説明

電子部品供給装置

【課題】良好なキャリアテープ及びカバーテープの搬送を行う。
【解決手段】電子部品実装装置に電子部品を供給する供給位置の手前で主搬送路から分岐しカバーテープが搬送される副搬送路23と、各搬送路の分岐位置であって、搬送方向下流側となる副搬送路の内壁面23bから突出して設けられたテープガイド部24とを備え、キャリアテープの搬送方向上流側の副搬送路の内壁面23aであって、テープガイド部の先端部が対向する部位に凹部25を設け、当該凹部は搬送方向上流側となる副搬送路の内壁面に対して搬送されるテープの幅方向について中央部が凹状をなすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置は、電子部品供給装置としての電子部品フィーダを搭載し、各電子部品フィーダから個々に電子部品の供給を受けている。
そして、この電子部品フィーダは、均一間隔で形成されたポケット内に電子部品が封止されたキャリアテープAが巻回されたリール11をその一端部(例えば後端部側)に保持しており、フィーダ先端部までキャリアテープAを搬送して、所定の供給位置で電子部品実装装置の吸着ノズルに電子部品を渡している(図2参照)。
そして、電子部品のキャリアテープAの上面には各ポケット内の電子部品を封止するためのカバーテープHが貼着されており、電子部品の供給位置の手前で剥離され、ポケットの電子部品を吸着ノズルに吸着されることを可能としている。この部分の構造を図7に示す。
図示のように、電子部品フィーダの先端上部近傍にはほぼ水平な方向に沿ってキャリアテープAの搬送経路202が設けられており、その途中には上方に分岐して剥離されたカバーテープHの搬送経路203が形成されている。そして、キャリアテープAから剥離されたカバーテープHは、この搬送経路203に沿って搬送され、上方でキャリアテープAの搬送方向とは逆側に折り返され、その先にある使用済みのカバーテープHを巻き取るリール12により巻き取られるようになっている。
【0003】
ところで、リール11のキャリアテープAの残量が少なくなると、完全になくなる前にキャリアテープAをリール11からほどき、ほどかれたキャリアテープAの終端部を新しく交換したリール11に巻かれたキャリアテープAの始端部と連結する。リール11のキャリアテープAが完全に使い果たされてからリール11の交換作業を行うと、電子部品実装作業を中断させなければならなくなるが、上述のように、早めにリール交換を行ってしまうことで実装作業を中断しないようにしている。
そして、図8に示すように、古いキャリアテープA1の終端部と新しいキャリアテープA2の始端部とを連結する際には、キャリアテープA1,A2の上面と下面とにそれぞれスプライステープSが張り付けられる。キャリアテープAの上面には前述したカバーテープHが貼られているが、スプライステープSはカバーテープHの上から貼ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-368484
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャリアテープAの搬送経路202とカバーテープHの搬送経路203との分岐箇所には、図9に示すように、上方に剥離されるカバーテープHによって剥離後のキャリアテープAが搬送経路203側に引き込まれないように、また、静電気によりカバーテープHに付着した電子部品を掻き落とすために、突起部205が搬送方向後方に向かって延出されている。
この突起部205があるためにカバーテープHの搬送経路203はその通過幅が狭くなっており、カバーテープHにスプライステープSが貼られていると、搬送経路203内でつまりを生じ、カバーテープHの剥離が行えなくなる場合があり、その結果、電子部品の供給も行えなくなるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、良好なキャリアテープの搬送を行う電子部品供給装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、電子部品を保持したキャリアテープの搬送により電子部品実装装置に電子部品を供給すると共に前記キャリアテープの主搬送路が形成されたメインフレームを有する電子部品供給装置において、前記電子部品実装装置に電子部品を供給する供給位置の手前で前記主搬送路から分岐する共に、前記キャリアテープから剥離されたカバーテープが搬送される副搬送路と、前記キャリアテープからカバーテープが剥離される各搬送路の分岐位置であって、前記キャリアテープの搬送方向下流側となる前記副搬送路の内壁面から、前記キャリアテープの搬送方向上流側に向かって突出して設けられたテープガイド部とを備え、前記キャリアテープの搬送方向上流側となる前記副搬送路の内壁面であって、前記テープガイド部の先端部が対向する部位に凹部を設け、前記カバーテープが前記テープガイド部の先端部と凹部との間を通過すると共に、当該凹部は前記搬送方向上流側となる副搬送路の内壁面に対して搬送されるカバーテープの幅方向について中央部に凹状をなすことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記凹部は前記搬送されるテープの幅方向についてその両側が平滑であることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記搬送されるテープの幅方向における前記凹部の幅が前記搬送されるテープの幅の3分の1以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、キャリアテープの搬送方向下流側となる副搬送路の内壁面にテープガイド部を設けることで、副搬送路側へのキャリアテープの引き込み防止とカバーテープに電子部品が付着して持って行かれること防止することが可能となる。
そして、副搬送路の上流側内壁面にテープガイド部の先端部に対応して凹部を形成したので、例えばカバーテープにスプライシングテープが貼着されている等の理由で厚みを生じている場合でも、凹部に従ってカバーテープが窪むことができるので、テープガイド部によるカバーテープのつまりを防止すると共に主搬送路側にカバーテープが侵入する等によりキャリアテープの搬送不良を回避でき、円滑な電子部品の供給を行うことが可能となる。
また、副搬送路の上流側壁面において、凹部はテープ幅方向について部分的に形成されるので、通常のカバーテープの搬送の際には、平滑な内壁面にならった状態で搬送が行われ、カバーテープの円滑な搬送を行うことが可能である。
【0010】
請求項2記載の発明は、凹部に対して搬送されるテープの幅方向についてその両側が平滑な内壁面であるため、通常のカバーテープの搬送の際には、テープガイドが平滑な内壁面に沿って平滑な状態をより良好に維持することができ、カバーテープのさらなる円滑な搬送を行うことが可能である。
【0011】
請求項3記載の発明は、搬送されるキャリアテープの幅方向における凹部の幅が搬送されるキャリアテープの幅の3分の1以下であるため、テープガイド部にカバーテープが接しない場合には、テープガイドが凹部によりくぼんだ状態とならず、平滑状態を維持することができるため、カバーテープのさらなる円滑な搬送を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電子部品フィーダを用いる電子部品実装装置の斜視図である。
【図2】電子部品フィーダの斜視図である。
【図3】電子部品の供給位置近傍であって当該供給位置よりも搬送方向上流側部分における主搬送路の周辺の側面図である。
【図4】副搬送路の周辺の平面図である。
【図5】副搬送路の周辺の各部の寸法を示す平面図である。
【図6】副搬送路の周辺における平面図であって、図6(A)は薄いカバーテープを搬送する状態を示し、図6(B)は厚いカバーテープを搬送する状態を示す。
【図7】従来の電子部品供給装置の供給位置近傍であって当該供給位置よりも搬送方向上流側部分における主搬送路の周辺の側面図である。
【図8】スプライシングテープによりキャリアテープ同士を接続した状態を示す説明図である。
【図9】従来の電子部品供給装置の副搬送路の周辺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の実施形態の概要)
本発明に係る電子部品供給装置の実施形態について説明する。
電子部品供給装置としての電子部品フィーダ10は、電子部品実装装置100に着脱自在に備えられ、電子部品が均一間隔でカバーテープHにより封止されたキャリアテープAを搬送し、搬送経路における所定の供給位置で電子部品実装装置100の搭載ヘッド106に吸着させることで電子部品実装装置100に電子部品を供給するものである。
ここで、電子部品実装装置100において、基板Pが前工程から後工程に搬送される水平な方向をX軸方向とし、これと直交する水平な方向であり、電子部品実装装置100に配置される後述するフィーダ10の長手方向の向きに沿った方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向とする。
【0014】
(電子部品実装装置の構成)
図1は、電子部品フィーダ10を用いる電子部品実装装置100の斜視図であり、図2は、フィーダ10の斜視図である。
