説明

電子部品一体シートの製造方法、カードの製造方法、電子部品一体シート

【課題】カード表面の段差を抑制できる電子部品一体シートの製造方法、カードの製造方法、電子部品一体シートを提供する。
【解決手段】電子モジュール一体シート30の製造方法は、上シート裏面31bに対して、電子モジュール10を接着シート20によって保持する電子モジュール保持工程♯1と、下シート表面32aを、上シート裏面31bとの間に電子モジュール10を配置するように、上シート裏面31bに対向配置する面配置工程♯2と、上シート裏面31b及び下シート表面32aの間に樹脂35を充填し、電子モジュール10を樹脂で封入し、電子モジュール10と接着シート20と樹脂35とを一体にする樹脂充填工程♯3と、上シート裏面31b及び下シート表面32aを、一体にした電子モジュール10と接着シート20と樹脂35とから離間させる面離間工程♯4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの製造過程で製造される電子部品一体シートの製造方法、カードの製造方法、電子部品一体シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICモジュール等の電子モジュールを内蔵したカードがあった(例えば特許文献1)。従来のカードは、基材を切削して孔部を設けて、電子モジュールを収容して、この孔部を接着材によって封止している。
しかし、従来のカードは、接着材が固着する場合に収縮するため、カード表面のうち孔部に対応する部分が窪んでしまう。このため、カード表面に段差が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−192568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、カード表面の段差を抑制できる電子部品一体シートの製造方法、カードの製造方法、電子部品一体シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
第1の発明は、カードを製造する工程で製造される電子部品一体シートの製造方法あって、製造するカードの表面よりも大きな面積を有する第1面(31b)に対して、電子部品(10)を保持シート(20,220)によって保持する電子部品保持工程(♯1)と、製造するカードの表面よりも大きな面積を有する第2面(32a)を、前記第1面との間に前記電子部品を配置するように、前記第1面に対向配置する面配置工程(♯2)と、前記第1面及び前記第2面の間に樹脂(35)を充填し、前記電子部品を前記樹脂で封入し、前記電子部品と前記保持シートと前記樹脂とを一体にする樹脂充填工程(♯3)と、前記第1面及び前記第2面を、一体にした前記電子部品と前記保持シートと前記樹脂とから離間させて、電子部品一体シートを作製する面離間工程(♯4)とを備えること、を特徴とする電子部品一体シートの製造方法である。
第2の発明は、第1の発明の電子部品一体シートの製造方法において、前記面配置工程(♯2)は、前記第1面(31b)及び前記第2面間(32a)に堤部(33)を配置し、前記第1面及び前記第2面間を前記堤部に当接させて隙間(33a)を形成し、前記樹脂充填工程は、前記堤部によって形成された前記第1面及び前記第2面間の隙間に前記樹脂(35)を充填すること、を特徴とする電子部品一体シートの製造方法である。
第3の発明は、第1又は第2の発明の電子部品一体シートの製造方法において、この電子部品一体シート(30)を、製造するカードの外形(40c)よりも大きな形状に切断するシート切断工程(♯5)を備えること、を特徴とする電子部品一体シートの製造方法である。
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明の電子部品一体シートの製造方法において、前記電子部品保持工程(♯1)は、複数の前記電子部品(10)を、前記第1面(31b)及び前記第2面間(32a)に配置すること、を特徴とする電子部品一体シートの製造方法である。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明の電子部品一体シートの製造方法において、前記電子部品(10)は、表示部(12)を備え、前記電子部品保持工程(♯1)は、前記表示部が規定位置に配置されるように、前記電子部品を保持すること、を特徴とする電子部品一体シートの製造方法である。
【0007】
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の電子部品一体シートを用いたカードの製造方法であって、表シート(41)及び裏シート(42)を、前記電子部品一体シート(30)の表面及び裏面に積層及び接着して積層体(45)を作製する表裏シート積層工程(♯10)と、前記積層体をカード外形(40c)に切断するカード外形切断工程(♯11)とを備えること、を特徴とするカードの製造方法である。
第7の発明は、第6の発明の電子部品一体シートを用いたカードの製造方法であって、前記電子部品(10)は、表示部(12)を備え、前記表シート(41)は、窓部(41a)を備え、前記表裏シート積層工程(♯10)は、面方向において前記窓部と前記表示部との位置が一致するように配置すること、を特徴とするカードの製造方法である。
【0008】
