説明

電子部品実装構造および電子部品実装方法

【課題】曲げやねじり等の応力による接合材のクラックの発生を抑制し、電子部品の電極と回路基板のパッドとの間の電気的な接続が切断されるのを低減する。
【解決手段】電子部品100の底面側電極121と回路基板200の第1のパッド電極221は第1の接合材310により接合される。電子部品100の側面側電極122と回路基板200の第2のパッド電極222は第2の接合材320により接合される。また、この接合とともに、第1の接合材310および第2の接合材320は、離間部900によって互いに離間されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電極を有する電子部品を回路基板に実装する電子部品実装構造および電子部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品を回路基板に実装する構造において、電子部品と回路基板との間の接合強度を上げる要求が高まってきている。
【0003】
ここで、一般的な電子部品の実装構造について、図に基づいて説明する。図11および図12は、一般的な電子部品の実装構造の一例を示す。図12は、一般的な電子部品の実装構造の接続部にクラックが形成される過程を説明するための図である。なお、図12は、図11のD部を拡大した図であって、電子部品実装構造の接合部の拡大断面図である。
【0004】
図11に示されるように、電子部品400が回路基板500上に実装されている。電子部品400は、当該電子部品400の本体410の両端部に電極420を有している。回路基板500は、少なくとも絶縁性基材510とパッド520を含んで形成されている。パッド520は、絶縁性基材510上に形成されており、電極420に対応する位置に設けられている。そして、電極420とパッド520との間は、はんだや導電性接着剤等の接合材600によって接合されている。
【0005】
なお、参考技術として、例えば、特許文献1には、SnとZnを含むはんだ材料を用いて電子部品を回路基板に実装する場合に、電子部品と回路基板とが接合する部分のCu表面の接合境界面にCuとSnの化合物等を形成する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、回路基板側のパッドを複数の部分に分離して形成することにより、曲げ応力による断線を抑止した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−260147号公報
【特許文献2】特開2010−267903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図11に示す電子部品実装構造に温度変化が加わった場合、電子部品400や回路基板500などの各部材に膨張伸縮による応力が加わることがある。このとき、接合材600および電子部品400は剛性が高く、曲げやねじりに追従できない。このため、図12に示されるように、接合材600およびパッド520の間の接合端部に応力が集中して亀裂が入り、電極420の底面およびパッド520の間の接合部からクラック800が形成されることがある。このクラックが生じることにより接合材600が破断すると、電極420およびパッド520の間で断線が生じてしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、曲げやねじり等の応力による接合材のクラックの発生を抑制し、電子部品の電極と回路基板のパッドとの間の電気的な接続が切断されるのを低減できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子部品実装構造は、少なくとも底面から側面に延びる複数の電極を有する電子部品を回路基板に実装する実装構造であって、前記電極の各々は、前記電子部品の底面側に形成された底面側電極と、前記電子部品の側面側に形成された側面側電極とを有し、前記回路基板は、前記複数の電極に対応する位置に形成された複数のパッドを有し、前記複数のパッドの各々は、前記底面側電極に対応する位置に形成された第1のパッド電極と、前記側面側電極に対応する位置に前記電子部品の側面の外側に延びるように形成された第2のパッド電極とを有し、前記底面側電極および前記第1のパッド電極は第1の接合材により接合され、前記側面側電極および前記第2のパッド電極は第2の接合材により接合され、前記第1の接合材および前記第2の接合材は互いに離間されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる技術によれば、曲げやねじり等の応力による接合材のクラックの発生を抑制し、電子部品の電極と回路基板のパッドとの間の電気的な接続が切断されるのを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電子部品実装構造の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる電子部品実装構造の構成を示す図である。
【図3】第1の接合材および第2の接合材の具体例の特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法を示す図である。
