電子部品実装システムおよび電子部品実装方法
【課題】生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能なフレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1実装レーンL1、第2実装レーンL2を備えた複数の検査・塗布装置M1、電子部品搭載装置M2〜電子部品搭載装置M4を連結した構成の電子部品実装システムにおいて、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の複数の基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうちいずれかを選択的に実行可能な構成とし、検査ヘッド15,塗布ヘッド16を備えた検査・塗布装置M1のみを第2の作業モードとする。
【解決手段】第1実装レーンL1、第2実装レーンL2を備えた複数の検査・塗布装置M1、電子部品搭載装置M2〜電子部品搭載装置M4を連結した構成の電子部品実装システムにおいて、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の複数の基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうちいずれかを選択的に実行可能な構成とし、検査ヘッド15,塗布ヘッド16を備えた検査・塗布装置M1のみを第2の作業モードとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装システムおよび電子部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装して実装基板を製造する電子部品実装システムは、半田接合用のペーストが印刷された後の基板を対象として、部品搭載や検査など各種の部品実装関連の作業を実行する複数の部品実装用装置を連結して構成されている。このような部品実装用装置として、2つの基板搬送機構およびそれぞれの基板搬送機構に個別に対応した2つの作業動作機構を備えた構成の装置が知られている。このような構成とすることにより、2つの作業動作機構に、それぞれ対応した1つの基板搬送機機構に保持された基板を対象として作業を実行させるいわゆる独立作業モードと、2つの基板搬送機機構に保持されたいずれの基板をも対象として交互に作業を実行させるいわゆる交互作業モードとのいずれかを実行すべき生産モードとして選択することができる(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、基板に部品を実装する部品実装作業において、これら生産モードのいずれが当該基板に適しているかを、基板・部品に関する実装情報に基づいて自動的に判断するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−239257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年電子業界においては生産形態の多様化が進展し、部品実装の生産現場においても、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能な、フレキシブルな電子部品実装システムが望まれるようになっている。このため前述構成の電子部品実装システムにおいては、独立作業モード、交互作業モードの2つの生産モードを適切に組み合わせて、部品実装システムの生産効率を極力向上させることが求められる。しかしながら、前述の特許文献に示す先行技術には、個別の基板についていずれの生産モードが適しているかを判断することが開示されているのみで、効率的な電子部品実装システムの具体的な構成については何ら開示されておらず、フレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能なフレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品実装システムは、基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムであって、前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、さらに、前記部品実装用装置のそれぞれにおいて選択的に実行すべき前記作業モードを、各部品実装用装置に対して指令するモード指令部を備え、前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、前記モード指令部は、前記検査装置または樹脂塗布装置に対して前記第2の作業モードを指令する。
【0007】
本発明の電子部品実装方法は、部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムによって基板に電子部品を実装する電子部品実装方法であって、前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、前記部品実装用作業の実行に際し、前記前記検査装置または樹脂塗布装置に対して選択的に実行すべき作業モードとして前記第2の作業モードを指令する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の電子部品実装用装置を連結した構成の電子部品実装システムにおいて、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部に保持された複数の基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうちいずれかを選択的に実行可能な構成とし、さらに部品実装用装置のうち少なくとも1つは、作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置とすることにより、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能となり、フレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムの構成説明図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける塗布・検査装置の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける塗布・検査装置の機能説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける電子部品搭載装置の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける電子部品搭載装置の構成説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける搭載・検査装置の構成説明図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図9】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図10】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図11】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、電子部品実装システムの構成について説明する。電子部品実装システム1は、電子部品が実装された実装基板を製造する機能を有するものであり、上流側から供給される電子部品接合用のペーストが印刷された基板を対象として、基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成されている。すなわち電子部品実装システム1は、上流側(図1において左側)から、部品実装用装置である塗布・検査装置M1,電子部品搭載装置M2〜M5*、搭載・検査装置M6の各装置を直線状に基板搬送方向(X方向)に連結して構成されている。これらの各装置は、LANシステム2を介してホストコンピュータ3に接続され、ホストコンピュータ3は電子部品実装システム1の各装置による部品実装用作業を統括して制御する。
【0011】
塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の各装置は、上流側装置から受け渡された基板4(図2参照)を基板搬送方向にそれぞれ個別に搬送し、これらの基板4を位置決めして保持する基板保持部(図2、図4、図5に示す基板保持部12a、22a、42a参照)を有する複数(ここでは2条)の基板搬送機構を備えている。各装置においてそれぞれの基板搬送機構には、検査処理機構や部品搭載機構などの作業動作機構が対応している。したがって各装置においてそれぞれの基板搬送機構によって搬送され基板保持部に位置決め保持された基板4に対して、対応する作業動作機構によって同時並行的に部品実装用作業を実行することが可能となっている。また1つの作業動作機構によって、複数の基板搬送機構の基板保持部に位置決め保持された基板4を順次作業対象とすることもできる。
【0012】
各装置における基板搬送機構を連結して形成される基板搬送レーンは、対応する作業動作機構と組み合わされて、基板4を搬送しながらこの基板4に対して実装のための作業を行う実装レーンを構成する。本実施の形態に示す電子部品実装システム1においては、各装置は2つの基板搬送機構を備えていることから、2つの個別の第1実装レーンL1(前側実装レーン)、第2実装レーンL2(後側実装レーン)が形成されている。すなわち電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板4を基板搬送方向に搬送し、基板4を位置決めして保持する基板保持部を有する複数の基板搬送機構と、これらの基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられ基板保持部に保持された基板4を対象として所定の作業動作を実行する複数の作業動作機構とを備えて構成となっている。
【0013】
以下、電子部品実装システム1を構成する各装置の構造を説明する。まず、図2を参照して、塗布・検査装置M1の構成について説明する。図2(a)に示すように、基台11の上面の中央には、それぞれ第1実装レーンL1、第2実装レーンL2を構成する第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12BがX方向に配設されている。第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bは、上流側装置から受け渡されたペースト印刷後の基板4をX方向に搬送する。第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bはそれぞれ基板保持部12aを有しており、搬送された基板4は基板保持部12aによって塗布・検査装置M1における作業位置に位置決め保持される。
【0014】
基台11の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル13がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル13には第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bが装着されている。図2(b)に示すように、X軸移動テーブル14A、14BはY軸移動テーブル13の側面に配設されたガイドレール13aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル13に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して、作業ヘッドとしての塗布ヘッド16、検査ヘッド15が装着されている。塗布ヘッド16、検査ヘッド15は、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bに内蔵されたリニアモータ機構によってそれぞれX方向に駆動される。Y軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bは、塗布ヘッド16、検査ヘッド15を移動させるためのヘッド移動機構となっている。
【0015】
塗布ヘッド16は、垂直ベース部16aにディスペンサ16bを昇降自在に保持させた構成となっており、ディスペンサ16bは下部に装着されたノズル16cから電子部品接合用の樹脂接着剤を吐出する機能を有している。塗布ヘッド16をヘッド移動機構によって第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aによって位置決め保持された基板4の上方に移動させることにより、基板4上の任意の樹脂塗布点に樹脂接着剤を塗布することができる。
【0016】
第1の基板搬送機構12Aの側方には、塗布ヘッド16とともに使用される捨て打ちユニット17Aが配置されている。塗布ヘッド16を捨て打ちユニット17A上に移動させてディスペンサ16bを捨て打ちユニット17Aに対して下降させることにより、樹脂接着剤の吐出状態を確認するための試し打ちや、ノズル16cに付着した不要な樹脂接着剤を除去するための捨て打ちが行われる。
【0017】
検査ヘッド15は、検査対象の基板4を撮像するための撮像装置を内蔵しており、ヘッド移動機構によって第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aによって位置決め保持された基板4の上方に移動して検査対象の基板4を撮像する。基台11に対して側方から装着された台車18には、認識処理ユニット18aが内蔵されている。検査ヘッド15によって撮像された画像は認識処理ユニット18aによって認識処理され、これにより所定の検査項目についての画像認識による検査が行われる。また第2の基板搬送機構12Bの側方には、較正ユニット17Bが設けられている。検査ヘッド15を較正ユニット17B上に移動させて較正ユニット17Bを撮像することにより、検査ヘッド15による画像取得時の撮像状態が較正される。
【0018】
次に図3を参照して、塗布・検査装置M1における作業動作を説明する。図3(a)において、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bには基板4が保持されている。ここではまず第1の基板搬送機構12Aに保持された基板4が検査対象となっており、検査ヘッド15はこの基板4の上方に移動して基板4の検査対象となる位置を撮像する。次に、図3(b)に示すように、検査ヘッド15を検査対象の基板4の上方から退避させたならば、塗布ヘッド16を基板4の上方に進出させて、次いでディスぺンサ16bを下降させて、ノズル16cによって樹脂接着剤19を基板4の上面の塗布点に塗布する。
【0019】
この後塗布ヘッド16を基板4の上方から退避させた後、検査ヘッド15を再度基板4の上方に進出させて、樹脂接着剤19が塗布された状態の基板4を撮像する。そして撮像結果を認識処理ユニット18aによって認識処理することにより、樹脂塗布前における基板4の状態を検査する塗布前検査および樹脂塗布後の状態を対象とする塗布後検査が行われる。このとき、塗布前検査、塗布動作および塗布後検査において、基板4を移動させることなく、塗布動作および検査処理を完了させることが可能となっている。なお塗布・検査装置M1における検査の態様は様々であり、図3に示すように、塗布前検査と塗布後検査の双方を行う態様以外にも、塗布前検査と塗布後検査のいずれかのみを実行する態様であってもよい。
【0020】
また図3に示す例では、第1の基板搬送機構12Aに保持された基板4のみを対象とした塗布動作・検査動作の例を示したが、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bに対象となる基板4が同時に保持されている場合には、2つの基板4が塗布動作・検査動作の対象となる。この場合には、これら2つの基板4を対象として最も効率的に塗布動作・検査動作を行うことが可能となるような動作パターンが用いられる。
【0021】
上記塗布・検査装置M1の構成において、Y軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル14Aおよび塗布ヘッド16は、複数の基板搬送機構によって搬送される複数の基板4を対象として部品実装用作業である樹脂の塗布動作を実行する作業動作機構としての樹脂塗布機構を構成する。またY軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル1BAおよび検査ヘッド15は、複数の基板搬送機構によって搬送される複数の基板を対象として部品実装用作業である基板検査を実行する作業動作機構としての検査処理機構を構成する。このように、樹脂塗布機構および検査処理機構を複数の基板搬送機構と組み合わせて塗布・検査装置M1を構成することにより、複数の個別実装レーンを備えた電子部品実装システム1において2つの機能を1つの装置スペースでコンパクトに組み込むことが可能となっている。
【0022】
次に、図4を参照して、電子部品搭載装置M2〜M4の構成を説明する。なお電子部品搭載装置M2〜M4は同一構造である。図4(a)において、基台21の上面の中央には、それぞれ第1実装レーンL1,第2実装レーンを構成する第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22BがX方向に配設されている。第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bは、塗布・検査装置M1の第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bから搬出された塗布・検査後の基板4を受け取って搬送する。第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bはそれぞれ基板保持部22aを有しており、搬送された基板4は基板保持部22aによって電子部品搭載装置M2〜M4における作業位置に位置決め保持される。
【0023】
基台21の両側方には、実装対象の部品を供給する第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bが設けられており、第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bには、複数のテープフィーダ29が装着された台車27が配置されている。台車27には実装対象の電子部品を保持したキャリアテープTを巻回収納したテープ供給リール28が各テープフィーダ29に対応して装着されている。テープフィーダ29は、テープ供給リール28から引き出されたキャリアテープTをピッチ送りすることにより、以下に説明する部品搭載機構による取り出し位置に電子部品を供給する。
【0024】
基台21の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル23がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル23には第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24Bが装着されている。図4(b)に示すように、第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24BはY軸移動テーブル23の側面に配設されたガイドレール23aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル23に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して作業ヘッドとしての第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bが装着されている。第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bは、第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24Bに内蔵されたリニアモータ機構によってX方向に駆動される。Y軸移動テーブル23、第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24Bは、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bを移動させるためのヘッド移動機構となっている。
【0025】
第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bは、下部に複数の吸着ノズル25aを着脱自在に装着した構成となっており、ヘッド移動機構によって移動して吸着ノズル25aによって電子部品をテープフィーダ29から取り出して基板4に移送搭載する。第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bおよび前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である部品搭載作業を実行する複数の作業動作機構としての部品搭載機構(第1の部品搭載機構、第2の部品搭載機構)を構成する。
【0026】
第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bのそれぞれとテープフィーダ29との間には、第1の部品認識カメラ27Aおよび第2の部品認識カメラ27Bが配置されている。第1の部品認識カメラ27A、第2の部品認識カメラ27Bは、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bの移動経路に位置して、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bによって保持された電子部品を下方から撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bによって保持された状態の電子部品の位置ずれが検出される。
【0027】
次に、図5を参照して、電子部品搭載装置M5*の構成および機能を説明する。電子部品搭載装置M5*は、図4に示す電子部品搭載装置M2〜M4において、一方側の第2の部品供給部26Bに、テープフィーダ29が装着された台車27に替えて、大型の電子部品が格納されたトレイ32を供給する機能を有するトレイフィーダ30をセットしたものである。トレイフィーダ30は、図5(b)に示すように、パレット(図示省略)に保持された複数のトレイ32を収納するトレイ収納部31を備えており、トレイ収納部31からトレイ保持部33によってトレイ32を引き出して、第1の搭載ヘッド25Aによるピックアップ位置まで移動させる機能を有している。部品搭載動作においては、第1の搭載ヘッド25Aは吸着ノズル2525aによってトレイ32から電子部品を取り出し、第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bの基板保持部22aの位置決め保持された基板4に移送搭載する。すなわち電子部品搭載装置M5*においては、第2の部品搭載機構に対応する第2の部品供給部26Bにトレイフィーダ30を配置した構成となっている。第2の部品供給部26B以外の構成および機能については、電子部品搭載装置M2〜M4と同様である。
【0028】
次に、図6を参照して、搭載・検査装置M6の構成および機能を説明する。基台41の上面の中央には、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42BがX方向に配設されている。第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bは、電子部品搭載装置M5*の第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bから搬出された部品搭載後の基板4を受け取って搬送する。第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bはそれぞれ基板保持部42aを有しており、搬送された基板4は基板保持部42aによって搭載・検査装置M6における作業位置に位置決め保持される。基台41の一方側には、図2に示す台車18が配置されており、反対側には図4に示す台車27が配置されている。
【0029】
基台41の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル43がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル43には第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44Bが装着されている。第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44BはY軸移動テーブル43の側面に配設されたガイドレール43aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル43に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して作業ヘッドとしての搭載ヘッド45、検査ヘッド15が装着されている。搭載ヘッド45、検査ヘッド15は、第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44Bに内蔵されたリニアモータ機構によってX方向に駆動される。Y軸移動テーブル43、第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44Bは、搭載ヘッド45、検査ヘッド15を移動させるためのヘッド移動機構となっている。
【0030】
搭載ヘッド45は下部に複数の吸着ノズル45aを着脱自在に装着した構成となっており、電子部品搭載装置M2〜M4における第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bと同様に、ヘッド移動機構によって移動してテープフィーダ29から取り出した電子部品を第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送され基板保持部42aに位置決め保持された基板4に移送搭載する。搭載ヘッド45および前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である部品搭載作業を実行する作業動作機構を構成する。
【0031】
