。
【0004】
また、電極タブを、開閉自在な一対の顎の間に咥えるようにしたものもあるが、装置が大きく、操作性もよくなかった。
【特許文献1】特開2002-343318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、電気二重層キャパシタ式の電池など電子部品の薄板状の電極タブを、簡単な操作でしっかりと咥えることができる試験用コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の試験用コネクタは、電子部品から延びる薄板状の電極タブを挟み込むのための上下2枚の挟持板と、これら上下の挟持板の少なくとも一方に設けられ、挟持板に咥えられた状態の電極タブと電気的に接触する左右の接触端子と、上段挟持板から下段挟持板を貫いて下方に延びる複数本の下段支柱と、下段挟持板から上段挟持板を貫いて上方に延びる複数本の上段支柱と、これら上段支柱の上に支持された押圧部材と、上段支柱に沿う格好で押圧部材と上段挟持板の間に縮設されたスプリングからなる。
【0007】
このものでは押圧部材を押し下げると、上段支柱を介して下段挟持板が下降し、下段挟持板と上段挟持板との間が拡大する。その間隙に電子部品の電極タブを挿入する。押圧部材に力を抜くと、スプリングの反発力によって下段挟持板が引き上げられ、電極タブは、挟持板に取り付けられた左右の接触端子にしっかりと接触させることができる。このように、このものでは押圧部材を押し下げるだけの簡単な操作で、電極タブをしっかり咥えることができ、構造もきわめてシンプルである。
【0008】
なお、複数本の上段支柱のうちの1本は、左右の接触端子の間に立つよう配置することが好ましい。こうすれば、電極タブの正負両極を対応する正負の接触端子に正しく振り分け、短絡を防ぐことができる。
【0009】
左右接触端子は、それぞれ電流供給端子と電圧測定端子とで構成されていることが好ましい。こうすれば、大きい電流が流れている場合でも、電圧降下の影響を受けずに電子部品の端子電圧を正確に計測することができる効果がある。
【0010】
電流端子と電圧端子は、一方を上側の挟持板に、他方を下側の挟持板に配置してもよいが、両端子とも片方の挟持板に前後に並べて配置してもよい。後者の場合、挟持板をプリント基板で構成し、電流・電圧端子を、エッチング処理によって基板上に金属薄膜として形成するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1において、符号1は電池としてのラミネート型の電気二重層キャパシタであり、その一辺からフレキシブルな薄板状の一対の電極タブ2が並行に延びている。これら電極タブを挟みつけるのが、上段および下段挟持板10,11である。上段挟持板10はプラスチック製の細長い板であり、その下面に、表面をギザギザに形成した金属片からなる左右一対の接触端子12が間隔を設けて取り付けてある。これら接触端子と電気的に接続する端子台14が同挟持板の上側にあって、これに電線15が接続される。下段挟持板11は細長いプリント基板でできており、その上面に形成される金属箔部分が左右一対の接触端子13を形成している。符号16はプリント基板上の接触端子13に繋がる電線である。
【0012】
前記の上段挟持板10は両端の近くから下に向かって支柱18が延びており、これら支柱は下段挟持板11を貫き、プラスチックの細長い基台19に固定されている。
【0013】
他方、下段挟持板11から上段挟持板12を貫いて3本の上段支柱17が上に伸びており、これら上段支柱の上に細長い押圧部材20が支持されている。押圧部材20と上段挟持板10の間には支柱17に沿う格好でコイルスプリング21が縮設されている。
【0014】
このコネクタに電気二重層キャパシタ1を接続するには、押圧部材20の上に手をあてがい、図2に鎖線で示すように、押圧部材20をスプリング21の反発力に抗して押し下げるようにする。すると、図2に鎖線で示すように、上下の挟持板10,11の間が開くので、その間に一対の電極タブ2を挿入する(図3(1)も参照)。こうして押圧部材20から手を離すと、スプリング21が拡張して、下段の挟持板11が上段挟持板10に引き寄せられ、電極タブ2は、それぞれの挟持板に設けられている接触端子12,13でしっかり咥えられる(図3(2)参照)。なお、両方の電極タブが同一の接触端子で咥えられて短絡状態になるのを防止するため、一対の電極タブ2は、必ず、それらの間に中央の柱17が入り込むように挿入するようにする。こうすれば、両方の電極タブ2の各々が、対応する接触端子に振り分けられ、ショートを防ぐことができる。