【図7】リフロー時の設定温度の変移の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法の第1の変形例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法の第2の変形例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法の第2の変形例を示す図である。
【図11】一般的な電子部品実装構造の一例である。
【図12】一般的な電子部品実装構造の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
図1および図2は、本発明の実施の形態にかかる電子部品実装構造の構成を示す。図1(a)は、電子部品実装構造の全体を示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA部を拡大した図であって、電子部品実装構造の接合部の拡大断面図である。図2(a)は、図1(a)の矢視Bからみた図であって、電子部品実装構造の接合部の拡大上面図である。図2(b)は、電子部品の電極側の拡大上面図である。図2(c)は、図1(b)のC−C切断面を示す図であって、電子部品と回路基板の間を切断した拡大断面図である。
【0014】
図1(a)に示されるように、本発明の実施の形態にかかる電子部品実装構造1000は、電子部品100を回路基板200上に実装する構造である。
【0015】
図1(b)、図2(a)および図2(b)に示されるように、電子部品100は、電子部品本体110と、複数の電極120を含んで構成されている。なお、電子部品100は、例えば、抵抗、コンデンサ、コイル、半導体等のチップである。
【0016】
電極120は、少なくとも電磁部品本体110の底面(紙面下側)から側面(紙面左側)に延びるように形成されている。なお、図1(b)では、電子部品本体110の上面(紙面上側)にまで延びるように形成されている例を示している。図1(a)及び図1(b)に示す例では、2つの電極120が、電子部品本体110の両端部に設けられている。ただし、電極120は、3つ以上であってもよく、電子部品本体110の両端部に形成されるとは限らない。
【0017】
図1(b)および図2(b)に示されるように、電極120は、少なくとも、電子部品100の底面側に形成された底面側電極121と、電子部品100の側面側に形成された側面側電極122とを有している。なお、電極120の材料には、例えば、銅、ニッケル、すず、金、プラチナなどの原料や化合物などが用いられる。
【0018】
図1(a)に示されるように、回路基板200は、絶縁性基材210と、複数のパッド220とを含んで形成されている。絶縁性基材210の材料には、例えば、ガラスエポキシ材、ガラスコンポジット材、紙フェノール材、紙エポキシ材などが用いられる。また、回路基板100には、例えばフレキシブルプリント配線基板のように可撓性を有する基板を用いてもよい。
【0019】
図1(b)および図2(a)に示されるように、パッド220は、絶縁性基材210上に形成されている。また、パッド220は、電子部品100の電極120に対応した位置に形成されている。パッド220は、第1のパッド電極221と、第2のパッド電極222とを有している。
【0020】
第1のパッド電極221は、底面側電極121に対応する位置に形成されている。第2のパッド電極222は、側面側電極122に対応する位置に、電子部品100の側面から外側に離れる方向に延びるように形成されている。
【0021】
また、図1(b)、図2(a)および図2(c)に示されるように、第1の接合材310によって、底面側電極121および第1のパッド電極221が接合されている。また、第2の接合材320によって、側面側電極122および第2のパッド電極222が接合されている。
【0022】
第1の接合材310および第2の接合材320の関係は、次の通りである。すなわち、第1の接合材310の引張強度は、第2の接合材320の引張強度より大きい。これにより、電子部品100の内側の接合強度を、電子部品100の外側の接合強度より強くすることができる。このため、第2の接合材320と比較して応力が集中しやすい第1の接合材310にクラックが生じるのを効率よく抑制できる。
【0023】
また、好ましくは、第1の接合材310の伸びは、第2の接合材320の伸びよりも小さい。これにより、電子部品100の外側の接合材の伸びを、電子部品100の内側の接合材の伸びより大きくすることができる。このため、回路基板200などに曲げやねじりによる応力が加わった場合でも、電子部品100の外側の接合材が伸びることで、応力を吸収することができる。この結果、応力が加わることによって回路基板200などが変形しても、電子部品100とパッド200との間にクラックが発生するのを抑制できる。
【0024】
また、第1の接合材310の固相線温度を、第2の接合材320の固相線温度よりも小さくすると、さらに好ましい。これにより、まず、第1の接合材310をまず溶融して、底面側電極121と第1のパッド電極221の間を接合した後に、第2の接合材320を溶融して、側面側電極122と第2のパッド電極222との間を接合することができる。この結果、効率よく電子部品100を回路基板200上に実装できる。
【0025】