検査ヘッド15は、図2,図3における検査ヘッド15と同様の機能を有しており、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送された部品搭載後の基板4を撮像する。この撮像結果を認識処理ユニット18aによって認識処理することにより、基板4における電子部品の搭載状態の良否を判定するための搭載後検査が行われる。検査ヘッド15および前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である基板検査作業を実行する作業動作機構を構成する。そして搭載後検査を経た部品実装済みの基板4は、下流側に接続されたリフロー装置に搬入され、ここで基板4を加熱することにより、電子部品を基板4の回路電極に半田接合する。
【0032】
上記電子部品実装システム1の構成において、塗布・検査装置M1における第1の基板搬送機構12A、電子部品搭載装置M2〜M5*における第1の基板搬送機構22A、搭載・検査装置M6における第1の基板搬送機構42Aを連結して形成される搬送レーンおよびこの搬送レーンに対応して設けられた各作業動作機構は、第1実装レーンL1を形成する。同様に、塗布・検査装置M1における第2の基板搬送機構12B、電子部品搭載装置M2〜M5*における第2の基板搬送機構22B、搭載・検査装置M6における第2の基板搬送機構42Bを連結して形成される搬送レーンおよびこの搬送レーンに対応して設けられた各作業動作機構は、第2実装レーンL2を形成する。
【0033】
本実施の形態における部品実装用装置である上述の塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の構成において、各装置はいずれも上流側装置から受け渡された基板4を基板搬送方向に搬送し、基板4を位置決めして保持する基板保持部12a、22a、42aを有する複数の基板搬送機構(第1の基板搬送機構12A、22A、42Aおよび第2の基板搬送機構12B、22B、42B)と、これら基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられ、基板保持部12a、22a、42aに保持された基板4を対象として所定の作業動作を実行する複数の作業動作機構とを備えた構成となっている。
【0034】
上述構成において、いずれの装置においても、2つの基板搬送機構のそれぞれには、1つの作業動作機構が対応して設けられている。これらの作業動作機構の構成において、作業ヘッドは1対の作業動作機構について共通に設けられたY軸移動テーブル13,23,43によって2つの基板搬送機構のいずれの上方にも移動可能となっていることから、それぞれの作業動作機構が作業対象とすることが可能な基板4は,必ずしも当該作業動作機構に対応する基板搬送機構に位置決め保持された基板4には限定されない。
【0035】
このため、本実施の形態に示す電子部品実装システム1においては、各装置において、作業制御部61(図7参照)によって複数の基板搬送機構および複数の作業動作機構を制御することにより、以下に説明する2つの作業モードを選択して実行させるようにしている。すなわち、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部12a、22a、42aに保持された基板4のみを対象として、各実装レーン毎に独立して作業動作を実行させる第1の作業モード(いわゆる独立作業モード)と、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部12a、22a、42aに保持された複数の基板4のいずれをも対象として、各実装レーンを交互に作業対象として作業動作を実行可能な第2の作業モード(いわゆる交互作業モード)とを、選択的に実行させるようにしている。これにより、生産対象とする基板種の特性や生産ロット数に対応したフレキシブルな生産形態を選択できるようになっている。
【0036】
次に、図7を参照して電子部品実装システム1の制御系の構成を説明する。図7において、ホストコンピュータ3はモード指令部50、制御部51、通信部52、記憶部53、操作・入力部54、表示部55を備えている。モード指令部50は、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置である塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6のそれぞれにおいて、選択的に実行すべき作業モードを、各装置に対して指令する。すなわち、モード指令部50からLANシステム2を介してモード指令が送られることにより、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6はそれぞれ指定された作業モードにしたがって、作業動作を実行する。制御部51は、電子部品実装システム1を構成する各装置よって実行される作業動作を統括して制御する。
【0037】
通信部52は、電子部品実装システム1を構成する塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6との間で信号の授受をLANシステム2を介して行う。記憶部53は電子部品実装システム1の各装置において対象となる各基板品種について、作業動作を実行するために必要な作業データおよび作業プログラム、すなわち各基板を対象として検査,樹脂塗布、部品実装,実装後検査などの実行するためのデータやプログラムのほか、前述の作業モードに関する情報を記憶する。すなわち、記憶部53は作業モード記憶部56を含んでおり、作業モード記憶部56には,前述の第1の作業モード、第2の作業モードを実行するための第1の作業モードデータ56a、第2の作業モードデータ56bが記憶されている。
【0038】
操作・入力部54は、タッチパネルなどの入力装置であり、電子部品実装システム1を管理するライン管理者が各種の操作指示を入力する。この操作指示には、前述の作業モードの指示が含まれる。すなわち、ライン管理者が操作・入力部54から作業モード指示を入力することにより、モード指令部50による作業モードの指令が行われる。表示部55は液晶パネルなどの表示パネルであり、操作指示入力時の案内画面や、基板品種切り替え時に必要となる段取り替え作業の指示などの表示を行う。
【0039】
次に、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の制御系について説明する。塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6は、通信部60、作業制御部61、作業データ記憶部62を備えている。通信部60はLANシステム2に接続されており、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6とホストコンピュータ3との間での信号やデータの授受が行われる。これにより、ホストコンピュータ3の記憶部53に記憶された作業データのうち、当該装置にて実行対象となる作業動作を実行するために必要な作業データおよび作業プログラムが作業データ記憶部62に書き込まれる。
【0040】
作業制御部61は、LANシステム2を介してホストコンピュータ3のモード指令部50から指令されたモード指令信号に基づき、作業データ記憶部62に記憶された作業データを参照して、第1の基板搬送機構12A、22A、42Aおよび第2の基板搬送機構12B、22B、42B、第1の作業動作機構63、第2の作業動作機構64を制御する。ここで第1の作業動作機構63、第2の作業動作機構64は、それぞれ第1実装レーンL1,第2実装レーンL2に付随する作業動作機構である。これにより、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の各装置において、ホストコンピュータ3より指令された第1の作業モードデータ56a、第2の作業モードデータ56bに基づく作業動作が実行される。
【0041】
電子部品実装システム1は上記のように構成されており、電子部品実装システム1による電子部品実装方法について説明する。前述のように、本実施の形態に示す電子部品実装システム1は、よりフレキシブルな生産形態を実現することを目的として構成されているため、実際の適用例においては種々のバリエーションが生産対象に応じて適宜採用される。以下、3種類の実施例を示して、これらのバリエーションについて、図8〜図11を参照して説明する。
【0042】
まず図8に示す実施例1は、塗布・検査装置M1を設けることなく、4基の電子部品搭載装置M2、M3、M4、M5*によって電子部品実装システム1を構成した例を示している。ここで、電子部品搭載装置M2、M3、M4は、図4に示すように、第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bのいずれにもテープフィーダ29が装着されたタイプの電子部品搭載装置であり、電子部品搭載装置M5*は、図5に示すように、一方側の第2の部品供給部26Bにトレイフィーダ30が装着されたタイプの電子部品搭載装置である。すなわち、この実施例1では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも1つは、作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって、トレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4に搭載する電子部品搭載装置となっている。
【0043】
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部50が、電子部品搭載装置M5*に対して選択的に実行すべき作業モードとして、第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M2、M3、M4に対しては、第1の作業モードが指令される。そして部品搭載作業が開始されると、図8(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M2によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。
【0044】
すなわちまず電子部品搭載装置M2の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M2に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印a)。次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印b)。そして電子部品搭載装置M2による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M3、M4へ渡され、電子部品搭載装置M3、M4においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
【0045】
図8(b)は、電子部品搭載装置M4による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が、電子部品搭載装置M5*に搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M4に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M4の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印c)。そして電子部品搭載装置M5*の第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印d)。そしてこの部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印e)。
【0046】
次いで図8(c)に示すように、電子部品搭載装置M5*における部品搭載作業、検査処理作業が終了した基板4(1)は、下流側へ搬出される(矢印h)。また電子部品搭載装置M4による部品搭載作業が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M5*に搬入される。そして電子部品搭載装置M5*の第2実装レーンL2において、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印g)。そしてこの部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印f)。
【0047】
次に、図9,図10に示す実施例2は、図8に示す実施例ににおいては1基のみであった電子部品搭載装置M5*を2基(上流側から電子部品搭載装置M5*(1)、M5*(2))連結した構成を示している。なお、電子部品搭載装置がさらに多数基連結されるような場合には、電子部品搭載装置M5*の数はさらに多数基が必要となる場合がある。すなわち、この実施例2では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも2つは、作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって、トレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4に搭載する電子部品搭載装置となっている。
【0048】