図1に示すように、電子部品実装装置100は、各構成部材がその上面に載置される基台102と、基板PをX軸方向に沿って前工程から後工程に搬送する基板搬送装置103と、複数の電子部品フィーダ10が並んで設置されるフィーダ収納部104と、電子部品フィーダ10により供給される電子部品Dを基板Pに搭載する搭載ヘッド106と、搭載ヘッド106をX,Y軸の各方向に移動するヘッド移動装置107等、を備えている。
【0015】
基板搬送装置103は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板PをX軸方向に沿って前工程側から後工程側へ搬送する。
また、基板搬送装置103は、搭載ヘッド106により電子部品Dを基板Pへ実装するため、所定の部品実装位置において基板Pの搬送を停止し、基板Pを保持することも行う。
【0016】
フィーダ収納部104は、基台102のY軸方向における一端部に設けられている。フィーダ収納部104において、個々の電子部品フィーダ10はその長手方向がY軸方向に向けられると共に、複数の電子部品フィーダ10がX軸方向に沿って並列するように着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、図1では電子部品フィーダ10は一つのみ図示されているが、実際には複数の電子部品フィーダ10が並んで装備される。
【0017】
搭載ヘッド106は、梁部材112に備えられており、下方(Z軸方向)に突出する吸着ノズル106aを有している。この吸着ノズル106aは、吸着保持する電子部品の大きさや形状に応じて交換できるように、着脱可能に備えられている。
吸着ノズル106aは、例えば、図示しない空気吸引装置と接続されており、吸着ノズル106aの下端である先端部に電子部品を吸着保持することを可能としている。また、その空気吸引装置には図示しない電磁弁が備えられており、その電磁弁により空気吸引装置の空気吸引状態と大気開放状態とを切り替える。つまり、空気吸引状態としたときに吸着ノズル106は負圧となり電子部品を吸着可能とし、大気開放状態としたときに吸着ノズル106aは大気圧状態となって吸着した電子部品の吸着を解除する。
【0018】
また、搭載ヘッド106には、吸着ノズル106aをZ軸方向に移動させる図示しないZ軸移動装置と、吸着ノズル106aをZ軸を中心として回転させる図示しないノズル回転装置とを備えている。
Z軸移動装置(図示省略)は、搭載ヘッド106上に設けられており、吸着ノズル106aをZ軸方向に移動させる移動機構であり、吸着ノズル106aはこのZ軸移動装置を介してZ軸方向に移動自在に搭載ヘッド106に備えられている。Z軸移動装置としては、例えば、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ、等を適用することができる。
ノズル回転装置(図示省略)は、搭載ヘッド106上に設けられており、吸着ノズル106aを回転させる回転駆動機構であり、吸着ノズル106aはこのノズル回転装置を介してZ軸を軸中心に回転自在に搭載ヘッド106に備えられている。Z軸回転装置としては、例えば、角度調節モータと、この角度調節モータの回転角度量を検出するエンコーダ等により構成される。
なお、吸着ノズル106aは一つのヘッドに複数搭載しても良い。その場合、吸着ノズル106aと同数のZ軸移動機構及びノズル回転機構が搭載ヘッド106に搭載される。
【0019】
ヘッド移動装置107は、搭載ヘッド106をX軸方向に移動するX軸移動装置107aと、搭載ヘッド106をY軸方向に移動するY軸移動装置107bと、により構成されている。
【0020】
X軸移動装置107aは、基板搬送装置103の基板搬送路上に、基板Pの搬送方向と垂直な方向(Y軸方向)に跨る様に備えられているガイド部材111,111に支持され、X軸方向に延在する梁部材112の側面に設けられている図示しないレール状の支持部材と、その支持部材に支持されている搭載ヘッド106をX軸方向に移動させる図示しない駆動装置を備えている。この駆動装置としては、例えば、リニアモータ、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ、等を適用することができる。
【0021】
Y軸移動装置107bは、ガイド部材111,111の上面に設けられている図示しないレール状の支持部材と、その支持部材に支持されている梁部材112をY軸方向に移動させる図示しない駆動装置を備えている。この駆動装置としては、例えば、リニアモータ、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ、等を適用することができる。
梁部材112はこのY軸移動装置107bによってガイド部材111,111の上面をY軸方向に移動自在に備えられており、搭載ヘッド106は梁部材112を介してY軸方向に移動自在となる。