ここで、第1の接合材310および第2の接合材320の具体例について説明する。図3は、第1の接合材310および第2の接合材320の具体例の特性を示す。
【0026】
図3では、第1の接合材310にSn―Bi系はんだを用い、第2の接合材320にSn−Ag−Cu系はんだを用いた例を例示している。なお、ここでは、Sn―Bi系はんだの材料をSn−58Biとし、Sn−Ag−Cu系はんだの材料をSn−3Ag−0.5Cuとした。図3に示されるように、第1の接合材310であるSn―Bi系はんだの引張強度76.5(MPa)は、第2の接合材320であるSn−Ag−Cu系はんだの引張強度53.3(MPa)より大きい。また、Sn―Bi系はんだの伸び27%は、Sn−Ag−Cu系はんだの伸び46%よりも小さい。また、Sn―Bi系はんだの固相線温度141(℃)は、Sn−Ag−Cu系はんだの固相線温度220(℃)よりも小さい。さらに、Sn―Bi系はんだの液相線温度139(℃)は、Sn−Ag−Cu系はんだの液相線温度217(℃)よりも小さい。
【0027】
図1および図2に戻って、離間部900は、電子部品100を回路基板200上に実装する際に、第1の接合材310および第2の接合材320が混合しないように、両者を離間するため部材である。図1(b)および図2(c)に示されるように、離間部900は、第1の接合材310および第2の接合材320の間に設けられている。離間部900は、例えば熱硬化性樹脂などを原料とした有機材料によって形成される。また、第1の接合材310に予め熱硬化性樹脂を含ませておくことにより、離間部900を形成することもできる。すなわち、電子部品100を回路基板200上に載せた状態で、第1の接合材310に熱を加えた際に、熱硬化性樹脂が底面側電極121と第1のパッド電極221の間で周囲に向かって広がった後に硬化する。これにより、離間部900が、底面側電極122および第1のパッド電極221の間に第1の接合材310を囲うように形成される。この場合は、図2(c)の離間部900は、カタカナの「コ」の字状ではなくリング状に形成される。なお、離間部材900の材料には、導電性部材および非導電性部材の双方を用いることができる。
【0028】
次に、本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法について説明する。図4、図5および図6は、本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法を示す。図4および図5では、電子部品の実装方法について、各工程を断面図で示している。図6は、一部の工程を模式的な上面図で示している。
【0029】
まず、図4(a)および図6(a)に示されるように、回路基板200を用意する。回路基板200の表面には、複数のパッド220が、電子部品100の複数の電極120に対応して形成されている。
【0030】
次に、図4(b)に示されるように、回路基板200の表面に第1の接合材310を塗布する。具体的には、マスク3000を回路基板200の表面に配置し、第1の接合材310をスキージ4000により回路基板200上の第1のパッド電極221上に塗布する。ここで、第1のパッド電極221は、前述の通り、底面側電極121に対応してパッド220内に形成されている。また、マスク3000には第1のパッド電極221に対応して開口部3100が形成されている。このため、第1の接合材310は開口部3100を介して第1のパッド電極221上に塗布される。なお、ここでは、第1の接合材310には、熱硬化性樹脂が含まれているものを用いている。
【0031】
図4(c)に示されるように、回路基板200の表面に第2の接合材320を塗布する。具体的には、マスク5000を回路基板200の表面に配置し、第2の接合材320をスキージ4000により回路基板200上の第2のパッド電極222上に塗布する。ここで、第2のパッド電極222は、第1のパッド電極210と底面側電極121を互いに対向して配置したときに、側面側電極122に対応して電子部品100の側面から外側に離れる方向に延びるようにパッド220内に形成されている。また、マスク5000には第2のパッド電極222に対応して開口部5100が形成されている。このため、第2の接合材320は、開口部5100を介して第2のパッド電極222上に塗布される。なお、マスク5000には、回路基板200と対向する面に凹部5200が形成されている。この凹部5200をマスク5000に形成したことにより、既に回路基板200上に塗布された第1の接合材310とマスク5000とが接触しない。
【0032】
これまでの作業により、図4(d)および図6(b)に示されるように、第1の接合材310が第1のパッド電極221上に塗布され、第2の接合材320が第2のパッド電極222上に塗布された状態となる。
【0033】
次に、図5(e)に示されるように、底面側電極121が第1のパッド電極221に対応するように位置合せをして、電子部品100を回路基板200上に載せて、電極120を第1の接合材310および第2の接合材320に接触させる。
【0034】