そして2基の電子部品搭載装置M5*(1)、電子部品搭載装置M5*(2)は、トレイフィーダ30がいずれも第2の部品供給部26Bに装着されて、第2の基板搬送機構側に集中して配置された形態となっている。もちろん、レイアウト都合によっては、トレイフィーダ30をいずれも第1の部品供給部26Aに装着して、第1の搬送機構側に集中して配置する形態でも差し支えなく、第1の基板搬送機構または第2の基板搬送機構のいずれか一方側に集中して配置されていればよい。これにより、通常のテープフィーダを備えた部品供給部よりも占有スペースが大きいトレイフィーダ30が一方側にのみ配置されることとなり、トレイフィーダ30が両側に張り出すことによる実装ライン占有エリアの増大を防止することができる。
【0049】
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部50が、2基の電子部品搭載装置M5*(1)、M5*(2)に対して選択的に実行すべき作業モードとして第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M2、M3、M4に対しては、実施例1と同様に第1の作業モードが指令される。ここで、2基の電子部品搭載装置M5*のうち、上流側に位置する電子部品搭載装置M5*(1)は、第1実装レーンL1を対象として、すなわち第1の基板搬送機構22Aの基板保持部22a(図5参照)に保持された基板4、さらに電子部品搭載装置M5*(2)は、第2の基板搬送機構22Bの基板保持部22a(図5参照)に保持された基板4を対象として、第2の作業モードによる部品搭載作業を行うように、制御指令がなされる。
【0050】
そして部品搭載作業が開始されると、図9(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M2によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは図8に示す例と同様に、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。すなわちまず電子部品搭載装置M2の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M2に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印i)。
【0051】
次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印j)。そして電子部品搭載装置M2による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M3、M4へ渡され、電子部品搭載装置M3、M4においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
【0052】
図9(b)は、電子部品搭載装置M4による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が、電子部品搭載装置M5*(1)に搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M4に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M4の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印k)。そして電子部品搭載装置M5*(1)の第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印l)。この部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印m)。
【0053】
次いで図10(a)に示すように、電子部品搭載装置M5*(1)における部品搭載作業、検査処理作業が終了した基板4(1)は下流側へ搬送されて電子部品搭載装置M5*(2)に搬入されるが、電子部品搭載装置M5*(2)は第2の作業モードにおいて、第2実装レーンL2のみを作業対象とするように設定されているため、第1実装レーンL1によって搬送される当該基板4(1)は電子部品搭載装置M5*(2)をパスする(矢印n)。また電子部品搭載装置M4における部品搭載作業が終了した基板4(2)は下流側へ搬送されて電子部品搭載装置M5*(1)に搬入されるが、電子部品搭載装置M5*(1)は第2の作業モードにおいて、第1実装レーンL1のみを作業対象とするように設定されているため、第2実装レーンL2によって搬送される当該基板4(2)は、同様に電子部品搭載装置M5*(1)をパスする(矢印o)。
【0054】
そしてこの後、図10(b)に示すように、電子部品搭載装置M5*(2)をパスした基板4(1)は、下流側へ搬出される(矢印p)。また電子部品搭載装置M5*(1)をパスした基板4(2)は、電子部品搭載装置M5*(2)に搬入され、電子部品搭載装置M5*(2)の第2実装レーンL2においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印q)。そしてこの部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印r)。そして電子部品搭載装置M5*(2)による基板4(2)を対象とする部品搭載動作が完了すると、基板4(2)は同様に下流側に搬出される。
【0055】
このように、交互実装用のトレイフィーダ30を備える電子部品搭載装置M5*を各実装レーン毎に設けるライン構成とすることにより、一方側の実装レーンの電子部品搭載装置5*においてトレイフィーダ30のトレイ交換などの機種切り替え作業を実行中でも、他方側の実装レーンでは他のトレイフィーダ30から取り出したトレイ部品を実装することができる。
【0056】
次に図11に示す実施例3は、図1に示す装置レイアウトのうち、塗布・検査装置M1、電子部品搭載装置M2、M3、M4によって電子部品実装システム1を構成した例を示している。ここで、塗布・検査装置M1には、第1実装レーンL1に塗布ヘッド16を備えた樹脂塗布機構が設けられ、第2実装レーンL2に検査ヘッド15を備えた検査処理機構が設けられている(図2参照)。また電子部品搭載装置M2、M3、M4は、第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bのいずれにもテープフィーダ29が装着されたタイプの電子部品搭載装置である(図4参照)。すなわち、この実施例1では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも1つは、作業動作機構としての基板検査機構の検査ヘッド15によって基板4を撮像して所定の検査を行う検査装置または作業動作機構としての樹脂塗布機構の塗布ヘッド16によって基板4に電子部品接合用の樹脂接着剤19を塗布する樹脂塗布装置となっている。本実施の形態においては、検査装置、樹脂塗布装置の機能を併せ備えた塗布・検査装置M1を用いる例を示している。
【0057】
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部50が、塗布・検査装置M1に対して選択的に実行すべき作業モードとして、第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M2、M3、M4に対しては、第1の作業モードを指令する。そして部品搭載作業が開始されると、図11(a)に示すように、最上流の塗布・検査装置M1によって第2の作業モードに従った作業動作が実行される。ここでは、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。
【0058】
すなわちまず塗布・検査装置M1の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、まず塗布・検査装置M1に備えられた検査処理機構の検査ヘッド15によって基板4(1)を対象とする基板検査作業が実行される(矢印s)。次いで、同一の基板4(1)を対象として、樹脂塗布機構の塗布ヘッド16によって樹脂塗布作業が、基板検査作業と交互に実行される(矢印t)。次いで、図11(b)に示すように、塗布・検査装置M1の第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、同様に第2の作業モードに従った作業動作が実行される。まず塗布・検査装置M1に備えられた検査処理機構の検査ヘッド15によって基板4(2)を対象とする基板検査作業が実行される(矢印u)。次いで、同一の基板4(1)を対象として、樹脂塗布機構の塗布ヘッド16によって樹脂塗布作業が、基板検査作業と交互に実行される(矢印v)。
【0059】
このとき、第1実装レーンL1にて塗布・検査装置M1による樹脂塗布、検査処理が完了した後の基板4(1)は、電子部品搭載装置M2に搬入される。ここでは、第1の作業モードに従った部品搭載作業が基板4(1)を対象として実行される。すなわち、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印w)。そしてこの後、図11(c)に示すように、第2実装レーンL2にて塗布・検査装置M1による樹脂塗布、検査処理が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M2に搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印x)。このとき、第1実装レーンL1にて電子部品搭載装置M2による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)は、既に電子部品搭載装置M3に搬入されており、ここで第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印y)。そしてこれ以降、下流側の各装置へ搬送された基板4(1)、基板4(2)を対象として、第1の作業モードに従った部品搭載作業が順次実行される。
【0060】
なお上述の3つの実施例においては、搭載・検査装置M6を含んだ構成については言及されていないが、搭載・検査装置M6についても、塗布・検査装置M1と同様に第1実装レーンL1と第2実装レーンとによって作業動作機構の構成が異なることから、実施例3における塗布・検査装置M1と同様に、第2の作業モードが適用される。
【0061】
上記説明したように本発明は、複数の実装レーンを備えた複数の部品実装用装置を連結した構成の電子部品実装システム1において、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部に保持された複数の基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうちいずれかを選択的に実行可能な構成としたものである。これにより、生産対象の基板種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能となり、フレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の電子部品実装システムおよび電子部品実装方法は、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能で、フレキシブルで生産効率にすぐれるという利点を有し、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 電子部品実装システム
2 LANシステム
12A,22A,42A 第1の基板搬送機構
12B,22B、42B 第2の基板搬送機構
12a、22a、42a 基板保持部
15 検査ヘッド
16 塗布ヘッド
25A 第1の搭載ヘッド
25B 第2の搭載ヘッド
26A 第1の部品供給部
26B 第2の部品供給部
29 テープフィーダ
30 トレイフィーダ
45 搭載ヘッド
M1 塗布・検査装置
M2、M3、M4、M5* 電子部品搭載装置
M6 搭載・検査装置
L1 第1実装レーン