【0015】
この状態で充放電のテストを行う。このとき、上段挟持板10の取り付けてある金属片接触端子12を電流供給用端子として用い、下段挟持板11(プリント基板)上の接触端子13を電圧測定端子として用いる。
【0016】
上記の実施例では、電流端子と電圧端子を上下の挟持板に振り分けて配置したが、次の実施例は、電流および電圧の両端子を下段の挟持板にまとめて配置したものである。
【0017】
すなわち図4に示すように、下段挟持板11aに、前後に平行に並んだ細長い2つの接触端子12a、13aを形成する。下段挟持板11aはプリント基板で構成し、接触端子12a、13aは、エッチング処理によってその上面に金属薄膜の形で形成する。左右あわせて4つの接触端子は線状の薄膜部22でターミナル部23まで導かれ、ここに外部電線16が接続される。なお、上段挟持板10には接触端子を設けない。
【0018】
使用するときは、前後の接触端子12a、13aに跨るようにキャパシタ1の電極タブ2を置いて、前述実施例の場合と同様に上段挟持板10で上から挟みつける。すると各電極タブ2は前後の端子12a、13aと電気的に接触する。これら前後の接触端子12a、13aのうち、片方から電流を供給し、他方で電圧を測定することにより、前記実施例の場合と同じように、接触抵抗の影響を受けずに正確な測定ができる。このものでは、電流および電圧端子をプリント基板上に金属薄膜として形成するので、部品点数が少なく、構造が極めてシンプルになるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電子部品の試験用コネクタの斜視図であり、上段挟持板を一部破断して示す。
【図2】同じく正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】他の実施例を示す下段挟持板の平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 キャパシタ
2 電極タブ
10,11,11a 挟持板
12,13,12a,13a 接触端子
17,18 支柱
20 押圧部材
21 コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品から延びる薄板状の電極タブを挟み込むのための上下2枚の挟持板と、これら上下の挟持板の少なくとも一方に設けられた、該挟持板に挟み込まれた状態の該電極タブと電気的に接触する左右の接触端子と、該上段挟持板から該下段挟持板を貫いて下方に延びる複数本の下段支柱と、該下段挟持板から該上段挟持板を貫いて上方に延びる複数本の上段支柱と、これら上段支柱の上に支持された押圧部材と、該上段支柱に沿う格好で該押圧部材と上段挟持板の間に縮設されたスプリングからなる電子部品試験用コネクタ。
【請求項2】
複数本の該上段支柱のうちの1本が、左右の該接触端子を隔てるようにそれらの間に立っている請求項1に記載の電子部品試験用コネクタ。
【請求項3】
該左右接触端子の各々が電流端子と電圧端子から構成されている請求項1に記載の電子部品試験用コネクタ。
【請求項4】
該電流端子と該電圧端子のいずれか一方が該上段挟持板に、他方が該下段挟持板に配置されている請求項3に記載の電子部品試験用コネクタ。
【請求項5】
該電流端子と該電圧端子が、該上下挟持板のいずれか一方に前後に並べて配置されている請求項3の電子部品試験用コネクタ。
【請求項6】
該挟持板がプリント基板で構成され、該電流端子と該電圧端子が該プリント基板上にエッチング処理によって形成された金属箔で形成されている請求項5に記載の電子部品試験用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−300193(P2009−300193A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153641(P2008−153641)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(391048186)アスカ電子株式会社 (5)
【Fターム(参考)】