図5(f)に示されるように、第1の接合材310が溶融する温度まで、当該第1の接合材310を加熱する。これにより、第1の接合材310が溶融して、底面側電極121と第1のパッド電極221が接合される。併せて、第1の接合材310に含まれる熱硬化性樹脂が底面側電極121と第1のパッド電極221の間で周囲に向かって広がった後に硬化する。これにより、離間部900が、底面側電極122および第1のパッド電極221の間に第1の接合材310を囲うように形成される。なお、図2(c)では、離間部900はカタカナの「コ」の字状に形成されると説明したが、熱硬化性樹脂を含ませた第1の接合材310を使用する場合には、離間部900は第1の接合材310を囲うように形成される。
【0035】
離間部900が形成された後に続いて、図5(g)および図6(c)に示されるように、第2の接合材320が溶融する温度まで、当該第2の接合材320を加熱する。これにより、第2の接合材320が溶融して、側面側電極122と第2のパッド電極320が接合される。このとき、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に離間部900が形成されているので、第1の接合材310と第2の接合材320は離間され、互いに混合することは抑制される。
【0036】
以上の通り、図4(a)〜図4(d)および図5(e)〜図5(g)に示した工程を経て、最後に電子部品100が実装された回路基板200を冷却することにより、電子部品実装構造1000が完成する。
【0037】
ここで、電子部品100を回路基板200上にリフローを用いて実装する場合を想定して、リフロー時の作業温度について説明する。図7は、リフロー時の設定温度の変移の一例を示す。
【0038】
図7では、熱硬化性樹脂が含まれたSn―Bi系はんだを第1の接合材310に用い、Sn−Ag−Cu系はんだを第2の接合材320に用いた場合を例示している。
【0039】
図7に示されるように、時間の経過に伴って、温度を2段階で上昇させている。ここでは、図7のa区間で図5(f)の処理を行い、図7のb区間で図5(g)の処理を行う。
【0040】
すなわち、a区間では、第1の接合材310であるSn―Bi系はんだが溶融する温度139℃以上であって、第2の接合材320であるSn−Ag−Cu系はんだが溶融する温度217℃以下に、リフロー作業温度を設定する。これにより、第2の接合材320を溶融させないで、第1の接合材310のみを溶融して、底面側電極121と第1のパッド電極221を接合することができる。また、139℃以上で溶融してa区間内で硬化する熱硬化性樹脂を用いれば、a区間内の処理で離間部900を形成することができる。例えば、Sn−Bi系はんだに含まれる熱硬化性樹脂に、タムラ社製TCAP―5401―27を用いることができる。TCAP―5401―27は、160℃で240秒加熱すると硬化する特性を有している。したがって、a区間を240秒以上に設定することにより、a区間内でTCAP―5401―27を硬化させて離間部900を形成することができる。
【0041】
b区間では、第2の接合材320であるSn−Ag−Cu系はんだが溶融する温度217℃以上に、リフロー作業温度を設定する。これにより、第2の接合材320が溶融して、側面側電極122と第2のパッド電極320が接合される。このとき、第1の接合材310が溶融した状態のまま、第2の接合材320も溶融する。しかしながら、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に離間部900が形成されているので、第1の接合材310と第2の接合材320とがb区間の処理の中に混合しない。
【0042】
以上の通り、本発明の実施の形態にかかる電子部品実装構造および電子部品実装方法について説明した。
【0043】
本発明の実施の形態にかかる電子部品実装構造は、少なくとも底面から側面に延びる複数の電極を有する電子部品100を回路基板200に実装する実装構造である。このとき、電子部品100の電極120の各々は、当該電子部品100の底面側に形成された底面側電極121と、当該電子部品100の側面側に形成された側面側電極122とを有している。また、回路基板200は、複数の電極に対応して形成された複数のパッド220を有している。複数のパッド220の各々は、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222を有している。第1のパッド電極221は、底面側電極121に対応して形成され、第2のパッド電極222は、側面側電極122に対応して電子部品100の側面から外側に離れる方向に延びるように形成されている。さらに、底面側電極121および第1のパッド電極221は第1の接合材310により接合され、側面側電極122および第2のパッド電極222は第2の接合材320により接合されている。また、この接合とともに、第1の接合材310および第2の接合材320は互いに離間されている。第1の接合材310および第2の接合材320の間には、第1の接合材310と第2の接合材320とを離間させるための離間部900が設けられている。
【0044】