第8の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の製造方法によって製造した電子部品一体シートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、電子部品と保持シートと樹脂とを一体にした電子部品一体シートを作製するので、この電子部品一体シートに表裏シートを積層すれば、容易にカードを製造できる。また、樹脂は、硬化にともない一律の割合で収縮するので、カード表面の段差(歪み)を低減できる。
すなわち、本願とは異なり、表シート及び裏シートの間に、孔部を有する枠体を設けて、孔部内部に接着材、樹脂等を封入する形態では、カード枠体が存在する表面部分と、樹脂等が存在する表面部分との境界近傍に、樹脂等の収縮に起因して、段差が生じる可能性がある。第1の発明は、樹脂のみが残存するので、カード表面の段差を低減できる。
【0010】
第2の発明は、第1面及び第2面間を堤部に当接させて隙間を形成するので、第1面及び第2面間の間隔を一定に維持できる。また、その隙間に樹脂を充填するので、堤部よりも外側に樹脂が流出することがなく、樹脂に充填圧がかかり、樹脂内部に気泡等が発生することを抑制できる。
第3の発明は、電子部品一体シートをカード外形よりも大きな形状に切断するので、カード製造工程で、電子部品一体シートをカード外形に切断すればよい。このため、表裏シート等と電子部品一体シートとの積層時において、位置決め精度が低くてもよいので、作業性を向上できる。
第4の発明は、電子部品が、第1面及び第2面間に複数配置されるので、多面取りできるため、生産効率を向上できる。
第5の発明は、電子部品が表示部を備え、電子部品保持工程では、表示部を規定位置に配置するので、この電子部品一体シートをカードの表シートに位置決めして積層することにより、表示部と表シートの窓部との位置を一致させることができる。
【0011】
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの電子部品一体シートを用いたカードの製造方法であり、表シート及び裏シートを、電子部品一体シートに積層及び接着して積層体を作製して、カード外形に切断するので、上記第1、第3の発明と同様な効果を奏する。
第7の発明は、表裏シート積層工程において、表シートの窓部と表示部との位置が一致させて積層体を作製するので、表裏シート積層工程における調整で、表示部と表シートの窓部との位置を一致させることができる。
【0012】
第8の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の製造方法によって製造した電子部品一体シートであるので、上記第1から第5までの発明と同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の電子モジュール10の三面図である。
【図2】第1実施形態の電子モジュール一体シート30(電子部品一体シート)の三面図である。
【図3】第1実施形態の電子モジュール一体シート30の製造工程を説明する図である。
【図4】第1実施形態の電子モジュール一体シート30の製造工程を説明する図である。
【図5】第1実施形態の電子モジュール一体シート30の製造工程を説明する図である。
【図6】第1実施形態の電子モジュール一体シート30の製造工程を説明する図である。
【図7】第1実施形態の電子モジュール一体シート30を利用したカード40の製造工程を説明する図である。
【図8】第1実施形態の電子モジュール一体シート30を利用したカード40の製造工程を説明する図である。
【図9】第2実施形態の電子モジュール一体シートの製造工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の電子モジュール10の三面図である。
実施形態では、表示部12の表示面の法線方向を鉛直方向Zにして、電子モジュール10等を見た図を、平面図という。また、平面図において、表示部12の表示が正位置になるように電子モジュール10等を見たときの左右方向をX、縦方向をYという。なお、各図面において、鉛直方向Z(厚み方向)等の構成等は、構成を明確に図示するために、適宜大きさを誇張する。
【0015】
電子モジュール10は、カード40(図8参照)に内蔵される部品である。このカード40は、クレジットカード等である。電子モジュール10は、カード40使用毎に認証パスワード(いわゆるワンタイムパスワード)を生成する機能を有するが、特にこの機能には限定されない。
なお、詳細な説明は、省略するが、その他の構成として、接触用端子、ループアンテナ等を設けて、外部機器(カードリーダ)との間で通信してもよい。
電子モジュール10は、基板11、表示部12、ボタン13、電池14、ICチップ15等の電子部品を備え、また、接着シート20(保持シート)が接着されている。
【0016】
基板11は、リジット又はフレキシブルタイプのプリント配線基板である。
表示部12は、ワンタイムパスワードを表示する表示装置である。表示部12は、例えば電子ペーパ等である。表示部12は、基板11に実装されている。表示部12は、ケーブル12aによって、基板11に接続されている。なお、表示部12は、その厚みが厚い場合には、ケーブル12aによって、基板11に対して保持してもよい。
ボタン13は、ワンタイムパスワードを生成する場合に、利用者が操作する押しボタンである。ボタン13は、例えば、基板11に実装されたドームスイッチ等である。ボタン13は、操作情報をICチップ15に出力する。
【0017】