【0022】
そして、搭載ヘッド106はヘッド移動装置107によって、X軸方向、Y軸方向に移動するとともに、電子部品フィーダ10の供給位置51に供給されたキャリアテープAが保持する電子部品Dを、搭載ヘッド106の吸着ノズル106aにより吸着し、基板搬送装置103における部品実装位置の基板Pへ実装するようになっている。
【0023】
(電子部品フィーダの全体構成)
図2に示すように、電子部品フィーダ10は、その全体構成を支持するメインフレーム20を備えている。このメインフレーム20は、概略形状が一方向に長い平板状に形成されており、その平板面をY−Z平面に向けた状態でその長手方向一端部を電子部品実装装置100側に向けて当該電子部品実装装置100に保持されるようになっている。以下の説明では、電子部品フィーダ10の電子部品実装装置側となる端部を「前」、逆側の端部を「後」として説明を行うものとする。また、電子部品フィーダ10の前側を「キャリアテープの搬送方向下流側」、後側を「キャリアテープの搬送方向上流側」として説明を行うものとする。
【0024】
電子部品フィーダ10は、図2及び図3に示すように、メインフレーム20の後端部に取り外し自在にセットされると共に、後述するカバーテープHとの間で電子部品が均一間隔で封止されたキャリアテープAが巻かれたリール11と、キャリアテープAをメインフレーム20に形成された主搬送路に沿って搬送する送り機構30と、キャリアテープAの一面(搬送時に上面となる面)に貼着され、供給位置51の手前のテープ分離部52で剥離されたカバーテープHを巻き取る巻き取りリール12とを備えている。
【0025】
メインフレーム20は、その後端部に前述のリール11を回転可能に保持するリール保持部21を備え、ここからキャリアテープAの繰り出しを行っている。また、メインフレーム20には、その後端部に位置するリール保持部21を起点として前斜め上の方向に向かうと共に、当該メインフレーム20の上面よりも幾分下方であって前端部よりも幾分手前の位置から前端部近傍までを前方に沿って通過する主搬送路22が形成されている。メインフレーム20の前端部近傍における上面にはキャリアテープAから剥離されたカバーテープHが上方に引き出されるテープ分離部52と、前記テープ分離部52よりもキャリアテープAの搬送方向下流側に設けられ搭載ヘッド106の吸着ノズル106aがキャリアテープAから電子部品の取り出しを行う供給位置51が設けられており、前述した主搬送路22は、電子部品の供給位置51を通過すると下方に向かい、さらに後方に折り返されてフレーム後端部に設けられたテープ排出口(図示略)まで形成されている。このテープ排出口から電子部品が取り出された空のキャリアテープAを排出する構造となっている。
なお、この主搬送路22は、上下の壁面22a,22b(図3参照)と左側の側壁面とで搬送されるキャリアテープAを三方から囲む構造となっている。また、右側方(前方に視線を向けた状態で右手側)は開放されており、この開放側から主搬送路22内にキャリアテープAをセットすることを可能としている。
【0026】
送り機構30は、主搬送路22における前記供給位置51を通過した位置においてキャリアテープAの搬送を行う。キャリアテープAにはその長手方向に沿って送り用の係合穴が均一間隔で無数に並んで形成されており、送り機構30は、送りの駆動源となるモータとキャリアテープAの係合穴に噛合するスプロケットとスプロケットを回転させる歯車列とを備えている(いずれも図示略)。前記電子部品の取り出しが完了したら前記スプロケットが回転してキャリアテープAを搬送して次の電子部品が前記供給位置51に移送され、同時にカバーテープHも図示しない送り機構によりキャリアテープAから剥離され前記巻き取りリール12に巻き取られる。
【0027】
図3は、電子部品の供給位置51近傍であって当該供給位置51よりも搬送方向上流側部分における主搬送路22の周辺の側面図である。
図示のように、主搬送路22は、電子部品の供給位置51よりも幾分手前側から供給位置51までの区間は、メインフレーム20の上面よりも幾分下側においてY軸方向に沿ってほぼ水平に前方に向かって形成されている。そして、供給位置51の手前側(搬送方向上流側)には、主搬送路22から上方に分岐してメインフレーム20の上面に至る、カバーテープHが搬送される副搬送路23が形成されている。カバーテープHはキャリアテープAの上面の両側に塗布された接着剤で貼着され、キャリアテープAに形成された凹部内に電子部品を封止すると共に、剥離することでキャリアテープA内の電子部品を取り出しを可能とするテープである。