このように、回路基板200上のパッド220内に、第1のパッド電極221と第2のパッド電極222を設けて、第1のパッド電極221と第2のパッド電極222の各々が、それぞれ別の接合材により底面側電極121と第1のパッド電極221と接合されている。これにより、第1の接合材310と第2の接合材320の選択によって、底面側電極121および第1のパッド電極221の間の接合強度と、側面側電極122および第2のパッド電極222の間の接合強度を、バランスよく調整することができる。また、第1の接合材310と第2の接合材320の間は離間されているので、回路基板200などの曲げやねじりによる応力が加わっても、例えば、第1の接合材310に加わった応力は、第2の接合材320に伝達しにくい。同様に、第2の接合材320に加わった応力は、第1の接合材310に伝達しにくい。したがって、第1の接合材310と第2の接合材320の間を離間することにより、応力の伝達を緩和することができる。このように、曲げやねじり等の応力による接合材のクラックの発生を抑制することができる。この結果、電子部品の電極と回路基板のパッドとの間の電気的な接続が切断されるのを低減できる。よって、電子部品実装構造の品質をより高めることができる。
【0045】
また、第1の接合材310には熱硬化性樹脂を含ませて、当該熱硬化性樹脂に熱を加えて硬化することにより、離間部900を形成してもよい。これにより、底面側電極121と第1のパッド電極221を第1の接合材310により接合する際に同時に、熱硬化性樹脂によって離間部900を形成することができる。この結果、効率よく離間部900を形成することができる。また、離間部900を形成した後に、第2の接合材320を溶融して側面側電極122と第2のパッド電極222を接合する。このとき、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に離間部900が形成されているので、第1の接合材310と第2の接合材320は離間され、互いに混合することは抑制される。この結果、電子部品100を回路基板200上に効率よく実装できる。
【0046】
また、好ましくは、第1の接合材310の引張強度は、第2の接合材320の引張強度より大きくするとよい。これにより、電子部品100の内側の接合強度を、電子部品100の外側の接合強度より強くすることができる。このため、応力が集中しやすい底面側電極121および第1のパッド電極221の間の第1の接合材310にクラックが生じるのを効率よく抑制できる。
【0047】
また、第1の接合材310の伸びは、第2の接合材320の伸びよりも小さくするとよい。これにより、電子部品100の外側の接合材の伸びを、電子部品100の内側の接合材の伸びより大きくすることができる。このため、回路基板200などに曲げやねじりによる応力が加わった場合でも、電子部品100の外側の接合材が伸びることで、応力を吸収することができる。この結果、応力が加わることによって回路基板200などが変形しても、電子部品100とパッド220との間にクラックが発生するのを抑制できる
さらに、第1の接合材310の固相線温度は、第2の接合材320の固相線温度よりも小さくするとよい。これにより、まず、第1の接合材310をまず溶融して、底面側電極121と第1のパッド電極221の間を接合した後に、第2の接合材320を溶融して、側面側電極122と第2のパッド電極222との間を接合することができる。この結果、効率よく電子部品100を回路基板200上に実装できる。
【0048】
次に、本発明の実施の形態にかかる電子部品実装方法の第1の変形例について、説明する。図8は、本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法の第1の変形例を示す。図8では、図4および図5と同様に、電子部品の実装の各工程を断面図で示している。
【0049】
図4および図5に示す実装方法では、マスク3000、5000およびスキージ4000を用いて2つの接合材310、320を回路基板200上に塗布していた。これに対して、以下に説明する実装方法では、ディスペンサを用いて2つの接合材310、320を回路基板200上に塗布する。なお、ここでは、図4を用いて説明した実装方法と同様に、第1の接合材310には、熱硬化性樹脂が含まれているものを用いる。
【0050】
まず、図8(a)に示されるように、回路基板200を用意する。回路基板200の表面には、複数のパッド220が、電子部品100の複数の電極120に対応して形成されている。この工程は、図4(a)および図6(a)を用いて説明した工程と同様である。
【0051】
次に、図8(b)に示されるように、回路基板200の表面に第1の接合材310および第2の接合材を塗布する。具体的には、ディスペンサ6000を用いて、第1の接合材310を第1のパッド電極221上に、第2の接合材320を第2のパッド電極222上に、塗布する。このように、ディスペンサ6000を用いることにより、2種類の接合材310、320を回路基板200上の複数個所に同時に塗布することができる。
【0052】
これまでの作業により、図8(c)に示されるように、第1の接合材310が第1のパッド電極221上に塗布され、第2の接合材320が第2のパッド電極222上に塗布された状態となる。この工程は、図4(d)および図6(b)を用いて説明した工程と同様である。
【0053】
以降の工程については、図5(e)〜(g)と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0054】
このように、図8(a)〜図8(c)および図5(e)〜図5(g)に示した工程を経て、最後に電子部品100が実装された回路基板200を冷却することにより、電子部品実装構造1000が完成する。