L2 第2実装レーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装システムおよび電子部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装して実装基板を製造する電子部品実装システムは、半田接合用のペーストが印刷された後の基板を対象として、部品搭載や検査など各種の部品実装関連の作業を実行する複数の部品実装用装置を連結して構成されている。このような部品実装用装置として、2つの基板搬送機構およびそれぞれの基板搬送機構に個別に対応した2つの作業動作機構を備えた構成の装置が知られている。このような構成とすることにより、2つの作業動作機構に、それぞれ対応した1つの基板搬送機機構に保持された基板を対象として作業を実行させるいわゆる独立作業モードと、2つの基板搬送機機構に保持されたいずれの基板をも対象として交互に作業を実行させるいわゆる交互作業モードとのいずれかを実行すべき生産モードとして選択することができる(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、基板に部品を実装する部品実装作業において、これら生産モードのいずれが当該基板に適しているかを、基板・部品に関する実装情報に基づいて自動的に判断するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−239257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年電子業界においては生産形態の多様化が進展し、部品実装の生産現場においても、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能な、フレキシブルな電子部品実装システムが望まれるようになっている。このため前述構成の電子部品実装システムにおいては、独立作業モード、交互作業モードの2つの生産モードを適切に組み合わせて、部品実装システムの生産効率を極力向上させることが求められる。しかしながら、前述の特許文献に示す先行技術には、個別の基板についていずれの生産モードが適しているかを判断することが開示されているのみで、効率的な電子部品実装システムの具体的な構成については何ら開示されておらず、フレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能なフレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品実装システムは、基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムであって、前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、さらに、前記部品実装用装置のそれぞれにおいて選択的に実行すべき前記作業モードを、各部品実装用装置に対して指令するモード指令部を備え、前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、前記モード指令部は、前記検査装置または樹脂塗布装置に対して前記第2の作業モードを指令する。
【0007】
本発明の電子部品実装方法は、部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムによって基板に電子部品を実装する電子部品実装方法であって、前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、前記部品実装用作業の実行に際し、前記前記検査装置または樹脂塗布装置に対して選択的に実行すべき作業モードとして前記第2の作業モードを指令する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の電子部品実装用装置を連結した構成の電子部品実装システムにおいて、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部に保持された複数の基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうちいずれかを選択的に実行可能な構成とし、さらに部品実装用装置のうち少なくとも1つは、作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置とすることにより、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能となり、フレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムの構成説明図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける塗布・検査装置の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける塗布・検査装置の機能説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける電子部品搭載装置の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける電子部品搭載装置の構成説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムにおける搭載・検査装置の構成説明図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図9】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図10】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【図11】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、電子部品実装システムの構成について説明する。電子部品実装システム1は、電子部品が実装された実装基板を製造する機能を有するものであり、上流側から供給される電子部品接合用のペーストが印刷された基板を対象として、基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成されている。すなわち電子部品実装システム1は、上流側(図1において左側)から、部品実装用装置である塗布・検査装置M1,電子部品搭載装置M2〜M5*、搭載・検査装置M6の各装置を直線状に基板搬送方向(X方向)に連結して構成されている。これらの各装置は、LANシステム2を介してホストコンピュータ3に接続され、ホストコンピュータ3は電子部品実装システム1の各装置による部品実装用作業を統括して制御する。
【0011】
塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の各装置は、上流側装置から受け渡された基板4(図2参照)を基板搬送方向にそれぞれ個別に搬送し、これらの基板4を位置決めして保持する基板保持部(図2、図4、図5に示す基板保持部12a、22a、42a参照)を有する複数(ここでは2条)の基板搬送機構を備えている。各装置においてそれぞれの基板搬送機構には、検査処理機構や部品搭載機構などの作業動作機構が対応している。したがって各装置においてそれぞれの基板搬送機構によって搬送され基板保持部に位置決め保持された基板4に対して、対応する作業動作機構によって同時並行的に部品実装用作業を実行することが可能となっている。また1つの作業動作機構によって、複数の基板搬送機構の基板保持部に位置決め保持された基板4を順次作業対象とすることもできる。
【0012】
各装置における基板搬送機構を連結して形成される基板搬送レーンは、対応する作業動作機構と組み合わされて、基板4を搬送しながらこの基板4に対して実装のための作業を行う実装レーンを構成する。本実施の形態に示す電子部品実装システム1においては、各装置は2つの基板搬送機構を備えていることから、2つの個別の第1実装レーンL1(前側実装レーン)、第2実装レーンL2(後側実装レーン)が形成されている。すなわち電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板4を基板搬送方向に搬送し、基板4を位置決めして保持する基板保持部を有する複数の基板搬送機構と、これらの基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられ基板保持部に保持された基板4を対象として所定の作業動作を実行する複数の作業動作機構とを備えて構成となっている。
【0013】
以下、電子部品実装システム1を構成する各装置の構造を説明する。まず、図2を参照して、塗布・検査装置M1の構成について説明する。図2(a)に示すように、基台11の上面の中央には、それぞれ第1実装レーンL1、第2実装レーンL2を構成する第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12BがX方向に配設されている。第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bは、上流側装置から受け渡されたペースト印刷後の基板4をX方向に搬送する。第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bはそれぞれ基板保持部12aを有しており、搬送された基板4は基板保持部12aによって塗布・検査装置M1における作業位置に位置決め保持される。
【0014】
基台11の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル13がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル13には第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bが装着されている。図2(b)に示すように、X軸移動テーブル14A、14BはY軸移動テーブル13の側面に配設されたガイドレール13aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル13に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して、作業ヘッドとしての塗布ヘッド16、検査ヘッド15が装着されている。塗布ヘッド16、検査ヘッド15は、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bに内蔵されたリニアモータ機構によってそれぞれX方向に駆動される。Y軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル14A、第2のX軸移動テーブル14Bは、塗布ヘッド16、検査ヘッド15を移動させるためのヘッド移動機構となっている。
【0015】
塗布ヘッド16は、垂直ベース部16aにディスペンサ16bを昇降自在に保持させた構成となっており、ディスペンサ16bは下部に装着されたノズル16cから電子部品接合用の樹脂接着剤を吐出する機能を有している。塗布ヘッド16をヘッド移動機構によって第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aによって位置決め保持された基板4の上方に移動させることにより、基板4上の任意の樹脂塗布点に樹脂接着剤を塗布することができる。
【0016】
第1の基板搬送機構12Aの側方には、塗布ヘッド16とともに使用される捨て打ちユニット17Aが配置されている。塗布ヘッド16を捨て打ちユニット17A上に移動させてディスペンサ16bを捨て打ちユニット17Aに対して下降させることにより、樹脂接着剤の吐出状態を確認するための試し打ちや、ノズル16cに付着した不要な樹脂接着剤を除去するための捨て打ちが行われる。
【0017】
検査ヘッド15は、検査対象の基板4を撮像するための撮像装置を内蔵しており、ヘッド移動機構によって第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bの基板保持部12aによって位置決め保持された基板4の上方に移動して検査対象の基板4を撮像する。基台11に対して側方から装着された台車18には、認識処理ユニット18aが内蔵されている。検査ヘッド15によって撮像された画像は認識処理ユニット18aによって認識処理され、これにより所定の検査項目についての画像認識による検査が行われる。また第2の基板搬送機構12Bの側方には、較正ユニット17Bが設けられている。検査ヘッド15を較正ユニット17B上に移動させて較正ユニット17Bを撮像することにより、検査ヘッド15による画像取得時の撮像状態が較正される。
【0018】
次に図3を参照して、塗布・検査装置M1における作業動作を説明する。図3(a)において、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bには基板4が保持されている。ここではまず第1の基板搬送機構12Aに保持された基板4が検査対象となっており、検査ヘッド15はこの基板4の上方に移動して基板4の検査対象となる位置を撮像する。次に、図3(b)に示すように、検査ヘッド15を検査対象の基板4の上方から退避させたならば、塗布ヘッド16を基板4の上方に進出させて、次いでディスぺンサ16bを下降させて、ノズル16cによって樹脂接着剤19を基板4の上面の塗布点に塗布する。
【0019】
この後塗布ヘッド16を基板4の上方から退避させた後、検査ヘッド15を再度基板4の上方に進出させて、樹脂接着剤19が塗布された状態の基板4を撮像する。そして撮像結果を認識処理ユニット18aによって認識処理することにより、樹脂塗布前における基板4の状態を検査する塗布前検査および樹脂塗布後の状態を対象とする塗布後検査が行われる。このとき、塗布前検査、塗布動作および塗布後検査において、基板4を移動させることなく、塗布動作および検査処理を完了させることが可能となっている。なお塗布・検査装置M1における検査の態様は様々であり、図3に示すように、塗布前検査と塗布後検査の双方を行う態様以外にも、塗布前検査と塗布後検査のいずれかのみを実行する態様であってもよい。
【0020】
また図3に示す例では、第1の基板搬送機構12Aに保持された基板4のみを対象とした塗布動作・検査動作の例を示したが、第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bに対象となる基板4が同時に保持されている場合には、2つの基板4が塗布動作・検査動作の対象となる。この場合には、これら2つの基板4を対象として最も効率的に塗布動作・検査動作を行うことが可能となるような動作パターンが用いられる。
【0021】