電池14は、電子モジュール10の表示部12、ICチップ15等に電力を供給する部材である。電池14は、接続端子14aによって、基板11に接続及び固定されている。
ICチップ15は、電子モジュール10を制御する制御装置である。ICチップ15は、基板11に実装されている。ICチップ15は、電池14や外部機器から電力を供給されて駆動する。ICチップは、電子モジュール10の処理を制御する制御プログラム等を記憶した記憶装置(図示せず)を備える。
【0018】
電子モジュール10の動作を説明する。
利用者によってボタン13が操作されると、ICチップ15は、ボタン13の出力に基づいて、ワンタイムパスワードを生成する。ICチップ15は、表示部12を駆動して、このワンタイムパスワートを表示する。そして、外部機器との間で通信を行って、ワンタイムパスワードを利用した処理を行う。
【0019】
接着シート20は、PET等のシート材の片面に接着材が塗布されたテープである。接着シート20の一端には、基板11及び電池14の両方の縁部が接着されている。
接着シート20の左右方向Xの長さは、電子モジュール10と等しい。また、接着シート20は、基板11の外形の目印線(図示せず)が印刷されている。
このため、接着シート20を電子モジュール10に接着する工程(保持シート電子部品取り付け工程)では、作業者は、左右方向Xにおいて、接着シート20及び電子モジュール10の左右方向Xの端部を揃え、かつ、縦方向Yにおいて、目印線を基板11の端部に合わせるようにすればよい。これにより、接着シート20及び電子モジュール10間の位置決めがされる。
【0020】
なお、接着シート20及び電子モジュール10間の位置決めは、これに限定されず、いずれの方法を用いてもよい。例えば、基板11に目印線を設け、作業者が、接着シート20端部をこの目印に合わせるように、接着シート20を接着してもよい。
また、左右方向Xにおいても、目印線を、接着シート20又は基板11に設ければ、接着シート20及び電子モジュール10を位置合わせして接着できる。
【0021】
図2は、第1実施形態の電子モジュール一体シート30(図6(b)参照)の三面図である。
電子モジュール一体シート30(電子部品一体シート)は、カード40を製造する過程で製造されるアッセンブリである。電子モジュール一体シート30は、電子モジュール10を樹脂35で封入したものである。樹脂35は、例えば、アクリル系、エポキシ系のものを利用できる。
【0022】
電子モジュール一体シート30の製造工程について説明する。
図3〜図6は、第1実施形態の電子モジュール一体シート30の製造工程を説明する図である。
電子モジュール一体シート30は、以下の順序で製造される。
(電子モジュール保持工程♯1(電子部品保持工程))
図3に示すように、上シート31の下側Z1の上シート裏面31b(第1面)に対して、電子モジュール10を接着シート20によって保持する。上シート31は、例えば、PETシートである。後述するように、上シート31は、製造するカード表面よりも大きな面積を有する。
【0023】
なお、電子モジュール一体シート30は、生産効率向上のため、多面取りされる。このため、電子モジュール10は、左右方向Xに2つ、縦方向Yに複数配置される。
電子モジュール保持工程♯1では、表示部12が規定位置に配置されるように、電子モジュール10を保持する。電子モジュール10及び上シート31の位置決めは、例えば、上シート31に接着シート20の外形を目印線として印刷しておき、接着すればよい。なお、作業者が、この目印に合わせるように、接着シート20を接着してもよい。
【0024】
(面配置工程♯2)
図4(a)、図4(b)に示すように、下シート表面32a(第2面)を、上シート裏面31bとの間に電子モジュール10を配置するように、上シート裏面31bに対向配置する。下シート32は、上シート31と同様な部材を利用できる。後述するように、下シート32は、製造するカード表面よりも大きな面積を有する。
面配置工程♯2では、上シート裏面31b及び下シート表面32a間に、縦方向Yに2列の堤部33を配置する。堤部33は、縦方向Yに細長い直方体である。堤部33は、鉛直方向Zの高さが、製造する電子モジュール一体シート30の厚みt30(図2(c)参照)に等しい。
【0025】
なお、後述する表裏シート積層工程♯10において、電子モジュール10は、表示部12が、カード40の表シート41の窓部41aに一致するように配置される(図7(b)参照)。このため、面配置工程♯2では、電子モジュール10と、上シート31及び下シート32と位置決め精度をある程度下げることができるので、製造工程をより一層短縮することができる。
【0026】
(樹脂充填工程♯3)
図4(c)、図5(a)に示すように、樹脂充填工程♯3は、電子モジュール10を樹脂35で封入し、電子モジュール10と接着シート20と樹脂35とを一体にする工程である。樹脂充填工程♯3は、以下の順序で行われる。
・充填工程♯3a
図4(c)に示すように、上シート裏面31b及び下シート表面32a間に、樹脂35を充填する。なお、この場合、堤部33と、上シート裏面31b及び下シート表面32aとの間は、密着していてもよいし、多少の隙間があってもよい。
樹脂35は、後述する面離間工程♯4での離型のしやすさを考慮して、上シート31及び下シート32に接着しにくいものを用いるのが好適である。
【0027】
・封止工程♯3b