この副搬送路23は、キャリアテープAがカバーテープHから剥離される分岐位置に配置されこの剥離されたカバーテープHを上方に排出するものであり、主搬送路22に直交して当該主搬送路22から垂直上方に向かって形成されており、主搬送路22と同様に、三方が壁面に囲まれ、右側方のみが開放されている。即ち、副搬送路23は、左側壁と互いに対向すると共にX−Z平面に沿った搬送方向上流側の壁面23aと下流側の壁面23bとを備えている。そして、上流側壁面23aと主搬送路22の上側壁面22aの境界位置となる角部においてキャリアテープAからカバーテープHの剥離が行われる。つまり、当該角部が前述したテープ分離部52となっている。なお、テープ分離部52は、カバーテープHが破損して切断などを生じないように丸み(いわゆるR)が形成されている。
【0028】
図4は、副搬送路23を上方から見た平面図である。
副搬送路23の下流側壁面23bは前述したようにX−Z平面に平行であって上下に延在する平面であり、下流側壁面23bの全長に渡って一様にY軸方向後方(主搬送路22における搬送方向上流側)に向かって凸となるテープガイド部24が形成されている。即ち、このテープガイド部24は、下流側壁面23bの平面上において上下に沿って延在するレール状の突起を形成している。また、このテープガイド部24は、Y軸方向後方に舌状に突出する形状により、その突出先端部が副搬送路23の上側壁面23aに迫るように近接している。
かかるテープガイド部24は、下流側壁面23aから上流側壁面23a側に向かって突出することで、副搬送路23の下端部(主搬送路22との分岐点)において当該副搬送路23の入り口におけるY軸方向幅を狭めており、当該入り口でキャリアテープAから剥離されたカバーテープHに伴って副搬送路23側にキャリアテープAが引き込まれないようにすると共に、静電気等によってカバーテープHに電子部品が付着した場合にテープガイド部24の突起先端部が電子部品を掻き落とす役割を果たしている。同時にテープガイド部24が突起状であってその両側が空いているのでカバーテープの両側に付着した接着剤がテープガイド部24に接触しないようになっている。
【0029】
一方、副搬送路23の上流側壁面23aは前述したようにX−Z平面に平行であって上下方向に沿って延在しており、その平面上には、上流側壁面23aの全長に渡って一様にY軸方向後方(搬送方向上流側)に向かって凹となる凹部25が形成されている。即ち、この凹部25は、上流側壁面23aの平面上において上下に沿って延在する溝を形成している。
この凹部25は、搬送されるカバーテープHの幅方向(X軸方向)について、テープガイド部24の先端部と近接対向する位置に形成されている。つまり、上流側壁面23aに迫るように突出したテープガイド部24に対応して凹部25が窪んでおり、相互間に一定の間隙を維持している。この間隙に前記剥離されたカバーテープHが通過する。
また、この凹部25は、図5に示すように、電子部品フィーダ10に取り付け可能な複数種類のキャリアテープAの中でもっとも使用頻度が高いキャリアテープAの幅がcである場合に、凹部25のX軸方向幅dはc/3又はそれ以下とすることが望ましい。
また、キャリアテープAの幅がcである場合、凹部25は、X軸方向で奥側の壁面からc/3離して設けることが望ましい。
また、テープガイド部24の先端部から上流側壁面23aまでの距離eは、電子部品フィーダ10で使用頻度が最も高いキャリアテープAに貼られたカバーテープHの厚さがfである場合、隙間eはfより幾分大きく設定することが望ましい。
また、テープガイド部24の先端部から凹部25の最深部までの隙間gは、電子部品フィーダ10で使用頻度が最も高いスプライシングテープSの厚さががhである場合に、隙間gはf+hに近似し且つ幾分大きく設定することが望ましい。
また、凹部25のX軸方向両端部25a、25a(上流側壁面23aとの境界、図4参照)にはカバーテープHが接触しても引っかかりを生じないように、丸み(R)が形成されている。
【0030】
上記凹部25が形成されている場合、図6(A)に示すように、カバーテープHが隙間e以下の厚さである場合には、カバーテープHは壁面23aにならって平坦な状態を維持して円滑な搬送が行われる。
一方、図6(B)に示すように、スプライシングテープSが貼着されている等の理由でカバーテープHが隙間eを越える厚さである場合には、カバーテープHは幅方向(X軸方向)中央部を除いてほぼ全体的には壁面23aにならって平坦となるが、凹部25が形成されている部分だけは当該凹部25に応じて窪んだ状態で搬送が行われる。従って、テープガイド部24に引っかかりを生じることを原因とする搬送不良の発生を回避し、円滑な搬送を行うことができる。