【0055】
以上の通り、電子部品の実装方法の第1の変形例では、ディスペンサ6000を用いて、接合材310、320を回路基板200上に塗布する。このように、ディスペンサ6000を用いることにより、2種類の接合材200を回路基板200上の複数個所に同時に効率よく塗布することができる。この結果、電子部品100を回路基板200上に短時間に効率よく実装できる。
【0056】
次に、本発明の実施の形態にかかる電子部品実装方法の第2の変形例について、説明する。図9および図10は、本発明の実施の形態にかかる電子部品の実装方法の第2の変形例を示す。図9および図10では、図4、図5および図8と同様に各工程を断面図で示している。
【0057】
図8に示す実装方法では、ディスペンサ6000を用いて、2つの接合材310、320を回路基板200上に塗布していた。また、第1の接合材310には、図4を用いて説明した実装方法と同様に、熱硬化性樹脂が含まれているものを用いていた。これに対して、以下に説明する実装方法では、第1の接合材310に熱硬化性樹脂が含まれていないものを用いる。このため、以下に説明するように、第1の接合部材310および第2の接合部材320とは別に、熱硬化性樹脂部材910を準備する。以下に、具体的な工程を図に基づいて説明する。
【0058】
まず、図9(a)に示されるように、回路基板200を用意する。回路基板200の表面には、複数のパッド220が、電子部品100の複数の電極120に対応して形成されている。なお、この工程は、図8(a)を用いて説明した工程と同様である。
【0059】
次に、図9(b)に示されるように、回路基板200の表面に第1の接合材310および第2の接合材を塗布する。具体的には、ディスペンサ6000を用いて、第1の接合材310を第1のパッド電極221上に、第2の接合材320を第2のパッド電極222上に、塗布する。なお、この工程は、図8(b)を用いて説明した工程と同様である。なお、ここでは、ディスペンサ6000を用いて、2つの接合材310、320を回路基板200上に塗布すると説明したが、図4(b)および図4(c)に示されるように、マスク3000、5000およびスキージ4000を用いて、2つの接合材310、320を回路基板200上に塗布してもよい。
【0060】
次に、図9(c)に示されるように、予め準備した熱硬化性樹脂部材910を、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に塗布する。第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の上には、既に第1の接合材310および第2の接合材320が塗布されているので、実際には第1の接合材310および第2の接合材320の間に熱硬化性樹脂部材910を塗布することになる。熱硬化性樹脂部材910には、前述したように、例えば、タムラ社製TCAP―5401―27を用いることができる。なお、第1の接合材310および第2の接合材320の間の他に、第1のパッド電極221の外周に沿って、第1の接合材310の内側にも、熱硬化性樹脂部材910を塗布してもよい。
【0061】
次に、図10(d)に示されるように、底面側電極121が第1のパッド電極221に対応するように位置合せをして、電子部品100を回路基板200上に載せて、電極120を第1の接合材310および第2の接合材320に接触させる。
【0062】
図10(e)に示されるように、第1の接合材310が溶融する温度まで、当該第1の接合材310を加熱する。これにより、第1の接合材310が溶融して、底面側電極121と第1のパッド電極221が接合される。併せて、熱硬化性樹脂部材910が第1の接合材310および第2の接合材320の間で硬化する。これにより、離間部900が、底面側電極122および第1のパッド電極221の間に形成される。このとき、離間部900は、図2(c)に示されるように、カタカナの「コ」の字状に形成される。ただし、第1のパッド電極221の外周に沿って、第1の接合材310の内側にも、熱硬化性樹脂部材910を塗布した場合、離間部900は、カタカナの「コ」の字状ではなくリング状に形成される。
【0063】
以降の工程については、図5(f)および図5(g)と同様であるので、詳細な説明を省略する。すなわち、図10(e)が図5(f)に対応し、図10(f)が図5(g)に対応する。
【0064】
以上の通り、図9(a)〜図9(c)および図105(d)〜図10(f)に示した工程を経て、最後に電子部品100が実装された回路基板200を冷却することにより、電子部品実装構造1000が完成する。
【0065】
以上の通り、電子部品の実装方法の第2の変形例では、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に、熱硬化性樹脂部材910を塗布してから、熱硬化性樹脂部材910に熱を加えることにより、離間部900を第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に形成している。この実装方法であっても、第1のパッド電極221および第2のパッド電極222の間に離間部900を形成した後に、第2の接合材320を溶融するので、第1の接合材310と第2の接合材320は離間部900により離間され、これらが互いに混合することは抑制される。これにより、2つの接合材310、320を混合させることなく、両接合材310、320を回路基板200上に効率よく塗布することができる。この結果、電子部品100を回路基板200上に短時間に効率よく実装できる。