上記塗布・検査装置M1の構成において、Y軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル14Aおよび塗布ヘッド16は、複数の基板搬送機構によって搬送される複数の基板4を対象として部品実装用作業である樹脂の塗布動作を実行する作業動作機構としての樹脂塗布機構を構成する。またY軸移動テーブル13、第1のX軸移動テーブル1BAおよび検査ヘッド15は、複数の基板搬送機構によって搬送される複数の基板を対象として部品実装用作業である基板検査を実行する作業動作機構としての検査処理機構を構成する。このように、樹脂塗布機構および検査処理機構を複数の基板搬送機構と組み合わせて塗布・検査装置M1を構成することにより、複数の個別実装レーンを備えた電子部品実装システム1において2つの機能を1つの装置スペースでコンパクトに組み込むことが可能となっている。
【0022】
次に、図4を参照して、電子部品搭載装置M2〜M4の構成を説明する。なお電子部品搭載装置M2〜M4は同一構造である。図4(a)において、基台21の上面の中央には、それぞれ第1実装レーンL1,第2実装レーンを構成する第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22BがX方向に配設されている。第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bは、塗布・検査装置M1の第1の基板搬送機構12A、第2の基板搬送機構12Bから搬出された塗布・検査後の基板4を受け取って搬送する。第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bはそれぞれ基板保持部22aを有しており、搬送された基板4は基板保持部22aによって電子部品搭載装置M2〜M4における作業位置に位置決め保持される。
【0023】
基台21の両側方には、実装対象の部品を供給する第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bが設けられており、第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bには、複数のテープフィーダ29が装着された台車27が配置されている。台車27には実装対象の電子部品を保持したキャリアテープTを巻回収納したテープ供給リール28が各テープフィーダ29に対応して装着されている。テープフィーダ29は、テープ供給リール28から引き出されたキャリアテープTをピッチ送りすることにより、以下に説明する部品搭載機構による取り出し位置に電子部品を供給する。
【0024】
基台21の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル23がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル23には第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24Bが装着されている。図4(b)に示すように、第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24BはY軸移動テーブル23の側面に配設されたガイドレール23aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル23に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して作業ヘッドとしての第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bが装着されている。第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bは、第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24Bに内蔵されたリニアモータ機構によってX方向に駆動される。Y軸移動テーブル23、第1のX軸移動テーブル24A、第2のX軸移動テーブル24Bは、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bを移動させるためのヘッド移動機構となっている。
【0025】
第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bは、下部に複数の吸着ノズル25aを着脱自在に装着した構成となっており、ヘッド移動機構によって移動して吸着ノズル25aによって電子部品をテープフィーダ29から取り出して基板4に移送搭載する。第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bおよび前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である部品搭載作業を実行する複数の作業動作機構としての部品搭載機構(第1の部品搭載機構、第2の部品搭載機構)を構成する。
【0026】
第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bのそれぞれとテープフィーダ29との間には、第1の部品認識カメラ27Aおよび第2の部品認識カメラ27Bが配置されている。第1の部品認識カメラ27A、第2の部品認識カメラ27Bは、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bの移動経路に位置して、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bによって保持された電子部品を下方から撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bによって保持された状態の電子部品の位置ずれが検出される。
【0027】
次に、図5を参照して、電子部品搭載装置M5*の構成および機能を説明する。電子部品搭載装置M5*は、図4に示す電子部品搭載装置M2〜M4において、一方側の第2の部品供給部26Bに、テープフィーダ29が装着された台車27に替えて、大型の電子部品が格納されたトレイ32を供給する機能を有するトレイフィーダ30をセットしたものである。トレイフィーダ30は、図5(b)に示すように、パレット(図示省略)に保持された複数のトレイ32を収納するトレイ収納部31を備えており、トレイ収納部31からトレイ保持部33によってトレイ32を引き出して、第1の搭載ヘッド25Aによるピックアップ位置まで移動させる機能を有している。部品搭載動作においては、第1の搭載ヘッド25Aは吸着ノズル2525aによってトレイ32から電子部品を取り出し、第1の基板搬送機構22A、第2の基板搬送機構22Bの基板保持部22aの位置決め保持された基板4に移送搭載する。すなわち電子部品搭載装置M5*においては、第2の部品搭載機構に対応する第2の部品供給部26Bにトレイフィーダ30を配置した構成となっている。第2の部品供給部26B以外の構成および機能については、電子部品搭載装置M2〜M4と同様である。
【0028】
次に、図6を参照して、搭載・検査装置M6の構成および機能を説明する。基台41の上面の中央には、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42BがX方向に配設されている。第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bは、電子部品搭載装置M5*の第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bから搬出された部品搭載後の基板4を受け取って搬送する。第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bはそれぞれ基板保持部42aを有しており、搬送された基板4は基板保持部42aによって搭載・検査装置M6における作業位置に位置決め保持される。基台41の一方側には、図2に示す台車18が配置されており、反対側には図4に示す台車27が配置されている。
【0029】
基台41の上面においてX方向の下流側の端部には、Y軸移動テーブル43がY方向に配設されている。Y軸移動テーブル43には第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44Bが装着されている。第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44BはY軸移動テーブル43の側面に配設されたガイドレール43aに沿ってY方向にスライド自在となっており、Y軸移動テーブル43に内蔵されたリニアモータ機構によってY方向に駆動される。第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44BにはそれぞれX軸移動装着ベースを介して作業ヘッドとしての搭載ヘッド45、検査ヘッド15が装着されている。搭載ヘッド45、検査ヘッド15は、第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44Bに内蔵されたリニアモータ機構によってX方向に駆動される。Y軸移動テーブル43、第1のX軸移動テーブル44A、第2のX軸移動テーブル44Bは、搭載ヘッド45、検査ヘッド15を移動させるためのヘッド移動機構となっている。
【0030】
搭載ヘッド45は下部に複数の吸着ノズル45aを着脱自在に装着した構成となっており、電子部品搭載装置M2〜M4における第1の搭載ヘッド25A、第2の搭載ヘッド25Bと同様に、ヘッド移動機構によって移動してテープフィーダ29から取り出した電子部品を第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送され基板保持部42aに位置決め保持された基板4に移送搭載する。搭載ヘッド45および前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である部品搭載作業を実行する作業動作機構を構成する。
【0031】
検査ヘッド15は、図2,図3における検査ヘッド15と同様の機能を有しており、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送された部品搭載後の基板4を撮像する。この撮像結果を認識処理ユニット18aによって認識処理することにより、基板4における電子部品の搭載状態の良否を判定するための搭載後検査が行われる。検査ヘッド15および前述のヘッド移動機構は、第1の基板搬送機構42A、第2の基板搬送機構42Bによって搬送される複数の基板4のそれぞれを対象として,部品実装用作業である基板検査作業を実行する作業動作機構を構成する。そして搭載後検査を経た部品実装済みの基板4は、下流側に接続されたリフロー装置に搬入され、ここで基板4を加熱することにより、電子部品を基板4の回路電極に半田接合する。
【0032】
上記電子部品実装システム1の構成において、塗布・検査装置M1における第1の基板搬送機構12A、電子部品搭載装置M2〜M5*における第1の基板搬送機構22A、搭載・検査装置M6における第1の基板搬送機構42Aを連結して形成される搬送レーンおよびこの搬送レーンに対応して設けられた各作業動作機構は、第1実装レーンL1を形成する。同様に、塗布・検査装置M1における第2の基板搬送機構12B、電子部品搭載装置M2〜M5*における第2の基板搬送機構22B、搭載・検査装置M6における第2の基板搬送機構42Bを連結して形成される搬送レーンおよびこの搬送レーンに対応して設けられた各作業動作機構は、第2実装レーンL2を形成する。
【0033】
本実施の形態における部品実装用装置である上述の塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の構成において、各装置はいずれも上流側装置から受け渡された基板4を基板搬送方向に搬送し、基板4を位置決めして保持する基板保持部12a、22a、42aを有する複数の基板搬送機構(第1の基板搬送機構12A、22A、42Aおよび第2の基板搬送機構12B、22B、42B)と、これら基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられ、基板保持部12a、22a、42aに保持された基板4を対象として所定の作業動作を実行する複数の作業動作機構とを備えた構成となっている。
【0034】
上述構成において、いずれの装置においても、2つの基板搬送機構のそれぞれには、1つの作業動作機構が対応して設けられている。これらの作業動作機構の構成において、作業ヘッドは1対の作業動作機構について共通に設けられたY軸移動テーブル13,23,43によって2つの基板搬送機構のいずれの上方にも移動可能となっていることから、それぞれの作業動作機構が作業対象とすることが可能な基板4は,必ずしも当該作業動作機構に対応する基板搬送機構に位置決め保持された基板4には限定されない。
【0035】
このため、本実施の形態に示す電子部品実装システム1においては、各装置において、作業制御部61(図7参照)によって複数の基板搬送機構および複数の作業動作機構を制御することにより、以下に説明する2つの作業モードを選択して実行させるようにしている。すなわち、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部12a、22a、42aに保持された基板4のみを対象として、各実装レーン毎に独立して作業動作を実行させる第1の作業モード(いわゆる独立作業モード)と、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部12a、22a、42aに保持された複数の基板4のいずれをも対象として、各実装レーンを交互に作業対象として作業動作を実行可能な第2の作業モード(いわゆる交互作業モード)とを、選択的に実行させるようにしている。これにより、生産対象とする基板種の特性や生産ロット数に対応したフレキシブルな生産形態を選択できるようになっている。