図5(a)に示すように、樹脂35が充填された積層体36を、加圧ローラ51,52間を通して、上シート31及び下シート32を加圧する。上シート裏面31b及び下シート表面32aは、堤部33に当接するので、形成される隙間33aの厚みは、一定に維持される。
これにより、上シート31及び下シート32は、堤部33に完全に密着し、鉛直方向Z(厚み方向)の位置決めがされる。また、隙間33a内部に樹脂35が封入され、かつ、余分な樹脂35が外部に排出される。
なお、充填された樹脂35は、堤部33によって流出が抑えられる。このため、樹脂35に対して十分な充填圧がかかり、樹脂35内部に気泡等が発生することを抑制できる。
【0028】
・樹脂硬化工程♯3c
必要な時間をかけて、樹脂35を硬化させる。なお、上シート31及び下シート32は、堤部33に当接しているので、両者の距離は、維持される。また、樹脂35は、硬化にともない一律の割合で収縮するので、その表裏には、段差(歪み)がほとんど生じない。
【0029】
(面離間工程♯4)
上シート31、下シート32、堤部33を離型して、電子モジュール10と接着シート20と樹脂35が一体となった電子モジュール一体シート30を取り出す。
【0030】
(シート切断工程♯5)
図6(a)は、面離間工程♯4の後における電子モジュール10と接着シート20と樹脂35が一体となった電子モジュール一体シート30を示す図である。
なお、図5と、図6(a)とを比較して分かるように、上シート31及び下シート32の面積は、製造するカード表面のサイズ、つまりカード外形40cの面積よりも大きい。
図6(b)に示すように、図6(a)の電子モジュール一体シート30を、製造されるカード外形40cよりも大きなシート外形30cに切断する。このとき、接着シート20のうちシート外形30cよりも大きな領域は、切断される。
切断方法は、回転刃を備える切断装置等によって切断してもよく、抜き型等によって抜加工でもよい。
以上により、電子モジュール一体シート30が個片にされる。
【0031】
次に、電子モジュール一体シート30を利用したカード40の製造工程について説明する。
図7、図8は、第1実施形態の電子モジュール一体シート30を利用したカード40の製造工程を説明する図である。
(表裏シート積層工程♯10)
図7(a)に示すように、カード40(図8(b)参照)の表面を構成する表シート41、及びカード40の裏面を構成する裏シート42を、図7(b)に示すように、個片にした電子モジュール一体シート30の表面及び裏面に積層して積層体45を作製する。
図7(b−1)に示すように、表シート41の裏面及び電子モジュール一体シート30の表面、電子モジュール一体シート30の裏面及び裏シート42の表面の接着は、図7(b−2)に示すように、接着層43,44を設けることにより行う。接着層43,44は、両面に接着材が塗布されたシート材である。そして、積層体45を、上下から板材61,62で加圧して、各層間を接着する。
【0032】
図7(a)に示すように、表シート41は、透明な材料により形成されており、光を通過する窓部41aが設けられている。カード使用時には、利用者は、窓部41aから、表示部12のワンタイムパスワードを視認できる。
なお、窓部41a以外の領域は、印刷等が施されており、カード40内部の構造が視認できないようになっている。
【0033】
図7(b)に示すように、表シート41を電子モジュール一体シート30の表面に積層する場合には、面方向(XY平面方向)において、窓部41a及び表示部12の位置合わせを行う。この位置合わせは、窓部41a及び表示部12が一致する形態であれば、いずれの手法を用いてもよい。例えば、作業者が窓部41a及び表示部12を目視によって確認しながら、一致するようにしてもよい。また、表示部12及び窓部41aの位置を光学センサ等で検出してもよい。この場合には、制御装置、プレス装置を有する装置が、光学センサ等の出力に応じて、表シート41の位置を制御しながら、表シート41を積層すればよい。
【0034】
このように、本実施形態では、表裏シート積層工程♯10で、最終的に、窓部41aと表示部12との位置決めを行う。このため、表裏シート積層工程♯10よりも前の工程(電子モジュール保持工程♯1等)では、表示部12を配置する場合の位置決め精度をある程度下げることができるので、作業性を向上できる。
【0035】
(カード外形切断工程♯11)
図8に示すように、積層体45(図7参照)をカード外形40cに切断する。
このとき、電子モジュール一体シート30の樹脂35及び接着シート20のうちカード外形40cよりも大きい領域は、表シート41、裏シート42と一緒に切断される。
以上により、カード40が個片にされる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のカード40は、電子モジュール一体シート30を積層して作製するので、容易に製造できる。
また、カード外形40cに切断後において、表シート41及び裏シート42の間には、樹脂35のみが残存することになる。樹脂35は、硬化にともない、一律の割合で収縮するので、カード表面の段差(歪み)を低減できる。本願とは異なり、表シート及び裏シートの間に、孔部を有する枠体を設けて、孔部内部に接着材、樹脂等を封入する形態では、枠体が存在する表面部分と、樹脂等が存在する表面部分との境界近傍に、樹脂等の収縮に起因して、段差が生じる可能性がある。本願では、樹脂のみが残存するので、カード表面の段差を低減できる。