【0066】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0067】
100 電子部品
110 電子部品本体
120 電極
121 底面側電極
122 側面側電極
200 回路基板
210 絶縁性基材
220 パッド
221 第1のパッド電極
222 第2のパッド電極
310 第1の接合材
320 第2の接合材
900 離間部
910 熱硬化性樹脂部材
1000 電子部品実装構造
3000、5000 マスク
4000 スキージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底面から側面に延びる複数の電極を有する電子部品を回路基板に実装する実装構造であって、
前記電極の各々は、前記電子部品の底面側に形成された底面側電極と、前記電子部品の側面側に形成された側面側電極とを有し、
前記回路基板は、前記複数の電極に対応して形成された複数のパッドを有し、
前記複数のパッドの各々は、前記底面側電極に対応して形成された第1のパッド電極と、前記側面側電極に対応して前記電子部品の側面から外側に離れる方向に延びるように形成された第2のパッド電極とを有し、
前記底面側電極および前記第1のパッド電極は第1の接合材により接合され、
前記側面側電極および前記第2のパッド電極は第2の接合材により接合され、
前記第1の接合材および前記第2の接合材は互いに離間されている電子部品実装構造。
【請求項2】
前記第1の接合材および第2の接合材の間には、前記第1の接合材と第2の接合材とを離間させるための離間部が設けられた請求項1に記載の電子部品実装構造。
【請求項3】
前記第1の接合材には熱硬化性樹脂が含まれており、当該熱硬化性樹脂を硬化することにより前記離間部を形成する請求項2に記載の電子部品実装構造。
【請求項4】
前記第1の接合材の引張強度は、前記第2の接合材の引張強度より大きい請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品実装構造。
【請求項5】
前記第1の接合材の伸びは、前記第2の接合材の伸びよりも小さい請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品実装構造。
【請求項6】
前記第1の接合材の固相線温度は、前記第2の接合材の固相線温度よりも小さい請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品実装構造。
【請求項7】
少なくとも底面から側面に延びる複数の電極を有する電子部品を回路基板に実装する実装方法であって、
前記電極の各々は、前記電子部品の底面側に形成された底面側電極と、前記電子部品の側面側に形成された側面側電極とを有しており、
前記複数の電極に対応して形成された複数のパッドを有する回路基板を用意するステップと、
前記底面側電極に対応して前記パッド内に形成された第1のパッド電極に、第1の接合材を塗布するステップと、
前記第1のパッド電極と前記底面側電極を互いに対向して配置したときに、前記側面側電極に対応して前記電子部品の側面から外側に離れる方向に延びるように前記パッド内に形成された第2のパッド電極に、前記第2の接合材を塗布するステップと、
前記底面側電極が前記第1のパッド電極に対応するように位置合せをして、前記電子部品を前記回路基板上に載せるステップと、
前記底面側電極と前記第1のパッド電極を前記第1の接合材により接合するステップと、
前記第1の接合材と前記第2の接合材とが互いに離間するように、前記側面側電極と前記第2のパッド電極を前記第2の接合材により接合するステップとを含む電子部品実装方法。
【請求項8】
前記第1の接合材には、熱硬化性樹脂が含まれており、
前記第1の接合材により接合するステップでは、前記第1の接合材を溶融して前記底面側電極と前記第1のパッド電極を接合するともに、前記熱硬化性樹脂を硬化させることにより、前記第1のパッド電極および第2のパッド電極の間に、前記第1の接合材と前記第2の接合材とを離間させるための離間部を形成し、
前記第2の接合材により接合するステップでは、前記離間部を形成した後に、前記第2の接合材を溶融して前記側面側電極と前記第2のパッド電極を接合する請求項7に記載の電子部品実装方法。
【請求項9】
前記第1のパッド電極および第2のパッド電極の間に、熱硬化性樹脂部材を塗布するステップと、
前記熱硬化性樹脂部材に熱を加えることにより、前記第1の接合材と前記第2の接合材とを離間させるための離間部を前記第1のパッド電極および第2のパッド電極の間に形成するステップをさらに含む請求項7に記載の電子部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−199366(P2012−199366A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62172(P2011−62172)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】