【0036】
次に、図7を参照して電子部品実装システム1の制御系の構成を説明する。図7において、ホストコンピュータ3はモード指令部50、制御部51、通信部52、記憶部53、操作・入力部54、表示部55を備えている。モード指令部50は、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置である塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6のそれぞれにおいて、選択的に実行すべき作業モードを、各装置に対して指令する。すなわち、モード指令部50からLANシステム2を介してモード指令が送られることにより、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6はそれぞれ指定された作業モードにしたがって、作業動作を実行する。制御部51は、電子部品実装システム1を構成する各装置よって実行される作業動作を統括して制御する。
【0037】
通信部52は、電子部品実装システム1を構成する塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6との間で信号の授受をLANシステム2を介して行う。記憶部53は電子部品実装システム1の各装置において対象となる各基板品種について、作業動作を実行するために必要な作業データおよび作業プログラム、すなわち各基板を対象として検査,樹脂塗布、部品実装,実装後検査などの実行するためのデータやプログラムのほか、前述の作業モードに関する情報を記憶する。すなわち、記憶部53は作業モード記憶部56を含んでおり、作業モード記憶部56には,前述の第1の作業モード、第2の作業モードを実行するための第1の作業モードデータ56a、第2の作業モードデータ56bが記憶されている。
【0038】
操作・入力部54は、タッチパネルなどの入力装置であり、電子部品実装システム1を管理するライン管理者が各種の操作指示を入力する。この操作指示には、前述の作業モードの指示が含まれる。すなわち、ライン管理者が操作・入力部54から作業モード指示を入力することにより、モード指令部50による作業モードの指令が行われる。表示部55は液晶パネルなどの表示パネルであり、操作指示入力時の案内画面や、基板品種切り替え時に必要となる段取り替え作業の指示などの表示を行う。
【0039】
次に、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の制御系について説明する。塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6は、通信部60、作業制御部61、作業データ記憶部62を備えている。通信部60はLANシステム2に接続されており、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6とホストコンピュータ3との間での信号やデータの授受が行われる。これにより、ホストコンピュータ3の記憶部53に記憶された作業データのうち、当該装置にて実行対象となる作業動作を実行するために必要な作業データおよび作業プログラムが作業データ記憶部62に書き込まれる。
【0040】
作業制御部61は、LANシステム2を介してホストコンピュータ3のモード指令部50から指令されたモード指令信号に基づき、作業データ記憶部62に記憶された作業データを参照して、第1の基板搬送機構12A、22A、42Aおよび第2の基板搬送機構12B、22B、42B、第1の作業動作機構63、第2の作業動作機構64を制御する。ここで第1の作業動作機構63、第2の作業動作機構64は、それぞれ第1実装レーンL1,第2実装レーンL2に付随する作業動作機構である。これにより、塗布・検査装置M1〜搭載・検査装置M6の各装置において、ホストコンピュータ3より指令された第1の作業モードデータ56a、第2の作業モードデータ56bに基づく作業動作が実行される。
【0041】
電子部品実装システム1は上記のように構成されており、電子部品実装システム1による電子部品実装方法について説明する。前述のように、本実施の形態に示す電子部品実装システム1は、よりフレキシブルな生産形態を実現することを目的として構成されているため、実際の適用例においては種々のバリエーションが生産対象に応じて適宜採用される。以下、3種類の実施例を示して、これらのバリエーションについて、図8〜図11を参照して説明する。
【0042】
まず図8に示す実施例1は、塗布・検査装置M1を設けることなく、4基の電子部品搭載装置M2、M3、M4、M5*によって電子部品実装システム1を構成した例を示している。ここで、電子部品搭載装置M2、M3、M4は、図4に示すように、第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bのいずれにもテープフィーダ29が装着されたタイプの電子部品搭載装置であり、電子部品搭載装置M5*は、図5に示すように、一方側の第2の部品供給部26Bにトレイフィーダ30が装着されたタイプの電子部品搭載装置である。すなわち、この実施例1では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも1つは、作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって、トレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4に搭載する電子部品搭載装置となっている。
【0043】
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部50が、電子部品搭載装置M5*に対して選択的に実行すべき作業モードとして、第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M2、M3、M4に対しては、第1の作業モードが指令される。そして部品搭載作業が開始されると、図8(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M2によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。
【0044】
すなわちまず電子部品搭載装置M2の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M2に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印a)。次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印b)。そして電子部品搭載装置M2による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M3、M4へ渡され、電子部品搭載装置M3、M4においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
【0045】
図8(b)は、電子部品搭載装置M4による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が、電子部品搭載装置M5*に搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M4に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M4の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印c)。そして電子部品搭載装置M5*の第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印d)。そしてこの部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印e)。
【0046】
次いで図8(c)に示すように、電子部品搭載装置M5*における部品搭載作業、検査処理作業が終了した基板4(1)は、下流側へ搬出される(矢印h)。また電子部品搭載装置M4による部品搭載作業が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M5*に搬入される。そして電子部品搭載装置M5*の第2実装レーンL2において、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印g)。そしてこの部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印f)。
【0047】
次に、図9,図10に示す実施例2は、図8に示す実施例ににおいては1基のみであった電子部品搭載装置M5*を2基(上流側から電子部品搭載装置M5*(1)、M5*(2))連結した構成を示している。なお、電子部品搭載装置がさらに多数基連結されるような場合には、電子部品搭載装置M5*の数はさらに多数基が必要となる場合がある。すなわち、この実施例2では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも2つは、作業動作機構としての部品搭載機構の搭載ヘッドによって、トレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4に搭載する電子部品搭載装置となっている。
【0048】
そして2基の電子部品搭載装置M5*(1)、電子部品搭載装置M5*(2)は、トレイフィーダ30がいずれも第2の部品供給部26Bに装着されて、第2の基板搬送機構側に集中して配置された形態となっている。もちろん、レイアウト都合によっては、トレイフィーダ30をいずれも第1の部品供給部26Aに装着して、第1の搬送機構側に集中して配置する形態でも差し支えなく、第1の基板搬送機構または第2の基板搬送機構のいずれか一方側に集中して配置されていればよい。これにより、通常のテープフィーダを備えた部品供給部よりも占有スペースが大きいトレイフィーダ30が一方側にのみ配置されることとなり、トレイフィーダ30が両側に張り出すことによる実装ライン占有エリアの増大を防止することができる。
【0049】
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部50が、2基の電子部品搭載装置M5*(1)、M5*(2)に対して選択的に実行すべき作業モードとして第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M2、M3、M4に対しては、実施例1と同様に第1の作業モードが指令される。ここで、2基の電子部品搭載装置M5*のうち、上流側に位置する電子部品搭載装置M5*(1)は、第1実装レーンL1を対象として、すなわち第1の基板搬送機構22Aの基板保持部22a(図5参照)に保持された基板4、さらに電子部品搭載装置M5*(2)は、第2の基板搬送機構22Bの基板保持部22a(図5参照)に保持された基板4を対象として、第2の作業モードによる部品搭載作業を行うように、制御指令がなされる。
【0050】
そして部品搭載作業が開始されると、図9(a)に示すように、最上流の電子部品搭載装置M2によって第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。ここでは図8に示す例と同様に、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。すなわちまず電子部品搭載装置M2の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、電子部品搭載装置M2に備えられた第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印i)。
【0051】
次いで第1実装レーンL1における部品搭載作業と独立して、第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印j)。そして電子部品搭載装置M2による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)、基板4(2)は、順次下流側の電子部品搭載装置M3、M4へ渡され、電子部品搭載装置M3、M4においても同様に、第1の作業モードに従った部品搭載作業が実行される。
【0052】
図9(b)は、電子部品搭載装置M4による部品搭載作業が先に完了した基板4(1)が、電子部品搭載装置M5*(1)に搬入され、後続基板である基板4(2)がまだ電子部品搭載装置M4に滞留して作業対象となっている状態を示している。すなわち、電子部品搭載装置M4の第2実装レーンL2においては、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印k)。そして電子部品搭載装置M5*(1)の第1実装レーンL1においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印l)。この部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(1)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印m)。