また、カード40は、窓部41aと表示部12との位置決めに関して、樹脂35等の収縮の影響を受けにくいので、この位置決め精度を向上できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用したカードの第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図9は、第2実施形態の電子モジュール一体シートの製造工程を説明する図である。
本実施形態では、電子モジュール保持工程♯201で、接着シート220で複数の電子モジュール10を、上シート31に対して保持する。
接着シート220は、第1実施形態の接着シート20よりも左右方向Xの長さが大きく、2列に配置した電子モジュール10を上シート31に対して保持する。また、接着シート220は、縦方向Yについても、複数の電子モジュール10を上シート31に対して保持する。
なお、その後の工程は、第1実施形態と同様である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のカードは、1枚の接着シート220で複数の電子モジュール10を保持できるので、作業が簡単である。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0040】
(変形形態)
本実施形態において、電子モジュールは、表示部を備える例を示したが、これに限定されない。例えば、電子モジュールは、表示部を備えてなくてもよい。この場合には、窓部と表示部との位置合わせをする必要がないので、作業性をより向上できる。
【符号の説明】
【0041】
10 電子モジュール
12 表示部
20,220 接着シート
30 電子モジュール一体シート
31 上シート
31b 上シート裏面
32 下シート
32a 下シート表面
33 堤部
35 樹脂
40 カード
41 表シート
41a 窓部
42 裏シート
45 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを製造する工程で製造される電子部品一体シートの製造方法あって、
製造するカードの表面よりも大きな面積を有する第1面に対して、電子部品を保持シートによって保持する電子部品保持工程と、
製造するカードの表面よりも大きな面積を有する第2面を、前記第1面との間に前記電子部品を配置するように、前記第1面に対向配置する面配置工程と、
前記第1面及び前記第2面の間に樹脂を充填し、前記電子部品を前記樹脂で封入し、前記電子部品と前記保持シートと前記樹脂とを一体にする樹脂充填工程と、
前記第1面及び前記第2面を、一体にした前記電子部品と前記保持シートと前記樹脂とから離間させて、電子部品一体シートを作製する面離間工程とを備えること、
を特徴とする電子部品一体シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品一体シートの製造方法において、
前記面配置工程は、前記第1面及び前記第2面間に堤部を配置し、前記第1面及び前記第2面間を前記堤部に当接させて隙間を形成し、
前記樹脂充填工程は、前記堤部によって形成された前記第1面及び前記第2面間の隙間に前記樹脂を充填すること、
を特徴とする電子部品一体シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子部品一体シートの製造方法において、
前記電子部品一体シートを、製造するカードの外形よりも大きな形状に切断するシート切断工程を備えること、
を特徴とする電子部品一体シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子部品一体シートの製造方法において、
前記電子部品保持工程は、複数の前記電子部品を、前記第1面及び前記第2面間に配置すること、
を特徴とする電子部品一体シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電子部品一体シートの製造方法において、
前記電子部品は、表示部を備え、
前記電子部品保持工程は、前記表示部が規定位置に配置されるように、前記電子部品を保持すること、
を特徴とする電子部品一体シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電子部品一体シートを用いたカードの製造方法であって、
表シート及び裏シートを、前記電子部品一体シートの表面及び裏面に積層及び接着して積層体を作製する表裏シート積層工程と、
前記積層体をカード外形に切断するカード外形切断工程とを備えること、
を特徴とするカードの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電子部品一体シートを用いたカードの製造方法であって、
前記電子部品は、表示部を備え、
前記表シートは、窓部を備え、
前記表裏シート積層工程は、面方向において前記窓部と前記表示部との位置が一致するように配置すること、
を特徴とするカードの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の製造方法によって製造した電子部品一体シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58014(P2013−58014A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194998(P2011−194998)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】