また、凹部25のX軸方向幅をカバーテープHの幅の3分の1より大きくすると、カバーテープHの厚さに関係なく、常に凹部25が窪んだ状態で搬送されてしまうが、上記凹部25はX軸方向幅をカバーテープHの3分の1以下としていることから、通常の厚みの場合にはカバーテープHが凹部25に応じて窪むことなく平坦な状態で搬送され、常に円滑な送りを行うことが可能となる。
【0031】
(電子部品フィーダの動作)
上記構成からなる電子部品フィーダ10では、リール11から繰り出されたキャリアテープAが主搬送路22に沿って搬送され、副搬送路23との分岐位置にあるテープ分離部52でカバーテープHが上方に剥離され、副搬送路23側に搬送される。
このとき、カバーテープHの剥離後のキャリアテープAはテープガイド部24により副搬送路23側へ引き込まれることなく、また、電子部品をカバーテープHにもって行かれることなく、主搬送路22の下流側に搬送され、電子部品の供給位置51により電子部品が電子部品実装装置100の吸着ノズル106aに吸着される。そして、キャリアテープAは、後方に折り返す主搬送路22に従って搬送され、電子部品フィーダ10の後端部側から排出される。
また、吸着ノズル106aに吸着された電子部品は、基板Pの所定の搭載位置に搬送されて実装される。
一方、剥離されたカバーテープHは、巻き取りリール12の巻き取りにより副搬送路23内を壁面23aに接して搬送される。このとき、スプライシングテープSの貼着等により厚みがある部分が副搬送路23を通過する場合であって、テープの全体的な厚さが前述した隙間間距離eよりも厚くなる場合には、その片面がテープガイド部24に接触することとなるが、テープガイド部24に接する部位に対応して凹部25によりカバーテープHがテープガイド部24から逃げる方向に撓むことができるので、テープのつまりを生じることなく、円滑に搬送される。従って、カバーテープHが副搬送路23内でつまりを生じて主搬送路22のテープ分離部52より下流側に侵入し、部品吸着を阻害するという事態を回避することができる。
【0032】
(その他)
テープガイド部24は、副搬送路23の下流側壁面23bにおいて上下に全長渡って形成されているが、下流側壁面23b下端部周辺(テープ分離部52に対向する位置、即ち、副搬送路23の入口)のみに形成しても良い。その場合には、凹部25もテープガイド部24に対応する範囲にのみ(例えば、上流側壁面23aの下端部周辺のみ)に形成しても良い。
【符号の説明】
【0033】
10 電子部品フィーダ(電子部品供給装置)
20 メインフレーム
22 主搬送路
23 副搬送路
23a,23b 内壁面
24 テープガイド部
25 凹部
51 供給位置
52 テープ分離部
100 電子部品実装装置
A キャリアテープ
H カバーテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持したキャリアテープの搬送により電子部品実装装置に電子部品を供給すると共に前記キャリアテープの主搬送路が形成されたメインフレームを有する電子部品供給装置において、
前記電子部品実装装置に電子部品を供給する供給位置の手前で前記主搬送路から分岐する共に、前記キャリアテープから剥離されたカバーテープが搬送される副搬送路と、
前記キャリアテープからカバーテープが剥離される各搬送路の分岐位置であって、前記キャリアテープの搬送方向下流側となる前記副搬送路の内壁面から、前記キャリアテープの搬送方向上流側に向かって突出して設けられたテープガイド部とを備え、
前記キャリアテープの搬送方向上流側となる前記副搬送路の内壁面であって、前記テープガイド部の先端部が対向する部位に凹部を設け、
前記カバーテープが前記テープガイド部の先端部と凹部との間を通過すると共に、当該凹部は前記搬送方向上流側となる副搬送路の内壁面に対して搬送されるカバーテープの幅方向について中央部が凹状をなすことを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記凹部は前記搬送されるテープの幅方向についてその両側が平滑であることを特徴とする請求項1記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記搬送されるキャリアテープの幅方向における前記凹部の幅が前記搬送されるキャリアテープの幅の3分の1以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−228600(P2011−228600A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99419(P2010−99419)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】