【0053】
次いで図10(a)に示すように、電子部品搭載装置M5*(1)における部品搭載作業、検査処理作業が終了した基板4(1)は下流側へ搬送されて電子部品搭載装置M5*(2)に搬入されるが、電子部品搭載装置M5*(2)は第2の作業モードにおいて、第2実装レーンL2のみを作業対象とするように設定されているため、第1実装レーンL1によって搬送される当該基板4(1)は電子部品搭載装置M5*(2)をパスする(矢印n)。また電子部品搭載装置M4における部品搭載作業が終了した基板4(2)は下流側へ搬送されて電子部品搭載装置M5*(1)に搬入されるが、電子部品搭載装置M5*(1)は第2の作業モードにおいて、第1実装レーンL1のみを作業対象とするように設定されているため、第2実装レーンL2によって搬送される当該基板4(2)は、同様に電子部品搭載装置M5*(1)をパスする(矢印o)。
【0054】
そしてこの後、図10(b)に示すように、電子部品搭載装置M5*(2)をパスした基板4(1)は、下流側へ搬出される(矢印p)。また電子部品搭載装置M5*(1)をパスした基板4(2)は、電子部品搭載装置M5*(2)に搬入され、電子部品搭載装置M5*(2)の第2実装レーンL2においては、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印q)。そしてこの部品搭載作業と交互に、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによってトレイフィーダ30から取り出した電子部品を基板4(2)に搭載する部品搭載作業が実行される(矢印r)。そして電子部品搭載装置M5*(2)による基板4(2)を対象とする部品搭載動作が完了すると、基板4(2)は同様に下流側に搬出される。
【0055】
このように、交互実装用のトレイフィーダ30を備える電子部品搭載装置M5*を各実装レーン毎に設けるライン構成とすることにより、一方側の実装レーンの電子部品搭載装置5*においてトレイフィーダ30のトレイ交換などの機種切り替え作業を実行中でも、他方側の実装レーンでは他のトレイフィーダ30から取り出したトレイ部品を実装することができる。
【0056】
次に図11に示す実施例3は、図1に示す装置レイアウトのうち、塗布・検査装置M1、電子部品搭載装置M2、M3、M4によって電子部品実装システム1を構成した例を示している。ここで、塗布・検査装置M1には、第1実装レーンL1に塗布ヘッド16を備えた樹脂塗布機構が設けられ、第2実装レーンL2に検査ヘッド15を備えた検査処理機構が設けられている(図2参照)。また電子部品搭載装置M2、M3、M4は、第1の部品供給部26A、第2の部品供給部26Bのいずれにもテープフィーダ29が装着されたタイプの電子部品搭載装置である(図4参照)。すなわち、この実施例1では、電子部品実装システム1を構成する部品実装用装置のうち少なくとも1つは、作業動作機構としての基板検査機構の検査ヘッド15によって基板4を撮像して所定の検査を行う検査装置または作業動作機構としての樹脂塗布機構の塗布ヘッド16によって基板4に電子部品接合用の樹脂接着剤19を塗布する樹脂塗布装置となっている。本実施の形態においては、検査装置、樹脂塗布装置の機能を併せ備えた塗布・検査装置M1を用いる例を示している。
【0057】
そしてこのような構成の電子部品実装システム1による電子部品実装方法においては、まずホストコンピュータ3のモード指令部50が、塗布・検査装置M1に対して選択的に実行すべき作業モードとして、第2の作業モードを指令し、他の電子部品搭載装置M2、M3、M4に対しては、第1の作業モードを指令する。そして部品搭載作業が開始されると、図11(a)に示すように、最上流の塗布・検査装置M1によって第2の作業モードに従った作業動作が実行される。ここでは、第1実装レーンL1、第2実装レーンL2に時間差をおいてそれぞれ基板4が供給される場合の例を示している。
【0058】
すなわちまず塗布・検査装置M1の第1実装レーンL1に先行基板である基板4(1)が搬入され、まず塗布・検査装置M1に備えられた検査処理機構の検査ヘッド15によって基板4(1)を対象とする基板検査作業が実行される(矢印s)。次いで、同一の基板4(1)を対象として、樹脂塗布機構の塗布ヘッド16によって樹脂塗布作業が、基板検査作業と交互に実行される(矢印t)。次いで、図11(b)に示すように、塗布・検査装置M1の第2実装レーンL2に後続基板である基板4(2)が搬入され、同様に第2の作業モードに従った作業動作が実行される。まず塗布・検査装置M1に備えられた検査処理機構の検査ヘッド15によって基板4(2)を対象とする基板検査作業が実行される(矢印u)。次いで、同一の基板4(1)を対象として、樹脂塗布機構の塗布ヘッド16によって樹脂塗布作業が、基板検査作業と交互に実行される(矢印v)。
【0059】
このとき、第1実装レーンL1にて塗布・検査装置M1による樹脂塗布、検査処理が完了した後の基板4(1)は、電子部品搭載装置M2に搬入される。ここでは、第1の作業モードに従った部品搭載作業が基板4(1)を対象として実行される。すなわち、第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印w)。そしてこの後、図11(c)に示すように、第2実装レーンL2にて塗布・検査装置M1による樹脂塗布、検査処理が完了した後の基板4(2)は、電子部品搭載装置M2に搬入され、第2の部品搭載機構の第2の搭載ヘッド25Bによって基板4(2)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印x)。このとき、第1実装レーンL1にて電子部品搭載装置M2による部品搭載作業が完了した後の基板4(1)は、既に電子部品搭載装置M3に搬入されており、ここで第1の部品搭載機構の第1の搭載ヘッド25Aによって基板4(1)を対象とする部品搭載作業が実行される(矢印y)。そしてこれ以降、下流側の各装置へ搬送された基板4(1)、基板4(2)を対象として、第1の作業モードに従った部品搭載作業が順次実行される。
【0060】
なお上述の3つの実施例においては、搭載・検査装置M6を含んだ構成については言及されていないが、搭載・検査装置M6についても、塗布・検査装置M1と同様に第1実装レーンL1と第2実装レーンとによって作業動作機構の構成が異なることから、実施例3における塗布・検査装置M1と同様に、第2の作業モードが適用される。
【0061】
上記説明したように本発明は、複数の実装レーンを備えた複数の部品実装用装置を連結した構成の電子部品実装システム1において、一の作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の作業動作機構によって複数の基板搬送機構の基板保持部に保持された複数の基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうちいずれかを選択的に実行可能な構成としたものである。これにより、生産対象の基板種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能となり、フレキシブルで生産効率にすぐれた電子部品実装システムおよび電子部品実装方法を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の電子部品実装システムおよび電子部品実装方法は、生産対象の品種の特性に応じて多様な実装作業形態を適宜選択することが可能で、フレキシブルで生産効率にすぐれるという利点を有し、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 電子部品実装システム
2 LANシステム
12A,22A,42A 第1の基板搬送機構
12B,22B、42B 第2の基板搬送機構
12a、22a、42a 基板保持部
15 検査ヘッド
16 塗布ヘッド
25A 第1の搭載ヘッド
25B 第2の搭載ヘッド
26A 第1の部品供給部
26B 第2の部品供給部
29 テープフィーダ
30 トレイフィーダ
45 搭載ヘッド
M1 塗布・検査装置
M2、M3、M4、M5* 電子部品搭載装置
M6 搭載・検査装置
L1 第1実装レーン
L2 第2実装レーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムであって、
前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、
前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、
前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、
さらに、前記部品実装用装置のそれぞれにおいて選択的に実行すべき前記作業モードを、各部品実装用装置に対して指令するモード指令部を備え、
前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、
前記モード指令部は、前記検査装置または樹脂塗布装置に対して前記第2の作業モードを指令することを特徴とする電子部品実装システム。
【請求項2】
部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムによって基板に電子部品を実装する電子部品実装方法であって、
前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、
前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、
前記部品実装用作業の実行に際し、前記前記検査装置または樹脂塗布装置に対して選択的に実行すべき作業モードとして前記第2の作業モードを指令することを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項1】
基板に電子部品を実装する部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムであって、
前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、
前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、
前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、
さらに、前記部品実装用装置のそれぞれにおいて選択的に実行すべき前記作業モードを、各部品実装用装置に対して指令するモード指令部を備え、
前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、
前記モード指令部は、前記検査装置または樹脂塗布装置に対して前記第2の作業モードを指令することを特徴とする電子部品実装システム。
【請求項2】
部品実装用作業を行う複数の部品実装用装置を連結して構成された電子部品実装システムによって基板に電子部品を実装する電子部品実装方法であって、
前記部品実装用装置は、上流側装置から受け渡された基板を基板搬送方向に搬送し前記基板を位置決めして保持する基板保持部を有する第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構のそれぞれに対応して設けられそれぞれの基板保持部に保持された基板を対象として所定の作業動作を実行する第1の作業動作機構、第2の作業動作機構と、前記第1の基板搬送機構、第2の基板搬送機構および第1の作業動作機構、第2の作業動作機構を制御することにより、一の前記作業動作機構によってこの作業動作機構に対応した前記基板搬送機構の基板保持部に保持された基板のみを対象として作業動作を実行させる第1の作業モードと、一の前記作業動作機構によって当該基板搬送機構および他の基板搬送機構の基板保持部に保持された2つの基板のいずれをも対象として作業動作を実行可能な第2の作業モードとの2つの作業モードのうち、いずれかを選択的に実行させる作業制御部とを備え、
前記部品実装用装置のうち少なくとも1つは、前記作業動作機構としての基板検査機構の撮像カメラによって基板を撮像して所定の検査を行う検査装置または前記作業動作機構としての樹脂塗布機構によって基板に電子部品接合用の樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置であり、
前記部品実装用作業の実行に際し、前記前記検査装置または樹脂塗布装置に対して選択的に実行すべき作業モードとして前記第2の作業モードを指令することを特徴とする電子部品実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−124350(P2012−124350A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274301(P2010−274301)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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